(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149914
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】食品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/48 20060101AFI20220929BHJP
G01G 13/08 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B65G65/48 E
G01G13/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052259
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】501489018
【氏名又は名称】株式会社 キョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100188248
【弁理士】
【氏名又は名称】丹生 哲治
(72)【発明者】
【氏名】井手上 清治
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 信孝
(72)【発明者】
【氏名】井手上 慎司
【テーマコード(参考)】
2F046
3F075
【Fターム(参考)】
2F046BA09
2F046CA01
3F075AA07
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA02
3F075CA04
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB01
3F075CC04
3F075CD04
3F075CD06
3F075CD11
3F075CD15
3F075DA04
(57)【要約】
【課題】ホッパ内の食品の安定的な切り出しが可能で、パイプフィーダのメンテナンスが容易で時間短縮でき、食品に応じてホッパからの食品切り出しと、筒体による食品搬送とを個別に調整できる食品搬送装置を提供する。
【解決手段】切り出し回転板38を筒体14から分離したため、食品12の種類や周辺環境の影響でホッパ下部内の食品切り崩し不良が減少し、食品12の安定切り出しができる。筒体14と切り出し回転板38とを分離したため、パイプフィーダ15のメンテナンスが容易で、作業時間も短縮する。食品12やその搬送条件に応じて、ホッパ13内からの食品切り出しと、筒体14内での食品搬送とを個別に調整できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収納して、底部の前面に前記食品の排出部が形成されたホッパと、
前記排出部に、下方傾斜する食品搬送用の筒体の基端部が連通されて、該筒体を周方向へ回転させながら、前記ホッパ内の前記食品を切り出すパイプフィーダとを備えた食品搬送装置において、
前記ホッパの底部には、前記食品の切り出し羽根が上面に突設されて、上下方向に延びる回転軸を中心に回転することで、前記食品を前記切り出し羽根により前記排出部へ切り出す切り出し回転体が配され、
該切り出し回転体は、駆動モータにより回転させられるもので、
前記ホッパ内の前記排出部付近には、前記ホッパに投入された前記食品が、直接、前記排出部に流れ込むのを阻止する邪魔部材が配されたことを特徴とする食品搬送装置。
【請求項2】
前記邪魔部材を昇降させて、前記排出部の開度調整を行う昇降手段を有したことを特徴とする請求項1に記載の食品搬送装置。
【請求項3】
前記排出部には、前方へ突出して、前記筒体の基端部が抜き差し自在に外挿される排出シュートが連結されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品搬送装置。
【請求項4】
前記筒体は、回転力伝達機構部を介して、前記駆動モータの出力軸に連結された回転ローラにより回転させられるものであることを特徴とする請求項1~請求項3のうち、何れか1項に記載の食品搬送装置。
【請求項5】
前記パイプフィーダは複数配設され、
前記各パイプフィーダの前記各筒体の先端の下方に配されて、対応する筒体の先端からそれぞれ排出された前記各食品を受ける複数の受け部材と、
該各受け部材が受けた前記各食品をそれぞれ秤量する複数の秤量器と、
