(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149835
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ガラス板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 35/00 20060101AFI20220929BHJP
B08B 1/02 20060101ALI20220929BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
C03B35/00
B08B1/02
B08B3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052158
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】鑑継 薫
(72)【発明者】
【氏名】星野 愛信
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
4G015
【Fターム(参考)】
3B116AA02
3B116AB16
3B116BA08
3B116BA13
3B116BA14
3B116CA01
3B116CC01
3B116CC03
3B201AA02
3B201AB16
3B201BA08
3B201BA13
3B201BA14
3B201BB21
3B201BB93
3B201BB94
3B201CA01
3B201CB11
3B201CC01
3B201CC11
4G015GA00
(57)【要約】
【課題】 ガラス板を破損させることなく搬送する。
【解決手段】 ガラス板の製造方法は、傾斜姿勢のガラス板Gの表面G1,G2に搬送ローラ7を接触させることによりガラス板Gを搬送する搬送工程を含む。搬送工程は、ガラス板Gの端部Gcに規制ローラ8を接触させる接触工程を含む。規制ローラ8は、回転可能に保持されるローラ部11を有する。ローラ部11は、外皮となる弾性体13と、弾性体13を支持する支持部14と、ローラ部11に内包される空間部15と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜姿勢のガラス板の表面に搬送ローラを接触させることにより前記ガラス板を搬送する搬送工程を含むガラス板の製造方法であって、
前記搬送工程は、前記ガラス板の端部に規制ローラを接触させる接触工程を含み、
前記規制ローラは、回転可能に保持されるローラ部を有し、
前記ローラ部は、外皮となる弾性体と、前記弾性体を支持する支持部と、前記ローラ部に内包される空間部と、を有することを特徴とするガラス板の製造方法。
【請求項2】
前記弾性体は、筒状に構成されており、
前記支持部は、前記弾性体の軸方向の端部を支持しており、
前記空間部は、前記弾性体の軸方向の中間部に対応するように、前記弾性体の内側に設けられる請求項1に記載のガラス板の製造方法。
【請求項3】
前記弾性体は、ゴムを含む請求項1又は2に記載のガラス板の製造方法。
【請求項4】
前記ガラス板の厚みは、0.8mm以下である請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項5】
前記接触工程の前工程として、前記ガラス板を搬送しながら前記ガラス板の前記表面を擦り洗浄する洗浄工程を含む請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のパネルディスプレイは、高精細化が推進されている。これに伴い、ディスプレイ用の基板として用いられるガラス板には、当該ディスプレイの製造工程で緻密な電気回路が形成される。したがって、この種のガラス板には、塵や汚れが付いていない高い清浄性が要求される。
【0003】
そこで、ガラス板の製造工程では、ガラス原板から所定サイズのガラス板を切り出し、その切り出したガラス板の切断端面を加工した後に、ガラス板を洗浄装置によって洗浄する洗浄工程が設けられる場合がある。
【0004】
例えば特許文献1には、複数の搬送ローラによって、ガラス板を所定の搬送方向に沿って搬送しつつ、ガラス板の表面及び裏面を洗浄具としてのロールブラシによって洗浄する洗浄装置が開示されている。
【0005】
この洗浄装置には、ガラス板の搬送方向の上流側から下流側に向けて、位置決めエリア、アルカリ洗浄エリア、純水洗浄エリア、及び乾燥エリアが設けられている。洗浄装置は、アルカリ洗浄エリア及び純水洗浄エリアにおいて、複数のロールブラシをガラス板の表面に接触させることで、当該ガラス板の洗浄を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来の洗浄装置では、ガラス板の表面に付着する異物や汚れを除去するために、ロールブラシをガラス板に押し付ける必要がある。このため、ガラス板は、位置決めエリアで位置決めされた場合であっても、アルカリ洗浄エリアを通過した時点で、位置ずれを生じ得る。
【0008】
乾燥エリアで乾燥処理を受けたガラス板は、洗浄装置から取り出され、ディスプレイの製造工程に移送するために梱包される場合がある。この梱包作業を効率良く行うために、洗浄工程(アルカリ洗浄工程)を通過した後に、ガラス板の位置決めを行うことが望ましい。このための手段として、搬送中のガラス板の端部にローラ等の規制部材を接触させることが考えられる。
