(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149794
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220929BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220929BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/16 147
G03G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052101
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】須田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】栗原 一晃
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA03
2H171GA13
2H171HA31
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA39
2H171JA48
2H171JA59
2H171KA04
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA27
2H171LA09
2H171LA13
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB16
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB52
2H171QB60
2H171QC03
2H171QC36
2H171SA10
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H270KA49
2H270LA53
2H270LA62
2H270LA87
2H270MC70
2H270MC78
2H270MD10
2H270MD17
2H270MH07
2H270RC03
2H270RC05
2H270RC10
2H270RC14
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】印刷される画像の品質を高め得るようにする。
【解決手段】画像形成装置1は、IDユニット16の位置決め突起29を、離接ガイド42の溝部42D内で、搬送方向U1に対して傾斜した溝軸線X42Dに沿った方向に移動させるようにした。画像形成装置1は、カラー印刷を行う際、カラーIDユニット16CMYを下降させた場合にID安定化処理を行い、ID26を回転させると共にその周側面よりも高速で搬送ベルト15を走行させ、該カラーIDユニット16CMYに対して搬送方向U1に向かう力を加えさせて転写位置に到達させる。これにより画像形成装置1は、色ずれを大幅に低減させた高品質な画像を印刷することができる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する装置筐体と、
前記装置筐体の内部に設けられ、回転する像担持体に対し現像剤により現像剤画像を形成する画像形成部と、
前記像担持体と当接し、媒体を搬送方向に搬送させる搬送部と、
前記装置筐体に対する前記画像形成部の位置を、前記像担持体が前記媒体から離隔した離隔位置と、当該離隔位置よりも前記像担持体が前記媒体に近接した近接位置との間で変位させる離接部と、
前記画像形成部を前記離隔位置又は前記近接位置へ駆動する離接駆動部と、
前記装置筐体に対し前記画像形成部を前記搬送方向側に変位させた際に、前記像担持体から前記媒体に前記現像剤画像を転写させる転写位置に規制する変位規制部と、
前記画像形成部、前記搬送部及び前記離接駆動部の動作を制御する制御部と
を具え、
前記制御部は、前記離接駆動部により前記画像形成部を前記近接位置に変位させたとき、前記搬送部による前記媒体の線速度である媒体速度よりも、前記像担持体の線速度である像担持体速度を小さくする速度差形成処理を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変位規制部は、前記装置筐体に対して前記画像形成部が変位する際に、前記像担持体が前記媒体に近接するに連れて前記画像形成部を前記搬送方向に変位させるよう規制する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変位規制部は、
前記画像形成部及び前記装置筐体の一方に設けられた位置決め突起と、
前記画像形成部及び前記装置筐体の他方に設けられ、前記位置決め突起の位置を案内する溝部と
を具えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送部は、環状走行路に沿って走行する環状ベルト、又は当該環状ベルトにより搬送される用紙を前記媒体とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記速度差形成処理を行う場合の前記像担持体速度に対する前記媒体速度の比率である速度比を、1.2以上2.0以下とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記速度差形成処理を行う期間を、100[ms]以上10[s]以下とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、
前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤の残量を検知する残量検知部と
を具え、
前記制御部は、前記現像剤の残量が所定の基準値未満であった場合、当該残量が当該基準値以上であった場合よりも、前記速度差形成処理を行う期間を延長させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記離接駆動部により前記画像形成部を前記離隔位置から前記近接位置へ変位させた後、前記速度差形成処理を行っていなかった場合、当該速度差形成処理を行うよう制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置筐体に設けられ、前記画像形成部を駆動する駆動力を生成する画像形成駆動部と、
前記装置筐体に設けられ、前記駆動力を前記画像形成部に伝達する伝達状態と、前記駆動力を前記画像形成部に伝達しない非伝達状態とを切り替える伝達切替部と、
前記伝達切替部が前記伝達状態又は前記非伝達状態の何れであるかを検知する伝達状態検知部と
を具え、
前記制御部は、前記伝達切替部が前記非伝達状態であることを検知した場合、当該伝達切替部を前記伝達状態に切り替えさせ、前記速度差形成処理を行うよう制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記伝達切替部が前記伝達状態であることを検知し、且つ前記画像形成部が前記近接位置に位置している場合、前記速度差形成処理を行わないよう制御する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば電子写真式のプリンタに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置として、例えば画像形成部によりトナー(現像剤とも呼ぶ)を用いて画像データに基づくトナー画像(現像剤画像とも呼ぶ)を生成して用紙(媒体とも呼ぶ)に転写した後、定着部によりこの用紙に熱や圧力を加えて定着させることにより、画像を印刷するものがある。
【0003】
この画像形成部では、筒状に構成され回転するイメージドラム(像担持体とも呼ぶ)の周側面にトナー画像を形成し、当該感光体ドラムから用紙にトナー画像を転写させている。このイメージドラムは、画像形成部内の各種ローラや用紙との摩擦により僅かずつ摩耗するため、例えば3万枚を印刷する等の交換条件を満たす度に交換するようになっている。
【0004】
またカラー印刷に対応した画像形成装置では、例えばブラック、シアン、マゼンタ及びイエローといった4色の画像形成部を用紙の搬送路に沿って配置し、各色のトナー画像を用紙に順次転写して定着させることにより、カラーの画像を用紙に印刷することができる。
【0005】
しかし画像形成装置では、このようなカラー印刷が可能であっても、例えば文字のみにより構成された文書等を印刷する場合のように、ブラックのトナーのみを用いたモノクロ印刷を行う場合がある。このとき画像形成装置は、ブラック以外の各色(以下これをカラー各色と呼ぶ)のイメージドラムに関して、トナー画像を形成しないにも関わらず回転させた場合、該イメージドラムを無駄に消耗させる恐れがある。
【0006】
そこで画像形成装置として、カラー各色の画像形成部を用紙の搬送路に当接させ、又は離隔させる機構を設け、カラー各色の画像形成部をモノクロ印刷時に搬送路から離隔させ、カラー印刷時に搬送路に当接させることにより、無駄な消耗を抑えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-52298号公報(
図8-
図16等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、かかる構成の画像形成装置では、画像形成部を用紙の搬送路に当接させる際に、当該画像形成部に十分な大きさの力を加えることができず、適切な位置まで到達できない可能性がある。このような場合、画像形成装置では、用紙に印刷された画像の品質が低下する恐れがある、という問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、印刷される画像の品質を高め得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、内部空間を有する装置筐体と、装置筐体の内部に設けられ、回転する像担持体に対し現像剤により現像剤画像を形成する画像形成部と、像担持体と当接し、媒体を搬送方向に搬送させる搬送部と、装置筐体に対する画像形成部の位置を、像担持体が媒体から離隔した離隔位置と、当該離隔位置よりも像担持体が媒体に近接した近接位置との間で変動させる離接部と、画像形成部を離隔位置又は近接位置へ駆動する離接駆動部と、装置筐体に対し画像形成部を搬送方向側に変位させた際に、像担持体から媒体に前記現像剤画像を転写させる転写位置に規制する変位規制部と、画像形成部、搬送部及び離接駆動部の動作を制御する制御部とを設け、制御部は、離接駆動部により画像形成部を近接位置に変位させたとき、搬送部による媒体の線速度である媒体速度よりも、像担持体の線速度である像担持体速度を小さくする速度差形成処理を行うようにした。
【0011】
本発明は、離接駆動部により画像形成部を近接位置に変位させた上で速度差形成処理を行う際に、媒体速度が像担持体速度よりも高速であることにより、搬送部により像担持体を搬送方向に付勢でき、変位規制部により画像形成部が変位する範囲を規制して転写位置に到達させ、媒体の適切な位置に現像剤画像を転写できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷される画像の品質を高め得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】イメージドラムユニットの構成を示す略線図である。
【
図3】画像形成装置の内部構成を示す略線的斜視図である。
【
図6】カラーイメージドラムユニットの離隔状態及び近接状態を示す略線図である。
【
図7】ドラムカップリング部の構成を示す略線図である。
【
図8】カップリングスライドの構成を示す略線的斜視図である。
【
図9】画像形成装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【
図11】第1の実施の形態によるPU印刷処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】第1の実施の形態によるイメージドラムアップダウン処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】イメージドラム安定化処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】イメージドラム及び搬送ベルトの速度を示す略線図である。
【
図15】第2の実施の形態による電源投入処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】第2の実施の形態によるイニシャル処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】第2の実施の形態によるPU印刷処理手順を示すフローチャートである。
【
図18】第2の実施の形態によるイメージドラムアップダウン処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、第1の実施の形態による画像形成装置1は、電子写真式のプリンタであり、媒体としての用紙Pにモノクロ又はカラーの画像を形成する(すなわち印刷する)ことができる。因みに画像形成装置1は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、プリンタ機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0016】
