(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149876
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20220929BHJP
B66B 13/14 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B66B1/46 A
B66B13/14 P
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052205
(22)【出願日】2021-03-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207826
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 誠治
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 誠治
【テーマコード(参考)】
3F307
3F502
【Fターム(参考)】
3F307EA26
3F307EA28
3F502HB14
3F502JA23
3F502JA54
3F502MA31
3F502MA35
(57)【要約】
【課題】
非接触式かご操作盤を備えつつ、視覚障がい者等も使い勝手の良いエレベータを提供する。
【解決手段】
エレベータ10は、エレベータ用昇降路を移動する乗りかごと、乗りかごは、かご扉によって閉塞される乗降口と、乗降口の左右の少なくとも一方に設けられた袖壁とを備えた前壁と、前壁に対向した後壁と、前壁と後壁の間口方向端部をそれぞれ接続する一対の側壁と、袖壁に接触式の行先階釦のみを備えた第1エレベータ用操作盤とを備え、一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁に、第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を、非接触で操作者の操作を検出することにより登録可能な非接触式の行先階登録センサのみを備えた第2エレベータ用操作盤を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用昇降路を移動する乗りかごと、
前記乗りかごは、かご扉によって閉塞される乗降口と、前記乗降口の左右の少なくとも一方に設けられた袖壁とを備えた前壁と、
前記前壁に対向した後壁と、
前記前壁と前記後壁の間口方向端部をそれぞれ接続する一対の側壁と、
前記袖壁に接触式の行先階釦のみを備えた第1エレベータ用操作盤と
を備え、
前記一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁に、前記第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を、非接触で操作者の操作を検出することにより登録可能な非接触式の行先階登録センサのみを備えた第2エレベータ用操作盤を備えた、
エレベータ。
【請求項2】
前記第1エレベータ用操作盤が設けられた袖壁と隣接する側壁と対向する側壁に、前記第2エレベータ用操作盤を備えた、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記第1エレベータ用操作盤が設けられた袖壁と隣接する側壁に、前記第2エレベータ用操作盤を備えた、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記第2エレベータ用操作盤が設けられた側壁と対向する側壁に、
前記第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を登録可能な接触式の行先階釦のみを備えた第3エレベータ用操作盤を備えた、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記第2エレベータ用操作盤の非接触式の行先階登録センサ及び前記第3エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときは、前記第1エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときより、乗場着床時のかご扉による乗降口の開放時間が長い、
請求項4に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、非接触式かご操作盤を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかご内には、エレベータ用かご操作盤が設置される。エレベータ用かご操作盤には、行先階の数字などを表示した行先階釦が設けられている。乗客は、例えば、行先階釦を操作することで、昇降路を移動するかごの行先階を登録する。この行先階釦には、押し釦やタッチパネルのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)といった接触式のものが広く採用されている。
【0003】
