(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149866
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
D06F 58/36 20200101AFI20220929BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
D06F58/36
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052194
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
【テーマコード(参考)】
3B167
5K201
【Fターム(参考)】
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA48
3B167BA91
3B167BA92
3B167KA02
3B167KA08
3B167LA23
3B167LA38
3B167LC25
3B167LE01
3B167MA03
3B167MA13
3B167MA17
5K201BA02
5K201EB06
5K201ED09
5K201EE05
(57)【要約】
【課題】物品の乾燥を検知する際の利用者の利便性を向上させる。
【解決手段】物品の乾燥を検知する無線タグを備え、物品を乾燥させるための乾燥用具と、情報処理装置と、情報処理装置と通信可能であって乾燥用具の利用者が所持する利用者端末と、を含む情報処理システムである。利用者端末は、無線タグが発信する発信信号を受信可能で、情報処理装置に対して処理要求を行う要求部と、情報処理装置から取得した乾燥に関する情報を表示部に表示させる表示制御部と、を有する。情報処理装置は、処理要求に応じて、利用者端末が受信した発信信号に基づき物品が乾燥したか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果に基づいて、乾燥に関する情報を利用者端末に通知する通知部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の乾燥を検知する無線タグを備え、前記物品を乾燥させるための乾燥用具と、
情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能であって、前記乾燥用具の利用者が所持する利用者端末と、
を含む情報処理システムであって、
前記利用者端末は、
前記無線タグが発信する発信信号を受信可能で、前記情報処理装置に対して処理要求を行う要求部と、
前記情報処理装置から取得した乾燥に関する情報を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記処理要求に応じて、前記利用者端末が受信した前記発信信号に基づき前記物品が乾燥したか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記乾燥に関する情報を前記利用者端末に通知する通知部と、を有する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記無線タグは、前記物品が接触しない位置に取り付けられた第1無線タグと、前記物品が接触する位置に取り付けられた第2無線タグとを含む、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記第2無線タグが発信する発信信号の前記利用者端末による受信回数又は受信頻度に基づいて前記物品が乾燥したか否かを判定する、
請求項2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記第1無線タグ及び前記第2無線タグの各々は、周囲の温度を検出する温度センサを有し、
前記発信信号は、各無線タグの温度センサによって検出された温度情報を含み、
前記判定部は、前記第2無線タグによって検出された温度情報、又は、前記第1無線タグと前記第2無線タグによって検出された温度情報の差分に基づいて前記物品が乾燥したか否かを判定する、
請求項2又は3に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記第1無線タグ及び前記第2無線タグの各々は、周囲の湿度を検出する湿度センサを有し、
前記発信信号は、各無線タグの湿度センサによって検出された湿度情報を含み、
前記判定部は、前記第2無線タグによって検出された湿度情報、又は、前記第1無線タグと前記第2無線タグによって検出された湿度情報の差分に基づいて前記物品が乾燥したか否かを判定する、
請求項2又は3に記載された情報処理システム。
【請求項6】
前記利用者端末は、前記利用者端末の位置情報を取得する位置情報取得部を有し、
前記情報処理装置は、
前記利用者端末から取得した位置情報に対応する気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記利用者端末が受信した前記発信信号と、前記気象情報取得部によって取得された気象情報と、に基づいて、前記物品が乾燥するタイミング、及び/又は、前記物品を屋内に移動させるタイミングを決定するタイミング決定部と、を有し、
前記通知部は、前記タイミング決定部によって決定されたタイミングを前記利用者端末に通知する、
請求項1から5のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項7】
前記物品は、水分を含む衣類であり、
前記乾燥用具は、ハンガーである、
請求項1から6のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項8】
前記第1無線タグ及び前記第2無線タグは、周囲に含まれる1又は複数の特定周波数の電波からエネルギーを得て動作するタグである、
請求項2から5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
物品を乾燥させるための乾燥用具の利用者が所持する利用者端末と通信可能な情報処理装置であって、
前記乾燥用具は、前記物品の乾燥を検知する無線タグを備え、
前記情報処理装置は、
前記無線タグが発信する発信信号を受信した場合に前記利用者端末が行う処理要求に応じて、前記利用者端末が受信した前記発信信号に基づき前記物品が乾燥したか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、乾燥に関する情報を前記利用者端末に通知する通知部と、
を有する情報処理装置。
【請求項10】
物品を乾燥させるための乾燥用具の利用者が所持する利用者端末と通信可能な情報処理装置において、コンピュータに所定の方法を実行させるプログラムであって、
前記乾燥用具は、前記物品の乾燥を検知する無線タグを備え、
前記方法は、
前記無線タグが発信する発信信号を受信した場合に前記利用者端末が行う処理要求に応じて、前記利用者端末が受信した前記発信信号に基づき前記物品が乾燥したか否かを判定することと、
判定結果に基づいて、乾燥に関する情報を前記利用者端末に通知すること、を含む、
プログラム。
【請求項11】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能であって物品を乾燥させるための乾燥用具の利用者が所持する利用者端末と、の間の情報処理方法であって、
前記乾燥用具は、前記物品の乾燥を検知する無線タグを備え、
前記情報処理方法は、
前記利用者端末が、前記無線タグが発信する発信信号を受信した場合に、前記情報処理装置に対して処理要求を行い、
前記情報処理装置が、前記処理要求に応じて、前記利用者端末が受信した前記発信信号に基づいて、前記物品が乾燥したか否かを判定し、
前記情報処理装置が、判定結果に基づいて前記乾燥に関する情報を前記利用者端末に通知し、
