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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149965
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】有機系廃棄物処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/70 20220101AFI20220929BHJP
   B09B 3/60 20220101ALI20220929BHJP
【FI】
B09B3/00 304Z
B09B3/00 A ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052330
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】503275129
【氏名又は名称】りんかい日産建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592144331
【氏名又は名称】株式会社ピーシーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】川又 養市
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏勝
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA04
4D004AA16
4D004BA10
4D004CA15
4D004CA32
4D004CA39
4D004CA48
4D004CC03
4D004CC07
4D004CC15
(57)【要約】
【課題】亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制する有機系廃棄物処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】貝殻を含む有機系廃棄物を圧力容器21に投入する。次に、圧力容器21に水蒸気を供給し、圧力容器内21において、貝殻を含む有機系廃棄物を攪拌しながら亜臨界状態の水を用いて加温及び加圧し、加温及び加圧により水蒸気の状態から亜臨界状態になった水を用いて貝殻を含む有機系廃棄物を分解する亜臨界水処理を行う。亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を、圧力容器21から取り出し、冷却部3で冷却する。冷却部3が亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を冷却する間に、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類が、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物に添加される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝殻を含む有機系廃棄物を圧力容器に投入する投入ステップと、
前記圧力容器に水蒸気を供給し、前記圧力容器内において、貝殻を含む有機系廃棄物を攪拌しながら加温及び加圧し、加温及び加圧により水蒸気の状態から亜臨界状態になった水を用いて貝殻を含む有機系廃棄物を分解する亜臨界水処理を行う亜臨界水処理ステップと、
前記亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を、前記圧力容器から取り出して冷却する冷却ステップと、
を備え、
前記冷却ステップは、
前記亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類を、前記亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物に添加する菌類添加ステップを有する、有機系廃棄物処理方法。
【請求項2】
前記菌類は、土壌細菌群である、請求項1に記載の有機系廃棄物処理方法。
【請求項3】
前記土壌細菌群は、放線菌類である、請求項2に記載の有機系廃棄物処理方法。
【請求項4】
前記投入ステップの直前に、前記投入ステップと同時に又は前記投入ステップの直後に、重金属処理剤を、貝殻を含む有機系廃棄物に添加する重金属処理剤添加ステップを更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機系廃棄物処理方法。
【請求項5】
前記重金属処理剤は、籾殻である、請求項4に記載の有機系廃棄物処理方法。
【請求項6】
水蒸気が供給され、投入された貝殻を含む有機系廃棄物を攪拌しながら加温及び加圧し、加温及び加圧により水蒸気の状態から亜臨界状態になった水を用いて貝殻を含む有機系廃棄物を分解する亜臨界水処理を行うための圧力容器を有する亜臨界水処理装置と、
前記圧力容器から取り出された、前記亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を冷却するための冷却部と、
