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  • 特開-皮膚の粘弾性向上剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149889
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】皮膚の粘弾性向上剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/81 20060101AFI20220929BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220929BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20220929BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220929BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220929BHJP
   A23C 9/133 20060101ALI20220929BHJP
   A61K 31/704 20060101ALN20220929BHJP
   A23G 4/06 20060101ALN20220929BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20220929BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
A61K36/81
A61P17/00
A61K8/9789
A61Q19/00
A23L33/105
A23C9/133
A61K31/704
A23G4/06
A23G3/34 101
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052226
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】594045089
【氏名又は名称】オリザ油化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹田 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】下田 博司
(72)【発明者】
【氏名】村井 弘道
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B018
4B117
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC05
4B001AC06
4B001AC31
4B001AC43
4B001EC05
4B014GB06
4B014GB13
4B014GG09
4B014GG12
4B014GK05
4B014GL04
4B014GL10
4B018LB01
4B018LB08
4B018MD53
4B018ME14
4B018MF01
4B117LC04
4B117LG09
4B117LK12
4B117LL01
4B117LL06
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB352
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC582
4C083AC642
4C083AD152
4C083AD512
4C083AD572
4C083AD622
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC25
4C083DD41
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA19
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C088AB48
4C088AC04
4C088BA08
4C088BA13
4C088CA03
4C088MA17
4C088MA22
4C088MA28
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA47
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】
【課題】 新規な皮膚の粘弾性向上剤を提供する。
【解決手段】 上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1. トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の純弾性向上剤。
2.トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の正味の弾性向上剤。
3.トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の戻り率向上剤。
4.上記1.~上記3.のいずれかに記載の皮膚の粘弾性向上剤。
5.トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の粘弾性向上剤。
6.トマト種子抽出物を有効成分とするAGE産生抑制剤。
7.上記トマト種子抽出物は、リコペロサイド類を含有するものであることを特徴とする上記1.~上記6.に記載の剤。
8.上記リコペロサイド類は、リコペロサイドHであることを特徴とする上記7.に記載の剤。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の純弾性向上剤。
【請求項2】
トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の正味の弾性向上剤。
【請求項3】
トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の戻り率向上剤。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の皮膚の粘弾性向上剤。
【請求項5】
トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の粘弾性向上剤。
【請求項6】
トマト種子抽出物を有効成分とするAGE産生抑制剤。
【請求項7】
上記トマト種子抽出物は、リコペロサイド類を含有するものであることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の剤。
【請求項8】
上記リコペロサイド類は、リコペロサイドHであることを特徴とする請求項7に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の皮膚の粘弾性向上剤に関する。本発明は、食品、医薬品、化粧料等に広く利用される。
【背景技術】
【0002】
皮膚の健康状態は、様々な指標を用いて評価される。例えば、皮膚の「はり」感の有無が健康状態や老化度の評価指標の一つとされる。「はり」は、角層・表皮由来のはりと、真皮由来のはりの二つに分けられる。特に真皮由来のはりは、指で皮膚を押すと押し戻すような弾力があり、指を離すと速やかに元に戻る状態をいい、物理的には粘弾性ともいう。そして皮膚の示すこの粘弾性は、年齢や紫外線被曝、化学物質への皮膚露出などによっても低下する。このため、皮膚のはりは、皮膚老化の指標ともなり得る。
皮膚を一つの弾性体であるとみなして、皮膚の粘弾性率を測定し、「はり」という官能的な評価方法に代えて用いようとする方法及び測定装置が開発されている。代表的な皮膚粘弾性測定装置としてCUTOMETER・キュートメーター(商品名)(Courage & Khazaka社製)がある。この装置は、皮膚表面を陰圧状態のプローブ開口部に引き込み、開口部に引き込まれた皮膚長をプリズムで測定し、次いで吸引を解除し、解除したときの変位長(戻り)を同様に測定し、この測定結果をパラメータとして粘弾性率を求めるものである(非特許文献1参照)。この装置を用いた粘弾性率を指標として、皮膚の老化度の評価や、化粧料の効果を評価することが化粧品業界や、美容関連医療分野において広く普及している。
特許文献1には、皮膚のたるみを改善させるような美容施術を行ったときの効果を評価する手段としてキュートメーターを使用することが記載されている。
非特許文献2には、グルコシルセラミド含有ビート抽出物の皮膚弾力性に及ぼす影響を、キュートメーターを用いて評価したことが記載されている。このように皮膚粘弾性は皮膚の健康状態を評価するための重要なパラメータであると認識されている。
【0003】
また、皮膚の粘弾性を向上させる成分や組成物も各種提案されている。特許文献2には、昆布由来のフコイダンは、低下した皮膚の弾性を向上させることが記載されている。特許文献3には、アスタキサンチンが皮膚の弾性を向上させることが記載されている(特許文献4)。
【0004】
また、メイラード反応による生体内のタンパク質の糖化は様々な症状や疾患に関与し、老化現象へとつながることが明らかとなっている。
例えば、メイラード反応により生成したAGEsの体内への蓄積は、糖尿病合併症、動脈硬化、骨粗鬆症、後縦靭帯骨化症、筋委縮、関節リウマチ、加齢黄斑変性、非アルコール性脂肪肝炎、インスリン抵抗性、歯周病、アルツハイマー病、神経変性疾患、皮膚疾患などのさまざまな疾患の発症の原因の1つとなり得る。
また、皮膚の真皮を構成するコラーゲンがメイラード反応により糖化されると、皮膚の弾力や張りを保っているコラーゲンが分解される。これにより皮膚は弾力を失い、張りの低下やシワやたるみの形成に関与する。
さらに、骨組織を構成するコラーゲンがメイラード反応により糖化されると、骨のしなやかさが失われる。骨のしなやかさが失われると、骨密度が正常であっても骨強度が低下する。したがって、生体内のコラーゲンに対するメイラード反応は、骨強度を示す指標の1つである骨のしなやかさ(骨質)の劣化にも影響する(特許文献5)。
【0005】
一方、トマト(Solanum lycopersicum)は世界中で日常的に食されている植物であり、ビタミンC、リコピン、GABAなどの成分を豊富に含むことからジュースやサプリメントとして販売されている。トマトの機能性としては、血圧低下作用やコレステロール低下作用が報告されている。また、2004年にはトマトから新規のサポニンであるesculeoside類が同定され(非特許文献5及び非特許文献6)、そのうちesculeoside Aにはマウスにおける高脂血症および動脈硬化の改善作用が見出されている(非特許文献7)。しかしながら、これらは全てトマトの果実における知見であり、トマトの種子に限定した報告は少ない。
【0006】
また、トマト種子に着目した研究の結果、種子に主要な成分がサポニン化合物であるリコペロサイドHであること、トマト種子エキスおよびリコペロサイドHがヒト皮膚線維芽細胞におけるコラーゲンおよびエラスチンの産生促進作用を示すことが見出されている(非特許文献2)。また、アトピー性皮膚炎モデルマウスにトマト種子エキスおよびリコペロサイドHを経口投与することによって、経皮水分蒸散量の改善を伴う皮膚炎症状の緩和作用も確認されている(非特許文献3)
【0007】
【特許文献1】特開2010-51717号公報
【特許文献2】特開2003-313131号公報
【特許文献3】特開2005-27589号公報
【特許文献4】特開2016-216436号公報
【特許文献5】特開2017-171638号公報
【非特許文献1】株式会社インテグラル. Cutometer dual MPA580 取扱説明書 (Cuto dual 07/2014 EN JA). 2014.
【非特許文献2】堀未央、米井嘉一他、Anti-Aging Medicine、 7[11]129-142、2010
【非特許文献2】竹田翔伍, 山田和佳奈, 中村誠宏ら. トマト種子抽出物および含有サポニンの皮膚細胞外マトリックスに及ぼす効果. 農芸化学会2019年度大会講演要旨集. 2019;242.