前記利用者端末が、前記情報処理装置から取得した前記乾燥に関する情報を表示部に表示させる、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗濯機から取り出した洗濯物の乾燥を検知するシステムが種々提案されている。例えば特許文献1には、物干し竿の支持部に重量センサを設け、室内機から温風を吹出して洗濯物を乾燥させながら、重量センサによって洗濯物の重量を計測し、その重量の減少の時間変化率が一定値以下になると、浴室乾燥装置の運転を停止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の乾燥検知システムでは物干し竿に重量センサを設けているため、重量センサが取り付けられていない物干し竿に洗濯物を干す場合には、洗濯物の乾燥を検知することができない。したがって、従来の乾燥検知システムでは洗濯物の乾燥を検知可能とする状況が限定的であることから、利用者に対する利便性をさらに向上させる余地がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、物品の乾燥を検知する際の利用者の利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、物品の乾燥を検知する無線タグを備え、前記物品を乾燥させるための乾燥用具と、情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能であって、前記乾燥用具の利用者が所持する利用者端末と、を含む情報処理システムであって、前記利用者端末は、前記無線タグが発信する発信信号を受信可能で、前記情報処理装置に対して処理要求を行う要求部と、前記情報処理装置から取得した乾燥に関する情報を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、前記情報処理装置は、前記処理要求に応じて、前記利用者端末が受信した前記発信信号に基づき前記物品が乾燥したか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記乾燥に関する情報を前記利用者端末に通知する通知部と、を有する、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、物品の乾燥を検知する際の利用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の洗濯乾燥システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【
図4】一実施形態の洗濯乾燥システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【
図5】IoTタグから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。
【
図6】会員データベースのデータ構成例を示す図である。
【
図7】タグデータベースのデータ構成例を示す図である。
【
図8】一実施形態の洗濯乾燥システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図9】一実施形態の洗濯乾燥システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【
図10】一実施形態の洗濯乾燥システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図11】一実施形態の洗濯乾燥システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図12】一実施形態の洗濯乾燥システムにおいて洗剤容器における洗剤の残量の検出方法を説明する図である。
【
図13】一実施形態の洗濯乾燥システムにおいて洗剤容器における洗剤の残量の検出方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「無線タグ」とは、例えば乾燥用具に取り付けられる電子的なタグである。無線タグは、内部に格納された情報が外部の通信装置から無線通信により読み取ることが可能となるように構成されていればよく、タグの内部にバッテリを備えてもよいし、備えていなくてもよい。無線タグと外部の通信装置との通信プロトコルや通信可能範囲は限定されず、用途に応じて適宜変更若しくは調整可能である。
本開示において「乾燥用具」は、例えばハンガー、洗濯挟み等の留め具、たこ足ハンガー(パラソルハンガーともいう)、物干し竿など、衣服等の物品を取り付けて乾燥させるためのものである。一実施形態では、物品は水分を含む衣類であり、乾燥用具はハンガーである。
本開示において「通信可能」とは、直接的に通信が可能である場合に限られず、間接的に通信が可能である場合も含まれる。例えば、「A装置とC装置が通信可能である」とは、A装置とC装置が直接的に通信を確立してデータの送信若しくは受信を行う場合に限られず、A装置とC装置がB装置を介してデータの送信若しくは受信を行う場合も含まれる。
【0010】
以下、情報処理システムの一実施形態である洗濯乾燥システム1について図面を参照して説明する。
洗濯乾燥システム1では、利用者は、利用者端末2を通して、洗濯物が乾燥したことが通知されるサービスを受けることができるように構成されている。
図1に示すように、洗濯乾燥システム1は、利用者端末2、アプリケーションサーバ5、及び、タグ管理サーバ7を含む。アプリケーションサーバ5及びタグ管理サーバ7は、例示的な情報処理装置を構成する。
図1に示すように、一実施形態の洗濯乾燥システム1では、利用者端末2は、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能に構成されている。
【0011】
利用者端末2は、利用者が所持する情報処理端末であり、例えば、タブレット端末やスマートフォン等の携帯端末、あるいは、デスクトップコンピュータ装置、ゲートウェイ機器やスマートスピーカー等の固定端末である。
一実施形態では、利用者端末2には、洗濯物が乾燥したことを通知するアプリケーションプログラム(以下、適宜、「乾燥通知アプリケーション」という。)がインストールされている。その場合、乾燥通知アプリケーションを起動すると、利用者端末2が周囲の無線タグと無線通信を開始して無線タグの情報を取得するように構成される。
【0012】
ハンガー6は、例えば洗濯物を掛けて乾燥させるため乾燥用具の一例である。ハンガー6には、IoT(Internet of Things)タグT1,T2(それぞれ第1無線タグ、第2無線タグの一例)が取り付けられている。IoTタグ(以下、適宜単に「タグ」という。)は無線タグの一例であるが、周囲環境の電波からエネルギーを得て動作する環境発電型の装置であり、バッテリを備えていない。当該タグは、バッテリがなくても半永久的に動作が可能であり、長期間の使用に適している。なお、以下の説明では、IoTタグT1,T2について共通の事項に言及するときには、タグ又はタグTと表記することがある。
【0013】
タグは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグは、BLEの規格に準拠する場合、ブロードキャスト通信を行う。具体的には、タグT1,T2は、アドバタイジングパケット(後述する;以下、単に「パケット」)を定期的にブロードキャストし、利用者端末2がパケットを受信する。このブロードキャスト通信では、タグT1,T2から利用者端末2に向けて一方向のデータ送信のみが可能である。
【0014】
各タグから送信されるパケットには、タグに固有の識別情報であるタグIDが含まれる。本開示では、利用者端末2が所定のタグIDを含むパケットを受信し、利用者端末2を介してアプリケーションサーバ5がタグIDを取得したことは、システムが当該タグIDに対応するタグを検知したことを意味する。
一実施形態では、各タグから送信されるパケットには、タグによって検出されるセンサデータが含まれるが、センサデータを含むことは必須ではない。
【0015】
一実施形態では、
図1に示すように、利用者が所持する利用者端末2がタグと無線通信を行い、タグから取得する情報をネットワークNWを経由してアプリケーションサーバ5に通知するが、その限りではない。自宅内に無線ルータ等のネットワーク機器がある場合には、タグの情報が当該ネットワーク機器を介してアプリケーションサーバ5に通知されるように構成してもよい。
ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)、移動体通信網、インターネット等、あるいはこれらの組合せである。
【0016】
図2に、例示的なハンガー6Aについて、洗濯物がない状態と洗濯物がある状態とを示す。
ハンガー6Aは、例えばタオル等の洗濯物を干すのに適している。ハンガー6Aでは、洗濯物を掛けたときに洗濯物が接触しない位置にタグT1が取り付けられ、洗濯物を掛けたときに洗濯物が接触する位置にタグT2が取り付けられている。タグは、小型、軽量の薄膜状の部材であるため、例えば接着剤等で容易にハンガー本体に取り付けることができる。