画像形成装置1は、略箱型に形成された装置筐体2の内部に内部空間2Sが形成されており、該内部空間2Sに種々の部品が配置されている。また装置筐体2は、上側部分を形成する上部カバー2Cが開閉可能に形成されており、当該上部カバー2Cが開放されると、内部空間2Sを外部の空間と連通させることにより、使用者に各部品の交換作業や各種保守作業等を容易に行わせることができる。また装置筐体2には、上部カバー2Cの開閉を検知する上部カバーセンサ2CSが設けられている。因みに以下では、
図1における左端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0017】
画像形成装置1は、制御部3により全体を統括制御するようになっている。この制御部3は、コンピュータ装置等の上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。制御部3は、この上位装置から印刷対象の画像を表す画像データが与えられると共に当該画像データの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0018】
装置筐体2の上面前寄りには、タッチパネル4が設けられている。タッチパネル4は、例えば液晶パネルとタッチセンサとが組み合わされた構成であり、制御部3の制御に基づいて種々の情報を表示すると共に、使用者の操作入力を受け付けて制御部3に通知する。また装置筐体2における外寄りの箇所には、温度湿度センサ5が設けられている。この温度湿度センサ5は、周囲の温度及び湿度を検知して制御部3に通知する。
【0019】
装置筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する給紙トレイ6が設けられている。給紙トレイ6の前上方には、給紙部7が設けられている。給紙部7は、搬送路Uに沿って給紙ローラ8、搬送ローラ9、給紙センサ10、レジストローラ11等が順次配置されており、また該搬送路Uに沿って配置された搬送ガイド(図示せず)等を有している。
【0020】
給紙ローラ8、搬送ローラ9の各ローラ及びレジストローラ11の各ローラは、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されており、図示しない給紙モータから駆動力の供給を受けて適宜回転する。ただし、給紙ローラ8及びレジストローラ11は、後述する給紙ローラクラッチ及びレジストローラクラッチにより、駆動力の供給が制御されるようになっている。また給紙センサ10は、いわゆる光学センサであり、発光部から受光部へ進行する検知光を搬送路Uと交差させるように配置され、受光部による検知結果を制御部3に供給する。
【0021】
給紙部7は、給紙モータから駆動力が供給されると、給紙ローラ8を適宜回転させることにより、給紙トレイ6内に収容された複数枚の用紙Pのうち1枚を分離して送り出す。続いて給紙部7は、搬送ローラ9により用紙Pを上方へ送り出し、搬送路Uに沿って進行させる。また給紙部7は、給紙センサ10により当該用紙Pを検知するとこれに応じてレジストローラ11を適宜回転させ、用紙Pの斜行を補正した上で後方へ送り出す。
【0022】
給紙部7における搬送路Uに沿った後側には、用紙Pの搬送状態や大きさ等を検知する書き出しセンサ12が設けられている。書き出しセンサ12は、給紙センサ10と同様の光学センサであり、検知結果を制御部3に供給する。
【0023】
書き出しセンサ12の後側では、搬送路Uが、左右方向から見て後方へ向けてやや上昇するように傾斜しており、その下側に中搬送部13が配置されている。この搬送路Uの水平方向に対する傾斜角度は、約10[°]となっている。中搬送部13は、前側に配置された前ローラ14F及び後側に配置された後ローラ14Rの周囲に、環状ベルトでなる搬送ベルト15が張架された構成となっている。
【0024】
搬送部としての中搬送部13は、後述するベルトモータから後ローラ14Rに駆動力が伝達されると、該後ローラ14Rを矢印R1方向へ回転させ、これに伴って搬送ベルト15を走行させる。このとき搬送ベルト15は、前ローラ14F及び後ローラ14Rの周囲を周回する環状走行路に沿って走行し、搬送路Uに沿った上側部分、すなわち前ローラ14F及び後ローラ14Rの間に張架された部分を、後上方向へ進行させる。以下、この方向を搬送方向U1とも呼ぶ。このとき中搬送部13は、給紙部7から用紙Pが引き渡されると、該搬送ベルト15の上側に用紙Pを載置した状態で、該用紙Pに対して搬送方向U1に向かう力を作用させ、該搬送ベルト15の走行に伴って該用紙Pを後上方向へ、すなわち搬送方向U1へ進行させる。
【0025】
中搬送部13の上側であり、搬送路Uを挟んで該中搬送部13の反対側には、4個のイメージドラム(ID:Image Drum)ユニット16K、16C、16M及び16Yが前側から後側へ向かって順に配置されている。IDユニット16K、16C、16M及び16Y(以下これらをまとめてイメージドラム(ID)ユニット16とも呼ぶ)は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。
【0026】
画像形成部としてのIDユニット16は、
図2(A)に模式的な断面図を示すように、イメージドラム(ID)筐体20の内部に、トナー収容部21、供給ローラ22、現像ローラ23、現像ブレード24、帯電ローラ25及びイメージドラム26(以下これをID26とも呼ぶ)等が設けられた構成となっている。またID26の下側、すなわち搬送ベルト15を挟んだ反対側には、転写ローラ27が設けられている。
【0027】
ID筐体20は、全体として左右方向に長い直方体状に形成されており、外周の大部分を覆っているものの、上側の一部分や下側の一部分を開放している。現像剤収容部としてのトナー収容部21は、トナーを収容する空間を内部に形成しており、当該空間に現像剤としてのトナーを収容している。またトナー収容部21の内部には、トナー残量センサ21Sが設けられている。残量検知部としてのトナー残量センサ21Sは、トナー収容部21内に収容されているトナーの残量が所定の基準値を下回るか否かを検知して制御部3に通知する。
【0028】
供給ローラ22、現像ローラ23、帯電ローラ25及びID26、並びに転写ローラ27は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されており、それぞれ当該中心軸を中心として回転可能に支持されている。現像ブレード24は、左右方向に長い薄板状に構成されており、後下側の端部近傍を現像ローラ23の周側面に当接させている。像担持体としてのID26は、外周部分に設けられた帯電層により帯電し得るようになっている。さらに現像ローラ23、現像ブレード24、帯電ローラ25及び転写ローラ27は、それぞれ所定の電圧が印加される。
【0029】
ID26の上側には、LED(Light Emitting Diode)ヘッド28が設けられている。LEDヘッド28は、LEDでなる多数の発光素子が、主走査方向である左右方向に沿って配置されており、制御部3の制御に基づいて各発光素子を適宜発光させる。因みにID筐体20の上側における後寄りには、LEDヘッド28をID26の直上に位置させるための空間が形成されている。
【0030】
またID筐体20は、
図2(B)に模式的な右側面図を示すように、その右側面に、装置筐体2側から駆動力の伝達を受けるための現像ローラ連結部24J及びイメージドラム(ID)連結部26Jをそれぞれ露出させている。ID筐体20の右端近傍における下面には、中央部分に概ね平坦な下平坦部20Bが形成されると共に、その前側に傾斜した平面でなる下傾斜部20Sが形成されている。下傾斜部20Sは、下平坦部20Bに対し、後方向へ進むに連れて上昇するように傾斜している。因みにID筐体20における左端近傍(図示せず)には、右端近傍とほぼ左右対称に下平坦部20B及び下傾斜部20Sがそれぞれ形成されている。さらにID筐体20における下平坦部20Bの前側には、円柱状の位置決め突起29が設けられている。
【0031】
またIDユニット16は、装置筐体2に対して着脱可能に構成されている。具体的にIDユニット16は、装置筐体2の上部カバー2Cが開放され、内部空間2Sが外部空間と連通されると、使用者により該内部空間2Sから外部へ取り出されること、及び外部から内部空間2S内へ挿入されて装着されることが可能となる。このときIDユニット16は、位置決め突起29を用いて、内部空間2Sにおける所定箇所に位置を合わせるようになっている(詳しくは後述する)。またIDユニット16は、上部カバー2Cが閉塞された場合、該上部カバー2Cの下側に設けられたイメージドラム(ID)ユニットスプリング2Gにより概ね下方向に付勢され、これによりID26の下端近傍を搬送ベルト15に当接させるようになっている。
【0032】
このIDユニット16(
図2(A))は、後述するイメージドラムモータから駆動力が供給されることにより、各ローラを適宜回転させる。これにより供給ローラ22は、トナー収容部21内のトナーを現像ローラ23へ供給する。現像ローラ23は、供給ローラ22から供給されるトナーを周側面に付着させる。現像ブレード24は、現像ローラ23の表面から不要なトナーを削ぎ落とすことにより、該現像ローラ23の表面に、所定の厚さでなるトナーの層を形成させる。また帯電ローラ25は、イメージドラム26の表面を一様に帯電させる。
【0033】
LEDヘッド28は、制御部3(
図1)から供給される画像データに基づいた発光パターンで発光し、ID26の周側面を順次露光する。これによりID26は、照射された光に応じた静電潜像を周側面に形成する。続いてIDユニット16は、ID26の周側面にトナー(現像剤)を付着させることにより静電潜像に応じたトナー画像(以下これを現像剤画像とも呼ぶ)を形成し、該ID26の回転により、トナー画像が形成された部分を下端近傍に到達させる。
【0034】
ここでIDユニット16(
図1)は、搬送ベルト15により搬送路Uに沿って用紙Pが搬送されていた場合、ID26及び転写ローラ27の間に該搬送ベルト15及び該用紙Pを挟み込み、トナー画像を該ID26の周側面から用紙Pに転写させる。このようにして各IDユニット16は、搬送路Uに沿って前方から搬送されて来る用紙Pに対し、それぞれの色によるトナー画像を順次転写して重ねながら、後斜め上方向へ進行させていく。
【0035】
中搬送部13の後端近傍には、定着部17が設けられている。定着部17には、搬送路Uを挟んだ上側及び下側に、定着ローラ17A及び17Bがそれぞれ回転可能に設けられている。また定着ローラ17Aには、定着ヒータ17Hが組み込まれている。定着部17は、後述する定着モータから駆動力が供給されると、定着ローラ17Aを矢印R2方向へ回転させると共に定着ローラ17Bを矢印R1方向へ回転させ、また制御部3の制御により定着ローラ17A内の定着ヒータ17Hを加熱させる。これにより定着部17は、搬送路Uに沿って搬送される用紙Pに熱及び圧力を加え、該用紙Pにトナー画像を定着させた上で、後斜め上方向へ進行させる。
【0036】
定着部17の後上側には、排紙部18が配置されている。排紙部18は、給紙部7と同様の搬送ガイドや複数の搬送ローラ等を有しており、また用紙Pを検知する排紙センサ19を有している。排紙センサ19は、給紙センサ10と同様の光学センサであり、検知結果を制御部3に供給する。この排紙部18は、制御部3の制御に従って各搬送ローラを適宜回転させることにより、定着部17から引き渡される用紙Pを後上方へ搬送してから前方へ向けて折り返し、装置筐体2の上面に形成された排出トレイ2Tへ排出する。
【0037】
[1-2.イメージドラムユニットの周辺部分の構成]
次に、IDユニット16の周辺部分の構成について説明する。
図3に模式的な斜視図を示すように、画像形成装置1における装置筐体2の内部には、左側に位置する左フレーム31、右側に位置する右フレーム32、及び両者を繋ぐ中央フレーム33が設けられ、各フレームに種々の部品が取り付けられている。
【0038】
左フレーム31は、例えば所定の鋼板が所定形状に切削されると共に適宜屈曲されることにより、全体として左右方向に薄い直方体状に形成されている。この左フレーム31は、装置筐体2(
図1)の内部において、給紙トレイ6、中搬送部13、IDユニット16及び定着部17等の左側に位置している。
【0039】
右フレーム32は、左フレーム31と概ね左右対称に構成されており、例えば所定の鋼板が所定形状に切削されると共に適宜屈曲されることにより、全体として左右方向に薄い直方体状に形成されている。この右フレーム32は、装置筐体2(
図1)の内部において、給紙トレイ6、中搬送部13、IDユニット16及び定着部17等の右側に位置している。
【0040】
中央フレーム33は、全体として上下方向に薄い板状に形成されており、前側よりも後側が高くなるように傾斜し、且つ後端近傍が上方へせり上がるように湾曲されている。この中央フレーム33は、中搬送部13及び定着部17(
図1)等の下側ないし後側に相当する位置に設けられている。
【0041】
右フレーム32における上下方向のやや上寄りであって、且つ前後方向の中央付近となる箇所、すなわち装置筐体2(