【非特許文献3】オリザ油化株式会社 トマト種子エキスカタログ 更新日 2019 年9 月24 日
【非特許文献4】Ohshima H, Kinoshita S, Oyobikawa M, et al. Use of Cutometer area parameters in evaluating age-related changes in the skin elasticity of the cheek. Ski Res Technol. 2013;19(1):1-2.
【非特許文献5】Fujiwara S. et al., Tetrahedron, 60, 4915-4920 (2004).
【非特許文献6】Ono M. et al., Chem. Pharm. Bull., 54(2), 237-239 (2006).
【非特許文献7】Nohara T., J. Trad. Med., 27, 217-224 (2010).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景の下、本発明者は、トマト種子抽出物、特にリコペロサイド類を含有するトマト種子抽出物に皮膚の粘弾性向上作用及びAGE産生抑制作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、新規な成分を有効成分とする皮膚の粘弾性向上剤及びAGE産生抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1. トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の純弾性向上剤。
2.トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の正味の弾性向上剤。
3.トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の戻り率向上剤。
4.上記1.~上記3.のいずれかに記載の皮膚の粘弾性向上剤。
5.トマト種子抽出物を有効成分とする皮膚の粘弾性向上剤。
6.トマト種子抽出物を有効成分とするAGE産生抑制剤。
7.上記トマト種子抽出物は、リコペロサイド類を含有するものであることを特徴とする上記1.~上記6.に記載の剤。
8.上記リコペロサイド類は、リコペロサイドHであることを特徴とする上記7.に記載の剤。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】キュートメーターを操作したときに得られる皮膚の変形を測定したチャートである。
図2】トマト種子エキス-P摂取が皮膚の粘弾性に及ぼす影響を示すグラフである。
図3】トマト種子エキス-P摂取が血中ペントシジン量に及ぼす影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はトマト種子抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
また、上記トマト種子抽出物は、リコペロサイド類を含有することが好ましい。より優れた皮膚の粘弾性向上剤を得ることができるからである。
上記リコペロサイド類は特に限定されないが、特にリコペロサイドHを含有することが好ましい。
尚、リコペロサイドHは下記の化学式(1)に示されるサポニンである。
【0012】
【化1】
【0013】
上記トマト種子抽出物を得るための抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1、3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル等の極性溶媒を使用することができる。これらの溶媒を2種以上混合してもよい。
望ましくは、水、エタノールまたはこれらの混合物である含水エタノールを抽出溶媒として用いると、有効成分が効率よく抽出される。
【0014】
抽出溶媒として水を用いる場合、水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水等を使用することができる。
【0015】
抽出溶媒としての含水エタノールを用いる場合、エタノールの濃度が特に限定されないが、特にエタノール濃度10~90%(wt/wt)、望ましくはエタノール濃度20~80%(wt/wt)であるとよい。エタノール濃度90%(wt/wt)以下としたのは、エタノール濃度が高すぎると、リコペロサイド類を高濃度に含有するトマト種子抽出物を得ることが困難だからである。
【0016】
抽出温度としては、20~80℃、望ましくは40~50℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくくなり、抽出温度が高すぎると、有効成分が分解し、生理活性(健康機能性)が低下するためである。
【0017】
抽出方法としては、撹拌抽出、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0018】
具体的な抽出方法を示すと、抽出溶媒を満たした処理槽に原料(トマト種子)を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒として含水エタノールを用いる場合には、抽出原料の2~100倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し、30分~2時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。
【0019】
その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、精製、乾燥等の処理を施し、本発明による剤とする。
精製方法は、合成吸着樹脂、ゲル濾過樹脂等に抽出液を通して有効成分を吸着させ、これをメタノール、エタノール等で溶出させて濃縮を行うとよい。
【0020】
また、上記トマト種子抽出物は市販品を用いてもよく、例えば、オリザ油化株式会社製の「トマト種子エキス-P」等を用いることができる。
上記「トマト種子エキス-P」はトマト種子の含水エタノール抽出物の水溶性粉末であり、リコペロサイド類を0.5%以上含有しているからである。
【0021】
本発明の皮膚の粘弾性向上剤は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明の剤を適宜配合するとよい。
【0022】
