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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014984
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ドア押し開け装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 1/00 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
E05B1/00 311R
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117550
(22)【出願日】2020-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】308007228
【氏名又は名称】株式会社小川優機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】特許業務法人アイリンク国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 集
(57)【要約】
【課題】 取っ手を回して開けることができるドアを、取っ手をつかまなくても開けられるようにする。
【解決手段】 取っ手1の回転軸と連動して回転する回転体2を有する回転機構部A1と、ドア本体Dに設けられ、当該ドア本体Dを押し開く方向の外力F1を受けてドア本体Dに近づく方向に操作される操作部12を有する押圧機構部B1と、ドア本体Dに近づく方向への操作部12の移動を上記回転体2の回転運動に変換する変換機構13,5aとを備え、上記操作部12の移動を上記回転体2の回転運動に変換し、取っ手1を回転させる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手が回転操作されて開くことができるドア本体の押し開け装置であって、
上記取っ手の回転軸と連動して回転する回転体を有する回転機構部と、
上記ドア本体に設けられ、当該ドア本体を押し開く方向の外力を受けて上記ドア本体に近づく方向に操作される操作部を有する押圧機構部と、
上記ドア本体に近づく方向への上記操作部の移動を上記回転体の回転運動に変換する変換機構と
を備え、
上記変換機構によって上記操作部の移動が上記回転体の回転運動に変換され、回転する上記回転体に連動して上記取っ手が回転するドア押し開け装置。
【請求項2】
前記変換機構は、
上記回転軸の回転方向に沿い当該回転方向で傾斜させて上記回転体に形成されたガイド面と、
上記操作部の移動に伴って上記操作部と同方向もしくは反対方向に移動しながら上記ガイド面を押圧する運動伝達部とで構成され、
上記操作部の移動に伴って上記運動伝達部が上記ガイド面を押圧して上記回転体を回転運動させる請求項1に記載のドア押し開け装置。
【請求項3】
上記運動伝達部は、上記ガイド面上を転動するコロを備えた請求項1または2に記載のドア押し開け装置。
【請求項4】
上記回転体は、上記ガイド面とは反対方向に傾斜させた他のガイド面をさらに備えた請求項2または3に記載のドア押し開け装置。
【請求項5】
上記ドア本体に近づく方向への上記操作部の移動を支持する支持手段をさらに備えた請求項1~4のいずれか1に記載のドア押し開け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアの押し開け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、取っ手を回転させながら押し開けるドアが知られている。
このようなドアは、閉状態で、ドア本体側の脇側面から突出したストッパ部材(ラッチボルト)がドア側面の脇側面と対向する面(ドア枠等)に形成された凹部に挿入され、取っ手が回されると、上記ストッパ部材が上記凹部からドア本体内側へ収容されて、ドア本体を押し開くことができるようにしたものである(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183486号公報
【特許文献2】特開2017-160723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者は、上記のようなドアを開ける際には、ドアの取っ手を回さなければならない。しかし、使用者は、荷物などで両手が塞がっていると、取っ手を握ることができないので、ドアを開けるために、手に持っている荷物を一旦床などに置かなければならず、不便だった。