図1)の内部においてIDユニット16の右側に相当する位置には、右カバー34が設けられている。右カバー34は、左右方向に薄い板状に構成されている。この右カバー34には、各IDユニット16と対応する部分に2箇所ずつ、合計8箇所に、左右方向に貫通する丸孔が設けられている。
【0042】
また左フレーム31及び右フレーム32には、ベルトモータ35、イメージドラム(ID)モータ36、給紙モータ37及び定着モータ38といった複数のモータが取り付けられている。ベルトモータ35は、ステッピングモータであり、左フレーム31の左側(すなわち外側)における後下寄りに設けられ、中搬送部13の後ローラ14R(
図1)に駆動力を供給する。画像形成駆動部としてのIDモータ36は、DC(Direct Current)モータであり、右フレーム32の右側(すなわち外側)における前上寄りに設けられ、各IDユニット16(
図1及び
図2)に駆動力を供給する。
【0043】
給紙モータ37は、右フレーム32の右側(すなわち外側)における前下寄りに設けられており、給紙部7(
図1)の給紙ローラ8等に駆動力を供給する。離接駆動部としての定着モータ38は、右フレーム32の右側(すなわち外側)における後下寄りに設けられており、定着部17の定着ローラ17A及び17B(
図1)等に駆動力を供給する。
【0044】
また右フレーム32には、右カバー34の左下側近傍に右離接部40Rが設けられると共に、右カバー34の右側(すなわち外側)にドラムカップリング部50D及び現像カップリング部50Eが設けられている。さらに左フレーム31には、右離接部40Rと対応する位置に、左離接部40Lが設けられている。以下では、右離接部40R及び左離接部40Lをまとめて離接部40とも呼び、またドラムカップリング部50D及び現像カップリング部50Eをまとめてカップリング部50とも呼ぶ。
【0045】
ところで画像形成装置1では、ブラック(K)のみを使用するモノクロ印刷、及び各色を使用するカラー印刷の双方を実行し得るようになっている。このモノクロ印刷を行う場合、画像形成装置1では、ブラック(K)以外の各色、すなわちシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各IDユニット16(以下、これらをカラーイメージドラム(ID)ユニット16CMYと呼ぶ)を使用せず、ブラックのIDユニット16Kのみを用いることになる。
【0046】
そこで画像形成装置1では、離接部40により搬送ベルト15に対するカラーIDユニット16CMYの位置を変化させ、またカップリング部50により該カラーIDユニット16CMYに対する駆動力の供給を切り替えるようになっている。以下では、離接部40のうち右離接部40Rの構成及び動作、並びにカップリング部50のうちドラムカップリング部50Dの構成及び動作について、それぞれ説明する。
【0047】
[1-2-1.離接部の構成及び動作]
【0048】
図4に示すように、右離接部40Rは、スライドガイド41、離接ガイド42(
図3)、リフトアップスライド43、第1リフトギア44、第2リフトギア45、イメージドラム(ID)アップダウンクラッチ46、及びイメージドラム(ID)アップダウンセンサ48等を有している。因みに
図4及び
図5等では、各ギアの歯を一部省略し、簡易的な形状によりそれぞれの外形を表している。
【0049】
スライドガイド41は、全体として細長い直方体状ないし棒状に構成されており、右フレーム32(
図4)の左側面(すなわち内側面)に取り付けられている。このスライドガイドは、概ね前後方向に沿って配置されているものの、IDユニット16(
図1)の近傍における搬送路Uに沿った方向、すなわち搬送方向U1と平行に配置されており、前側よりも後側が高くなるように傾斜している。またスライドガイド41の上面は、平坦な平面状に形成されている。さらにスライドガイド41は、後ろ寄りにおいて一部分が省略されている。
【0050】
離接ガイド42(
図3)は、全体として前後方向に長く、左右方向に薄い板状に構成されており、スライドガイド41の右側(外側)に設けられている。この離接ガイド42は、
図5(A)にその一部を拡大した右側面図を示すように、各IDユニット16と対応した4箇所に、前後にやや離隔した2本の突起42A及び42Bが設けられている。突起42A及び42Bは、何れも上斜め前方向に向けて突出しており、両者の間に溝部42Dを形成している。この溝部42Dは、下端近傍が円弧状に形成されると共に、その上側部分が直線状に形成されている。また溝部42Dにおける溝幅は、IDユニット16における位置決め突起29(
図3)の直径よりも僅かに大きくなっている。
【0051】
図5(A)の一部をさらに拡大した
図5(B)に示すように、溝部42Dは、上前側と下後側とを結ぶ斜め方向に沿って傾斜した直線状に形成されている。この溝部42Dの仮想的な中心線である溝軸線XDは、鉛直方向に沿った仮想的な鉛直軸線XVに対する傾斜角度αVが約25[°]であり、これに伴い水平方向に沿った仮想的な水平軸線XHに対する傾斜角度βHが約65[°]となっている。また画像形成装置1では、搬送方向U1に沿った仮想的な搬送軸線XUが水平軸線XHに対して約10[°]傾斜している。このため溝軸線XDは、搬送軸線XUに対する傾斜角度βUが約75[°]であり、該搬送軸線XUの仮想的な法線である搬送法線XNに対する傾斜角度αNが約15[°]となっている。
【0052】
リフトアップスライド43(
図3及び
図4)は、全体として前後方向に長い直方体状ないし棒状に構成されており、スライドガイド41の上側に載置されている。リフトアップスライド43の下面における後寄りであって、スライドガイド41が省略された部分には、下方向に向けてラックギア43Gが形成されている。このためリフトアップスライド43は、ラックギア43Gに対して前方向又は後方向へ向かう力が加えられると、スライドガイド41の上面に沿って、すなわち搬送方向U1又はその反対方向へ移動すること、すなわちスライドすることができる。説明の都合上、以下では搬送方向U1と反対の方向を反搬送方向U2と呼ぶ。
【0053】
またリフトアップスライド43の上面には、IDユニット16C、16M及び16Y(すなわちカラーIDユニット16CMY)とそれぞれ対応する3箇所に、上方向に突出した突出部43Pが形成されている。各突出部43Pは、前寄りにおいて上方向への突出量が比較的小さい近接部43Aと、後方向へ進むに連れて上方向への突出量が増加するように傾斜した傾斜部43Bと、後寄りにおいて上方向への突出量が比較的大きい離隔部43Cとを有している。
【0054】
さらにリフトアップスライド43は、3個の突出部43PをIDユニット16C、16M及び16Yにおける下平坦部20Bの下側にそれぞれ位置させ、当接させている。換言すれば、リフトアップスライド43の突出部43Pは、下平坦部20Bを介してIDユニット16C、16M及び16Yの荷重をそれぞれ支えている。
【0055】
第1リフトギア44は、周側部分に複数の歯が設けられた円板状の歯車であり、右フレーム32により回転可能に支持されている。この第1リフトギア44は、リフトアップスライド43におけるラックギア43Gの真下に位置しており、該ラックギア43Gと噛み合っている。第2リフトギア45は、第1リフトギア44と同様、周側部分に複数の歯が設けられた平歯車であり、右フレーム32により回転可能に支持されている。この第2リフトギア45は、第1リフトギア44の前斜め下側に位置しており、該第1リフトギア44と噛み合っている。
【0056】
IDアップダウンクラッチ46は、2枚の歯車が左右方向に重なるように配置されると共に両歯車の間にクラッチ機構が設けられている。このIDアップダウンクラッチ46は、一方の歯車が第2リフトギア45と噛み合っており、また他方の歯車が所定の中継ギア(図示せず)と噛み合い、定着モータ38(
図3)からの駆動力が伝達されている。またIDアップダウンクラッチ46は、制御部3の制御に基づき、双方の歯車の間で駆動力を伝達する伝達状態と、伝達しない非伝達状態とを切り替えることができる。
【0057】
一方、左離接部40L(
図3)は、右離接部40R(
図4)と比較して、IDアップダウンクラッチ46以外の各部分がほぼ左右対称となるように構成されている。また左離接部40Lの第2リフトギア45は、右離接部40Rの第2リフトギア45と連結シャフト47により連結されている。このため左離接部40Lは、右離接部40Rにおいて第2リフトギア45が回転すると、これと一体に当該左離接部40Lの第2リフトギア45を回転させることができる。
【0058】
かかる構成により右離接部40Rは、制御部3の制御に基づき、定着モータ38を駆動させると共にIDアップダウンクラッチ46を伝達状態に切り替えると、該定着モータ38からの駆動力を該IDアップダウンクラッチ46、第2リフトギア45及び第1リフトギア44の順に伝達する。続いて右離接部40Rは、この駆動力を第1リフトギア44からラックギア43Gに伝達し、該ラックギア43Gと一体にリフトアップスライド43を搬送方向U1又は反搬送方向U2へ移動させる。このとき左離接部40Lは、右離接部40Rから連結シャフト47を介して第2リフトギア45に駆動力が伝達されるため、該右離接部40Rと同様に、リフトアップスライド43を搬送方向U1又は反搬送方向U2へ移動させる。
【0059】
リフトアップスライド43は、搬送方向U1側に移動した場合、下平坦部20Bの真下に突出部43Pの近接部43Aを位置させる。このときリフトアップスライド43は、
図6(A)に示すように、カラーIDユニット16CMYを比較的下側に位置させ、イメージドラム26(
図2)の下端近傍を搬送ベルト15に近接させる。またこのときカラーIDユニット16CMYの位置決め突起29(
図2及び
図4)は、離接ガイド42(
図5)の溝部42D内における最下端に位置する。以下、この状態を近接状態と呼び、このときのカラーIDユニット16CMYの位置を転写位置と呼び、さらにこのときの位置決め突起29の位置を突起転写位置Q1と呼ぶ。すなわち溝部42Dは、搬送方向U1に関して位置決め突起29が変位し得る範囲を規制しており、該位置決め突起29が最も搬送方向U1側に変位したときのカラーIDユニット16CMYの位置を、転写位置としている。また以下では、位置決め突起29及び溝部42Dをまとめて変位規制部49とも呼ぶ。
【0060】
一方、リフトアップスライド43は、近接状態から反搬送方向U2側に移動されると、傾斜部43BをカラーIDユニット16CMYの下平坦部20B及び下傾斜部20Sに当接させながら、該カラーIDユニット16CMYを徐々に上昇させる。このときカラーIDユニット16CMYは、位置決め突起29を溝部42D内において溝軸線XDに沿って上斜め前方向へ移動させていく。
【0061】
やがてリフトアップスライド43は、突出部43Pの離隔部43Cを下平坦部20Bの真下に位置させ、当接させる。このときリフトアップスライド43は、
図6(B)に示すように、カラーIDユニット16CMYを比較的上側に位置させ、ID26(
図2)の下端近傍を搬送ベルト15から離隔させる。以下、この状態を離隔状態と呼び、このときのカラーIDユニット16CMYの位置を離隔位置又は非転写位置と呼ぶ。
【0062】
またリフトアップスライド43は、離隔状態から搬送方向U1側に移動されると、傾斜部43BをIDユニット16の下平坦部20B及び下傾斜部20Sに当接させながら、該IDユニット16を徐々に下降させる。このときカラーIDユニット16CMYは、位置決め突起29を溝部42D内において溝軸線XDに沿って下斜め後方向へ移動させていき、やがて近接状態(
図6(A))とする。
【0063】
IDアップダウンセンサ48(
図4)は、いわゆる光学センサであり、検知光を発光する発光部と、この検知光を受光する受光部と有しており、該受光部による受光結果に基づいた検知信号を生成して制御部3に通知する。またIDアップダウンセンサ48は、リフトアップスライド43が最も搬送方向U1側に移動した際、すなわち各IDユニット16が近接状態となった際に、その一部により検知光を遮光するような位置に取り付けられている。このため制御部3は、IDアップダウンセンサ48から取得した検知信号を基に、IDユニット16が近接状態であるか否かを、認識することができる。
【0064】
このように離接部40では、定着モータ38からの駆動力を基に、リフトアップスライド43を搬送方向U1又は反搬送方向U2側へ移動させることにより、カラーIDユニット16CMYを近接状態(
図6(A))又は離隔状態(
図6(B))に切り替えることができる。
【0065】
因みに画像形成装置1では、ブラック(K)のみのトナー画像を用紙Pに転写させるモノクロ印刷を行う場合、カラーIDユニット16CMYを離隔状態(
図6(B))に切り替えることにより、該カラーIDユニット16CMYにおけるID26の消耗を抑えるようになっている。
【0066】
ところで離接部40では、カラーIDユニット16CMYが近接状態であった場合、上述したように、IDユニットスプリング2G(
図1)の付勢力及び各IDユニット16の自重により、下方向へ向かう力が作用している。このため離接部40では、カラーIDユニット16CMYを近接状態から離隔状態に切り替える場合、定着モータ38からの駆動力を利用して、IDユニットスプリング2Gの付勢力及び各IDユニット16の自重よりも大きい力を上方向に作用させる必要がある。
