(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149851
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】パチンコ遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052175
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】595112915
【氏名又は名称】株式会社ヤマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 将人
(72)【発明者】
【氏名】大上 英章
(72)【発明者】
【氏名】松岡 輝
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA23
2C088EA10
(57)【要約】
【課題】 演出動作を制御する演出基板の交換を容易にするとともにその交換時の損傷を抑制することのできるパチンコ遊技機の提供。
【解決手段】 抽選処理を行うとともに遊技動作を制御するメイン基板と、抽選処理の結果を遊技者に通知するための演出動作を制御する演出基板と、を備えるパチンコ遊技機である。メイン基板から抽選処理についての情報を含む遊技信号を受信する第1中継ポートと、演出基板に遊技信号を送出する第2中継ポートと、を含み、第1中継ポートと第2中継ポートとの間で非接触にて遊技信号を伝達する信号伝達手段を与えられていることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽選処理を行うとともに遊技動作を制御するメイン基板と、
前記抽選処理の結果を遊技者に通知するための演出動作を制御する演出基板と、を備えるパチンコ遊技機であって、
前記メイン基板から前記抽選処理についての情報を含む遊技信号を受信する第1中継ポートと、前記演出基板に前記遊技信号を送出する第2中継ポートと、を含み、前記第1中継ポートと前記第2中継ポートとの間で非接触にて前記遊技信号を伝達する信号伝達手段を与えられていることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記信号伝達手段は光学的に前記遊技信号を伝達する手段であることを特徴とする請求項1記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記第1中継ポートで前記遊技信号を暗号化して送信するとともに、前記第2中継ポートでこれを復号化することを特徴とする請求項2記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記信号伝達手段は、前記遊技信号を暗号化した画像を表示する画像表示装置と、前記画像表示装置に表示された前記画像を撮像して前記遊技信号を復号化することを特徴とする請求項3記載のパチンコ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出動作を制御する演出基板の交換を容易にするとともにその交換時の損傷を抑制することのできるパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
趣向の多様化に伴ってより新鮮味を与え得る遊技機の開発が頻繁に行われるとともに、ホールでの遊技機の入れ替えサイクルも短くなってくる。かかる入れ替え後の遊技機は、環境保全の社会的な要請もあって、リユース及びリサイクルを考慮した設計とすることを求められている。ここで、個別の遊技機の特色を色濃く反映させる演出装置についても、簡便にリサイクルできるようにすることが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、遊技機において、演出処理を行う演出制御サブ基板を再利用できるようにするために、演出処理の結果を表示する表示装置を駆動させるための駆動部を演出制御サブ基板から着脱可能に接続できるようにインターフェイス部を設けることを開示している。これによれば、演出制御サブ基板を異なる種類の表示装置を備えた遊技機に再利用することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な、パチンコ遊技機においては、抽選処理を行うとともに遊技動作を制御するメイン基板に対して、この抽選処理の結果を遊技者に通知するための演出動作を行う演出基板(’サブ基板)を結線し、遊技信号を伝達させた上で、演出基板から各演出装置に直接、又は、サブサブ基板を介して制御信号が送出されることになる。ここで、演出基板等を遊技機本体から取り外すための作業が煩雑であると、リサイクルコストが上昇し、リサイクルの進捗に支障を来すこととなる。また、演出基板等の取り外し作業により損傷を生じると、そのリサイクルが困難となり得る。
【0006】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、演出動作を制御する演出基板の交換を容易にするとともにその交換時の損傷を抑制することのできるパチンコ遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による遊技機は、抽選処理を行うとともに遊技動作を制御するメイン基板と、前記抽選処理の結果を遊技者に通知するための演出動作を制御する演出基板と、を備えるパチンコ遊技機であって、前記メイン基板から前記抽選処理についての情報を含む遊技信号を受信する第1中継ポートと、前記演出基板に前記遊技信号を送出する第2中継ポートと、を含み、前記第1中継ポートと前記第2中継ポートとの間で非接触にて前記遊技信号を伝達する信号伝達手段を与えられていることを特徴とする。