この発明は、たとえ両手がふさがっていたとしても、使用者がドア本体を押し開くことができるドア押し開け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、取っ手が回転操作されて開くことができるドア本体の押し開け装置であって、上記取っ手の回転軸と連動して回転する回転体を有する回転機構部と、上記ドア本体に設けられ、当該ドア本体を押し開く方向の外力を受けて上記ドア本体に近づく方向に操作される操作部を有する押圧機構部と、上記ドア本体に近づく方向への上記操作部の移動を上記回転体の回転運動に変換する変換機構とを備え、上記変換機構によって上記操作部の移動が上記回転体の回転運動に変換され、回転する上記回転体に連動して上記取っ手が回転するドア押し開け装置である。
【0006】
第2の発明は、前記変換機構が、上記回転軸の回転方向に沿い当該回転方向で傾斜させて上記回転体に形成されたガイド面と、上記操作部の移動に伴って上記操作部と同方向もしくは反対方向に移動しながら上記ガイド面を押圧する運動伝達部とで構成され、上記操作部の移動に伴って上記運動伝達部が上記ガイド面を押圧して上記回転体を回転運動させるドア押し開け装置である。
【0007】
第3の発明は、上記運動伝達部が、上記ガイド面上を転動するコロを備えたドア押し開け装置である。
【0008】
第4の発明は、上記回転体が、上記ガイド面とは反対方向に傾斜させた他のガイド面をさらに備えたドア押し開け装置である。
【0009】
第5の発明は、上記ドア本体に近づく方向への上記操作部の移動を支持する支持手段をさらに備えたドア押し開け装置である。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、使用者は、操作部をドア本体側に押すことで取っ手を回し、ドアを押し開けることができる。したがって、使用者は、例えば荷物で両手が塞がれていて取っ手を握れないようなときにも、簡単にドアを開けることができる。
【0011】
第2の発明によれば、ドア押し開け装置は、押圧機構部の運動伝達部と、回転体に形成されたガイド面とによって、変換機構を構成できる。
【0012】
第3の発明によれば、ドア押し開け装置は、運動伝達部のコロがガイド面上をスムーズに移動しながら回転体を押圧して回転させることができる。
【0013】
第4の発明によれば、ドア押し開け装置は、傾斜の方向が反対の他のガイド面に運動伝達部を押し当てるようにすれば、回転体を逆方向に回転させることができる。したがって、ドア押し開け装置は、1つの回転体を、取っ手の回転方向が逆のドアにも適用できる。
【0014】
第5の発明によれば、ドア押し開け装置は、ドア本体を押し開く方向の外力の方向に、操作部の移動を支持することができる。したがって、操作部と連動して移動する運動伝達部の移動方向も安定し、ガイド面に対する押圧力を保って回転体の回転運動を確実にできる。
また、ドア押し開け装置は、操作部に作用させる外力を、ドア本体を押し開ける力として無駄なく機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態のドア押し開け装置の正面図である。
図2図2は、第1実施形態のドア押し開け装置をドア本体の下方から見た図である。
図3図3は、第2実施形態のドア押し開け装置の正面図である。
図4図4は、第2実施形態のドア押し開け装置を下方から見た図である。
図5図5は、第3実施形態のドア押し開け装置の正面図である。
図6図6は、第3実施形態の回転機構部の斜視図である。
図7図7は、第3実施形態のドア押し開け装置を下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態のドア押し開け装置の正面図である。図2は、第1実施形態のドア押し開け装置を下方から見た図である。
図1図2に示すように、第1実施形態のドア押し開け装置は、略円筒形の握り部を有するノブ1が取り付けられたドア本体D用の装置で、ノブ1に固定される回転機構部A1とドア本体Dの表面に固定される押圧機構部B1とを有している。
【0017】
上記ドア本体Dの厚み内には、図示しないストッパ機構が組み込まれている。ストッパ機構は、ノブ1に外力を作用させない自然状態でドア本体Dの脇側面D1からストッパ部材を突出させている。そして、ストッパ機構は、ノブ1が図1において反時計回りCCW方向に回されると、突出したストッパ部材をドア本体D内へ収容し、ドア本体Dの押し開けを可能にしている。
また、図2中の符号Cは、上記ノブ1の取付孔を塞ぐために、ドア本体Dに固定されたカバーである。上記ノブ1が例えば取っ手を構成する。
【0018】
