(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149886
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20220929BHJP
A61F 13/475 20060101ALI20220929BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20220929BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61F13/494 111
A61F13/475 111
A61F13/514 300
A61F13/15 355A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052221
(22)【出願日】2021-03-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中岡 健次
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA11
3B200BA03
3B200BA05
3B200BA13
3B200BA16
3B200BB04
3B200BB05
3B200BB11
3B200CA11
3B200DA03
3B200DA04
3B200DA17
3B200EA23
(57)【要約】
【課題】立体ギャザーを起立しやすくするとともに、股下部において吸収性物品を変形しやすくする。
【解決手段】バックシート23の幅方向両側の側部はそれぞれ、吸収体22の側方に位置するバックシート折り返し線235にて着用者側へと折り返され、側壁起立部34の外側面342に固定される。側壁基部33は、側壁折り返し線35にて着用者側へと折り返されており、側壁起立部34の外側面342とバックシート23との間において、側壁起立部34の外側面342と対向する。吸収体22の股下部222の側縁近傍に設けられる股下側部接合部(上記例では、接着剤層41)のバックシート23上における幅方向外縁42から、少なくとも側壁折り返し線35に至る領域は、バックシート23が他の部材と接合されないバックシート非接合領域26である。これにより、立体ギャザー30を起立しやすくするとともに、股下部において吸収性物品1を変形しやすくすることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
透液性のトップシートと、
撥液性または不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートと、
を備え、
前記吸収体は、
着用者の腹側に位置する前方部と、
着用者の背側に位置する後方部と、
前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部と、
を備え、
各サイドシートは、
前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、
長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部と、
を備え、
前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、
前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と対向し、
前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記側壁基部は、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向することを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記股下側部接合部の前記幅方向外縁が、前記吸収体の前記股下部と前記バックシートとの接合部の幅方向外縁である場合、前記バックシート上において、前記股下側部接合部の前記幅方向外縁と前記バックシート折り返し線との間の幅方向の距離は、5mm以上であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記バックシートは、
第1シートと、
前記第1シートを前記吸収体とは反対側から覆う不織布製の第2シートと、
を備え、
前記第2シートは、前記第1シートの幅方向両側の側縁から延出する一対の延出部を備え、
前記第2シートの前記一対の延出部はそれぞれ、前記一対のサイドシートの前記側壁起立部の前記外側面に直接的に固定されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品であって、
前記第1シートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記第2シートと共に前記バックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と対向することを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項4または5に記載の吸収性物品であって、
前記一対の延出部のそれぞれの幅方向の幅は、5mm以上かつ50mm以下であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
起立状態の前記側壁起立部の前記外側面において、前記バックシートの上縁は、前記側壁起立部の上縁よりも下側に位置することを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
起立状態の前記側壁起立部の上縁に、長手方向に延びる弾性部材が設けられることを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつや、使い捨ておむつの内側に取り付けられる軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品が使用されている。当該吸収性物品では、股下部から側方への尿等の漏出を抑制するために、着用者に向かって起立する立体ギャザーが本体部の両側部に設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1の吸収性物品では、一対の立上りギャザーの基端部(すなわち、幅方向外側の端部)が、トップシートの幅方向両端部の上面に固定されており、一対の立上りギャザーの先端部(すなわち、幅方向内側の端部)が上方へと起立する。当該吸収性物品では、不透液性のバックシートの幅方向両端部が、トップシート吸収体の側方にてトップシート側に折り返され、一対の立上りギャザーの基端部を間に挟んで、トップシートの上面に間接的に固定される。これにより、立上りギャザーの基端部とトップシートとの間から尿が側方に漏出することを防止している。
【0004】
特許文献2の吸収性物品においても略同様に、バックシートが吸収体の側縁部に沿ってトップシート側に折り返され、バックシートの折り返し部に立体ギャザーの基端部が貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-118896号公報
【特許文献2】特開2006-116348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の吸収性物品では、立上りギャザーの基端部が1枚の不織布により形成されており、吸収体の上側においてバックシート等に平面状に固定されているため、立上りギャザーの起立部が立ち上がりにくい。このため、尿等が起立部の上縁を越えて外部へと漏出する(すなわち、横漏れが生じる)おそれがある。
【0007】
特許文献2でも、立体ギャザーの基端部は1枚の不織布により形成されており、バックシート等に平面状に固定されているため、立体ギャザーが立ち上がりにくい。また、立体ギャザーの基端部とバックシートの折り返し部とは、ホットメルト接着剤により全面に亘って接合されているため、接合部の柔軟性が低下して(すなわち、ごわついて)変形しにくくなっている。当該接合部のごわつきは、立体ギャザーの立ち上がりを阻害するとともに、吸収性物品の股下部等における変形も阻害するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、立体ギャザーを起立しやすくするとともに、股下部において吸収性物品を変形しやすくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、透液性のトップシートと、撥液性または不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートとを備え、前記吸収体は、着用者の腹側に位置する前方部と、着用者の背側に位置する後方部と、前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部とを備え、各サイドシートは、前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部とを備え、前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と対向し、前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記側壁基部は、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記股下側部接合部の前記幅方向外縁が、前記吸収体の前記股下部と前記バックシートとの接合部の幅方向外縁である場合、前記バックシート上において、前記股下側部接合部の前記幅方向外縁と前記バックシート折り返し線との間の幅方向の距離は、5mm以上である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記バックシートは、第1シートと、前記第1シートを前記吸収体とは反対側から覆う不織布製の第2シートとを備え、前記第2シートは、前記第1シートの幅方向両側の側縁から延出する一対の延出部を備え、前記第2シートの前記一対の延出部はそれぞれ、前記一対のサイドシートの前記側壁起立部の前記外側面に直接的に固定される。