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特開2022-149843情報提供システム、情報処理装置、情報提供方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149843
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報処理装置、情報提供方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220929BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052167
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】煩雑な作業を生じさせることなく確実に商品の返品を可能とする。
【解決手段】無線タグが取り付けられた商品を提供する商品提供者が所持する商品提供者端末と、前記商品を取得する商品取得者が所持する商品取得者端末と、商品提供者端末及び商品取得者端末と通信可能な情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、情報処理装置は、商品に関する情報と、商品に取り付けられた無線タグの識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、商品取得者端末から取得した商品提供者への商品の返品要求と、商品提供者端末から取得した返品要求の対象となる商品に対応した無線タグの識別情報とに基づいて、商品取得者から商品が返品されたか否かを判断する制御部とを有する、情報処理システムである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが取り付けられた商品を提供する商品提供者が所持する商品提供者端末と、
前記商品を取得する商品取得者が所持する商品取得者端末と、
前記商品提供者端末及び前記商品取得者端末と通信可能な情報処理装置と、
を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記商品に関する情報と、前記商品に取り付けられた無線タグの識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、
前記商品取得者端末から取得した前記商品提供者への商品の返品要求と、前記商品提供者端末から取得した前記返品要求の対象となる商品に対応した無線タグの識別情報とに基づいて、前記商品取得者から前記商品が返品されたか否かを判断する制御部とを有する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記商品取得者端末が前記商品に取り付けられた無線タグの識別情報を取得した場合に、前記商品取得者に関する情報と、前記無線タグの識別情報と、を関連付ける、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記商品取得者から前記商品提供者への返品を仲介する仲介者が所持する仲介者端末をさらに含み、
前記制御部は、
前記商品の返品要求に前記仲介者に関する情報が含まれている場合、前記仲介者端末が前記無線タグと通信可能となるように制御する、
請求項1又は2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記仲介者端末から前記商品の返品要求の対象となる商品に対応した無線タグの識別情報を取得した場合に、前記仲介者に関する情報と、前記無線タグの識別情報と、を関連付ける、
請求項3に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記商品取得者は、前記商品提供者から電子商取引により前記商品を購入した者を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記無線タグは、周囲に含まれる1又は複数の特定周波数の電波からエネルギーを得て動作するタグである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
無線タグが取り付けられた商品を提供する商品提供者が所持する商品提供者端末、及び、前記商品を取得する商品取得者が所持する商品取得者端末と通信可能な情報処理装置であって、
前記商品に関する情報と、前記商品に取り付けられた無線タグの識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、
前記商品取得者端末から取得した前記商品提供者への商品の返品要求と、前記商品提供者端末から取得した前記返品要求の対象となる商品に対応した無線タグの識別情報とに基づいて、前記商品取得者から前記商品が返品されたか否かを判断する制御部とを有する、
情報処理装置。
【請求項8】
無線タグが取り付けられた商品を提供する商品提供者が所持する商品提供者端末と、
前記商品を取得する商品取得者が所持する商品取得者端末と、
前記商品提供者端末及び前記商品取得者端末と通信可能な情報処理装置と、の間の情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
前記商品に関する情報と、前記商品に取り付けられた無線タグの識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部を有し、
前記情報処理方法は、
前記商品取得者端末が、返品対象の商品の商品に関する情報を含む返品要求を前記情報処理装置に提供し、
前記商品提供者端末が、前記返品要求の対象となる商品に対応した無線タグの識別情報を前記情報処理装置に提供し、
前記情報処理装置が、前記商品取得者端末から取得した前記返品要求と、前記商品提供者端末から取得した前記無線タグの識別情報とに基づいて、前記商品取得者から前記商品が返品されたか否かを判断する、
情報処理方法。
【請求項9】
無線タグが取り付けられた商品を提供する商品提供者が所持する商品提供者端末、及び、前記商品を取得する商品取得者が所持する商品取得者端末と通信可能な情報処理装置において、コンピュータに所定のプログラムを実行させるプログラムであって、
前記情報処理装置は、前記商品に関する情報と、前記商品に取り付けられた無線タグの識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部を有し、
前記方法は、
前記商品取得者端末から返品対象の商品の商品に関する情報を含む返品要求を取得し、
前記商品提供者端末から、前記返品要求の対象となる商品に対応した無線タグの識別情報を取得し、
前記商品取得者端末から取得した前記返品要求と、前記商品提供者端末から取得した前記無線タグの識別情報とに基づいて、前記商品取得者から前記商品が返品されたか否かを判断すること、を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報処理装置、情報提供方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品のEC(Electronic Commerce;電子商取引)による販売が普及しており、ECについての種々の提案がなされている。
例えば特許文献1には、電子商取引においてユーザによる購入予定の商品の選択に関する情報を受信する受信部と、電子商取引における商品の購入履歴に基づいて、購入予定の商品と同時に購入される可能性がある商品を特定する特定部と、購入予定の商品と特定された商品とが購入される場合の、利益を算出する算出部と、算出された利益が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、算出された利益が所定の基準を満たすと判定された場合に、特定された商品に関する情報をユーザに提供する情報提供部とを備えた電子商取引装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-045901公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ECで販売される衣料品等の商品は、事前に試着等の確認を行うことができないため、サイズや色合い等が合わない等、購入者の元に商品が届いた後に購入者が商品を気に入らない場合には、商品の返品を行うことができる仕組みとなっている。しかし、返品を行うためには、購入者は、返品伝票を記入し、商品を梱包して宅配便等によりEC販売元に発送するという煩雑な作業が発生する。この煩雑な作業が発生しうることがEC販売の一層の普及の妨げになっていると考えられる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、煩雑な作業を生じさせることなく確実に商品の返品を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、無線タグが取り付けられた商品を提供する商品提供者が所持する商品提供者端末と、前記商品を取得する商品取得者が所持する商品取得者端末と、前記商品提供者端末及び前記商品取得者端末と通信可能な情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記商品に関する情報と、前記商品に取り付けられた無線タグの識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、前記商品取得者端末から取得した前記商品提供者への商品の返品要求と、前記商品提供者端末から取得した前記返品要求の対象となる商品に対応した無線タグの識別情報とに基づいて、前記商品取得者から前記商品が返品されたか否かを判断する制御部とを有する、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、煩雑な作業を生じさせることなく確実に商品の返品が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のEC販売システムの構成を概略的に示す図である。
