(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149738
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】アウターロータ型ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/08 20060101AFI20220929BHJP
H02K 5/16 20060101ALI20220929BHJP
H02K 29/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02K7/08 Z
H02K5/16 Z
H02K29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052017
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】永元 里司
(72)【発明者】
【氏名】細井 啓一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信吾
(72)【発明者】
【氏名】利根川 健
【テーマコード(参考)】
5H019
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H019CC04
5H019FF03
5H605BB05
5H605BB19
5H605CC03
5H605CC10
5H605EB10
5H605EB15
5H605GG01
5H605GG04
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB17
5H607CC01
5H607DD02
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD16
5H607FF04
5H607GG01
5H607GG08
5H607JJ06
(57)【要約】
【課題】複数のベアリングを同一方向から組み込むことができるアウターロータ型ブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ステータに対して軸方向一端側が固定され、軸方向に延設されたシャフトと、シャフトに内輪が接しており、ロータに外輪が固定された第1のベアリングと、前記第1のベアリングよりも軸方向他端側においてシャフトに内輪が固定された第2のベアリングと、外周面がロータに固定され、内周面に第2のベアリングの外輪が固定された筒状のベアリングホルダと、を備える。ベアリングホルダは、ロータよりも軸方向他端側に突出する突出部を有し、突出部の外周面における周方向の全体に、径方向外側に延びるプレートが取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータに対して軸方向一端側が固定され、軸方向に延設されたシャフトと、
前記シャフトに内輪が接しており、ロータに外輪が固定された第1のベアリングと、
前記第1のベアリングよりも軸方向他端側において前記シャフトに内輪が固定された第2のベアリングと、
外周面が前記ロータに固定され、内周面に前記第2のベアリングの外輪が固定された筒状のベアリングホルダと、
を備えた、アウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項2】
前記ベアリングホルダは、前記ロータよりも前記軸方向他端側に突出する突出部を有する、請求項1に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項3】
前記突出部の外周面における周方向の全体に、径方向外側に延びるプレートが取り付けられている、請求項2に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項4】
前記第1のベアリングの外輪における前記軸方向他端側の端面と、前記ベアリングホルダにおける前記軸方向一端側の端面とが、互いに当接している、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項5】
前記ベアリングホルダの前記内周面には、前記第2のベアリングの前記外輪における前記軸方向一端側の端面が軸方向に突き当たる当接部が形成されている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項6】
前記ベアリングホルダは、
前記外周面が前記ロータに固定された大径部と、
前記大径部より前記外周面の径が小さく設定された小径部とを有し、
前記小径部における軸方向の幅は、前記第2のベアリングの前記外輪における軸方向の幅よりも大きく設定され、前記第2のベアリングの前記外輪は、軸方向において前記小径部の範囲内に位置付けられている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項7】
前記大径部は、
前記小径部よりも前記軸方向一端側に設けられた第1の大径部と、
前記小径部よりも前記軸方向他端側に設けられた第2の大径部と、
を有し、
前記第1の大径部の外周面および前記第2の大径部の外周面は、前記ロータに固定されている、請求項6に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項8】
前記第1のベアリングの前記外輪は、前記第2のベアリングの前記外輪と同径とされている、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータにおいて、