【0067】
このとき離接部40では、定着モータ38が本来的に定着部17を駆動するためのモータであるため、該定着モータ38から供給される駆動力の大きさに制約がある。そこで画像形成装置1では、定着モータ38から供給される駆動力を利用してカラーIDユニット16CMYを近接状態から離隔状態に切り替え得る程度に、IDユニットスプリング2Gの付勢力が比較的小さく抑えられている。
【0068】
しかしながら離接部40では、IDユニットスプリング2Gの付勢力が比較的小さいため、カラーIDユニット16CMYを離隔状態から近接状態に切り替えた際に、該カラーIDユニット16CMYを下方向に付勢する力が不十分となる可能性がある。具体的に離接部40では、
図5(B)に示したように、カラーIDユニット16CMYを近接状態に切り替えた際に、位置決め突起29が図中に実線で示した突起転写位置Q1に到達すべきところ、各部の摩擦等の影響により、該突起転写位置Q1よりもやや上側となる突起中間位置Q2に止まる可能性がある。
【0069】
このように位置決め突起29が突起中間位置Q2に位置している場合、カラーIDユニット16CMYは、
図6(C)に示すように、転写位置よりも上斜め前側の中間位置に止まっており、転写位置よりも僅かに反搬送方向U2側に位置することになる。また、このときカラーIDユニット16CMYは、それぞれの転写位置からのずれ量が一定とはならず、色ごとに異なる値となる可能性が高い。このため、中間位置にあるカラーIDユニット16CMYは、搬送路Uに沿って搬送されてきた用紙Pに対してトナー画像を転写させる場合、該トナー画像を転写する位置が、該用紙P上における正しい位置から反搬送方向U2側に僅かにずれることになり、他の色のトナー画像と位置がずれる、いわゆる色ずれを発生させる恐れがある。
【0070】
このように画像形成装置1では、離接部40によりカラーIDユニット16CMYが近接状態でありながら、転写位置から僅かにずれた中間位置に止まっている可能性がある。そこで画像形成装置1では、必要に応じて、カラーIDユニット16CMYを転写位置に到達させる処理として、イメージドラム(ID)安定化処理(詳しくは後述する)を実行するようになっている。説明の都合上、以下では、カラーIDユニット16CMYが近接状態において位置する可能性がある転写位置及び中間位置を、まとめて近接位置とも呼ぶ。
【0071】
また画像形成装置1では、このID安定化処理を実行すべきことを表す情報として、「イメージドラム(ID)安定化要求」を、制御部3内に設けられた所定の記憶領域にセットし得るようになっている。このID安定化要求は、例えば画像形成装置1の電源が投入された場合、すなわちカラーIDユニット16CMYがユーザにより着脱された可能性がある場合等にセットされるようになっている。
【0072】
[1-2-2.カップリング部の構成及び動作]
次に、カップリング部50(ドラムカップリング部50D及び現像カップリング部50E)の構成について、ドラムカップリング部50Dを例に説明する。
図7(A)に模式的な平面図を示すように、伝達切替部としてのドラムカップリング部50Dは、ドラム駆動カプラ51、スプリング52、カップリングスライド53、イメージドラム(ID)カップリングクラッチ54、及びイメージドラム(ID)カップリングセンサ55等を有している。因みに
図7(A)は、IDユニット16Cに関する部分を中心に示しており、一部のギアやIDユニット16M及び16Yに関する部分等を省略している。
【0073】
ドラム駆動カプラ51は、近接状態(
図6(A))となっているIDユニット16CにおけるID連結部26J(
図2(B))の右側に位置している。このドラム駆動カプラ51は、全体として中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、右側のカプラ根元部51Aと左側のカプラ先端部51Bとにより構成されている。
【0074】
カプラ根元部51Aは、比較的太い円柱状でなり、その周側面にギア(図示せず)が形成されている。カプラ先端部51Bは、カプラ根元部51Aよりも細い円柱状でなり、その先端部分(すなわち左端部分)に、IDユニット16CのID連結部26Jと嵌合可能な形状の嵌合部が形成されている。またドラム駆動カプラ51は、右フレーム32及び右カバー34(
図3)等により、上下方向及び前後方向に関する移動が規制される一方、中心軸を概ね左右方向に沿わせたまま、左右方向に移動でき、且つ自在に回転し得るように支持されている。このドラム駆動カプラ51は、図示しない伝達ギア等を介して、IDモータ36(
図3)からの駆動力が伝達されることにより、回転し得るようになっている。
【0075】
スプリング52は、中心軸を左右方向に沿わせたコイルスプリングであり、右端が所定の支持部材を介して右フレーム32に固定され、左端をドラム駆動カプラ51の右側面に当接させた上で、自然状態から圧縮されている。このためスプリング52は、復元力の作用により、ドラム駆動カプラ51を左方向に付勢する。
【0076】
カップリングスライド53は、右カバー34の右側に隣接するように配置されており、
図8に模式的な斜視図を示すように、本体部53Mと、孔部53Hと、突出部53Pを有している。本体部53Mは、左右方向に薄い板状に構成されており、右カバー34に設けられた所定の支持部材(図示せず)により、上下方向及び左右方向への移動が規制される一方、概ね前後方向へ、詳細には搬送方向U1又は反搬送方向U2へ移動(スライド)し得るように支持されている。
【0077】
孔部53Hは、右カバー34(
図3)に形成された孔と連通する位置において、本体部53Mを左右方向に貫通しており、上下方向に対して前後方向に長い長孔となっている。孔部53Hにおける短径の長さ、すなわち上下方向の長さは、ドラム駆動カプラ51(
図7)におけるカプラ先端部51Bの直径よりも大きく、且つカプラ根元部51Aの直径よりも小さくなっている。また孔部53Hは、設けられている。
【0078】
突出部53Pは、本体部53Mの右側面から右方向に突出しており、孔部53Hの周囲における前端近傍(以下これを接続部53Aと呼ぶ)を除いた範囲に設けられている。突出部53Pにおける後側の約半分(以下これを切断部53Cと呼ぶ)は、その右側面がほぼ平坦に形成されており、本体部53Mからの右方向への突出量が、ドラム駆動カプラ51におけるカプラ先端部51Bの左右方向に沿った長さと同等以上となっている。また突出部53Pにおける前側の約半分(以下これを傾斜部53Bと呼ぶ)は、接続部53Aと切断部53Cの右側面とを結ぶ傾斜面が形成されている。すなわちカップリングスライド53は、上側から見た場合(
図7(A))の形状が、右離接部40Rのリフトアップスライド43(
図4)を左側から見た場合の形状と類似している。
【0079】
かかる構成によりカップリングスライド53は、
図7(A)に示したように、ドラム駆動カプラ51のカプラ先端部51Bを孔部53Hに挿入させた状態で、カプラ根元部51Aの左側面を、接続部53A、傾斜部53B又は切断部53Cに当接させることができる。
【0080】
IDカップリングクラッチ54は、離接部40のIDアップダウンクラッチ46(
図4)と同様に構成されており、2枚の歯車が左右方向に重なるように配置されると共に両歯車の間にクラッチ機構が設けられている。このIDカップリングクラッチ54は、一方の歯車が所定の中継ギア群(図示せず)を介して各ドラム駆動カプラ51と噛み合っており、他方の歯車に対して給紙モータ37(
図3)からの駆動力が伝達されている。またIDカップリングクラッチ54は、IDアップダウンクラッチ46と同様に、制御部3の制御に基づき、双方の歯車の間で駆動力を伝達する伝達状態と、伝達しない非伝達状態とを切り替えることができる。
【0081】
かかる構成によりドラムカップリング部50Dは、制御部3の制御に基づき、給紙モータ37を駆動させると共にIDカップリングクラッチ54を伝達状態に切り替えると、該給紙モータ37からの駆動力を該IDアップダウンクラッチ46経由でカップリングスライド53に伝達する。これによりカップリングスライド53は、搬送方向U1又は反搬送方向U2へ移動する。
【0082】
カップリングスライド53は、
図7(A)に示したように、反搬送方向U2側に移動された場合、カプラ根元部51Aの左側面を接続部53Aに当接させる。このときドラム駆動カプラ51は、カプラ先端部51Bの先端を右カバー34よりも左側へ十分に突出させ、IDユニット16CのID連結部26Jと嵌合した(すなわち連結された)状態となり、駆動力をID26に伝達できる。以下、この状態を嵌合状態または伝達状態と呼ぶ。
【0083】
またカップリングスライド53は、嵌合状態から搬送方向U1側に移動されると、カプラ根元部51Aの左側面に傾斜部53Bを当接させながら、ドラム駆動カプラ51を徐々に右方向へ移動させ、ID連結部26Jとの嵌合を解除した上で引き離していく。
【0084】
やがてカップリングスライド53は、
図7(B)に示すように、ドラム駆動カプラ51におけるカプラ根元部51Aの左側面を切断部53Cに当接させる。これによりドラム駆動カプラ51は、カプラ先端部51Bの先端を右カバー34よりも右側に位置させ、IDユニット16CのID連結部26Jから切り離した(すなわち切断された)状態となり、駆動力をID26に伝達できなくなる。以下、この状態を切断状態または非伝達状態と呼ぶ。
【0085】
因みにカップリングスライド53は、切断状態から反搬送方向U2側に移動されると、カプラ根元部51Aの左側面を傾斜部53Bに当接させながら、ドラム駆動カプラ51を徐々に左方向へ移動させていき、再び嵌合状態(
図7(A))となる。
【0086】
伝達状態検知部としてのIDカップリングセンサ55は、IDアップダウンセンサ48(
図4)と同様、いわゆる光学センサであり、検知光を発光する発光部と、この検知光を受光する受光部と有しており、該受光部による受光結果に基づいた検知信号を生成して制御部3に通知する。またIDカップリングセンサ55は、カップリングスライド53が最も反搬送方向U2側に移動した際、すなわち各ドラム駆動カプラ51が嵌合状態(
図8(A))となった際に、その一部により検知光を遮光するような位置に取り付けられている。このため制御部3は、IDカップリングセンサ55から取得した検知信号を基に、ドラム駆動カプラ51が嵌合状態であるか否かを、認識することができる。
【0087】
このようにドラムカップリング部50Dでは、給紙モータ37からの駆動力を基に、カップリングスライド53を反搬送方向U2又は搬送方向U1側へ移動させることにより、ドラム駆動カプラ51を嵌合状態(
図7(A))又は切断状態(
図7(B))に切り替えることができる。
【0088】
ところで画像形成装置1では、ブラック(K)のIDユニット16Kと対応する箇所にも、カップリング部50と類似した構成が設けられており、ドラム駆動カプラ51等を嵌合状態又は切断状態に切り替え得るようになっている。また画像形成装置1には、上部カバー2C(
図1)の開閉とカップリング部50等における嵌合状態又は切断状態への切替動作とを連動させる連動機構(図示せず)が設けられている。このため画像形成装置1は、上部カバー2Cが開放されると、全色のIDユニット16において、ドラム駆動カプラ51等を切断状態に切り替えるようになっている。
【0089】
[1-3.画像形成装置の回路構成]
次に、画像形成装置1の回路構成について、
図9ブロック図を参照しながら説明する。画像形成装置1の制御部3には、大きく分けてコントローラユニット(CU:Controller Unit)制御部60と、プリントエンジンユニット(PU:Print engine Unit)制御部70とが設けられている。
【0090】
CU制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63及びEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)64を有している。このCU制御部60は、CPU61によりROM62やEEPROM64等から所定のプログラムを読み出し、RAM63を作業領域として当該プログラムを実行することにより、図示しない上位装置との間における通信処理や、タッチパネル4による情報の表示や操作入力の受付等に関する種々の処理を行う。
【0091】
またCU制御部60には、タッチパネル4及びホストインタフェース(I/F)65が接続されている。ホストインタフェース65は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3(IEEE802.3u/ab/an/ae)の規格に準拠した有線LAN(Local Area Network)等のインタフェースであり、図示しない上位装置と接続されている。
【0092】
さらにCU制御部60は、画像データを送信するためのビデオインタフェース(I/F)67と、各種情報を送受信するための通信インタフェース68(I/F)とにより、PU制御部70と接続されている。例えばCU制御部60は、上位装置からホストインタフェース65を介して印刷データを取得すると、印刷ジョブを開始する。具体的にCU制御部60は、所定の処理プログラムや変換プログラム等を実行することにより、印刷コマンドを作成すると共に、この印刷データをビットマップに展開することにより画像データに変換する。続いてCU制御部60は、印刷コマンドを通信インタフェース68によりPU制御部70に送信すると共に、画像データをDMA(Direct Memory Access)転送等の手法によりビデオインタフェース67を介してPU制御部70に送信する。
