(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149723
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】車両用内装材の取付構造
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20060101AFI20220929BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20220929BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60K37/00 C
B60R13/02 Z
F16B5/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051998
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴史
【テーマコード(参考)】
3D023
3D344
3J001
【Fターム(参考)】
3D023BB25
3D023BC01
3D023BD29
3D023BE36
3D344AA12
3D344AA14
3D344AB01
3D344AC07
3D344AC13
3D344AC30
3D344AD04
3J001FA03
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA04
3J001HA07
3J001JD33
3J001JE05
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】作業視野が確保しづらい環境でも作業が容易で、車両用内装材を被取付部に確実に取り付け可能な車両用内装材の取付構造を提供する。
【解決手段】車両用内装材10の取付構造12は、車両用内装材10の係合部27の第二係り部32が、第一係り部31に対し、係合部本体30の突出方向において車両用内装材10から離れて位置する。被取付部11は、係合部本体30が挿入される穴部50と、第一係り部31と係合される第一係り受け部51と、第二係り部32と係合される第二係り受け部52と、を有し、被取付部11に形成された係合受け部48を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内装材を車体側の被取付部に取り付ける車両用内装材の取付構造であって、
前記車両用内装材に形成される仮保持部と、
前記車両用内装材の背後側に突出する係合部本体と、この係合部本体の前記仮保持部側に位置する第一係り部と、前記係合部本体の前記仮保持部とは反対側に位置する第二係り部と、を有する係合部と、
前記被取付部に形成されて前記仮保持部を受容する保持部と、
前記係合部本体が挿入される穴部と、前記第一係り部と係合される第一係り受け部と、前記第二係り部と係合される第二係り受け部と、を有し、前記被取付部に形成された係合受け部と、を備え、
前記第二係り部は、前記第一係り部に対し、前記係合部本体の先端部側に位置する
ことを特徴とする車両用内装材の取付構造。
【請求項2】
第一係り部は、係合部本体の基端部と先端部との間の位置でこの係合部本体と交差する方向に突出し、
第一係り受け部は、穴部の縁部に位置して前記第一係り部が当接される
ことを特徴とする請求項1記載の車両用内装材の取付構造。
【請求項3】
係合受け部は、係合部本体を穴部へとガイドする第一ガイド部と、この第一ガイド部よりも前記穴部の奥側で前記係合部本体を前記穴部へとガイドする第二ガイド部と、を有し、
前記第一ガイド部は、前記第二ガイド部よりも前記穴部への前記係合部本体の挿入方向に対する傾斜が大きい
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用内装材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装材を車体側の被取付部に取り付ける車両用内装材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用内装材の取付構造の例として、インストルメントパネル本体に対してロアパネルを取り付けるものがある。この取付構造においては、ロアパネルの下部に形成された爪部をインストルメントパネル本体の挿入孔に挿入し、爪部を起点としてロアパネルをインストルメントパネル本体に向かって車両上方へと回動させ、複数のクリップを係合孔に挿入して固定する構造となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-80104号公報 (第8-9頁、