【0009】
しかしながら、ガラス板の端部が規制部材に接触すると、その衝撃により端部の破損を招くおそれがあった。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、ガラス板を破損させることなく搬送することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、傾斜姿勢のガラス板の表面に搬送ローラを接触させることにより前記ガラス板を搬送する搬送工程を含むガラス板の製造方法であって、前記搬送工程は、前記ガラス板の端部に規制ローラを接触させる接触工程を含み、前記規制ローラは、回転可能に保持されるローラ部を有し、前記ローラ部は、外皮となる弾性体と、前記弾性体を支持する支持部と、前記ローラ部に内包される空間部と、を有することを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、接触工程において、ガラス板の端部は規制部材の外皮である弾性体に接触することになる。この場合において、ローラ部に空間部が内包されていることで、弾性体は、この空間部を介して弾性変形し易くなっている。したがって、弾性体の弾性変形により、ガラス板が規制ローラに接触した際の衝撃を低減し、ガラス板の端部の破損を防止することができる。
【0013】
本方法において、前記弾性体は、筒状に構成されており、前記支持部は、前記弾性体の軸方向の端部を支持しており、前記空間部は、前記弾性体の軸方向の中間部に対応するように、前記弾性体の内側に設けられてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、弾性体の軸方向の中間部にガラス板の端部が接触した場合に、この中間部は、空間部の存在によって、支持部に接触することなく弾性変形することができる。これにより、規制ローラは、ガラス板の端部が接触した際の衝撃を効果的に吸収することができる。
【0015】
本方法において、前記弾性体は、ゴムを含んでもよい。これによれば、適度な弾性を付与できるだけでなく、弾性体を耐久性、耐摩耗性に優れたものにできる。したがって、弾性体を長期間にわたり使用できるとともに、摩耗粉がガラス板に付着することも防止できる。
【0016】
本方法において、前記ガラス板の厚みは、0.8mm以下であってもよい。このように、端部が破損し易い薄型のガラス板を製造する場合には、本発明の効果が特に顕著となる。
【0017】
本方法は、前記接触工程の前工程として、前記ガラス板を搬送しながら前記ガラス板の前記表面を擦り洗浄する洗浄工程を含んでもよい。洗浄工程において擦り洗浄を行う場合には、ガラス板の位置ずれが生じやすく、その後の接触工程で意図しない衝撃が発生し易くなる。したがって、このような状況において本発明を適用することで、その効果が顕著となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガラス板を破損させることなく搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図15】ガラス板の製造方法を示すフローチャートである。
【
図17】供給搬送工程及び第一洗浄搬送工程を示す平面図である。
【
図18】第一洗浄搬送工程及び第二洗浄搬送工程を示す平面図である。
【
図19】第二洗浄搬送工程及びリンス搬送工程を示す平面図である。
【
図20】リンス搬送工程及び乾燥搬送工程を示す平面図である。
【
図21】第二洗浄搬送工程及びリンス搬送工程の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至
図20は、本発明に係るガラス板の製造方法の一実施形態を示す。
【0021】
図1は、本方法によって製造されるガラス板Gを示す。ガラス板Gは、例えばオーバーフローダウンドロー法によって形成される長尺状のガラスリボンを切断することにより構成される。オーバーフローダウンドロー法は、断面が略くさび形の成形体の上部に設けられたオーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、このオーバーフロー溝から両側に溢れ出た溶融ガラスを成形体の両側の側壁部に沿って流下させながら、成形体の下端部で融合一体化し、ガラスリボンを連続成形するというものである。ガラス板Gは、オーバーフローダウンドロー法に限らず、フロート法その他の各種の成形法により製造され得る。
【0022】
ガラス板Gは、矩形状に構成されるが、この形状に限定されるものではない。ガラス板Gは、第一主面G1と、第二主面G2とを含む。本実施形態において、第一主面G1は保証面とされており、第二主面G2は非保証面とされている。ここで、「保証面」とは、例えばディスプレイの製造過程において透明導電膜等の成膜処理が施される側の面を意味する。ガラス板Gのサイズは、例えば500×600mm~3100×3500mmとされる。ガラス板Gの厚みは、0.8mm以下とされることが好ましく、より好ましくは0、6mm以下である。
【0023】