上記回転機構部A1は、図1図2に示すように、ノブ1の外周に巻きつけるように設けられた回転体2を備えている。この回転体2は、アルミなどの金属で形成された略円筒部材である。この回転体2には、上記回転体2をノブ1に取り付けた状態でドア本体Dから遠い方の端面4側を欠いて略円弧形状の凹形状をなす第1及び第2ガイド面5a,5b、並びに第1及び第2平坦面6a,6bが形成されている。ここで、ガイド面5a,5bは、ドア本体Dから遠い方の端面4からドア本体D(ドア本体Dから近い方の端面)に向かう一対の斜面からなる。ガイド面5a,5bは、後で説明する運動伝達部の移動のガイドとして機能する。そして、第1ガイド面5aの終端に第1平坦面6aが形成され、第2ガイド面5bの終端に第2平坦面6bが形成されている。
【0019】
これら一対のガイド面5a,5bは、いずれも上記ノブ1の回転方向に沿った斜面であるが、その回転方向に沿った傾斜の方向が、互いに反対方向になるように形成されている。したがって、第1ガイド面5aは時計回りCW方向で上記端面4から上記第1平坦面6aに向かって傾斜し、第2ガイド面5bは反時計回りCCW方向で上記端面4から上記第2平坦面6bに向かって傾斜している。上記第2ガイド面5bが例えば他のガイド面を構成する。
【0020】
この回転体2には、円周の一個所、具体的には第1平坦面6aと第2第1平坦面6bとの間に位置するように、平坦面6a,6bの端部からドア本体Dから近い方の端面に向かって軸方向で連続するスリット2aが形成されている。この実施形態では、スリット2aは、ドア本体Dに取り付けた状態の回転体2の下側に形成されている。このスリット2aは、当該スリット2aの幅の範囲で回転体2の内径を調節可能にしている。
このような回転体2内にノブ1を挿入し、回転体2の外側を締め付けバンド3で締め付けることによって回転体2がノブ1に固定されている。例えば、上記締め付けバンド3は、水道の蛇口に嵌めたホースを締め付ける際などに用いるものと同様のものである。
【0021】
さらに、図示していないが、上記回転体2の内周面には、ゴムなどの滑り止め部材や、セレーション加工などによる滑り止め機能を備えている。滑り止め機能によって、ノブ1の外周面との間の摩擦力を保持し、ノブ1に取り付けた回転体2が、ノブ1と一体で回転できるようにしている。このように、上記回転体2及び締め付けバンド3によって回転機構部A1が構成される。
【0022】
一方、押圧機構部B1は、このような回転機構部A1に対して隣接して配置されている。本実施形態では、押圧機構部B1は、回転機構部A1の右隣に配置されている。この押圧機構部B1は、ドア本体Dの表面に固定される略長方形の平板状の基板7を備えている。
この基板7には、略L字形状をしたL型部材8が取り付けられている。L型部材8は、固定片8aがビス9などで基板7に固定されている。基板7から直角に起立したL型部材8の支持片8bには、ボルト10によって棒部材11の基端側が回動可能に取り付けられている。この棒部材11は、断面が略正方形の棒状の部材である。この棒部材11は、1つの側面11aが上記支持片8bに接触するように取り付けられている。
【0023】
また、上記棒部材11の先端側で、上記基板7に対向する面とは反対側の側面11bには、操作部として長方形の平板からなる操作板12が固定されている。
さらに、棒部材11の先端面11cには、コロ13が取り付けられている。このコロ13は、円盤状で、その中心に図示しない中心孔を備えている。このコロ13は、その中心孔に挿通されたピンが上記先端面11cに固定されて先端面11cに対して回転可能に支持されている。このコロ13が、ドア本体Dに対して操作部である操作板12と同方向に移動する運動伝達部である。
【0024】
また、基板7には、中ほどに、四角柱の支持棒14が当該基板7に対して直角に起立して設けられている。支持棒14は、棒部材11の下側に配置されている。支持棒14は、上記棒部材11において上記支持片8bに接触する側面11aと反対側(下側)の側面11dに接触する支持面14aを備えている。この支持棒14は、棒部材11に設けた操作板12がドア本体Dに近づいたりドア本体Dから離れたりするとき、その運動の方向を支持する支持手段である。
【0025】
さらに、支持棒14には、支持面14aから突出させた第1ピン16が設けられている。また、上記棒部材11には、第1ピン16に対応するように、側面11aから突出させた第2ピン17が設けられている。これら第1ピン16及び第2ピン17は、互いの端部が対向できるような長さを有している。そして、第1ピン16(第1ピン16の端部)と第2ピン17との間には、第1ピン16と第2ピン17とにかけ渡されたばね部材15が設けられている。このばね部材15は、棒部材11を基板7側に引き付ける弾性力を発揮する。