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の吸収性物品であって、前記第1シートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記第2シートと共に前記バックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と対向する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の吸収性物品であって、前記一対の延出部のそれぞれの幅方向の幅は、5mm以上かつ50mm以下である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、起立状態の前記側壁起立部の前記外側面において、前記バックシートの上縁は、前記側壁起立部の上縁よりも下側に位置する。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、起立状態の前記側壁起立部の上縁に、長手方向に延びる弾性部材が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、立体ギャザーを起立しやすくすることができるとともに、股下部において吸収性物品を変形しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一の実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
【
図6】吸収性物品の一部を拡大して示す断面図である。
【
図8】他の吸収性物品の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1を略平面状に広げた状態で示す平面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの排泄物を受ける補助吸収具である。吸収性物品1は、例えば、着用者からの尿等を受ける軽失禁用の吸収パッドである。
図1では、非着用時の伸長状態(すなわち、長手方向および幅方向に伸長した状態)における吸収性物品1を、着用時に着用者に接する側の面を手前にして描いている。
【0020】
図2は、吸収性物品1を
図1中に示すII-IIの位置で長手方向(すなわち、
図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。
図3は、吸収性物品1を
図1中に示すIII-IIIの位置で長手方向に垂直な面で切断した断面図である。
【0021】
図1ないし
図3に示すように、吸収性物品1は、略シート状の本体部2、および、一対のサイドシート3を備える。一対のサイドシート3は、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な幅方向の両側の部位)上に配置され、長手方向に延びる。各サイドシート3は、本体部2の長手方向の略全長に亘る。換言すれば、本体部2の長手方向の長さ(以下、単に「長さ」ともいう。)は、各サイドシート3の長さと略同じである。一対のサイドシート3は、吸収性物品1の着用時に着用者側(すなわち、
図2および
図3中の上側)へと起立する。
【0022】
本体部2のうち、
図1中の上側の部位および下側の部位はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する前方部および後方部である。本体部2のうち、前方部と後方部との間にて前方部および後方部から連続する部位は、着用者の股間部に対向する股下部である。吸収性物品1では、本体部2において、前方部、股下部および後方部が長手方向に順に並ぶ。
図1に示す例では、本体部2は平面視において略矩形状であり、本体部2の前方部、股下部および後方部の幅方向の幅(すなわち、着用時における左右方向の幅であり、以下、単に「幅」ともいう。)は略同じである。換言すれば、本体部2の幅は、長手方向の略全長に亘って略一定である。上述の
図2および
図3はそれぞれ、股下部および後方部における吸収性物品1の断面図である。吸収性物品1の前方部の断面は、
図3に示す後方部の断面と略同様である。
【0023】
図1ないし
図3に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21と、撥液性または不透液性のバックシート23と、吸収体22とを備える。吸収体22は、トップシート21とバックシート23との間に配置される。
図1では、図の理解を容易にするために、吸収体22の輪郭を太い破線にて描く。また、本体部2の股下部を示す
図2、および、本体部2の後方部を示す
図3では、図の理解を容易にするために、吸収性物品1を厚さ方向(すなわち、
図2および
図3中における上下方向)において実際によりも大きく描いており、また、実際には接触している吸収性物品1の構成の一部を、厚さ方向に離間させて描いている。
【0024】
トップシート21は、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収体22へと移動させる。吸収体22は、トップシート21を透過した水分を吸収して速やかに固定する。バックシート23は、主にトップシート21および吸収体22を透過してバックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことを防止する。
図2および
図3に示す例では、トップシート21と吸収体22との間に上層台紙28(例えば、ティッシュペーパー)が配置されている。
【0025】
トップシート21およびバックシート23の長さは、吸収体22の長さよりも長い。トップシート21およびバックシート23の両側部(すなわち、幅方向の両側の部位)は、本体部2の全長に亘って、吸収体の側方にて着用者側(すなわち、
図2および
図3中における上側)へと折り返されている。以下の説明では、トップシート21およびバックシート23の側部のうち、着用者側へと折り返されている部位を「折り返し部27」とも呼ぶ。一対の折り返し部27を側方へと広げた状態では、トップシート21およびバックシート23の幅は、吸収体22の幅よりも大きい。なお、吸収体22の幅とは、後述する吸収体22の上層吸収体24および下層吸収体25のうち幅が大きい方の吸収体の幅を意味する。
【0026】
吸収性物品1では、トップシート21およびサイドシート3と、バックシート23とが、吸収体22の周囲の全周に亘って接合されることにより、吸収体22がトップシート21とバックシート23との間に封入される。吸収性物品1の長手方向の端部では、トップシート21の長手方向の端部とバックシート23の長手方向の端部とが接合される。また、吸収性物品1の幅方向の端部では、サイドシート3がトップシート21の幅方向の端部に接合され、当該サイドシート3のうちトップシート21の側縁から延出する部位が、バックシート23の幅方向の端部に接合される。トップシート21の幅方向の端部は、バックシート23に直接的には接合されず、サイドシート3を介して間接的に固定される。なお、吸収性物品1の幅方向の端部では、トップシート21の幅方向の端部も、バックシート23に直接的に接合されてもよい。あるいは、吸収性物品1の幅方向の端部では、サイドシート3はトップシート21の側縁から延出せず、トップシート21がバックシート23に直接的に接合されてもよい。トップシート21、サイドシート3およびバックシート23の接合は、例えば、ホットメルト接着剤により行われる。トップシート21、サイドシート3およびバックシート23の接合は、ホットメルト接着剤以外の様々な方法(例えば、熱圧着、または、超音波圧着)により行われてもよい。
【0027】
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0028】
バックシート23は、例えば、複数のシートが積層された積層構造を有する。
図2および
図3に示す例では、バックシート23は、第1シート231と、第2シート232とを備える。第1シート231は、バックシート23の最も着用者側(すなわち、
図2および
図3中において、吸収体22の下方における最も上側)に位置するシート部材である。第1シート231は、吸収体22に直接的に接触する。第2シート232は、バックシート23の着用者側とは反対側において最外層に位置するシート部材である。第2シート232は、第1シート231を吸収体22とは反対側から覆う。上述の一対の折り返し部27を側方へと広げた状態では、第2シート232の幅は、第1シート231の幅よりも大きい。