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L-アスコルビン酸、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤の食品素材を使用することができる。
【0023】
具体的な製法としては、本発明の剤を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また、前記本発明の剤を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0024】
本発明の剤を飲食品に適用する場合の添加量としては、病気予防や健康維持が主な目的であるので、飲食品に対して有効成分の含量が合計1~20wt%以下であるのが好ましい。
【0025】
本発明の皮膚の粘弾性向上剤は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に、本発明の剤を適宜配合して製造することができる。本発明の剤に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0026】
本発明の皮膚の粘弾性向上剤の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、局所組織内投与、皮内、皮下、筋肉内および静脈内注射などによることができる。また、坐剤などの形態としてもよい。更に、点眼薬として投与することができる。
【0027】
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.5~5000mg、子供では通常0.5~3000mg程度投与することができる。さらに、リコペロサイドHとして0.01~100mg、好ましくは0.1~10mgを含有するものとすることが好ましい。
皮膚の粘弾性向上剤の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3~15.0wt%、非経口投与による場合は、0.01~10wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0028】
本発明の皮膚の粘弾性向上剤は、皮膚外用剤(化粧品、医薬品および医薬部外品を含む)として用いても、皮膚の粘弾性向上作用を期待することができる。
本発明の皮膚の粘弾性向上剤を配合しうる皮膚外用剤の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。また、本発明の皮膚の粘弾性向上剤を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0029】
上記形態の皮膚外用剤には、本発明による皮膚の粘弾性向上剤の他に、その皮膚の粘弾性向上作用を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0030】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、キウイ種子油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0031】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0032】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0033】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0034】
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0035】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0036】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0037】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0038】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、免疫賦活剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の免疫賦活剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルア
ミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロテノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0039】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロテノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0040】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【0041】
また、本発明のAGE産生抑制剤はトマト種子抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
上記AGE産生抑制剤は上述した皮膚の粘弾性向上剤と同様のトマト種子抽出物を用いることができる。
【実施例0042】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明によって得られる本発明の剤の各種作用・効果等の確認のために説明するもので、本発明の範囲は、これらの製品および製法に限定されるものではない。
【0043】
試験例:トマト種子抽出物における皮膚の粘弾性及びAGE(血中ペントシジン量)抑制作用の評価
<試験概要>
試験デザイン: ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
対象者 : 顔の肌の弾力に悩みを持つ健常な成人女性
試験品 : トマト種子抽出物としてトマト種子エキス-P(オリザ油化株式会社製:総リコペロサイド含量0.5%以上) 200 mg/日 (リコペロサイドHとして1 mg/日)を経口摂取
プラセボ品: 澱粉分解物 200 mg/日
摂取期間: 8週間
測定ポイント: 摂取前,摂取4週後および8週後
測定項目: キュートメーターによる皮膚の粘弾性(頬および二の腕),血中ペントシジン量