ガラス板Gは、搬送方向(進行方向ともいう)GXに沿って搬送されながら、所定の洗浄処理を受ける。ガラス板Gは、進行方向GXにおける前側に位置する前端部Gaと、前端部Gaの後方(搬送方向GXにおける上流側)に位置する後端部Gbと、前端部Gaと後端部Gbとの間に位置する第一側端部Gc及び第二側端部Gdと、を含む。前端部Ga、後端部Gb、第一側端部Gc及び第二側端部Gdは、直線状の辺により構成される。ガラス板Gの第一側端部Gcにおいて、進行方向GXの前側に位置する半分を前半部分FHといい、前半部分FHの後側に位置する半分を後半部分RHという。
【0024】
ガラス板Gは、例えば、ケイ酸塩ガラス、シリカガラスが用いられ、好ましくはホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、化学強化ガラス、無アルカリガラスにより構成される。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分の重量比が3000ppm以下のガラスのことである。本発明におけるアルカリ成分の重量比は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、最も好ましくは300ppm以下である。
【0025】
図2及び
図3は、本方法に使用されるガラス板Gの製造装置の一部である洗浄装置を示す。洗浄装置1は、供給部2と、洗浄部3と、リンス部4と、乾燥部5とを主に備える。この他、洗浄装置1は、供給部2から乾燥部5までガラス板Gを連続的に搬送する搬送装置6を備える。
【0026】
搬送装置6は、搬送ローラ7及び規制ローラ8を基本の構成要素として備える。搬送装置6は、供給部2、リンス部4及び乾燥部5において、ガラス板Gが所定の基準位置に位置するように、ガラス板Gの位置を規制ローラ8によって規制する。ガラス板Gの基準位置とは、ガラス板Gの第一側端部Gcが規制ローラ8に接触した状態における当該ガラス板Gの位置をいう。
図3では、ガラス板Gの第一側端部Gcと複数の規制ローラ8との接触位置を結ぶ直線(以下「基準線」という)BLを二点鎖線で示す(以下、他の図面において同じ)。基準位置にあるガラス板Gは、第一側端部Gcがこの基準線BLと一致した状態となる。
【0027】
供給部2は、前工程(切断工程、端面加工工程)を経て矩形状に加工されたガラス板Gを洗浄部3に供給する。供給部2において、搬送装置6は、ガラス板Gを基準位置に位置するように規制した状態で洗浄部3に向かって搬送する。
図4及び
図5に示すように、搬送装置6は、ガラス板Gを挟持する複数対の搬送ローラ7a,7bと、ガラス板Gの第一側端部Gcに接触する複数の規制ローラ8とを含む。
【0028】
対の搬送ローラ7a,7bは、ガラス板Gの第一主面G1に接触する上側搬送ローラ7aと、ガラス板Gの第二主面G2に接触する下側搬送ローラ7bとを含む。各搬送ローラ7a,7bは、円柱状のローラ部9と、当該ローラ部9を支持する軸部10とを備える。
【0029】
ローラ部9は、軸方向における第一端部9aと、第二端部9bとを含む。第一端部9aは、ガラス板Gの第一側端部Gc側に位置し、第二端部9bは、ガラス板Gの第二側端部Gd側に位置する。ローラ部9は、例えば弾性部材により円筒状に構成され得る。ローラ部9は、例えば発泡樹脂成形体若しくは発泡ゴム成形体(フォームスポンジ)、又はフェルト状の繊維成形体(フェルトスポンジ)等により構成され得る。
【0030】
軸部10は、例えば金属製の棒状部材により構成される。軸部10は、ローラ部9の内部を貫通している。軸部10は、図示しない駆動装置に連結されており、当該駆動装置によって回転駆動される。
【0031】
図4に示すように、各搬送ローラ7a,7bは、平面視において、ガラス板Gの搬送方向GXに直交する方向(Y軸方向)に対して、傾斜することなく、平行である。
図5に示すように、各搬送ローラ7a,7bは、正面視において、水平方向(Y軸方向)に対して傾斜している。すなわち、各搬送ローラ7a,7bは、ローラ部9の第一端部9aが上下方向(Z軸方向)において第二端部9bよりも下方に位置するように傾斜している。水平方向(Y軸方向)に対する搬送ローラ7a,7bの傾斜角度θ1,θ2は、2~15°とされることが好ましい。上側搬送ローラ7aの傾斜角度θ1は、下側搬送ローラ7bの傾斜角度θ2と等しい。供給部2において、搬送装置6は、上記のように傾斜する搬送ローラ7a,7bによってガラス板Gを挟持することで、当該ガラス板Gを傾斜姿勢で搬送することができる。
【0032】
図6に示すように、規制ローラ8は、ガラス板Gの第一側端部Gcに接触するように、各搬送ローラ7a,7bの第一端部9aの近傍に配置されている。規制ローラ8は、ローラ部11と、ローラ部11を回転可能に保持する軸部12とを有する。
【0033】
ローラ部11は、外皮となる弾性体13と、弾性体13を支持する支持部(リム)14と、支持部14に内包される空間部15と、を有する。
【0034】
弾性体13は、例えばゴムにより構成されているが、樹脂により構成されてもよい。弾性体13(ゴム)のショアA硬度は、40~80であることが好ましい。弾性体13の厚みは、2~20mmであることが好ましい。弾性体13は、筒状(例えば円筒状)に構成されている。弾性体13の内側には、支持部14が挿通されている。弾性体13の軸方向の各端部13a,13bは、支持部14によって支持されている。弾性体13の軸方向の中間部13cは、空間部15の存在により、支持部14に支持されていない。
