(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149719
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/41 20180101AFI20220929BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20220929BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20220929BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20220929BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20220929BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20220929BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20220929BHJP
【FI】
F24F11/41 100
F24F11/64
F24F11/65
F24F11/80
F24F11/89
F25B47/02 550Z
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051994
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大輝
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB01
3L260BA01
3L260BA36
3L260CA32
3L260CB63
3L260DA09
3L260FA03
(57)【要約】
【課題】室外熱交換器の着霜状態に応じて、除霜運転前に室温を上昇させる温度を変更することで、過剰な室温上昇を防ぎ、また、無駄な電力消費を抑えることができる空気調和機を提供する。
【解決手段】圧縮機10、室内熱交換器15、室外熱交換器12を有して冷媒が循環する冷媒回路5と、循環する冷媒の向きを切り換える四方弁11と、室内の気温が設定温度に至るよう暖房運転を行う暖房運転と、暖房運転によって着霜した室外熱交換器12の除霜を行う除霜運転とを四方弁11の切り換えによって切り換える室外機制御部21と、を有する空気調和機1において、室外機制御部21は、暖房運転を除霜運転に切り換える際に、室外熱交換器12の着霜状態に応じた温度を設定温度に加算した目標温度を設定し、室内の気温が目標温度に至るように暖房運転を行った後、除霜運転を行う空気調和機。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器を有し冷媒が循環する冷媒回路と、
前記冷媒回路に接続され、前記冷媒回路を循環する冷媒の向きを切り換える流路切換弁と、
前記室内熱交換器が設置される室内の気温が設定温度に至るように暖房を行う暖房運転と、前記暖房運転によって着霜した前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転とを前記流路切換弁の切り換えによって切り換える制御部と、を有する空気調和機において、
前記制御部は、前記暖房運転を前記除霜運転に切り換える際に、前記室外熱交換器の着霜状態に応じた温度を前記設定温度に加算した目標温度を設定し、
前記室内の気温が前記目標温度に至るように前記暖房運転を行った後、前記除霜運転を行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
外気温度を検出する外気温度検出センサを備え、
前記制御部は、前記暖房運転を前記除霜運転に切り換える際に、前記室外熱交換器の着霜状態および前記外気温度に応じた温度を前記設定温度に加算した目標温度を設定することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記除霜運転の終了後、前記目標温度を前記設定温度に変更して暖房運転を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
圧縮機、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器を有し冷媒が循環する冷媒回路と、
前記冷媒回路に接続され、前記冷媒回路を循環する冷媒の向きを切り換える流路切換弁と、
前記室内熱交換器が設置される室内の気温が設定温度に至るように暖房を行う暖房運転と、前記暖房運転によって着霜した前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転とを前記流路切換弁の切り換えによって切り換える制御部と、を有する空気調和機において、
前記制御部は、前記暖房運転を前記除霜運転に切り換える際に、前記除霜運転の運転時間である除霜運転時間を予測し、予測した前記除霜運転時間に応じた温度を前記設定温度に加算した目標温度を設定し、
前記室内の気温が前記目標温度に至るように前記暖房運転を行った後、前記除霜運転を行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
外気温度を検出する外気温度検出センサを備え、
