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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149888
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20220929BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220929BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H04N5/222 300
H04N1/00 567Q
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052224
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】500046759
【氏名又は名称】株式会社ネオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴朗
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
5C122
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA12
5C062AB17
5C062AB29
5C062AD01
5C062AD03
5C062AD06
5C072AA01
5C072BA02
5C072CA02
5C072DA04
5C072LA02
5C072LA12
5C122EA55
5C122FB11
5C122FK12
5C122GD11
5C122GE04
5C122GE07
5C122GE11
5C122GG08
(57)【要約】
【課題】低コスト化を実現可能な技術を提供する。
【解決手段】所定の載置面に載置された撮像対象物に対して光を照射する照明部と、前記撮像対象物を撮像して撮像画像を取得する撮像部を有する携帯端末を着脱自在に保持する保持部と、前記保持部を前記撮像対象物より上方に位置するように支持する支持部とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の載置面に載置された撮像対象物に対して光を照射する照明部と、
前記撮像対象物を撮像して撮像画像を取得する撮像部を有する携帯端末を着脱自在に保持する保持部と、
前記保持部を前記撮像対象物より上方に位置するように支持する支持部と
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記照明部は、前記支持部に揺動自在に支持され、前記携帯端末に制御されることにより光を照射する
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記携帯端末の背面に当接する当接面を有し、該当接面の上下方向中央より下方に前記撮像部が位置するように前記携帯端末を保持し、
前記支持部は、前記携帯端末を保持した状態における前記保持部の重心位置近傍において該保持部と連結される
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記載置面から所定角度傾斜して前記保持部に保持され、
前記撮像対象物の鏡像を前記撮像部へ折り返す第1ミラー
を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1ミラーは、前記保持部に揺動自在に支持される
ことを特徴とする請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記携帯端末は背面に前記撮像部と、正面に前記撮像対象物を表示する表示部とを有し、
前記保持部は、前記表示部が前記載置面に対して傾斜するように前記携帯端末を保持し、
前記第1ミラーは、前記撮像部に対向して配置される
ことを特徴とする請求項4または請求項5記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記携帯端末に制御されることにより、略直線状の光線を前記載置面に照射する光線照射部と、
前記光線照射部が照射する光線を前記撮像部の撮像範囲略中央に反射する第2ミラーと
を更に備えることを特徴とする請求項4~請求項6のいずれか一項記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第2ミラーにより前記撮像対象物の鏡像が前記第1ミラーに折り返され、該鏡像が前記第1ミラーにより前記撮像部に折り返される
ことを特徴とする請求項7記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1ミラーは、光を反射可能な反射材を有する光反射部と、該反射材が除去されることにより光が透過可能となった光透過部とを有し、
前記光線照射部が照射する光線は、前記第1ミラーの前記光透過部を通過して前記載置面に照射される
ことを特徴とする請求項7または請求項8記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記支持部は、前記載置面に対する前記携帯端末の姿勢を維持した状態において前記保持部を揺動可能に支持する
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記保持部は、前記載置面に対する前記携帯端末の姿勢を維持するための錘部を有し、
前記携帯端末を保持した状態における前記保持部が、その重心近傍に設けられた支軸を介して前記支持部に対して揺動自在に軸支される
ことを特徴とする請求項10記載の画像読取装置。
【請求項12】
所定の載置面に載置された撮像対象物に対して光を照射する照明部と、
前記撮像対象物を撮像して撮像画像を取得する撮像部を有する携帯端末と、
前記携帯端末を前記載置面から所定角度傾斜して着脱自在に保持する保持部と、
前記保持部を前記撮像対象物より上方に位置するように支持する支持部と、
前記撮像対象物の鏡像を前記撮像部へ折り返す第1ミラーと
を備え、
前記携帯端末は、前記撮像部により取得される撮像対象物の撮像画像を上下反転して記憶する
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、机などの平面上に置かれた名刺や冊子等の読取原稿の画像を読み取る画像読取装置として、オーバーヘッドリーダが知られている。オーバーヘッドリーダは、主として読取原稿が載置される載置台と、載置台に取り付けられたアーム部と、アーム部の先端部分に設けられた撮像装置とから構成され、載置台上方において撮像装置により読取原稿を撮像し画像の読み取りを行うことで読取原稿のデジタルデータを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-355632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像読取装置は高価であるため、低コスト化が望まれていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、低コスト化を実現可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る画像読取装置は、所定の載置面に載置された撮像対象物に対して光を照射する照明部と、前記撮像対象物を撮像して撮像画像を取得する撮像部を有する携帯端末を着脱自在に保持する保持部と、前記保持部を前記撮像対象物より上方に位置するように支持する支持部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。
図2】第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの折り畳みを説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの非使用状態を示す側面図である。
図4】第1の実施形態に係る携帯端末近傍を示す正面図である。
図5】第1の実施形態に係る折り返しミラーを説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る画像読取処理を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの正面図である。
図8】第2の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。
図9】第2の実施形態に係るフィーダ及び用紙トレイを模式的に示す平面図である。
図10】第2の実施形態に係るピックアップローラ近傍の部分拡大図である。
図11】第2の実施形態に係るピックアップローラの平面図である。
図12】第2の実施形態に係るピックアップローラと補助ギアとの関係を説明するための図である。
図13】第2の実施形態に係るピックアップローラと補助ギアの動作を説明するための図である。
図14】第2の実施形態に係るピックアップローラと補助ギアの動作を説明するための図である。
図15】第2の実施形態に係るピックアップローラと補助ギアの動作を説明するための図である。
図16】第2の実施形態に係るピックアップローラ、分離ローラ、及び搬送ローラの位置関係を模式的に示す図である。
図17】第2の実施形態に係る名刺の搬送方法を説明するための図である。
図18】第2の実施形態に係る画像読取処理を示すフローチャートである。
図19】第2の実施形態の変形例に係る光反射板を配置したオーバーヘッドリーダを示す正面図である。
図20】第2の実施形態の変形例に係る光反射板の側面図である。
図21】第3の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。
図22】第3の実施形態に係るホルダ近傍を模式的に示す背面図である。
図23】第3の実施形態の変形例に係るホルダ近傍の側面図である。
図24】第3の実施形態に係るホルダ近傍を模式的に示す背面図である。
図25】第4の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。
図26】第4の実施形態に係るギア機構を説明するための側面図である。
図27】第5の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。
図28】第5の実施形態に係るホルダ近傍を示す背面図である。
図29】第5の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの使用例を説明するための側面図である。
図30】第5の実施形態に係るオーバーヘッドリーダの使用例を説明するための側面図である。
図31】第5の実施形態の変形例に係るホルダ近傍の側面図である。
図32】第5の実施形態に係るホルダ近傍を模式的に示す背面図である。
図33】第6の実施形態に係るホルダ近傍を示す正面図である。