【0029】
本実施の形態では、第1シート231と第2シート232とは、吸収性物品1の製造装置に個別のロールシートとして供給され、当該製造装置において積層されて部分的に接合される。すなわち、第1シート231および第2シート232は、予め積層されて一体化された(すなわち、全面に亘って接合された)ラミネートシートではない。なお、バックシート23では、第1シート231と第2シート232との間に、他のシートが設けられていてもよい。
【0030】
第1シート231としては、撥液性または不透液性の不織布またはプラスチックフィルムが利用される。好ましくは、第1シート231は、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルム製である。これにより、バックシート23の耐水性を向上することができるとともに、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上することができる。第2シート232としては、例えば、撥液性または不透液性の不織布が利用される。これにより、バックシート23の手触りや肌触り等の感触を良くすることができる。第2シート232に利用される不織布は、例えば、疎水性繊維にて形成されたスパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であり、必要に応じて撥液処理が施される。第1シート231に不織布が利用される場合においても同様である。
【0031】
吸収体22は、厚さが長さおよび幅よりも小さい略シート状の部材である。吸収体22は、本体部2の前方部、股下部および後方部に亘って設けられる。以下の説明では、吸収体22のうち、本体部2の前方部、股下部および後方部に位置する部位をそれぞれ、「前方部221」、「股下部222」および「後方部223」とも呼ぶ。吸収体22の前方部221および後方部223はそれぞれ、着用者の腹側および背側に位置する。股下部222は、長手方向において前方部221と後方部223との間に配置され、前方部221および後方部223から連続する。股下部222は、着用者の股間部に位置する。
【0032】
図1に示す例では、吸収体22の股下部222の幅は、前方部221および後方部223の幅よりも小さい。換言すれば、吸収体22は、平面視においていわゆる砂時計型である。また、前方部221の幅と後方部223の幅とは略同じである。股下部222の幅は、股下部222の長手方向の略全長に亘って略同じである。前方部221および後方部223の幅は、股下部222の近傍において股下部222から離れるに従って漸次増大し、その後、略一定となる。股下部222の幅は、好ましくは、前方部221の最大幅および後方部223の最大幅の約40%以上かつ約90%以下である。なお、吸収体22の平面視における形状は、様々に変更されてよい。例えば、吸収体22の後方部223の幅は、前方部221の幅よりも大きくてもよい。あるいは、吸収体22の平面視における形状は、全長に亘って幅が略同じである略矩形状であってもよい。
【0033】
吸収体22は、上層吸収体24と、下層吸収体25とを備える。上層吸収体24は、下層吸収体25の上側、すなわち、下層吸収体25よりも着用者側に配置される。換言すれば、上層吸収体24は、トップシート21と下層吸収体25との間に配置される。また、下層吸収体25は、上層吸収体24とバックシート23との間に配置される。
図2および
図3に示す例では、上層吸収体24は下層吸収体25の上面に直接的に接触した状態で、下層吸収体25上に積層される。上層吸収体24の下面は、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤により下層吸収体25の上面に接合される。上層吸収体24と下層吸収体25との接合は、他の様々な方法により行われてもよい。また、上層吸収体24と下層吸収体25とは、非接合であってもよい。
【0034】
図1に示す例では、下層吸収体25は、平面視において略矩形状である。また、下層吸収体25の長さは、上層吸収体24の長さよりも短い。下層吸収体25は、前方部221から股下部222を経由して後方部223まで延びている。下層吸収体25は、股下部222の全長に亘って設けられる。下層吸収体25の長手方向の両端縁は、例えば、吸収体22の前方部221および後方部223の長手方向の略中央に位置する。なお、下層吸収体25の長さは、股下部222の長さよりも長く、かつ、上層吸収体24の長さ以下の範囲内において、様々に変更されてよい。例えば、下層吸収体25は、股下部222の全長に亘って設けられ、かつ、前方部221および後方部223のいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0035】
下層吸収体25の幅は、長手方向の略全長に亘っておよそ同じである。下層吸収体25の幅は、下層吸収体25の長手方向の全位置において上層吸収体24の幅よりも小さい。すなわち、平面視において、下層吸収体25の全体が上層吸収体24により覆われている。上層吸収体24の平面視における形状は、上述の吸収体22の平面視における形状と同じである。吸収体22の長手方向および幅方向の端縁は、上層吸収体24の長手方向および幅方向の端縁である。なお、下層吸収体25の幅は、必ずしも上層吸収体24の幅よりも小さい必要はなく、例えば、下層吸収体25の長手方向の一部において、あるいは、下層吸収体25の長手方向の全位置において、上層吸収体24の幅と略同じであってもよい。
【0036】
上層吸収体24は、例えば、シート状の繊維集合体に高吸収性材料が分散されたものである。当該繊維集合体は、例えば、パルプ繊維および/または合成繊維の集合体である。当該高吸収性材料は、例えば、粒状のSAP(Super Absorbent Polymer)、または、繊維状のSAF(Super Absorbent Fiber)である。上層吸収体24は、高吸収性材料を含まないシート状の繊維集合体であってもよい。あるいは、上層吸収体24は、パルプ繊維等の繊維を実質的に含まず、透液性の2枚のシート部材(例えば、不織布)の間に高吸収性材料がホットメルト接着剤等により固定されたものであってもよい。
【0037】
下層吸収体25は、例えば、シート状の繊維集合体に高吸収性材料が分散されたものを、ティッシュペーパーや不織布等により包んだものである。当該繊維集合体は、例えば、パルプ繊維および/または合成繊維の集合体である。当該高吸収性材料は、例えば、粒状のSAP(Super Absorbent Polymer)、または、繊維状のSAF(Super Absorbent Fiber)である。下層吸収体25は、高吸収性材料を含まないシート状の繊維集合体であってもよい。あるいは、上層吸収体24は、パルプ繊維等の繊維を実質的に含まず、透液性の2枚のシート部材(例えば、不織布)の間に高吸収性材料がホットメルト接着剤等により固定されたものであってもよい。
【0038】
各サイドシート3は、サイドシート本体31と、弾性部材32とを備える。サイドシート本体31は、吸収性物品1の長手方向に延びる略帯状のシート部材である。サイドシート本体31は、トップシート21およびバックシート23に固定される。
図2および
図3に示す例では、吸収性物品1の非着用時の伸長状態において、サイドシート3は、折り返し部27の幅方向内端部の下面に固定され、折り返し部27の幅方向内縁から幅方向内方へと延在する。また、サイドシート3の幅方向外端部は、トップシート21に固定される。サイドシート3および折り返し部27は、長手方向の両端部において、ホットメルト接着剤等によりトップシート21の着用者側の面に固定される。サイドシート3および折り返し部27の長手方向の両端部を除く部位は、トップシート21の着用者側の面に固定されておらず、当該面から上方(すなわち、吸収性物品1の着用時における着用者側)に離間可能である。
【0039】
図2および
図3における各サイドシート3の内端部(すなわち、自由端部)には、長手方向に延びる弾性部材32が、ホットメルト接着剤等の接着剤により伸長状態にて接合される。吸収性物品1の着用時には、各サイドシート3において弾性部材32が収縮することにより、サイドシート3および折り返し部27の長手方向の両端部を除く部位が、トップシート21の着用者と対向する面から上方に離間し、着用者側へと起立する。
【0040】
図4および
図5はそれぞれ、長手方向の
図2および
図3と同じ位置における断面図であり、サイドシート3が起立した状態を示す。起立した一対のサイドシート3は、着用者の脚の付け根近傍に当接する一対の立体ギャザー30を形成する。これにより、吸収性物品1では、脚周りからの尿等の漏出防止が図られている。
図4に示すように、吸収体22の幅が前方部221および後方部223よりも小さい股下部222では、トップシート21およびバックシート23のうち、吸収体22の側縁からサイドシート3に至る部位(すなわち、
図2中における吸収体22の側縁と本体部2の側縁との間の部位)が、サイドシート3と共に起立して立体ギャザー30を形成する。これにより、股下部222における立体ギャザー30の高さが、前方部221および後方部223における立体ギャザー30の高さよりも高くなる。その結果、股下部222における尿等の側方への漏出(すなわち、横漏れ)が好適に抑制される。
【0041】