その結果を図2(皮膚の粘弾性)及び図3(血中ペントシジン量)に示す。
【0044】
キュートメーターによる皮膚の粘弾性の測定は次のようにして行われた。
吸引径6ミリで300mbの吸引圧にて10秒間吸引し、その後開放したときの変形する皮膚の変位を解析する。キュートメーターで得ることのできる皮膚粘弾性値の測定パラメータとして一定の吸引圧及び時間で変形する皮膚の変位を解析して求められる戻り弾性比率(純弾性)(Ur/Uf)が主として評価に用いられる。キュートメーターによる皮膚の変位量の経時的測定の代表的なチャートを図1に示す。図1において、Uf:吸引時の最大の皮膚の伸び、Ur:即時的収縮、Ue:吸引による即時的(瞬間的:0.1秒)な皮膚の伸びである。
皮膚の粘弾性指標として用いられるパラメータは、R2:吸引時の皮膚の伸びた最大の長さに対する吸引開放時の皮膚の戻り率=純弾性(R2=Ur/Uf)、R5:瞬間的に皮膚が伸びた長さに対して皮膚が元の高さに戻った値の非=正味の弾性(R5=Uf/Ue)R7:吸引時の皮膚の伸びた長さに対する即時的(瞬間的)な収縮率=戻り率(R7=Ur/Ue)である。
R2は測定時間を通した純弾力性、R5は吸引時の正味の弾力性、R7は最大侵入深度に対する回復の大きさを示しており、いずれも1に近づくほど皮膚の弾力性が高いことを意味する。キュートメーターを使用して29~55歳の日本人女性の肌に対する各Rパラメーターの関係を調査した研究では、R2、R5、R7が年齢と負の相関を示すことが確認され、特にR7は肌の年齢変化を反映した指標であることが示唆されている(非特許文献4)。
【0045】
結果及び実施例の効果
試験の結果,弾力パラメーターである皮膚の元の状態に戻る能力と最大振幅の比 (R2),曲線全体に対する弾力性回復部分の比(R7)および頬の弛緩段階の弾力性部分に対する吸引段階の弾力性部分の比(R5)において,トマト種子エキス摂取による有意な効果が確認された(図2)。このうち,R2は摂取4週後において有意な効果が確認され,R5およびR7は摂取4週後および8週後のいずれにおいても有意な効果が確認された。これにより、トマト種子エキスが純弾性向上剤、皮膚の正味の弾性向上剤、皮膚の戻り率向上剤として有用であり、これにより、皮膚の粘弾性向上剤として有用であることが確認された。
また,糖化ストレスのバイオマーカーであってAGEの一つである血中ペントシジン量において,摂取8週後でのトマト種子エキス摂取による有意な減少が確認された(図3)。
これにより、トマト種子エキスは血中のAGE産生抑制剤として有用であることが確認された。
以上により、本実施例のトマト種子エキスは、それを経口摂取することにより加齢に伴って減少する肌の弾力を維持する効果があることが確認された。
【0046】
本発明の皮膚の粘弾性向上剤(リコペロサイドH含有トマト種子抽出物)の配合例を示す。尚、以下の配合例は本発明を限定するものではない。また、AGE産生抑制剤も上記皮膚の粘弾性向上剤と同様な配合例として使用することができる。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
皮膚の粘弾性向上剤 0.5
100.0wt%
【0047】
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブトウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
ユズ果汁 4.0
ユズフレーバー 0.6
色素 0.02
皮膚の粘弾性向上剤 1.0
100.0wt%
【0048】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
皮膚の粘弾性向上剤 0.4
100.0wt%
【0049】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
皮膚の粘弾性向上剤 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0050】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
皮膚の粘弾性向上剤 0.3
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0051】
配合例6:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
皮膚の粘弾性向上剤 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0052】
配合例7:ソフトカプセル
玄米胚芽油 47.0wt%
ユズ種子油 40.0
乳化剤 12.0
皮膚の粘弾性向上剤 1.0
100.0wt%
【0053】
配合例8:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
皮膚の粘弾性向上剤 1.0
100.0wt%
【0054】
配合例9:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
皮膚の粘弾性向上剤 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0055】
配合例10:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
皮膚の粘弾性向上剤 0.1
精製水 残余
100.0wt%
【0056】
配合例11:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
皮膚の粘弾性向上剤 1.0
1、3-ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0057】
配合例12:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L-アルギニン 1.0
皮膚の粘弾性向上剤 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0058】
配合例13:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
皮膚の粘弾性向上剤 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上により、本発明は、新規の皮膚の粘弾性向上剤及びAGE産生抑制剤を提供することができる。
図1
図2
図3