を備え、
前記冷却部が前記亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を冷却する間に、前記亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類が、前記亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物に添加される、有機系廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記菌類は、土壌細菌群である、請求項6に記載の有機系廃棄物処理装置。
【請求項8】
前記土壌細菌群は、放線菌類である、請求項7に記載の有機系廃棄物処理装置。
【請求項9】
貝殻を含む有機系廃棄物の前記圧力容器への投入の直前に、貝殻を含む有機系廃棄物の前記圧力容器への投入と同時に又は貝殻を含む有機系廃棄物の前記圧力容器への投入の直後に、重金属処理剤が貝殻を含む有機系廃棄物に添加される、請求項6~8のいずれか一項に記載の有機系廃棄物処理装置。
【請求項10】
前記重金属処理剤は、籾殻である、請求項9に記載の有機系廃棄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機系廃棄物処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表層が圧縮除去されたペットボトルの圧搾物の分散等によって生じる廃プラスチックのような有機系廃棄物を処理するために亜臨界水処理を行う亜臨界水処理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような亜臨界水処理装置では、有機系廃棄物が亜臨界水処理装置の圧力容器に投入される。そして、圧力容器に水蒸気が供給され、圧力容器内において、有機系廃棄物を攪拌しながら加温及び加圧し、加温及び加圧により水蒸気の状態から亜臨界状態になった水を用いて有機系廃棄物を分解する亜臨界水処理が行われる。亜臨界状態になった水は、例えば、160~220℃及び1.6~2.3MPaの水である。
【0004】
亜臨界水処理を行った有機系廃棄物は、盛土等として利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-127845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機系廃棄物として、貝殻、汚泥を含む貝殻、土壌を含む貝殻等のような貝殻を含む有機系廃棄物が生じることがある。亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物は、亜臨界水処理の直後には無臭であったが、亜臨界水処理から2週間以上経過したときに、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭が生じた。
【0007】
また、廃プラスチックに対して亜臨界水処理を行った場合には、亜臨界水処理の直後及び亜臨界水処理から2週間以上経過したときでも、亜臨界水処理を行った廃プラスチックの経時的変化に起因する悪臭が生じなかった。
【0008】
本発明の目的は、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制する有機系廃棄物処理方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による有機系廃棄物処理方法は、貝殻を含む有機系廃棄物を圧力容器に投入する投入ステップと、圧力容器に水蒸気を供給し、圧力容器内において、貝殻を含む有機系廃棄物を攪拌しながら加温及び加圧し、加温及び加圧により水蒸気の状態から亜臨界状態になった水を用いて貝殻を含む有機系廃棄物を分解する亜臨界水処理を行う亜臨界水処理ステップと、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を、圧力容器から取り出して冷却する冷却ステップと、を備え、冷却ステップは、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類を、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物に添加する菌類添加ステップを有する。
【0010】
本発明による有機系廃棄物処理方法において、好適には、菌類は、土壌細菌群である。
【0011】
本発明による有機系廃棄物処理方法において、好適には、土壌細菌群は、放線菌類である。
【0012】
本発明による有機系廃棄物処理方法は、好適には、投入ステップの直前に、投入ステップと同時に又は投入ステップの直後に、重金属処理剤を、貝殻を含む有機系廃棄物に添加する重金属処理剤添加ステップを更に備える。
【0013】
本発明による有機系廃棄物処理方法において、好適には、重金属処理剤は、籾殻である。
【0014】