また、近年では、公共施設等に設置されるエレベータにおいて、衛生面への配慮から、かごの行先階登録の操作を非接触で行うことが可能な非接触式のかご操作盤も導入されつつある。この種のかご操作盤では、乗客による行先階登録の操作を、距離センサ、光電センサあるいは静電容量式のセンサによって非接触で検出することとしている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、非接触式のかご操作盤のみがかご内に設置されているエレベータの場合、かご操作盤上を探って目的の行先階用の行先階釦(センサ)を探す視覚障がい者等にとって、誤登録のおそれがあり、使い勝手が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、非接触式かご操作盤を備えつつ、視覚障がい者等も使い勝手の良いエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータは、エレベータ用昇降路を移動する乗りかごと、乗りかごは、かご扉によって閉塞される乗降口と、乗降口の左右の少なくとも一方に設けられた袖壁とを備えた前壁と、前壁に対向した後壁と、前壁と後壁の間口方向端部をそれぞれ接続する一対の側壁と、袖壁に接触式の行先階釦のみを備えた第1エレベータ用操作盤とを備え、一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁に、第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を、非接触で操作者の操作を検出することにより登録可能な非接触式の行先階登録センサのみを備えた第2エレベータ用操作盤を備える。
【0008】
また、本発明のエレベータにおいて、第1エレベータ用操作盤が設けられた袖壁と隣接する側壁と対向する側壁に、第2エレベータ用操作盤を備えてもよい。
【0009】
また、本発明のエレベータにおいて、第1エレベータ用操作盤が設けられた袖壁と隣接する側壁に、前記第2エレベータ用操作盤を備えてもよい。
【0010】
また、本発明のエレベータにおいて、第2エレベータ用操作盤が設けられた側壁と対向する側壁に、第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を登録可能な接触式の行先階釦のみを備えた第3エレベータ用操作盤を備えてもよい。
【0011】
また、本発明のエレベータにおいて、第2エレベータ用操作盤の非接触式の行先階登録センサ及び第3エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときは、第1エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときより、乗場着床時のかご扉による乗降口の開放時間が長くてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエレベータによれば、非接触式かご操作盤を備えつつ、視覚障がい者等も使い勝手の良いエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態であるエレベータの全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態であるエレベータの乗りかご内の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態であるエレベータに適用される第1エレベータ用操作盤の構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態であるエレベータに適用される第2エレベータ用操作盤の構成を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態であるエレベータに適用される第3エレベータ用操作盤の構成を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態であるエレベータに適用される非接触式の行先階登録センサを示す図である。
【
図7】
図6に示す行先階登録センサと行先階登録センサの検出領域の位置関係を示す模式図である。
【
図8】本発明の変形例1に係るエレベータの乗りかご内の構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の変形例1のエレベータに適用される第4エレベータ用操作盤の構成を示す図である。
【
図10】本発明の変形例2に係るエレベータの乗りかご内の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ10について、
図1~
図7を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない(
図8~
図10も同じ)。なお、各図において、図中に示す「D1」はエレベータの乗降口に沿った水平方向を示す間口方向といい、「D3」は上下方向を示し、「D2」は水平方向D1,および上下方向D3に各々直交する水平方向を示し、奥行き方向ともいう。
【0015】
図1に示すように、エレベータ10は、昇降路12の最上部に機械室14を有するトラクション式エレベータであって、例えば、病院や介護施設など公共の建物に設置される。機械室14に設置された巻上機16の駆動シーブ18には、主ロープ20が掛けられており、この主ロープ20の一端部にかご22が連結され、他端部に釣合錘24が連結されている。
【0016】
制御盤19の指令に基づき駆動される、巻上機16のモータ(不図示)からの回転動力が、動力伝達機構(不図示)を介して駆動シーブ18に伝達され、駆動シーブ18が回転駆動されるとこれに伴って主ロープ20が走行し、主ロープ20に吊り下げられたかご22が、ガイドレール(不図示)に案内されて昇降路を上下方向D3に移動する。