【0017】
図3に、例示的なハンガー6Bについて、洗濯物がない状態と洗濯物がある状態とを示す。
ハンガー6Bは、例えばシャツ等の洗濯物を干すのに適している。ハンガー6Bについても、ハンガー6Aと同様に、洗濯物を掛けたときに洗濯物が接触しない位置にタグT1が取り付けられ、洗濯物を掛けたときに洗濯物が接触する位置にタグT2が取り付けられている。
【0018】
アプリケーションサーバ5は、利用者に対して洗濯物の乾燥の判定結果を通知する乾燥通知サービスを提供するネットワークサーバであり、ネットワークNWを介して利用者端末2の乾燥通知アプリケーションと通信可能である。限定しない例では、アプリケーションサーバ5と利用者端末2の乾燥通知アプリケーションとの通信がHTTPやHTTPS等により行われる。
乾燥通知アプリケーションは、タグT1から受信するタグIDと、タグT2の検知有無の情報(検知有りの場合は、タグT2のタグID)とを逐次、アプリケーションサーバ5に送信している。
【0019】
タグ管理サーバ7は、利用者が使用する各ハンガー6に取り付けられているタグを管理するサーバであり、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能である。
タグ管理サーバ7は、アプリケーションサーバ5からの処理要求を受けて、タグT1,T2の各タグの検知有無の情報、及び、タグを検知した場合のタグID等の情報を基に、各利用者が所持している各ハンガー6に掛けてある洗濯物が乾燥したか否かの判定を行い、アプリケーションサーバ5に判定結果を返す。アプリケーションサーバ5は、タグ管理サーバ7から取得する判定結果を利用者端末2の乾燥通知アプリケーションに通知する。
【0020】
なお、以下の説明では、タグT1,T2の各タグの検知有無の情報、及び、タグを検知した場合のタグID等の情報を、適宜総称して「タグ検知情報」という。
【0021】
次に、ハンガー6に取り付けられたタグT1,T2による洗濯物の乾燥判定方法について説明する。
前述したように、各タグは、正常に動作している場合には、タグIDを含むパケットを定期的に発信している。しかし、洗濯物が濡れている場合、洗濯物と接触しているタグT2は、洗濯物に含まれている水分によりアンテナから正常にパケットを送信することができない。時間が経過して洗濯物が乾燥してくると、アンテナが正常に動作することから、タグT2はパケットを送信することが可能となる。他方、洗濯物と接触していないタグT1は、洗濯物の乾燥有無に関わらず、常時アンテナから正常にパケットを送信することが可能である。
したがって、タグT1から受信するタグIDと、タグT2の検知有無とに基づいて、ハンガー6に掛けられた洗濯物が乾燥したか否か判定することができる。
【0022】
洗濯物が乾燥したか否かを確実に判定するためには、タグT2を1回検知したことのみでは十分ではなく、タグT2からのパケットの受信回数や受信頻度等の受信状況に基づいて判断することが好ましい。
例えば、アプリケーションサーバ5は、所定時間(10分等)の間に、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションを介して所定回数以上、タグT2を検知した場合に対応する洗濯物が乾燥したと判断する。また、アプリケーションサーバ5は、所定時間(30秒等)の間に所定回数以上タグT2を検知する状態が所定回数継続した場合に、対応する洗濯物が乾燥したと判断する。
【0023】
以下、
図4~
図7を参照して、本実施形態の洗濯乾燥システム1の各装置の構成を説明する。
図4は、本実施形態の洗濯乾燥システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。
図5は、タグTから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。
【0024】
図4を参照すると、タグTは、制御部11、アンテナ12、ハーベスティング部13、電圧制御部14、RFトランシーバ15、及び、センサ16を含む。
タグTの全体の形態は図示しないが、例えば、アンテナ12とセンサ16が形成される所定のパターンの導電性金属箔と、当該金属箔に接続されるICチップとを含む薄膜状の部材である。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部13、及び、電圧制御部14、RFトランシーバ15が実装される。
【0025】
制御部11はマイクロプロセッサとメモリ111を有し、IoTタグTの全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、タグTに固有の識別情報であるタグID、センサ16が出力するセンサデータを記憶する。
【0026】
ハーベスティング部13は、周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のエネルギーストレージ131に貯蔵する。一実施形態では、ハーベスティング部13は、例えばアンテナ12が受信した無線信号を直流電圧に変換し、エネルギーストレージ131に貯蔵する。エネルギーストレージ131は、例えばキャパシタである。キャパシタの場合には、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよい。
【0027】
ハーベスティング部13が環境発電に使用する電波は、広範囲の複数の異なる周波数帯の電波が使用可能である。一実施形態では、タグTは、周囲に含まれる1又は複数の特定周波数の電波からエネルギーを得て動作する。特定周波数は、タグTにおいてエネルギーに変換可能な如何なる周波数の電波をも含む。特定周波数は、1又は複数の周波数帯を含んでもよいし、周波数帯の中から割り当てられた特定の周波数であってもよい。
一実施形態では、特定周波数は、例えば無線通信規格等で規格された特定の周波数又は周波数帯でも良く、本実施形態に係る乾燥通知アプリケーションを提供する事業者によって指定される特定の周波数又は周波数帯である。
ハーベスティング部13が環境発電に使用する電波の限定しない例として、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
ここに例示したような電波は、一般に、ほとんどすべての家庭において適用可能である。タグTは、周囲環境の電波を基にしてハーベスティング部13による環境発電で得られる電力で動作する。そのため、タグTにバッテリを搭載する必要がなく、システムコストを抑制することができる。また、バッテリを搭載する必要がないことから、バッテリの交換作業を行わずに済むため、タグが存在するにもかかわらずタグIDを取得できないという不具合が生じない。
【0028】
電圧制御部14は、制御部11及びRFトランシーバ15に動作電圧を供給するとともに、エネルギーストレージ131の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11及びRFトランシーバ15では、後述するパケットの生成や無線信号の送信等が行われない。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11及びRFトランシーバ15ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
【0029】
なお、制御部11は、例えば電力モードが第1モードの場合であってもエネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上に充電された場合には、センサ16により検出されたセンサデータを、検出時刻のデータとともにメモリ111に格納してもよい。その場合、制御部11は、電力モードが第1モードから第2モードに切り替えられた時点で、メモリ111に格納していたセンサデータ及び検出時刻のデータを含むパケットを生成し、送信してもよい。それによって、エネルギーストレージ131の充電電圧が比較的低い期間におけるタグの情報を、利用者端末2を介してアプリケーションサーバ5に提供できる。
【0030】
センサ16は、例えば温度センサである。温度センサは、ICチップに実装することができる。
【0031】
制御部11は、電力モードが第2モードの場合に、BLEのプロトコルに従ってアドバタイジングパケットを生成する。