図2】タグデータベースのデータ構成例を示す図である。
図3】会員データベースのデータ構成例を示す図である。
図4】商品データベースのデータ構成例を示す図である。
図5】商品注文データベースのデータ構成例を示す図である。
図6】一実施形態のEC販売システムの商品販売及び返品の流れを示す図である。
図7】一実施形態のEC販売システムの内部構成を概略的に示すブロック図である。
図8】IoTタグから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。
図9】一実施形態のEC販売システムにおいて、商品の顧客への発送に伴う処理を示すシーケンスチャートである。
図10】一実施形態のEC販売システムにおいて、商品のEC事業者への返品に伴う処理を示すシーケンスチャートである。
図11】一実施形態のEC販売システムにおいて、タグ情報の管理を示すシーケンスチャートである。
図12】一実施形態のEC販売システムにおいて、商品コンテンツを提供するときの処理を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「無線タグ」とは、商品に取り付けられる電子的なタグである。無線タグは、内部に格納された情報が外部の通信装置から無線通信により読み取ることが可能となるように構成されていればよく、タグの内部にバッテリを備えてもよいし、備えていなくてもよい。無線タグと外部の通信装置との通信プロトコルや通信可能範囲は限定されず、用途に応じて適宜変更若しくは調整可能である。
本開示において「通信可能」とは、直接的に通信が可能である場合に限られず、間接的に通信が可能である場合も含まれる。例えば、「A装置とC装置が通信可能である」とは、A装置とC装置が直接的に通信を確立してデータの送信若しくは受信を行う場合に限られず、A装置とC装置がB装置を介してデータの送信若しくは受信を行う場合も含まれる。
【0010】
以下、情報処理システムの一実施形態であるEC販売システム1について図面を参照して説明する。EC販売とは、電子商取引(EC;E-Commerce)による販売形態をいう。
EC販売システム1では、例えば顧客が顧客端末にインストールされているEC用アプリケーションプログラム(以下、適宜、「EC用アプリケーション」という。)等を利用してEC事業者のウェブサイトにアクセスして商品の注文を行うように構成されている。商品の種別は限定しないが、以下の説明では、主として商品が衣類等のアパレル商品である場合を想定している。
顧客は、EC用アプリケーションを利用するに際して会員登録(ユーザ登録等)を行っている。EC事業者から商品が届いた後、顧客が商品を気に入らない場合には、当該商品をEC事業者に返品することができる。例えばアパレル等の商品の返品は、例えばクリーニング店(仲介者の一例)を通して行うことができる。ここで、顧客は、返品伝票等を記載する必要はなく、例えばEC用アプリケーション上で返品対象の商品を経由させるクリーニング店を指定するだけで済む。そのため、ECで購入した商品を返品する際に、顧客側に煩雑な作業を生じさせることがない。
【0011】
また、EC販売システム1では、販売対象の商品にIoT(Internet of Things)タグが取り付けられている。IoTタグ(以下、適宜単に「タグ」という。)は無線タグの一例であるが、例えば周囲環境の電波からエネルギーを得て動作する環境発電型の装置であり、バッテリを備えていない。当該タグは、バッテリがなくても半永久的に動作が可能である。
【0012】
一実施形態では、タグは、低電力消費の無線通信を行うように構成されている。通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグは、BLEの規格に準拠する場合、ブロードキャスト通信を行う。具体的には、タグは、アドバタイジングパケット(後述する)をブロードキャストする。このブロードキャスト通信では、タグから周囲のBLE受信端末(例えば、顧客端末や後述するクリーニング店端末等)に向けて一方向のデータ送信のみが可能である。各タグから送信されるパケットには、タグに固有の識別情報であるタグIDが含まれる。
【0013】
EC販売システム1において、商品の販売では、商品がEC事業者から顧客に届くまでの間の商品の管理責任者(つまり、EC事業者)や商品が顧客に届いた後の商品の管理責任者(つまり、顧客)を明確に把握できるようにすることが好ましい。同様に、商品の返品では、例えば商品が顧客からクリーニング店等に届くまでの商品の管理責任者(つまり、顧客)や、商品がクリーニング店等で一時的に保管されるときの商品の管理責任者(つまり、クリーニング店)、商品がクリーニング店からEC事業者に戻されるまでの管理責任者(例えば輸送事業者)を明確に把握できるようにすることが好ましい。かかる観点から、EC販売システム1では、商品に取り付けられているタグによって商品の管理責任者が商品取得者としてタグ管理サーバによって一元管理される。タグ管理サーバでは、商品取得者(例えば、EC事業者、顧客、クリーニング店等)の情報と、タグの固有の識別情報であるタグIDとが、後述するタグデータベースによって一元的に管理される。
タグデータベースでは、上記商品の管理責任者が「商品取得者」として管理される。
【0014】
一実施形態では、例えば商品の商品取得者に対して当該商品に関する情報として商品コンテンツ等が提供される。すなわち、当該商品の商品取得者が当該商品に対応する商品コンテンツにアクセスすることができ、商品取得者でない者が当該商品取得者にアクセスすることができないように制御される。そのため、商品を購入した顧客に対して、購入後に、例えば当該商品に関連する魅力的な情報等を任意のタイミングで提供することができる。
【0015】
一実施形態では、商品の商品取得者に関する情報と、当該商品に取り付けられているタグのタグIDとがサーバ上に記録される。例えば、後述する商品情報要求により、顧客の顧客端末と商品に取り付けられているタグとの通信により顧客端末がタグのタグIDを取得すると、当該顧客に関する情報と、顧客端末が取得したタグIDとを、サーバ上に記録されているデータと照合することで、当該顧客が商品取得者であるか否か判断される。それによって、特定の商品の商品取得者である顧客に対して当該商品に対応する商品コンテンツを提供可能となるように制御することができる。
【0016】
図1図6を参照して、一実施形態のEC販売システム1のシステム構成、並びに、具体的な商品のECによる商品販売と返品の流れについて説明する。
【0017】
図1に示すように、EC販売システム1では、顧客端末2(商品取得者端末の一例)、EC事業者端末3(商品提供者端末の一例)、クリーニング店端末4(仲介者端末の一例)、タグ管理サーバ5、及び、アプリケーションサーバ6がネットワークNWを介して通信可能に構成されている。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)、移動体通信網、インターネット等、あるいはこれらの組合せである。
タグ管理サーバ5及びアプリケーションサーバ6は、例示的な情報処理装置を構成する。
【0018】
顧客端末2は、顧客が所持する端末であり、限定しない例として、例えば、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンが挙げられる。なお、顧客は、後述する会員データベースにおいてEC事業者の会員として登録されている。
【0019】
EC事業者端末3は、商品の発送や返品を行うEC事業者の担当者(例えば、倉庫の担当者)が所持する端末であり、限定しない例として、例えば、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンが挙げられる。
【0020】
クリーニング店端末4は、顧客からの商品のEC事業者への返品を仲介するクリーニング店の担当者が所持する端末であり、限定しない例として、例えば、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンが挙げられる。
【0021】