前記各受け部材にそれぞれ形成された複数の投下口を各開閉する複数の開閉手段とを有したことを特徴とする請求項1~請求項4のうち、何れか1項に記載の食品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を搬送する食品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を搬送して秤量する食品秤量搬送装置(食品搬送装置)として、例えば、非特許文献1のものが知られている。
特許文献1の従来装置は、食品を収納し、かつ前板の下部に食品の排出部が左右方向へ所定ピッチで複数配設されたホッパと、各排出部にそれぞれ筒体の基端部が連通されて、ホッパ内の食品を切り出す複数のパイプフィーダと、各パイプフィーダから投下された各食品を受ける複数の受け部材と、各受け部材が受けた各食品を秤量する複数の秤量器とを備えたものである。
なお、ホッパの下部は下方へ徐々に先細り化しており、また、各筒体の基端部には、ホッパ下部内に配されて食品を切り出す爪付きアタッチメント(食品切り出し部材)が着脱可能に装着されていた。
【0003】
従来装置の稼働時には、下方傾斜した各パイプフィーダの筒体を回転させて、ホッパの下部に溜まった食品を、各爪付きアタッチメントによりホッパ前方から切り出す。その後、切り出された各食品は、対応する筒体の基端開口から各筒体の上流部にそれぞれ導入され、それから各食品は、下方傾斜した回転中の各筒体の内周面に沿って徐々に下流へと搬送され、対応する筒体の先端開口から各受け部材にそれぞれ投下される。ここで各秤量器により各食品の重さが秤量された後、各受け部材より各食品がそれぞれ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようにホッパに収納された食品の切り出しは、ホッパの下部に溜まった食品を、ホッパ前方から、回転中の各爪付きアタッチメントにより切り出していた。そのため、食品の種類や周辺環境(温度や湿度等)によっては、ホッパ下部内の食品を各爪付きアタッチメントにより切り崩せない場合が発生し、安定した食品の搬送を実現することはできなかった。
【0006】
また、各パイプフィーダのメンテナンス時には、まず、各筒体の基端部から各爪付きアタッチメントを取り外すとともに、各筒体をホッパの各排出部から抜き取ってこれらの部材を洗浄し、その後、これらの部材を元通りに組み立てる必要があった。そのため、このメンテナンス作業が面倒で、それに長時間を要していた。
【0007】
さらに、従来の各爪付きアタッチメントは、各筒体の基端部にそれぞれ装着されていた。そのため、対応する爪付きアタッチメントと筒体とは同一速度で回転していた。
その結果、通常の回転速度の爪付きアタッチメントによる食品切り出しの安定性を確保しつつ、筒体の回転速度のみを高めて、筒体内で搬送中の食品を拡散させることはできなかった。
また、食品によっては、筒体の回転速度は通常のままで、ホッパ内からの切り出しのみを早めた方が好適な食品搬送となる場合もあった。
【0008】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、爪付きアタッチメントである食品切り出し部材を筒体から分離し、この食品切り出し部材として、ホッパの底部に配され、かつ食品を受ける上面に切り出し羽根が突設された切り出し回転体を採用すれば、ホッパに収納された食品の切り出しが、ホッパの下方から前方へ行われるようになり、その結果、上述した課題はすべて解消されることを知見し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、ホッパ内の食品の安定的な切り出しが可能で、またパイプフィーダのメンテナンスが容易で、そのメンテナンスの作業時間も短縮でき、さらには食品に応じて、ホッパ内からの食品の切り出しと、パイプフィーダの筒体内での食品の搬送とを個別に調整することができる食品搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、食品を収納して、底部の前面に前記食品の排出部が形成されたホッパと、前記排出部に、下方傾斜する食品搬送用の筒体の基端部が連通されて、該筒体を周方向へ回転させながら、前記ホッパ内の前記食品を切り出すパイプフィーダとを備えた食品搬送装置において、前記ホッパの底部には、前記食品の切り出し羽根が上面に突設されて、上下方向に延びる回転軸を中心に回転することで、前記食品を前記切り出し羽根により前記排出部へ切り出す切り出し回転体が配され、該切り出し回転体は、駆動モータにより回転させられるもので、前記ホッパ内の前記排出部付近には、前記ホッパに投入された前記食品が、直接、前記排出部に流れ込むのを阻止する邪魔部材が配されたことを特徴とする食品搬送装置である。