アドバタイジングパケットは、BLEにおいてブロードキャスト通信を実現するためにアドバタイジングチャネルを利用して送信されるパケットであり、
図5に示すパケット構成を有する。アドバタイジングパケットは、以下では適宜、単に「パケット」という。
【0032】
図5においてプリアンブル及びアドレスアクセスは、それぞれが所定の固定値である。CRCは巡回検査符号であり、パケットペイロード(つまり、アドバタイジングチャネルPDU(protocol data unit))を対象として所定の生成多項式を用いて算出される検査データである。
アドバタイジングチャネルPDU(以下、単に「PDU」という。)は、ヘッダとペイロードとからなり、当該ペイロードは、ADVアドレスとADVデータとからなる。ADVアドレスはアドバタイザー(つまり、報知する主体であるIoTタグT)のアドレスであるが、送信元を特定しないように送信の都度に設定されるランダムな値でもよい。ADVデータはアドバタイザーのデータ(ブロードキャストデータ)であり、一実施形態では、タグID、及び、センサ16によって出力されるセンサデータを含む。
【0033】
制御部11は、PDUを暗号化することが好ましい。暗号化方法は限定しないが、例えば鍵長128ビットのAES(Advanced Encryption Standard)を利用することができる。
【0034】
RFトランシーバ15は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)をアンテナ12に送出する。
【0035】
アンテナ12は、送信アンテナと発電用アンテナを含む。
送信アンテナは、RFトランシーバ15によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。他方、発電用アンテナは、例えば周囲環境の電波を受信し、ハーベスティング部13と協働してレクテナとして機能する。
【0036】
図4に示すように、利用者端末2は、制御部21、ストレージ22、操作入力部23、表示部24、第1通信部25、及び、第2通信部26を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、利用者端末2の全体を制御する。例えば、制御部21は、乾燥通知アプリケーションを実行することでタグと通信を行うように第1通信部25を制御し、タグからパケットを受信した場合には、当該パケットに含まれるタグIDをアプリケーションサーバ5に送信する。
【0037】
また、制御部21は、乾燥通知アプリケーションを実行することでアプリケーションサーバ5から洗濯物が乾燥したか否かについての情報を取得して表示部24に表示する。
ストレージ22は、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、乾燥通知アプリケーションの実行結果や乾燥通知アプリケーションの実行に必要となるデータ(例えば、認証データ)等を格納する。
【0038】
制御部21は、乾燥通知アプリケーションを実行することで、以下の(i)要求部、及び、(ii)表示制御部として機能する。
(i)ハンガー6に取り付けられているタグT1及び/又はタグT2が発信するパケット(発信信号の一例)を受信した場合に、アプリケーションサーバ5に対してタグ検知情報を含む処理要求を行う要求部
(ii)アプリケーションサーバ5から取得した洗濯物が乾燥したか否かについての情報(乾燥に関する情報の一例)を表示部24に表示させる表示制御部
【0039】
操作入力部23は、各種のプログラムを実行するために店員から操作入力を受け付ける入力インタフェースであり、表示部24の表示パネルに設けられるタッチパネル入力部であってもよい。
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Panel)等の表示パネルと、表示パネルの駆動回路とを含み、乾燥通知アプリケーションの実行結果を表示する。
第1通信部25は、例えば、第2通信部26よりも狭い通信範囲で対象物と無線通信を行うものであり、例えば各タグからBLEプロトコルに従って送信されるパケットを受信するように構成されている。
第2通信部26は、アプリケーションサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。通信プロトコルは限定しないが、例えばHTTPやHTTPS等である。
【0040】
図4に示すように、アプリケーションサーバ5は、制御部51、ストレージ52、及び、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、アプリケーションサーバ5の全体を制御する。マイクロプロセッサがサーバプログラムを実行することで、洗濯物が乾燥したか否かの判定結果を利用者端末2の乾燥通知アプリケーションに通知する乾燥通知サービスを利用者に提供する。
【0041】
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の大規模記憶装置を備え、会員データベースを格納する。
図6に会員データベースのデータ構成例を示す。
図6に示す会員データベースは、1レコードに対して、例えば「会員コード」、「氏名」、「性別」、及び、「住所」の各フィールドの値を含むデータベースである。「氏名」、「性別」、及び、「住所」の各フィールドは単に例示に過ぎず、適宜変更可能である。
なお、会員コードは、家族単位で設定されてもよい。家族単位で設定される会員コード(家族会員コード)には、例えば家族を構成する複数の氏名、各人の性別、住所等が対応付けられる。また、会員データベースにおいて会員コードに対応する利用者端末の端末情報を対応付ける場合、家族会員コードに対しては、家族を構成する各人に対応する複数の端末情報を対応付けてもよいし、家族の中で指定される代表者の端末情報を対応付けてもよいし、スマートスピーカー等の家族共通の端末の端末情報を対応付けてもよい。後述する乾燥判定の判定結果については、家族会員コードに対応付けられた端末情報を基に通知される。
上記サーバプログラムは、会員コードを識別して乾燥通知アプリケーションとセッションを確立する。
【0042】
通信部53は、利用者端末2との間で通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
制御部51は、サーバプログラムを実行することで、タグ管理サーバ7による洗濯物の乾燥の判定結果に基づいて、洗濯物が乾燥したか否かについての情報を利用者端末2に通知する通知部として機能する。
【0043】
図4に示すように、タグ管理サーバ7は、制御部71、ストレージ72、及び、通信部73を備える。
制御部71は、マイクロプロセッサを主体として構成され、タグ管理サーバ7の全体を制御する。例えば、制御部71では、マイクロプロセッサがサーバプログラムを実行することで、アプリケーションサーバ5からの処理要求に応じて洗濯物が乾燥したか否かの判定を行い、判定結果をアプリケーションサーバ5に返すように構成されている。なお、アプリケーションサーバ5からの処理要求には、タグ検知情報が含まれる。
すなわち、制御部71は、サーバプログラムを実行することで、アプリケーションサーバ5からの処理要求に応じて、利用者端末2が受信したパケットに基づき洗濯物が乾燥したか否かを判定する判定部として機能する。洗濯物の乾燥判定方法は、前述したとおりである。
【0044】
ストレージ72は、HDD等の記憶装置であり、タグデータベースを格納する。タグデータベースは、利用者端末2から取得するタグIDに対応するハンガー6の使用者が誰であるのかサーバプログラムが認識できるようにするためのデータベースである。
図7にタグデータベースのデータ構成例を示す。
図7に示すように、タグデータベースは、少なくとも、タグのタグIDと、当該タグが取り付けられたハンガー6の使用者とが関連付けられている。ハンガー6の使用者は、会員データベースに含まれるいずれかの会員コードに対応する。
図7に示すタグデータベースには、タグIDと使用者のほか、「Owner」、「本籍」、「生年月日」、「グループ名」、「寿命」等の各フィールドの値を含み、各値は、例えば乾燥通知アプリケーションを提供する事業者やハンガー製造者等によって予め入力されている。一実施形態では、ハンガー6の使用者の変更に応じて、「使用者」フィールドの値が適宜、書き換えられる。タグデータベースにおいて、タグIDごとの各フィールドの値を含む情報を「タグ情報」という。
【0045】
次に、
図8を参照して、洗濯乾燥システム1の動作を説明する。