【0026】
また、上記棒部材11の基端側に設けられた支持片8bには、ストッパボルト18が設けられている。ストッパボルト18は、操作板12がドア本体Dから離れる方向に移動していき、コロ13が回転体2の端面4付近に到達したとき、棒部材11の基端側に当接する位置に設けられている。
【0027】
ここで、上記回転機構部A1と押圧機構部B1とは、図1図2に示すように、所定の位置関係を保つように、取り付けられる。
具体的には、まず、上記棒部材11が、その延在方向がノブ1の径方向と一致するように押圧機構部B1を位置させる。
【0028】
さらに、ノブ1に外力を作用させていない状態を保ちながら、ノブ1の外周に設けた回転体2の第1ガイド面5aと上記側面4との境界付近に上記コロ13が位置するように上記回転体2の回転位置及び上記基板7の位置を調整する。このような位置調整をしてから、上記回転体2をノブ1に固定し、さらに、上記基板7をドア本体Dの表面に固定する。
【0029】
(作用、効果等)
以下に、この第1実施形態の作用、効果等を説明する。
使用者は、ドア本体Dを開けたいとき、押圧機構部B1の操作板12に、ドア本体D側に向かうドアを開く方向の外力F1を作用させる(図2参照)。これにより、この力F1によって棒部材11が回動し、この棒部材11の移動に合わせて、先端面11cのコロ13もドア本体Dに近づく方向に移動する。このとき、コロ13は、回転体2の第1ガイド面5aに沿って移動する。
【0030】
上記コロ13が、第1ガイド面5aに沿って移動する際には、ドアを開く方向の外力F1がコロ13から第1ガイド面5aにかかる押圧力として作用する。その押圧力は、第1ガイド面5aがドア本体Dに向かう傾斜方向と反対方向である反時計回りCCW方向に回転体2を回転させる回転力F2(図1参照)として第1ガイド面5aに作用する。この回転力F2によって回転体2が反時計回りCCW方向に回転し、これに連動してノブ1も反時計回りCCW方向に回転する。
【0031】
このように、上記第1ガイド面5aが、上記コロ13と相まって、操作板12がドア本体Dに近づく方向の運動を回転運動に変換する変換機構を構成している。
そして、上記ノブ1が反時計回りCCW方向に回転すると、上記したようにストッパ部材がドア本体D内に収容される。ストッパ部材がドア本体D内に収容された後は、外力F1がドア本体Dを押す力となって、ドア本体Dを開けることができる。
したがって、この第1実施形態では、操作板12がドア本体Dに向かって押されるだけで、ノブ1が回されて、ストッパ部材がドア本体D内に収容される。そのため、使用者は、例えば荷物などで両手がふさがっていてノブ1を握って回すことができないようなときでも、操作板12を押すだけで、ドア本体Dを開けることができる。
【0032】
また、この第1実施形態では、操作板12がドア本体Dに近づくという1つの同じ動作だけで、ストッパ部材がドア本体D内に収容され、さらにドア本体Dが開くようになっている。そのため、使用者は、操作板12をドア本体Dに近づけるといった簡単な1つの操作だけで、ドア本体Dを開けることができる。すなわち、従来は、使用者は、ドア本体を開けるためには、ノブを回転させる操作をした後にドア本体を開ける操作という2つの操作をしなければならかなったが、本実施形態によれば、使用者は、簡単な1つの操作だけでドア本体Dを開けることができる。
【0033】
また、上記コロ13が上記第1ガイド面5aを押圧する際には、コロ13は第1ガイド面5aから反力F3が作用する。その反力F3は、棒部材11に対し、棒部材11を第1ガイド面5aから遠ざける方向の反力F3(図1参照)として作用する。しかし、基板7に設けた上記支持棒14の支持面14aが棒部材11の側面11dに接触して、上記反力F3に対抗するので、反力F3が向かう方向に棒部材11が移動することが防止され、運動の変換が確実になされる。
【0034】
また、この第1実施形態では、上記回転体2に、上記第1ガイド面5aとは傾斜方向を反対にした第2ガイド面5bを備えている。この第2ガイド面5bを利用することで、回転体2を、上記とは反対方向すなわち時計回りCW方向に回転させることができる。すなわち、この場合、例えば、回転体2の回転位置を図1の位置から変更して、スリット2aを回転体2の上側に位置させて、第2ガイド面5bと上記側面4との境界付近に上記コロ13を位置させる。これにより、上記操作板12が押圧されたとき、回転体2は、上記とは反対方向すなわち時計回りCW方向に回転するようになる。
【0035】