図7-11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構造の場合、挿入孔がインストルメントパネル本体の下部に位置するため、作業視野が確保しにくい。そのため、爪部が挿入孔に確実に挿入され、かつ、ロアパネルを回動させることが可能な位置で爪部が保持されているのかを確認することが容易でない。さらに、クリップと係合孔とが複数ずつ設定されているため、これらクリップと係合孔との係合精度を調整したり、各クリップと各係合孔とが確実に係合されていることを確認する必要があったりするなど、各工程の作業が煩雑となる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業視野が確保しづらい環境でも作業が容易で、車両用内装材を被取付部に確実に取り付け可能な車両用内装材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の車両用内装材の取付構造は、車両用内装材を車体側の被取付部に取り付ける車両用内装材の取付構造であって、前記車両用内装材に形成される仮保持部と、前記車両用内装材の背後側に突出する係合部本体と、この係合部本体の前記仮保持部側に位置する第一係り部と、前記係合部本体の前記仮保持部とは反対側に位置する第二係り部と、を有する係合部と、前記被取付部に形成されて前記仮保持部を受容する保持部と、前記係合部本体が挿入される穴部と、前記第一係り部と係合される第一係り受け部と、前記第二係り部と係合される第二係り受け部と、を有し、前記被取付部に形成された係合受け部と、を備え、前記第二係り部は、前記第一係り部に対し、前記係合部本体の先端部側に位置するものである。
【0007】
請求項2記載の車両用内装材の取付構造は、請求項1記載の車両用内装材の取付構造において、第一係り部は、係合部本体の基端部と先端部との間の位置でこの係合部本体と交差する方向に突出し、第一係り受け部は、穴部の縁部に位置して前記第一係り部が当接されるものである。
【0008】
請求項3記載の車両用内装材の取付構造は、請求項1または2記載の車両用内装材の取付構造において、係合受け部は、係合部本体を穴部へとガイドする第一ガイド部と、この第一ガイド部よりも前記穴部の奥側で前記係合部本体を前記穴部へとガイドする第二ガイド部と、を有し、前記第一ガイド部は、前記第二ガイド部よりも前記穴部への前記係合部本体の挿入方向に対する傾斜が大きいものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の車両用内装材の取付構造によれば、車両用内装材の仮保持部を被取付部の保持部に受容して係合部を係合受け部へと係合させることにより、作業視野が確保しづらい環境でも作業が容易で、かつ、車両用内装材の被取付部への取り付け基点となる仮保持部から相対的に離れた第二係り部側で第二係り受け部によって係合部を係合部本体の先端部側から押さえ、取り付け基点に相対的に近い第一係り部側で第一係り受け部に係合部を係合部本体の基端部側から押し当てることで、係合部が係合受け部に強固に固定されて脱落しにくくなるので、車両用内装材を被取付部に確実に取り付け可能となる。
【0010】
請求項2記載の車両用内装材の取付構造によれば、請求項1記載の車両用内装材の取付構造の効果に加えて、車両用内装材の被取付部への取り付け基点に相対的に近い第一係り部側で第一係り受け部に係合部を係合部本体の基端部側から容易に押し当てることができる。
【0011】
請求項3記載の車両用内装材の取付構造によれば、請求項1または2記載の車両用内装材の取付構造の効果に加えて、穴部へと係合部本体を挿入する際に、第一ガイド部の傾斜によって車両用内装材の被取付部に対する位置のばらつきをより大きく吸収可能し、穴部へと係合部本体を確実に挿入させて車両用内装材を被取付部に対して確実に取り付け可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態の車両用内装材の取付構造の一部を拡大して示す断面図である。
【
図2】同上車両用内装材の取付構造の断面図である。
【
図3】同上車両用内装材の取付構造の車両用内装材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1において、10は車両用内装材である。車両用内装材10は、車体側の被取付部11に対し、取付構造12により取り付けられる。一例として、車両用内装材10は、被取付部11であるインストルメントパネル本体に取り付けられるロアパネルであり、車両用内装材10と被取付部11とによって、インストルメントパネルの少なくとも一部を構成する。
【0015】