図34】第6の実施形態に係るホルダ近傍を示す側面図である。
図35】第6の実施形態に係るレーザポインタを傾斜させた状態にあるホルダ近傍を示す正面図である。
図36】第6の実施形態に係るレーザ光の載置面への入射状態を説明するための図である。
図37】第7の実施形態に係るホルダ近傍を示す正面図である。
図38】第7の実施形態に係るホルダ近傍を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る画像読取装置としてオーバーヘッドリーダを一例に挙げ、添付図面を参照しながら詳述する。なお、各図において、同一構成は同一の符号を付している。
【0009】
(装置構成)
図1は、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。図2は、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダの折り畳みを説明するための図である。図3は、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダの非使用状態を示す側面図である。図4は、本実施形態に係る携帯端末近傍を示す正面図である。図5は、本実施形態に係る折り返しミラーを説明するための図である。なお、図1に示される状態がオーバーヘッドリーダの使用状態となる。図1に示されるように、オーバーヘッドリーダ1は、台座11と、アーム12と、照明部13と、携帯端末14と、ホルダ15と、シャッターボタン16とを備える。
【0010】
(台座11)
台座11は、下部が略方形平板状に形成されており、机等の平面である載置面に載置されて、アーム12を介して照明部13、携帯端末14、ホルダ15を支持する。台座11の上部にはアーム12の一端部と連結し、アーム12を揺動自在に軸支する揺動支持部111と、携帯端末14のケーブル143と接続可能なコネクタ部112が設けられている。台座11は、不図示の制御部(例えば制御基板)を有しており、コネクタ部112に入力される携帯端末14からの信号に応じて、照明部13の照度や光色、ON/OFFが制御可能となっている。また、台座11に照明部13の照度や光色、ON/OFFを使用者が手動で操作可能な操作パネルと電源スイッチとが設けられると共に、不図示の電源アダプタが接続されており、コンセントから電源アダプタを介して電力供給がなされることで照明部13及び制御部に電力を供給することができる。なお、台座11は、後述する撮像範囲内に位置する部分に装置種別、本実施形態においてはオーバーヘッドリーダを識別可能な2次元バーコード等のマーカが付されているとよい。携帯端末14は、当該マーカを識別することにより、後述するアプリが立ち上がり、オーバーヘッドリーダとして機能することを認識することが可能となる。
【0011】
(アーム12)
アーム12は、断面矩形に形成された長尺の中空棒状に形成されており、一端部が揺動支持部111に軸支されることで図2の符号R1に示されるように上下方向に対して揺動自在となっており、他端部において照明部13とホルダ15とを支持する。アーム12内部には、照明部13へ電力を供給するための導線等が配設されている。なお、アーム12の長手方向長さは、携帯端末14の後述するディスプレイ142が使用者の目線の高さとなるよう設定することが好ましい。
【0012】
(照明部13)
照明部13は、長尺の中空棒状に形成されており、図4に示されるように一端部がアーム12の他端部に挿通された支軸121により回動自在に軸支されている。照明部13は、蛍光灯やLED等の光源を有し、後に詳述する携帯端末14の撮像時に光を照射する。照明部13は、多色の光を照射可能に複数種のLEDを有することが好ましい。光の照射は撮像時に限らず、携帯端末14や操作パネルにより使用者が任意にON/OFF操作することができることが好ましい。本実施形態における使用状態では、アーム12が水平面から60°揺動し、照明部13がアーム12から120°揺動した状態において、照明部13は載置面と平行な状態となる。この使用状態において照明部13は載置面に対して真上から光を照射することができる。
【0013】
図2の符号R2に示されるように、照明部13先端がアーム12に接近するように照明部13を倒し、さらにアーム12を載置面側に倒し、アーム12と揺動支持部111の軸支点とが水平となるように傾けることにより、アーム12及び照明部13を台座11とほぼ水平にでき、オーバーヘッドリーダ1を図3に示されるような非使用状態とすることができる。このようにオーバーヘッドリーダ1は、コンパクトに折り畳めることができると共に、使用状態及び非使用状態へ容易に移行させることができる。
【0014】
(携帯端末14)
携帯端末14は、例えばスマートフォン,タブレット型コンピュータなどであり、略矩形の平板状に形成されて載置面の画像読み取り位置(撮像位置)に載置された撮像対象物M上面に示される情報をカメラ141により読み取る。本実施形態では、図1及び図4に示されるように、携帯端末14の背面側に設けられたカメラ141により撮像対象物Mを撮像し、画像データを得る。また、携帯端末14は、正面側に設けられたタッチパネル式のディスプレイ142により撮像前の撮像対象物Mの状態が視認可能となっている。撮像対象物Mとしては、例えば名刺やカード、書類、新聞、書籍、雑誌、レシート、領収書、立体物等を挙げることができる。また、撮像対象物Mとしては、そのサイズが後述する撮影範囲内であればA3サイズ以上のものも対象とすることができる。
【0015】
携帯端末14は、例えば充電可能なUSBポート又はメーカー独自ポート(例えばライトニング(登録商標))及び音響出力ポートを有している。USBポートと音響出力ポートが共通のコネクタになっている場合は、台座11の制御部と通信可能に接続されているケーブル143をコネクタ部112に接続する。ケーブル143の途中には分配器(不図示)を介在させて音響用信号を抽出する。USBポートと音響出力ポートが各々独立したコネクタになっている場合は、別々のケーブル等(不図示)で台座11に接続する。本実施形態では、携帯端末14と台座11との間で伝送する制御信号として、音響用信号を用いる。
【0016】
具体的には、携帯端末14は、台座11の制御部に対して、照明部13を点灯する制御信号を出力する。一例として、例えばヘッドフォンのLチャンネルに、ある高さの音を最大音量で出力する。台座11の制御部は、信号を受信すると照明部13を点灯する。照明部13を消灯する場合も同様に制御信号を出力する。
【0017】
携帯端末14は、撮像機能を、ソフトウエアにより構築されたアプリとして備えている。すなわち、撮像機能は、携帯端末14の制御部を構成するCPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)に格納されたプログラムとの協働作用によって構成される「信号取得部」と「画像取得部」と「画像処理部」とによって実現される。これら機能により実行される画像読取処理については後述する。なお、携帯端末14は不揮発性の記憶装置を有しており、当該記憶装置に設定情報を書き換え可能に記憶することが好ましい。設定情報は、撮像時の照明部13の照度及び光色(照明色)の度合いを定義したものであり、撮像対象物Mの種類に応じて設定される。例えば、携帯端末14は撮像に先立ってGUI(Graphical User Interface)として「名刺」、「本」、「雑誌」等を選択可能に表示し、使用者が「名刺」を選択した場合は「名刺」に紐付けられた設定情報を読み出し、当該設定情報に示される照度、光色となるよう台座11に制御信号を出力する。
【0018】
また、台座11にマーカが付されている場合、携帯端末14がカメラ141の起動に応じてマーカを読み取ると、自動に上記アプリが読み出されるようにすると良い。
【0019】
(ホルダ15)
ホルダ15は、図1及び図4に示されるように、その上面が携帯端末14の背面に当接する当接面となる平板状に形成された端末保持部151を有する。端末保持部151は、その背面に長尺の一対の連結プレート152が連結されて支持されている。連結プレート152は、図4に示されるように、アーム12を図中左右側から挟むように位置付けられており、下端部に複数のネジ孔が設けられている。本実施形態においてネジ孔は、各連結プレート152に上下方向に2つ連設されており、これにネジ部材152aが螺合し、アーム12両側面を締め付けることでアーム12と一対の連結プレート152とが固定される。なお、アーム12にネジ部材152aが螺合可能なネジ孔が形成されていてもよい。したがって一対の連結プレート152により、端末保持部151がアーム12に対して移動不能に支持されることとなる。なお、一対の連結プレート152は、それぞれの下端部正面が前方プレート152bにより互いに連結されており、一体的に形成されている。
【0020】
端末保持部151は、上下及び左右の2軸方向に移動可能なスライドガイド153が4つ一組となって設けられており、これにより携帯端末14がそのディスプレイ142が正面に向くようにされて着脱自在に保持される。また、スライドガイド153aは、下方向に付勢されており、携帯端末14を下向きに押えて固定する。端末保持部151の上下方向中央よりも下方に位置する下方一端部(図中右下隅部)には、携帯端末14の撮影用の開口154が設けられている。この開口154にカメラ141が位置付けられるように、携帯端末14の長手方向を水平として端末保持部151に取り付けることにより、撮像対象物Mの撮像が可能となっている。このような携帯端末14の位置付けは、4つのスライドガイド153の調節によりなすことができる。なお、開口154を図中左上隅部に設けて携帯端末14を左右反転させて保持させてもよいが、開口154を図中右下隅部に設けることにより、携帯端末14の機種に応じたカメラ141位置の変動割合を低減することができる。
【0021】
端末保持部151の背面には、載置面に載置された撮像対象物Mの鏡像を携帯端末14のカメラ141に折り返すミラー155が設けられている。図5に示されるように、ミラー155は、端末保持部151に対して上下方向に揺動自在に取り付けられており、図中一点鎖線で示されるカメラ141中央からの撮像垂線、即ち撮像範囲の中心線の角度を適宜調節することができる。例えば、ミラー155は、端末保持部151の上面、つまり携帯端末14の取付面から45度の角度とすることで、カメラ141の撮像垂線を当該取付面と平行とすることができる。なお、ミラー155は、端末保持部151ではなく、一対の連結プレート152に対して揺動自在に取り付けられていてもよい。
【0022】
本実施形態においては、ミラー155は取付面から60度の角度となっており、撮像垂線の角度は60度の半分の30度となる。端末保持部151は、図5に示されるような垂直状態から背面方向に30度傾斜するように連結プレート152に連結されることで、当該撮像垂線の角度を載置面に対して垂直とすることができ、図1に示されるように、使用状態において撮像対象物Mの真上からの鏡像をカメラ141に映すことができる。図1に示される一点鎖線は、撮像垂線が載置面に対して垂直である状態における、カメラ141の前後方向(正面-背面方向)における撮像範囲を示す。本実施形態における撮像範囲は、上記角度構成により、前後方向においては撮像垂線から約20度の角度範囲からなるものとすることができる。一方、本実施形態における左右方向(前後及び上下方向に直交する方向)における撮像範囲は、撮像垂線から約30度の角度範囲からなるものとすることができる。