サイドシート本体31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。弾性部材32としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用される。本実施の形態では、ポリウレタン糸が弾性部材32として利用される。
【0042】
次に、立体ギャザー30の詳細な構造について説明する。
図6は、
図4中の一方の立体ギャザー30近傍を拡大して示す図である。他方の立体ギャザー30の構造は、
図6に示す立体ギャザー30と左右対称になっている点を除き、略同じである。
図7は、
図6に示す吸収性物品1の各構成間に付与される接着剤の層(以下、「接着剤層41」とも呼ぶ。)の配置を模式的に示す図である。
図7では、図の理解を容易にするために、接着剤層41以外の構成を細線にて描く。また、
図7では、接着剤層41を実際よりも厚く描いている。なお、本実施の形態では、吸収性物品1の
図7中に示す部位において、弾性部材32の側壁起立部34に対する接着に用いられる接着剤を除き、図中に示す接着剤層41以外に接着剤は用いられておらず、接着剤層41以外の接合部も設けられていない。接着剤層41は、例えば、ホットメルト接着剤により形成される。
【0043】
図6および
図7に示すように、サイドシート3のサイドシート本体31は、長手方向に略平行に略直線状に延びる側壁折り返し線35にて2つ折りにされている。側壁折り返し線35は、立体ギャザー30が起立している状態では、サイドシート3の下端に位置する。また、側壁折り返し線35は、立体ギャザー30が起立していない非起立状態では、サイドシート3の幅方向の外端に位置する。
【0044】
サイドシート3は、側壁折り返し線35の両側の部位である側壁基部33および側壁起立部34を備える。立体ギャザー30が起立している状態では、側壁基部33は、側壁起立部34の幅方向外側に位置する。また、非起立状態の立体ギャザー30では、側壁基部33は、側壁起立部34の上側(すなわち、着用者側)に位置する。
【0045】
側壁基部33は、トップシート21の着用者に接する面212(以下、「上面212」とも呼ぶ。)において側部に固定される。詳細には、側壁基部33は、側壁折り返し線35近傍にて接着剤層41によりトップシート21の上面212に固定される。
図7に示す例では、サイドシート本体31の側壁折り返し線35近傍を除く部位と、トップシート21との間には接着剤層41は設けられず、当該部位とトップシート21とは非接合である。また、側壁基部33の上端部(すなわち、側壁折り返し線35とは反対側の端部)は、接着剤層41によりバックシート23の第1シート231に接合されている。なお、側壁基部33の上端部は、バックシート23の第2シート232に接合されてもよい。あるいは、上述のように、トップシート21の上部がバックシート23に接合されてもよい。
【0046】
側壁起立部34は、上述のように、側壁折り返し線35にて側壁基部33から折り返され、吸収性物品1の着用時に上側(すなわち、着用者側)へと起立する。立体ギャザー30が起立した状態では、側壁起立部34は、側壁折り返し線35にて側壁基部33から上側かつ幅方向内側へと折り返されている。換言すれば、起立状態の立体ギャザー30では、側壁基部33は、側壁折り返し線35にて側壁起立部34から上側かつ幅方向外側へと折り返されている。側壁基部33は、側壁起立部34の起立状態における幅方向外側の側面342(以下、「外側面342」とも呼ぶ。)と対向する。
図7に示す例では、側壁基部33と側壁起立部34との間には接着剤層41は設けられておらず、側壁基部33は、側壁起立部34の外側面342と非接合にて対向する。したがって、側壁基部33と側壁起立部34との間には空洞部が形成可能である。
【0047】
図6に示す立体ギャザー30の起立状態では、側壁基部33は側壁起立部34と共に側壁折り返し線35から上側(すなわち、着用者側)へと起立している。起立状態の側壁起立部34の上縁341は、側壁基部33の上縁331よりも上方(すなわち、着用者に近い位置)に位置する。側壁起立部34の上縁341には、弾性部材32が位置する。
図6に示す例では、長手方向に延びる2本の弾性部材32が、側壁起立部34の上縁341、および、当該上縁341よりも少し下側に設けられる。
【0048】
上述のように、吸収性物品1の股下部では、トップシート21の一部およびバックシート23の一部が、側壁起立部34と共に起立して立体ギャザー30を形成する。当該股下部では、起立状態の立体ギャザー30のうち、側壁折り返し線35よりも下側(すなわち、着用者側とは反対側)の部位は、トップシート21およびバックシート23により構成されており、サイドシート3を含んでいない。具体的には、当該股下部では、トップシート21の側部およびバックシート23(すなわち、第1シート231および第2シート232)の側部は、吸収体22の側方に位置するバックシート折り返し線235にて上側(すなわち、着用者側)へと折り返される。バックシート折り返し線235は、吸収体22の側縁と平面視において重なる。なお、バックシート折り返し線235は、吸収体22の側縁から幅方向に少しずれていてもよい。
【0049】
トップシート21の側部およびバックシート23の側部は、側壁基部33の幅方向外側において側壁折り返し線35よりも上方へと延び、側壁基部33および側壁起立部34と幅方向において対向する。バックシート23は、側壁基部33の上縁331よりも上方へと延び、バックシート23の上端部は、側壁起立部34の外側面342に接着剤層41(
図7参照)により直接的に固定される。
【0050】
バックシート23では、上述のように、一対の折り返し部27(
図2参照)を側方へと広げた状態において、第2シート232の幅が第1シート231の幅よりも大きい。すなわち、第2シート232は、第1シート231の幅方向の側縁233(すなわち、
図6中における上縁233)から延出する延出部236を備える。バックシート23では、第2シート232の幅方向の両側に、第1シート231と重ならない一対の延出部236が設けられる。延出部236は、長手方向に略平行に延びる略矩形帯状の部位である。延出部236の幅(すなわち、延出部236を厚さ方向に垂直に広げた状態での幅方向の幅)は、5mm以上かつ50mm以下であることが好ましい。立体ギャザー30では、第2シート232の延出部236の上端部が、側壁起立部34の外側面342に接着剤層41(
図7参照)により直接的に固定(すなわち、接着)されている。なお、バックシート23のうち、延出部236の上端部を除く部位は、側壁起立部34に直接的に固定されておらず、側壁起立部34から幅方向外方へと離間可能である。
【0051】
立体ギャザー30が起立している状態では、延出部236の上縁234(すなわち、第2シート232の上縁234)は、側壁基部33の上縁331よりも上側、かつ、側壁起立部34の上縁341よりも下側に位置する。また、第2シート232の上縁234は、側壁基部33の上縁331、および、トップシート21の上縁211よりも上側に位置する。第2シート232のサイドシート3と幅方向に対向する部位のうち、上部は、側壁起立部34の外側面342と直接的に対向し、下部は、第1シート231、トップシート21および側壁基部33を介して、側壁起立部34の外側面342と間接的に対向する。第2シート232のサイドシート3と幅方向に対向する部位の上端部は、上述のように、接着剤層41により側壁起立部34の外側面342に直接的に固定される。
【0052】
立体ギャザー30が起立している状態では、第1シート231の上縁233は、側壁基部33の上縁331、および、トップシート21の上縁211よりも上側に位置する。
図7に示す例では、第1シート231のサイドシート3と幅方向に対向する部位のうち、上端部は、側壁起立部34の外側面342と直接的に対向し、下部は、トップシート21および側壁基部33を介して、側壁起立部34の外側面342と間接的に対向する。また、第1シート231のサイドシート3と幅方向に対向する部位のうち、上端部と下部との間の部位は、側壁基部33を介して、側壁起立部34の外側面342と間接的に対向する。第1シート231のサイドシート3と幅方向に対向する部位の上端部は、第2シート232と側壁起立部34との間に位置し、第2シート232および側壁起立部34と直接的に固定されない。第1シート231のサイドシート3と幅方向に対向する部位の下部は、第2シート232とトップシート21との間に位置し、接着剤層41により第2シート232に直接的に固定される。なお、当該下部は、トップシート21に直接的に固定されていないが、直接的に固定されてもよい。第1シート231のサイドシート3と幅方向に対向する部位のうち、上端部と下部との間の部位は、第2シート232と側壁基部33との間に位置し、接着剤層41により側壁基部33に直接的に固定される。
【0053】
図6に例示するように、立体ギャザー30が起立している状態では、トップシート21の上縁211は、側壁基部33の上縁331よりも下側、かつ、トップシート21と側壁起立部34とを固定する接着剤層41(