【0093】
PU制御部70は、CU制御部60と類似した構成となっており、CPU71、ROM72、RAM73及びEEPROM74を有している。このPU制御部70は、CPU71によりROM72やEEPROM74等から所定のプログラムを読み出し、RAM73を作業領域として当該プログラムを実行することにより、例えば各種センサからの通知の取得や各種モータの制御等、画像形成装置1内の各部に関する種々の処理を行う。またRAM73には、上述した「イメージドラム安定化要求」がセットされているか否かを記憶し得るようになっている。
【0094】
画像処理部75は、PU制御部70及び各色のLEDヘッド28に接続されている。この画像処理部75は、PU制御部70から画像データを取得し、当該画像データの色を調整し、4色に分解する等の画像処理を行った上で、各色のLEDヘッド28に供給する。
【0095】
ベルトモータ35、IDモータ36、給紙モータ37及び定着モータ38は、PU制御部70に接続されており、該PU制御部70の制御に基づき、それぞれ動作する。定着ヒータ17Hは、PU制御部70の制御に基づいて発熱し、定着ローラ17A(
図1)を適宜加熱させる。また給紙センサ10、書き出しセンサ12、排紙センサ19及び温度湿度センサ5、並びにIDアップダウンセンサ48及びIDカップリングセンサ55は、それぞれの検知結果等をPU制御部70に通知する。トナー残量センサ21Sは、トナー収容部21におけるトナーの残量が所定の基準値を下回ったか否かを検知する。上部カバーセンサ2CSは、上部カバー2Cが開閉されたことを検知し、得られた検知結果をPU制御部70に通知する。
【0096】
給紙ローラクラッチ77は、PU制御部70の制御に基づき、給紙モータ37から給紙ローラ8(
図1)へ駆動力を供給するか否かを切り替える。レジストローラクラッチ78は、PU制御部70の制御に基づき、給紙モータ37からレジストローラ11(
図1)へ駆動力を供給するか否かを切り替える。IDアップダウンクラッチ46及びIDカップリングクラッチ54は、それぞれPU制御部70の制御に基づき、2枚の歯車の間で駆動力を伝達させるか否か切り替える。
【0097】
例えばPU制御部70は、CU制御部60から印刷コマンド及び画像データを取得すると、画像データのページ毎に、
図10に示すページ情報を作成する。このページ情報には、大きい項目として「ページID」、「パラメータ」及び「制御情報」が設けられている。このうち「ページID」の項目は、当該印刷ジョブにおけるページ数を表す情報が例えば数値により表される。
【0098】
「パラメータ」の項目は、各種印刷設定情報に関する調整値や設定値等を表す情報である。この「パラメータ」の項目には、副項目として、例えば「用紙サイズ」、「給紙トレイ」、「印刷DPI(dots per inch)」、「メディアタイプ」、「カラー/モノクロ」、「両面/片面」、「用紙サイズチェック」及び「ダークネス」等が設けられている。また「パラメータ」の項目には、これらに加えて、副項目として「用紙長」、「用紙幅」、「用紙厚」、「スタッカ」、「ソフト4階調」、「レフトマージン長」、「ライトマージン長」、「トップマージン長」及び「ボトムマージン長」等が設けられている。
【0099】
「制御情報」の項目は、各種印刷制御に関する調整値や設定値等を表す情報である。この「制御情報」の項目には、副項目として、「印刷速度」、「ヒータ温度」、「現像電圧」及び「転写電圧」等が設けられている。これらの「制御情報」の各調整値等は、「パラメータ」の各調整値や、各種センサ等から得られた値を基に設定される。
【0100】
[1-4.処理手順]
次に、画像形成装置1が上位装置から印刷データを取得し、CU制御部60において印刷コマンドの作成処理及び画像データへの変換処理が行われた後に、PU制御部70が実行する印刷処理について説明する。
【0101】
[1-4-1.印刷処理手順]
PU制御部70は、上位装置から印刷データを取得したことがCU制御部60から通知されると、EEPROM74から所定のプログラムを読み出して実行することにより、
図11に示すPU印刷処理手順RT1を開始し、最初のステップSP1に移る。ステップSP1においてPU制御部70は、CU制御部60からビデオインタフェース67及び通信インタフェース68を介して画像データ及び印刷コマンドを受信し、次のステップSP2に移る。
【0102】
ステップSP2においてPU制御部70は、ページ情報(
図10)における「パラメータ」の各副項目に調整値等を格納した上で、該「パラメータ」の各調整値や各種センサ等から得られた値を基に、「制御情報」の各調整値を作成し、これらを当該ページ情報にセットして、次のステップSP3に移る。ステップSP3においてPU制御部70は、カラーIDユニット16CMYを上昇及び下降させるIDアップダウン処理(詳しくは後述する)をサブルーチンとして実行し、次のステップSP4に移る。
【0103】
ステップSP4においてPU制御部70は、印刷搬送処理を行い、次のステップSP5に移る。この印刷搬送処理は、例えば搬送路Uに沿って1枚の用紙Pを搬送すると共に、IDユニット16によりトナー画像を生成して該用紙Pに転写し、さらに定着部17によりトナー画像を定着させることにより、用紙Pに画像を印刷する処理である。ステップSP5においてPU制御部70は、PU印刷処理手順RT1を終了する。
【0104】
[1-4-2.イメージドラムアップダウン処理手順]
次に、PU印刷処理手順RT1(
図11)のステップSP3においてサブルーチンとして実行されるイメージドラム(ID)アップダウン処理について説明する。PU制御部70は、PU印刷処理手順RT1においてステップSP4に移ると、EEPROM74から所定のプログラムを読み出して実行することにより、
図12に示すIDアップダウン処理手順RT2を開始し、最初のステップSP21に移る。
【0105】
ステップSP21においてPU制御部70は、ページ情報(
図10)を参照することにより、カラー印刷であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYを使用してカラーのトナー画像を生成し、これを用紙Pに転写させる必要があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP22に移る。
【0106】
ステップSP22においてPU制御部70は、IDアップダウンセンサ48(
図4)から得られる検知結果を基に、カラーIDユニット16CMYが離隔状態(
図6(B))であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYを下降(ダウン)させて近接状態へ遷移させ、且つ転写位置に移動させる必要があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP23に移る。
【0107】
ステップSP23においてPU制御部70は、IDカップリングセンサ55(
図7)から得られる検知結果を基に、カップリング部50が嵌合状態(
図7(A))であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはカップリング部50が嵌合状態であり、このままカラーIDユニット16CMYを離隔状態から近接状態に遷移させると、ドラム駆動カプラ51等を損傷させる可能性があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP24に移る。
【0108】
因みに画像形成装置1では、カラーIDユニット16CMYが離隔状態(
図6(B))である場合、本来的にはカップリング部50が切断状態(
図7(B))となるはずであるが、何らかの不具合により、カップリングスライド53が嵌合状態となっている可能性がある。このためPU制御部70は、ステップSP23のような判定処理を行っている。
【0109】
ステップSP24においてPU制御部70は、給紙モータ37(
図3)及びIDカップリングクラッチ54(
図7)を制御することにより、カップリング部50を嵌合状態から切断状態に切り替えさせ、次のステップSP25に移る。
【0110】
一方、ステップSP23において否定結果が得られると、このことは既にカップリング部50が切断状態(
図7(B))であり、該カップリング部50を動作させる必要が無いことを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP25に移る。ステップSP25においてPU制御部70は、定着モータ38(
図3)及びIDアップダウンクラッチ46(
図4)を制御することにより離接部40を動作させ、カラーIDユニット16CMYを離間状態から下降(ダウン)させて近接状態に切り替えさせ、次のステップSP27に移る。このときカラーIDユニット16CMYは、転写位置に到達している可能性も、到達していない可能性もある。
【0111】
一方、ステップSP22において否定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYが近接状態であることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP26に移り、ステップSP23と同様に、IDカップリングセンサ55(
図7)から得られる検知結果を基に、カップリング部50が嵌合状態(
図7(A))であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、PU制御部70は次のステップSP27に移る。
【0112】
ステップSP27においてPU制御部70は、給紙モータ37(
図3)及びIDカップリングクラッチ54(
図7)を制御することにより、カップリング部50を切断状態から嵌合状態に切り替えさせ、次のステップSP29に移る。
【0113】
一方、ステップSP26において肯定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYが近接状態であり、且つカップリング部50が嵌合状態であることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP28に移る。ステップSP28においてPU制御部70は、RAM73を参照することにより、ID安定化要求がセットされているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはユーザによりカラーIDユニット16CMYが着脱された可能性がある等の理由により、該カラーIDユニット16CMYが中間位置(
図6(C))に位置する可能性があるため、ID安定化処理を行う必要があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP29に移る。
【0114】
ステップSP29においてPU制御部70は、サブルーチンとしてID安定化処理を行い(詳しくは後述する)、カラーIDユニット16CMYを転写位置(
図6(A))に到達させた後、次のステップSP30に移る。ステップSP30においてPU制御部70は、RAM73にセットされているID安定化要求をクリア(削除)し、次のステップSP35に移る。
【0115】
また、ステップSP28において否定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYが既に転写位置(
図6(A))に到達している可能性があるため、ID安定化処理行う必要が無いことを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP35に移る。
【0116】
一方、ステップSP21において否定結果が得られると、このことはモノクロ印刷を行う必要があり、カラーIDユニット16CMYを離隔状態(
図6(B))とする必要があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP31に移る。
【0117】
ステップSP31においてPU制御部70は、ステップSP23と同様に、IDカップリングセンサ55(
図7)から得られる検知結果を基に、カップリング部50が嵌合状態(
図7(A))であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはカップリング部50が嵌合状態であり、カラーIDユニット16CMYを近接状態から離隔状態に遷移させる前に、該カップリング部50を切断状態に遷移させる必要があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP32に移る。
【0118】
ステップSP32においてPU制御部70は、ステップSP24と同様に、給紙モータ37(
図3)及びIDカップリングクラッチ54(
図7)を制御することにより、カップリング部50を嵌合状態から切断状態に切り替えさせ、次のステップSP33に移る。
【0119】
一方、ステップSP31において否定結果が得られると、このことはカップリング部50が既に切断状態であることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP33に移る。