本発明による有機系廃棄物処理装置は、水蒸気が供給され、投入された貝殻を含む有機系廃棄物を攪拌しながら加温及び加圧し、加温及び加圧により水蒸気の状態から亜臨界状態になった水を用いて貝殻を含む有機系廃棄物を分解する亜臨界水処理を行うための圧力容器を有する亜臨界水処理装置と、圧力容器から取り出された、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を冷却するための冷却部と、を備え、冷却部が亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を冷却する間に、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類が、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物に添加される。
【0015】
本発明による有機系廃棄物処理装置において、好適には、菌類は、土壌細菌群である。
【0016】
本発明による有機系廃棄物処理装置において、好適には、土壌細菌群は、放線菌類である。
【0017】
本発明による有機系廃棄物処理装置において、好適には、貝殻を含む有機系廃棄物の圧力容器への投入の直前に、貝殻を含む有機系廃棄物の圧力容器への投入と同時に又は貝殻を含む有機系廃棄物の圧力容器への投入の直後に、重金属処理剤が貝殻を含む有機系廃棄物に添加される。
【0018】
本発明による有機系廃棄物処理装置において、好適には、重金属処理剤は、籾殻である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の概略図である。
図2】本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の一部の詳細を示す正面図である。
図3】本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の一部の詳細を示す側面図である。
図4】本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の一部の詳細を示す平面図である。
図5】本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の制御系統のブロック図である。
図6】本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置により実施される有機系廃棄物処理方法のステップの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による有機系廃棄物処理方法及び装置を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の概略図である。図2~4はそれぞれ、本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の一部の詳細を示す正面図、側面図及び平面図である。図5は、本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置の制御系統のブロック図である。
【0022】
図1~4に示す有機系廃棄物処理装置1の処理対象物は、貝殻を含む有機系廃棄物である。貝殻を含む有機系廃棄物は、貝殻、汚泥を含む貝殻、土壌を含む貝殻等である。
【0023】
図1に示すように、有機系廃棄物処理装置1は、処理対象物が重金属処理剤と共に投入され、投入された処理対象物に対して亜臨界水処理を行い、亜臨界水処理を行った処理対象物を取り出して冷却する。重金属処理剤は、例えば、籾殻である。
【0024】
そして、有機系廃棄物処理装置1は、亜臨界水処理を行った処理対象物の冷却中に、処理対象物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類を、亜臨界水処理を行った処理対象物に添加する。処理対象物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類は、例えば、土壌細菌群である。土壌細菌群の一例は、放線菌類である。
【0025】
有機系廃棄物処理装置1は、図1~4に示す亜臨界水処理装置2と、図1~4に示す冷却部3と、図1~4に示すテントハウス4と、を備える。亜臨界水処理装置2は、地面に形成された基礎コンクリート(図示せず)に設けられ、図2及び図3に示すアンカーボルト5によって基礎コンクリートに固定される。
【0026】
亜臨界水処理装置2は、図1~3に示す圧力容器21と、図1~3に示す水蒸気排出装置22と、図1及び図2に示す水蒸気供給装置23と、図2及び図5に示す水蒸気開閉弁24と、図2及び図5に示す開閉弁駆動装置25と、図1及び図2に示す攪拌装置26と、を備える。また、亜臨界水処理装置2は、図5に示す制御装置27と、図5に示す水蒸気排出弁駆動装置28と、を更に備える。
【0027】
圧力容器21は、図1~3に示す投入口21Aと、図1及び図2に示す取出口21Bと、図1図2及び図4に示す水蒸気注入口21C(2ヶ所)と、図1~3に示すクラッチドア21Dと、図2及び図4に示すハンドル21Eと、を備える。投入口21Aは、処理対象物を投入するために圧力容器21の上部に筒状に突出して形成されている。
【0028】
取出口21Bは、亜臨界水処理を行った処理対象物を冷却部3に排出するために設けられている。水蒸気注入口21Cは、水蒸気供給装置23から圧力容器21に水蒸気を注入するために設けられている。