【0011】
ここでいう食品は、乾燥食品、生食品、半生食品、粒状食品、粉状食品の何れでもよい。
食品の種類は任意である。例えば、各種の野菜、各種の肉(加工肉を含む)、各種の魚介類、各種の果物などを採用することができる。
食品のサイズは任意である。
また、食品は1種類だけでも、2種類以上でもよい。例えば、食品が乾燥食品の場合、茶漬け、ふりかけ、インスタントラーメンのかやく、刻み海苔などでもよい。
【0012】
食品搬送装置は、食品が貯留されるホッパと、ホッパの底部の前面に形成された排出部に、下方傾斜する食品搬送用の筒体の基端が連通されたパイプフィーダとを備えていれば任意である。例えば、パイプフィーダの下流に、このフィーダから投下された食品を受ける受け部材(バケット)と、受け部材の食品を秤量する秤量器(ロードセル)とを有した食品秤量搬送装置でもよい。
ホッパの形状やサイズは任意である。
ホッパの使用数は限定されない。例えば、1つでも複数でもよい。
【0013】
ホッパの底部における排出部の形成位置は任意である。例えば、ホッパの底板を厚肉にして、そこに切り出し回転体の収納穴を形成し、この収納穴に連通する排出部を、この底部の前面に形成してもよい。または、ホッパの前板の底部に、排出部を形成してもよい。
さらに、排出部の形状も任意である。例えば、円形、楕円形、半円形などを採用することができる。その他、四角形などの多角形でもよい。
【0014】
パイプフィーダの種類は、筒体と、これを回転駆動する電動モータなどの駆動モータ(回転駆動手段)とを有し、回転モータにより筒体を回転してホッパ内の食品を切り出せるものであれば任意である。
駆動モータによる筒体の回転機構は限定されない。例えば、筒体に周設された外歯歯車を有する歯車回転式のものでも、筒体のメンテナンスが容易なように、筒体をローラに載置し、このローラを回転駆動させるローラ回転式のものでもよい。
【0015】
パイプフィーダの使用数は、1つのホッパに対して1つでも複数でもよい。
筒体の素材は任意である。例えば、ステンレスなどの各種の金属、各種のプラスチックなどを採用することができる。
筒体のサイズや回転速度は限定されない。
“筒体の下方傾斜”とは、筒体が先端を下に向けて傾斜している状態をいう。その傾斜角度は任意である。例えば、2°~10°、特に5°前後が好ましい。
【0016】
切り出し回転体の素材は限定されない。例えば、各種のプラスチック、各種の金属を採用することができる。
切り出し回転体の形状は任意である。例えば、円形、楕円形、多角形などでもよい。
切り出し回転体のサイズも任意である。
切り出し回転体の回転速度は任意である。例えば、10~60rpmでもよい。
【0017】
切り出し羽根の素材は限定されない。例えば、各種のプラスチック、各種の金属を採用することができる。
切り出し羽根の形状は任意である。例えば、円形、楕円形、多角形などを採用することができる。
切り出し羽根の形成数は任意である。1つでも複数でもよい。
【0018】
邪魔部材の素材は限定されない。例えば、各種のプラスチック、各種の金属を採用することができる。
邪魔部材は、板材でもブロック材でもよい。
邪魔部材の形状およびサイズは、ホッパに投入された食品が、直接、排出部に流れ込むのを阻止可能であれば、それぞれ任意である。
【0019】
例えば、邪魔部材の形状は、四角形などの多角形、半円形などでもよい。また、邪魔部材のサイズも、排出部と同一サイズ、またはそれより大きくても小さくてもよい。
邪魔部材の形成位置は、ホッパの底部内の排出部付近であって、ホッパに投入された食品が、直接、排出部に流れ込むのを阻止可能な位置であれば限定されない。例えば、この排出部の付近であって、排出部より上方位置でも、排出部と対峙する位置でもよい。
【0020】
請求項2に記載の発明は、前記邪魔部材を昇降させて、前記排出部の開度調整を行う昇降手段を有したことを特徴とする請求項1に記載の食品搬送装置である。
昇降手段は、手動式のものでも、昇降モータにより駆動される自動式のものでもよい。