【0008】
かかる特徴によれば、メイン基板側の第1中継ポートと演出基板側の第2中継ポートとを容易に分離できて、演出基板の交換を容易にするとともにその交換時の損傷を抑制することができるのである。
【0009】
上記した発明において、前記信号伝達手段は光学的に前記遊技信号を伝達する手段であることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、互いに分離可能な第1中継ポート及び第2中継ポートの間でも高速で遊技信号を伝達可能となるのである。
【0010】
上記した発明において、前記第1中継ポートで前記遊技信号を暗号化して送信するとともに、前記第2中継ポートでこれを復号化することを特徴としてもよい。また、前記信号伝達手段は、前記遊技信号を暗号化した画像を表示する画像表示装置と、前記画像表示装置に表示された前記画像を撮像して前記遊技信号を復号化することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、互いに分離可能な第1中継ポート及び第2中継ポートの間でもより高速且つ安定性高く遊技信号を伝送可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技機の正面図である。
【
図2】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技機の上面図である。
【
図3】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による1つの実施例としてのパチンコ遊技機について、
図1乃至
図4を用いて説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、パチンコ遊技機である遊技機1は、図示しない遊技場内の島設備に設置される枠体である外枠2の内側に取り付けられる。遊技機1は、外枠2に対して開閉自在に取り付けられた本体枠5と、本体枠5に対し開閉自在に取り付けられた開口3aを有する扉枠3とを有する。扉枠3には、さらに、開口3aを閉塞する透明板6と、遊技球を発射させるために操作されるハンドル7と、遊技球を貯留する上皿8と、下皿9とが取り付けられている。なお、以降において方向を示す場合、図示するように遊技機1に正対する遊技者から見た方向を用いる。
【0014】
本体枠5は外枠2に沿うようにして設けられた断面略長方形の枠体である。本体枠5の内側には、扉枠3に嵌めこまれた透明板6との間に遊技領域19を形成してその表面に沿って遊技球を転動させる遊技盤10が固定される。遊技盤10の略中央には、大当たりの抽選処理の結果について演出を伴って表示して遊技者に通知するための第1演出部12が備えられる。第1演出部12としては、例えば液晶パネルによる表示装置を用い得るが、LEDによるドットマトリクスや回転ベルト式の表示装置などであってもよい。遊技盤10には、さらに、スタートチャッカー13やアタッカー14などの入賞口、その他図示しない入賞口、釘や役物などが設けられ、遊技領域19内を転動しつつ落下する遊技球の経路を振り分けることができる。
【0015】
扉枠3は、上部に備えられる第2演出部4とは別体となっており、中ヒンジ11b及び下ヒンジ11cとの間の回転軸周りに回動して開閉できる。上ヒンジ11aは、下ヒンジ11cとともに、上記した外枠2に対して本体枠5を回動させる回転軸を得るために用いられる。第2演出部4は、扉枠3を閉じた状態において透明板6の周囲の手前側にせり出すように設けられ、搭載された照明やスピーカなどで遊技の進行に合わせて演出を行い得る。第2演出部4は、LEDによるいわゆる装飾体であり、第1演出部12と併せて、演出基板30によって演出動作を制御される演出部とされる。
【0016】
図3を併せて参照すると、遊技機1は、遊技盤10の奥側で第1演出部12よりも下側の位置に、抽選処理を行うとともに遊技動作を制御するメイン基板20を備える。メイン基板20は基板ケース(不図示)に封入されて遊技盤10の裏側に取り付けられる。さらに第1演出部12の奥側には、主として抽選処理の結果を通知するための演出動作を制御する演出基板30が備えられる。
【0017】
図4に示すように、メイン基板20は、CPU21、ROM22、RAM23及び入出力ポート24を備える。メイン基板20では、CPU21がROM22に記録されたプログラムに従って遊技動作に係る処理を実行する。また、CPU21は、処理中に発生したデータ等を必要に応じてRAM23に書き換え可能に記録しつつ処理を進める。これらの動作によりメイン基板20は主として遊技動作を制御する。
【0018】
メイン基板20は、例えば、入出力ポート24を介してスタートチャッカー13などの入賞口に備えられるセンサーからの遊技球の入賞を検知する信号を受けて大当たりなどの抽選処理を行う。また、メイン基板20は、入賞に対して賞球を払い出すための信号を後述する払出制御基板60へ向けて送出する。さらに、メイン基板20は、ゲームの進行に関わる電動役物やアタッカー14などのソレノイド等を動作させる信号を送出する。このように、メイン基板20は、入賞の検知、抽選処理、払い出しなどの遊技動作を制御することができる。さらに、メイン基板20は、抽選処理の結果などの抽選処理についての情報を含む遊技信号を演出基板30に向けて送出する。遊技信号としては、例えば、大当たり抽選の当否や、抽選結果を表示させるための演出に費やす時間などの情報を含む信号である。
【0019】