顧客端末2、EC事業者端末3、及び、クリーニング店端末4には、上述したように、EC用アプリケーションがインストールされている。EC用アプリケーションは、商品の注文、商品の返品等、EC事業者が運営するEC販売に関する様々な処理を実行するためのアプリケーションである。EC用アプリケーションは、各端末の周囲のタグからパケットを受信し、当該パケットに含まれるタグIDをアプリケーションサーバ6に送信するように構成されている。
【0022】
タグ管理サーバ5は、EC事業者が販売する商品に取り付けられているタグを管理するサーバである。上述したように、商品の管理責任者を明確にするために、商品取得者(例えば、EC事業者、顧客、クリーニング店等)の情報と、タグの固有の識別情報であるタグIDとを関連付けるタグデータベースを備えている。
【0023】
図2にタグデータベースのデータ構成例を示す。
図2に示すように、タグデータベースは、少なくとも、「タグID」と、商品の管理責任者である「商品取得者」とを関連付けている。図2に示すタグデータベースには、タグIDと商品取得者のほか、「Owner」、「本籍」、「生年月日」、「グループ名」、「寿命」の各フィールドの値を含み、各値は、例えばEC事業者や商品製造者によって予め入力されている。一実施形態では、商品の譲渡に応じて、「商品取得者」フィールドの値が適宜、書き換え対象となる。タグデータベースにおいて、タグIDごとの各フィールドの値を含む情報を「タグ情報」という。
【0024】
タグデータベースにおいて、タグIDごとに状態フラグが設定されている。この状態フラグは、対応するタグが取り付けられている商品の商品取得者が確定しているか否かを示す。
例えば、実際には未だ商品を取得していないが、商品を取得する予定の者が決まっている場合がある。商品がEC事業者から顧客に引き渡される例では、顧客から商品の注文を受け付けた時点で、特定のタグIDのタグが取り付けられた商品を顧客に引き渡すことは決まっているが、商品が実際に顧客の元に届くまでは顧客は商品取得者ではない。そのため、商品の注文を受け付けた時点でタグ情報における商品取得者を当該顧客の会員コードに書き換えるが、当該商品が実際に顧客の元に届くまでは、タグ情報の状態フラグを「1」(準備中)とする。そして、商品が実際に顧客の元に届いたことが確認された場合には、タグ情報の状態フラグを「0」(確定)とする。
【0025】
同様に、商品が顧客からクリーニング店を経由してEC事業者に返品される例では、返品する際のクリーニング店を指定した返品要求を受け付けた時点で、特定のタグIDのタグが取り付けられた商品をクリーニング店に引き渡すことは決まっているが、商品が実際にクリーニング店の元に届くまではクリーニング店は商品取得者ではない。そのため、クリーニング店が指定された返品要求を受け付けた時点でタグ情報における商品取得者を当該クリーニング店の会員コードに書き換えるが、当該商品が実際にクリーニング店の元に届くまでは、タグ情報の状態フラグを「1」(準備中)とする。そして、商品が実際にクリーニング店の元に届いたことが確認された場合には、タグ情報の状態フラグを「0」(確定)とする。
【0026】
アプリケーションサーバ6は、顧客端末2、EC事業者端末3、及び、クリーニング店端末4のEC用アプリケーションに対して様々なサービスを提供する。
例えば、アプリケーションサーバ6は、EC事業者が提供可能な商品に対する顧客端末2からの注文を受け付けて当該注文を処理するとともに、顧客端末2からの返品要求を受け付けて当該返品要求に対する処理を行う。
【0027】
アプリケーションサーバ6は、EC用アプリケーションを利用する会員に関する情報が記録された会員データベースを備える。図3に会員データベースのデータ構成例を示す。
図3に示す会員データベースは、1レコードに対して、例えば「会員コード」、「氏名」、「性別」、及び、「住所」の各フィールドの値を含むデータベースである。「氏名」、「性別」、及び、「住所」の各フィールドは単に例示に過ぎず、適宜変更可能である。
なお、会員データベースには、商品の注文を行う顧客だけでなく、EC事業者や、商品の返品を扱うクリーニング店の情報も記録されている。つまり、EC事業者も会員コードによって管理され、クリーニング店も会員コード(仲介者に関する情報の一例)によって管理される。
【0028】
アプリケーションサーバ6は、商品データベースを備える。図4に商品データベースのデータ構成例を示す。
図4に示す商品データベースは、1レコードに対して、例えば、「商品コード」、「タグID」、及び、「商品コンテンツ」の各フィールドの値を含むデータベースである。各レコードは、1つの特定の商品に対応している。同一の商品コードの商品であっても異なる個体ごとに1つのレコードが割り当てられ、各商品に取り付けられたタグのタグIDが対応付けられる。
商品コードに対応する商品コンテンツは、例えば商品を購入した顧客等に対して提供するために設けられている。一実施形態では、同一の商品コードの商品に対して同一の商品コンテンツが対応付けられる。
【0029】
アプリケーションサーバ6は、顧客からの商品の注文を管理するための商品注文データベースを備える。図5に、商品注文データベースのデータ構成例を示す。
図5に示す商品注文データベースでは、各レコードにおいて「注文ID」、「会員コード」、「商品コード」、及び、「タグID」の各フィールドの値を含む。顧客から商品の注文が受け付けられると、注文IDを発行して、当該顧客に対応する会員コードと、注文対象の商品の商品コードと、当該商品に取り付けられているタグのタグIDとが、1つのレコードにおいて対応付けられる。
商品コードは、商品に関する情報の一例である。なお、商品注文データベースにおいて、注文IDには、顧客からの入金情報や、顧客に対する返金情報等を対応付けてもよい。
【0030】
図1では、顧客端末2及びクリーニング店端末4はそれぞれ1つのみを表示しているが、その限りではなく、2以上の任意の数の顧客端末2及びクリーニング店端末4がネットワークNWを介してアプリケーションサーバ6にアクセスすることができる。
【0031】
次に、図6を参照して、一実施形態のEC販売システム1における商品のECによる商品販売及び商品の返品の流れについて説明する。
図6を参照すると、一実施形態のEC販売システム1における商品のECによる商品販売の流れは以下の(I)~(IV)の手順で行われる。なお、図6の各手順は、実際には、顧客、EC事業者、クリーニング店等が直接、要求や通知などを相互に行うのではなく、アプリケーションサーバ6を介して行われることになる。
【0032】
(I)顧客が顧客端末2のEC用アプリケーション上で、商品を選択して注文を行う。
アプリケーションサーバ6は、例えば顧客端末2から商品の注文要求を受け付けると、注文IDを発行して商品注文データベース(図5)に1レコードを追加する。追加されたレコードには、顧客に対応する会員コード、注文対象の商品の商品コード、及び、当該商品に取り付けられているタグのタグIDが含まれる。また、アプリケーションサーバ6からの要求に応じて、タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいて、当該タグIDに対応するタグ情報の「商品取得者」フィールドの値を顧客に対応する会員コードに書き換えるとともに、タグ情報の状態フラグを「1」(準備中)とする。
【0033】
(II)EC事業者は、商品の顧客に対する発送の準備が整うと、顧客に対して発送案内通知を行う。すなわち、EC事業者端末3は、顧客端末2に対して発送案内通知を送信することをアプリケーションサーバ6に対して要求する。当該要求に応じて、アプリケーションサーバ6は、発送案内通知を顧客端末2に送信する。その後、EC事業者は、商品を顧客に発送する。
【0034】
(III)EC事業者は、商品が顧客の元に到着する凡そのタイミングで、顧客に対して受領確認通知を行う。すなわち、EC事業者端末3は、顧客端末2に対して受領確認通知を送信することをアプリケーションサーバ6に対して要求する。当該要求に応じて、アプリケーションサーバ6は、受領確認通知を顧客端末2に送信する。図示しないが、受領確認通知には、商品を受領したこと(受領確認)をアプリケーションサーバ6に通知するための「受領確認」ボタンが含まれている。
なお、商品が顧客の手元に到着した場合、顧客端末2のEC用アプリケーションは、到着した商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信でき、パケットに含まれるタグIDを取得することが出来る。
【0035】
(IV)顧客が商品を受領したことの確認メッセージである受領確認がEC事業者に通知される。
顧客が顧客端末2のEC用アプリケーション上で「受領確認」ボタンを操作すると、アプリケーションサーバ6に対して受領確認が送信される。この受領確認には、(III)で取得したタグIDが含まれる。
受領確認を受信すると、商品が顧客の元に届いたことが認識できるため、アプリケーションサーバ6は、タグ管理サーバ5に対してタグデータベースの更新を要求する。この要求に応じて、タグ管理サーバ5は、対応するタグ情報の状態フラグを「0」(確定)とする。
【0036】