したがって、ドア本体Dを開ける際のノブの回転方向が異なる場合にも、回転体2の回転方向の取り付け位置を変更するだけで、同じ回転機構部A1を用いることができる。
その際には、上記押圧機構部B1も同じものを用いることができる。ただし、回転体2の回転方向が異なれば、第2ガイド面5bからコロ13が受ける反力の方向も反対になるので、上記押圧機構部B1は、そのような変更に対応した構成になる。すなわち、例えば、棒部材11の運動を支持する支持棒14は、棒部材11を介して図1とは反対側の側面11a側に設けられることが好ましい。
【0036】
また、上記支持片8bに、ストッパボルト18を設けているので、棒部材11の先端側がドア本体Dから離れる方向に移動したとき、所定の位置で棒部材11の基端側がストッパボルト18に当接して棒部材11の移動を止めることができる。そのため、使用者が操作板12を手前に引っ張ってドア本体Dを閉めることもできる。
もし、ストッパボルト18がなければ、使用者が操作板12を手前に引っ張っても、操作板12が制限なく手前に移動するため、その引っ張った力がドア本体Dから操作板12を離す力として働くだけで、ドア本体Dには伝わらない。しかし、上記ストッパボルト18のようなストッパ機構を備えれば、操作板12の移動を止めて、その後に操作板12にかかる手前に引っ張る力をドア本体Dに伝えることができる。
外周に回転体2を取り付けたノブ1は握りにくい場合があるので、そのようなとき、上記のように操作板12を引いてドアを閉めることができれば、便利である。ただし、上記ストッパボルト18は必須要素ではない。
【0037】
また、上記第1実施形態では、棒部材11と支持棒14との間に設けたばね部材15によって、上記コロ13とガイド面5aとの接触を常時保つようにしているので、操作板12に外力を作用させない自然状態で、棒部材11ががたつくようなことがない。ただし、ばね部材15は必須要素ではない。
【0038】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。
図3は、第2実施形態のドア押し開け装置の正面図である。図4は、第2実施形態のドア押し開け装置を下方から見た図である。
図3図4に示すように、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、回転機構部A1と押圧機構部B2とを有している。
回転機構部A2、押圧機構部B2は、それぞれ第1実施形態の回転機構部A1、押圧機構部B1と多少構造が異なるが、ドア本体Dに近づく方向の操作部の運動をノブ1の回転運動に変化する原理は同じである。また、これらを取り付けるドア本体D及びノブ1は、第1実施形態と同じである。以下には、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。また、図1図2と同じ符号を付した構成要素は、第1実施形態と同じ構成要素であり、その詳細な説明は省略する。
【0039】
第2実施形態の回転機構部A2は、回転体20と、それを締め付ける締め付けバンド3とで構成される。
上記回転体20は、アルミなどの金属で形成された略円筒部材である。この回転体20には、上記回転体20をノブ1に取り付けた状態でドア本体Dに近い方の端面21側を欠いて略円弧形状の凹形状をなす第1及び第2ガイド面23a,23b、並びに第1及び第2平坦面24a,24bが形成されている。ここで、第1、第2ガイド面23a,23bは、ドア本体Dから近い方の端面21からドア本体Dから遠い方の端面22に向かう一対の斜面からなる。これらガイド面23a,23bは、後で説明する運動伝達部の移動のガイドとして機能する。そして、第1ガイド面23aの終端に第1平坦面24aが形成され、第2ガイド面23bの終端に第2平坦面24bが形成されている。
【0040】
上記一対のガイド面23a,23bは、いずれもノブ1の回転方向に沿った斜面であるが、その回転方向に沿った傾斜方向が、反対方向になるように形成されている。すなわち、第1のガイド面23aは時計回りCW方向で上記端面21から上記第1平坦面24aに向かって傾斜し、第2ガイド面23bは反時計回りCCW方向で上記端面21から上記第2平坦面24bに向かって傾斜している。上記第2ガイド面23bが例えば他のガイド面を構成する。
【0041】
この回転体20には、円周の一個所、具体的には第1平坦面24aと第2第1平坦面24bとの間に位置するように、平坦面24a,24bの端部からドア本体Dから遠い方の端面22に向かって軸方向で連続するスリット20aが形成されている。このスリット20aは、当該スリット20aの幅の範囲で回転体2の内径を調節可能にしている。