図7参照)よりも上側に位置する。また、トップシート21のうちサイドシート3と幅方向に対向する部位は、側壁基部33を介して側壁起立部34の外側面342と間接的に対向する。トップシート21のうちサイドシート3と幅方向に対向する部位は、第1シート231と側壁基部33との間に位置し、上述のように、第1シート231とは直接的に固定されておらず、側壁折り返し線35近傍を除いて側壁基部33とも直接的に固定されない。また、側壁基部33のうちトップシート21の上縁211よりも上側に延出する部位は、バックシート23の第1シート231と側壁起立部34との間に位置する。
【0054】
図7に示す例では、バックシート23の第2シート232の上端部と側壁起立部34とを固定する接着剤層41と、第2シート232および第1シート231を固定する接着剤層41との間において、バックシート23の第1シート231が、接着剤層41により側壁基部33に接合されている。なお、第1シート231は、第1シート231と第2シート232とを固定する接着剤層41と上下方向の略同じ位置において、トップシート21と接着剤層41により直接的に接合されてもよい。この場合、第1シート231と側壁基部33との間の接着剤層41は設けられたままであってもよく、省略されてもよい。また、第2シート232および第1シート231を固定する接着剤層41は、側壁基部33とトップシート21とを固定する接着剤層41よりも上側に位置する。側壁基部33とトップシート21とを固定する接着剤層41は、上述のように、側壁基部33において側壁折り返し線35近傍のみに設けられ、他の部位には設けられない。また、側壁基部33は、上述のように、略全面に亘って側壁起立部34の外側面342と直接的に接合されず、幅方向に離間可能である。
【0055】
図7に示す例では、吸収体22の股下部222において、下層吸収体25の側端部が、バックシート23の第1シート231の上面(すなわち、着用者側の面)に接着剤層41により固定されている。また、下層吸収体25の側端部は、上層吸収体24の下面(すなわち、着用者側とは反対側の面)に接着剤層41により固定されている。上層吸収体24の側部は、下層吸収体25の側縁から幅方向外方へと延出しており、上層吸収体24の側端部は、バックシート23の第1シート231の上面に接着剤層41により固定されている。当該接着剤層41は、吸収体22の股下部222の側縁近傍(すなわち、股下部222における上層吸収体24の側縁近傍)に設けられる股下側部接合部である。バックシート23上において、当該股下側部接合部の幅方向外縁42(すなわち、吸収体22の股下部222とバックシート23との接合部の幅方向外縁42)と、バックシート折り返し線235との間の距離D1は、5mm以上であることが好ましい。当該距離D1は、バックシート23を厚さ方向に垂直に広げた状態における接着剤層41の幅方向外縁42とバックシート折り返し線235との間の部位の幅である。当該距離D1の上限は特に限定されないが、現実的には、例えば50mm以下である。
【0056】
吸収性物品1において、股下側部接合部である上述の接着剤層41の幅方向外縁42から、少なくとも側壁折り返し線35に至る領域は、バックシート23が他の部材(例えば、トップシート21やサイドシート3)と直接的に接合されていないバックシート非接合領域26である。
図7に示す例では、バックシート非接合領域26は、股下側部接合部である上述の接着剤層41の幅方向外縁42から、側壁折り返し線35を通過し、バックシート23と側壁基部33とを接合する接着剤層41に至る領域である。バックシート非接合領域26では、吸収性物品1の股下部において、バックシート23およびトップシート21が起立して立体ギャザー30の一部を形成している。バックシート非接合領域26の幅(すなわち、バックシート非接合領域26を厚さ方向に垂直に広げた状態での幅方向の幅)は、例えば、5mm以上かつ100mm以下である。バックシート非接合領域26では、トップシート21とバックシート23とが接合されていないため、トップシート21とバックシート23との間には空洞部が形成可能である。
【0057】
吸収性物品1では、前方部および後方部における立体ギャザー30の構造は、立体ギャザー30からバックシート非接合領域26が省略される点、および、吸収性物品1を略平面状に広げた状態においてバックシート折り返し線235が側壁折り返し線35と平面視において略重なる点を除き、上述の股下部における立体ギャザー30の構造と略同じである。
【0058】
以上に説明したように、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品1は、透液性のトップシート21と、撥液性または不透液性のバックシート23と、吸収体22と、一対のサイドシート3とを備える。吸収体22は、トップシート21とバックシート23との間に配置される。一対のサイドシート3は、吸収体22の幅方向の両側に配置されて、吸収性物品1の着用時に着用者側へと起立する。吸収体22は、着用者の腹側に位置する前方部221と、着用者の背側に位置する後方部223と、前方部221と後方部223との間に配置されて着用者の股間部に位置する股下部222と、を備える。股下部222は、前方部221および後方部223よりも幅方向の幅が小さい。各サイドシート3は、側壁基部33と、側壁起立部34とを備える。側壁基部33は、トップシート21の着用者に接する面において、側部に固定される。側壁起立部34は、長手方向に延びる側壁折り返し線35にて側壁基部33から折り返されるとともに、吸収性物品1の着用時に着用者側へと起立する。
【0059】
バックシート23の幅方向両側の側部はそれぞれ、吸収体22の側方に位置するバックシート折り返し線235にて着用者側へと折り返され、側壁起立部34の起立状態における幅方向外側の側面である外側面342に固定される。側壁基部33は、側壁折り返し線35にて着用者側へと折り返されており、側壁起立部34の外側面342とバックシート23との間において、側壁起立部34の外側面342と対向する。吸収体22の股下部222の側縁近傍に設けられる股下側部接合部(上記例では、接着剤層41)のバックシート23上における幅方向外縁42から、少なくとも側壁折り返し線35に至る領域は、バックシート23が他の部材と接合されないバックシート非接合領域26である。
【0060】
上述のように、股下部222の幅が前方部221および後方部223の幅よりも小さくされることにより、着用者の股間部において立体ギャザー30の高さを高くすることができ、吸収性物品1の横漏れ防止性能を向上することができる。また、立体ギャザー30において、側壁起立部34およびバックシート23が積層された積層構造が設けられる。したがって、立体ギャザー30の耐水圧を増大させることができる。その結果、立体ギャザー30に着用者の体圧が加わった場合であっても、尿等が立体ギャザー30を透過して外部に漏出することが抑制されるため、吸収性物品1の横漏れ防止性能を、より向上することができる。
【0061】
さらに、側壁起立部34が側壁折り返し線35にて側壁基部33から折り返されることにより、側壁折り返し線35近傍(すなわち、起立状態の側壁起立部34の下端部)におけるサイドシート3の強度が向上するため、立体ギャザー30が、より起立しやすくなる。また、サイドシート3の復元力により、折り返された側壁基部33が幅方向外方へと広がろうとするため、側壁折り返し線35近傍におけるサイドシート3の強度がさらに向上し、立体ギャザー30が、より一層起立しやすくなる。
【0062】
その上、バックシート非接合領域26においてバックシート23が他の部材と非接合とされることにより、バックシート非接合領域26においてバックシート23がトップシート21等と接合される場合に比べて、吸収体22の股下部222の側方における立体ギャザー30の柔軟性を向上することができる。その結果、立体ギャザー30が突っ張って(すなわち、ごわついて)起立が阻害されることを防止することができ、立体ギャザー30がさらに起立しやすくなる。したがって、吸収性物品1の横漏れ防止性能をさらに向上することができる。また、吸収性物品1が変形しやすくなり、吸収性物品1の股下部にクッションのような柔らかさを付与することができるため、吸収性物品1の着用感を向上することができる。
【0063】
上述のように、側壁基部33は、側壁起立部34の外側面342と非接合にて対向することが好ましい。これにより、側壁基部33と側壁起立部34とが接着剤等により接合される場合に比べて、立体ギャザー30の柔軟性を向上することができる。その結果、立体ギャザー30が突っ張って起立が阻害されることを防止することができ、立体ギャザー30がさらに起立しやすくなる。また、吸収性物品1が変形しやすくなり、吸収性物品1の股下部にクッションのような柔らかさを付与することができるため、吸収性物品1の着用感を向上することができる。
【0064】
上述の股下側部接合部(上記例では、接着剤層41)の幅方向外縁42が、吸収体22の股下部222とバックシート23との接合部の幅方向外縁である場合、バックシート23上において、当該股下側部接合部の幅方向外縁42と、バックシート折り返し線235との間の幅方向の距離D1は、5mm以上であることが好ましい。このように、バックシート折り返し線235近傍の部位(すなわち、バックシート折り返し線235から5mm以内の領域)も上述のバックシート非接合領域に含めることにより、バックシート折り返し線235の柔軟性を向上することができる。その結果、吸収性物品1の股下部において立体ギャザー30が起立する際に、バックシート折り返し線235近傍の部位が突っ張って立体ギャザー30の起立を阻害することを防止することができる。したがって、立体ギャザー30が、さらに起立しやすくなる。