上述したように、商品が顧客の手元に到着した場合、顧客端末2のEC用アプリケーションは、到着した商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信でき、パケットに含まれるタグIDを取得することができる。したがって、アプリケーションサーバ6は、EC事業者による顧客への商品発送後に、顧客端末2のEC用アプリケーションからタグID、顧客に対応する会員コードを取得した場合、商品注文データベースを参照することで、顧客の手元に商品が届いたと判断できる。その場合、アプリケーションサーバ6は、タグ情報の状態フラグを「0」(確定)としてもよい。つまり、アプリケーションサーバ6は、顧客とタグIDに対応する商品とを関連付け、タグIDに対応する商品取得者とし正式に登録することができる。すなわち、顧客によるEC用アプリケーション上での「受領確認」ボタン操作を契機とせずにタグ情報を更新するため、商品取得者である顧客の受領確認等の操作の負担を軽減できる。また、商品が顧客の手元に到着すると直ちに顧客端末2のEC用アプリケーションがタグIDを取得可能であるため、商品取得者である顧客と商品とをリアルタイムに関連付けることができる。別の観点では、商品取得者である顧客の顧客端末2のECアプリケーションからタグIDを取得することにより、発送した商品が実際に顧客の手元にあることを確認できる。
【0037】
なお、商品の譲渡における安全性を高めるために以下の方策を採ることができる。
(方策1)(II)の発送案内通知は、アクセスコードを含めた状態で顧客端末2に送信される。(III)の受領確認通知では、このアクセスコード入力した上で「受領確認」ボタンを操作することが要求される。アプリケーションサーバ6は、受領確認に含まれるアクセスコードの認証が成功した場合に限りタグ管理サーバ5に対してタグデータベースの更新を要求する。この方策では、商品の注文を行っていない顧客の顧客端末2から受領確認が送信されることを防止できる。
【0038】
(方策2)(II)の発送案内通知、又は、(III)の受領確認通知を送信する際に、アプリケーションサーバ6は顧客端末2に対して、対象となるタグが発信するパケットを復号するための鍵情報を渡す。顧客端末2は、到着した商品に取り付けられているタグが発信するパケットを予め渡されている鍵情報を使って復号することで、タグIDを取得する。この方策では、商品を注文していない他の顧客の端末によってタグIDが取得されることを防止できる。
【0039】
図6を参照すると、一実施形態のEC販売システム1における商品のECによる返品の流れは以下の(V)~(VIII)の手順で行われる。
【0040】
(V)顧客が顧客端末2のEC用アプリケーション上で、例えば返品する際のクリーニング店を指定した返品要求を行うと、返品要求通知がEC事業者に通知される。
例えば、顧客は、EC用アプリケーション上で会員データベースにアクセスして最寄りのクリーニング店等を選択、指定できる。
アプリケーションサーバ6は、返品要求を受け付けると、タグ管理サーバ5に対してタグデータベースの更新を要求する。タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいて、当該タグIDに対応するタグ情報の「商品取得者」フィールドの値をクリーニング店に対応する会員コードに書き換えるとともに、タグ情報の状態フラグを「1」(準備中)とする。
アプリケーションサーバ6は、EC事業者端末3に対して返品要求通知を送信する。
【0041】
(VI)EC事業者からクリーニング店に対して商品の返品の案内が行われる。
すなわち、アプリケーションサーバ6は、顧客から指定されたクリーニング店が所持するクリーニング店端末4のEC用アプリケーションに対して、返品案内通知を送信する。返品通知案内には、返品に関する情報として、顧客の会員コードと、返品対象の商品の商品コード、タグID等が含まれている。返品案内通知には、返品対象の商品を受領したこと(受領確認)をアプリケーションサーバ6に通知するための「受領確認」ボタンが含まれている。
【0042】
(VII)クリーニング店が返品されてきた商品を受領したことの確認メッセージである受領確認がEC事業者に通知される。
顧客からクリーニング店に商品が渡されると、クリーニング店端末4のEC用アプリケーションは、顧客から渡された商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信でき、パケットに含まれるタグIDを取得する。
クリーニング店の担当者がクリーニング店端末4のEC用アプリケーション上で「受領確認」ボタンを操作すると、アプリケーションサーバ6に対して受領確認が送信される。この受領確認には、タグから取得したタグIDが含まれる。
受領確認を受信すると、商品がクリーニング店の元に届いたことが認識できるため、アプリケーションサーバ6は、タグ管理サーバ5に対してタグデータベースの更新を要求する。この要求に応じて、タグ管理サーバ5は、対応するタグ情報の状態フラグを「0」(確定)とする。
上述したように、商品がクリーニング店の元に届いた場合、クリーニング店端末4のEC用アプリケーションは、顧客から渡された商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信でき、パケットに含まれるタグIDを取得することができる。したがって、アプリケーションサーバ6は、顧客からの返品要求を受信した後、指定されたクリーニング店端末4のEC用アプリケーションからタグID、クリーニング店に対応する会員コードを取得した場合、タグ管理サーバ5を介してタグデータベースを参照することで、商品がクリーニング店の元に届いたと判断できる。その場合、アプリケーションサーバ6は、タグ情報の状態フラグを「0」(確定)とさせてもよい。返品対象の商品がクリーニング店に渡されると直ちにクリーニング店端末4のEC用アプリケーションがタグIDを取得可能であるため、商品取得者であるクリーニング店と商品とをリアルタイムに関連付けることができる。別の観点では、商品取得者であるクリーニング店のクリーニング店端末4のEC用アプリケーションからタグIDを取得することにより、返品対象の商品が実際にクリーニング店の手元にあることを確認できる。また、返品される商品がEC事業者に戻されるまでの流通過程において、商品の管理責任者(商品がクリーニング店の手元にある場合には、クリーニング店)を明確にすることができる。
【0043】
(VIII)クリーニング店は、返品された商品のEC事業者に対する発送の準備が整うと、EC事業者に対して発送案内通知を行う。すなわち、クリーニング店端末4は、EC事業者端末3に対して発送案内通知を送信することをアプリケーションサーバ6に対して要求する。当該要求に応じて、アプリケーションサーバ6は、発送案内通知をEC事業者端末3に送信する。その後、クリーニング店は、商品をEC事業者に発送する。
【0044】
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態のEC販売システム1の各装置の構成を説明する。
図7は、本実施形態のEC販売システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。図8は、タグから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。
【0045】
図7を参照すると、タグTは、制御部11、アンテナ12、ハーベスティング部13、電圧制御部14、及び、RFトランシーバ15を含む。
タグの全体の形態は図示しないが、例えば、アンテナ12が形成される所定のパターンの導電性金属箔と、当該金属箔に接続されるICチップとを含む薄膜状の部材である。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部13、及び、電圧制御部14、RFトランシーバ15が実装される。
【0046】
制御部11はマイクロプロセッサとメモリ111を有し、IoTタグの全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、タグIDを記憶する。
【0047】
ハーベスティング部13は、周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のエネルギーストレージ131に貯蔵する。一実施形態では、ハーベスティング部13は、例えばアンテナ12が受信した無線信号を直流電圧に変換し、エネルギーストレージ131に貯蔵する。エネルギーストレージ131は、例えばキャパシタである。キャパシタの場合には、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよい。
【0048】
ハーベスティング部13が環境発電に使用する電波は、広範囲の複数の異なる周波数帯の電波が使用可能である。一実施形態では、タグTは、周囲に含まれる1又は複数の特定周波数の電波からエネルギーを得て動作する。特定周波数は、タグTにおいてエネルギーに変換可能な如何なる周波数の電波をも含む。特定周波数は、1又は複数の周波数帯を含んでもよいし、周波数帯の中から割り当てられた特定の周波数であってもよい。