【0023】
カメラ141の性能によるが、例えば前後方向においての画角が撮像垂線から約20度、左右方向においての画角が撮像垂線から約30度の角度範囲からなるものとすると、携帯端末14とミラー155との角度は40度以上、60度以下程度とするとよい。
【0024】
なお、図1に示されるアーム12の傾斜角度は、非使用状態から60度起き上がらせた状態となっているが、カメラ141の撮像垂線が垂直となるのであれば、どのような角度であってもよい。即ち、例えばアーム12をより角度を有して起き上がらせたい場合は、ミラー155の角度を適切に調節することで撮像垂線を載置面に対して垂直とすることができる。
【0025】
また、本実施形態においては、上述したとおり携帯端末14を保持した端末保持部151(ミラー155を含む)全体の重心が、アーム12及び一対の連結プレート152の軸心(長手方向に延在する中心軸)の近傍に位置している。換言すれば、端末保持部151の重心位置近傍において一対の連結プレート152上端部が連結支持している。これによればアーム12の揺動時においても重心変動を少なくすることができる。また、このような重心変動の低減を実現できるため、図1に示される使用状態から図2に示されるような、アーム12が直立状態となった非使用状態U1とした際に安定する。なお、オーバーヘッドリーダ1は、図3に示されるようなアーム12及び照明部13が水平状態となった非使用状態U2とすることも可能である。
【0026】
(シャッターボタン16)
シャッターボタン16は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により携帯端末14と通信可能に接続されており、使用者に押下されることにより携帯端末14の撮像実行の指示を携帯端末14に送信する。これにより、使用者は携帯端末14を直接操作することなく撮像対象物Mの撮像を行うことができる。
【0027】
(装置動作)
オーバーヘッドリーダ1により実行される画像読取処理について説明する。図6は、本実施形態に係る画像読取処理を示すフローチャートである。先ず、オーバーヘッドリーダ1を使用状態に展開し、撮像対象物Mを載置面における撮像範囲内に載置すると共に台座11に設けられた電源スイッチをONとし(S101)、携帯端末14をホルダ15にセットしてアプリを起動させる(S102)。携帯端末14のCPUは、RAMに格納されたプログラムを読み出して画像取得部として機能する。まず、画像取得部は、カメラ141を起動させ(S103)、照明部13を設定情報に基づいて点灯させると共に撮像範囲の映像をディスプレイ142に表示する(S104、S105)。本実施形態では、ミラー155によりカメラ141に対して撮像対象物Mの上下反転された鏡像が折り返される。そのため、使用者が撮像対象物Mの位置移動を行う場合、ディスプレイ142には例えば手前から奥への移動が奥から手前への移動に映る等して位置移動に支障が生じる。このことから、画像取得部が撮像対象物Mを上下反転してディスプレイ142に表示させることが好ましい。
【0028】
なお、撮像対象物Mが表示されたディスプレイ142を使用者がタッチすることにより、ピント調節ができる。また、この撮像対象物Mが表示された状態において、使用者が照明部13の照度や光色を設定入力でき、変更した設定を適宜保存することも可能である。
【0029】
また、台座11にマーカが付されている場合は、ステップS102のアプリ起動の処理後にカメラ141にマーカを読み取らせることにより、携帯端末14において、オーバーヘッドリーダ1に用いられていることを認識し、当該オーバーヘッドリーダ1に合った動作(例えば設定情報の読み出し等)が実行され、ステップS104の照明部13の点灯、ステップS105のディスプレイ142の表示の処理が自動でなされる。なお、上述したアプリは、他の装置でも流用されるものであり、使用する装置の種類に応じて動作を変更することができる。
【0030】
ディスプレイ142に撮像対象物Mが表示された後、携帯端末14のCPUは、RAMに格納されたプログラムを読み出して信号取得部として機能する。信号取得部は、シャッターボタン16が押下されて撮像開始を示す撮像信号を取得したか否かを判定する(S106)。撮像信号が取得されない場合(S106,NO)、当該判定が撮像信号を受信するまで継続される。一方、撮像信号を取得した場合(S106,YES)、画像取得部はシャッターを切って撮像を行う(S107)。
【0031】
こうして撮像画像が取得されると、携帯端末14のCPUは、RAMに格納されたプログラムを読み出して画像処理部として機能する。得られる撮像画像は、上述したとおりミラー155に映る鏡像である。したがって、画像処理部は、撮像画像を上下反転し(S108)、反転された撮像画像を記憶装置に保存し管理する(S109)。保存後、ステップS106の判定処理へ移行し再度撮像信号を取得したか否かが判定される。したがって使用者は、例えば撮像対象物Mが雑誌である場合はページを捲るなどして続けて撮像を行うことができる。なお、画像処理部は、取得した撮像画像を例えば外部サーバに送信して異なる使用者間で共有化(クラウド処理)するようにしてもよい。さらに、例えば光学式文字認識(OCR)などで文字をテキスト化して、記憶装置またはサーバ等のデータベースに登録するようにしてもよい。また、携帯端末14のディスプレイ142に表示するようにしてもよい。
【0032】
以上に説明した本実施形態によれば、使用者自身の携帯端末14をホルダ15にセットするのみで撮像対象物Mのデジタルデータ化する作業を簡単に行うことができるため、撮像装置が組み込まれた従来のものと比較して低コスト化を実現できる。また、アーム12とミラー155とを揺動させることで撮像画像の大きさを手軽に調節することができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、撮像画像が静止画であるが、携帯端末14を用いることから動画を撮像画像として取得し、当該データを記憶またはインターネットを介して外部サーバにアップロード等するようにしてもよい。さらに、携帯端末14が正面カメラを有するものであれば、撮像対象物Mの静止画または動画を撮像すると共に、正面カメラで使用者自身の姿(顔)の静止画または動画を撮像し、これらを共有化することも可能である。これによればWEB会議や動画配信サービス等においてもオーバーヘッドリーダ1を活用することができる。なお、この時、ディスプレイ142にはカメラ141と正面カメラのそれぞれにより撮像される2つの映像が表示されることが好ましい。また、携帯端末14は、外部のPC(Personal Computer)等の情報処理装置と通信可能に接続し、撮像画像を共有化することも可能である。
【0034】
また、携帯端末14は、設定情報として直近の照明部13の設定を自動に記憶しておき、作業が不用意に中断したとしても再設定することなく読み出せるようにしてもよい。
【0035】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、撮像対象物Mを1枚ずつ撮像しているが、複数の撮像対象物Mを連続して撮像するようにしてもよい。本実施形態においては、そのようなオーバーヘッドリーダを説明する。なお、本実施形態においては、撮像対象物Mがシート状物であるとして説明を行う。
【0036】
図7及び図8は、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダの正面図、側面図である。図9は、フィーダ及び用紙トレイを模式的に示す平面図である。なお、図7においては説明上、後述するフィーダ2及び格納部3の内部構造が示されている。図7及び図8に示されるように、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Aは、第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1と比較して、フィーダ2及び格納部3が新たに設けられている点で異なる。
【0037】
(フィーダ2)
フィーダ2は、図7に示されるように台座11及び格納部3の図中左側端部に対し分離可能に取り付けられており、使用時においては図8に示されるように正面方向へ移動させて使用される。フィーダ2は、筐体20内にピックアップローラ21を備え、後に詳述する用紙トレイ30に収容された複数の撮像対象物Mを順次取り込み、装置外に送出することができる。また、フィーダ2は不図示のケーブルを有し、台座11のコネクタ部112と接続されることでケーブルを介して携帯端末14からの制御信号(例えば音響用信号)の取得や電力の供給がなされる。また、携帯端末14からの制御信号は、無線通信、好ましくはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信で送受されるようにしてもよい。ここでの制御信号は、後に詳述するモータの駆動/停止信号等である。上記各構成要素についての詳細は後述する。
【0038】
(格納部3及び用紙トレイ30)
格納部3は、図7に示されるように台座11A下部に着脱自在に設けられた中空の箱型部材であり、内部に撮像対象物Mを収容する用紙トレイ30を格納する。格納部3は、図8に示されるようにその正面が開放されており、使用者は容易に用紙トレイ30を正面側に引き出すことができる。格納部3は、図7に示されるように、台座11A左側端部との間で段差を形成している。フィーダ2は、その筐体20右下隅部が当該段差形状と合致するように同形状に形成される。これにより、フィーダ2をその不使用時に台座11A及び格納部3の左端部で安定配置できる。
【0039】
なお、フィーダ2は、その使用時には図9に示されるように用紙トレイ30に取り付けて使用される。当該取り付けは、例えば互いに係合する凹凸部が双方に形成されるなどしてなされると良い。このことから、フィーダ2の筐体20における用紙トレイ30との当接部分は用紙トレイ30の高さに合わせた形状となっている。しかしながら、用紙トレイ30は格納部3よりも高さが低い。そのため、格納部3と用紙トレイ30との高低差分の高さを有するプレート台22が格納部3の左側端部に設けられている。フィーダ2不使用時に、フィーダ2がプレート台22上に位置して格納部3に取り付けられることにより、格納部3に対してフィーダ2を安定配置することができる。
【0040】