【0065】
上述のように、バックシート23は、第1シート231と、不織布製の第2シート232とを備えることが好ましい。第2シート232は、第1シート231を吸収体22とは反対側から覆う。好ましくは、第2シート232は、第1シート231の幅方向両側の側縁233から延出する一対の延出部236を備え、第2シート232の一対の延出部236はそれぞれ、側壁起立部34の外側面342に直接的に固定される。このように、バックシート23を積層構造とすることにより、バックシート23の耐水圧を増大させることができる。また、バックシート23を、第1シート231が存在しない延出部236において側壁起立部34と接合することにより、バックシート23と側壁起立部34との接合部が過剰に厚くなることを防止することができる。その結果、立体ギャザー30が起立する際に、当該接合部が突っ張って立体ギャザー30の起立が阻害されることを防止することができ、立体ギャザー30が起立しやすくなる。
【0066】
上述のように、第1シート231の幅方向両側の側部はそれぞれ、第2シート232と共にバックシート折り返し線235にて着用者側へと折り返されており、側壁起立部34の外側面342と対向することが好ましい。このように、立体ギャザー30において、側壁起立部34、第1シート231および第2シート232が積層された積層構造が設けられることにより、立体ギャザー30の耐水圧をさらに増大させることができる。また、側壁起立部34、第1シート231および第2シート232が積層された領域における立体ギャザー30の強度が向上するため、立体ギャザー30がさらに起立しやすくなる。
【0067】
上述のように、バックシート23の第1シート231は、側壁起立部34の外側面342と非接合にて対向することが好ましい。これにより、第1シート231と側壁起立部34とが接着剤等により接合される場合に比べて、立体ギャザー30の柔軟性を向上することができる。その結果、吸収性物品1が変形しやすくなり、吸収性物品1の股下部にクッションのような柔らかさを付与することができるため、吸収性物品1の着用感を向上することができる。
【0068】
上述のように、一対の延出部236のそれぞれの幅方向の幅は、5mm以上かつ50mm以下であることが好ましい。延出部236の幅を5mm以上とすることにより、延出部236を側壁起立部34の外側面342に固定する際に、延出部236と側壁起立部34との接合領域(すなわち、接着剤が塗布される領域)の面積を十分に確保することができる。その結果、延出部236の上縁234(すなわち、第2シート232の上縁234)から当該接着剤が上方へとはみ出すことを防止しつつ、バックシート23を側壁起立部34に強固に固定することができる。また、バックシート23の第1シート231と、第2シート232およびトップシート21とを接合する接着剤が、第2シート232の上縁233から上方にはみ出すことも防止することができる。一方、延出部236の幅を50mm以下とすることにより、立体ギャザー30が起立した状態において、第1シート231の上縁233が、第2シート232の上縁234から過剰に下方に離れることを抑制することができる。その結果、側壁起立部34、第1シート231および第2シート232が積層される領域の面積を大きくすることができ、立体ギャザー30の耐水圧を好適に増大させることができる。
【0069】
上述のように、トップシート21の幅方向両側の側部はそれぞれ、バックシート23と共にバックシート折り返し線235にて着用者側へと折り返されており、側壁起立部34の外側面342と対向することが好ましい。これにより、立体ギャザー30において、バックシート23、トップシート21および側壁起立部34が積層された積層構造が設けられる。その結果、立体ギャザー30の耐水圧をさらに増大させることができる。また、バックシート23、トップシート21および側壁起立部34が積層された領域におけるサイドシート3の強度が向上するため、側壁起立部34が、より起立しやすくなる。
【0070】
上述のように、起立状態の側壁起立部34の外側面342において、第2シート232の上縁234は、側壁起立部34の上縁341よりも下側に位置することが好ましい。これにより、第2シート232と側壁起立部34との接合部が着用者の肌に直接的に接触することを抑制することができる。その結果、周囲の部位よりも固い当該接合部の接触により、着用者に不快感が生じることを抑制し、吸収性物品1の着用感を向上することができる。
【0071】
上述のように、吸収性物品1では、起立状態の側壁起立部34の上縁341に、長手方向に延びる弾性部材32が設けられることが好ましい。これにより、立体ギャザー30の起立を容易とすることができる。また、第2シート232の上縁234が側壁起立部34の上縁341よりも下側に位置する場合、第2シート232と側壁起立部34との接合部と弾性部材32とが重なった状態で着用者の肌に直接的に接触することを抑制することができる。その結果、着用者に不快感が生じることを抑制し、吸収性物品1の着用感を向上することができる。
【0072】
上述のように、吸収性物品1では、横漏れ防止性能を向上することができる。このため、吸収性物品1の構造は、横漏れが生じた場合に外装物品である使い捨ておむつ等の交換が必要になる補助吸収具に特に適している。また、吸収性物品1では、着用感を向上することができるため、吸収性物品1の構造は、着用者の肌に直接的に接触する補助吸収具に特に適している。
【0073】
次に、
図8および
図9を参照しつつ、吸収性物品の他の好ましい例について説明する。
図8は、吸収性物品1aの一方の立体ギャザー30近傍を拡大して示す図であり、上述の
図6に対応する。
図9は、
図8に示す吸収性物品1aの各構成間に付与される接着剤層41の配置を模式的に示す図であり、上述の
図7に対応する。
図8および
図9に示す吸収性物品1aの構成は、吸収体22aの構造、上層台紙28aの形状、および、一部の接着剤層41の配置を除き、
図1~
図7に示す吸収性物品1と略同様である。
【0074】
図8および
図9に示すように、吸収体22aの股下部222aにおける下層吸収体25aの幅は、上層吸収体24aの幅と略同じである。吸収性物品1aの股下部では、上層台紙28aの幅は吸収体22aの幅よりも大きく、上層台紙28aの側部は、吸収体22aの側縁よりも幅方向外方へと延出している。また、上層台紙28aの側部は、吸収体22aの側方に位置するバックシート折り返し線235にて、バックシート23およびトップシート21と共に上側(すなわち、着用者側)へと折り返される。上層台紙28aの上端部は、例えば、側壁折り返し線35と上下方向の略同じ位置に位置する。
【0075】
上層台紙28aは、吸収体22aの側縁近傍において(すなわち、吸収体22aの側端部とトップシート21との間において)、接着剤層41によりトップシート21に接合される。また、上層台紙28aの側部(すなわち、バックシート折り返し線235から上方に延びる部位)も、接着剤層41によりトップシート21に接合される。
【0076】
上層台紙28aは、吸収体22aの股下部222aの側縁近傍(すなわち、当該側縁よりも幅方向外側、かつ、当該側縁に近接した位置)において、バックシート23の第1シート231の上面に接着剤層41により固定されている。当該接着剤層41は、吸収体22aの股下部222aの側縁近傍に設けられる股下側部接合部である。換言すれば、バックシート23は、吸収体22aの股下部222aの側縁近傍において、股下側部接合部により上層台紙28aを介してトップシート21に間接的に接合されている。股下側部接合部である接着剤層41は、例えば、幅方向において吸収体22aの股下部222aの側縁とバックシート折り返し線235との間に位置する。あるいは、当該接着剤層41は、例えば、バックシート折り返し線235上に位置する。
【0077】
図9に示すように、股下側部接合部である上述の接着剤層41の幅方向外縁42から、少なくとも側壁折り返し線35に至る領域は、バックシート23が他の部材(例えば、トップシート21やサイドシート3)と直接的に接合されていないバックシート非接合領域26である。
図9に示す例では、バックシート非接合領域26は、股下側部接合部である上述の接着剤層41の幅方向外縁42から、側壁折り返し線35を通過し、バックシート23と側壁基部33とを接合する接着剤層41に至る。バックシート非接合領域26では、吸収性物品1aの股下部において、バックシート23およびトップシート21が起立して立体ギャザー30の一部を形成している。バックシート非接合領域26の幅(すなわち、バックシート非接合領域26を厚さ方向に垂直に広げた状態での幅方向の幅)は、例えば、5mm以上かつ100mm以下である。バックシート非接合領域26では、トップシート21とバックシート23とが接合されていないため、トップシート21とバックシート23との間には空洞部が形成可能である。
【0078】
これにより、上述の吸収性物品1と略同様に、吸収体22aの股下部222aの側方における立体ギャザー30の柔軟性を向上することができる。その結果、立体ギャザー30が突っ張って起立が阻害されることを防止することができ、立体ギャザー30がさらに起立しやすくなる。また、吸収性物品1aが変形しやすくなり、吸収性物品1aの股下部にクッションのような柔らかさを付与することができるため、吸収性物品1aの着用感を向上することができる。