一実施形態では、特定周波数は、例えば無線通信規格等で規格された特定の周波数又は周波数帯でも良く、本実施形態に係るEC用アプリケーションを提供する事業者によって指定される特定の周波数又は周波数帯である。
ハーベスティング部13が環境発電に使用する電波の限定しない例として、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
ここに例示したような電波は、一般に、ほとんどすべての家庭において適用可能である。タグは、周囲環境の電波を基にしてハーベスティング部13による環境発電で得られる電力で動作する。そのため、タグにバッテリを搭載する必要がなく、システムコストを抑制することができる。また、バッテリを搭載する必要がないことから、バッテリの交換作業を行わずに済むため、タグが存在するにもかかわらずタグIDを取得できないという不具合が生じない。
【0049】
電圧制御部14は、制御部11及びRFトランシーバ15に動作電圧を供給するとともに、エネルギーストレージ131の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11及びRFトランシーバ15では、後述するパケットの生成や無線信号の送信等が行われない。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11及びRFトランシーバ15ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
【0050】
制御部11は、電力モードが第2モードの場合に、BLEのプロトコルに従ってアドバタイジングパケットを生成する。
アドバタイジングパケットは、BLEにおいてブロードキャスト通信を実現するためにアドバタイジングチャネルを利用して送信されるパケットであり、図8に示すパケット構成を有する。アドバタイジングパケットは、以下では適宜、単に「パケット」という。
【0051】
図8においてプリアンブル及びアドレスアクセスは、それぞれが所定の固定値である。CRCは巡回検査符号であり、パケットペイロード(つまり、アドバタイジングチャネルPDU(protocol data unit))を対象として所定の生成多項式を用いて算出される検査データである。
アドバタイジングチャネルPDU(以下、単に「PDU」という。)は、ヘッダとペイロードとからなり、当該ペイロードは、ADVアドレスとADVデータとからなる。ADVアドレスはアドバタイザー(つまり、報知する主体であるIoTタグ)のアドレスであるが、送信元を特定しないように送信の都度に設定されるランダムな値でもよい。ADVデータはアドバタイザーのデータ(ブロードキャストデータ)であり、本実施形態ではタグIDを含む。
【0052】
制御部11は、PDUを暗号化することが好ましい。暗号化方法は限定しないが、例えば鍵長128ビットのAES(Advanced Encryption Standard)を利用することができる。
【0053】
RFトランシーバ15は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)をアンテナ12に送出する。
【0054】
アンテナ12は、送信アンテナと発電用アンテナを含む。
送信アンテナは、RFトランシーバ15によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。他方、発電用アンテナは、例えば周囲環境の電波を受信し、ハーベスティング部13と協働してレクテナとして機能する。
【0055】
図7に示すように、顧客端末2は、制御部21、ストレージ22、操作入力部23、表示部24、第1通信部25、及び、第2通信部26を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、顧客端末2の全体を制御する。例えば、制御部21は、EC用アプリケーションを実行することでタグと通信を行うように第1通信部25を制御し、タグからパケットを受信した場合には、当該パケットに含まれるタグIDをアプリケーションサーバ6に送信する。
制御部21は、EC用アプリケーションを実行することでアプリケーションサーバ6に対して様々な要求(例えば、注文要求、返品要求、各種通知の送信要求など)を行う。
制御部21は、EC用アプリケーションを実行することでアプリケーションサーバ6から送信される通知(例えば、上述した発送案内通知や受領確認通知など)を取得して表示部24に表示する。
【0056】
ストレージ22は、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、EC用アプリケーションの実行結果やEC用アプリケーションの実行に必要となるデータ(例えば、認証データ)等を格納する。
【0057】
操作入力部23は、EC用アプリケーションを含む種々のプログラム実行するために顧客から操作入力を受け付ける入力インタフェースであり、表示部24の表示パネルに設けられるタッチパネル入力部であってもよい。
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Panel)等の表示パネルと、表示パネルの駆動回路とを含み、EC用アプリケーションの実行結果を表示する。
第1通信部25は、例えば、第2通信部26よりも狭い通信範囲で対象物と無線通信を行うものであり、例えば各タグからBLEプロトコルに従って送信されるパケットを受信するように構成されている。
第2通信部26は、アプリケーションサーバ6と通信を行うための通信インタフェースである。通信プロトコルは限定しないが、例えばHTTPやHTTPS等である。
【0058】
EC事業者端末3及びクリーニング店端末4の構成については、それぞれ顧客端末2と同様でよいため、重複説明は省略する。
【0059】
図7に示すように、タグ管理サーバ5は、制御部51、ストレージ52、及び、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、タグ管理サーバ5の全体を制御する。
ストレージ52は、HDD等の記憶装置であり、タグデータベース(図2参照)を格納する。
通信部53は、アプリケーションサーバ6と通信を行うための通信インタフェースである。
【0060】
制御部51では、マイクロプロセッサがプログラムを実行することで、例えば、EC事業者端末3から書き換え要求を受信するとストレージ52にアクセスして、タグデータベースの特定のタグ情報の書き換えを行う。例えば、商品の注文や返品等のイベントが生じた場合、商品取得者が変更になるため、制御部51は、タグ情報の「商品取得者」フィールドの値を更新する。
すなわち、制御部51は、商品が第1商品取得者から第2商品取得者に移転される際、第1商品取得者が所持する端末(顧客端末2、EC事業者端末3、クリーニング店端末4等の端末)から第2商品取得者を次の商品取得者として指定する情報を受信した場合に、タグ情報において、第2商品取得者に関する情報(つまり、会員コード)と、タグIDと、を関連付ける処理を行う。
また、制御部51は、タグ情報において、商品取得者が確定しているか否かを示す状態フラグの書き換えを行う。
【0061】
制御部51は、特定の会員コードの顧客が商品の商品取得者であるかについての問合せをアプリケーションサーバ6から受けた場合、問合せに含まれる会員コードとタグIDの組合せをタグデータベースと照合して、照合結果をアプリケーションサーバ6に返す。
【0062】
図7に示すように、アプリケーションサーバ6は、制御部61、ストレージ62、及び、通信部63を備える。
制御部61は、マイクロプロセッサを主体として構成され、アプリケーションサーバ6の全体を制御する。例えば、制御部61では、マイクロプロセッサがサーバプログラムを実行し、顧客端末2、EC事業者端末3、及び、クリーニング店端末4の各クライアントからアクセスを受けると、会員コードを識別してセッションを確立し、クライアントからの要求に応じて、上述した様々な処理を実行する。
制御部61は、タグデータベースに含まれるタグ情報の書き換えが必要となるイベントが発生すると、タグ管理サーバ5に対して書き換え要求を送信する。
【0063】
一実施形態では、制御部61は、顧客端末2から取得したEC事業者への商品の返品要求と、EC事業者端末3から取得した返品要求の対象となる商品に対応したタグIDとに基づいて、顧客から商品が返品されたか否かを判断する。
一実施形態では、制御部61は、顧客端末2から返品対象の商品の商品コードを含む返品要求を受信し、かつ、EC事業者端末3が当該商品(返品されてきた商品)に取り付けられたタグから受信したタグIDと、返品要求に含まれる商品コードに対応するタグIDと、が一致する場合に、顧客から商品が返品されたと判断する。
同一商品コードの商品であっても異なるタグIDが割り当てられているため、タグID同士が一致するか否か判断することで、顧客の元にあった商品の個体と、EC事業者に返品された商品の個体とが同一であるか否か判断することができる。そのため、顧客が誤って、あるいは意図的に異なる個体の商品を返品した場合であっても、正しく返品がなされたかどうか認識することができる。