昇降手段の構造は任意である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記排出部には、前方へ突出して、前記筒体の基端部が抜き差し自在に外挿される排出シュートが連結されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品搬送装置である。
排出シュートの素材は限定されない。例えば、各種のプラスチック、各種の金属を採用することができる。
排出シュートの形状は任意である。例えば、樋状、パイプ状でもよい。
【0022】
請求項4に記載の発明は、前記筒体は、回転力伝達機構部を介して、前記駆動モータの出力軸に連結された回転ローラにより回転させられるものであることを特徴とする請求項1~請求項3のうち、何れか1項に記載の食品搬送装置である。
【0023】
回転力伝達機構部の構造は限定されない。例えば、歯車式、ベルト式のものなどを採用することができる。
回転ローラの直径、回転速度は限定されない。筒体の回転速度に応じて適宜選択される。
回転ローラの使用数は任意である。1つでも2つ以上でもよい。
【0024】
切り出し回転体と筒体との回転速度の比率は任意である。例えば、切り出し回転体1:筒体1~切り出し回転体1:筒体4でもよい。ただし、この比率は、切り出し回転体による単位時間当たりの食品の切り出し量や、円筒体による食品の単位時間当たりの食品の搬送量に応じて異なる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、前記パイプフィーダは複数配設され、前記各パイプフィーダの前記各筒体の先端の下方に配されて、対応する筒体の先端からそれぞれ排出された前記各食品を受ける複数の受け部材と、該各受け部材が受けた前記各食品をそれぞれ秤量する複数の秤量器と、前記各受け部材にそれぞれ形成された複数の投下口を各開閉する複数の開閉手段とを有したことを特徴とする請求項1~請求項4のうち、何れか1項に記載の食品搬送装置である。
【0026】
受け部材の種類は任意である。例えば各種のバケットでもよい。
秤量器としては、例えば、ロードセル、電磁力平衡式重量センサ、音叉振動方式重量センサなどを採用することができる。このうち、ロードセルとしては、ベンディングビーム型ロードセル、リングトーションロードセルなどを採用することができる。
開閉手段としては、例えば、電動モータなどのアクチュエータにより、蓋を上下左右の何れかに移動(スライドまたは回動)させるものなどを採用することができる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、食品をホッパに投入して貯留する。このとき、ホッパ内の排出部付近には邪魔部材があるため、投入された食品は、直接、排出部に流れ込まない。
その後、回転軸を介して、駆動モータにより切り出し回転体を回転させることで、ホッパの底部に溜まった食品が、切り出し羽根により排出部へ切り出される。
【0028】
このように、食品切り出し部材である切り出し回転体を筒体から分離し、この食品切り出し部材の上面に切り出し羽根を突設して、ホッパに収納された食品の切り出しを、ホッパの下方から前方へ行うようにしたため、食品切り出し部材として爪付きアタッチメントを採用する従来装置の課題であった、食品の種類や周辺環境(温度や湿度等)によっては、ホッパ下部内の食品を切り崩せないという現象の発生頻度が減少し、安定した食品の切り出し(搬送)を実現することができる。
【0029】
また、筒体と切り出し回転体とは分離状態でこの装置に配備したため、パイプフィーダのメンテナンスが容易で、かつその作業時間も短縮することができる。
さらには、食品や食品の搬送条件に応じて、ホッパ内からの食品の切り出しと、パイプフィーダの筒体内での食品の搬送とを個別に調整することができる。
【0030】
特に、請求項2に記載の発明によれば、食品またはこれの搬送(切り出し)条件などに応じて、昇降手段により邪魔部材を昇降させて、排出部の開度の調整を行う。これにより、食品の種類、性状、サイズまたはこの食品の搬送(切り出し)条件などに適した食品の搬送を実現することができる。
【0031】
また、請求項3に記載の発明によれば、ホッパの排出部に筒体を連通する際には、排出部のうち、ホッパの底部から前方へ突出した排出シュートに、筒体の基端部を抜き差し自在に外挿する。これにより、パイプフィーダのメンテナンス時、筒体の排出部への着脱が容易となる。