【0029】
クラッチドア21Dは、投入口21Aの開閉を行うために投入口21Aの上端に設けられている。ハンドル21Eは、取出口21Bの開閉を行うために取出口21Bの一端に設けられており、亜臨界水処理を行った処理対象物を冷却部3に排出する際に取出口21Bを開口する。
【0030】
水蒸気排出装置22は、圧力容器21の上端から上方に立設された筒状に形成され、図2~4に示す水蒸気排出口22A,22Bと、図5にしめす水蒸気排出弁22Cと、を有する。水蒸気排出口22A,22Bは、水蒸気を外部に排出するために筒状体の側面及び上端に設けられる。
【0031】
水蒸気供給装置23は、図2に示すボイラー23Aと、図2及び図4に示す圧力調整弁23Bと、を有する。ボイラー23Aは、予め決定された温度及び圧力(例えば、120~500℃及び0.2~40MPa)の水蒸気を生成する。
【0032】
ボイラー23Aによって生成された水蒸気は、圧力調整弁23B及び水蒸気開閉弁24を介して水蒸気注入口21Cから圧力容器21内に供給される。水蒸気開閉弁24は、制御装置27により制御される開閉弁駆動装置25によって開閉が行われる。
【0033】
攪拌装置26は、図1及び図2に示す回転シャフト26Aと、図2に示す複数の攪拌翼26Bと、を有する。回転シャフト26Aは、圧力容器21内の略中心を水平に貫通して配置される。攪拌翼26Bは、回転シャフト26Aの長手方向の複数箇所に半径方向に延在して取り付けられる。
【0034】
回転シャフト26Aの一端には、図2図3及び図5に示す減速機6が結合され、回転シャフト26Aは、減速機6に結合された図1~3に示すモータ7によって駆動され、圧力容器21内の処理対象物を攪拌する。回転シャフト26Aは、通常運転時は、一定間隔で時計回り又は反時計回りに回転が切り替えられる。
【0035】
回転シャフト26Aの回転が時計回りであるときには、攪拌翼26Bは、処理対象物を取出口21B側からモータ7への方向に送る。それに対し、回転シャフト26Aの回転が反時計回りであるときには、攪拌翼26Bは、処理対象物をモータ7側から取出口21Bへの方向に送る。
【0036】
したがって、亜臨界水処理を行った処理対象物を冷却部3に排出する際には、回転シャフト26Aの回転が反時計回りとなり、攪拌翼26Bは、処理対象物をモータ7側から取出口21Bへの方向に送る。
【0037】
制御装置27は、CPUからなり、図1図4及び図5に示す温度センサ30からの検出温度信号及び図1図4及び図5に示す圧力センサ31からの検出圧力信号が入力される。温度センサ30は、圧力容器21の長手方向中央位置に配置されて攪拌翼26Bの上方位置の温度を検出する。圧力センサ31は、クラッチドア21Dに取り付けられて圧力容器21の内側の圧力を検出する。
【0038】
制御装置27は、臨界水処理の際に、検出温度信号及び検出圧力信号に基づいて開閉弁駆動装置25を制御することによって水蒸気開閉弁24を駆動する。水蒸気開閉弁24を駆動することによって、圧力容器21内への水蒸気の供給量を調整し、圧力容器21内の水(水蒸気)を亜臨界状態の水(例えば、160~220℃及び1.6~2.3MPaの水)にする。
【0039】
また、制御装置27は、臨界水処理の終了後、亜臨界水処理を行った処理対象物を乾燥させるために、水蒸気排出弁駆動装置28を制御することによって水蒸気排出弁22Cを駆動し、圧力容器21内の水蒸気を排出させる。
【0040】
また、制御装置27は、図5に示す回転速度センサ32からの検出回転速度信号及び図5に示す回転トルクセンサ33からの検出回転トルク信号が入力される。回転速度センサ32は、回転シャフト26Aに取り付けられて回転シャフト26Aの回転速度を検出する。回転トルクセンサ33は、回転シャフト26Aに取り付けられて回転シャフト26Aの回転トルクを検出する。
【0041】
そして、制御装置27は、検出回転速度信号及び検出回転トルク信号に基づいて減速機6を制御することによって、回転シャフト26Aの回転速度を制御する。
【0042】
冷却部3は、空冷又は水冷によって冷却される金属によって構成される。また、冷却部3は、亜臨界水処理を行った処理対象物を、取出口21Bから排出されて供給された後に冷却する。さらに、冷却部3は、亜臨界水処理を行った処理対象物の冷却中に、処理対象物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類を、亜臨界水処理を行った処理対象物に添加する。
【0043】
テントハウス4は、図3及び図4に示すレール8に沿って移動可能であり、亜臨界水処理装置2の使用時には、図1図2及び図4に示す設備9をカバーし、亜臨界水処理装置2の不使用時には、図4の矢印Aに沿って移動して亜臨界水処理装置2をカバーする。
【0044】
設備9は、水蒸気供給装置23が水蒸気を供給するために設けられた水タンク、亜臨界水処理装置2に電力を供給するための発電機等であり、亜臨界水処理装置2に近接して配置される。テントハウス4を設けることによって、有機系廃棄物処理装置1が海に近接した場所(例えば、発電所付近)設けられたとしても亜臨界水処理装置2を海風から守ることができる。