用紙トレイ30は、図9に示されるように、前後方向にのみ側壁が立設している箱状の筐体31を有し、フィーダ2をこの筐体31側端部(図中左側端部)に取り付け可能となっている。なお、筐体31は、その内部にシャッターボタン16を収容可能であることが好ましい。筐体31内には、撮像対象物Mの前後方向サイズに応じて互いに接近及び離間可能な一対のスライドガイド32と、撮像対象物Mの左右方向サイズに応じて左右方向に移動可能なスライドガイド33と、書籍等の冊子を開いた状態を維持する一対の抑えレバー34と、トレイセンサ35と、挟み込みシート36とが設けられている。
【0041】
抑えレバー34は、一端部が筐体31に連結されることで図7に示されるように上下方向に揺動自在に且つ下方に付勢されており、図9に示されるように他端部下部にそれぞれ抑えバーが設けられている。これにより冊子を開いた状態において、抑えレバー34の下に挿し込むことで開いた左右のページをそれぞれ抑えバーにより下方に付勢し、その状態を維持することができる。なお、ページを付勢することから抑えレバー34も撮像画像に含まれることとなるが、撮像後の画像トリミング処理が自動または手動で行われることによって、撮像画像から抑えレバー34を取り消すことが可能である。ここでの自動のトリミング処理は、例えば撮像に先立って携帯端末14においてトリミング処理を行うように設定されることによってなされてもよい。また、筐体31の抑えバー下方部分には窪み341が設けられており、抑えレバー34を使用しない場合に窪み341に抑えバーが収容されることで、抑えバーが撮像対象物Mに干渉しないようにされている。
【0042】
用紙トレイ30は、図8に示されるように引き出された状態において、その上面が撮像範囲内に位置する。したがって収容する最上面に位置する撮像対象物Mを撮像毎にフィーダ2に取り込むことで、複数の撮像対象物Mを順次撮像することが可能となる。なお、用紙トレイ30上にある撮像対象物Mの撮像に際しては、撮像対象物Mと背景とにコントラスト差を生じさせるため、用紙トレイ30の底壁や側壁は黒色に彩色されるか、または黒色の彩色に加えてつや消し処理が施されていることが好ましい。
【0043】
トレイセンサ35は、用紙トレイ30の底壁に設けられており、撮像対象物Mが載置されているか否かを検知する。トレイセンサ35のON/OFF信号は、フィーダ2から携帯端末14へ送信され、携帯端末14はこれを取得することができる。
【0044】
挟み込みシート36は、図9中左端部361が筐体31の底壁に固定または着脱可能となっており、可撓性及び透過性を有するシート状物である。挟み込みシート36は、その表側が反射(テカリ)防止のためのつや消し処理をされた透明シートと、撮像時に背景となる光の反射が低減されたつや消しの黒色シートとからなる。挟み込みシート36は、図9中右端部から透明シートと黒色シートとの間に撮像対象物Mを挿入して挟み込むことで使用される。これによれば、レシートや伝票のようにサイズが固定されず、また、反りなどが発生しやすい文書であっても、上記の挟み込みにより反りの無い文書の撮像が可能となる。なお、透明シートは、反射防止処理として、撮像対象物Mに印刷された文字のOCRに影響が生じないように、表面コート、または微細な凸凹処理により乱反射をさせるように処理されたものとしてもよい。例えば、600dpiの解像度(42μ)より十分細かい微細な凹凸処理が透明シートに施されることが望ましい。
【0045】
(フィーダ2の詳細構造)
次に、フィーダ2の内部構造について詳細に説明する。図10は本実施形態に係るピックアップローラの部分拡大図である。図10に示されるように、ピックアップローラ21は、駆動ローラ211と、リンクプレートP1を介して回動可能に連結された従動ローラ212とを備える。従動ローラ212は駆動ローラ211の回転に応じて同方向に回転する。ピックアップローラ21は、駆動ローラ211の後述するシャフトS1(図11及び図12参照)を軸として回動することができ、具体的には図7に示される退避位置から、図10に示される取込位置まで回動する。取込位置まで回動したピックアップローラ21は、従動ローラ212が用紙トレイ30の最上段に位置する撮像対象物Mと当接することとなる。この状態において従動ローラ212が回転することにより、当接する撮像対象物Mを取り込むことができる。
【0046】
なお、駆動ローラ211は、不図示のモータにより駆動される。携帯端末14はケーブル143及び台座11を介して制御信号を出力することによりモータを駆動制御することができる。一例として、携帯端末14は、例えばヘッドフォンのRチャンネルに、ある高さの音を最大音量で出力する。フィーダ2の不図示のCPU及びメモリ等を有する制御部は、当該信号を受信するとモータを起動する。モータを停止する場合も同様に制御信号によりなされる。
【0047】
駆動ローラ211の下方には、搬送される撮像対象物Mを分離する分離ローラ213が設けられている。分離ローラ213は回動不能に固定あるいは一定トルクで従動する構造になっており、したがって例えば2枚の撮像対象物Mが従動ローラ212により搬送された場合は駆動ローラ211の回転により上方の1枚のみを搬送することができる。分離ローラ213の代わりにブレーキパッドを用いても同様の機能を奏することができる。これらローラの下流側には、搬送ローラ214が設けられている。搬送ローラ214は、下側に配置した駆動ローラと上側に配置した従動ローラとによって上下一対になっており、搬送ローラ214から排出された撮像対象物Mはフィーダ2の筐体20に形成された開口を通って装置外へ排出され取り出される。駆動ローラ211及び搬送ローラ214は、モータを駆動することにより、ギアおよび回転ベルト等の伝達機構を介して回転する。なお本実施形態においては、搬送ローラ214の回転速度が駆動ローラ211及び従動ローラ212より高速となっており、これは後述する撮像対象物Mの搬送タイミングを適切なものとするためである。そのような速度としては例えば3倍の速度が好ましい。
【0048】
搬送ローラ214による撮像対象物Mの排出中または排出後、ピックアップローラ21は退避位置にまで回動する。図7(及び図12参照)には退避位置にあるピックアップローラ21が示されている。退避位置においてピックアップローラ21は上死点を超えて図中左側へ傾斜しており、したがって自重により不要に図中右側(用紙トレイ30側)へ回転し取込位置に位置付けられることがなく、安定した静止状態となる。この退避位置はカメラ141の撮像範囲外となっており、この状態においてカメラ141による撮像対象物Mの撮像がなされ、撮像後には再度撮像済みの撮像対象物Mを排出するためにピックアップローラ21が取込位置まで回動することとなる。
【0049】
駆動ローラ211と用紙トレイ30との間には、棒状部材が所定の角度でL字に折れ曲がった形状のレバースイッチSW1が設けられている。レバースイッチSW1は、初期状態において一端部が上方を向き、他端部が下方を向くようにされており、回転軸を軸に回動することができる(図10参照)。なお、レバースイッチSW1は、撮像対象物Mの搬送路におけるフィーダ2の幅方向(前後方向長さ)中央に位置することが好ましい。
【0050】
レバースイッチSW1は、その自重、またはバネ等の不図示の付勢部材により、上述した一方向とは逆方向、即ち用紙トレイ30の方向に回転するように付勢されている。自重での付勢を実現するには、例えば他端部に錘を設けるとよい。これによりレバースイッチSW1は、撮像対象物Mが通過した後には図7に示される元の初期状態へ戻ることができる。この時、レバースイッチSW1の一端部は撮像対象物Mの搬送方向とは逆方向に回動するため、1枚目(撮像済みの撮像対象物)と共に分離ローラ213近傍まで接近した次の撮像対象物M(未撮像の撮像対象物)がある場合、それを押し返して用紙トレイ30の載置面または他の撮像対象物M上に戻すことができる。これにより押し戻された撮像対象物Mが次の最上段の撮像対象物Mとなってカメラ141の撮像範囲内に入るようになっている。なお、レバースイッチSW1は、初期状態において撮像範囲外に侵入しない位置に設けることが好ましい。
【0051】
また、レバースイッチSW1は、分離ローラ213前に撮像対象物Mがあるか否かを判定するためのスイッチとして機能する。即ちレバースイッチSW1が初期状態になく回動している場合には分離ローラ213前に撮像対象物Mがあることを検知できる。例えば、図10に示されるようにピックアップローラ21が回動し、ピックアップローラ21の従動ローラ212により撮像対象物Mが搬送ローラ214へ向けて取り込まれた際、レバースイッチSW1は撮像対象物Mにより当該ローラ方向に付勢されることで一方向に回転しONとなる。この時、レバースイッチSW1からは信号がフィーダ2の制御部へ送出され、携帯端末14がこれを取得することとなる。
【0052】
図7及び10に示されるように退避位置にあるピックアップローラ21の従動ローラ212の図中左側にはスイッチSW2が設けられており、スイッチSW2は、棒状のレバーSW21を有している。ピックアップローラ21が退避位置にある場合、レバーSW21は、後述するシャフトS2に当接し付勢されることでスイッチSW2がONとなる。具体的には、レバーSW21は、取込位置から退避位置にピックアップローラ21が回動した場合、スイッチSW2の可動する突起部分(スイッチ部分)に直接シャフトS2が接触することを防止することができ、延いてはスイッチSW2が破損することを防止している。また、シャフトS2はレバーSW21を介してスイッチSW2に接触するため、接触時に加わるスイッチSW2への衝撃や力を緩和することができる。当該緩和のために、レバーSW21は弾性部材により構成されることが好ましい。スイッチSW2がONとなると、スイッチSW2から信号がフィーダ2の制御部へ送出され、携帯端末14がこれを取得しモータの駆動を停止することとなる。また、退避位置にあるピックアップローラ21の従動ローラ212の左右方向右側には、補助ギアG8が設けられている。なお、図7では補助ギアG8が図示されていないが、図10では従動ローラ212が取込位置に位置付けられているため、図示されている。補助ギアG8についての詳細は後述する。
【0053】
ピックアップローラ21の構造について詳細に説明する。図11は本実施形態に係るピックアップローラの平面図である。なお、ピックアップローラ21が退避位置から取込位置まで回動させるためのシャフトS1の回転方向(時計回りの回転方向)をCW、その逆の回転方向をCCWと称して以後説明を行う。また、図11を含め、以降に説明される各ギアはピッチ円で表されている。
【0054】
図11に示されるように、ピックアップローラ21は、駆動ローラ211を軸支するシャフトS1を備える。シャフトS1は、一端部が筐体20内で固定された平板状のフレームF1に相対回転可能に軸支されると共に、他端部近傍が筐体20内で固定された平板状のフレームF2に相対回転可能に軸支され、それらの間において矩形平板状の一対のリンクプレートP1,P2に相対回転可能に挿通されている。シャフトS1に隣接してシャフトS2が設けられており、シャフトS2は一端部がリンクプレートP1に固定され、他端部近傍がリンクプレートP2に固定されると共に貫通してさらにフレームF2に形成された貫通孔F21(図12参照)に挿通されている。貫通孔F21は弧状に延在するスリット孔であり、これによりピックアップローラ21の回動範囲を制限することができる。一対のリンクプレートP1,P2には、シャフトS2に隣接して従動ローラ212を軸支するシャフトS3の両端部が相対回転可能に軸支されている。なお、一対のリンクプレートP1,P2は、その上部または下部において互いに連結されていることが好ましい。