前記第1のベアリングと前記第2のベアリングとの間で軸方向に圧縮され、軸方向一端が前記シャフトに対して軸方向に押し当てられ、軸方向他端が前記第1のベアリングの前記内輪に対して軸方向に押し当てられた圧縮ばねを備える、アウターロータ型ブラシレスモータ。
【請求項10】
前記シャフトの外周面には、軸方向の長さが前記第1のベアリングの前記外輪よりも大きく設定された切り欠きが形成され、軸方向について前記第1のベアリングの前記外輪と前記切り欠きとが重なり合う位置にある、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターロータ型ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つのベアリングにより、回転自在に支持された回転軸を有するファンモータ(アウターロータ型ブラシレスモータ)が開示されている。特許文献2には、同じ外径を有する2つのベアリングを備えるブラシレスモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-301622号公報
【特許文献2】特開2016-167942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1に開示されたファンモータでは、2つのベアリングのそれぞれを製品の上下から組み込む必要があり、生産性が悪いという問題がある。
【0005】
また、引用文献2に開示されたモータでは、同方向から同じ外径の2つのベアリングを組み込んでいるが、一方のベアリングを組み込む際にロータのベアリング挿入部を変形させてしまい、あとから組み込まれるもう一方のベアリングの保持力が安定せず、軸精度が出せないという問題があった。
本発明は、複数のベアリングを精度よく同一方向から組み込むことができるアウターロータ型ブラシレスモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、
ステータに対して軸方向一端側が固定され、軸方向に延設されたシャフトと、
前記シャフトに内輪が固定され、ロータに外輪が固定された第1のベアリングと、
前記第1のベアリングよりも軸方向他端側において前記シャフトに内輪が固定された第2のベアリングと、
外周面が前記ロータに固定され、内周面に前記第2のベアリングの外輪が固定された筒状のベアリングホルダと、
を備えた、アウターロータ型ブラシレスモータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のベアリングを精度よく同一方向から組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例のアウターロータ型ブラシレスモータの構成を示す断面図である。
【
図2】本実施例のブランケットに取り付けられたシャフトを示す斜視図である。
【
図5】ロータヨークに取り付けられたファンプレートおよびファンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。以下では、本実施例のアウターロータ型ブラシレスモータとしてファンモータを例示するが、モータの用途は任意である。
【0010】
図1は、本実施例のアウターロータ型ブラシレスモータの構成を示す断面図、
図2は、ブラケットに取り付けられたシャフトを示す斜視図、
図3は、ベアリングホルダを示す斜視図、
図4は、ロータヨークを示す斜視図、
図5は、ロータヨークに取り付けられたファンプレートおよびファンを示す斜視図である。以下の記載において、シャフトの軸心を基準として、軸方向、周方向および径方向が定義される。
【0011】
本実施例のブラシレスモータは、ステータ10と、ロータ20とを備える。
【0012】
図1に示すように、ステータ10は、ブラケット11に取り付けられたステータコア12と、ステータコア12のティース12Aに巻き回されたステータコイル13と、ステータコア12とステータコイル13との間を絶縁するインシュレータ14と、を備える。
【0013】
ロータ20は、ステータ10を外周側および軸方向他端側(
図1において上端方向)から覆う形状のロータヨーク21を備える。
【0014】
また、ロータ20は、ブラケット11に一端側(
図1において下端側)が雄ねじ部31を介して固定されたシャフト30と、シャフト30に内輪41Aが接する第1のベアリング40Aと、第1のベアリング40Aよりも軸方向他端側(
図1において上端側)において、上記シャフト30に内輪41Bが固定された第2のベアリング40Bと、内周面に第2のベアリング40Bの外輪42Bが固定された筒状のベアリングホルダ50と、を備える。
【0015】
本実施例では、第1のベアリング40Aおよび第2のベアリング40Bとして、同一のベアリングを使用しているので、コストダウンおよび生産性の向上を図ることができる。
【0016】
図1および
図2に示すように、シャフト30には、ブラケット11にねじ込まれる上記の雄ねじ部31と、軸方向他端側の端部に設けられた係合部32と、軸方向の中央付近において周方向に延設されたリング状の溝33とが設けられる。係合部32は、シャフト30をブラケット11にねじ込む作業において使用される治具を係合させるためのものである。
【0017】
また、シャフト30には、軸方向における溝33と係合部32との間で、エア抜きのための切欠き34が形成される。切欠き34は、シャフト30の径を周方向の一部において縮小させる形状であればよく、例えば、切欠き34として、軸方向に延設される溝を形成してもよい。