【0035】
支持部14は、例えば樹脂やセラミック等により、筒状(例えば円筒状)に構成されている。空間部15は、弾性体13の軸方向の中間部13cに対応するように、弾性体13の内側に設けられる。空間部15は、支持部14の軸方向の中間部に形成される凹部16によって構成される。凹部16は、支持部14の全周に亘って環状に構成されている。支持部14は、この凹部16を除く外周面が弾性体13の内周面に接触している。空間部15の深さは例えば1~30mmとすることができ、空間部15の軸方向の長さは例えば5~30mmとすることができる。
【0036】
軸部12は、例えば金属製の棒状部材により構成される。軸部12は、支持部14の内側に挿通されている。軸部12は、傾斜姿勢で搬送されるガラス板Gの傾斜方向とほぼ直交するように、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜している。なお、軸部12は、軸受けを介してローラ部11(支持部14)を回転可能に保持してもよい。
【0037】
図6に示すように、規制ローラ8は、空間部15の範囲内においてガラス板Gの第一側端部Gcを弾性体13の中間部13cに接触させる。このように弾性体13の中間部13cは、空間部15に対応する位置でガラス板Gと接触することから、支持部14の外周面によって規制されることなく弾性変形することが可能である。このため、弾性体13は、空間部15が存在しない場合と比較してガラス板Gが接触したときに弾性変形し易くなっている。
【0038】
規制ローラ8は、上記の構成に限らず、種々の変形・変更が可能である。例えば、規制ローラ8の外皮となる弾性体13は、発泡樹脂成形体若しくは発泡ゴム成形体等により構成されてもよい。この場合、凹部16が形成されていなくとも、弾性体13の内部に含まれる気泡が、弾性体13の変形を許容する空間部15として機能する。すなわち、気泡を有する弾性体13にガラス板Gが接触した場合、この弾性体13に含まれる空間部としての気泡が変形を許容するように収縮する。これにより、弾性体13は、ガラス板Gが接触した際に、弾性変形し易くなる。
【0039】
【0040】
図7に示す例において、規制ローラ8の支持部14は、その外面に、弾性体13の軸方向の端面13dに接触する突起部17を有する。突起部17は、支持部14の軸方向の各端部14a,14bに形成されている。突起部17は、支持部14の外面の全周にわたって環状(又はフランジ状)に形成されている。突起部17は、弾性体13の軸方向の位置を規制する規制部(位置決め部)として機能する。
【0041】
図8に示す例において、規制ローラ8は、複数の支持部14A,14B、すなわち、第一支持部14Aと、第二支持部14Bとを備える。第一支持部14A及び第二支持部14Bは同一形状とされており、軸方向の一端部14aに凹部16a,16bを有し、軸方向の他端部14bに突起部17を有する。第一支持部14Aと第二支持部14Bは、軸方向の一端部14a同士を接触させ、各凹部16a,16bを一体化することで、弾性体13の中間部13cの内側に空間部15を内包する。
【0042】
図9に示す例において、規制ローラ8は、
図8と同様に、第一支持部14A及び第二支持部14Bとを含むが、
図8の例における凹部16a,16bを有していない。第一支持部14Aと第二支持部14Bは、その軸方向において所定の間隔で離間された状態で軸部12に支持されている。これにより、第一支持部14Aと第二支持部14Bは、その間に空間部15を内包する。
【0043】
図2及び
図3に示すように、洗浄部3は、供給部2から供給されたガラス板Gを搬送装置6によって搬送しつつ、ガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2に対する擦り洗浄を行うことができる。洗浄部3は、ガラス板Gの搬送方向GXにおける上流側に位置する第一洗浄部3aと、下流側に位置する第二洗浄部3bと、を含む。
【0044】
第一洗浄部3aは、第一洗浄具18a,18bと、搬送装置6における搬送ローラ(以下「第一洗浄搬送ローラ」という)7c,7dとを備える。第一洗浄部3aにおいて、搬送装置6の規制ローラ8は配備されていない。
【0045】
第一洗浄具18a,18bは、例えば洗浄ローラにより構成されるが、この構成に限定されず、洗浄ディスクその他の各種洗浄具により構成され得る。洗浄ローラは、ブラシやスポンジ(例えばPVAスポンジ)、不織布で構成することができる。第一洗浄具18a,18bは、ガラス板Gの第一主面G1に接触する上側洗浄具18aと、ガラス板Gの第二主面G2に接触する下側洗浄具18bとを含む。第一洗浄具18a,18bは、上側洗浄具18aと下側洗浄具18bとによってガラス板Gを挟んだ状態で、当該ガラス板Gに対して擦り洗浄を行う。
【0046】
第一洗浄搬送ローラ7c,7dは、ガラス板Gの第一主面G1に接触する上側洗浄搬送ローラ7cと、ガラス板Gの第二主面G2に接触する下側洗浄搬送ローラ7dとを含む。第一洗浄搬送ローラ7c,7dは、ローラ部9と、軸部10とを備える。ローラ部9及び軸部10の構成は、供給部2における搬送ローラ7a,7bのローラ部9及び軸部10と同じである。