【0120】
ステップSP33においてPU制御部70は、ステップSP22と同様、IDアップダウンセンサ48(
図4)から得られる検知結果を基に、カラーIDユニット16CMYが離隔状態(
図6(B))であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYを上昇(アップ)させて離隔状態へ遷移させる必要があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP34に移る。
【0121】
ステップSP34においてPU制御部70は、定着モータ38(
図3)及びIDアップダウンクラッチ46(
図4)を制御することにより離接部40を動作させ、カラーIDユニット16CMYを近接状態から上昇(アップ)させて離隔状態に切り替えさせ、次のステップSP35に移る。
【0122】
一方、ステップSP33において肯定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYが既に離間状態であり、この状態を維持すべきであることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP35に移る。
【0123】
ステップSP35においてPU制御部70は、IDアップダウン処理手順RT2を終了し、元のPU印刷処理手順RT1(
図11)のステップSP3に戻る。
【0124】
[1-4-3.イメージドラム安定化処理手順]
次に、IDアップダウン処理手順RT2のステップSP29においてサブルーチンとして実行されるイメージドラム(ID)安定化処理について説明する。PU制御部70は、IDアップダウン処理手順RT2においてステップSP29に移ると、EEPROM74から所定のプログラムを読み出して実行することにより、
図13に示すイメージドラム(ID)安定化処理手順RT4を開始し、最初のステップSP41に移る。ステップSP41においてPU制御部70は、EEPROM74から第1待機時間T1及び第2待機時間T2をそれぞれ読み出し、次のステップSP42に移る。この第1待機時間T1及び第2待機時間T2は、予め設定された値である。
【0125】
ステップSP42においてPU制御部70は、トナー残量センサ21Sから得られる検知結果を基に、トナー収容部21におけるトナーの収容量(すなわち残量)が基準値以下の状態、すなわちトナーローの状態であるか否かを判定する。
【0126】
ここで肯定結果が得られると、このことはトナー収容部21におけるトナーの収容量が比較的少ないために、IDユニット16の重量が比較的小さい(すなわち軽い)ことを表している。またこのことは、離接部40によりカラーIDユニット16CMYを離隔状態から近接状態に遷移させた際に、当該カラーIDユニット16CMYが中間位置に止まり、且つ転写位置からの距離が比較的大きくなる可能性があることを表している。このときPU制御部70は、次のステップSP43に移る。ステップSP43においてPU制御部70は、第2待機時間T2に所定の補正値を加算することによりその値を増加させ、次のステップSP44に移る。
【0127】
一方、ステップSP42において否定結果が得られると、このことはトナー収容部21におけるトナーの収容量が比較的多いために、IDユニット16の重量が比較的大きい(すなわち重い)ことを表している。このときPU制御部70は、第2待機時間T2を補正すること無く、次のステップSP44に移る。
【0128】
ステップSP44においてPU制御部70は、ベルトモータ35(
図3)の駆動を開始させ、次のステップSP45に移る。このときPU制御部70は、
図14に示すように、搬送ベルト15(
図1及び
図2)の走行速度(すなわち線速度)が所定の速度VB1となるように制御する。具体的にPU制御部70は、搬送ベルト15の速度VB1が16PPM(Page Per Minute)に相当する96[mm/s]となるように、ベルトモータ35の回転速度を制御する。以下では速度VB1を媒体速度とも呼ぶ。
【0129】
ステップSP45においてPU制御部70は、所定の第1待機時間T1だけ待機し、次のステップSP46に移る。この第1待機時間T1は、上述したようにIDモータ36がDCモータであり直ちに駆動を開始できる一方、ベルトモータ35がステッピングモータであり駆動開始時の静定処理にある程度の時間を要するため、設定されている。
【0130】
ステップSP46においてPU制御部70は、IDモータ36(
図3)の駆動を開始させ、次のステップSP47に移る。このときPU制御部70は、ID26(
図2)の周側面における走行速度(すなわち線速度)が所定の速度VD1となるように制御する。具体的にPU制御部70は、ID26の周側面における速度VD1が12PPMに相当する72[mm/s]となるように、IDモータ36の回転速度を制御する。すなわち速度VD1は、速度VB1との間に速度差を形成しており、該速度VB1よりも小さい値となっている。また速度VD1に対する速度VB1の比率である速度比は、1.33となっている。以下では、速度VD1を像担持体速度とも呼ぶ。また以下では、ID安定化処理を速度差形成処理とも呼ぶ。
【0131】
このとき画像形成装置1では、カラーIDユニット16CMYにおけるID26の下端近傍において搬送方向U1に向かう線速度である速度VD1が、搬送ベルト15の搬送方向U1に向かう線速度である速度VB1よりも小さい。このためID26は、搬送ベルト15との当接箇所において、該搬送ベルト15により搬送方向U1に向けた力が作用し、該搬送方向U1に向けて引っ張られることになる。
【0132】
ここで、カラーIDユニット16CMYが中間位置に位置していた場合を想定する。このときカラーIDユニット16CMYは、
図5に示したように、位置決め突起29が離接ガイド42の溝部42D内において、突起中間位置Q2に位置しており、また溝軸線XDに沿った方向にのみ移動し得る状態となっている。このためカラーIDユニット16CMYは、ID26に対して搬送方向U1に向かう力が作用すると、位置決め突起29を溝軸線XDに沿わせるように下斜め後方向へ変位し、やがて突起転写位置Q1に到達させ、転写位置に位置することができる。
【0133】
ステップSP47(
図12)においてPU制御部70は、所定の第2待機時間T2だけ待機し、次のステップSP48に移る。この第2待機時間T2は、例えば予め100[ms]ないし10[s]の範囲内の時間に設定されている。またPU制御部70は、ステップSP43において第2待機時間T2に補正値が加算されていた場合、補正後の第2待機時間T2だけ待機することになる。ステップSP48においてPU制御部70は、ベルトモータ35及びIDモータ36をそれぞれ停止させ、次のステップSP49に移ってID安定化処理手順RT4を終了する。
【0134】
[1-5.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による画像形成装置1は、離接部40によりカラーIDユニット16CMYを近接状態又は離隔状態に切り替えさせ、このとき各IDユニット16の位置決め突起29を離接ガイド42の溝部42D内で溝軸線XDに沿った方向に移動させる(
図5及び
図6)。
【0135】
そのうえで画像形成装置1は、印刷処理においてカラー印刷を行う際、一定の条件を満たす場合に、ID安定化処理を行い、ID26を回転させると共にこれよりも高速で搬送ベルト15を走行させる(
図13及び
図14)。
【0136】
このとき画像形成装置1は、ID安定化処理において、ID26及び搬送ベルト15の間に意図的な速度差を設けることにより、カラーIDユニット16CMYに対して搬送方向U1に向かう力を加えさせることができる。ここで画像形成装置1は、離接ガイド42の溝軸線XDが搬送法線XNに対して傾斜しており、搬送方向U1へ進むに連れて下降し、搬送路Uに近接していくようになっている。このため画像形成装置1は、位置決め突起29を溝部42Dに沿って後斜め下方向へ移動させ、その結果としてカラーIDユニット16CMYを転写位置に到達させることができる。
【0137】
このように画像形成装置1は、カラーIDユニット16CMYが中間位置に位置していたとしても、ID安定化処理を行うことにより、該カラーIDユニット16CMYを転写位置に移動させることができる。これにより画像形成装置1は、色ずれを大幅に低減させた高品質な画像を印刷することができる。
【0138】
ところで画像形成装置1は、ID安定化処理において、仮に搬送ベルト15のみを走行させた場合、ステッピングモータであるベルトモータ35が脱調してしまう恐れがある。またこの場合、画像形成装置1では、ID26における特定の箇所のみが搬送ベルト15と摺動することにより局所的に摩耗し、トナー画像における画質の劣化を招く恐れがある。そこで画像形成装置1は、ID安定化処理において、ID26及び搬送ベルト15の何れか一方のみを動作させるのでは無く、双方を動作させた上で、両者の間に所定の速度差を設けることにより、脱調や画質の劣化等のような問題の発生を回避するようになっている。
【0139】
さらに画像形成装置1は、ID安定化処理(
図13)のステップSP47において、第2待機時間T2を予め100[ms]以上且つ10[s]以下に設定した。これにより画像形成装置1は、カラーIDユニット16CMYを中間位置から転写位置まで確実に移動させることができ、且つ印刷搬送処理(
図11、ステップSP4)を開始するまでに要する時間を過剰に長くすることを回避できる。
【0140】
他の観点から見れば、画像形成装置1は、例えばアクチュエータのような付勢手段を別途設けること無く、ID安定化処理においてID26及び搬送ベルト15の速度差に基づいて発生する摩擦力を利用することにより、カラーIDユニット16CMYを中間位置から転写位置へ移動させることができる。
【0141】
さらに別の観点から見れば、画像形成装置1では、小型化及び低廉化の観点から、定着モータ38が比較的小型に抑えられており、その結果として該定着モータ38の駆動力も比較的小さくなっている。離接部40(
図4)は、この定着モータ38からの駆動力を利用してカラーIDユニット16CMYを近接状態から離隔状態に切り替える。このため画像形成装置1では、IDユニットスプリング2Gの付勢力を比較的小さく抑える必要がある。しかしながら画像形成装置1では、離接部40によりカラーIDユニット16CMYを離隔状態から近接状態に切り替える際に、IDユニットスプリング2Gの府勢力が比較的小さいために、該カラーIDユニット16CMYを転写位置まで付勢できず、中間位置に止まる可能性がある。そこで画像形成装置1では、ID26及び搬送ベルト15を利用したID安定化処理を行うことにより、小型化や低廉化を実現しながら、色ずれの発生による画質の低下を良好に抑えることができる。
【0142】
また画像形成装置1は、ID安定化処理手順RT4(
図13)において、トナー収容部21のトナー残量に応じて第2待機時間T2を補正するようにした。このため画像形成装置1では、仮にトナー収容部21のトナー残量が比較的少なく、カラーIDユニット16CMYの重量が比較的小さいために、本来の第2待機時間T2のみでは転写位置まで移動し得なかったとしても、該第2待機時間T2を補正により増加させるため、転写位置まで移動することを期待できる。
【0143】
さらに画像形成装置1は、IDアップダウン処理手順RT2(
図12)において、カラー印刷を開始する際に、カラーIDユニット16CMYが近接状態であり且つカップリング部50が嵌合状態である場合を除き、ID安定化処理を行うようにした。これにより画像形成装置1は、以前にID安定化処理が行われた後にカラーIDユニット16CMYが離隔状態であった可能性があり、該カラーIDユニット16CMYが中間位置に止まっている可能性がある場合に、該ID安定化処理を確実に行うことができる。
【0144】
そのうえ画像形成装置1は、IDアップダウン処理手順RT2(
図12)において、電源が投入された場合等にID安定化要求をセットし、カラーIDユニット16CMYが近接状態であり且つカップリング部50が嵌合状態であっても、ID安定化を行うようにした。このため画像形成装置1は、カラーIDユニット16CMYが着脱された可能性があり、各IDユニット16が中間位置に止まっている可能性がある場合に、ID安定化処理を確実に実行することができる。
【0145】
これを他の観点から見れば、画像形成装置1は、例えばカラー印刷を行う場合に必ずID安定化処理を行うのでは無く、カラーIDユニット16CMYが離隔状態から近接状態に遷移した後等、中間位置に止まっている可能性がある場合にのみ、該ID安定化処理を行うようにした。これにより画像形成装置1は、カラーIDユニット16CMYが既に転写位置にあるにも関わらずID安定化処理を行う、といった無駄な動作を行うことを未然に回避できる。
【0146】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による画像形成装置1は、IDユニット16の位置決め突起29を、離接ガイド42の溝部42D内で、搬送方向U1に対して傾斜した溝軸線XDに沿った方向に移動させるようにした。画像形成装置1は、カラー印刷を行う際、カラーIDユニット16CMYを下降させた場合にID安定化処理を行い、ID26を回転させると共にその周側面よりも高速で搬送ベルト15を走行させ、該カラーIDユニット16CMYに対して搬送方向U1に向かう力を加えさせて転写位置に到達させる。これにより画像形成装置1は、色ずれを大幅に低減させた高品質な画像を印刷することができる。