【0055】
シャフトS1は、駆動ローラ211とリンクプレートP2との間にギアG1を相対回転不能に軸支している。ギアG1はシャフトS2に相対回転可能に軸支されるギアG2と噛み合っており、ギアG2は従動ローラ212とリンクプレートP2との間に位置してシャフトS3に相対回転不能に軸支されるギアG3と噛み合っている。したがって、シャフトS1のCW,CCW方向への回転はギアG1、ギアG2、ギアG3を介してシャフトS3に伝達することとなる。
【0056】
駆動ローラ211及び従動ローラ212には、一方向への回転のみ許容されるカム等よりなるワンウェイクラッチ機構が内蔵されており、ここではCW方向への回転のみ伝達される。即ち、シャフトS1がCW方向に回転する場合は駆動ローラ211及び従動ローラ212はシャフトS1,S3とそれぞれ一体となってCW方向に回転する。一方、シャフトS1がCCW方向に回転する場合は、駆動ローラ211がシャフトS1に対して空転すると共に、従動ローラ212がシャフトS3に対して空転することとなる。
【0057】
シャフトS1は、リンクプレートP2とフレームF2との間においてギアG4を軸支している。ギアG4は、リンクプレートP2とフレームF2との間においてシャフトS2に相対回転不能に軸支されるギアG5と噛み合っている。ギアG4には、一方向への回転のみ許容されるカム等よりなるワンウェイクラッチ機構が内蔵されており、ここではCCW方向への回転のみ伝達される。即ち、ギアG4はシャフトS1がCW方向に回転する場合は空転するが、シャフトS1がCCW方向に回転する場合はシャフトS1と一体となってCCW方向へ回転することとなる。ギアG4はギアG5と噛み合っているため、シャフトS1がCCW方向に回転するとギアG5、シャフトS2を介して一対のリンクプレートP1,P2をCCW方向に回転させることができ、延いてはピックアップローラ21を取込位置から退避位置へ回動させることができる。
【0058】
シャフトS1は、その他端部においてギアG6を相対回転不能に軸支しており、シャフトS2は、その他端部においてギアG6と噛み合うギアG7を相対回転可能に軸支している。ギアG6は、不図示の減速装置を介してモータに連結されており、モータからの駆動力が伝達される。ギアG6はモータが駆動されることにより、CW,CCW方向への回転をシャフトS1と一体となって行う。ギアG7はこのとき、ギアG6の回転に従動して回転(シャフトS2に対して空転)することとなる。
【0059】
次に、上述した補助ギアG8について詳細に説明する。図12は本実施形態に係るピックアップローラと補助ギアとの関係を説明するための図である。図12ではピックアップローラ21が退避位置に位置付けられており、ピックアップローラ21及び補助ギアG8等の左方側が模式的に示されている。なお、説明上、ピックアップローラ21についてはシャフトS1,S2及びギアG6,G7のみが示されている。
【0060】
補助ギアG8は、所定の角度範囲内にのみ回動可能となったピニオンギアであり、ピックアップローラ21の退避位置から取込位置への回転時、およびその逆においてギアG7と噛み合うことで退避位置-取込位置間のピックアップローラ21の移動を補助する。補助ギアG8は、ギアG7と噛み合った際にはバックラッシュが形成されるように設計されることが好ましい。図12に示されるように、補助ギアG8は、径外方向に突出するアームG81が一体となって固定されている。図中に示される水平方向に対して傾斜した位置がアームG81及び補助ギアG8の基準位置となる。アームG81は、フレームF2に設けられた不図示の切れ込みに係合することにより、補助ギアG8の回転範囲を制限する。回転範囲は、ピックアップローラ21が退避位置に到達した際のギアG7の回転停止位置を僅かに超えるまでとすることが好ましい。アームG81の先端にはバネ等の付勢部材G82が設けられている。アームG81に付勢部材G82が設けられることにより、補助ギアG8は、CW方向に回転した場合、付勢部材G82の復元力に抗してアームG81が上方に揺動(図13参照)するが、アームG81の重量や付勢部材G82の復元力により符号Aに示される方向に付勢され、したがってCCW方向へ回転し基準位置へ戻ろうとする。
【0061】
次に、退避位置-取込位置間のピックアップローラ21の回動時における、ピックアップローラ21と補助ギアG8との動作を説明する。図13~15は本実施形態に係るピックアップローラと補助ギアの動作を説明するための図である。図13図15はピックアップローラ21及び補助ギアG8等の左方側が模式的に示されており、説明上従動ローラ212は図示していない。なお、説明上、ピックアップローラ21についてはシャフトS1,S2及びギアG6,G7のみが示されている。
【0062】
ピックアップローラ21の退避位置から取込位置に回転する場合を説明する。撮像対象物Mが用紙トレイ30に載置されており、レバースイッチSW1がOFF(分離ローラ213前に撮像対象物Mが無い)、及びスイッチSW2がONである状態において、携帯端末14から動作開始の信号がフィーダ2の制御部に入力される。信号入力後、図13に示されるように、モータによりギアG6を介してシャフトS1がCW方向へ回転し始め、CW方向へ回転するギアG6がギアG7をCCW方向へ回転させることとなる。なお、図中の符号FG7は、ピックアップローラ21をCW方向に回転させるために要する左方向のベクトルを示し、符号FG8は、付勢部材G82の復元力や補助ギアG8及びアームG81の重量により生じる右方向のベクトルを示している。ギアG7は、CCW方向へ回転することにより補助ギアG8をCW方向に回転させようとする。ベクトルFG7は、ピックアップローラ21のリンク(リンクプレートP1,P2、駆動ローラ211、従動ローラ212からなる部分:図12図15には不図示)の重量の角度θLの分力である。なお、このベクトルFG8は後述するベクトルFG71と比較して小さな力となる。
【0063】
引き続きギアG6を介してシャフトS1がCW方向に回転すると、補助ギアG8はアームG81の重量や付勢部材G82によりCCW方向に付勢される力と、ギアG7のCCW方向への回転力の反力と合わさったベクトルFG8の力でギアG7を押し出すように、換言すればギアG7が補助ギアG8の歯に押されながら移動し、ピックアップローラ21のリンクがCW方向へ回転することとなる。すなわち、ベクトルFG8>ベクトルFG7の関係にある。なお、何らかの要因でベクトルFG8<FG7になった場合でも、補助ギアG8はCW方向に回転するが、アームG81により回転が止まり、ギアG7のCCW方向への回転力の反力が増加し、FG8>FG7となり上記と同様にピックアップローラ21のリンクをCW方向に回転させることになるため、ピックアップローラ21が取込位置に到達しないことはない。
【0064】
さらにシャフトS1がCW方向に回転すると、図14に示されるように、ピックアップローラ21のリンクは、上死点を過ぎてギアG7と補助ギアG8との噛み合いが外れ、自重により取込位置にまで移動することとなる。ギアG7との噛み合いが外れた補助ギアG8は、アームG81の重量や付勢部材G82によりCCW方向への回転限度まで回転し、アームG81は図中の下限位置である基準位置となる。
【0065】
次に、ピックアップローラ21の取込位置から退避位置に回転する場合を説明する。図15に示されるように、シャフトS1がCCW方向へ回転すると、ギアG4がCCW方向へ回転し、ギアG5を介してシャフトS2、延いてはピックアップローラ21のリンクがCCW方向へ回転し、ギアG7は補助ギアG8に接触する。この時、ピックアップローラ21のリンクは上死点には到達していない。なお、図中の符号FG71は、ピックアップローラ21の回転による左方向へのベクトルを示し、ベクトルFG71はFG8より大きな力を有している。そのため、補助ギアG8はCCW方向には回転せずにCW方向に回転し、CW方向に回転しているギアG7と噛み合い、ギアG7が補助ギアG8の歯と噛み合いながら移動することとなる。ピックアップローラ21の回転は、シャフトS2がレバーSW21を介してスイッチSW2をONとするまで継続され、ONとなった時点でシャフトS1のCCW方向への回転が停止される。この状態においてピックアップローラ21は退避位置に到達している。
【0066】
モータが静止している間、ピックアップローラ21のリンクをCW方向に回転させようとすると、ギアG5はギアG4をCW方向に回転させる必要があるが、ギアG4のワンウェイクラッチの作用によりシャフトS1とギアG1とをCW方向へ回転させる必要がある。シャフトS1は、モータと不図示の減速装置を介し連結されているため、モータを回転させるには減速比の逆数倍の大きな力でギアを回す必要がある。以上のことから、ピックアップローラ21は退避位置において固定された状態となる。なお、減速機(減速機構)として、モータのモータ軸にウォームギアを使い、ホイールギアを組み合わせている場合は、ギアに加わった力でモータ軸は回転できない。
【0067】
次に、撮像対象物Mの撮像後におけるピックアップローラ21及び搬送ローラ214の動作を説明する。図16は、本実施形態に係るピックアップローラ、分離ローラ、及び搬送ローラの位置関係を模式的に示す図である。図17は、本実施形態に係る撮像対象物の搬送方法を説明するための図である。図16に示される符号L3は、駆動ローラ211軸心と従動ローラ212軸心との距離を示し、符号L4は駆動ローラ211軸心と搬送ローラ214軸心との距離を示す。本実施形態において距離L3を2L、距離L4を1Lとし、搬送ローラ214の回転速度(駆動周速)は、駆動ローラ211の回転速度の3倍とする。
【0068】
ピックアップローラ21が取込位置に位置付けられた後、図17(a)に示されるように、従動ローラ212により撮像対象物M1が搬送される。この時、従動ローラ212は駆動ローラ211の回転速度V1、換言すればシャフトS1の回転数VR1と同一の回転数VR1で回転しており、撮像対象物M1は当該回転速度V1と同一の搬送速度V1で搬送されることとなる。なお、レバースイッチSW1はOFFとなっている。撮像対象物M1先端がレバースイッチSW1通過しONとなった後、撮像対象物M1先端が搬送ローラ214に達すると、撮像対象物M1は搬送ローラ214により搬送速度V1の3倍である搬送速度V2で搬送されることとなる。この時、駆動ローラ211及び従動ローラ212は撮像対象物M1に引っ張られる形で回転速度V2で従動する。
【0069】