さらに、図示していないが、上記回転体20の内周面には、上記第1実施形態と同様に、滑り止め機能を備えている。滑り止め機能によって、ノブ1の外周面との間の摩擦力を保持し、ノブ1に取り付けた回転体2が、ノブ1と一体で回転できるようにしている。
【0042】
一方、押圧機構部B2は、ドア本体Dの表面に固定される略長方形の平板状の基板25を備えている。
この基板25の中ほどに、四角柱の支持棒26が当該基板25に対して直角に起立して設けられている。この支持棒26には、その端部付近にボルト27によって棒部材28が回動可能に取り付けられている。この棒部材28は、全体は断面が四角形の部材で構成されており、上記ボルト27を境に、互いに平行を保ったノブ側部分29と操作部側部分30とが連結部分31によって段違いに連結されている。
【0043】
また、上記棒状部材28の操作部側部分30において基板25との対向面と反対側になる側面30aには、長方形の平板からなる操作板32が操作部として固定されている。
さらに、ノブ側部分29の先端面29aには、第1実施形態のコロ13と同様のコロ33が取り付けられている。このコロ33は、棒部材28の回動中心であるボルト27を境に操作板32とは反対側に設けられているので、操作部である操作板32と反対方向に移動する運動伝達部である。
【0044】
また、基板25には、回転機構部A2寄りに、第1実施形態と同様に、四角柱の支持棒34が当該基板25に対して直角に起立して設けられている。支持棒34は、上記棒部材28のノブ側部分29の下側に配置されている。支持棒34は、上記棒部材28のノブ側部分29の側面(下側面)29bに接触する支持面34aを備えている。この支持棒34は、操作板32がドア本体Dに近づいたりドア本体Dから離れたりする当該操作板32の運動の方向を支持するための支持手段である。
【0045】
さらに、棒部材28のノブ側部分29と基板25との間には、第1実施形態と同様に、ノブ側部分29を基板25側へ引っ張るばね部材35と、円錐台形状のストッパ部材36とが設けられている。上記ばね部材35によって棒部材28のノブ側部分29がストッパ部材36の上底面に当接させられる。
また、ストッパ部材36は、操作板32がドア本体Dから離れる方向に移動していったとき、操作板32と反対方向に移動する上記ノブ側部分29が当該ストッパ部材36の上底面に当接して、操作板32が必要以上に移動するのを防止するように機能する。
【0046】
そして、回転機構部A2と押圧機構部B2とは、図3図4の位置関係を保つように、取り付けられている。
具体的には、まず、上記棒部材28が、その延在方向がノブ1の径方向と一致するように押圧機構部B2を位置させる。
さらに、ノブ1には外力を作用させない状態を保ちながら、ノブ1の外周に設けた回転体20の第1ガイド面23a上に上記コロ33が位置するように回転体20の回転位置及び基板25の位置を調整する。このような位置調整をしてから、上記回転体20をノブ1に固定し、さらに、上記基板25をドア本体Dの表面に固定する。
【0047】
(作用、効果等)
以下に、この第2実施形態の作用、効果等を説明する。
上記押圧機構部B2の操作板32に、ドア本体D側に向かう方向の外力F1(図4参照)を作用させると、この外力F1によって棒部材28が上記ボルト27を中心に回動する。棒部材28が回動すると、先端のコロ33がドア本体Dから離れる方向に移動する。このとき、コロ33は、回転体20の第1ガイド面23aに沿って上記平坦面24aに向かって移動する。
【0048】
コロ33が第1ガイド面23aに沿って移動する際には、第1ガイド面23aに、コロ33から押圧力が作用する。この押圧力は、第1ガイド面23aがドア本体Dから離れる方向に向かう傾斜方向と反対方向である反時計回りCCW方向に回転体20を回転させる回転力F2(図3参照)として第1ガイド面23aに作用する。この回転力F2によって回転体20が反時計回りCCW方向に回転し、これに連動してノブ1も反時計回りCCW方向に回転する。
【0049】
このように、第1ガイド面23aが、上記コロ33と相まって、操作板32がドア本体Dに近づく方向の運動を回転運動に変換する変換機構を構成している。
そして、上記ノブ1が反時計回りCCW方向に回転すると、上記したようにストッパ部材がドア本体D内に収容される。ストッパ部材がドア本体D内に収用された後は、外力F1がドア本体Dを押す力となって、ドア本体Dを開けることができる。
【0050】
この第2実施形態でも、使用者がノブ1を直接回す操作をしなくても、ドア本体Dを開けることができる。
また、上記コロ33が上記ガイド面23aを押圧する際に、ガイド面23aから受ける反力F3(図3参照)を、基板25に起立させた上記支持棒34の支持面34aが受けるので、棒部材28の運動から回転運動への変換が確実になされる。