【0047】
図10に示すように、第一洗浄搬送ローラ7c,7dは、平面視において、ローラ部9の第一端部9aが第二端部9bよりもガラス板Gの進行方向GXにおける前方(下流側)に位置するように傾斜している。ガラス板Gの搬送方向GXに直交する方向(Y軸方向)に対する上側洗浄搬送ローラ7cの傾斜角度θ3は、対応する下側洗浄搬送ローラ7dの傾斜角度θ4と等しい。この傾斜角度θ3,θ4は、0.05~1°とされることが好ましい。
【0048】
図11に示すように、第一洗浄搬送ローラ7c,7dは、正面視において、水平方向(Y軸方向)に対して所定の角度θ5,θ6で傾斜している。すなわち、第一洗浄搬送ローラ7c,7dは、ローラ部9の第一端部9aが上下方向(Z軸方向)において第二端部9bよりも下方に位置するように傾斜している。
【0049】
上側洗浄搬送ローラ7cの水平方向(Y軸方向)に対する傾斜角度θ5は、対応する下側洗浄搬送ローラ7dの傾斜角度θ6と異なる。すなわち、上側洗浄搬送ローラ7cの傾斜角度θ5は、下側洗浄搬送ローラ7dの傾斜角度θ6よりも小さい。
【0050】
第一洗浄搬送ローラ7c,7dの傾斜角度θ5,θ6は、上記の態様に限定されない。第一洗浄搬送ローラ7c,7dは、ローラ部9の第一端部9aから第二端部9bに向かうにつれて、上側洗浄搬送ローラ7cと下側洗浄搬送ローラ7dの軸間距離が徐々に短くなるように配置されていればよい。
【0051】
上記のような傾斜角度θ5,θ6の相違により、上側洗浄搬送ローラ7cの第二端部9bと、下側洗浄搬送ローラ7dの第二端部9bとの間隔(軸心間の距離)D2は、上側洗浄搬送ローラ7cの第一端部9aと、下側洗浄搬送ローラ7dの第一端部9aとの間隔(軸心間の距離)D1よりも小さくなる。間隔D1と間隔D2の差(D1-D2)は1~4mmとすることが好ましい。
【0052】
この構成により、上側洗浄搬送ローラ7cと下側洗浄搬送ローラ7dとによってガラス板Gを挟持した場合、第一洗浄搬送ローラ7c,7dにおけるローラ部9の第二端部9b側の部分は、第一端部9a側の部分よりも大きく弾性変形する。したがって、第一洗浄搬送ローラ7c,7dの各ローラ部9は、ガラス板Gを搬送する場合に、第二端部9b側の部分が、第一端部9a側の部分よりも大きな接触圧力(弾性復元力)で当該ガラス板Gを押圧する。
【0053】
図2、
図3及び
図12に示すように、第二洗浄部3bは、第二洗浄具19a,19bと、搬送装置6の搬送ローラ(以下「第二洗浄搬送ローラ」という)7e,7fとを備える。第二洗浄部3bにおいて、搬送装置6の規制ローラ8は配備されていない。
【0054】
第二洗浄具19a,19bは、複数の洗浄ディスクをガラス板Gの幅方向に整列させて配置することにより構成されるが、この構成に限定されず、洗浄ローラその他の各種洗浄具により構成されてもよい。第二洗浄具19a,19bは、ガラス板Gの第一主面G1に接触する上側洗浄具19aと、ガラス板Gの第二主面G2に接触する下側洗浄具19bとを含む。
【0055】
第二洗浄搬送ローラ7e,7fは、ガラス板Gの第一主面G1に接触する上側洗浄搬送ローラ7eと、ガラス板Gの第二主面G2に接触する下側洗浄搬送ローラ7fとを含む。第二洗浄搬送ローラ7e,7fは、ローラ部9と、軸部10とを備える。ローラ部9及び軸部10の構成は、第一洗浄搬送ローラ7c,7dのローラ部9及び軸部10と同じである。
【0056】
図12に示すように、第二洗浄搬送ローラ7e,7fは、平面視において、ローラ部9の第一端部9aが第二端部9bよりもガラス板Gの進行方向GXにおける前方に位置するように傾斜している。第二洗浄搬送ローラ7e,7fの傾斜角度θ7,θ8は、第一洗浄搬送ローラ7c,7dの傾斜角度θ3,θ4と等しい。これに限らず、第二洗浄搬送ローラ7e,7fの傾斜角度θ7,θ8は、第一洗浄搬送ローラ7c,7dの傾斜角度θ3,θ4と異なっていてもよい。
【0057】
第二洗浄搬送ローラ7e,7fは、正面視において、ローラ部9の第一端部9aが上下方向(Z軸方向)において第二端部9bよりも下方に位置するように傾斜している(
図11参照)。上側洗浄搬送ローラ7eの水平方向(Y軸方向)に対する傾斜角度θ9(
図11参照)は、第一洗浄部3aにおける上側洗浄搬送ローラ7cの傾斜角度θ5と等しい。下側洗浄搬送ローラ7fの水平方向(Y軸方向)に対する傾斜角度θ10(
図11参照)は、第一洗浄部3aにおける下側洗浄搬送ローラ7dの傾斜角度θ6と等しい。この構成に限らず、第二洗浄搬送ローラ7e,7fの傾斜角度θ9,θ10は、第一洗浄搬送ローラ7c,7dの傾斜角度θ5,θ6と異なっていてもよい。
【0058】
図2、
図3及び
図13に示すように、リンス部4は、リンス液供給部4a,4bと、搬送装置6における搬送ローラ7g,7h及び規制ローラ8と、を備える。リンス液供給部4a,4bは、ガラス板Gの第一主面G1にリンス液を供給する第一リンス液供給部4aと、ガラス板Gの第二主面G2にリンス液を供給する第二リンス液供給部4bとを含む。
【0059】
第一リンス液供給部4aは、搬送ローラ7g,7hよりも上方に配置されている。第一リンス液供給部4aは、下方に向かってリンス液を噴出する。第二リンス液供給部4bは、搬送ローラ7g,7hよりも下方に配置されている。第二リンス液供給部4bは、上方に向かってリンス液を噴出する。