図17(b)に示されるように、撮像対象物M1の後端が従動ローラ212を通過すると、撮像対象物M2が搬送され始める。この時、従動ローラ212はシャフトS1から伝達される回転数VR1で回転するため、撮像対象物M2の搬送速度はV1となる。これは駆動ローラ211がワンウェイクラッチを介してシャフトS1に軸支されているため、撮像対象物M1により回転速度V2となっていても、シャフトS1に回転力は伝達せず、シャフトS1の回転数VR1がギアG1~G3を介して従動ローラ212に引き続き伝達されるためである。ここで撮像対象物M1の搬送速度V2は、撮像対象物M2の搬送速度V1の3倍であることから、撮像対象物M1後端と撮像対象物M2の先端とは次第に間隔が広がる。
【0070】
図17(c)に示されるように、撮像対象物M1後端がレバースイッチSW1から外れると、レバースイッチSW1はONからOFFに切り替わる。なお、ここまでに要した時間をT1として以後説明を行う。本実施形態においては、レバースイッチSW1が撮像対象物M1後端から外れOFFになる位置として、距離L3(図16参照)の中央で外れるように調整されている。
【0071】
時間T1から2L4/V2秒後に撮像対象物M1後端が搬送ローラ214から外れる。この時、図17(d)に示されるように、撮像対象物M2の先端はL3(図19参照)の中央に位置することとなる。撮像対象物M1の搬送速度V2は撮像対象物M2の搬送速度V1の3倍の速度であるため、従動ローラ212-搬送ローラ214の軸間距離3Lを撮像対象物M1後端が進むと撮像対象物M2先端は1/3である1L進む計算となる。
【0072】
図17(d)に示される状態となった直後(例えば撮像対象物M1が搬送ローラ214から完全に離れ、筐体20の開口から筐体20外へ排出するタイミング)において、ピックアップローラ21を退避位置に退避させるためにシャフトS1をCCW方向へ回転させる。すると図17(e)に示されるように、従動ローラ212は、退避位置の方向へ浮き上がるように移動し始める。従動ローラ212の拘束から解放された撮像対象物M2は、その先端をレバースイッチSW1により図17(a)に示されるような開始位置に押し戻される。この時、駆動ローラ211及び従動ローラ212は、共にワンウェイクラッチを介して各シャフトに軸支されているため、シャフトS1,S3がCCW方向に回転されたとしても、回転することはない。
【0073】
以上に説明した各ローラの配置、速度設定を行うことにより、撮像対象物M1と撮像対象物M2との間隔を空けて撮像、排出を行うことができると共に、上述した一連の動作で撮像対象物Mが排出された後、ピックアップローラ21が退避位置に退避され、次の撮像対象物Mを撮像位置に置かれた状態とすることができる。なお、各ローラの速度や距離は一例であり、異なる設定でも同様の関係、即ち撮像対象物M1が搬送ローラ214から排出された後に撮像対象物M2がレバースイッチSW1により、撮像位置に戻る関係を満たせば同様の効果を奏することができる。
【0074】
(装置動作)
図18は、本実施形態に係る画像読取処理を示すフローチャートである。ここでは第1の実施形態に係る図6に示されるフローチャートと異なるS201~S203の処理について説明する。ステップS106において撮像信号を取得すると、信号取得部はトレイセンサ35がON、即ち信号を取得しているか否かを判定する(S201)。トレイセンサ35がONでない場合(S201,NO)、トレイセンサ35がONであるか否かの判定が継続される。一方、トレイセンサ35がONである場合(S201,YES)、ステップS107の撮像処理が行われる。
【0075】
撮像後、携帯端末14の画像処理部は制御信号をフィーダ2へ出力し、モータが駆動されることにより、ピックアップローラ21の取込位置への回転及び図17に示される上述した1枚の撮像対象物Mの搬送、排出が行われた後、ピックアップローラ21を退避位置に位置付ける排出処理がなされる(S202)。ステップS109の撮像画像保存の処理後、信号取得部は、トレイセンサ35がOFF、即ち信号が取得されているか否かを判定する(S203)。トレイセンサ35がOFFでない場合(S203,NO)、ステップS107の撮像処理が行われる。一方、トレイセンサ35がOFFである場合(S203,NO)、用紙トレイ30にある撮像対象物Mを全て撮像し終えたと判断され、画像取得部は、カメラアプリの終了、照明部13の消灯を行い、本フローは終了となる。
【0076】
以上に説明した本実施形態によれば、用紙トレイ30に収容された積層状態の名刺や資料等である撮像対象物Mを連続して読み取り、迅速に複数の撮像対象物Mの画像データを得ることができる。
【0077】
なお、本実施形態及び上述した第1の実施形態においては、携帯端末14が台座11と有線接続されると説明したが、無線通信、好ましくはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により通信可能に接続されるようにしてもよい。
【0078】
(第2の実施形態の変形例)
図19は、本実施形態の変形例に係る光反射板を配置したオーバーヘッドリーダを示す正面図である。図20は、本実施形態の変形例に係る光反射板の側面図である。なお、図19に示される照明部13から送出されている一点鎖線は、照射される光の光軸を示している。図19及び図20に示されるように、オーバーヘッドリーダ1Aの左右方向右側に、光反射板(レフ板)4を配置してもよい。
【0079】
光反射板4は、平板状部材であり、前後方向に長尺のスタンド41上面に形成された前後方向に延在する溝に下端部が嵌合することで直立状態を維持できる。また、上下方向略中央における両側面の一方には、溝等の折曲部42が形成されており、コンパクトに折り畳み可能となっている。なお、折曲部42における前後方向両端部には、当該両端部それぞれに着脱自在な断面コ字状の補強部材43が嵌合し、直立状態において折曲部42で折り曲げが生じないようにされている。これら光反射板4、スタンド41、補強部材43は、用紙トレイ30に収容可能であることが好ましい。
【0080】
照明部13は、図19に示されるように光反射板4に向けて光を照射するように回動可能な構造となっている。光反射板4は、オーバーヘッドリーダ1A側の面が光を適度に乱反射可能につや消し等の表面処理がなされており、回動した照明部13により自身に向けて照射された光を下方の撮像範囲内に適度に反射、即ち照明として使用することができる。
【0081】
撮像対象物Mの種類によっては、その表面において照明部13の光が反射し、光沢(白いテカり)が生じる可能性がある。これは、カメラ141と照明部13の光源とが撮像対象物Mの同一方向(真上)にあるため、正反射光がカメラ141に入ることで発生する。これに対し、以上に説明した本変形例によれば、光を光反射板4に反射することにより、撮像対象物Mを垂直上方からではなく側方から光を照射することができる。撮像対象物Mに対して角度を有して入射した光の正反射成分は同一角度で反対側に反射するため、カメラ141に直接入射される光は減少し、テカリを防止することができる。なお、撮像対象物Mが特にテカリが発生しやすい雑誌や、書籍の場合は用紙トレイ30内に設けられた抑えレバー34と併用すると良い。
【0082】
なお、このような光反射板4に限らず、例えば挟み込みシート36に挟むことでもテカリを防止することができる。
【0083】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、アーム12の揺動に応じてホルダ15の角度、延いては携帯端末14の角度も変動すると説明した。しかしながら、アーム12の揺動に応じて携帯端末14やホルダ15の角度も変動し、携帯端末14やホルダ15が水平面に対して一定の角度を維持するようにしてもよい。本実施形態においては、そのようなオーバーヘッドリーダを説明する。
【0084】
図21は、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。図22は、本実施形態に係るホルダ近傍を模式的に示す背面図である。なお、図22においては、アーム12の背面に直交する角度から見た背面図となっている。図21に示されるように、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Bは、第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1と比較して、台座11に代わり、コネクタ部112Bを有する台座11Bを備えると共に、ホルダ15に代わり、ホルダ15Bを備え、新たに平行リンク機構5を備える点で異なる。
【0085】
ホルダ15Bは、ホルダ15と比較すると、一対の連結プレート152に代えて一対の第1連結プレート152-1及び第2連結プレート152-2を有する。一対の第1及び第2連結プレート152-1,152-2は、図21に示されるように、一対の連結プレート152が上下で分離されたものであり、一対の第1連結プレート152-1上端部が端末保持部151に連結し、下端部が後に詳述するリンクプレート51に連結されている。また、一対の第2連結プレート152-2は下端部が連結プレート152と同様にアーム12に固定されている。一対の第2連結プレート152-2のうちの一方、本実施形態においてはオーバーヘッドリーダ1Bの左右方向左側の第2連結プレート152-2は、上端部に連結片156がプレートの長手方向に突出するように設けられている。連結片156は、支軸156aを介して一対の第1連結プレート152-1のうちの一方(左右方向左側のプレート)と揺動自在に連結されている。
【0086】
平行リンク機構5は、図21に示されるように、アーム12と協働して平行リンクを形成するリンクプレート51を備える。リンクプレート51は、アーム12の後方に位置し、一端部がコネクタ部112B上端部において揺動自在に軸支され、他端部が一方の第1連結プレート152-1下端部に支軸52を介して揺動自在に軸支されている。
【0087】
また、支軸156aに対する支軸52の位置(角度)は、アーム12の回転軸B1とリンクプレート51の下端の回転軸B2と同一となっている。また、支軸156aと回転軸B1とは、その中心がアーム12の軸心上に位置している。このように構成することにより、支軸156aと回転軸B1とを結んだ線が平行四辺形の1つの辺となるため、平行リンクの小型化がなされている。
【0088】
以上に説明した本実施形態によれば、アーム12の揺動に応じてリンクプレート51は揺動し、第1連結プレート152-1を支軸156a回りに揺動させることができる。これにより、アーム12の揺動に応じて、携帯端末14の撮像角度およびカメラ141の撮像垂線が撮像対象物Mに対して略角度変動なく一定に入るように、第1連結プレート152-1、延いてはホルダ15Bを揺動させることができる。つまり本実施形態によれば、アーム12が揺動したとしても、携帯端末14やホルダ15が水平面に対して一定の角度を維持して移動することができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、平行リンク機構5はオーバーヘッドリーダ1Bの左右方向一方側にのみ設けると説明したが、左右方向両方に設けるようにしてもよい。また、平行リンク機構5は、その構造上、揺動角度に限界(第2連結プレート152-2とリンクプレート51との接触)がある。本実施形態においては、オーバーヘッドリーダ1Bは主に照明部13がある前方側に傾斜して使用される。そのため、好ましい使用状態においてアーム12とリンクプレート51とが側方から見て矩形をなすように、当該使用状態のアーム12の角度に応じてリンクプレート51の角度を設定すると良い。ここでは、水平面から60度となるようにされている。