【0051】
また、この第2実施形態でも、上記回転体20に、第1ガイド面23aと傾斜方向を反対にした第2ガイド面23bを備えている。回転体20の回転位置を上記とは変更して、第2ガイド面23bに上記コロ33を接触させるようにすれば、操作板32の運動を回転体20の時計回りCW方向の回転に変換することができる。したがって、ドア本体Dを開ける際のノブの回転方向が異なる場合でも、回転体20の回転方向の取り付け位置を変更するだけで、同じ回転機構部A2を用いることができる。
【0052】
さらに、操作板32にドア本体Dから離れる方向の外力を作用させたとき、操作板32と反対方向に移動するノブ側部分29が、上記ストッパ部材36に当接してその運動が止められる。そのため、使用者が操作板32を手前に引っ張ったときの棒部材28の移動が規制され、その引っ張った力をドア本体Dに伝えてドア本体Dを閉めることができる。
また、棒部材28と基板25との間に設けたばね部材35によって、棒部材28のノブ側部分29がストッパ部材36に接触し、自然状態で棒部材28ががたつくことを防止できる。ただし、ばね部材35やストッパ部材36は必須要素ではない。
【0053】
(第3実施形態)
図5図7を用いて第3実施形態を説明する。
図5は、第3実施形態のドア押し開け装置の正面図である。図6は、第3実施形態の回転機構部の斜視図である。図7は、第3実施形態のドア押し開け装置を下方から見た図である。
第3実施形態は、図5図7に示すように、上記ノブ1の代わりに例えば取っ手としてレバー40を備えたドア本体D用の押し開け装置である。
レバー40は、ハンドル40aと円柱形状の回転軸40bとを備えている。ハンドル40aは、自然状態でその軸線が水平になっている。レバー40は、このハンドル40aが図5に示すように時計回りCW方向に回されたとき、回転軸40bに連動させたストッパ部材がドア本体Dの脇側面D1から突出した状態からドア本体D内に収容されて、ドア本体Dを開けることができるようにしている。
【0054】
そして、第3実施形態のドア押し開け装置は、上記回転軸40bに取り付ける回転機構部A3と、ドア本体Dの表面に固定する押圧機構部B3とで構成されている。押圧機構部B3は、上記第1実施形態の押圧機構部B1と同じ構成である。したがって、押圧機構部B3については、各構成要素の詳細な説明は省略するとともに、必要に応じて図1図2の符号を用いて説明するものとする。
ただし、この第3実施形態では、上記押圧機構部B3を、ハンドル40aの移動範囲を避けた位置に設けなければならない。この第3実施形態では、押圧機構部B3は、図1に示す第1実施形態の押圧機構部B1をドア本体D上で反時計回りCCW方向に90°回転させた位置に設けられている。
【0055】
上記回転機構部A3は、図6に示すように断面がU字状の回転体41、回転体41の開口部に設けたボルト42、ナット43、上記回転体41内に設けられた一対の滑り止め部材44,44、及び低摩擦シート45で構成されている。
上記滑り止め部材44,44は、円筒を均等に二分割したような形状を有している。上記滑り止め部材44,44は、内側に回転軸40bが挿通されて、回転軸40bの外周を挟むように取り付けられている。また、上記滑り止め部材44,44は、摩擦係数の大きい硬質ゴムやセレーション加工を施した部材などで形成されている。
さらに、上記滑り止め部材44,44は、上記回転体41で囲まれている。そして、回転体41の開口部分に挿入したボルト42にナット43を締め付けることによって、回転軸40bに対して回転体41が固定されている。
【0056】
また、低摩擦シート45は、摩擦係数の小さい材質で形成されたドーナツ状のシートである。低摩擦シート45は、滑り止め部材44及び回転体41とドア本体Dに固定されたカバーCとの間に配置されている。本例では、低摩擦シート45は、2枚重ねで配置されている。なお、低摩擦シート45は、その円周の一部が切断されて円周が切り離されており、その内側に上記回転軸40bを挿入できるように形成されている。
さらに、回転体41には、ドア本体Dから遠い方の平坦な端面46から連続して傾斜するガイド面47が形成されている。前記端面46は、ドア本体Dから遠い方の端面において時計回りCW方向側の端部に形成されており、ガイド面47は、上記端面46から反時計回りCCW方向に向かって傾斜する斜面として形成されている。
【0057】
このような回転機構部A3と上記押圧機構部B3とは、図5図7に示す位置関係を保つように取り付けられる。