図8は、洗濯乾燥システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
なお、
図8では、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションとアプリケーションサーバ5の間でセッションが確立しており、アプリケーションサーバ5が乾燥通知アプリケーションに対応する会員コードを認識していることを想定している。
【0046】
利用者の自宅では、例えば自宅に設置されてある無線LAN等のネットワーク機器が発信する電波を基に、ハンガー6に取り付けられているタグT1,T2が環境発電を行い、パケットをブロードキャスト送信している。このパケットは、ブロードキャスト送信されるアドバタイジングパケットである。
利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、各タグから送信されるパケットを認識して受信した場合には(ステップS2)、タグ検知情報を含む処理要求をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS4)。利用者端末2からの処理要求の送信は、繰り返し行われる。この場合、初回の処理要求の送信は、利用者が洗濯物を干した直後の所定の操作に基づいて行われてもよいし、自動的に行われてもよい。後者の場合、例えば、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションがタグT1,T2からのパケットを受信する状態から、タグT1からのパケットのみを受信する状態に変わったタイミングで洗濯物が干されたと判断し、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、処理要求の送信を開始する。前述したように、タグ検知情報は、タグT1,T2の各タグの検知有無の情報、及び、タグを検知した場合のタグIDの情報である。
【0047】
アプリケーションサーバ5は、ステップS4で受信した処理要求を要求元の乾燥通知アプリケーションの会員コードと関連付けて、タグ管理サーバ7に送信する(ステップS6)。
タグ管理サーバ7は、受信した処理要求に含まれるタグ検知情報に基づいて乾燥判定を行い(ステップS8)、判定結果を会員コードと関連付けてアプリケーションサーバ5に返す(ステップS10)。判定結果は、「乾燥した」や「乾燥していない」、「もう間もなく乾燥する」、「乾燥度合い」、「乾燥予定時刻」等である。
【0048】
図2及び
図3に例示したように、ハンガー6に水分を含む洗濯物が掛けられた状態であっても、タグT1は洗濯物と接触しないため故障していない限り検知可能である。そのため、タグ検知情報にタグT1のタグIDが含まれている場合には、対象となる会員コードの利用者がハンガー6を使用中であることがわかる。また、利用者が複数のハンガー6を使用している場合には、タグT1のタグIDに基づいてどのハンガー6を使用中であるかわかる。
【0049】
他方、タグT2は、洗濯物がハンガー6に掛けられた状態では洗濯物と接触する位置に取り付けられているため、洗濯物が水分を含む場合にはパケットを適切に発信することができない。そのため、タグT2の検知有無に基づいて、タグT1が取り付けられたハンガー6に掛けられた洗濯物が乾燥したか否か判定できる。この判定は、1回の処理要求に含まれるタグ検知情報ではなく、複数回の処理要求に含まれるタグ検知情報に基づいて行うことが好ましい。すなわち、前述したように、タグT2からのパケットに含まれるタグIDの受信回数や受信頻度等の受信状況に基づいて判断することが好ましい。その場合、1回の処理要求に基づいてタグT2のタグIDを受信できたとしても、所定回数の処理要求に基づくタグT2のタグIDの受信結果が得られるまでは、判定結果は「乾燥していない」とする。
【0050】
アプリケーションサーバ5は、対象となる会員コードの乾燥通知アプリケーションに対して洗濯物の乾燥の判定結果を返す(ステップS12)。乾燥通知アプリケーションは、判定結果を利用者端末2の表示部24に表示させる(ステップS14)。それによって、利用者は、例えば屋外に干してある洗濯物が乾燥して屋内に取り込むことができるか否か、屋内にいても適時に認識することができる。
なお、アプリケーションサーバ5は、ステップS12において判定結果をステップS4の処理要求の送信元の利用者端末2に返すが、その限りではない。例えば、家族で共通で使用する端末としてスマートスピーカーが会員データベースに登録されている場合には、当該スマートスピーカーに判定結果を返してもよい。また、会員データベースにおいて、家族会員コードに対して複数の利用者端末2の端末情報が設定されていたり、会員コードに複数の利用者端末2の端末情報が設定されていたりする場合には、登録されている住所に近い位置にある利用者端末2に判定結果を返してもよい。その場合、複数の利用者端末2が位置情報(例えばGPS情報)をアプリケーションサーバ5に逐次通知し、アプリケーションサーバ5が複数の利用者端末2のうち、登録されている住所に最も近い利用者端末2を特定する。
【0051】
以上説明したように、一実施形態の洗濯乾燥システム1では、ハンガーに取り付けられたタグから得られるタグ検知情報に基づいて、ハンガーに掛けられた洗濯物が乾燥したか否かの判定結果を利用者の利用者端末に表示させることができる。このシステムでは、ハンガーに小型のタグを取り付けるだけでよく、従来のシステムのように重量センサ等は必要ないため、汎用性が高い。そのため、洗濯物の乾燥を検知する際の利用者の利便性を向上させることができる。
また、乾燥通知サービスを提供する事業者にとっては、利用者の洗濯の実態を把握できるようになり、マーケティングや製品開発に活用することが可能となる。
【0052】
なお、上記説明では、利用者が使用するハンガーが1つである場合について説明したが、その限りではない。利用者が複数のハンガーを使用する場合、各ハンガーには固有のタグIDに対応するタグが取り付けられているため、ハンガーごとに洗濯物の乾燥の判定を行うことができる。その際、複数のハンガーに番号を付し、各ハンガーに付した番号と各ハンガーに取り付けられたタグT1のタグIDとをタグ情報において対応付けておくことで、乾燥通知アプリケーション上で、ハンガーの番号ごとに乾燥の判定結果を表示させるように構成することができる。
例えば、会員コードに紐付けられた複数のハンガー6のうち、現在、どのハンガー6が使用中で、そのうち何割(例えば10個中4個であれば4割)のハンガー6の洗濯物が乾いている等(乾燥度合い)も特定して、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションに通知することができる。
【0053】
一実施形態では、洗濯物が乾燥したか否かの判定精度を高めるために、各タグはセンサを備えていてもよい。タグがセンサを備えている場合、当該タグから送信されるパケットには、当該タグのタグIDと、センサによって検出されたデータ(センサデータ)とが含まれる。
【0054】
一実施形態では、タグT1,T2の各々は、周囲の温度を検出する温度センサを有し、当該温度センサによって各タグが取り付けられた位置の温度を検出する。この場合、各タグから発信されるパケットは、各タグの温度センサによって検出された温度情報であるセンサデータを含む。
この場合、利用者端末2からアプリケーションサーバ5、さらにはタグ管理サーバ7に送られる処理要求に含まれるタグ検知情報には、各タグで検出された温度情報が含まれる。そして、タグ管理サーバ7は、タグT2によって検出された温度情報、又は、タグT1とタグT2によって検出された温度情報の差分に基づいて洗濯物が乾燥したか否かを判定する。
例えば、タグT2が検出され、かつタグT2によって検出された温度が所定値よりも高い場合に、ハンガー6に掛けられた洗濯物が乾燥したと判定する。また、洗濯物が濡れているときには洗濯物と接触するタグT2が検出されないか、検出されたとしてもその温度がタグT1の温度よりも相対的に低く、洗濯物が乾燥してくるとタグT2とタグT1の温度差が小さくなるため、タグT2とタグT1の温度差が所定値以下である場合、ハンガー6に掛けられた洗濯物が乾燥したと判定してもよい。
【0055】
一実施形態では、タグT1,T2の各々は、周囲の湿度を検出する湿度センサを有し、当該湿度センサによって各タグが取り付けられた位置の湿度を検出する。各タグから発信されるパケットは、各タグの湿度センサによって検出された湿度情報であるセンサデータを含む。