前記室外熱交換器の着霜状態と外気温度に基づいて前記除霜運転時間を予測することを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記除霜運転の終了後、前記目標温度を前記設定温度に変更して暖房運転を開始することを特徴とする請求項4または5に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機であって、暖房運転における除霜制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置を有する冷凍サイクルと、被調和室の室温が設定温度に至るように圧縮機を制御する制御部とを備え、暖房運転時、除霜運転開始条件を満足した場合、設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ、所定時間経過後に除霜運転を開始する空気調和機が開示されている。
通常、除霜運転は、四方弁を切り替えて冷媒回路を冷房サイクルとし、室外熱交換器にホットガスを送り、室外熱交換器に付着した霜を溶かす。そのため、室内熱交換器を有する室内機は、暖房能力はゼロで運転されることとなるので、除霜運転時はユーザが寒いと感じてしまうという課題があった。
特許文献1では、その課題を解決するために、暖房運転から除霜運転に切り換る直前に、設定温度を所定温度プラス方向にシフトさせて室内を予め暖めるようにして、ユーザが寒いと感じる温度に室温が低下するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、除霜運転直前に設定温度を所定温度プラス方向にシフトさせて室内を予め暖めてから除霜運転を開始しているが、着霜状態や外気温度などの外部雰囲気の状態に関係なく設定温度に一定の温度をプラスしているため、除霜時間が短くあまり暖房能力が低下しない場合や、外気温度が高く室温があまり低下しない場合は、過剰に設定温度を上昇させてしまい、消費電力の増加やユーザが望む室温以上となって不快感を与えてしまうという課題がある。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、室外熱交換器の着霜状態に応じて、除霜運転前に室温を上昇させる設定温度を決定することで、過剰な室温上昇を防ぎ、また、無駄な電力消費を抑えることができる空気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、圧縮機、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器を有し冷媒が循環する冷媒回路と、冷媒回路に接続され、冷媒回路を循環する冷媒の向きを切り換える流路切換弁と、室内熱交換器が設置される室内の気温が設定温度に至るように暖房を行う暖房運転と、暖房運転によって着霜した室外熱交換器の除霜を行う除霜運転とを流路切換弁の切り換えによって切り換える制御部と、を有する空気調和機において、制御部は、暖房運転を除霜運転に切り換える際に、室外熱交換器の着霜状態に応じた温度を設定温度に加算した目標温度を設定し、室内の気温が目標温度に至るように暖房運転を行った後、除霜運転を行う空気調和機である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、室外熱交換器の着霜状態に応じて、除霜運転前に室温を上昇させることで、過剰な室温上昇を防ぎ、また、無駄な電力消費を抑えることができる空気調和機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の冷媒回路図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の制御ブロックの構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る空気調和機の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明に係る空気調和機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施形態の空気調和機1の冷媒回路図である。
図2は、本実施形態の空気調和機1の制御ブロックの構成図である。
図3は、本実施形態の空気調和機の制御フロー図である。
【実施例0010】
図1を参照して、空気調和機1について説明する。
図1は本発明の実施形態における空気調和機1の冷媒回路図を示す。空気調和機1は冷房運転と暖房運転が可能であり、室外に配置される室外機2と室内に配置される室内機3を備えている。室外機2は、冷媒配管4で接続された圧縮機10、四方弁11、室外熱交換器12、室外機側膨張弁13を備え、室内機3は、冷媒配管4で接続された室内機側膨張弁15、室内熱交換器16備えて、圧縮機10、四方弁11、室外熱交換器12、室外機側膨張弁13、室内機側膨張弁15、室内熱交換器16とで冷媒回路5を構成している。また、室外機2は、外気を取り込んで室外熱交換器12に送り、室外熱交換器12で冷媒と熱交換して送出するための図示しない送風機を備える。また、室内機3は、室内の空気を取り込んで室内熱交換器16に送り、室内熱交換器13で冷媒と熱交換して送出するための図示しない室内ファンを備えている。四方弁11は冷房運転時と暖房運転時とで冷媒回路5を循環する冷媒の流れる向きを変える流路切換弁である。冷房運転時には、圧縮機10から吐出した冷媒が四方弁11を介して、室外熱交換器12、室外機側膨張弁13、室内機側膨張弁15、室内熱交換器16、四方弁11、圧縮機10へと流れ、暖房運転時には、圧縮機10から吐出した冷媒が四方弁11を介して、室内熱交換器16、室内機側膨張弁15、室外機側膨張弁13、室外熱交換器12、四方弁11、圧縮機10へと流れる。