【0018】
ベアリングホルダ50は、外径が同径とされた第1の大径部51および第2の大径部52を有する。
図1に示すように、第2の大径部52は、第1の大径部51よりも軸方向一端側に配置される。第1の大径部51と、第2の大径部52との間には、第1の大径部51および第2の大径部52よりもわずかに外径が小径とされた小径部53が形成されている。第1の大径部51、小径部53および第2の大径部52は、順に軸方向に接続されて、ベアリングホルダ50を構成する。
【0019】
また、ベアリングホルダ50には、内周側に突出する当接部54が形成され、当接部54の軸方向他端側の端部が第2のベアリング40Bの外輪42Bと当接している。さらに、ベアリングホルダ50の軸方向一端側の端面55が、第1のベアリング40Aの外輪42Aと当接している。
【0020】
ロータヨーク21には、軸方向一端側に突出する筒状の取付部22が形成される。
図1および
図4に示すように、取付部22は、軸方向一端側に設けられた小径部23と、軸方向他端側に設けられ、小径部23と同軸かつ連続して形成された大径部24とを有する。大径部24は、小径部23よりも内径および外径が大径に形成されている。また、取付部22の軸方向一端側の端部には、内周側に突出するリング状の当接部25(
図1)が形成されている。第1のベアリング40Aの外輪42Aは、当接部25に対し、リング状のワッシャ63を介して軸方向に突き当てられている。
【0021】
図1に示すように、第1のベアリング40Aの外輪42Aは、取付部22の小径部23の内周面に固定されている。また、ベアリングホルダ50の第1の大径部51および第2の大径部52は、取付部22の大径部24の内周面に固定されている。
【0022】
図1に示すように、シャフト30の溝33には、リング状部材61(ワッシャ)が嵌め込まれ、リング状部材61と第2のベアリング40Bの内輪41Bとの間に、軸方向に圧縮された圧縮ばね62が介装される。圧縮ばね62は、第2のベアリング40Bの内輪41Bに、軸方向(
図1の上方向)に予圧を与える機能を有する。この予圧は、第1のベアリング40Aおよび第2のベアリング40Bの耐久性を向上させるためのものである。
【0023】
本実施例によれば、ベアリング(第1のベアリング40Aおよび第2のベアリング40B)間に圧縮ばね62が収容されているため、軸長が短くできるとともに、圧縮ばね62に異物が付着することを防止できる。また、圧入したベアリング間に圧縮ばね62が挟み込まれているためロータ単品でベアリングに予圧がかけられる。したがって、モータ組付け後に軸力のバランスが変化するおそれがない。また、第2のベアリング40Bの内輪41Bに軸力をかけて固定しているため、ロータ20が軸方向で固定され、異音の発生がなく予圧も安定する。
図1に示すように、ベアリングホルダ50の軸方向他端側の端部は、ロータヨーク21の軸方向他端側の端面よりも軸方向他端側に突出する突出部57を構成する。
図1および
図5に示すように、突出部57には、金属製の円盤状のファンプレート70が取り付けられている。また、ファンプレート70には、ファンFが取り付けられる。
【0024】
ファンプレート70は、突出部57の外周面における周方向の全体に当接する円形状の開口71Aが形成された当接部材71と、当接部材71の軸方向他端側の外側に配置されるカバー部材72とを有する。本実施例では、ファンプレート70をシャフト30に直接取り付けることなく、ベアリングホルダ50の突出部57に取り付けることで、ファンプレート70およびファンの軸だしを可能としている。本実施例では、ベアリングホルダ50の軸は必ずシャフト30の軸と一致するため、ファンの軸精度を向上させることができる。
【0025】
また、カバー部材72により、開口71Aが軸方向他端側から塞がれて、水分や汚れの侵入を抑制できる。とくに、本実施例では、ベアリングホルダ50の軸方向他端側の突出部57の外周面における周方向の全体で開口71Aの縁が密着する状態で、径方向に延びる当接部材71が取り付けられている。このため、外部からの水分が突出部57の外周面と、当接部材71との間を軸方向(
図1において上方向)に侵入することが難しくなり、ベアリングホルダ50の内側、すなわち、ベアリングホルダ50の突出部57が、開口71Aとラビリンスを構成するため、シャフト30および第2のベアリング40Bの側へ水分や塵埃が入るおそれがなくなる。
【0026】
次に、第1のベアリング40Aおよび第2のベアリング40Bの組付け方法について説明する。
【0027】
第1のベアリング40Aは、ロータヨーク21の取付部22の内周面に圧入される。第1のベアリング40Aは、軸方向他端側(
図1の上側)から取付部22の内部に差し込まれ、取付部22における小径部23の内周面に圧入により固定される。このとき、第1のベアリング40Aの軸方向における位置は、第1のベアリング40Aの外輪42Aが、当接部25の軸方向他端側の端面に突き当たることで、規定される。
【0028】
第2のベアリング40Bは、ベアリングホルダ50の内周面に圧入により固定される。このとき、第2のベアリング40Bの軸方向の位置は、第2のベアリング40Bの外輪42Bの軸方向一端側の端面が、ベアリングホルダ50の当接部54の軸方向他端側の端面に突き当たることで、規定される。このとき、上記のように、第2のベアリング40Bの外輪42Bの軸方向の全体が、ベアリングホルダ50の小径部53の範囲に留まる状態で、第2のベアリング40Bがベアリングホルダ50に圧入される。
【0029】