図3に示すように、車両用内装材10は、内装材本体部15を有する。内装材本体部15は、車両用内装材10の意匠部分を構成する。内装材本体部15は、板状に形成されたパネルである。図示される例では、内装材本体部15は、長手状に形成されている。以下、内装材本体部15の厚み方向を第一方向である上下方向とし、意匠側を下側、背後側または背面側を上側とする。また、内装材本体部15の長手方向を第二方向である左右方向、両側方向、または幅方向とし、内装材本体部15の短手方向を第三方向である前後方向とする。図中においては、矢印U方向を上方向、矢印D方向を下方向、矢印F方向を前方向、矢印R方向を後方向、矢印W方向を左右方向とする。これらの方向はあくまでも一例であって、車両用内装材10の種類及び取付位置などに応じて、上下方向、左右方向、及び、前後方向は適宜変更されるものとする。
【0016】
内装材本体部15は、車両用内装材10により覆う形状に応じて任意の形状としてよいが、本実施の形態においては、大部分または過半部分を構成する主体部17の前部が前方に向かって下方に湾曲し、この主体部17の前部に連接部18が連なるとともに、主体部17の後部に後方に向かって上方に傾斜する第二連接部である傾斜部19が連なる形状に構成されている。内装材本体部15の上面、すなわち被取付部11に対向する位置には、吸音材などが取り付けられていてもよい。
【0017】
また、内装材本体部15の外縁部には、壁部21が連なって形成されている。本実施の形態において、壁部21は、内装材本体部15の各長辺部分である前部及び後部と、これら長辺部分に連なる短辺部分である一側部とにおいて、内装材本体部15から上側に立ち上がって形成されている。
【0018】
さらに、図示される例では、内装材本体部15の他側部に連なって延出部22が形成されている。延出部22は、板状に形成され、内装材本体部15から下方に延びている。
【0019】
車両用内装材10には、取り付け時に仮保持するための仮保持部24が形成されている。仮保持部24は、車両用内装材10の前部から前方へと直線状に突出して形成されている。本実施の形態において、仮保持部24は、前側の壁部21の前部から前方に突出している。図示される例では、仮保持部24は、ピン状に形成された取付ピンである。また、仮保持部24は、複数配置されている。
図3において、仮保持部24は、車両用内装材10の長手方向である左右両側方向に離れてそれぞれ形成されている。本実施の形態において、仮保持部24は、車両用内装材10の両側近傍にそれぞれ位置している。
【0020】
仮保持部24には、規制部25が形成されている。規制部25は、ストッパ部とも呼び得る部分である。規制部25は、仮保持部24の上部に、仮保持部24に沿って形成されている。本実施の形態において、規制部25は、車両用内装材10と連なって形成されている。つまり、規制部25は、仮保持部24の基端部側から連なっている。図示される例では、規制部25は、前側の壁部21の前部から前方に突出している。本実施の形態において、規制部25は、リブ状に形成されている。なお、規制部25は、必須の構成ではない。
【0021】
また、車両用内装材10には、車両用内装材10を被取付部11と係合させる係合部27が形成されている。係合部27は、車両用内装材10の背面側つまり上側に位置する。係合部27は、車両用内装材10において、規制部25とは反対側の端部寄りに位置する。すなわち、係合部27は、車両用内装材10の後部寄りに位置する。本実施の形態において、係合部27は、車両用内装材10の傾斜部19と後部の壁部21とに亘り形成されている。また、係合部27は、複数配置されている。
図3において、係合部27は、車両用内装材10の長手方向である左右両側方向に離れてそれぞれ形成されている。本実施の形態において、係合部27は、左右方向に略等間隔に三つ設定されている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、係合部27は、係合部本体30を有し、係合部本体30に第一係り部31と第二係り部32とが形成されている。本実施の形態において、係合部27は、爪状に形成されている。
【0023】
係合部本体30は、車両用内装材10から上方へと立ち上がっている。すなわち、係合部本体30は、仮保持部24の突出方向とは交差または直交する方向に立ち上がっている。係合部本体30の先端部は、壁部21の上端よりも上方に延びている。係合部本体30は、基端部に対して先端部が徐々に細くなるように形成されている。図示される例では、係合部本体30は、基端部に対して先端部が前後方向に徐々に細くなるように形成されている。本実施の形態において、係合部本体30の先端部には、係合部27を被取付部11に係合させる際に係合部27をガイドするための被ガイド部33が形成されている。また、本実施の形態において、
図3に示すように、係合部本体30は、両側に位置する側面部35間が連結部36により連結されて形成されている。
【0024】
図1及び