【0090】
(第3の実施形態の変形例)
図23は、本実施形態の変形例に係るホルダ近傍の側面図であり、図24は、本実施形態に係るホルダ近傍を模式的に示す背面図である。なお、図24においては、アーム12の背面に直交する角度から見た背面図となっている。図23及び図24に示されるように、平行リンク機構5のリンクプレート51を2重の構造とし、携帯端末14の角度の微調節を可能としてもよい。
【0091】
図23及び図24に示されるように、一方の第1連結プレート152-1は、下端部が窪むことで段差が形成され、当該窪み部分に略長方平板状のリンクプレート53が配置されている。リンクプレート53の上面は、一方の第1連結プレート152-1の対向する面とは間隙が形成されている。リンクプレート53は、リンクプレート51と支軸52を介して回動自在に軸支されると共に、連結片156と支軸156aを介して回動自在に軸支されている。また、リンクプレート53は、支軸156aを中心とする円弧状のスリット531が形成されており、スリット531には調節ネジ532が挿入されている。調節ネジ532は、平皿型や丸皿型といったネジ頭を有し、一方の第1連結プレート152-1の不図示のネジ孔に螺合される。さらに、支軸156aは一方の第1連結プレート152-1にまで挿通されているが、支軸52は、図24に示されるように一方の第1連結プレート152-1にまで挿通されていない。
【0092】
以上に説明した本変形例によれば、平行リンクの機能を有しつつ、第1連結プレート152-1をリンクプレート53に対し、スリット531の形状に沿って支軸156a回りに微調節としての揺動をさせることが可能である。この微調節は、調節ネジ532を緩めて第1連結プレート152-1をリンクプレート53に対して揺動させ、調節後には調節ネジ532を締めることで第1連結プレート152-1をリンクプレート53に対して固定することができるため簡便である。これは撮像対象物Mが載置面において水平でなく、角度が付いている場合などの場合に効果的である。即ち、カメラ141を撮像軸の角度を垂直でなくある程度角度を有して傾斜させるといった微調節することが可能であるため、撮像時の台形ひずみを抑止できる。
【0093】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、平行リンク機構5を用いたが、ギアからなるギア機構を用いることにより、第3の実施形態と同様の効果を奏するようにしてもよい。本実施形態においては、そのようなオーバーヘッドリーダを説明する。
【0094】
図25は、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。図26は、本実施形態に係るギア機構を説明するための側面図である。なお、図25及び図26においては、説明上、照明部13が省略されている。図25に示されるように、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Cは、第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1と比較して、台座11に代わり、揺動支持部111Cを有する台座11Cを備え、アーム12に代わり、アーム12Cを備え、ホルダ15に代わり、ホルダ15Cを備え、新たにギア機構6を備える点で異なる。
【0095】
揺動支持部111Cは、アーム12Cの下端部が支軸111C-1を介して連結されてアーム12Cを揺動自在に軸支すると共に、左右方向左側側面に詳細は後述するギア611と噛み合うギア113が相対回転不能に固定されている。ギア113の軸心は、アーム12Cの揺動軸心と同軸となっている。アーム12Cは、アーム12と比較すると、一対の連結プレート152が設けられておらず、上端部に左右方向に互いに離間する一対の連結片122がアーム12Cの長手方向に突出するよう設けられている。
【0096】
ホルダ15Cは、ホルダ15と比較すると、一対の連結プレート152に代わり、一対の連結プレート152Cが設けられている。一対の連結プレート152Cは、端末保持部151背面に連結されて左右方向において互いに所定距離離間した一対の板状部材であり、一対の連結片122により支軸123を介して回動自在に軸支されている。本実施形態においては、携帯端末14を保持した状態における端末保持部151の重心151W近傍に支軸123が位置付けられており、これを軸に端末保持部151が回動することとなる。ここでの近傍とは、前後方向においては、重心151Wから前方および後方ともに全重量の10%以下変動する範囲とすることが好ましい。これは左右方向においても同様である。例えば携帯端末14を保持した状態における端末保持部151の重量が300gである場合、重心151Wから前方の重量が150g、後方の重量が150gとなる。一方、重心151W近傍が示す範囲のうち、前方側の限界位置に支軸123が位置付けられた場合、上記端末保持部151は、支軸123よりも前方が120g、後方が180gとなる。なお、図25に示されるように、本実施形態においては重心151Wを通過する水平線HO上に支軸123の軸心が位置している。また、ホルダ15Cは、端末保持部151背面に半月状ギア157が一方の連結プレート152C(左右方向左側のプレート)に近接するよう設けられている。半月状ギア157は、その中心が支軸123と同軸となっている。
【0097】
ギア機構6は、アーム12Cの左右方向左側に位置してアーム12Cの下端部に挿通された支軸61により回動自在に軸支されるギア611と、当該ギア611に対して一体回転可能に設けられたプーリ612とを備える。また、ギア機構6は、アーム12Cの左右方向左側に位置してアーム12Cの上端部に挿通された支軸62により回動自在に軸支されるギア621と、当該ギア621に対して一体回転可能に設けられたプーリ622とを備える。ギア611はギア113と噛み合い、ギア621は半月状ギア157と噛み合う。プーリ612とプーリ622とは環状の無端ベルト63が巻き掛けられている。
【0098】
ギア機構6の動作について説明する。図26に示されるようにアーム12Cがギア113回りで後方、即ち時計回り方向に揺動すると、ギア113と噛み合うギア611は当該揺動に応じて時計回りに回転することとなる。このギア611の回転と共にプーリ612が時計回りに回転し、無端ベルト63も同様に時計回りに回転することとなる。無端ベルト63が巻き掛けられているプーリ622は、同方向、即ち時計回りに回転し、ギア621も同方向に回転することとなる。
【0099】
ギア621が時計回りに回転すると、ギア621と噛み合う半月状ギア157は、ギア621の回転分、反時計回りに回転、延いては端末保持部151と共に携帯端末14が反時計回りに回転することとなる。このように同一方向に回転するギア611とギア621とは、同一径、同一歯数となっており、ギア621の回転角度は、ギア611の回転角度と同一となるため、アーム12Cの回転角度と半月状ギア157の回転角度とを同一とすることができる。
【0100】
以上に説明した本実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、アーム12Cが揺動したとしても、携帯端末14やホルダ15Cが水平面に対して一定の角度を維持したまま移動することができる。また、第3の実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Bと比較して、後方にリンクプレート51を配置する必要がないため、装置の小型化が実現できる。また、各ギアの組み合わせ位置を変更することにより、ホルダ15C及び携帯端末14の維持角度の調節が可能となる。
【0101】
なお、本実施形態においては、ギア機構6はオーバーヘッドリーダ1CのアームCの左右方向一方側にのみ設けると説明したが、左右方向両方に設けるようにしてもよい。
【0102】
(第5の実施形態)
第4の実施形態では、ギア機構6を用いたが、ジンバル機構を用いることにより、第3及び第4の実施形態と同様の効果を奏するようにしてもよい。本実施形態においては、そのようなオーバーヘッドリーダを説明する。
【0103】
図27は、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダの側面図である。図28は、本実施形態に係るホルダ近傍を示す背面図である。図27おいては、説明上、ホルダ15D近傍の側面が示されており、アーム12及び照明部13が省略されている。また、図28は、連結プレート152Dの背面に直交する角度から見た背面図となっており、説明上、照明部13が省略されている。図27に示されるように、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Dは、第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1と比較して、ホルダ15に代わり、ホルダ15Dを備え、新たにジンバル機構7を備える点で異なる。
【0104】
ホルダ15Dは、ホルダ15と比較すると、一対の連結プレート152に代わり、それぞれ上端部に連結片156が更に設けられた一対の連結プレート152Dを有する。ホルダ15Dの端末保持部151背面には、ホルダ15Cと同様に一対の連結プレート152Cが設けられている。一対の連結プレート152Cは一対の連結片156により支軸123を介して回動自在に軸支されている。したがって、第4の実施形態に係るホルダ15Cと同様に、本実施形態においては、携帯端末14を保持した状態における端末保持部151の重心151W近傍に支軸123が位置付けられており、これを軸に端末保持部151が回動することとなる。なお、本実施形態においては、支軸123は一対の連結プレート152Cに相対回転不能に挿通されていることとする。
【0105】
ジンバル機構7は、棒状の第1錘部71と、分銅状の第2錘部72とを有する。第1錘部71は、図28に示されるように、支軸123の左右方向中央に連結されると共に、図27に示されるように端末保持部151から所定角度を有して傾斜している。ここでの傾斜角度は、ミラー155と同様に端末保持部151背面から60度となっている。第2錘部72は、第1錘部71の軸方向に沿って移動可能に挿通され支持されている。例えば第1錘部71周面に雄ネジを形成し、第2錘部72の挿通孔内周に雌ネジを形成することで、第1錘部71による第2錘部72の支持、及び第2錘部72の回転により第1錘部71上方への移動が可能となる。これにより、支軸123を境に、第1錘部71及び第2錘部72側の荷重と、携帯端末14を保持した状態における端末保持部151の荷重とを均等となるよう調節することができる。この均等となる状態において携帯端末14の角度を適切なもの(図27では載置面から60度)とすれば、アーム12を揺動させたとしても携帯端末14及び端末保持部151の傾斜角度を維持することができる。