【0032】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、駆動モータの出力軸を回転させて切り出し回転体を回転させれば、この出力軸の回転力の一部は、回転力伝達機構部を介して回転ローラに伝達される。これにより、この回転ローラが回転し、筒体が周方向へ回転する。
その結果、切り出し回転体と筒体とを1つの駆動モータで同期回転させることができる。
【0033】
さらにまた、請求項5に記載の発明によれば、ホッパの排出部から排出された食品を複数のパイプフィーダによりそれぞれ搬送し、各パイプフィーダから投下された各食品を対応する受け部材が各々受け、ここで各受け部材が受けた食品の重さを、各秤量器によりそれぞれ秤量する。その後は、各開閉手段によって対応する受け部材の投下口を開くことで、各受け部材内の食品がそれぞれ外部排出される。その結果、ホッパ内の食品を短時間で高精度に秤量して外部排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の側面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の筒体回転機構を示す要部拡大平面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の要部拡大正面図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る食品搬送装置のホッパ底部の要部拡大縦断面図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る食品搬送装置のホッパとパイプフィーダとの連通部分を示す要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して具体的に説明する。ここでは、食品搬送装置として乾燥野菜の食品秤量搬送装置を例に説明する。
【実施例0036】
図1において、10は本発明の実施例1に係る食品搬送装置である。この食品搬送装置10は、架台11に搭載されて、食品(ここでは乾燥野菜)12が貯留される1つのホッパ13と、ホッパ13の底部に、下方傾斜する食品搬送用の各円筒状の筒体14の基端が連通された5本のパイプフィーダ15と、各パイプフィーダ15から切り出された食品12を受ける5つのバケット(受け部材)16と、各バケット16内の食品12の重さを計量する5つのロードセル(秤量器)17とを備え、各パイプフィーダ15の各筒体14を周方向に回転させながら、ホッパ13内の食品12を切り出して各バケット16に投入し、ここで各バケット16内の食品12の重量を、対応するロードセル17により計量(秤量)する、いわゆる“食品秤量搬送装置”である。
【0037】
以下、これらの構成部品を具体的に説明する。
図1に示すように、架台11の天板11aは、後部より前部の方が上段に配置されている。天板11aの前部の後端部分には、左右方向に長い矩形状の下側ベース板18が、左右一対の軸支構造体19を介して、垂直回動可能に軸支されている。各軸支構造体19は、天板11aの後端部の上面に固定されたL字状の軸支ブラケット20と、下側ベース板18の前端部の下面に固定された連結板片21とを、水平方向に延びた軸支ピン22により軸支したものである。これらの軸支構造体19を介して、各筒体14が、軸線を前方へ5°だけ下方傾斜した状態でそれぞれ軸支されている。
【0038】
図1および
図2に示すように、下側ベース板18の前部には、左右一対の脚部23と、横長で厚肉な上板24とからなる門形の筒体載置台25が立設されている。この上板24には、左右方向(横方向)に所定ピッチで、かつ上板24の前,後面を貫通して、5組の駆動側軸孔26と従動側軸孔27とが、それぞれ平行状態で対配置されている。
上板24の後端部のうち、対配置された駆動側軸孔26と従動側軸孔27との間には、軸線が縦向きの前後一対のフランジ用ガイドローラ28が配設されている。対配置された各フランジ用ガイドローラ28の隙間には、各筒体14の基端部の外周面に周設されたフランジ29がそれぞれ挿入されて、各筒体14の回転をガイドする。
【0039】
また、
図1に示すように、上板24の左右方向の両端部には、断面円形の左右一対の前側スライド支柱30がそれぞれ立設されている。各前側スライド支柱30には、長さ方向の両端部に配された左右一対の前側スライドブッシュ31を介して、1本の横長な前側昇降枠32が水平昇降自在に横架されている。