第2のベアリング40Bが取り付けられたベアリングホルダ50は、すでに第1のベアリング40Aが収容されたロータヨーク21の取付部22の内周面に圧入される。ベアリングホルダ50の軸方向における位置は、ベアリングホルダ50の軸方向一端側の端面55が第1のベアリング40Aの外輪42Aに当接することにより規定される。これにより、ベアリングホルダ50は、第1のベアリング40Aと第2のベアリング40Bの軸方向における間隔を規定するスペーサとしても機能し、当該間隔に要求される寸法精度を確保できる。このため、スペーサを別部材とする場合と比較して、ベアリングホルダ50としてスペーサを一体化することにより、全体の強度や性能を向上させることができる。なお、リング状部材61および圧縮ばね62は、ベアリングホルダ50を取付部22の内周面に圧入する前に、所定位置にセットすることができる。
【0030】
ベアリングホルダ50を取付部22に圧入すると、ベアリングホルダ50の第1の大径部51および第2の大径部52が、それぞれ取付部22の大径部24の内周面に固定される。
【0031】
このように、本実施例では、第1のベアリング40Aとベアリングホルダ50とを、取付部22に対していずれも軸方向他端側から圧入することができる。このため、組付け時に製品を上下に反転させるなどの作業が不要となり、生産性を向上させることができる。
【0032】
本実施例では、第2のベアリング40Bは、ベアリングホルダ50の小径部53に圧入される。このため、第2のベアリング40Bの圧入により小径部53が変形しても、その外面が第1の大径部51および第2の大径部52よりも周方向外側に突出することはない。また、第1の大径部51および第2の大径部52の径に影響を与えない。したがって、ベアリングホルダ50を取付部22に圧入する時点における第1の大径部51および第2の大径部52の外径の寸法精度を確保することができるとともに、小径部53の外周面が取付部22の内周面からの圧力を受けて小径部53が変形することも防止できる。
【0033】
また、第2のベアリング40Bをベアリングホルダ50の小径部53に圧入すると、小径部53が変形し、第2のベアリング40Bの外輪42Bが当接する部分においてベアリングホルダ50の内径が周囲よりも若干、大きくなる。このため、第2のベアリング40Bがベアリングホルダ50によって軸方向について規制されて移動できなくなり、抜け落ちることがなくなる。
【0034】
本実施例では、ベアリングホルダ50を設けているので、第1のベアリング40Aの圧入時に圧力を受ける部位と、第2のベアリング40Bの圧入時に圧力を受ける部位と、を分離することができる。また、ベアリングホルダ50を取付部22に圧入する際に、ベアリングホルダ50および取付部22が圧力を受ける部位も、第1のベアリング40Aまたは第2のベアリング40Bの圧入状態に影響を与えない位置とされている。すなわち、同じ部位に対して、複数の部品を圧入することがないため、圧入品質が安定しカシメ等の抜け止めの必要がなく、コストダウンを図ることができる。仮に、ベアリングホルダ50を設けることなく、外径が同径の第1のベアリングおよび第2のベアリングを、ロータを構成する同一の部材に同一方向から圧入する場合には、一方のベアリングを組み込む際にロータのベアリング挿入部を変形させてしまい、あとから組み込まれるもう一方のベアリングの保持力が安定せず、軸精度が出せないという問題が発生する。しかし、本実施例では、ベアリングホルダ50を用いることにより、第1のベアリング40Aと第2のベアリング40Bの挿入部位を分離できる。このため、第1のベアリング40Aと第2のベアリング40Bの両方の保持力を安定させることができる。
【0035】
また、本実施例では、第1のベアリング40Aの内輪41Aがシャフト30によりリジッドに固定されるため、第2のベアリング40Bに荷重が集中する。しかし、第2のベアリング40Bが圧入されたベアリングホルダ50がロータ20の取付部22を補強するため、取付部22の変形が防止され、全体の強度を高めることができる。
【0036】
また、本実施例では、ブラケット11とシャフト30が別体のため、ブラケット11の製造・輸送コストを低減できる。
【0037】
また、製造工程において、シャフト30の先端をブラケット11にねじ込むまでは、ロータ20がセット位置まで動かないため、ロータ20がステータコア12とロータ20のマグネットの吸引力でブラケット11上に固定され、ねじ締めとともにゆっくりセット位置まで下がっていく。このため、組付けでロータ20のマグネットを破損する心配がない
また、シャフト30にエア抜きのための切欠き34が第2のベアリング40Bの圧入時の圧縮された空気を逃がすため、組付け時の圧入荷重を安定させることができる。ベアリング間(第1のベアリング40Aと第2のベアリング40Bとの間)に万が一水が浸入した場合でも、モータ作動の熱で水が蒸発し、切欠き34を介して排出される。
【0038】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部または複数を組み合わせることも可能である。
【0039】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0040】
[付記1]
ステータ(10)に対して軸方向一端側が固定され、軸方向に延設されたシャフト(30)と、
前記シャフトに内輪(41A)が接しており、ロータ(20)に外輪(42A)が固定された第1のベアリング(40A)と、
前記第1のベアリングよりも軸方向他端側において前記シャフトに内輪(41B)が固定された第2のベアリング(40B)と、