【0079】
上述の吸収性物品1,1aでは、様々な変更が可能である。
【0080】
例えば、バックシート23では、第2シート232の延出部236の幅は5mm未満であってもよく、50mmよりも大きくてもよい。
【0081】
吸収性物品1では、股下側部接合部(すなわち、吸収体22の股下部222とバックシート23との接合部である接着剤層41)の幅方向外縁42と、バックシート折り返し線235との間の幅方向の距離D1は、5mm未満であってもよく、実質的に0mmであってもよい。
【0082】
起立状態の立体ギャザー30において、バックシート23の第2シート232の上縁234は、必ずしも側壁起立部34の上縁341よりも下側に位置する必要はなく、例えば、側壁起立部34の上縁341と上下方向の略同じ位置に位置してもよい。
【0083】
起立状態の立体ギャザー30において、バックシート23の第1シート231の上縁233、トップシート21の上縁211、および、側壁基部33の上縁331は、第2シート232の上縁234よりも下側に位置するのであれば、上下方向における互いの位置関係は様々に変更されてよい。例えば、トップシート21の上縁211は、側壁基部33の上縁331よりも上側に位置してもよく、上下方向の略同じ位置に位置してもよい。また、例えば、第1シート231の上縁233は、側壁基部33の上縁331およびトップシート21の上縁211よりも下側に位置してもよく、上下方向の略同じ位置に位置してもよい。
【0084】
起立状態の立体ギャザー30において、トップシート21の上縁211は、側壁基部33とトップシート21とを接合する接着剤層41と、上下方向の略同じ位置に位置していてもよい。換言すれば、トップシート21は、当該接着剤層41よりも上側に延在していなくてもよい。
【0085】
上述のように、吸収性物品1の立体ギャザー30では、側壁基部33、トップシート21およびバックシート23の接合態様は様々に変更されてよい。例えば、
図10に示すように、トップシート21の上部は、バックシート23の第1シート231と第2シート232とが接着剤層41により接合されている領域と上下方向の略同じ位置にて、接着剤層41によりバックシート23の第1シート231に接合されてもよい。この場合、バックシート非接合領域26は、股下側部接合部(すなわち、吸収体22の股下部222において上層吸収体24とバックシート23とを接合する接着剤層41)の幅方向外縁42から、側壁折り返し線35を通過し、トップシート21と第1シート231とを接合する接着剤層41に至る領域である。なお、
図10に示す例では、側壁基部33の上端部はバックシート23と直接的に接合されていないが、接着剤層41により直接的に接合されてもよい。
図9に示す吸収性物品1aにおいても同様である。
【0086】
バックシート23では、第1シート231は、必ずしもバックシート折り返し線235にて折り返される必要はなく、第1シート231の側縁がバックシート折り返し線235近傍に位置していてもよい。また、バックシート23は、必ずしも第1シート231および第2シート232が積層された積層構造を有する必要はなく、1層のシート部材により構成されていてもよい。
【0087】
サイドシート3では、側壁基部33は、側壁起立部34の外側面342と接合されてもよい。また、サイドシート3では、弾性部材32は省略されてもよい。
【0088】
吸収性物品1のトップシート21、吸収体22、バックシート23およびサイドシート3の各構成の接合(すなわち、固定)は、接着剤層41による接着には限定されず、他の方法による接合(例えば、熱圧着、または、超音波圧着)であってもよい。
【0089】
吸収性物品1の上記構造は、軽失禁用の吸収パッド以外の補助吸収具に適用されてもよく、補助吸収具以外の様々な吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ)に適用されてよい。
【0090】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0091】
1,1a 吸収性物品
3 サイドシート
21 トップシート
22,22a 吸収体
23 バックシート
26 バックシート非接合領域
32 弾性部材
33 側壁基部
34 側壁起立部
35 側壁折り返し線
41 接着剤層
42 幅方向外縁
212 (トップシートの)上面
221 前方部
222 股下部
223 後方部
231 第1シート
232 第2シート
233 (第1シートの)側縁
234 (第2シートの)上縁
235 バックシート折り返し線
236 延出部
341 (側壁起立部の)上縁
342 (側壁起立部の)外側面
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
透液性のトップシートと、
撥液性または不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートと、
を備え、
前記吸収体は、
着用者の腹側に位置する前方部と、
着用者の背側に位置する後方部と、
前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部と、
を備え、
各サイドシートは、
前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、
長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部と、
を備え、
前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、
前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と対向し、
前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域であり、
前記側壁起立部が起立した状態では、前記側壁基部も前記側壁起立部と共に起立し、前記股下部の側方において、前記側壁基部の全体が、前記吸収体の着用者側の面よりも着用者側にて前記側壁起立部の前記外側面と対向することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記側壁基部は、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向することを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記側壁起立部が起立した状態では、前記股下部の側方において前記トップシートおよび前記バックシートも前記側壁起立部と共に起立し、前記側壁折り返し線は前記吸収体の着用者側の面から着用者側に離間することを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
透液性のトップシートと、
撥液性または不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートと、
を備え、
前記吸収体は、
着用者の腹側に位置する前方部と、
着用者の背側に位置する後方部と、
前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部と、
を備え、
各サイドシートは、
前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、
長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部と、
を備え、
前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、
前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向し、
前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域であり、
前記側壁起立部が起立した状態では、前記側壁基部も前記側壁起立部と共に起立し、前記側壁基部のうち前記側壁起立部の前記外側面と対向する部位は、前記吸収体の着用者側の面よりも着用者側に位置することを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
透液性のトップシートと、
撥液性または不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートと、
を備え、
前記吸収体は、
着用者の腹側に位置する前方部と、
着用者の背側に位置する後方部と、
前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部と、
を備え、
各サイドシートは、
前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、
長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部と、
を備え、
前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、
前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向し、
前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域であり、