図1および
図3に示すように、前側昇降枠32には、その長さ方向に所定ピッチで、各筒体14の外周面の上部に押し当てられ、かつ後述する駆動ローラ50と下側従動ローラ53と協働して、各筒体14の安定回転を実現するための合計5つの上側従動ローラ80が軸支されている。
【0040】
各前側スライド支柱30の上端間には、横長な前側上枠が横架されている。この前側上枠の長さ方向の中間部には、下向きの前側ロッドの先端部が前側昇降枠32の長さ方向の中間部に連結されて、この前側昇降枠32を水平昇降させる小型の前側昇降シリンダ33が1つ固定されている。
さらに、下側ベース板18のうち、後端側の左,右コーナー部と、前後方向の中間部の左,右端部とには、合計4本の支柱34がそれぞれ立設されている。これらの支柱34の上端間には、横長で矩形状の1枚の上側ベース板35が横架されている。
【0041】
図1および
図4に示すように、上側ベース板35の上面には、左右方向に長い矩形状で厚肉なプラスチック板からなる、ホッパ13の底板36が固定されている。
ホッパ13は、前板が大判な平板で、かつ背板(後板)は上部のみが上方へ向かうほど徐々に後方へ傾斜したステンレス製の角筒である。このホッパ13の下部は、全高にわたり断面積(開口面積)が一定の角筒部となっている。
【0042】
図4および
図5に示すように、ホッパ13の底板36の上面には、左右方向(横方向)に所定ピッチで、平面視して略P字状をした合計5つの食品落下穴37がそれぞれ陥没形成されている。各食品落下穴37には、ステンレス製で円形の切り出し回転板(切り出し回転体)38が、各食品落下穴37の底面と平行状態でそれぞれ収納されている。
【0043】
各切り出し回転板38の上面には、切り出し回転板38の略半径方向へ長い1枚の短冊状の切り出し羽根39がそれぞれ突設されている。各切り出し羽根39の長さは、対応する切り出し回転板38の半径と略同一である。
図1および
図4に示すように、これらの切り出し回転板38の縦長な第1の回転軸40は、上,下側ベース板18の後部間に、上下一対の軸受41を介して、それぞれ左右方向へ所定ピッチで軸支されている。各第1の回転軸40の下部には従動歯車42が配設される一方、各第1の回転軸40の上部には、大径な第1の傘歯車43が配設されている。
【0044】
下側ベース板18のうち、その前後方向の中間部の下面には、左右方向へ所定ピッチで合計5つの電動モータ(駆動モータ)44が配設されている。各電動モータ44の出力軸45は、下側ベース板18の表裏面を貫通してそれぞれ上方へ突出し、これらの突出部分に、対応する従動歯車42と噛合する駆動歯車46がそれぞれ固定されている。
【0045】
また、
図1および
図2に示すように、各第1の傘歯車43には、対応する小径な第2の傘歯車47がそれぞれ噛合している。各第2の傘歯車47の横長な第2の回転軸48は、前後一対のベアリング49を介して、筒体載置台25の上板24に配された駆動側軸孔26にそれぞれ軸支されている。
各第2の回転軸48の先端部(前端部)は、上板24から前方へ各々突出している。
図1および
図3に示すように、これらの突出部分と、各第2の回転軸48のうち、上板24の後面付近の部分とには、対応する筒体14の左下部分に当接して、筒体14を回転駆動させる前後一対の駆動ローラ(回転ローラ)50が配設されている。
これらの駆動歯車46、従動歯車42、第1の回転軸40、第1の傘歯車43、第2の傘歯車47および第2の回転軸48により、各電動モータ44の出力軸45の回転力を各駆動ローラ50に伝達する回転力伝達機構部51が構成される。
【0046】
一方、
図1および
図2に示すように、上板24に配された各従動側軸孔27には、前後一対のベアリング49を介して、前後方向へ延びる従動軸52がそれぞれ軸支されている。各従動軸52の長さ方向の両端部は、各従動側軸孔27からそれぞれ突出しており、これらの突出部分に、各筒体14の右下部分に当接される下側従動ローラ53が配設されている(
図2および
図3を参照)。
【0047】
また、
図1、
図3~
図5に示すように、底板36に形成された各食品落下穴37のうち、P字の脚部分の各先端は、底板36の前面に左右方向へ所定ピッチで穿たれた合計5つの食品12の排出部54とそれぞれ連通されている。各排出部54には、前方へ突出する樋状の排出シュート55が、それぞれ底板36と同一素材で一体成形されている。各排出シュート55には、対応する筒体14の基端部が、それぞれ非接触状態で抜き差し自在に外挿される。