【0147】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による画像形成装置201(
図1)は、第1の実施の形態による画像形成装置1と比較して、制御部3に代わる制御部203を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0148】
制御部203は、第1の実施の形態による制御部3(
図9)と比較して、PU制御部70に代わるPU制御部270を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。PU制御部270は、第1の実施の形態によるPU制御部70と比較して、EEPROM74に代わるEEPROM274を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。このEEPROM274には、EEPROM74と一部異なるプログラムを記憶している。
【0149】
次に、画像形成装置201の電源が投入された際の電源投入処理、及び該画像形成装置201が上位装置から印刷データを取得し、CU制御部60において印刷コマンドの作成処理及び画像データへの変換処理が行われた後に、PU制御部270が実行する印刷処理について説明する。
【0150】
[2-1.電源投入処理手順]
PU制御部70は、電源が投入されると、EEPROM274から所定のプログラムを読み出して実行することにより、
図15に示す電源投入処理手順RT20を開始し、最初のステップSP201に移る。ステップSP201においてPU制御部70は、各種設定値の初期化等、所定の電源投入初期化処理を行い、次のステップSP202に移る。ステップSP202においてPU制御部270は、RAM73内にID安定化要求をセットし、次のステップSP203に移る。これによりPU制御部270は、後にカラーの印刷処理を開始する際に、ID安定化処理を確実に行うことが可能となる。
【0151】
ステップSP203においてPU制御部270は、所定のイニシャル処理条件を満たすか否かを判定する。ここでイニシャル処理条件とは、後述するイニシャル処理を実行するために必要な条件である。具体的には、例えばLEDヘッド28(
図2)が未装着である旨のエラーや、温度湿度センサ5(
図1)による検知結果が所定の正常範囲外である旨のエラー等、各種エラーが発生していないことが、該イニシャル処理条件として設定されている。
【0152】
ステップSP203において肯定結果が得られると、PU制御部270は次のステップSP204に移り、サブルーチンとしてイニシャル処理(詳しくは後述する)を実行し、その次のステップSP205に移る。一方、ステップSP203において否定結果が得られると、このことは何らかのエラーが発生している等、イニシャル処理を正常に行い得ない状態であることを表している。このときPU制御部270は、イニシャル処理を行うこと無く、次のステップSP205に移る。ステップSP205においてPU制御部270は、電源投入処理手順RT20を終了する。
【0153】
[2-2.イニシャル処理手順]
次に、電源投入処理手順RT20(
図15)のステップSP204においてサブルーチンとして実行されるイニシャル処理について説明する。PU制御部270は、電源投入処理手順RT20においてステップSP204に移ると、EEPROM274から所定のプログラムを読み出して実行することにより、
図16に示すイニシャル処理手順RT21を開始し、最初のステップSP211に移る。
【0154】
ステップSP211においてPU制御部270は、色ずれ補正処理が必要であるか否かを判定する。具体的にPU制御部270は、例えばRAM73に記憶している各種変数の値や、EEPROM274に格納されている情報等を基に判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、色ずれ補正処理を行う必要があること、該色ずれ補正処理の前にIDアップダウン処理を行う必要があること、さらに場合によってはID安定化処理を行う必要があることを表している。このときPU制御部270は次のステップSP212に移る。
【0155】
ステップSP212においてPU制御部270は、サブルーチンとしてイメージドラム(ID)アップダウン処理(詳しくは後述する)を行い、次のステップSP213に移る。これによりPU制御部270は、カラーIDユニット16CMYを近接状態とし、且つドラム駆動カプラ51等を嵌合状態とするものの、該カラーIDユニット16CMYが中間位置に止まる可能性がある。
【0156】
ステップSP213においてPU制御部270は、RAM73を参照することにより、ID安定化要求がセットされているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、PU制御部270は次のステップSP214に移り、第1の実施の形態と同様にID安定化処理を行い、その次のステップSP215に移る。具体的にPU制御部270は、サブルーチンとしてID安定化処理手順RT4(
図13)を行うことにより、カラーIDユニット16CMYを転写位置(
図6(B))に位置させる。ステップSP215においてPU制御部270は、RAM73にセットされているID安定化要求をクリア(削除)し、次のステップSP216に移る。
【0157】
一方、ステップSP213において否定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYが既に転写位置(
図6(B))に位置する可能性があるため、ID安定化処理を行う必要が無いことを表している。このときPU制御部270は、次のステップSP216に移る。ステップSP216においてPU制御部270は、色ずれ補正処理を実行することにより、用紙Pに転写される各色のトナー画像における位置ずれを適切に補正し、次のステップSP217に移る。
【0158】
また、ステップSP211において否定結果が得られると、PU制御部270はステップSP217に移る。ステップSP217においてPU制御部270はイニシャル処理手順RT21を終了し、元の電源投入処理手順RT20(
図15)に戻る。
【0159】
[2-3.PU印刷処理手順]
次に、画像形成装置201が上位装置から印刷データを取得し、CU制御部60において印刷コマンドの作成処理及び画像データへの変換処理が行われた後に、PU制御部270が実行する印刷処理について説明する。
【0160】
PU制御部270は、上位装置から印刷データを取得したことがCU制御部60から通知されると、EEPROM274から所定のプログラムを読み出して実行することにより、
図17に示すPU印刷処理手順RT22を開始し、最初のステップSP221に移る。因みにPU印刷処理手順RT22(
図17)は、第1の実施の形態におけるPU印刷処理手順RT1(
図11)と一部類似した処理手順となっている。
【0161】
PU制御部270は、ステップSP221~SP223において、第1の実施の形態におけるPU印刷処理手順RT1(
図11)のステップSP1~SP3と同様の処理を行うことにより、IDアップダウン処理を行った後、次のステップSP224に移る。
【0162】
ステップSP224においてPU制御部270は、IDアップダウンセンサ48(
図4)から得られる検知結果を基に、カラーIDユニット16CMYが離隔状態(
図6(B))であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことはカラー印刷を行うために、カラーIDユニット16CMYが下降(ダウン)されて近接状態となっているものの、必ずしも転写位置に到達しておらず、中間位置に位置している可能性があることを表している。このときPU制御部270は、次のステップSP225に移る。
【0163】
ステップSP225においてPU制御部270は、RAM73を参照することにより、ID安定化要求がセットされているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、PU制御部270は、次のステップSP226に移る。
【0164】
ステップSP226においてPU制御部270は、サブルーチンとしてID安定化処理手順RT4(
図13)を行うことにより、カラーIDユニット16CMYを転写位置(
図7(B))に位置させ、次のステップSP227に移る。ステップSP227においてPU制御部270は、RAM73にセットされているID安定化要求をクリア(削除)し、次のステップSP228に移る。
【0165】
一方、ステップSP224において肯定結果が得られると、このことはモノクロ印刷を行うためにカラーIDユニット16CMYが離隔状態となっており、ID安定化処理を行う必要が無いことを表している。このときPU制御部270は、次のステップSP228に移る。
【0166】
また、ステップSP225において否定結果が得られると、このことは、カラーIDユニット16CMYが既に転写位置に位置しているためID安定化処理が不要と判断された等の理由により、ID安定化要求がセットされていないことを表している。このときPU制御部270は、次のステップSP228に移る。
【0167】
ステップSP228においてPU制御部270は、第1の実施の形態におけるPU印刷処理手順RT1(
図12)のステップSP4と同様の印刷搬送処理を行った後、その次のステップSP229に移ってPU印刷処理手順RT22を終了する。
【0168】
[2-4.イメージドラムアップダウン処理手順]
次に、イニシャル処理手順RT21(
図16)のステップSP212及びPU印刷処理手順RT22のステップSP223においてサブルーチンとして実行されるイメージドラム(ID)アップダウン処理について説明する。PU制御部270は、ステップSP212又はステップSP223に移ると、EEPROM274から所定のプログラムを読み出して実行することにより、
図18に示すIDアップダウン処理手順RT23を開始し、最初のステップSP231に移る。因みにIDアップダウン処理手順RT23(
図17)は、第1の実施の形態におけるIDアップダウン処理手順RT2(
図12)と一部類似した処理手順となっている。
【0169】
ステップSP231においてPU制御部270は、例えばイニシャル処理において色ずれ補正を行う場合やPU印刷処理においてカラー印刷を行う場合のように、カラーIDユニット16CMYを近接状態に切り替える要求があるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、PU制御部270次のステップSP232に移る。
【0170】
PU制御部270は、ステップSP232~SP237において、第1の実施の形態におけるIDアップダウン処理手順RT2(
図12)のステップSP22~SP27と同様の処理を行う。そのうえでPU制御部270は、ステップSP237においてカップリング部50を嵌合状態に切り替えると、次のステップSP238に移る。ステップSP238においてPU制御部270は、RAM73にID安定化要求をセットし、次のステップSP243に移る。これによりPU制御部270は、その後の処理において、ID安定化処理を確実に実行することができる。
【0171】
また、ステップSP236において肯定結果が得られると、このことはカラーIDユニット16CMYが近接状態であり、且つカップリング部50が嵌合状態であるため、該カラーIDユニット16CMYが既に転写位置に到達しているはずであり、ID安定化処理を行う必要が無いことを表している。このときPU制御部270は、次のステップSP243に移る。
【0172】
一方、ステップSP231において否定結果が得られると、このことは、例えばモノクロ印刷を行う場合のように、カラーIDユニット16CMYを離隔状態に切り替える必要があることを表している。このときPU制御部270は、次のステップSP239に移る。PU制御部270は、ステップSP239~SP242において、第1の実施の形態におけるIDアップダウン処理手順RT2(
図12)のステップSP31~SP34と同様の処理を行い、次のステップSP243に移る。
【0173】
ステップSP243においてPU制御部270は、IDアップダウン処理手順RT23を終了し、元の処理手順(イニシャル処理手順RT21又はPU印刷処理手順RT22)に戻る。
【0174】
[2-5.効果等]
以上の構成において、第2の実施の形態による画像形成装置201は、第1の実施の形態と同様、離接部40によりカラーIDユニット16CMYを近接状態又は離隔状態に切り替えさせ、このとき各IDユニット16の位置決め突起29を離接ガイド42の溝部42D内で溝軸線XDに沿った方向に移動させる(
図5及び
図6)。
【0175】
そのうえで画像形成装置201は、印刷処理においてカラー印刷を行う際、一定の条件を満たす場合に、ID安定化処理を行い、ID26を回転させると共にこれよりも高速で搬送ベルト15を走行させる(
図13及び