【0017】
エレベータ10が設置された建物には、異なる階毎に乗場26A,26B,26C(以下、特に区別する必要が無い場合は適宜「乗場26」と表記)が設けられており、エレベータ10の運転中、かご22は、現在着床している階の乗場(
図1では、乗場26C)から、次の行先階の乗場(例えば、乗場26A)までの昇降移動を繰り返す。
【0018】
なお、本実施形態においては、主ロープ20の一端がかご22に固定され、主ロープ20の他端が釣合錘24に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、主ロープ20の両端がそれぞれ昇降路12の上部又は下部に固定され、主ロープ20がかご22のシーブ及び釣合錘24のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、主ロープ20がかご22及び釣合錘24に接続されているという構成でもよい。
【0019】
図2は、かご22内のかご扉22A周辺の構成を示す斜視図である。かご22の乗降口21が設けられた壁を前壁22Gとする。かご扉22Aは、乗降口21を開閉動作によって閉塞、解放する。そして、乗降口21の左右には袖壁22B、22Cが設けられ、乗降口21の上部に幕板23が設けられている。また、かご22は、前壁22Gと対向する後壁22F及び前壁と後壁の間口方向端部をそれぞれ接続する一対の側壁22D、22Eを有する。
なお、
図2は所謂両開き扉のエレベータであり、乗降口の左右に袖壁を有するが、片開き扉のエレベータであって、乗降口の左右一方に袖壁を有するものであってもよい。
【0020】
袖壁22Cに第1エレベータ用操作盤3が設けられている。エレベータ10を利用する乗客(操作者)が、第1エレベータ用操作盤3を操作することにより、かご22の行先階が決定される。
【0021】
また、側壁22Dに、エレベータ10を利用する乗客(操作者)が操作することにより、かご22の行先階が決定される第2エレベータ用操作盤1が設けられ、側壁22Eに、エレベータ10を利用する乗客(操作者)が操作することにより、かご22の行先階が決定される第3エレベータ用操作盤2が設けられている。
【0022】
図3は、第1エレベータ用操作盤3の構成を示す正面図である。
図3に示すように、第1エレベータ用操作盤3は、かご22の行先階を決定する入力操作を行う機能を有する行先階操作部30が中央部に設けられている。行先階操作部30は、接触式の行先階釦32A,32B,32C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は行先階釦「32」と表記)が上下方向D3に沿って配置される。行先階釦32は乗場26を行先階として(呼び)登録するための入力操作を行う機能を有する。
図3では、第1エレベータ用操作盤3は、1階乃至8階を行先階とする行先階釦を備えている。
【0023】
また、第1エレベータ用操作盤3は、かご22の進行方向及び位置等を表示する表示部31、非常時に外部に通報等行う非常呼び釦33、戸開釦34及び戸閉釦35を備えていることが好ましい。
【0024】
また、第1エレベータ用操作盤3の行先階釦32は、行先階登録を受け付けたことを利用者に報知する登録報知部を有する。より具体的には、例えば、行先階釦32には行先階を示す数字の形をした透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。行先階釦32が押下されることにより行先階の(呼び)登録が行われると登録報知部が点灯するように構成される。これにより、行先階釦32を介して入力操作を行った際に、行先階の登録がなされているか否かを利用者が目視確認することができる。
【0025】
図4は、第2エレベータ用操作盤2の構成を示す正面図である。
図4に示すように、第2エレベータ用操作盤2は、かご22の行先階を決定する入力操作を行う機能を有する行先階操作部40が中央部に設けられている。行先階操作部40は、非接触式の行先階登録センサ(非接触式操作入力部)42A,42B,42C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は行先階登録センサ「42」と表記)が水平方向D2に沿って配置される。行先階登録センサ42は乗場26を行先階として(呼び)登録するための入力操作を行う機能を有する。
【0026】
また、第2エレベータ用操作盤2は、非常時に外部に通報等行う非常呼びセンサ43、戸開センサ44、戸閉センサ45及び車椅子マーク46を備えていることが好ましい。なお、第2エレベータ用操作盤2を車椅子仕様のエレベータ用操作盤とした場合、行先階登録センサ42の操作により行先階に到着したときの扉の開放時間が、一般用のエレベータ用操作盤である第1エレベータ用操作盤3の行先階登録ボタン32の操作により行先階に到着したときの扉の開放時間より長くなることが好ましい。
【0027】
また、第2エレベータ用操作盤2の行先階登録センサ42は、行先階登録を受け付けたことを利用者に報知する登録報知部を有する。より具体的には、
図6に示すように、行先階登録センサ42は、登録報知部47と行先階を表示されたセグメント48を有する。登録報知部47は、例えば、透光性のアクリルやポリカーボネート等の樹脂であることが好ましい。また、セグメント48は、例えば、ステンレスや鋼板等の金属であることが好ましい。