【0064】
制御部61は、顧客端末2のEC用アプリケーションからタグIDを含む商品情報要求を受信した場合、対象となる会員コードの顧客が商品の正規の商品取得者であるかについての問合せをタグ管理サーバ5に対して行う。正規の商品取得者である場合には、制御部61は、要求元のEC用アプリケーションに対して、対応する商品コンテンツを提供する。すなわち、制御部61は、顧客に対応する会員コードとタグIDとがタグデータベースにおいて関連付けられており、当該顧客が商品の商品取得者であると判断された場合に、当該顧客のEC用アプリケーションに対して、当該商品に対応する商品コンテンツを提供可能となるように制御する。
【0065】
ストレージ62(記憶部の一例)は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、会員データベース(図3参照)、商品データベース(図4参照)、及び、商品注文データベース(図5参照)を格納する。図示しないが、ストレージ62には、返品要求に対応するデータ(顧客の会員コード、返品対象の商品の商品コード、経由するクリーニング店の会員コードなど)が格納される。
【0066】
通信部63は、顧客端末2、EC事業者端末3、及びクリーニング店端末4と通信を行うための通信インタフェースである。通信プロトコルは限定しないが、例えばHTTPやHTTPS等である。
通信部63はまた、タグ管理サーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。
【0067】
次に、図9及び図10を参照して、EC販売システム1の動作を説明する。図9及び図10はそれぞれ、EC販売システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
なお、各図では、顧客端末2、EC事業者端末3、及び、クリーニング店端末4の各端末のEC用アプリケーションとEC事業者端末3の間でセッションが確立しており、アプリケーションサーバ6は、通信相手のEC用アプリケーションに対応する会員コードを認識していることを想定している。
【0068】
図9は、商品の顧客への発送に伴う処理を示すシーケンスチャートである。
図9において、顧客が顧客端末2のEC用アプリケーション上で、商品を選択して注文の操作を行うと、顧客端末2のEC用アプリケーションは、注文要求をアプリケーションサーバ6に送信する(ステップS2)。注文要求には、注文対象の商品の商品コードが含まれる。
【0069】
アプリケーションサーバ6は、商品の注文要求を受け付けると注文IDを発行し(ステップS4)、商品注文データベース(図5)に1レコードを追加することで商品注文データベースを更新する(ステップS6)。追加されたレコードには、顧客に対応する会員コード、注文要求に含まれる商品コード、及び、商品に取り付けられているタグのタグIDが含まれる。アプリケーションサーバ6は、例えば、商品データベース(図4)から、注文要求に含まれる商品コードに対して選択したいずれかのタグIDを、上記追加されたレコードに割り当てることができる。それによって、顧客の注文に対して特定の個体の商品が割り当てられることになる。
【0070】
次いでアプリケーションサーバ6は、タグ管理サーバ5に対してタグ情報の書き換え要求を送信する(ステップS8)。書き換え要求には、商品取得者となる顧客の会員コードと、商品注文データベースに追加されたレコードに含まれるタグIDとが含まれる。
この書き換え要求に応じて、タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいて、当該タグIDに対応するタグ情報の「商品取得者」フィールドの値を、書き換え要求に含まれる会員コードに書き換えるとともに、タグ情報の状態フラグを「1」(準備中)とする(ステップS10)。
【0071】
EC事業者は、商品の顧客に対する発送の準備が整うと商品を発送するとともに、EC用アプリケーション上で顧客に対して発送案内を送る操作を行う。それによって、EC事業者端末3のEC用アプリケーションは、顧客端末2に対して発送案内通知を送信することをアプリケーションサーバ6に対して要求する。当該要求に応じて、アプリケーションサーバ6は、発送案内通知を顧客端末2に送信する(ステップS12)。
【0072】
次いでEC事業者は、商品が顧客の元に到着する凡そのタイミングで、EC用アプリケーション上で顧客に対して受領確認を要求するための操作を行う。それによって、EC事業者端末3のEC用アプリケーションは、顧客端末2に対して受領確認通知を送信することをアプリケーションサーバ6に対して要求する。当該要求に応じて、アプリケーションサーバ6は、受領確認通知を顧客端末2に送信する(ステップS14)。
【0073】
EC事業者から発送された商品が顧客の元に届くと、顧客端末2のEC用アプリケーションが、商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信して、パケットに含まれるタグIDを取得する。
そして、顧客がステップS14で受信した受領確認通知に含まれている「受領確認」ボタンを操作すると(ステップS16)、顧客端末2のEC用アプリケーションは、アプリケーションサーバ6に対して受領確認を送信する(ステップS18)。受領確認には、商品に取り付けられているタグから取得したタグIDが含まれる。
なお、顧客が「受領確認」ボタンを操作することは必須ではない。前述したように、商品が顧客の手元に到着した場合、顧客端末2のEC用アプリケーションは、到着した商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信でき、パケットに含まれるタグIDを取得することができる。取得したタグIDを顧客端末2のEC用アプリケーションがアプリケーションサーバ6に送信し、アプリケーションサーバ6がタグIDを受信した場合、アプリケーションサーバ6は、商品注文データベースを参照することで、顧客の手元に商品が届いた(つまり、顧客が商品を受領した)と判断できる。
【0074】
受領確認を受信すると、アプリケーションサーバ6は、タグ管理サーバ5に対して書き換え要求を送信する(ステップS20)。この書き換え要求に応じて、タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいてステップS10で書き換え対象となったタグ情報の状態フラグを「0」(確定)とする(ステップS22)。すなわち、タグ管理サーバ5は、顧客端末2が商品のタグからタグIDを取得した場合に、顧客の会員コード(商品取得者に関する情報の一例)とタグIDとを関連付けることになる。これによって、届けられた商品の商品取得者として、注文を行った顧客が正式に登録される。
【0075】
図10は、商品のEC事業者への返品に伴う処理を示すシーケンスチャートである。
図10において、例えば注文して届いた商品が気に入らずに返品する場合、顧客は、EC用アプリケーション上で返品要求の操作を行う(ステップS30)。この操作では、例えば返品先のクリーニング店を指定できる。顧客の操作に応じて、顧客端末2のEC用アプリケーションは、返品対象の商品コード、タグID、指定されたクリーニング店に対応する会員コード等を含む返品要求をアプリケーションサーバ6に送信する(ステップS32)。
【0076】
アプリケーションサーバ6は、返品要求を受け付けると、タグ管理サーバ5に対して書き換え要求を送信する(ステップS33)。タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいて、当該タグIDに対応するタグ情報の「商品取得者」フィールドの値を、返品要求に含まれるクリーニング店に対応する会員コードに書き換えるとともに、タグ情報の状態フラグを「1」(準備中)とする(ステップS34)。
【0077】
次いでアプリケーションサーバ6は、返品要求があったことをEC事業者に認識させるために、EC事業者端末3に対して返品要求通知を送信する(ステップS34)。返品要求通知には、返品要求元の顧客の会員コードと、ステップS32の返品要求に含まれる返品対象の商品コード、タグID、及びクリーニング店に対応する会員コード等が含まれる。
さらにアプリケーションサーバ6は、返品要求に含まれるクリーニング店のEC用アプリケーションに対して、返品案内通知を送信する(ステップS35)。返品案内通知には、返品に関する情報として、顧客の会員コードと、返品対象の商品の商品コード、タグID等が含まれている。この返品案内通知を受信することで、クリーニング店は、特定の顧客から商品が返品されてくることを認識できる。
【0078】
その後、顧客からクリーニング店に商品が持ち込まれると、クリーニング店端末4のEC用アプリケーションは、顧客から持ち込まれた商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信し、パケットに含まれるタグIDを取得する。クリーニング店の担当者がクリーニング店端末4のEC用アプリケーション上で、ステップS35で受信した返品案内通知に含まれる「受領確認」ボタンを操作すると、アプリケーションサーバ6に対して受領確認が送信される(ステップS36)。この受領確認には、タグから取得したタグIDが含まれる。