外周面が前記ロータに固定され、内周面に前記第2のベアリングの外輪(42B)が固定された筒状のベアリングホルダ(50)と、
を備えた、アウターロータ型ブラシレスモータ。
【0041】
付記1の構成によれば、第1のベアリングおよび第2のベアリングを軸方向他端側からロータに対して取り付けること、例えば圧入することができる。
【0042】
[付記2]
前記ベアリングホルダは、前記ロータよりも前記軸方向他端側に突出する突出部(57)を有する、付記1に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0043】
付記2の構成によれば、突出部に取り付けられる部材が、ベアリングホルダによって軸だしされる。
【0044】
[付記3]
前記突出部の外周面における周方向の全体に、径方向外側に延びるプレート(70)が取り付けられている、付記2に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0045】
付記3の構成によれば、突出部に取り付けられるプレートが、ベアリングホルダによって軸だしされる。
【0046】
[付記4]
前記第1のベアリングの外輪における前記軸方向他端側の端面と、前記ベアリングホルダにおける前記軸方向一端側の端面(55)とが、互いに当接している、付記1~付記3のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0047】
付記4の構成によれば、軸方向他端側の端面が、第1のベアリングとベアリングホルダの軸方向における位置関係を規定する。
【0048】
[付記5]
前記ベアリングホルダの前記内周面には、前記第2のベアリングの前記外輪における前記軸方向一端側の端面が軸方向に突き当たる当接部(54)が形成されている、付記1~付記4のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0049】
付記5の構成によれば、ベアリングホルダの内周面の当接部が、ベアリングホルダと第2のベアリングの軸方向における位置関係を規定する。
【0050】
[付記6]
前記ベアリングホルダは、
前記外周面が前記ロータに固定された大径部(51、52)と、
前記大径部より前記外周面の径が小さく設定された小径部(53)とを有し、
前記小径部における軸方向の幅は、前記第2のベアリングの前記外輪における軸方向の幅よりも大きく設定され、前記第2のベアリングの前記外輪は、軸方向において前記小径部の範囲内に位置付けられている、付記1~付記5のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0051】
付記6の構成によれば、第2のベアリングの外輪は、軸方向において小径部の範囲内に位置付けられているので、第2のベアリングがベアリングホルダに保持された状態において、小径部の外周面がベアリングホルダからの圧力を受けない。
【0052】
[付記7]
前記大径部は、
前記小径部よりも前記軸方向一端側に設けられた第1の大径部(51)と、
前記小径部よりも前記軸方向他端側に設けられた第2の大径部(52)と、
を有し、
前記第1の大径部の外周面および前記第2の大径部の外周面は、前記ロータに固定されている、付記6に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0053】
付記7の構成によれば、第2のベアリングの位置が軸方向の両側から規制され、軸方向に移動しない。
【0054】
[付記8]
前記第1のベアリングの前記外輪は、前記第2のベアリングの前記外輪と同径とされている、付記1~付記7のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0055】
付記8の構成によれば、第1のベアリングおよび第2のベアリングとして同一種類のベアリングを使用することができる。
【0056】
[付記9]
付記1~付記8のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータにおいて、
前記第1のベアリングと前記第2のベアリングとの間で軸方向に圧縮され、軸方向一端が前記シャフトに対して軸方向に押し当てられ、軸方向他端が前記第1のベアリングの前記内輪に対して軸方向に押し当てられた圧縮ばね(62)を備える、アウターロータ型ブラシレスモータ。
【0057】
付記9の構成によれば、圧縮ばねにより、第1のベアリングおよび第2のベアリングに予圧を与えることができる。
【0058】
[付記10]
前記シャフトの外周面には、軸方向の長さが前記第1のベアリングの前記外輪よりも大きく設定された切り欠き(34)が形成され、軸方向について前記第1のベアリングの前記外輪と前記切り欠きとが重なり合う位置にある、付記1~付記9のいずれか1項に記載のアウターロータ型ブラシレスモータ。
【0059】
付記10の構成によれば、第2のベアリングの圧入時の圧縮された空気を、切欠きを介して逃がすことができる。また、第1のベアリングと第2のベアリングとの間に入った水が切欠きを介して排出できる。
【符号の説明】
【0060】
10 ステータ
11 ブラケット
20 ロータ
21 ロータヨーク
22 取付部
30 シャフト
34 切欠き
40A 第1のベアリング
41A 内輪
42A 外輪
40B 第2のベアリング
41B 内輪
42B 外輪
50 ベアリングホルダ
51 第1の大径部
52 第2の大径部
53 小径部
54 当接部
57 突出部
62 圧縮ばね
70 ファンプレート