この場合、利用者端末2からアプリケーションサーバ5、さらにはタグ管理サーバ7に送られる処理要求に含まれるタグ検知情報には、各タグで検出された湿度情報が含まれる。そして、タグ管理サーバ7は、タグT2によって検出された湿度情報、又は、タグT1とタグT2によって検出された湿度情報の差分に基づいて洗濯物が乾燥したか否かを判定する。
例えば、タグT2が検出され、かつタグT2によって検出された湿度が所定値よりも低い場合に、ハンガー6に掛けられた洗濯物が乾燥したと判定する。また、洗濯物が濡れているときには洗濯物と接触するタグT2が検出されないか、検出されたとしてもその湿度がタグT1の湿度よりも相対的に高く、洗濯物が乾燥してくるとタグT2とタグT1の湿度差が小さくなるため、タグT2とタグT1の湿度差が所定値以下である場合、ハンガー6に掛けられた洗濯物が乾燥したと判定してもよい。
【0056】
一実施形態では、タグT1,T2の各々は、上記温度センサと上記湿度センサを有し、各タグから発信されるパケットは、各タグの温度センサ及び湿度センサによってそれぞれ検出された温度情報及び湿度情報であるセンサデータを含む。この場合、タグ管理サーバ7は、各タグによって検出された温度情報及び/又は湿度情報に基づいて洗濯物が乾燥したか否か判定する。
温度情報及び/又は湿度情報に基づいて洗濯物が乾燥したか否か判定する場合、その判定条件は、現在の季節(例えば夏や冬)や、洗濯物を室内又は室外に干しているか等によって変更してもよい。例えば、夏と冬とでは外気温が異なるため、タグT2の温度に対する閾値を変更することが好ましい。
なお、タグ管理サーバ7は、例えばタグT1から検出された温度情報や湿度情報、温度情報や湿度情報を検出した時間情報等に基づき、洗濯物が乾燥する時刻等を予測してもよい。また、タグT1、重量センサを有してもよく、タグ管理サーバ7は、例えばタグT1から検出された重量情報、温度情報、湿度情報、時間情報等を組み合わせて、洗濯物が乾燥する時刻等を予測してもよい。
【0057】
一実施形態では、利用者の居所等の位置情報に対応した気象情報に基づいて、洗濯物が乾燥したか否かの判定を行ってもよい。上述したタグ検知情報に加え、気象情報をも参照して乾燥判定を行うことで、乾燥判定の精度を上げることができる。
例えば、異なる季節、天気、風向きや風速等の情報、タグT1から得られる外気温や湿度情報ごとに、又はこれらの組み合わせに対してタグT2を検知する回数や頻度等の受信状況と、洗濯物が乾燥したか否か、洗濯物の乾燥度合い、乾燥予定等の関係を予めデータベースに記録しておき、このデータベースを参照して、タグT2を検知する回数や頻度に対する閾値を設定する。また、上記データベースには、タオルやシャツ等の洗濯物の素材、サイズ、重量等の組み合わせと、タグT2を検知する回数や頻度等の受信状況と、洗濯物が乾燥したか否か、洗濯物の乾燥度合い、乾燥予定等との関係も予め記録しておいてもよい。そして、データベースを参照して、タグT2を検知する回数や頻度に対する閾値を設定する。それによって、単に「乾燥した」又は「乾燥していない」の判定結果だけでなく、判定結果として「乾燥度合い」や「乾燥予定時刻」を含めることができる。また、乾燥判定の精度が上がるため、例えば、乾燥したことの通知が必要以上に遅れる可能性を低減することができる。
この実施形態では、利用者端末2は、利用者端末2の位置情報を取得する位置情報取得部を有する。位置情報取得部は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機によって構成することができる。利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、定期的に又は不定期に位置情報をアプリケーションサーバ5に通知する。
アプリケーションサーバ5は、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションから取得した位置情報に対応する気象情報を取得する気象情報取得部を有する。気象情報は、例えば地域気象観測センターから配信されるデータとして取得することができる。
タグ管理サーバ7は、利用者端末2が受信したパケットに含まれるタグIDと、気象情報取得部によって取得された気象情報と、をアプリケーションサーバ5から取得し、これらの情報に基づいて洗濯物が乾燥したか否かを判定する。
【0058】
一実施形態では、利用者の居所等の位置情報に対応した気象情報に基づいて、洗濯物が乾燥するタイミング、及び/又は、洗濯物を屋内に移動させるタイミングを予測して利用者に通知するように構成してもよい。利用者が洗濯物を干す場所の気象情報がわかると、例えば当該場所の温度や湿度などの環境がわかるため、その環境に応じた乾燥判定を行うことで洗濯物が乾燥するタイミング(乾燥する予定時刻)を利用者に通知することができる。また、利用者が洗濯物を干す場所の天気予報等の気象情報により雨が降り出すタイミングがわかれば、洗濯物を屋内に移動させるタイミングを利用者に通知した方が好ましい。
【0059】
この実施形態では、利用者端末2は、利用者端末2の位置情報を取得する位置情報取得部を有する。利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、定期的に又は不定期に位置情報をアプリケーションサーバ5に通知する。
アプリケーションサーバ5は、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションから取得した位置情報に対応する気象情報を取得する気象情報取得部を有する。
アプリケーションサーバ5は、利用者端末2が受信したタグT1及び/又はタグT2のパケットに含まれるタグIDと、気象情報取得部によって取得された気象情報と、に基づいて、洗濯物が乾燥するタイミング、及び/又は、洗濯物を屋内に移動させるタイミングを決定するタイミング決定部を有する。なお、このタイミング決定は、アプリケーションサーバ5とタグ管理サーバ7が協働して行ってもよい。
【0060】
例えば、洗濯物が乾燥するタイミングは、異なる外気温や天気ごとに、タグT2を検知する頻度と乾燥時間(所定の頻度でタグを検知してから乾燥するまでの時間)との関係を予めデータベースに記録しておき、このデータベースを参照して予測してもよい。例えば、所定時間(10分等)の間に所定回数(N)以上タグT2を検知した場合に洗濯物が乾燥したと判断する乾燥判定が行われる場合、以下のように洗濯物が乾燥するタイミングを予測する。上記所定時間の間にタグT2を1/3N回検知したタイミング、1/2N回検知したタイミングでデータベースを参照して当該タイミングからの洗濯物の乾燥時間を取得する。この乾燥時間を気象情報に基づく外気温や天気予報等に基づいて補正してもよい。
また、洗濯物を屋内に移動させるタイミングは、利用者の位置において雨が降り出す予定時刻の所定時間前としてもよい。
アプリケーションサーバ5は、タイミング決定部によって決定されたタイミングを利用者端末2の乾燥通知アプリケーションに通知する。
【0061】
次に、別の一実施形態の洗濯乾燥システムについて
図9~
図11を参照して説明する
図9に、この実施形態の洗濯乾燥システムのシステム構成について示す。
図9に示す洗濯乾燥システムは、
図1と同様に、利用者端末2、アプリケーションサーバ5、及び、タグ管理サーバ7を含むが、アプリケーションサーバ5によって利用者に提供される乾燥通知サービスが制限される点に特徴がある。
図9において、洗剤容器8は、利用者の衣類等を洗濯するための洗剤A(消耗品の一例)を含む。洗剤Aは、液体でも粉体であっても構わない。洗剤容器8の外面には、例えば2次元コードなどのコード情報C1が付されている。コード情報C1は、洗剤容器8の個体ごとに固有の情報である。
【0062】
一実施形態の利用者端末2には、撮像機能とコード読み取り機能を備える。利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、利用者の操作に応じてコード情報C1を読み取ると、乾燥通知サービスを、例えば洗剤Aの使用量に応じて所定回数受けるための設定要求をアプリケーションサーバ5に送信するように構成されている。乾燥通知サービスを所定回数受けた後に乾燥通知サービスを受けることを望む場合には、利用者は、別の個体の洗剤容器8に付されているコード情報C1を読み取る操作を行う必要がある。つまり、新たに洗剤容器8を購入し、購入した洗剤容器8に付されているコード情報C1を読み取る操作を行う必要がある。