【0045】
図6は、本発明の一実施の形態による有機系廃棄物処理装置により実施される有機系廃棄物処理方法のステップの例を示すフローチャートである。
【0046】
先ず、ステップS1において、投入口21Aを開いて処理対象物及び重金属処理剤を圧力容器21内に投入する。ステップS1は、投入ステップの一例である。また、重金属処理剤の圧力容器21内への投入は、重金属処理剤添加ステップの一例であり、処理対象物の圧力容器21内への投入の直前に、処理対象物の圧力容器21内への投入と同時に又は処理対象物の圧力容器21内への投入の直後に行われる。
【0047】
次に、ステップS2において、ボイラー23Aで生成された水蒸気を、水蒸気注入口21Cから圧力容器21に供給する。次に、ステップS3において、圧力容器21内において、モータ7によって回転シャフト26Aを回転させることによって処理対象物を攪拌しながら加温及び加圧する。
【0048】
水蒸気は、加温及び加圧により亜臨界状態の水になり、亜臨界状態になった水によって、貝殻を含む有機系廃棄物が分解される。ステップS2及びステップS3は、亜臨界水処理ステップの一例である。
【0049】
処理対象物を攪拌しながら加温及び加圧する時間すなわち圧力容器21に供給された水蒸気を亜臨界水にするまでの時間は、例えば、1時間40分であり、亜臨界状態になった水を用いて処理対象物を分解する時間は、例えば、45分である。
【0050】
次に、ステップS4において、圧力容器21への水蒸気の供給を停止し、水蒸気排出弁駆動装置28により水蒸気排出弁22Cを開き、水蒸気排出口22A,22Bから水蒸気を排出して圧力容器21内の温度及び圧力を低減させる。そして、圧力容器21内の亜臨界水処理を行った処理対象物を乾燥させる。圧力容器21内の亜臨界水処理を行った処理対象物を乾燥させる時間は、例えば、50分である。
【0051】
次に、ステップS5において、圧力容器21内の亜臨界水処理を行った処理対象物を取出口21Bから取り出し、冷却部3に供給する。次に、ステップS6において、亜臨界水処理を行った処理対象物を冷却部3で冷却し、亜臨界水処理を行った処理対象物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類を添加する。
【0052】
ステップS6は、冷却ステップの一例であり、亜臨界水処理を行った処理対象物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類の添加は、菌類添加ステップの一例であり、冷却の開始時、冷却の終了時又は冷却の開始後から冷却の終了前の任意の時間に行われる。亜臨界水処理を行った処理対象物を冷却する時間は、例えば、45分である。亜臨界水処理を行った後に冷却された処理対象物は、硫化物を含む。
【0053】
本実施の形態によれば、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物を冷却部3で冷却する間に亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制するための菌類を添加する。これによって、亜臨界水処理を行った貝殻を含む有機系廃棄物の経時的変化に起因する悪臭を抑制することができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、重金属処理剤の圧力容器21内への投入を行うことによって、亜臨界水処理を行った後に冷却された貝殻を含む有機系廃棄物は、土壌改良剤として利用することもできる。
【0055】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、有機系廃棄物処理装置1は、テントハウス4を備えなくてもよい。また、圧力容器21内への水蒸気の供給量の調整を、圧力容器21の温度及び圧力以外のファクタを用いて行ってもよい。また、有機系廃棄物処理装置1は、水蒸気供給装置23を備えなくてもよく、この場合、水蒸気供給装置23を設備9の一部として設ける。
【0056】
さらに、本実施の形態において、重金属処理剤を圧力容器21内に投入しなくてもよい。重金属処理剤を圧力容器21内に投入しない場合、亜臨界水処理を行った後に冷却された貝殻を含む有機系廃棄物は、盛土等として利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 有機系廃棄物処理装置
2 亜臨界水処理装置
3 冷却部
4 テントハウス
5 アンカーボルト
6 減速機
7 モータ
8 レール
9 設備
21 圧力容器
21A 投入口
21B 取出口
21C 水蒸気注入口
21D クラッチドア
21E ハンドル
22 水蒸気排出装置
22A,22B 水蒸気排出口
22C 水蒸気排出弁
23 水蒸気供給装置
23A ボイラー
23B 圧力調整弁
24 水蒸気開閉弁
25 開閉弁駆動装置
26 攪拌装置
26A 回転シャフト
26B 攪拌翼
27 制御装置
28 水蒸気排出弁駆動装置
30 温度センサ
31 圧力センサ
32 回転速度センサ
33 回転トルクセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6