図14)。これにより画像形成装置201は、第1の実施の形態と同様、位置決め突起29を溝部42Dに沿って後斜め下方向へ移動させ、その結果としてカラーIDユニット16CMYを転写位置に到達させ、色ずれを大幅に低減させた高品質な画像を印刷することができる。
【0176】
また画像形成装置201は、PU印刷処理手順RT22(
図17)に従いカラー印刷を行う場合の他に、イニシャル処理手順RT21(
図16)において色ずれ補正処理を行う場合にも、ID安定化処理を行うようにした。これにより画像形成装置201は、カラーIDユニット16CMYを確実に転写位置に位置させた状態で色ずれ補正処理を行うことができるので、その精度を格段に高めることができ、結果的に色ずれを大幅に低減させた高品質な画像を印刷することができる。
【0177】
画像形成装置201は、その他の点においても第1の実施の形態による画像形成装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0178】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による画像形成装置201は、IDユニット16の位置決め突起29を、離接ガイド42の溝部42D内で、搬送方向U1に対して傾斜した溝軸線XDに沿った方向に移動させるようにした。画像形成装置201は、印刷処理や色ずれ補正処理を行う前にID安定化処理を行い、ID26を回転させると共にその周側面よりも高速で搬送ベルト15を走行させ、該カラーIDユニット16CMYに対して搬送方向U1に向かう力を加えさせて転写位置に到達させる。これにより画像形成装置201は、色ずれを大幅に低減させた高品質な画像を印刷することができる。
【0179】
[3.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、ID安定化処理手順RT4(
図13)において、搬送ベルト15の走行速度である速度VB1を96[mm/s]とし、ID26の周側面における速度VD1を72[mm/s]として、速度VD1に対する速度VB1の比率である速度比を1.33とする場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、速度比を例えば1.25や1.60等、他の種々の値としても良い。この場合、速度比を1.2以上2.0以下の範囲内とすることにより、カラーIDユニット16CMYに対し搬送方向U1に向けて適切な力を作用させることを期待できる。第2の実施の形態についても同様である。
【0180】
また上述した第1の実施の形態においては、離接部40(
図4)においてリフトアップスライド43を搬送方向U1側又は反搬送方向U2側へ移動させ、カラーIDユニット16CMYの下平坦部20B等に近接部43A又は離隔部43Cを当接させることにより、該カラーIDユニット16CMYを上昇又は下降させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば装置筐体2内にカラーIDユニット16CMYを支持する支持部を設けると共に、当該支持部をアクチュエータ等によって上下方向へ移動させることにより、該カラーIDユニット16CMYを上昇又は下降させても良い。また、3色のカラーIDユニット16CMYをまとめて上昇又は下降させる構成に限らず、例えば各色のIDユニット16を個別に上昇又は下降させる構成としても良い。要は、周知の種々の手法を用いることにより、カラーIDユニット16CMYを上昇又は下降させることができる。第2の実施の形態についても同様である。
【0181】
さらに上述した第1の実施の形態においては、離接部40の離接ガイド42(
図5)に設ける溝部42Dにおいて、溝軸線XDの搬送法線XNに対する傾斜角度αNを約15[°]とする場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、傾斜角度αNを約30[°]や約10[°]等、他の種々の角度としても良い。この場合、傾斜角度αNは、少なくとも0<αN<90[°]を満たせば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0182】
さらに上述した第1の実施の形態においては、離接部40の離接ガイド42(
図5)に設ける溝部42Dを、溝軸線XDに沿った直線状に形成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、溝部42Dを、例えば曲線状や、直線と曲線とを接合させたような形状等、種々の形状としても良い。これらの場合、搬送路Uに近づく(すなわち下降する)に連れて搬送方向U1へ進むように傾斜した部分を少なくとも一部に有していれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0183】
さらに上述した第1の実施の形態においては、IDユニット16のID筐体20側に位置決め突起29を設けると共に装置筐体2側の離接ガイド42に溝部42Dを形成する場合について述べた(
図2、
図3及び
図5)。しかし本発明はこれに限らず、例えばIDユニット16のID筐体20側に溝部を形成し、装置筐体2側の離接ガイド42に位置決め突起を設けても良い。要は、装置筐体2内におけるIDユニット16の搬送方向U1に関する位置を規制しながら、搬送路Uに対してID26を近接又は離隔させるように移動させることができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0184】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ID安定化処理手順RT4(
図13)において、IDユニット16におけるトナー収容部21のトナー残量に応じて第2待機時間T2に補正値を加算する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばトナー残量に関わらず、第2待機時間T2を補正せずにそのまま使用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0185】
さらに上述した第1の実施の形態においては、IDアップダウン処理手順RT2(
図12)のステップSP26及びSP28において、カップリング部50が嵌合状態であり、且つID安定化要求がセットされていなければ、ID安定化処理を行わない場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばカップリング部50が嵌合状態であり、且つID安定化要求がセットされていない場合にも、ID安定化処理を行うようにしても良い。
【0186】
さらに上述した第2の実施の形態においては、IDアップダウン処理手順RT23(
図18)のステップSP236において、カップリング部50が嵌合状態であれば、ID安定化要求をセットせず、ID安定化処理を行わない場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばカップリング部50が嵌合状態であった場合にも、ID安定化要求をセットしてID安定化処理を行うようにしても良い。
【0187】
さらに上述した第1の実施の形態においては、制御部3(
図9)におけるPU制御部70のEEPROM74に各種プログラムを予め記憶させておき、当該プログラムを読み出して実行する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図示しないサーバ装置等からCU制御部60及びホストインタフェース65等を介して取得したプログラムを実行しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0188】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成装置1(
図1)に4色分のIDユニット16を設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば白色や透明色(クリア)、或いは金色や銀色等、特色と呼ばれる色のトナー画像を形成する1個以上のIDユニット16をさらに設け、合計5個以上のIDユニット16を設けても良い。この場合、特色を使用した印刷処理を行う場合に、当該特色のIDユニット16をカラーIDユニット16CMYと共に近接状態としてID安定化処理を行うことができる。第2の実施の形態についても同様である。
【0189】
さらに上述した第1の実施の形態においては、LED素子を有するLEDヘッド28(
図2)によりイメージドラム26を露光する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばレーザ光を出射するレーザヘッドによりイメージドラム26を露光しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0190】
さらに上述した第1の実施の形態においては、中搬送部13における搬送ベルト15の上側部分、すなわち搬送路Uの一部分を、水平方向に対して約10[°]傾斜させる場合について述べた(
図1)。しかし本発明はこれに限らず、中搬送部13における搬送ベルト15の上側部分を他の角度に傾斜させても良く、或いは傾斜させずに水平としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0191】
さらに上述した第1の実施の形態においては、IDユニット16を搬送路Uに当接する箇所に配置し、該IDユニット16のID26から搬送路U上の用紙Pにトナー画像を直接転写する、いわゆる直接転写方式の画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた(
図1)。しかし本発明はこれに限らず、例えば各IDユニット16から中間転写ベルトに各トナー画像を順次転写して重畳させ、該中間転写ベルトから用紙Pに重畳したトナー画像を転写する中間転写方式の画像形成装置に本発明を適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0192】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成装置1内の左フレーム31及び右フレーム32等(
図3)に離接部40の離接ガイド42やリフトアップスライド43等を設け、IDユニット16を装着させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば特許文献1のように、装置筐体2に対してスライド等が可能なバスケットを設け、当該バスケットに離接部40の離接ガイド42やリフトアップスライド43等を設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0193】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0194】
さらに上述した実施の形態においては、単機能のプリンタ(すなわちSFP)である画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばプリンタ機能の他にイメージスキャナ機能や通信機能等を有し、複写機(コピー機)やファクシミリ装置としても動作し得る複合機、すなわちいわゆるMFP(Multi Function Peripheral / Printer)に適用しても良い。また本発明は、例えばファクシミリ装置や複写機等、電子写真式の印刷機能を有する種々の装置に適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0195】
さらに上述した実施の形態においては、装置筐体としての装置筐体2と、画像形成部としてのイメージドラム26と、搬送部としての中搬送部13と、離接部としての離接部40と、離接駆動部としての定着モータ38と、変位規制部としての変位規制部49と、制御部としての制御部3とによって画像形成装置を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる装置筐体と、画像形成部と、搬送部と、離接部と、離接駆動部と、変位規制部と、制御部とによって画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、例えば電子写真方式によりカラー印刷及びモノクロ印刷を行い得る画像形成装置で利用できる。
【符号の説明】
【0197】
1、201……画像形成装置、2……装置筐体、2S……内部空間、3、203……制御部、13……中搬送部、15……搬送ベルト、16……IDユニット、16CMY……カラーIDユニット、20……ID筐体、21……トナー収容部、21S……トナー残量センサ、26……イメージドラム、26J……ID連結部、29……位置決め突起、37……給紙モータ、38……定着モータ、40……離接部、42……離接ガイド、42D……溝部、48……IDアップダウンセンサ、49……変位規制部、50……カップリング部、51……ドラム駆動カプラ、55……IDカップリングセンサ、70、270……PU制御部、T1……第1待機時間、T2……第2待機時間、U……搬送路、U1……搬送方向、U2……反搬送方向、VB1……速度、VD1……速度、XD……溝軸線、XH……水平軸線、XN……搬送法線、XU……搬送軸線、XV……鉛直軸線、αN、αV、βH、βU……傾斜角度。