具体的には、外力が作用していない状態(水平状態)のハンドル40aの軸方向に対して約90°の角度の位置(ドア本体Dの脇側面D1に沿った位置)になるようにレバー40の上側に押圧機構部B3が配置され、レバー40の回転軸40bの外周に回転機構部A3が配置される。そして、運動伝達部となるコロ13が、上記ガイド面47と端面46との境界付近に接触するように、回転体41の回転位置及び押圧機構部B3の位置を調整する。このように位置調整をしたら、基板7をドア本体Dに固定し、ボルト42にナット43を締め付けて回転体41を回転軸40bに固定する。
【0058】
(作用、効果等)
以下に、この第3実施形態の作用、効果等を説明する。
ドア本体D側に向かう方向の外力F1(図7参照)を操作板12に作用させると、上記操作板12の移動に合わせて、コロ13がガイド面47を押圧しながらドア本体Dに近づく方向に移動する。このときのガイド面47に対する押圧力が、時計回りCW方向の回転力F2(図5参照)として作用し、回転体41を時計回りCW方向へ回転させる。この回転体41の回転に連動して回転軸40bが時計回りCW方向へ回転する。回転軸40bが時計回りCW方向へ回転すると、その回転に連動してストッパ部材がドアの脇側面D1から突出している状態からドア本体Dの内部に収容され、ドア本体Dが開くようになる。
【0059】
この第3実施形態では、上記コロ13が操作部である操作板12と同方向に移動する運動伝達部であり、このコロ13が上記ガイド面47と相まって変換機構を構成している。
以上のように、この第3実施形態においても、使用者がハンドル40aを握って回すことができないような場合でも、操作板12をドア本体D側に向かって押すだけで、ドア本体Dを押し開けることができる。
また、第3実施形態では、低摩擦シート45を、上記カバーCと回転体41との間に介在させているので、固定されたカバーCに対する回転体41の回転をスムーズにすることができる。
【0060】
なお、上記回転体40に、上記ガイド面47とは傾斜の方向が反対のガイド面を形成すれば、ハンドル40aを、上記とは反対の反時計回りCCW方向に回転して開けるドア本体用の押し開け装置を構成することができる。
さらに、回転体40に、ドア本体Dに近い方の端面から連続して傾斜したガイド面を備えることで、操作部の移動と反対方向に移動する運動伝達部を備えた第2実施形態の押圧機構部B2と組み合わせて、レバー40に対応した押し開け装置を構成することができる。
【0061】
(上記実施形態の他の例)
上記第1~第3実施形態では、操作板12,32の移動を支持する支持棒14,34を設けているが、これら支持棒を個別に設けないで、例えばL型部材8の支持片8aや、支持棒26などを、支持手段として機能させることもできる。その場合には、上記支持棒14,34を、ガイド面からの反力F3に対抗する側に設ける必要がある。また、支持棒14,34の幅を大きくして棒部材11,28との接触面積を大きくすることが好ましい。
【0062】
なお、第3実施形態では、回転体41とカバーCとの間に低摩擦シート45を介在させて、回転体41のスムーズな回転を実現しているが、回転体41とカバーCとの間に空間を維持して回転体41とカバーCとを摺動させないのであれば、上記低摩擦シート45は必要ない。
また、上記第1、第2実施形態においても、回転体2,20を、ドア本体Dに固定されたカバーCなどに接触させる構成では、低摩擦シート45を用いて回転体2,20の回転をスムーズにすることができる。
【0063】
さらに、上記第1~第3実施形態では、運動伝達部をガイドするガイド面を、回転体の一方の端面を欠くようにして形成しているが、ガイド面は端面以外に形成しても良い。例えば、回転体の側面に、運動伝達部を挿入可能な線状溝を形成し、この線状溝の一方の側面をガイド面とすることもできる。
また、押圧機構部B1~B3の取り付け位置も上記実施形態に限らず、ノブ1やレバー40の回転の邪魔にならずに使用者が操作しやすい位置であれば、上記以外の位置に取り付けてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
取っ手を握れないときや、握りたくない場所で、便利である。
【符号の説明】
【0065】
A1,A2,A3 回転機構部
B1,B2,B3 押圧機構部
1 (取っ手、回転軸)ノブ
2,20,41 回転体
12,32 (操作部)操作板
14,34 (支持手段)支持棒
13,33 (運動伝達部、変換機構)コロ
5a,23a (変換機構)第1ガイド面
47 (変換機構)ガイド面
5b,23b (他のガイド面)第2ガイド面
40 (取っ手)レバー
40b 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7