【0060】
搬送ローラ7g,7hは、ガラス板Gの第一主面G1に接触する上側搬送ローラ7gと、ガラス板Gの第二主面G2に接触する下側搬送ローラ7hとを含む。リンス部4における搬送ローラ7g,7h及び規制ローラ8の構成は、供給部2における搬送ローラ7a,7b及び規制ローラ8と同じである。搬送ローラ7g,7hは、供給部2における搬送ローラ7a,7bと同じ角度θ1,θ2で傾斜している。
【0061】
図2、
図3及び
図14に示すように、乾燥部5は、エアナイフ5a,5bと、搬送装置6における搬送ローラ7i,7j及び規制ローラ8と、を備える。エアナイフ5a,5bは、ガラス板Gの第一主面G1にエアを吹き付ける上側エアナイフ5aと、ガラス板Gの第二主面G2にエアを吹き付ける下側エアナイフ5bとを含む。
【0062】
搬送ローラ7i,7jは、ガラス板Gの第一主面G1に接触する上側搬送ローラ7iと、ガラス板Gの第二主面G2に接触する下側搬送ローラ7jとを含む。乾燥部5における搬送ローラ7i,7j及び規制ローラ8の構成は、リンス部4における搬送ローラ7g,7h及び規制ローラ8と同じである。搬送ローラ7i,7jは、供給部2における搬送ローラ7a,7bと同じ角度θ1,θ2で傾斜している。なお、乾燥部5における規制ローラ8には、空間部15を有さなくてもよい。
【0063】
以下、上記構成の洗浄装置1を使用してガラス板Gを製造する方法について説明する。
図15に示すように、本方法は、洗浄工程S1と、リンス工程S2と、乾燥工程S3とを主に備える。この他、本方法は、洗浄工程S1から乾燥工程S3までガラス板Gを搬送する搬送工程を備える。
【0064】
洗浄工程S1は、第一洗浄部3aによってガラス板Gを洗浄する第一洗浄工程と、第二洗浄部3bによってガラス板Gを洗浄する第二洗浄工程とを含む。
【0065】
第一洗浄工程では、上側洗浄具18aをガラス板Gの第一主面G1に接触させ、下側洗浄具18bをガラス板Gの第二主面G2に接触させた状態で、各洗浄具18a,18bを回転させる。この際、ガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2には所定の洗浄液が供給される。これにより、ガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2に付着している異物、汚れが除去される。
【0066】
第二洗浄工程では、第二洗浄部3bに搬入されたガラス板Gの第一主面G1に上側洗浄具19aを接触させ、ガラス板Gの第二主面G2に下側洗浄具19bを接触させた状態で、各洗浄具19a,19bを回転させる。この際、ガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2には所定の洗浄液が供給される。これにより、ガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2に残存する異物、汚れが除去される。
【0067】
リンス工程S2では、リンス部4において、第一リンス液供給部4aおよび第二リンス液供給部4bから吐出されるリンス液をガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2に供給する。これにより、洗浄工程S1においてガラス板Gに付着した洗浄液が除去される。
【0068】
乾燥工程S3では、上側エアナイフ5a及び下側エアナイフ5bから噴出したエアをガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2に吹き付ける。これにより、リンス工程S2においてガラス板Gに付着したリンス液が除去される。
【0069】
以下、上記の洗浄工程S1、リンス工程S2及び乾燥工程S3と同時に進行するガラス板Gの搬送工程について、
図16乃至
図20を参照しながら説明する。
図16に示すように、搬送工程は、供給搬送工程S10と、洗浄搬送工程S11と、リンス搬送工程S21と、乾燥搬送工程S31とを備える。このうち、洗浄搬送工程S11では、ガラス板Gの第一側端部Gcの位置を規制することなく搬送し、後続のリンス搬送工程S21では、ガラス板Gの第一側端部Gcを規制ローラ8に接触させた状態で搬送する。このため、リンス搬送工程S21は、ガラス板Gの第一側端部Gcを規制ローラ8に接触させる接触工程を含む。
【0070】
供給搬送工程S10において、搬送装置6は、供給部2における搬送ローラ7a,7bによってガラス板Gの第一主面G1及び第二主面G2を支持し、かつガラス板Gの第一側端部Gcを規制ローラ8に接触させた状態で、当該ガラス板Gを下流側の洗浄部3に搬送する(
図17参照)。これにより、ガラス板Gは、基準位置を維持しつつ、第一側端部Gcが下方に位置し、第二側端部Gdが上方に位置する傾斜姿勢で洗浄部3に供給される。
【0071】
洗浄搬送工程S11は、第一洗浄搬送ローラ7c,7dによってガラス板Gを搬送する第一洗浄搬送工程と、第二洗浄搬送ローラ7e,7fによってガラス板Gを搬送する第二洗浄搬送工程とを含む。
【0072】