【0063】
図10は、
図9に示した洗濯乾燥システムの動作を示すシーケンスチャートである。以下、
図10を参照して、一実施形態の洗濯乾燥システムの動作を説明する。
図10において、利用者が所定の操作を行うことで、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、洗剤容器8に付されているコード情報C1(例えば2次元コード)を読み取り(ステップS20)、当該コード情報C1を含む設定要求をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS22)。アプリケーションサーバ5は、ステップS22で受信した設定要求を、乾燥通知アプリケーションの会員コードと関連付けてタグ管理サーバ7に送信する(ステップS24)。
【0064】
タグ管理サーバ7は、タグデータベース(
図7)にアクセスして、「使用者」フィールドの値が処理対象の利用者の会員コードとなっているすべてのタグ情報に対して、「寿命」フィールドの値に利用回数(「NUM」とする。)として「0」を設定する。利用回数NUMは、乾燥通知サービスを受けた回数を示す値である。利用回数NUMを「0」とすることで、処理対象の会員コードに対応するタグを所定回数利用することができ、それによって乾燥通知サービスを所定回数利用することができる。
【0065】
乾燥通知サービスを受ける度に、ステップS32以降の処理が行われる。
ハンガー6に取り付けられたタグT1及び/又はタグT2から発信されるパケットを利用者端末2が受信した後の処理であるステップS32,S34,S36はそれぞれ、
図8のステップS2,S4,S6と同じである。
すなわち、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、各タグから送信されるパケットを認識して受信した場合には(ステップS32)、タグ検知情報を含む処理要求をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS34)。前述したように、タグ検知情報は、タグT1,T2の各タグの検知有無の情報、及び、タグを検知した場合のタグIDの情報である。
アプリケーションサーバ5は、ステップS34で受信した処理要求を要求元の乾燥通知アプリケーションの会員コードと関連付けて、タグ管理サーバ7に送信する(ステップS36)。
【0066】
タグ管理サーバ7は、処理要求を受信すると、タグデータベースのタグ情報を参照して、会員コードに対応する利用者が乾燥通知サービスを受けることが可能か判定する。具体的には、会員コードに対応するタグ情報の「寿命」フィールドの値を参照して、利用回数NUMが所定回数TH以下であるか否か判断する(ステップS38)。ここで、所定回数THは、1回のコード情報C1の読み取りによって乾燥通知サービスを受けることができる回数であり、乾燥通知サービスを提供する提供者が任意に設定可能である。利用回数NUMが設定された直後は、ステップS26において「0」であるため、ステップS38の判定は「YES」となり、乾燥通知サービスを受けることができる。
【0067】
利用回数NUMが所定回数TH以下である場合には、タグ管理サーバ7は、ステップS36で受信した処理要求に含まれるタグ検知情報に基づいて乾燥判定を行い(ステップS40)、判定結果を会員コードと関連付けてアプリケーションサーバ5に返す(ステップS42)。
アプリケーションサーバ5は、対象となる会員コードの乾燥通知アプリケーションに対して洗濯物の乾燥の判定結果を返す(ステップS44)。乾燥通知アプリケーションは、判定結果を利用者端末2の表示部24に表示させる(ステップS46)。
【0068】
タグ管理サーバ7は、ステップS40の乾燥判定を行った場合、その判定結果が「乾燥した」である場合には(ステップS48:YES)、対象となる会員コードに対応するタグ情報において利用回数NUMが1つ繰り上がるようにタグデータベースを更新する(ステップS50)。
つまり、判定結果が「乾燥した」である場合には、対象となる会員コードの利用者が乾燥通知サービスを受けたことを意味するため、利用回数NUMを1だけ増加させる。したがって、乾燥通知サービスを受ける度に利用回数NUMが1つずつ増加し、所定回数THに到達すると、ステップS38において「NO」となり、それ以上乾燥判定を行わない。そのため、1回のコード情報C1の読み取りによって乾燥通知サービスを受けられる回数が所定回数THに制限されることになる。
なお、利用者端末2からのステップS34の処理要求の送信は、繰り返し行われる。その場合、前述したように、初回の処理要求の送信は、利用者が洗濯物を干した直後の所定の操作に基づいて行われてもよいし、自動的に行われてもよい。後者の場合、例えば、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションがタグT1,T2からのパケットを受信する状態から、タグT1からのパケットのみを受信する状態に変わったタイミングで洗濯物が干されたと判断し、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、処理要求の送信を開始する。
また、タグ検知情報に基づき、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションがタグT1からのパケットのみを受信する状態から、タグT1,T2からのパケットを受信する状態に変わったことで1回分のサービスが終了したと判定してもよい。代替的に、利用者端末2から初回の処理要求が送信されてから所定時間(例えば30分)経過したことを条件として、対応するハンガー6に関するサービスが提供されたと判断して、ステップS50(利用回数NUMを1つ繰り上げる)を実行してもよい。
【0069】
図10では、対象となる会員コードの利用者が乾燥通知サービスを受けられるか否かの判定をタグ管理サーバ7が行ったが、その限りではない。
図11に、対象となる会員コードの利用者が乾燥通知サービスを受けられるか否かの判定をアプリケーションサーバ5が行う例を示す。
【0070】
図11において、利用者が所定の操作を行うことで、利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、洗剤容器8に付されているコード情報C1(例えば2次元コード)を読み取り(ステップS20)、当該コード情報C1を含む設定要求をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS22)点は、
図10と同じである。
アプリケーションサーバ5は、利用回数NUMを「0」に設定し(ステップS25)、利用回数NUMを会員コードに関連付けてストレージ52に記録する。
【0071】
利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、各タグから送信されるパケットを認識して受信した場合には(ステップS32)、タグ検知情報を含む処理要求をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS34)点は、
図10と同じである。
アプリケーションサーバ5は、処理要求を受信すると、ストレージ52に記録された利用回数NUMを参照して会員コードに対応する利用者が乾燥通知サービスを受けることが可能か判定する。すなわち、利用回数NUMが所定回数TH以下であるか否か判断する(ステップS35)。
【0072】
利用回数NUMが所定回数TH以下である場合には、アプリケーションサーバ5は、ステップS34で受信した処理要求を要求元の乾燥通知アプリケーションの会員コードと関連付けて、タグ管理サーバ7に送信する(ステップS36)。タグ管理サーバ7は、ステップS36で受信した処理要求に含まれるタグ検知情報に基づいて乾燥判定を行い(ステップS40)、判定結果を会員コードと関連付けてアプリケーションサーバ5に返す(ステップS42)。
アプリケーションサーバ5は、対象となる会員コードの乾燥通知アプリケーションに対して洗濯物の乾燥の判定結果を返す(ステップS44)。乾燥通知アプリケーションは、判定結果を利用者端末2の表示部24に表示させる(ステップS46)。
【0073】
アプリケーションサーバ5は、ステップS42で受信した判定結果が「乾燥した」である場合には(ステップS49:YES)、対象となる会員コードに対応する利用回数NUMが1つ繰り上がるように、ストレージ52に記憶されている利用回数NUMのデータを更新する(ステップS51)。それによって、1回のコード情報C1の読み取りによって乾燥通知サービスを受けられる回数がアプリケーションサーバ5によって所定回数THに制限される。