【0011】
暖房運転時の冷媒回路5における冷媒の流れを説明する。尚、
図1において実線で示す矢印は暖房運転の場合の冷媒の流れを示す。暖房運転は、室内機3から送信される設定温度(当初に設定されている設定温度、例えば、24℃)に基づいて、その設定温度に至るように暖房を行う空調運転である。暖房運転時において、圧縮機10で圧縮されて高温高圧になった冷媒は四方弁11を介して室内熱交換器16を流れる。室内熱交換器16を流れる高温高圧の冷媒は、室内ファンによって送風された室内の空気と熱交換することによって放熱し、高温高圧の冷媒と熱交換をした室内の空気は暖められる。室内熱交換器16を通過して放熱した冷媒は室内機側膨張弁15を通過した後、室外機側膨張弁13によって減圧され低温低圧となる。低温低圧となった冷媒は室外熱交換器12を流れ、室外熱交換器12を通過する際に送風機によって送風された外気と熱交換し吸熱する。吸熱した冷媒は四方弁11を介して圧縮機10に戻り、再び、高温高圧に圧縮される。尚、冷房運転時における冷媒の流れは、暖房運転の場合の逆であり、従来の技術と異なる点はないので、本明細書においては説明を省略する。
【0012】
次に除霜運転時の冷媒回路5における冷媒の流れを説明する。尚、
図1において破線で示す矢印は除霜運転の場合の冷媒の流れを示す。除霜運転時の冷媒回路5における冷媒の流れは冷房運転の場合と同じである。尚、暖房運転から除霜運転に切り換わる場合の制御については後述する。暖房運転から除霜運転への切り換えは、四方弁11により冷媒回路5を循環する冷媒の流れの向きを逆の方向に切り換えることによって行われる。暖房運転では、室内熱交換器16には高温高圧の冷媒が流れ、室外熱交換器12には低温低圧の冷媒が流れる。そのため、外気温がある程度低いときは(例えば、2度~5度以下)、室外熱交換器12の温度は0度以下となり、外気に含まれる水分が霜となり室外熱交換器12に付着する(着霜)。その後も暖房運転が継続すると、その霜が徐々に成長するため、やがては、その霜によって室外熱交換器12の熱交換能力が低下し、暖房能力が落ちてしまうので、それを解消するために除霜運転を行う。
【0013】
除霜運転時において、圧縮機10で圧縮されて高温高圧になった冷媒は四方弁11を介して室外熱交換器12を流れる。霜が付着した状態の室外熱交換器12、すなわち、着霜状態の室外熱交換器12は、高温高圧の冷媒が室外熱交換器12を通過することによって霜が融けて除霜される。室外熱交換器12を通過した冷媒は、その後、室外機側膨張弁13、室内機側膨張弁15、室内熱交換器16を流れる。室内熱交換器16を通過した冷媒は、四方弁11を介して圧縮機10に戻り、再び、高温高圧に圧縮される。従って、除霜運転では、圧縮機10で圧縮されて高温高圧になった冷媒は室内熱交換器16ではなく室外熱交換器12を流れ、室内熱交換器16では低温低圧の冷媒が流れることとなる。
【0014】
次に
図2を参照して、実施形態に係る空気調和機1の制御ブロックの構成図を説明する。空気調和機1の室外機2は、冷房運転、暖房運転、および、除霜運転を制御する制御部としての室外機制御部21を備えている。室外機2は室外機制御部21の他に、圧縮機10を制御するための駆動回路22、室内機3と通信するための通信部23、圧縮機10の運転時間を計測するタイマ24、室外熱交換器12の温度を検出する室外熱交換器温度センサ25、外気温度を検出する外気温度センサ26を備えている。室外機制御部21は、室内機3から送信される冷房運転・暖房運転などの運転モード、室内機3で設定される設定温度に応じて圧縮機10、四方弁11、室外機側膨張弁13、室内機側膨張弁15を制御し、また、室外熱交換器温度センサ25から送られてくる室外熱交換器12の温度、外気温度センサ26から送られてくる外気温度およびタイマ24から送られてくる圧縮機10の運転時間に応じて着霜条件を満たすか否かを判定し、着霜条件を満たすと判定した場合は除霜運転の制御を行う。
【0015】
次に着霜状態の判定について説明する。室外機制御部21は、着霜に関し通常着霜か積算着霜かを判定する。通常着霜は短時間に着霜する状態であって、着霜量が多いと判断される状態であり、積算着霜は通常着霜に比べて時間をかけて着霜する状態であって、着霜量が通常着霜より少ないと判断される状態をいう。
【0016】
通常着霜は、下記を満たす場合に通常着霜と判定する。
A:圧縮機10の連続運転時間が10分以上であって、次の条件1または条件2のいずれかを満たす場合
条件1:
(1)圧縮機10の積算運転時間が17分以上である。
(2)室外熱交換器12の温度が-9℃以下である。
(3)外気温度と室外熱交換器12の温度差が5℃以上であり、かつ、温度差が5℃以上を検出してから5分後にも外気温度と室外熱交換器12の温度差が5℃以上である。
条件2:
(1)圧縮機10の積算運転時間が17分以上である。
(2)室外熱交換器12の温度が-5℃以下で、かつ、室外熱交換器12の温度が-5℃以下を検出してから5分後にも室外熱交換器12の温度が-5℃以下である。
【0017】
積算着霜は、下記を満たす場合に積算着霜と判定する。
B:圧縮機10の連続運転時間が10分以上であって、次の条件3を満たす場合
条件3:
(1)圧縮機10の積算運転時間が210分以上である。
(2)室外熱交換器12の温度が-3℃以下で、かつ、室外熱交換器12の温度が-3℃以下を検出してから30分後にも室外熱交換器12の温度が-3℃以下である。
【0018】
次に、