メイン基板20には払出制御基板60が接続されており、CPU61、ROM62、RAM63及び入出力ポート64を備える。払出制御基板60は、上記したメイン基板20による遊技動作のうち、主として払い出しに関する動作をメイン基板20からの信号に基づき制御することができる。そして、賞球の払い出しや遊技球の貸し出し要求に応じた払出などを制御し得る。
【0020】
上記した払出制御基板のように、一般的に、メイン基板からの信号を受ける演出基板などは配線によってメイン基板に電気的に直接接続されている。これに対して、本実施例においては、メイン基板20からの遊技信号は2つの中継ポートを介して、非接触で演出基板30に伝達できるようにされる。
【0021】
詳細には、メイン基板20に接続された第1中継ポート40は、メイン基板20からの一方向に送信された遊技信号を受信可能となっている。また、演出基板30には第2中継ポート50が接続され、第2中継ポート50から演出基板30へ遊技信号又はこれに対応する信号を一方向で送信可能となっている。第1中継ポート40と第2中継ポート50との間には、遊技信号を非接触で伝達する信号伝達手段を備えており、第1中継ポート40から第2中継ポート50へ一方向に遊技信号を伝達可能としている。信号伝達手段として、第1中継ポート40に遊技信号を発出する発出装置41を備え、第2中継ポート50に発出装置41から発出された遊技信号を読み取る読取装置51を備える。
【0022】
例えば、二次元コードを表示可能な画像表示装置を発出装置41として用い、画像処理して二次元コードを認識可能なカメラを読取装置51として用いる。これにより、遊技信号を二次元コード化することで、非接触で遊技信号を伝達することができる。その他、光学的な信号伝達手段を適宜使用することで高速且つ安定性高く遊技信号を伝送可能とできる。光学的な手段によらずとも、音波や磁力波など非接触で遊技信号を伝達することのできるその他の手段も信号伝達手段として用い得る。
【0023】
このようにして演出基板30は、第2中継ポート50から遊技信号を受けることができる。演出基板30は、CPU31、ROM32、RAM33、入力ポート34及び出力ポート35を備える。演出基板30では、CPU31がROM32に記録されたプログラムに従って演出動作に係る処理を実行する。また、CPU31は、処理中に発生したデータ等を必要に応じてRAM33に書き換え可能に記録しつつ処理を進める。これらの動作により演出基板30は演出動作を制御することができる。
【0024】
演出基板30は、入力ポート34を介して得た遊技信号から大当たり抽選の当否や、抽選結果を表示させるための演出に費やす時間を抽出し、これに合わせて抽選処理の結果を遊技者に通知るための演出動作を制御する。演出動作としては、例えば、第1演出部12上で複数桁の数字を変動させ、抽選処理の結果が大当たりであれば複数桁の数字をゾロ目で停止させ、はずれであればそれ以外の目(数字)で停止させる。この数字の変動から停止までの一連の動作を上記した演出に費やす時間に合わせて行う。また、演出動作として、第2演出部4に搭載された照明やスピーカなどによる光及び音声などを用いた演出を遊技の進行に合わせて行うことができる。
【0025】
詳細には、演出基板30は、予め定められた演出動作の複数のパターンの中から遊技信号に対応する1つのパターンを選択し、出力ポート35を介してこのパターンを示す信号を送出することができる。かかる信号は図示しない画像演出用、LED演出用及び音声演出用のそれぞれのサブサブ基板に入力される。各サブサブ基板は、入力された信号に対応したパターンで第1演出部12、第2演出部4の照明及びスピーカを動作させ、演出基板30で選択されたパターンの演出を行うことができる。
【0026】
以上のように、メイン基板20から演出基板30への遊技信号の伝達は、メイン基板20側の第1中継ポート40と演出基板30側の第2中継ポート50との間において非接触で行う。これにより、メイン基板20側の第1中継ポート40と演出基板30側の第2中継基板ポート50とを容易に分離できる。その結果、演出基板30の交換を容易にするとともにその交換時の損傷を抑制することができる。
【0027】
なお、発出装置41から読取装置51への遊技信号の伝達を二次元コードによって行う例を上記したが、これを暗号によって行ってもよい。例えば、第1中継ポート40で遊技信号を暗号化し、発出装置41として用いる画像表示装置に暗号に対応する画像を表示させ、読取装置51でこの画像を撮像し第2中継ポート50で復号化して遊技信号を得るのである。
【0028】
また、遊技信号として、予め定めた符号を用いることもできる。大当たり抽選の当否や、抽選結果を表示させるための演出に費やす時間などの情報の組のそれぞれに対応する符号を定めた対応テーブルをメイン基板20に格納しておき、メイン基板20で遊技信号を作成する際にこの符号を抽出させるようにするのである。そして抽出した符号を遊技信号として同じ対応テーブルを格納する演出基板30へ伝達させ、演出基板30において符号に対応した演出を選択し、演出を行うことができる。また、符号に対応した演出のパターンを定めた第2の対応テーブルを演出基板30に格納させておいて、これによって演出を行わせるようにすることもできる。
【0029】
ここまで本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。また、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0030】
1 遊技機
10 遊技盤
20 メイン基板
30 演出基板
40 第1中継ポート
41 発出装置
50 第2中継ポート
51 読取装置