【0028】
登録報知部47は透光性の樹脂であり、登録報知部47の裏面に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。行先階登録センサ42が操作されることにより行先階の(呼び)登録が行われると登録報知部47が点灯するように構成される。これにより、行先階登録センサ42を介して入力操作を行った際に、行先階の登録がなされているか否かを利用者が目視確認することができる。
【0029】
また、第2エレベータ用操作盤2の行先階登録センサ42は、本実施例においては、静電容量式のセンサによって、行先階の(呼び)登録が非接触で入力される。静電容量式のセンサは、電界を利用した非接触式のセンサである。操作者が行先階登録センサ42に手指を近づけ電界に侵入した際の静電容量の変化により、操作者が操作したことを検知する。
【0030】
ここで、行先階登録センサ42の検知範囲を
図7により説明する。本実施形態では、静電容量式のセンサの感度を調整し、予め設定されている検出領域Pの物体を検出可能に構成されている。ここで、
図7は、行先階登録センサ42と検出領域Pの位置関係を示す模式図である。
図7では、登録報知部47、セグメント48および検出領域P以外の構成については適宜省略して示している。また、
図7では、ハッチングを付して検出領域Pを図示している。
【0031】
図7に示すように、検出領域Pは、行先階登録センサ42から水平方向D1に所定距離L1だけ離れた位置までを含む空間領域に設定される。
【0032】
所定距離L1としては、0cm<L1≦5cmとなるように設定するのが好ましい。また、0cm<L1≦2cmとすることがさらに好ましい。これにより、行先階登録センサ42の前方に乗客が立った場合や、荷物が近づいたような場合において、センサが反応して行先階が誤って過誤登録されるのを抑制できる。
【0033】
図5は、第3エレベータ用操作盤1の構成を示す正面図である。
図5に示すように、第3エレベータ用操作盤1は、かご22の行先階を決定する入力操作を行う機能を有する行先階操作部50が中央部に設けられている。行先階操作部50は、接触式の行先階釦52A,52B,52C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は行先階釦「52」と表記)が水平方向D2に沿って配置される。行先階釦52は乗場26を行先階として(呼び)登録するための入力操作を行う機能を有する。
図5では、第3エレベータ用操作盤1は、1階乃至8階を行先階とする行先階釦を備えている。
【0034】
また、第3エレベータ用操作盤1は、かご22の進行方向及び位置等を表示する表示部57、非常時に外部に通報等行う非常呼び釦53、戸開釦54、戸閉釦55及び車椅子マーク56を備えていることが好ましい。なお、第3エレベータ用操作盤1を車椅子仕様のエレベータ用操作盤とした場合、行先階釦52の操作により行先階に到着したときの扉の開放時間が、一般用のエレベータ用操作盤である第1エレベータ用操作盤3の行先階登録ボタン32の操作により行先階に到着したときの扉の開放時間より長くなることが好ましい。
【0035】
また、第3エレベータ用操作盤1の行先階釦52は、行先階登録を受け付けたことを利用者に報知する登録報知部を有する。より具体的には、例えば、行先階釦52には行先階を示す数字の形をした透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。行先階釦52が押下されることにより行先階の(呼び)登録が行われると登録報知部が点灯するように構成される。これにより、行先階釦52を介して入力操作を行った際に、行先階の登録がなされているか否かを利用者が目視確認することができる。
【0036】
以上により、本実施形態に係るエレベータ10は、エレベータ用昇降路12を移動する乗りかご22と、乗りかご22は、かご扉22Aによって閉塞される乗降口21と、乗降口21の左右の少なくとも一方に設けられた袖壁22B,22Cとを備えた前壁22Gと、前壁22Gに対向した後壁22Fと、前壁22Gと後壁22Fの間口方向端部をそれぞれ接続する一対の側壁22D、22Eと、袖壁(本実施形態においては袖壁22C)に接触式の行先階釦のみを備えた第1エレベータ用操作盤3とを備え、一対の側壁22D、22Eのうち少なくとも一方の側壁(本実施形態においては側壁22E)に、第1エレベータ用操作盤3の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を、非接触で操作者の操作を検出することにより登録可能な非接触式の行先階登録センサ42のみを備えた第2エレベータ用操作盤2を備える。
【0037】
斯かる構成によれば、接触式の行先階釦32のみを備えた第1エレベータ用操作盤3と非接触式の行先階登録センサ42のみを備えた第2エレベータ用操作盤2とが離れて設置されるため、接触式の行先階釦32のみを備えた第1エレベータ用操作盤3を操作する視覚障がい者等によって、第2エレベータ用操作盤2の行先階登録センサ42を誤登録するおそれが低減される。そのため、非接触式かご操作盤を備えつつも、視覚障がい者等も使い勝手の良いエレベータを提供することができる。なお、視覚障がい者等において、一般的なエレベータは乗降口の袖壁にエレベータ用操作盤が備えられていると認識している場合が多く、最初に袖壁のエレベータ用操作盤を探すと考えられるため、第2エレベータ用操作盤2の行先階登録センサ42を誤登録するおそれが低減される。