図17に示すように、第一洗浄搬送工程では、第一洗浄部3aの第一洗浄搬送ローラ7c,7dによって、ガラス板Gを挟持した状態で、当該ガラス板Gを第二洗浄部3bに向かって搬送する。この場合において、ガラス板Gは、第一側端部Gcが下方に位置し、第二側端部Gdが上方に位置する傾斜姿勢を維持しつつ、搬送方向GXの下流側に移動する。
【0073】
この移動の際、第一側端部Gcと基準線BLとの間隔が徐々に大きくなる。また、ガラス板Gの第一側端部Gcにおける前半部分FHと基準線BLとの間隔(前半間隔)は、当該第一側端部Gcの後半部分RHと基準線BLとの間隔(後半間隔)よりも大きくなる。換言すると、
図17に示すように、ガラス板Gの前端部Gaと第一側端部Gcとの間の角部C1と、基準線BLとの間隔D3は、ガラス板Gの後端部Gbと第一側端部Gcとの間の角部C2と、基準線BLとの間隔D4よりも大きくなる。
【0074】
ガラス板Gと基準線BLとの間隔D3,D4は、当該ガラス板Gが下流側(第二洗浄部3b側)に移動するにつれて徐々に大きくなる。この作用は、第一洗浄搬送ローラ7c,7dが、上記のような角度θ3,θ4で傾斜していること、及びローラ部9における第二端部9b側の部分が、第一端部9a側の部分よりも大きな接触圧力でガラス板Gを押圧することに因る。
【0075】
図18に示すように、第二洗浄搬送工程では、第一洗浄部3aから第二洗浄部3bへと移行したガラス板Gを第二洗浄搬送ローラ7e,7fによって下流側のリンス部4へと搬送する。この場合において、ガラス板Gは、第一洗浄搬送ローラ7c,7dと同様に構成される第二洗浄搬送ローラ7e,7fによって搬送されることで、第一側端部Gcが基準線BLからさらに離れるように移動する。
【0076】
このため、第二洗浄搬送工程において、ガラス板Gの前側の角部C1と基準線BLとの間隔D5は、第一洗浄搬送工程における当該角部C1と基準線BLとの間隔D3よりも大きくなる。また、ガラス板Gの後側の角部C2と基準線BLとの間隔D6は、第一洗浄搬送工程における当該角部C2と基準線BLとの間隔D4よりも大きくなる。
【0077】
第一洗浄搬送工程と同様に、ガラス板Gは、第二洗浄搬送工程においても、前側の角部C1と基準線BLとの間隔D5が後側の角部C2と基準線BLとの間隔D6よりも大きくなる平面視傾斜状態で搬送される。
【0078】
洗浄部3とリンス部4の境界において、ガラス板Gと基準線BLとの間隔D5及びD6は、例えば4~90mmとすればよい。この場合、ガラス板Gの前側の角部C1と基準線BLとの間隔D5と、ガラス板Gの後側の角部C2と基準線BLとの間隔D6との差(D5-D6)は、例えば2~45mmとすればよい。
【0079】
ガラス板Gと基準線BLとの間隔D5,D6は、当該ガラス板Gが下流側に移動するにつれて徐々に大きくなる。この作用は、第二洗浄搬送ローラ7e,7fが第一洗浄搬送ローラ7c,7dと同様に、上記のような角度θ7,θ8で傾斜していること、及びローラ部9における第二端部9b側の部分が、第一端部9a側の部分よりも大きな接触圧力でガラス板Gを押圧することに因る。
【0080】
ガラス板Gは、第一側端部Gcが基準線BLから離間した状態で、第二洗浄部3bからリンス部4へと搬入される。
【0081】
リンス搬送工程S21は、第二洗浄部3bからリンス部4に搬入されたガラス板Gを、搬送ローラ7g,7h及び規制ローラ8によって下流側の乾燥部5へと搬送する。リンス搬送工程S21は、ガラス板Gを搬送しながらガラス板Gの第一側端部Gcを規制ローラ8に接触させる第一リンス搬送工程(接触工程)と、第一リンス搬送工程後に、ガラス板Gの第一側端部Gcを規制ローラ8に接触させた状態で搬送する第二リンス搬送工程と、を含む。
【0082】
図19において一点鎖線で示すように、第一リンス搬送工程では、ガラス板Gは、第一側端部Gcが基準線BLから離れた状態で、搬送ローラ7g,7hのみによって下流側へと搬送(搬入)される。この場合において、第一側端部Gcの前半部分FHと、当該前半部分FHに対向する規制ローラ8との間隔は、当該第一側端部Gcの後半部分RHと、当該後半部分RHに対向する規制ローラ8との間隔よりも大きくなっている。すなわち、ガラス板Gは、前側の角部C1と基準線BLとの間隔D7が、後側の角部C2と基準線BLとの間隔D8よりも大きくなる平面視傾斜状態を維持しつつ下流側に搬送される。
【0083】
既述のように、リンス部4に配置される上側搬送ローラ7g及び下側搬送ローラ7hは、平行とされ、かつ、所定の角度θ1,θ2で傾斜している。このため、ガラス板Gは、搬送ローラ7g,7hのみによって搬送される間に、その自重によって規制ローラ8(基準線BL)に徐々に近づくように移動(傾斜方向に沿って下降)する。このため、第一リンス搬送工程では、ガラス板Gが下流側に移動するにつれて、上記の間隔D7,D8は、徐々に小さくなる。
【0084】
その後、第一リンス搬送工程において基準線BLに近づくように移動していたガラス板Gが規制ローラ8に接触する。この場合、
図19において二点鎖線で示すように、ガラス板Gの後半部分RHの一部が、前半部分FHよりも先に、最も上流側に位置する規制ローラ8に接触する。その後、ガラス板Gの前半部分FHが下流側に位置する規制ローラ8に接触する。具体的には、前半部分FH及び後半部分RHは、規制ローラ8の弾性体13の中間部13cに接触する。この接触により、中間部13cは、空間部15側に弾性変形する。このため、接触時の衝撃を緩和でき、ガラス板Gを破損させることなく搬送することができる。