前記トップシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置する折り返し線にて着用者側へと折り返されており、
前記側壁起立部が起立した状態では、前記側壁基部も前記側壁起立部と共に起立し、前記側壁基部のうち前記側壁起立部の前記外側面と対向する部位は、前記折り返し線よりも着用者側に位置することを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記股下側部接合部の前記幅方向外縁が、前記吸収体の前記股下部と前記バックシートとの接合部の幅方向外縁である場合、前記バックシート上において、前記股下側部接合部の前記幅方向外縁と前記バックシート折り返し線との間の幅方向の距離は、5mm以上であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記バックシートは、
第1シートと、
前記第1シートを前記吸収体とは反対側から覆う不織布製の第2シートと、
を備え、
前記第2シートは、前記第1シートの幅方向両側の側縁から延出する一対の延出部を備え、
前記第2シートの前記一対の延出部はそれぞれ、前記一対のサイドシートの前記側壁起立部の前記外側面に直接的に固定されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項7に記載の吸収性物品であって、
前記第1シートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記第2シートと共に前記バックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と対向することを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項7または8に記載の吸収性物品であって、
前記一対の延出部のそれぞれの幅方向の幅は、5mm以上かつ50mm以下であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
起立状態の前記側壁起立部の前記外側面において、前記バックシートの上縁は、前記側壁起立部の上縁よりも下側に位置することを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
起立状態の前記側壁起立部の上縁に、長手方向に延びる弾性部材が設けられることを特徴とする吸収性物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、透液性のトップシートと、撥液性または不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートとを備え、前記吸収体は、着用者の腹側に位置する前方部と、着用者の背側に位置する後方部と、前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部とを備え、各サイドシートは、前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部とを備え、前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と対向し、前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域であり、前記側壁起立部が起立した状態では、前記側壁基部も前記側壁起立部と共に起立し、前記股下部の側方において、前記側壁基部の全体が、前記吸収体の着用者側の面よりも着用者側にて前記側壁起立部の前記外側面と対向する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記側壁基部は、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記側壁起立部が起立した状態では、前記股下部の側方において前記トップシートおよび前記バックシートも前記側壁起立部と共に起立し、前記側壁折り返し線は前記吸収体の着用者側の面から着用者側に離間する。
請求項4に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、透液性のトップシートと、撥液性または不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートとを備え、前記吸収体は、着用者の腹側に位置する前方部と、着用者の背側に位置する後方部と、前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部とを備え、各サイドシートは、前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部とを備え、前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向し、前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域であり、前記側壁起立部が起立した状態では、前記側壁基部も前記側壁起立部と共に起立し、前記側壁基部のうち前記側壁起立部の前記外側面と対向する部位は、前記吸収体の着用者側の面よりも着用者側に位置する。
請求項5に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、透液性のトップシートと、撥液性または不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記吸収体の幅方向の両側に配置されて着用時に着用者側へと起立する一対のサイドシートとを備え、前記吸収体は、着用者の腹側に位置する前方部と、着用者の背側に位置する後方部と、前記前方部と前記後方部との間に配置されて着用者の股間部に位置するとともに前記前方部および前記後方部よりも幅方向の幅が小さい股下部とを備え、各サイドシートは、前記トップシートの着用者に接する面において側部に固定される側壁基部と、長手方向に延びる側壁折り返し線にて前記側壁基部から折り返されるとともに着用時に着用者側へと起立する側壁起立部とを備え、前記バックシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置するバックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の起立状態における幅方向外側の側面である外側面に固定され、前記側壁基部は、前記側壁折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と前記バックシートとの間において、前記側壁起立部の前記外側面と非接合にて対向し、前記吸収体の前記股下部の側縁近傍に設けられる股下側部接合部の前記バックシート上における幅方向外縁から、少なくとも前記側壁折り返し線に至る領域は、前記バックシートが他の部材と接合されないバックシート非接合領域であり、前記トップシートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記吸収体の側方に位置する折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部が起立した状態では、前記側壁基部も前記側壁起立部と共に起立し、前記側壁基部のうち前記側壁起立部の前記外側面と対向する部位は、前記折り返し線よりも着用者側に位置する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記股下側部接合部の前記幅方向外縁が、前記吸収体の前記股下部と前記バックシートとの接合部の幅方向外縁である場合、前記バックシート上において、前記股下側部接合部の前記幅方向外縁と前記バックシート折り返し線との間の幅方向の距離は、5mm以上である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記バックシートは、第1シートと、前記第1シートを前記吸収体とは反対側から覆う不織布製の第2シートとを備え、前記第2シートは、前記第1シートの幅方向両側の側縁から延出する一対の延出部を備え、前記第2シートの前記一対の延出部はそれぞれ、前記一対のサイドシートの前記側壁起立部の前記外側面に直接的に固定される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の吸収性物品であって、前記第1シートの幅方向両側の側部はそれぞれ、前記第2シートと共に前記バックシート折り返し線にて着用者側へと折り返されており、前記側壁起立部の前記外側面と対向する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の吸収性物品であって、前記一対の延出部のそれぞれの幅方向の幅は、5mm以上かつ50mm以下である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、起立状態の前記側壁起立部の前記外側面において、前記バックシートの上縁は、前記側壁起立部の上縁よりも下側に位置する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、起立状態の前記側壁起立部の上縁に、長手方向に延びる弾性部材が設けられる。