図2に示す側面部35は、左右方向に主面を有するリブ状に形成されている。側面部35は、内装材本体部15から上方へと延びて形成され、後部が壁部21と連なっている。側面部35には、仮保持部24側である前側に第一拡大部である前側拡大部40が形成されている。前側拡大部40は、前方に段差状に突出して形成されている。前側拡大部40は、側面部35の上下方向の中央部付近に位置している。本実施の形態において、前側拡大部40は、第一係り部31の下方に離れて位置している。図示される例では、前側拡大部40は、第一係り部31との間で被取付部11を上下に挟み込む部分である。
【0025】
また、側面部35には、仮保持部24とは反対側である後側に、連結部36から離れる方向つまり後方へと徐々に拡大するように傾斜した第二拡大部である後側拡大部41が形成されている。後側拡大部41は、上端部が前側拡大部40よりも上方にあり、下端部が前側拡大部40よりも下方にある。後側拡大部41は、下方に向かって壁部21へと徐々に近づいて形成されている。後側拡大部41は、第二係り部32の下方に位置している。
【0026】
また、連結部36は、側面部35に対して交差または直交する前後方向に主面を有するリブ状に形成されている。連結部36は、内装材本体部15から上方へと延びて形成されている。本実施の形態において、連結部36は、傾斜部19から上方に延びている。
【0027】
第一係り部31は、係合部本体30の仮保持部24側である前側に位置する。第一係り部31は、係合部本体30の基端部と先端部との間、すなわち係合部本体30の突出の中腹の位置で係合部本体30と交差する方向に突出している。本実施の形態において、第一係り部31は、係合部本体30の連結部36の前面から前方に突出している。第一係り部31は、基端部から先端部へと、すなわち後側から前側へと、徐々に上下に細くなるように形成されている。つまり、本実施の形態において、第一係り部31には、上部と下部とに傾斜面31a,31bが形成されている。
【0028】
第二係り部32は、係合部本体30の仮保持部24とは反対側である後側に位置する。第二係り部32は、第一係り部31に対し、係合部本体30の先端部側に位置する。すなわち、第二係り部32は、第一係り部31に対し、係合部本体30の突出方向である上下方向において車両用内装材10(内装部材本体15)から離れて位置する。つまり、第二係り部32は、第一係り部31よりも上方に位置する。図示される例では、第二係り部32は、第一係り部31の上側の傾斜面31aよりも上方に位置する。本実施の形態において、第二係り部32は、係合部本体30の側面部35の後部に位置する。
【0029】
一方、被取付部11には、仮保持部24を受容する保持部43が形成されている。保持部43は、被取付部11に壁状に形成されている。本実施の形態において、保持部43は、上下方向に沿って突出する壁状である。保持部43には、仮保持部24が挿入される挿入穴45が開口されている。本実施の形態において、挿入穴45は、前後方向に開口されている。すなわち、挿入穴45への仮保持部24の挿入方向は、前後方向となっている。図示される例では、保持部43は、挿入穴45の上側の縁部をなす基端部43aに対して、挿入穴45の下側の縁部をなす先端部43bが前方に段差状にずれて形成されている。また、保持部43は、規制部25と当接する規制受け部46を有する。本実施の形態において、規制受け部46は、左右方向に延びる面を有して形成され、規制部25と前後方向に当接する。規制受け部46は、挿入穴45の上側に延びる保持部43の基端部43aの後面である。
【0030】
また、被取付部11には、係合受け部48が形成されている。本実施の形態において、係合受け部48は、保持部43に対して後方に離れ、かつ、保持部43よりも上方に位置する。係合受け部48は、保持部43に対して交差する方向に延びる壁状に形成されている。図示される例では、係合受け部48は、前後方向に延びる壁状に形成されている。また、係合受け部48は、係合部本体30が挿入される穴部50を有し、穴部50の縁部に、第一係り受け部51と第二係り受け部52とが形成されている。
【0031】
穴部50は、固定孔とも呼ばれるものである。穴部50は、挿入穴45の開口方向、すなわち仮保持部24の挿入穴45への挿入方向に対し交差または直交する方向に開口されている。本実施の形態において、穴部50は、上下方向に開口されている。すなわち、本実施の形態における穴部50への係合部本体30の挿入方向は、上下方向となっている。穴部50は、例えば左右方向に長手状に形成されている。
【0032】
第一係り受け部51は、第一係り部31と係合される部分である。第一係り受け部51は、係合受け部48の穴部50の前縁部の後端部分である。本実施の形態において、第一係り受け部51は、第一係り部31と前側拡大部40との間で上下に挟み込まれる部分である。
【0033】
第二係り受け部52は、第二係り部32と係合される部分である。第二係り受け部52は、第一係り受け部51よりも後方かつ上方に位置する。第二係り受け部52は、係合受け部48の穴部50の後縁部の前端部分である。