【0085】
ガラス板Gは、
図20に示すように、基準位置に配された状態で、搬送ローラ7g,7hによって乾燥部5に搬送される。
【0086】
乾燥搬送工程S31では、リンス部4から乾燥部5に搬入されたガラス板Gを、規制ローラ8によって基準位置に規制しつつ、搬送ローラ7i,7jによって搬送方向GXに沿って搬送する。
【0087】
以上説明した本実施形態に係るガラス板Gの製造方法によれば、供給搬送工程S10、第二リンス搬送工程及び乾燥搬送工程S31において、ガラス板Gの第一測端部Gcは、規制ローラ8の外皮である弾性体13の中間部13cに接触することになる。この場合において、支持部14に空間部15が内包されていることで、弾性体13の中間部13cは、空間部15を介して弾性変形し易くなる。これにより、ガラス板Gが規制ローラ8に接触した際の衝撃を低減し、ガラス板Gの第一測端部Gcの破損を防止することが可能となる。また、ガラス板Gの接触及び摩擦による弾性体13の発塵(摩耗粉の発生)を抑制することも可能となる。
【0088】
また、第二リンス搬送工程及び乾燥搬送工程S31において、ガラス板Gを基準位置に配して搬送することで、乾燥搬送工程S31の終了後におけるガラス板Gの取り出し及び梱包を効率良くかつ精度良く行うことが可能になる。
【0089】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0090】
上記の実施形態では、第一リンス搬送工程(接触工程)において、規制ローラ8から離れて移動するガラス板Gをその自重によって移動させ、第一側端部Gcを規制ローラ8に接触させる例を示したが、本発明はこの態様に限定されない。
【0091】
例えば、
図21に示すように、第一リンス搬送工程では、ガラス板Gの第二側端部Gdに接触することが可能な当接部材20a,20bを有する押出装置20A,20Bによって、ガラス板Gを規制ローラ8に向かって強制的に移動させてもよい。
【0092】
押出装置20A,20Bは、ガラス板Gの搬送方向GXの上流側に配される第一押出装置20Aと、第一押出装置20Aの下流側に配される第二押出装置20Bとを含む。各押出装置20A,20Bにおける当接部材20a,20bは、例えばゴム等の弾性体により構成される。当接部材20a,20bは、図示しないアクチュエータにより、ガラス板Gに対して接近・離反可能に構成される。
【0093】
各押出装置20A,20Bは、ガラス板Gの第二側端部Gdから離れた待機位置(
図21において実線で示す位置)にある当接部材20a,20bをガラス板Gに向かって移動させる。当接部材20a,20bは、
図21において二点鎖線で示すように、規制ローラ8から離れた位置で移動するガラス板Gの第二側端部Gdに接触する。
【0094】
具体的には、第一押出装置20Aは、その当接部材20aを、第二押出装置20Bの当接部材20bよりも先にガラス板Gの第二側端部Gdにおける後半部分RHに接触させる。その後、第二押出装置20Bは、その当接部材20bをガラス板Gの第二側端部Gdにおける前半部分FHに接触させる。
【0095】
これにより、ガラス板Gは、その傾斜姿勢を維持しつつ、当接部材20a,20bによって規制ローラ8に近づくように付勢される。なお、押出装置20A,20Bは、その後、当接部材20a,20bを待機位置へと移動させる。
【0096】
上記のように当接部材20a,20bによってガラス板Gを付勢することで、ガラス板Gを規制ローラ8に向かって迅速に移動させることができる。これにより、ガラス板Gの搬送経路を短縮するとともに、ガラス板Gの製造効率を向上させることが可能となる。なお、押出装置20A,20Bの当接部材20a,20bとしては、上記の構成に限らず、ローラ(例えば規制ローラ8)を使用してもよい。
【0097】
洗浄工程の洗浄具は、洗浄ディスクや洗浄ローラその他の各種洗浄具により構成され得るが、洗浄ディスクを含むことが好ましい。洗浄ディスクの回転に伴って平面視においてガラス板が意図せず回転し、その結果、ガラス板が規制ローラと衝突しやすい。このため、洗浄具が洗浄ディスクを含めば、洗浄工程後においてガラス板を破損させることなく搬送することができるという本発明の効果がさらに顕著となる。
【0098】
上記の実施形態では、洗浄装置1によってガラス板Gを洗浄する際に本発明を適用する場合について説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、加工装置によってガラス板Gを加工する場合や、姿勢変更装置によってガラス板Gの姿勢を変更する場合等に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0099】
7 搬送ローラ
8 規制ローラ
11 規制ローラのローラ部
12 規制ローラの軸部
13 弾性体
14 支持部
15 空間部
13a 弾性体の軸方向の端部
13b 弾性体の軸方向の端部
13c 弾性体の軸方向の中間部
G ガラス板
G1 ガラス板の第一主面(表面)
G2 ガラス板の第二主面(表面)
Gc ガラス板の第一側端部
S1 洗浄工程
S10 供給搬送工程
S21 リンス搬送工程
S31 乾燥搬送工程