【0048】
底板36の後端部には、その左右方向の両端部に、左右一対の断面円形で短尺な後側スライド支柱56がそれぞれ立設されている。各後側スライド支柱56の上端部は、複数の連結ブラケット57を介して、ホッパ13の背板13aのうち、高さ方向の中間部分にそれぞれ連結されている。
各後側スライド支柱56には、長さ方向の両端部に配された左右一対の後側スライドブッシュ58を介して、ホッパ13の下部に沿って昇降する平面視して横長な矩形枠状をした後側昇降枠59が、水平昇降自在に横架されている。
【0049】
また、上側ベース板35の後端部の下面には、後側昇降枠59の後枠60に連結された上向きの後側ロッド61を突没させることで、この後側昇降枠59を水平昇降させる大型の後側昇降シリンダ62が吊設されている。
後側昇降枠59の前枠部63の下縁には、ホッパ13内の各排出部54付近に配されて、ホッパ13に投入された食品12が、直接、各排出部54に流れ込むのを阻止する、側面視してL字状をした合計5つの邪魔板(邪魔部材)64が、その長さ方向へ所定ピッチで各々吊設されている。
【0050】
各邪魔板64は、ホッパ13の前板65と平行な垂直部64aと、対応する排出部54を通してホッパ13内の各排出部54付近に配される水平部64bとを有している。各邪魔板64の横幅は、ホッパ13に投入された食品12が、直接、各排出部54に流れ込むのをできる限り阻止可能なように、各排出部54の開口幅と略同一としている。
これらの各後側スライド支柱56、各後側スライドブッシュ58、後側昇降枠59、後側昇降シリンダ62により、各邪魔板64を昇降させて、対応する排出部54の開度調整を行う邪魔板昇降手段(昇降手段)66が構成される。
【0051】
天板11aの前部のうち、前記後端部分を除く部分には、横長なバケット載置台67が搭載されている。バケット載置台67は、後部が上段配置された二段式の台で、バケット載置台67の前部には、左右方向(横方向、長さ方向)へ所定ピッチで、前記5つのロードセル17が配設されている。
各ロードセル17はベンディングビーム型(ロバーバル型)ロードセルで、これらの測定部には、対応するバケット16を載置した載置ブラケット68がそれぞれ立設されている(
図1および
図3を参照)。各バケット16の下部に形成された投下口16aは、それぞれ水平なピン軸69を介して上下回動する5つの開閉蓋70により塞がれている。
【0052】
図1に示すように、バケット載置台67の後部内には、左右方向へ所定ピッチで、対応する開閉蓋70の基端部を押し下げて開蓋操作する5つのソレノイド71(開閉手段)が配設されている。
各ソレノイド71の上向きの出力軸45の上端部には、前後方向へ延びる5つの操作部材73の基端部がそれぞれ連結されている。各ソレノイド71の出力軸45を下方へ引き込ませることで、各操作部材73により各開閉蓋70の基端部が押し下げられる。これにより、各開閉蓋70が各ピン軸69を中心にして回動し、対応するバケット16の投下口16aが開蓋される。その後、各ソレノイド71のシャフト72を突出させることで、各開閉蓋70が各ピン軸69を中心にして先ほどとは反対方向へ回動し、対応するバケット16の投下口16aが閉蓋される。
【0053】
次に、
図1~
図5を参照して、本発明の実施例1に係る食品搬送装置10の動作を説明する。
図1に示すように、まず、ホッパ13に食品12を投入することで、ホッパ13の底部に溜まった食品12の一部が、各食品落下穴37にそれぞれ落下して、各切り出し回転板38の上面にそれぞれ載置される。このとき、ホッパ13内の各排出部54付近には各邪魔板64の水平部64bが配されている。そのため、ホッパ13に投入された食品12は、直接、各排出部54に流れ込むことができない。
【0054】
なお、食品12またはこれの搬送(切り出し)条件などに応じて、各後側昇降シリンダ62のロッド61をそれぞれ突没させ、邪魔板昇降手段66により各邪魔板64を昇降させることで、各排出部54の開度を調整する。これにより、食品12の種類、性状、サイズまたはこの食品12の搬送(切り出し)条件などに適した食品12の搬送を実現することができる。
【0055】
その後、各電動モータ44を駆動することで、対応する駆動歯車46、従動歯車42を介して各第1の回転軸40が回転し、各食品落下穴37内で各切り出し回転板38が、
図4および