【0074】
以上説明したように、
図9に示す実施形態の洗濯乾燥システムによれば、衣服等を洗濯するために使用する洗剤を含む洗剤容器8に付されているコード情報C1を読み取る操作を行うことで、利用者が所定回数に限って乾燥通知サービスを受けることができるように構成される。つまり、洗剤容器8に含まれる洗剤の量(使用量)と関連付けて乾燥通知サービスの提供回数が制限される。そのため、乾燥通知サービスを継続的に受けるために、洗剤を購入し続けるように利用者を動機付けることができ、洗剤製造者にとって洗剤の販売を促進させることができる。また、洗剤製造者(洗剤メーカー)にとって、自社の洗剤の使用実態を把握することができる。
なお、コード情報C1を読み取る操作を行うことで、利用者が所定回数の乾燥通知サービスを受ける場合について説明したが、その限りではない。コード情報C1が読み取る操作を行うことで、利用者が洗剤の量(使用量)に応じて設定された所定日数に亘って乾燥通知サービスを受けられるようにしてもよい。
乾燥通知サービスの制限は、当該サービスの提供回数又は提供日数の制限に限られない。一実施形態では、乾燥通知サービスの制限は、無料で提供可能なサービスの提供回数又は提供日数の制限であってもよいし、利用者に提供される乾燥検知が可能なハンガー6の個数の制限であってもよい。
【0075】
一実施形態では、アプリケーションサーバ5は、洗剤容器8における洗剤の残量が所定量より少ない場合に、利用者に対する乾燥通知サービスの提供を制限する。洗剤の残量が少なくなった場合に乾燥通知サービスを受けられなくなるため、利用者は、新たな洗剤容器8を購入するように動機付けられる。
洗剤容器8における洗剤の残量の検出方法の例について、
図12及び
図13を参照して説明する。
【0076】
図12の例では、ポンプ型の洗剤容器8Aを例示している。
図12に示すように、洗剤容器8Aは、本体部81Aと蓋部82Aを有し、本体部81Aの中には液体洗剤が含まれている。蓋部82Aは、液体洗剤を吸い出すための管821を有する。管821には、本体部81A内の液体洗剤の深さ方向に沿って1以上のタグT11~T14(この例では4個のタグ)が取り付けられている。
【0077】
利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、タグT11~T14からパケットを受信した場合、パケットに含まれるタグIDをアプリケーションサーバ5に通知する。
図12に示すように、液体洗剤の残量が多い場合には、タグT11~T14がすべて液体洗剤に浸漬しているため、アンテナが機能せずパケットを発信できない。そのためアプリケーションサーバ5は、乾燥通知アプリケーションを介していずれのタグからもタグIDを取得できないため、液体洗剤の残量が多いことがわかる。液体洗剤が少なくなってくると、タグT11~T14のうち一部のタグが液体洗剤に浸漬しなくなるためにアンテナが機能するようになる。そのため、アプリケーションサーバ5は、乾燥通知アプリケーションを介して取得するタグIDに基づいて、液体洗剤の凡その残量がわかる。
以上説明したようにして、洗剤容器8Aに取り付けられたタグT11~T14の検知有無に基づいて、液体洗剤の残量を推定することができる。
【0078】
図13の例では、注入型の洗剤容器8Bを例示している。
図13に示すように、洗剤容器8Bは、本体部81Bと蓋部82Bを有し、本体部81Bの中には液体洗剤又は粉末洗剤が含まれている。蓋部82Bを捩ることで蓋部82Bを本体部81Bから取り外し、本体部81Bから洗剤を出すことができる。
本体部81Bの底面には、重量センサ付きのタグTSが設けられる。タグTSは、必ずしも重量センサと一体型で構成する必要はなく、
図4に示したタグTと重量センサとが組み合わせて構成してもよい。タグTSは、タグIDと、重量センサによって検出された重量の値を含むセンサデータとを含むパケットを発信する。
利用者端末2の乾燥通知アプリケーションは、タグTSから発信するパケットからタグIDとセンサデータを取得し、逐次、アプリケーションサーバ5に通知する。アプリケーションサーバ5は、センサデータに基づいて、タグIDに予め対応付けられた洗剤容器8Bの洗剤の残量を把握することができる。
【0079】
以上例示したようにして、アプリケーションサーバ5が洗剤の残量を把握すると、その残量を所定量と比較し、所定量より少ないと判断した場合に、利用者に対する乾燥通知サービスの提供を制限する。それによって、乾燥通知サービスを継続的に受けるために、洗剤を購入し続けるように利用者を動機付けることができる。
なお、洗剤の残量が少なくなってきた場合には、アプリケーションサーバ5は、対象となる乾燥通知アプリケーションに対して、新しい洗剤を購入することを促すメッセージを送信するとよい。それによって、洗剤の残量が少なくなっていることに利用者が気付かず、洗剤の追加購入を忘れてしまうことを防止できる。
【0080】
以上、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0081】
例えば、無線タグとして周囲環境の電波からエネルギーを得て動作する環境発電型のIoTタグが適用される場合について説明した。IoTタグが適用される場合、従来のパッシブタグとは異なり、周囲環境に存在する電波によって給電されて動作するため、常に近くに給電のためにリーダライタを固定配置させる必要がないという利点があるが、IoTタグを適用しなくてもよい。
バッテリを内蔵したアクティブ型のRFIDタグ(アクティブタグ)やバッテリを内蔵しないパッシブ型のRFIDタグ(パッシブタグ)にセンサを組み合わせた装置を無線タグとして適用してもよい。その場合、例えば利用者の家庭内にリーダライタを設置し、RFIDタグが記憶するタグID及びセンサデータをリーダライタが読み、アプリケーションサーバに通知する。
【0082】
また、無線タグとしてBLEタグを適用してもよい。BLEタグは、上記IoTタグと同様にBLE通信を行うが、バッテリが内蔵されている点でIoTタグとは異なる。BLEタグについてもセンサを内蔵させることができる。BLEタグの場合もIoTタグと同様に、タグID、及び必要に応じてセンサデータをも含む電波のブロードキャスト等をして、利用者端末2が電波を受信して上述した処理を行うことが可能である。
【0083】
上述した実施形態では、ハンガーに2つのタグを取り付ける場合について説明したが、その限りではない。例えば、利用者による乾燥通知アプリケーション上での操作入力に基づいて、利用者が洗濯物を干すのに利用しているハンガーが既知であれば、洗濯物がハンガー6に掛けられた状態で洗濯物と接触する位置に取り付けられているタグT2のタグ検知情報により乾燥判定結果の通知が可能である。
一実施形態では、たこ足ハンガーのように、中央の吊り下げ部に取り付けられたタグT1に対して、放射状に広がる各ハンガー本体部に取り付けられた複数のタグT2を紐づけておき、何枚のタオルが乾いているか等、乾燥度合いを判定してもよい。
【0084】
上述した実施形態において、アプリケーションサーバ5やタグ管理サーバ7の機能の一部を利用者端末2によって実現するように、乾燥通知アプリケーションを構成してもよい。すなわち、アプリケーションサーバ5やタグ管理サーバ7の機能の一部をネイティブアプリケーションとして実現することもできる。
また、アプリケーションサーバ5の一部の機能をタグ管理サーバ7で実現するようにしてもよいし、タグ管理サーバ7の一部の機能をアプリケーションサーバ5で実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…洗濯乾燥システム
T1,T2…IoTタグ
11…制御部
111…メモリ
12…アンテナ
13…ハーベスティング部
131…エネルギーストレージ
14…電圧制御部
15…RFトランシーバ
16…センサ
2…利用者端末
21…制御部
22…ストレージ
23…操作入力部
24…表示部
25…第1通信部
26…第2通信部
5…アプリケーションサーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
6,6A,6B…ハンガー
7…タグ管理サーバ
71…制御部
72…ストレージ
73…通信部
8,8A,8B…洗剤容器
C1…コード情報
NW…ネットワーク