【0038】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、第1エレベータ用操作盤3が設けられた袖壁22Cと隣接する側壁22Eと対向する側壁22Dに、第2エレベータ用操作盤2を備えてもよい。
【0039】
斯かる構成によれば、接触式の行先階釦32のみを備えた第1エレベータ用操作盤3と非接触式の行先階登録センサ42のみを備えた第2エレベータ用操作盤2とが対角状に離れて設置されるため、接触式の行先階釦32のみを備えた第1エレベータ用操作盤3を操作する視覚障がい者等によって、第2エレベータ用操作盤2の行先階登録センサ42を誤登録するおそれがさらに低減され、非接触式かご操作盤を備えつつも、視覚障がい者等も使い勝手の良いエレベータを提供することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、第1エレベータ用操作盤3が設けられた袖壁22Cと隣接する側壁22Eに、第2エレベータ用操作盤2を備えてもよい。
【0041】
斯かる構成によれば、接触式の行先階釦32のみを備えた第1エレベータ用操作盤3と非接触式の行先階登録センサ42のみを備えた第2エレベータ用操作盤2とが離れて設置されるため、接触式の行先階釦32のみを備えた第1エレベータ用操作盤3を操作する視覚障がい者等によって、第2エレベータ用操作盤2の行先階登録センサ42を誤登録するおそれが低減される。また、接触式の行先階釦32を使用するか、非接触式の行先階登録センサ42を使用するかを選択したい操作者は、かご22の同一側壁側に第1エレベータ用操作盤3と第2エレベータ用操作盤2が備えられるため、かご22内の少ない移動で接触式の行先階釦32と非接触式の行先階登録センサ42のいずれかを選択して行先階を登録することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、第2エレベータ用操作盤2が設けられた側壁(本実施形態においては側壁22E)と対向する側壁(本実施形態においては側壁22D)に、第1エレベータ用操作盤3の行先階釦32によって登録可能な行先階と同じ行先階を登録可能な接触式の行先階釦52のみを備えた第3エレベータ用操作盤1を備えてもよい。
【0043】
斯かる構成によれば、かご内の乗車状況が不明で、慎重にかご内へ乗り込む視覚障がい者等は乗降口21に近い袖壁(本実施形態においては袖壁22C)の接触式の行先階釦32のみを備えた第1エレベータ用操作盤3を誤登録することなく操作することが可能であり、また、晴眼者はかご22の中央付近まで乗り込んで、接触式の行先階釦32を使用するか、非接触式の行先階登録センサ42を使用するかを選択することができる。
【0044】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、第2エレベータ用操作盤2の非接触式の行先階登録センサ42及び前記第3エレベータ用操作盤1の接触式の行先階釦52によって行先階を登録したときは、第1エレベータ用操作盤3の接触式の行先階釦32によって行先階を登録したときより、乗場着床時のかご扉22A,22Aによる乗降口21の開放時間が長くてもよい。
【0045】
斯かる構成によれば、例えば、第2エレベータ用操作盤2及び第3エレベータ用操作盤1を正副2面の車椅子用操作盤とし、一般的な車椅子仕様エレベータにおけるエレベータ操作盤の配置で、非接触式かご操作盤を備えつつ、視覚障がい者等も使い勝手の良いエレベータを提供することができる。
【0046】
なお、本発明に係るエレベータ10は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ10は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0047】
[変形例1]
(1)上記実施形態においては、側壁22Eに第2エレベータ用操作盤2を備え、側壁22Dに第3エレベータ用操作盤1を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ10は斯かる構成に限られない。例えば、
図8に示すように、側壁22Dに第1エレベータ用操作盤3の行先階釦32によって登録可能な行先階と同じ行先階を登録可能な非接触式の行先センサ42のみを備えた第4エレベータ用操作盤4を備える、という構成であってもよい。なお、第4エレベータ用操作盤4は、側壁22Eに備えられるという構成でもよい。
【0048】
図9は、第4エレベータ用操作盤4の構成を示す正面図である。第4エレベータ用操作盤4と第2エレベータ用操作盤2の相違点は、車椅子マーク46が無い点、及び行先階登録センサ42の操作により行先階に到着したときの扉の開放時間が、一般用のエレベータ用操作盤である第1エレベータ用操作盤3の行先階登録ボタン32の操作により行先階に到着したときの扉の開放時間と同じである点である。
【0049】
[変形例2]
(2)また、上記実施形態においては、側壁22Eに第2エレベータ用操作盤2を備え、側壁22Dに第3エレベータ用操作盤1を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ10は斯かる構成に限られない。例えば、
図10に示すように、壁22Dに第2エレベータ用操作盤2を備え、側壁22Eに第3エレベータ用操作盤1を備える、という構成でもよい。
【0050】