図5中に矢印で示す食品12の切り出し方向へそれぞれ10rpmで回転する。これにより、各食品落下穴37に落下した食品12は、各切り出し羽根39によって対応する排出部54へとそれぞれ切り出される(押し込められる)。その後、こうして切り出された各食品12は、各排出シュート55を通過して、対応する筒体14の上流部にそれぞれ投入される。
【0056】
一方、各第1の回転軸40が回転することで、各第1の傘歯車43、各第2の傘歯車47を介して各第2の回転軸48がそれぞれ回転する。これにより、対応する下側従動ローラ53および上側従動ローラ80の回転を伴いながら、各筒体14が、
図1中に矢印で示す食品12の搬送方向へそれぞれ14rpmで同期回転する。
このとき、回転中の各筒体14のフランジ29は、各前後一対のフランジ用ガイドローラ28によりそれぞれガイドされている。これにより、回転中の各筒体14の軸線方向への位置ずれが防止される。
【0057】
その後、各投入された食品12は、下方傾斜した回転中の各筒体14の内周面に沿って徐々に下流へと搬送されて行く。
次いで、
図1および
図4に示すように、各筒体14の先端開口から排出された食品12は、直下の対応するバケット16にそれぞれ落下して貯留される。ここで、各食品12の重さが対応するロードセル17によりそれぞれ計量される。各貯留された食品12の重さが設定値に達した時、各ソレノイド71が作動し、各操作部材73を下方へ引き込ませることで、各開閉蓋70がピン軸69を中心にして上方回動し、各バケット16の投下口16aが開蓋して、各食品12がそれぞれ排出される。
【0058】
メンテナンス時には、まず、底板36に載置されたホッパ13の下部を後側昇降枠59から引き抜くとともに、前側昇降シリンダ33により前側昇降枠32を上昇させて、各筒体14の外周面の上部から各上側従動ローラ80を一括して離反させる。その後、各筒体14の基端部を各排出シュート55から引き抜くとともに、各筒体14のフランジ29を各前後一対のフランジ用ガイドローラ28間から抜き出して、各筒体14を対応する駆動ローラ50と下側従動ローラ53とから取り外す。
【0059】
このように、食品切り出し部材である切り出し回転板38を筒体14から分離し、この切り出し回転板38の上面に切り出し羽根39を突設して、ホッパ13に収納された食品12の切り出しを、ホッパ13の下方から前方へ行うようにしたため、食品切り出し部材として爪付きアタッチメントを採用する従来装置の課題であった、食品12の種類や周辺環境(温度や湿度等)によっては、ホッパ13の下部内の食品12を切り崩せないという現象の発生頻度が減少し、安定した食品12の切り出し(搬送)を実現することができる。
【0060】
また、各筒体14と各切り出し回転板38とはそれぞれ分離状態で食品搬送装置10に配備したため、各パイプフィーダ15のメンテナンスが容易で、かつその作業時間も短縮することができる。
さらには、食品12や食品12の搬送条件に応じて、ホッパ13内からの食品12の切り出しと、各パイプフィーダ15の筒体14内での食品12の搬送とを個別に調整することができる。
【0061】
また、ホッパ13の各排出部54に各筒体14を連通する際には、各排出部54のうち、ホッパ13の底板36から前方へ突出した各排出シュート55に、各筒体14の基端部を抜き差し自在に外挿する。これにより、各パイプフィーダ15のメンテナンス時、各筒体14の排出部54への着脱が容易となる。
【0062】
さらに、各電動モータ44の出力軸45を回転させて切り出し回転板38を回転させることで、この出力軸45の回転力の一部が、回転力伝達機構部51を介して駆動ローラ50に伝達される。これにより、この駆動ローラ50が、上,下側従動ローラ53を伴って回転し、各筒体14が周方向へ回転する。その結果、切り出し回転板38と筒体14とを1つの電動モータ44で同期回転させることができる。
【0063】
さらにまた、ホッパ13の各排出部54から排出された食品12を複数のパイプフィーダ15によりそれぞれ搬送し、各パイプフィーダ15から投下された各食品12を対応するバケット16が各々受け、ここで各バケット16が受けた食品12の重さを、各ロードセル17によりそれぞれ秤量する。その後は、各ソレノイド71によって対応するバケット16の投下口16aを開くことで、各バケット16内の食品12がそれぞれ外部排出される。その結果、ホッパ13内の食品12を短時間で高精度に秤量して外部排出することができる。