なお、クリーニング店の担当者が「受領確認」ボタンを操作することは必須ではない。前述したように、商品がクリーニング店の手元に到着した場合、クリーニング店端末4のEC用アプリケーションは、返品されてきた商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信でき、パケットに含まれるタグIDを取得することができる。取得したタグIDをクリーニング店端末4のEC用アプリケーションがアプリケーションサーバ6に送信し、アプリケーションサーバ6がタグIDを受信した場合、アプリケーションサーバ6は、商品注文データベースや返品要求を参照することで、クリーニング店の手元に返品対象の商品が届いた(つまり、クリーニング店が返品対象の商品を受領した)と判断できる。
【0079】
アプリケーションサーバ6は、返品要求に含まれる会員コードのクリーニング店のクリーニング店端末4がタグと通信可能となるように制御してもよい。例えば、ステップS35の返品案内通知によって、タグから発信されるパケットを復号するための復号鍵をクリーニング店端末4のEC用アプリケーションに送信することで、返品要求によって指定されたクリーニング店のEC用アプリケーションのみがタグIDを取得できるようにする。それによって、商品がEC事業者に返品される流通上において予定していない第三者がタグIDを取得することを防止できる。
【0080】
ステップS36において受領確認を受信すると、アプリケーションサーバ6は、タグ管理サーバ5に対して書き換え要求を送信する(ステップS37)。この書き換え要求に応じて、タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいてステップS34で書き換え対象となったタグ情報の状態フラグを「0」(確定)とする(ステップS38)。すなわち、タグ管理サーバ5は、クリーニング店端末4が商品に取り付けられているタグからタグIDを取得した場合に、クリーニング店の会員コードとタグIDとを関連付けることができる。
【0081】
クリーニング店は、返品された商品のEC事業者に対する発送の準備が整うと、EC用アプリケーション上でEC事業者に対して発送案内のための操作を行う。この操作に応じて、クリーニング店端末4のEC用アプリケーションは、EC事業者端末3に発送案内通知を送信することを要求する発送案内要求をアプリケーションサーバ6に対して送信する(ステップS40)。発送案内要求には、EC事業者に対応する会員コードが含まれる。
アプリケーションサーバ6は、発送案内要求を受け付けると、タグ管理サーバ5に対して書き換え要求を送信する(ステップS41)。タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいて、当該タグIDに対応するタグ情報の「商品取得者」フィールドの値を、発送案内要求に含まれるEC事業者に対応する会員コードに書き換えるとともに、タグ情報の状態フラグを「1」(準備中)とする(ステップS42)。
次いでアプリケーションサーバ6は、発送案内通知をEC事業者端末3に送信する(ステップS43)。
【0082】
その後、クリーニング店は商品をEC事業者に発送し、EC事業者が商品を受領する。
例えばEC事業者の倉庫において担当者が返品されてきた商品を受領すると、EC事業者端末3のEC用アプリケーションは、返品された商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信して、パケットに含まれるタグIDを取得する。EC事業者の担当者がEC事業者端末3のEC用アプリケーション上で、ステップS43で受信した発送案内通知に含まれる「受領確認」ボタンを操作すると、アプリケーションサーバ6に対して受領確認が送信される(ステップS44)。この受領確認には、タグから取得したタグIDが含まれる。
なお、EC事業者の担当者が「受領確認」ボタンを操作することは必須ではない。前述したように、商品がEC事業者の倉庫等に到着した場合、EC事業者端末3のEC用アプリケーションは、返品されてきた商品に取り付けられているタグが発信するパケットを受信でき、パケットに含まれるタグIDを取得することができる。取得したタグIDをEC事業者端末3のEC用アプリケーションがアプリケーションサーバ6に送信し、アプリケーションサーバ6がタグIDを受信した場合、アプリケーションサーバ6は、商品注文データベースや返品要求を参照することで、EC事業者の手元に返品対象の商品が届いた(つまり、EC事業者が返品対象の商品を受領した)と判断できる。
【0083】
受領確認を受信すると、アプリケーションサーバ6は、返品確認処理を行う(ステップS45)。返品確認処理は、顧客から正しい個体の商品が返品されたか否か確認する処理である。具体的には、ステップS44の確認処理に含まれるタグID(つまり、EC事業者端末3が返品されてきた商品に取り付けられたタグから受信したタグID)と、返品要求に含まれる商品コードに対応するタグIDと、が一致するか否か判定される。一致する場合には、正しい個体の商品が返品されたと判断できる。
【0084】
次いでアプリケーションサーバ6は、タグ管理サーバ5に対して書き換え要求を送信する(ステップS46)。この書き換え要求に応じて、タグ管理サーバ5は、タグデータベースにおいてステップS42で書き換え対象となったタグ情報の状態フラグを「0」(確定)とする(ステップS48)。
上述したように、アプリケーションサーバ6は、顧客の商品受領タイミングで顧客端末2のEC用アプリケーションからタグIDを受信したり、クリーニング店の商品受領タイミングでクリーニング店端末4のEC用アプリケーションからタグIDを受信したり、EC事業者の商品受領タイミングでEC事業者端末3のEC用アプリケーションからタグIDを受信したりする。つまり、アプリケーションサーバ6が各端末からタグIDを受信することで、顧客、クリーニング店、EC事業者のそれぞれが商品を受領したタイミングで、各端末に対して商品が実際にある場所を認識できる。また、アプリケーションサーバ6は、それぞれの端末から「受領確認」の通知を受信することで各商品取得者(顧客、クリーニング店、EC事業者等)が商品を受領したと確実に判断することができる。
【0085】
図11は、顧客から商品の注文を受けてから当該商品が返品される際のタグ情報の書き換えタイミングを示す図である。
図11において、イベントE1~E6は、タグ情報の書き換えの契機となるイベントを示しており、例えばイベントE1は、EC事業者端末3における商品の注文受付タイミング、イベントE2は、顧客端末2における商品の受領タイミング、イベントE3は、顧客端末2における商品の返品タイミング、イベントE4は、クリーニング店端末4における商品の受領タイミング、イベントE5は、クリーニング店端末4における商品の発送タイミング、イベント6Eは、EC事業者端末3における商品の受領タイミングに対応する。図11では、タグ管理サーバ5で管理されるタグ情報の状態ST1~ST6を示している。状態ST1~ST6は、対応するイベントE1~E6に応じて変化するタグ情報の状態を表しており、下の欄は商品の商品取得者を示し、上の欄はその商品取得者が確定しているか否かを示す。
なお、図11では、顧客から商品の注文を受け付けて商品を顧客に発送したEC事業者の会員コードを「EC1」とし、商品の注文を行った顧客の会員コードを「CS100」とし、返品される商品を顧客から受け取るクリーニング店の会員コードを「CL05」としている。
【0086】
図11に示すように、商品がEC事業者、顧客、クリーニング店の三者の間で転々と移動する場合、各端末による商品に取り付けられているタグのタグIDの取得に基づいて、EC事業者、顧客、クリーニング店の三者のうち対象となる商品が手元にある者が、確定した商品取得者としてタグデータベースに記録される。また、EC事業者、顧客、クリーニング店の三者のうち商品を取得する予定の者については、準備中の商品取得者としてタグデータベースに記録される。したがって、一実施形態では、アプリケーションサーバ6は、タグ管理サーバ6のタグデータベースを参照することで、商品が複数の者の間で転々と移動する場合に、商品の管理責任者である商品取得者を、把握することができる。
【0087】
なお、図11に示すように、商品取得者がEC事業者とクリーニング店と顧客の間で、順次切り換わる。例えば、EC事業者から顧客に商品が移転される状況では、EC事業者が第1商品取得者の一例であり、顧客が第2商品取得者の一例である。クリーニング店からEC事業者に商品が戻される状況では、クリーニング店が第1商品取得者の一例であり、EC事業者が第2商品取得者の一例である。
【0088】
タグ管理サーバ5において商品取得者を把握することができるため、一実施形態では、商品取得者に対して商品に関する情報として商品コンテンツを提供可能とすることが可能となる。
図12は、商品取得者である顧客に対して商品コンテンツを提供する場合の処理を示すシーケンスチャートである。
【0089】