図3の制御フロー図を用いて、除霜運転の制御について説明する。暖房運転中に上記した着霜条件を満たすか否かを判断する(S1)。次に、その着霜条件が通常着霜の条件を満たしているか否かを判断する(S2)。満たしている場合(S2のYES)は、外気温度が所定温度(例えば、10℃)以上か否かを判断する(S3)。外気温度が10℃以上であればS6に進み、当初に設定されている設定温度(24℃)に中程度の温度(例えば、1.5℃)を加えた温度を暖房運転での目標温度(25.5℃)に設定する。外気温度が10℃未満であればS5に進み、当初に設定されている設定温度(24℃)に高程度の温度(例えば、2℃)を加えた温度を暖房運転での目標温度(26℃)に設定する。S2で通常着霜の条件を満たしていない場合(S2のNO)は、外気温度が所定温度(例えば、10℃)以上か否かを判断する(S4)。外気温度が10℃以上であればS7に進み、当初に設定されている設定温度(24℃)に低程度の温度(例えば、1℃)を加えた温度を暖房運転での目標温度(25℃)に設定する(S7)。外気温度が10℃未満であればS6に進み、当初に設定されている設定温度(24℃)に中程度の温度(例えば、1.5℃)を加えた温度を暖房運転での目標温度(25.5℃)に設定する(S6)。
【0019】
次に、室内機3の室内温度が当初に設定されていた設定温度(24℃)から変更した目標温度(例えば、25℃、25.5℃、26℃)に達するまで暖房運転を行い(S8)、暖房運転によって室内温度が目標温度に達した場合(S8のYES)に、暖房運転を除霜運転に切り換える(S9)。尚、本実施例では、目標温度に達してから除霜運転に切り換えるが、目標温度に達してから除霜運転に切り換えるのではなく、目標温度に至るように暖房運転を所定の時間行ってから除霜運転に切り換えても構わない。除霜運転の終了条件に達すると除霜運転を終了する(S10のYES)。除霜運転が終了すると、目標温度から当初に設定されている設定温度(24℃)に戻し、暖房運転を開始する(S11)。尚、除霜運転の終了条件は下記に示す。
除霜運転の終了条件:下記の(1)または(2)が成立したとき。
(1)室外熱交換器12の温度が所定の温度(例えば、16℃)以上。
(2)除霜運転開始から所定時間(例えば、15分)経過。
【0020】
本実施形態の空気調和機1の特徴は、着霜量(すなわち、着霜条件で判定される着霜状態をいう)および外気温度に応じて、暖房運転の設定温度を変更することである。すなわち、着霜量が多いと除霜運転時間が長くなり、かつ、外気温度が低いと外気温度が室内温度の低下に大きな影響を及ぼす場合は、除霜運転による暖房能力の低下と除霜運転による室内温度の低下が大きくなるため、当初の設定温度よりも大程度高くした目標温度で暖房運転を行って室内温度を上昇させてから(S5)、除霜運転を行う。着霜量が少ないと除霜運転時間が短く、かつ、外気温度が高いと外気温度が室内温度の低下に大きな影響を及ぼさない場合は、除霜運転による暖房能力の低下と除霜運転による室温低下が小さいため、当初の設定温度よりも小程度高くした目標温度で暖房運転を行って室内温度を上昇させてから(S7)、除霜運転を行う。その中間の場合は、当初の設定温度よりも中程度高くした目標温度で暖房運転を行って室内温度を上昇させてから(S6)、除霜運転を行う。室外熱交換器12の着霜状態および外気温度に応じて、除霜運転前に設定温度よりも高い目標温度を決定することで、過剰な室温上昇を防ぎ、また、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0021】
本実施形態では、着霜量(着霜状態)および外気温度に応じて、暖房運転の設定温度を変更したが、このどちらか一方だけでも構わない。例えば、着霜量(着霜状態)だけを判断し、着霜量(着霜状態)に応じて暖房運転の設定温度を変更しても構わない。また、外気温度だけを判断し、外気温度に応じて暖房運転の設定温度を変更しても構わない。
【0022】
また、本実施形態では、着霜量(着霜状態)および外気温度に応じて、暖房運転の設定温度を変更したが、他の実施形態として、除霜運転時間に応じて、暖房運転の設定温度を変更しても構わない。除霜運転時間は上記した着霜条件と外気温度に基づいて予測することが出来る。すなわち、着霜条件が、着霜量が多いと判断される通常着霜条件を満たす場合であって、外気温度が低い場合は除霜運転時間が長くなると予測される。また、着霜条件が、着霜量が通常着霜より少ないと判断される積算着霜条件を満たす場合であって、外気温度が高い場合は除霜運転時間が短くなると予測される。着霜条件が、着霜量が多いと判断される通常着霜条件を満たす場合であって、外気温度が高い場合、または、着霜量が通常着霜より少ないと判断される積算着霜条件を満たす場合であって、外気温度が低い場合は、除霜運転時間が上記した時間の中間であると予測される。例えば、着霜条件および外気温度と除霜運転時間との関係をメモリ(不図示)に記憶しておき、着霜条件および外気温度から除霜運転時間を予測し、その予測した除霜運転時に応じた温度を暖房運転時の設定温度に加算し、それを目標温度として設定しても構わない。
【0023】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
1…空気調和機、2…室外機、3…室内機、4…冷媒配管、5…冷媒回路、10…圧縮機、11…四方弁、12…室外熱交換器、13…室外機側膨張弁、15…室内機側膨張弁、16…室内熱交換器、21…室外機制御部、22…駆動回路、23…通信部、24…タイマ、25…室外熱交換器温度センサ、26…外気温度センサ