【0106】
以上に説明した本実施形態によれば、ジンバル機構7がヤジロベエとして機能するため、第3及び第4の実施形態と同様に、アーム12が揺動したとしても、携帯端末14やホルダ15Dが水平面に対して一定の角度を維持したまま移動することができる。
【0107】
なお、ジンバル機構7を端末保持部151と平行になるよう設定すると、図29に示されるように、端末保持部151は載置面から略90度に起立した状態となる。この状態においてミラー155を端末保持部151背面(または載置面)から45度傾斜させることにより、カメラ141の撮像垂線は載置面に対して垂直となる。このようにすることで、図30に示されるように、載置面の撮像対象物Mを良好に撮像できると共に、携帯端末14のディスプレイ142を使用者の顔HFに向けることができる。
【0108】
この時、携帯端末14がフロントカメラを有する場合、使用者の顔HFを撮像することができ、アプリにカメラ141及びフロントカメラの同時撮像を実行するプログラムを組み込むことにより、撮像対象物Mと使用者の顔HFとの同時撮像が可能となる。したがって、例えば使用者の顔を映しつつ料理や模型、デッサン等の作業を撮像することができ、動画配信等に利用することもできる。
【0109】
(第5の実施形態の変形例)
図31は、本実施形態の変形例に係るホルダ近傍の側面図であり、図32は、本実施形態に係るホルダ近傍を模式的に示す背面図である。図31おいては、説明上、ホルダ15D近傍の側面が示されており、アーム12及び照明部13が省略されている。また、図32は、連結プレート152Dの背面に直交する角度から見た背面図となっており、説明上、アーム12が省略されている。図31及び図32に示されるように、端末保持部151背面に半月状ギア157を設け、連結プレート152D上端部に粘性抵抗を利用したロータリーダンパー付きのギア158を設けてもよい。
【0110】
半月状ギア157は、一方の連結プレート152C(左右方向左側のプレート)に近接するように、端末保持部151背面に設けられており、その中心が支軸123と同軸となっている。ギア158は、半月状ギア157と噛み合うように、一方の連結プレート152D(左右方向左側のプレート)上端部に支軸158aを介して回動自在に軸支される。支軸123と支軸158aとは、その軸心がアーム12及び連結プレート152Dの軸心に直交するように配置されている。
【0111】
以上に説明した本変形例によれば、アーム12の揺動に応じて生じる端末保持部151及びジンバル機構7の振り子運動の速度を、半月状ギア157とギア158とが噛み合うことにより緩和し、終息時間を短縮することもできる。また、携帯端末14の取り付け、取り外し時に重心を大きく移動することとなるが、これによれば端末保持部151の急な回転運動が生じることを抑止できる。
【0112】
なお、本変形例においては、半月状ギア157及びギア158は、オーバーヘッドリーダ1Dの連結プレートの左右方向一方側にのみ設けると説明したが、左右方向両方に設けるようにしてもよい。
【0113】
(第6の実施形態)
本実施形態においては、レーザポインタを更に備えるオーバーヘッドリーダを説明する。
【0114】
図33及び図34は、本実施形態に係るホルダ近傍を示す正面図、側面図である。なお、図33に示されるX方向は上下方向、Y方向は左右方向、Z方向は前後方向を示しており、以後X方向とY方向とに延在する平面をX-Y平面と称する。また図34では、説明上、照明部13は省略されている。図33及び図34に示されるように、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Eは、第1の実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1と比較して、ミラー155に代わり、ミラー155Eを備え、新たに一対のレーザポインタ81及びレーザ用ミラー82がホルダ15に設けられている点で異なる。
【0115】
ミラー155Eは、第1の実施形態に係るミラー155と比較すると、端末保持部151背面との連結部分である上端部の左右方向両端が切り欠かかれた台形形状に形成されている点で異なる。この切り欠かれた2つの切り欠き部分(空間)は、カメラ141の画角の範囲外である。
【0116】
一対のレーザポインタ81は、ホルダ15の端末保持部151または一対の連結プレート152に個別に取り付けられ、ミラー155Eの左右方向上部両端、すなわち上記の2つの切り欠き部分にそれぞれが個別に指向性の高い略直線状の光線、好ましくはレーザ光を互いに平行に照射する。図33に示される一点鎖線は、照射されたレーザ光の光軸を示している。なお、レーザポインタ81は、不図示の信号ケーブルを有して台座11のコネクタ部112に接続され、台座11の制御部と通信可能に接続し、これにより携帯端末14によるレーザ光照射の制御がなされるようにしてもよい。また、近距離無線通信により携帯端末14と通信可能に接続してもよい。
【0117】
レーザ用ミラー82は、端末保持部151背面に取り付けられており、一対のレーザポインタ81により照射された2つのレーザ光を載置面側に反射する。図34に示されるように、ここでは端末保持部151は載置面から60度傾斜しているため、レーザ用ミラー82は同角度で傾斜する。したがって、レーザポインタ81をレーザ用ミラー82から30度傾斜させることにより、レーザ光は図33に示されるカメラ141の撮像垂線141Lを含むX-Y平面において撮像垂線141Lに平行になり、Y-Z平面にある載置面に垂直入射させることができる。図34に示される符号81Lで示される一点鎖線は、載置面に垂直に入射するレーザ光の光軸を示している。このように設定すれば、撮像範囲の長手方向の中央線上にレーザ光を照射することができる。
【0118】
なお、図35に示されるように、一対のレーザポインタ81をレーザ光が互いに接近するように傾斜させてもよい。この場合、一対のレーザポインタ81は、互いに異なる光色のレーザ光を照射することが好ましく、丸や三角、四角等のレーザ光の形状を互いに異ならせてもよい。
【0119】
図36は、本実施形態に係るレーザ光の載置面への入射状態を説明するための図である。図33及び図35に示されるような一対のレーザポインタ81からのレーザ光を平行に照射すると、図36(a)に示されるように、2点の光点が撮像対象物M表面に現れる。これによれば、撮像対象物Mをカメラ141の画角の中央に置く際の目印とすることができる。
【0120】
なお、レーザビームスプリッタ等の光線を分割するものを用いることにより、レーザポインタ81を1つのみとしてもよい。また、撮像範囲中心からのオフセットが少ないので、レーザポインタ81を1つのみとしても撮像中心位置を容易に推定できる。
【0121】
一方、図35に示されるように一対のレーザポインタ81を左右方向に傾斜させ、レーザ光を撮像垂線141Lを含むX-Y平面において互いに交差する角度で照射するようにし、撮像に際して撮像対象物M表面とカメラ141との距離が標準である場合は、図36(b)に示されるように光点が一点に集中するようにする。こうすると、当該距離が標準より短い場合は、図36(c)に示されるように光点が一点に集中されない。また、当該距離が標準より長い場合は、図36(d)に示されるように光点が交差することとなる。したがって、このようにレーザーポインタ81を設定すると使用者が撮像対象物M表面からカメラ141までの適切な距離が推定できる。
【0122】
なお、本実施形態においては、ミラー155Eがミラー155より左右方向上部両端を切り欠いた形状であると説明したがこれに限定するものではない。図3に示されるような矩形のミラー155であっても、左右方向上部両端における反射材(アルミ蒸着膜)を取り除き、透過性の高い透明ガラスの状態とすることで、レーザポインタ81のレーザ光を通過させるようにしてもよい。
【0123】
(第7の実施形態)
第6の実施形態では、1枚のミラー155Eにより撮像対象物Mの鏡像をカメラ141へ折り返したが、2枚のミラーを用いて正立像をカメラ141へ折り返すようにしてもよい。本実施形態においては、そのようなオーバーヘッドリーダを説明する。
【0124】
図37及び図38は、本実施形態に係るホルダ近傍を示す正面図、側面図である。図37及び図38に示される一点鎖線はレーザ光の光軸を示している。なお、図38では、説明上、照明部13は省略されている。図37及び図38に示されるように、本実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Fは、第6の実施形態に係るオーバーヘッドリーダ1Eと比較して、ミラー155Fを新たに備える点で異なる。
【0125】
ミラー155Fは、図38に示されるように、端末保持部151背面の下端に取り付けられており、端末保持部151と平行に傾斜している。一方、ミラー155Eは、載置面に対して垂直となるように端末保持部151に取り付けられている。これにより、ミラー155Fは、ミラー155Eに向けて撮像対象物Mの鏡像を折り返し、ミラー155Eは、その鏡像をカメラ141へ折り返すこととなる。したがって、カメラ141は、正立像を撮像することが可能となる。また、一対のレーザポインタ81より照射されたレーザ光は、ミラー155Eの切り欠き部分を通過し、ミラー155Fにより載置面側へ反射させることができる。
【0126】
以上に説明した本実施形態によれば、2枚のミラーにより正立像をカメラ141へ折り返すことができ、携帯端末14において撮像画像保存時に画像反転を行う必要がなく処理速度の向上の効果を奏する。また、レーザ光がミラー155Eの光路になっていない切り欠き部分を通過し、ミラー155Fで反射せることでカメラ141の撮像垂線と平行な光路配置が可能となる。
【0127】
なお、必ずしも携帯端末14を構成要素にする必要はなく、ホルダ15にカメラを設け、台座11の制御部(例えば制御基板)或いはさらに別のコンピュータが信号取得部や画像取得部、画像処理部の機能を実行する構成であってもよい。
【0128】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1,1A~1F オーバーヘッドリーダ(画像読取装置)
12,12C アーム(支持部)
13 照明部
14 携帯端末
141 カメラ(撮像部)
142 ディスプレイ(表示部)
15 ホルダ(保持部、支持部)
151 端末保持部(保持部)
152,152D 連結プレート(支持部)
155,155E ミラー(第1ミラー)
155F ミラー(第2ミラー)
81 レーザポインタ(光線照射部)
82 レーザ用ミラー(第2ミラー)
M 撮像対象物
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