例えば、顧客が購入により取得した商品が顧客端末2の近くにある場合、顧客端末2のEC用アプリケーションは、商品に取り付けられたタグが発信するパケットからタグIDを取得し、アプリケーションサーバ6に対してタグIDを含む情報提供要求を送信する(ステップS50)。情報提供要求は、対象となる商品に関する情報をアプリケーションサーバ6に要求するものであり、顧客がEC用アプリケーション上で所定の操作を行ったことを契機として送信されてもよいし、タグIDを取得する度に自動的に送信されてもよい。
【0090】
情報提供要求を受信すると、アプリケーションサーバ6は、送信元の顧客が商品取得者であるかについての問合せをタグ管理サーバ5に送信する(ステップS52)。この問合せを受けて、タグ管理サーバ5は、問合せに含まれる会員コードとタグIDの組合せをタグデータベースと照合して(ステップS54)、照合結果をアプリケーションサーバ6に返す(ステップS56)。
照合結果がOKである場合(ステップS58:YES)、アプリケーションサーバ6は、商品データベース(図4)を参照して、情報提供要求に含まれるタグIDに対応する商品コンテンツを読み出して(ステップS60)、要求元の顧客端末2のEC用アプリケーションに送信する(ステップS62)。顧客端末2のEC用アプリケーションは、商品コンテンツを受信して表示する(ステップS64)。
【0091】
上述したように、一実施形態のEC販売システム1では、商品取得者をタグ管理サーバ5で管理しているため、タグIDや商品コードに対して商品コンテンツ等の提供情報等を関連付けておくことで、当該商品の購入者等の商品取得者は、商品の購入後も継続的に例えば商品に関する情報等の提供を受けることができる。また、上述したEC販売システム1では、顧客と1又は複数の商品(例えばアパレルの場合、スカート、ジャケット等の商品群)とを関連付けることもできるため、顧客ごとに商品の取得状況に応じて効果的なコンテンツ等を配信することも可能である。
【0092】
また、上述したEC販売システム1では、商品が衣類等のアパレル商品である場合を想定して説明したが、その限りではなく、その他の種別の商品(例えば、化粧品、日用品、食料品、家具、家電、オフィス機器、アウトドア用品等)に対しても適用できる。また、オンラインを活用した物品のレンタルサービス(例えば、衣料品サブスクリプション等)にも適用できる。
顧客が商品を返品する場合の仲介者の一例としてクリーニング店を挙げたが、その限りではなく、運搬業者等の他の仲介者を適用することができる。
EC販売システム1では、取り扱う商品の種別を限定しないため、顧客を複数の異なる分野の商品と関連付けてもよい。その場合、顧客の商品の取得状況に応じて効果的なコンテンツを提供することもできる。
【0093】
なお、例えば、商品取得者ではない者が商品取得者の近くにいることで、商品取得者ではない者の顧客端末2のEC用アプリケーションが、商品取得者の商品に取り付けられているタグからタグIDを取得して情報提供要求をアプリケーションサーバ6に送信することもあり得る。その場合、当該タグIDと商品取得者ではない者の会員コードとが、対応付けた状態でタグデータベースに記録されていないため、図12のステップS58において照合エラーとなり、商品取得者でない者のEC用アプリケーションには、商品コンテンツが提供されない。したがって、商品取得者のみが商品コンテンツの提供を受けることが仕組みとすることができる。また、例えば商品案内通知後に照合エラーが続く場合には、正規の商品取得者の手元に商品が届いていないと判断して、EC事業者端末に通知をしても良い。
【0094】
上述したように、EC販売システム1では、例えば、商品取得者が移転される場合(例えば返品の際に、商品取得者が顧客、クリーニング店、EC事業者の順に移転される場合)、タグデータベースにおいてタグIDに関連付けて商品取得者が移転される度に商品取得者に関する情報(会員コード)が記録される。各者が商品を取得し、それにより各者の端末が商品に取り付けられているタグのタグIDを取得したタイミングでタグデータベースにおける商品取得者の情報が切り替えられ、各者が何らかの煩雑な手続きを行うことを要しない。
また、商品取得者がタグデータベースにおいて商品取得者が一元的に管理されるため、アプリケーションサーバ側で現在の商品取得者を常に把握することができ、商品取得者に対して適切に商品コンテンツ等の情報を提供することができる。
【0095】
一実施形態では、タグデータベースでは、商品の過去の商品取得者に関する情報(つまり、会員コード)と、当該商品に取り付けられているタグのタグIDとを関連付けてもよい。すなわち、タグ情報は、現在の商品取得者だけでなく、過去の商品取得者も含んでもよい。例えば、図11に示す例では、会員コード:EC1,CS100,CL01,EC1といった具合に順にタグデータベースの「商品取得者」フィールドに記録される。このようにすることで、商品の流通段階や商品の譲渡により商品取得者が転々とする場合に商品取得者の履歴を把握することができる。アプリケーションサーバ6は、現在の商品取得者と商品の取得状況、過去の商品取得者と商品の取得状況を把握するため、効果的にコンテンツを提供することができる。例えば、現在の商品の商品取得者に対して、当該商品の過去の商品取得者が取得した別の商品に関するコンテンツを提供することができる。
【0096】
一実施形態のEC販売システム1では、顧客が商品を返品するときに、従来のように、返品伝票を記入し、商品を梱包して宅配便等によりEC事業者に発送するという煩雑な作業を必要としない。EC事業者にとっても返品された商品を受領するときの作業が省力化できる。そのため、顧客から商品を返品される際に、顧客及びEC事業者の双方にとって利便性が向上する。
EC販売による商品の返品における利便性が向上するため、顧客が返品を恐れずに気軽に注文できることとなり、EC販売の普及に寄与する。
【0097】
以上、情報処理端末、情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0098】
例えば、無線タグとして周囲環境の電波からエネルギーを得て動作する環境発電型のIoTタグが適用される場合について説明した。IoTタグが適用される場合、従来のパッシブタグとは異なり、周囲環境に存在する電波によって給電されて動作するため、常に近くに給電のためにリーダライタを固定配置させる必要がないという利点があるが、IoTタグを適用しなくてもよい。
バッテリを内蔵したアクティブ型のRFIDタグ(アクティブタグ)やバッテリを内蔵しないパッシブ型のRFIDタグ(パッシブタグ)にセンサを組み合わせた装置を無線タグとして適用してもよい。その場合、例えば利用者の家庭内、クリーニング店内、EC事業者の倉庫等にリーダライタを設置し、RFIDタグが記憶するタグID及びセンサデータをリーダライタが読み、アプリケーションサーバ6に通知する。
【0099】
また、無線タグとしてBLEタグを適用してもよい。BLEタグは、上記IoTタグと同様にBLE通信を行うが、バッテリが内蔵されている点でIoTタグとは異なる。BLEタグについてもセンサを内蔵させることができる。BLEタグの場合もIoTタグと同様に、タグIDを含む電波のブロードキャスト等をして、各端末が電波を受信して上述した処理を行うことが可能である。
【0100】
商品に取り付けられるタグのタグIDと商品取得者とをタグ管理サーバにおいて管理することは、当該商品の種類や、当該商品がEC販売によって譲渡されたか否かの販売方法とは無関係であり、特定の商品や譲渡方法に限定されない。店頭販売されている商品にタグが取り付けられている場合であっても、当該商品の購入者の端末とタグとの通信によって、当該購入者を商品取得者としてタグIDと対応付けることが可能である。
【0101】
上述した実施形態において、タグ管理サーバ5やアプリケーションサーバ6の機能の一部を顧客端末2や、クリーニング店端末4、EC事業者端末3によって実現するように、EC用アプリケーションを構成してもよい。すなわち、タグ管理サーバ5やアプリケーションサーバ6の機能の一部をネイティブアプリケーションとして実現することもできる。
また、タグ管理サーバ5の一部の機能をアプリケーションサーバ6で実現するようにしてもよいし、アプリケーションサーバ6の一部の機能をタグ管理サーバで実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…EC販売システム
T…IoTタグ
11…制御部
111…メモリ
12…アンテナ
13…ハーベスティング部
131…エネルギーストレージ
14…電圧制御部
15…RFトランシーバ
2…顧客端末
21…制御部
22…ストレージ
23…操作入力部
24…表示部
25…第1通信部
26…第2通信部
3…EC事業者端末
4…クリーニング店端末
5…タグ管理サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
6…アプリケーションサーバ
61…制御部
62…ストレージ
63…通信部
6…ウェブサーバ
NW…ネットワーク
図1
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