【0034】
また、本実施の形態において、係合受け部48には、第一ガイド部55と、第二ガイド部56と、が形成されている。
【0035】
第一ガイド部55及び第二ガイド部56は、それぞれ係合部本体30を穴部50へとガイドする部分である。第一ガイド部55及び第二ガイド部56は、それぞれ穴部50の後縁部に位置し、第一係り受け部51に対して後方に離れている。
【0036】
第一ガイド部55は、穴部50に対する係合部本体30の挿入方向において、第二ガイド部56に対し、挿入手前側に位置する。本実施の形態において、第一ガイド部55は、第二ガイド部56に対し下方に位置する。第一ガイド部55は、第一係り受け部51と上下方向に等しい位置にある。つまり、第一ガイド部55は、第一係り受け部51と前後方向に対向する位置にある。第一ガイド部55は、穴部50に対する係合部本体30の挿入方向に対して傾斜されている。図示される例では、第一ガイド部55は、下方に向かって後方へと傾斜する傾斜面状に形成されている。すなわち、第一ガイド部55は、係合部本体30を後方下側から前方上側へとガイドするように形成されている。
【0037】
第二ガイド部56は、穴部50に対する係合部本体30の挿入方向において、第一ガイド部55に対し、挿入奥側に位置する。本実施の形態において、第二ガイド部56は、第一ガイド部55に対し上方に位置して第二係り受け部52と連なっている。すなわち、第二係り受け部52から第二ガイド部56が下方に延出され、第二ガイド部56の先端部に連なって第一ガイド部55がさらに下方に延出されている。第二ガイド部56は、穴部50に対する係合部本体30の挿入方向に対して傾斜されている。図示される例では、第二ガイド部56は、下方に向かって後方へと傾斜する傾斜面状に形成されている。すなわち、第二ガイド部56は、係合部本体30を後方下側から前方上側へとガイドするように形成されている。
【0038】
本実施の形態においては、第一ガイド部55の傾斜が、第二ガイド部56の傾斜よりも大きく設定されている。すなわち、第一ガイド部55は、上下方向に対して、第二ガイド部56よりも大きく傾斜している。図示される例では、第一ガイド部55は、第二ガイド部56よりも後方に向かって屈曲されている。したがって、係合部27を穴部50へと挿入する挿入方向に対し、第一ガイド部55の傾斜が第二ガイド部56の傾斜よりも大きくなっている。
【0039】
そして、上記の仮保持部24と、係合部27と、保持部43と、係合受け部48と、により、取付構造12が形成されている。
【0040】
取付構造12により車両用内装材10を被取付部11に取り付ける際には、まず、
図2に示すように、車両用内装材10の仮保持部24を被取付部11の保持部43の挿入穴45に挿入する。本実施の形態では、仮保持部24は、挿入穴45に対して前後方向に挿入する。このとき、仮保持部24は、挿入穴45に対し、下方から上方に向かって前後方向に挿入する。そのため、仮保持部24は、先端部が基端部に対して僅かに上方に位置するように傾斜した状態となる。仮保持部24の挿入位置は、規制部25と規制受け部46とが当接することにより規制される。本実施の形態では、規制部25が規制受け部46に対して後方から前方へと突き当てられることで、仮保持部24の挿入穴45への挿入位置が規定される。仮保持部24が保持部43の挿入穴45に挿入されることにより、車両用内装材10の一端部である前端部が被取付部11に仮保持される。
【0041】
次いで、車両用内装材10の他端部である後端部を、仮保持部24と挿入穴45の下縁部である保持部43の先端部43bとの当接位置を基点として上方へと移動させる。本実施の形態では、車両用内装材10の後端部を、仮保持部24と保持部43の先端部43bとの当接位置を基点として上方へと回動させる。すると、二点鎖線に示すように、係合部27の係合部本体30の先端部の被ガイド部33が第一ガイド部55に当接し、さらに車両用内装材10の後端部を上方へと移動させることで、第一ガイド部55の傾斜に沿って係合部本体30が穴部50へとガイドされていく。つまり、第一ガイド部55の傾斜により、仮保持部24の挿入穴45への挿入位置の前後のばらつきが吸収され、車両用内装材10の被取付部11に対する前後方向の位置のばらつきが矯正される。
【0042】
さらに車両用内装材10の後端部を上方へと移動させると、係合部27の係合部本体30の先端部の被ガイド部33が第二ガイド部56へと当接し、第二ガイド部56の傾斜に沿って係合部本体30が穴部50の奥側へとさらにガイドされた後、車両用内装材10の第一係り部31が被取付部11の第一係り受け部51に下側から接触し、係合部27を弾性的に後方へと僅かに変形させ、第一係り受け部51を第一係り部31が乗り越えると係合部27が前方へ復帰変形することにより、第一係り部31が第一係り受け部51の上部に係合されるとともに、係合部27において係合部本体30を基準として第二係り部32とは反対側にある第二係り部32が第二ガイド部56の上方にある第二係り受け部52に係合される。