(3)また、上記実施形態においては、
図7に示すように、検出領域Pは、行先階登録センサ42から水平方向D1に所定距離L1だけ離れた位置までを含む空間領域に設定される、という構成である。しかしながら、エレベータ10は斯かる構成に限られない。
例えば、検出領域Pは、行先階登録センサ42から水平方向D1に第1所定距離L1だけ離れた位置から水平方向D1に第2所定距離L2(L1<L2)だけ離れた位置までを含む空間領域に設定される、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 第3エレベータ用操作盤
2 第2エレベータ用操作盤
3 第1エレベータ用操作盤
4 第4エレベータ用操作盤
10 エレベータ
12 昇降路
14 機械室
16 巻上機
18 駆動シーブ
19 制御盤
20 主ロープ
22 かご
23 幕板
22A かご扉
22B,22C 袖壁
22D,22E 側壁
22F 後壁
22G 前壁
24 釣合錘
26,26A,26B,26C 乗場
30,40,50 行先階操作部
31,57 表示部
32,32A~32H,52,52A~52H 行先階釦
33,53 非常呼び釦
34,54 戸開釦
35,55 戸閉釦
42,42A~42H 行先階登録センサ
43 非常呼びセンサ
44 戸開センサ
45 戸閉センサ
47 登録報知部
48 セグメント
56 車椅子マーク
L1 第1所定領域
P 検出領域
【手続補正書】
【提出日】2021-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用昇降路を移動する乗りかごと、
前記乗りかごは、かご扉によって閉塞される乗降口と、前記乗降口の左右の少なくとも一方に設けられた袖壁とを備えた前壁と、
前記前壁に対向した後壁と、
前記前壁と前記後壁の間口方向端部をそれぞれ接続する一対の側壁と、
前記袖壁に接触式の行先階釦のみが組み込まれた第1エレベータ用操作盤と
を備え、
前記一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁に、前記第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を、非接触で操作者の操作を検出することにより登録可能な非接触式の行先階登録センサのみが組み込まれた第2エレベータ用操作盤を備え、
前記行先階登録センサは、前記行先階登録センサから水平方向に所定距離だけ離れた位置までを含む空間領域を検出領域とする、
エレベータ。
【請求項2】
前記第1エレベータ用操作盤が設けられた袖壁と隣接する側壁と対向する側壁に、前記第2エレベータ用操作盤を備えた、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記第1エレベータ用操作盤が設けられた袖壁と隣接する側壁に、前記第2エレベータ用操作盤を備えた、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記第2エレベータ用操作盤が設けられた側壁と対向する側壁に、
前記第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を登録可能な接触式の行先階釦のみを備えた第3エレベータ用操作盤を備えた、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記第2エレベータ用操作盤の非接触式の行先階登録センサ及び前記第3エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときは、前記第1エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときより、乗場着床時のかご扉による乗降口の開放時間が長い、
請求項4に記載のエレベータ。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用昇降路を移動する乗りかごと、
前記乗りかごは、かご扉によって閉塞される乗降口と、前記乗降口の左右の少なくとも一方に設けられた袖壁とを備えた前壁と、
前記前壁に対向した後壁と、
前記前壁と前記後壁の間口方向端部をそれぞれ接続する一対の側壁と、
前記袖壁に接触式の行先階釦のみが組み込まれた第1エレベータ用操作盤と
を備え、
前記第1エレベータ用操作盤が設けられた袖壁と隣接する側壁に、前記第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を、非接触で操作者の操作を検出することにより登録可能な非接触式の行先階登録センサのみが組み込まれた第2エレベータ用操作盤を備えると共に、
前記第2エレベータ用操作盤が設けられた側壁と対向する側壁に、前記第1エレベータ用操作盤の行先階釦によって登録可能な行先階と同じ行先階を登録可能な接触式の行先階釦のみを備えた第3エレベータ用操作盤を備え、
前記行先階登録センサは、前記行先階登録センサから水平方向に所定距離だけ離れた位置までを含む空間領域を検出領域とする、
エレベータ。
【請求項2】
前記第2エレベータ用操作盤の非接触式の行先階登録センサ及び前記第3エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときは、前記第1エレベータ用操作盤の接触式の行先階釦によって行先階を登録したときより、乗場着床時のかご扉による乗降口の開放時間が長い、
請求項1に記載のエレベータ。