【0043】
この状態で、
図1に示すように、第一係り部31は、下部の傾斜面31bが第一係り受け部51と当接し、第一係り部31と前側拡大部40との間で第一係り受け部51が上下に挟み込まれる。また、第一ガイド部55が後側拡大部41と強干渉する。
【0044】
この結果、取付構造12により車両用内装材10が被取付部11に保持されるとともに、被取付部11に対する車両用内装材10の上下方向の位置が強固に規制される。
【0045】
このように、一実施の形態によれば、車両用内装材10の背後側に突出する係合部本体30に対し、仮保持部24側に第一係り部31を設定し、仮保持部24とは反対側に第二係り部32を設定して、第二係り部32を、第一係り部31に対し、係合部本体30の先端部側とすることで、車両用内装材10の仮保持部24を被取付部11の保持部43に受容して係合部27を係合受け部48へと係合させることにより、作業視野が確保しづらい環境でも作業が容易で、かつ、車両用内装材10の被取付部11への取り付け基点(回動基点)となる仮保持部24から相対的に離れた第二係り部32側で第二係り受け部52によって係合部27を係合部本体30の先端部側である上側から押さえ、取り付け基点(回動基点)に相対的に近い第一係り部31側で第一係り受け部51に係合部27を係合部本体30の基端部側である下側から押し当てることで、係合部27が係合受け部48に強固に固定されて脱落しにくくなるので、車両用内装材10を被取付部11に確実に取り付け可能となる。
【0046】
第一係り部31は、係合部本体30の基端部と先端部との間の位置でこの係合部本体30と交差する方向に突出して穴部50の縁部に位置する第一係り受け部51と当接することで、車両用内装材10の被取付部11への取り付け基点(回動基点)に相対的に近い第一係り部31側で第一係り受け部51に係合部27を係合部本体30の基端部側から容易に押し当てることができる。
【0047】
係合受け部48に第一ガイド部55と第二ガイド部56とを設定し、第一ガイド部55の穴部50への係合部本体30の挿入方向に対する傾斜を第二ガイド部56よりも大きくすることで、穴部50へと係合部本体30を挿入する際に、第一ガイド部55の傾斜によって車両用内装材10の被取付部11に対する前後方向の位置のばらつきをより大きく吸収し、穴部50へと係合部本体30を確実に挿入させて車両用内装材10を被取付部11に対して確実に取り付け可能となる。したがって、作業視野が確保しづらい環境であっても、車両用内装材10を被取付部11に対して取り付ける作業性が良好である。
【0048】
さらに、第一ガイド部55は、その長さを延長することにより、車両用内装材10の被取付部11に対する前後方向の位置のばらつきを吸収可能な量を増加させることができる。
【0049】
また、仮保持部24に規制部25を形成し、保持部43に規制部25が当接する規制受け部46を形成することで、仮保持部24を保持部43に受容させる際、すなわち仮保持部24を挿入穴45に挿入する際に、仮に作業視野が確保しにくく仮保持部24と保持部43とを目視できない場合であっても、規制部25と規制受け部46との当接によって、車両用内装材10の仮保持位置を容易に決めることができる。
【0050】
係合部27が第一ガイド部55及び第二係り受け部52と強干渉することで車両用内装材10の被取付部11への取り付け基点(回動基点)となる仮保持部24を係合部27の挿入穴45へと押し込む力が作用するので、第一係り部31と第二係り部32との上下位置関係との協働によって、被取付部11から車両用内装材10がより脱落しづらくなる。
【0051】
なお、上記の一実施の形態において、係合部27は、車両用内装材10に直接形成されるものに限られず、車両用内装材10の背後側に位置する任意の構造に形成されているものでもよい。
【0052】
車両用内装材10は、被取付部11に対して、回動により組み付けられる構成に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば車両のインストルメントパネル本体などの被取付部に対してロアパネルなどのパネルを取り付ける車両用内装材の取付構造に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 車両用内装材
11 被取付部
12 取付構造
24 仮保持部
27 係合部
30 係合部本体
31 第一係り部
32 第二係り部
43 保持部
48 係合受け部
50 穴部
51 第一係り受け部
52 第二係り受け部
55 第一ガイド部
56 第二ガイド部