(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149993
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20220929BHJP
H01M 50/273 20210101ALI20220929BHJP
H01M 50/249 20210101ALN20220929BHJP
【FI】
H01M50/271 B
H01M50/273
H01M50/271 S
H01M50/249
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052380
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】林田 雅広
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS01
5H040AS04
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040CC05
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040NN00
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】2つの部材(第一部材及び第二部材)を接合する際の時間の短縮を図ることができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電素子200を備える蓄電装置10であって、互いに接合される第一部材(外装体蓋体120)及び第二部材(外装体本体110)を備え、第一部材は、本体部(蓋体本体部121)と、本体部内に埋設された状態で配置され、本体部よりも光の透過率が高い高透過部130と、を有し、高透過部130は、本体部から露出する露出部140と、第二部材と接合される接合部151と、本体部内に配置され、露出部140から接合部151へ光を導く光通過経路160と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子を備える蓄電装置であって、
互いに接合される第一部材及び第二部材を備え、
前記第一部材は、本体部と、前記本体部内に埋設された状態で配置され、前記本体部よりも光の透過率が高い高透過部と、を有し、
前記高透過部は、
前記本体部から露出する露出部と、
前記第二部材と接合される接合部と、
前記本体部内に配置され、前記露出部から前記接合部へ光を導く光通過経路と、を有する
蓄電装置。
【請求項2】
前記光通過経路は、光が通過する経路が屈曲または湾曲した曲げ部を有する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記接合部は、前記本体部を介することなく、前記第二部材に接合されている
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記接合部は、前記第二部材に沿って延設されて配置され、
前記光通過経路は、前記接合部の延設方向に沿って延設されて配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記光通過経路は、光が通過する経路が分岐する分岐部を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子を備える蓄電装置であって、互いに接合される2つの部材(第一部材及び第二部材)を備えた蓄電装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の電池セル(蓄電素子)を含む電池モジュールを収容するケースが、蓋(第一部材)と本体(第二部材)とを有し、当該蓋が当該本体の開口部を塞ぐ構成の電池パック(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置においては、製造時間(組立時間)を短縮し、生産性の向上を図ることが望まれる。このため、蓄電装置が備える接合対象の2つの部材(第一部材及び第二部材)を接合する際に要する時間を短縮したいとの要望がある。しかしながら、上記従来の蓄電装置のように、ケースの蓋及び本体のような2つの部材(第一部材及び第二部材)を接合する場合、接着またはヒートシール等により接合するのが一般的であり、時間を要することがある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、2つの部材(第一部材及び第二部材)を接合する際の時間の短縮を図ることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を備える蓄電装置であって、互いに接合される第一部材及び第二部材を備え、前記第一部材は、本体部と、前記本体部内に埋設された状態で配置され、前記本体部よりも光の透過率が高い高透過部と、を有し、前記高透過部は、前記本体部から露出する露出部と、前記第二部材と接合される接合部と、前記本体部内に配置され、前記露出部から前記接合部へ光を導く光通過経路と、を有する。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、第一部材の本体部内に埋設された高透過部は、本体部からの露出部と、第二部材との接合部と、本体部内で露出部から接合部へ光を導く光通過経路と、を有している。このように、第一部材に、露出部から第二部材との接合部へ光を導く光通過経路を有する高透過部を、本体部内に埋設した状態で配置する。これにより、第一部材及び第二部材の接合時に、高透過部の露出部にレーザ光等の光を照射することで、当該光が露出部から光通過経路を通過し、接合部において第二部材と接合される。ここで、一般的に、レーザ光等の光を照射して接合する方が、接着またはヒートシール等により接合するよりも、時間の短縮を図ることができる。したがって、光の照射により第一部材及び第二部材が接合されることで、第一部材及び第二部材を接合する際の時間の短縮を図ることができる。
【0008】
前記光通過経路は、光が通過する経路が屈曲または湾曲した曲げ部を有することにしてもよい。
【0009】
これによれば、第一部材において、光通過経路が曲げ部を有することで、露出部から接合部へ光を導く際に、光が曲がって接合部まで到着できる。これにより、第一部材及び第二部材を接合する際に、光の光源と接合対象部位との間に何らかの物体が配置されているような場合でも、光源または接合対象部位を移動させることなく、光を接合部に到着させることができる。したがって、光源または接合対象部位を移動させる時間が不要となるため、第一部材及び第二部材を接合する際の時間の短縮をさらに図ることができる。
【0010】
前記接合部は、前記本体部を介することなく、前記第二部材に接合されていることにしてもよい。
【0011】
これによれば、第一部材において、接合部が、本体部を介することなく第二部材に直接接合されることで、接合部を第二部材に強固に接合できる。これにより、第一部材及び第二部材を接合する際の時間の短縮を図った場合でも、第一部材及び第二部材をより強固に接合できる。
【0012】
前記接合部は、前記第二部材に沿って延設されて配置され、前記光通過経路は、前記接合部の延設方向に沿って延設されて配置されることにしてもよい。
【0013】
これによれば、第一部材において、光通過経路が、接合部の延設方向に沿って延設されて配置されることで、接合部の延設方向に亘って、第一部材及び第二部材を接合する際の時間の短縮を図ることができる。
【0014】
前記光通過経路は、光が通過する経路が分岐する分岐部を有することにしてもよい。
【0015】
これによれば、第一部材において、光通過経路が分岐部を有することで、第一部材及び第二部材を接合する際に、光が分岐して複数箇所の接合部まで到着できる。これにより、一度に複数箇所の接合を行うことができるため、第一部材及び第二部材を接合する際の時間の短縮を図ることができる。
【0016】
本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、第一部材、または、第一部材と第二部材との組み合わせとしても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における蓄電装置によれば、2つの部材(第一部材及び第二部材)を接合する際の時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る高透過部の構成、及び、外装体蓋体を外装体本体に接合する手法を説明する斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る高透過部の構成、及び、外装体蓋体を外装体本体の壁部に接合する手法を説明する断面図である。
【
図5】実施の形態に係る高透過部の構成、及び、外装体蓋体を外装体本体の壁部に接合する手法を説明する断面図である。
【
図6】実施の形態に係る外装体蓋体を外装体本体に接合する手法を説明する上面図及び断面図である。
【
図7】実施の形態の変形例1に係る高透過部の構成を示す断面図である。
【
図8】実施の形態の変形例2に係る外装体蓋体を外装体本体に接合する手法を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0020】
以下の説明及び図面中において、複数の蓄電素子の並び方向、1つの蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、または、蓄電素子の厚み方向を、X軸方向と定義する。1つの蓄電素子における一対の電極端子の並び方向、または、1つの蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向を、Y軸方向と定義する。蓄電装置の外装体本体と外装体蓋体との並び方向、1つの蓄電素子の容器本体と容器蓋体との並び方向、蓄電素子とバスバーとの並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0021】
以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0022】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、蓄電装置10の構成について、説明する。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0023】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0024】
図1に示すように、蓄電装置10は、外装体100を備えており、
図2に示すように、外装体100の内方には、複数の蓄電素子200と、複数のバスバー300とが収容されている。蓄電装置10は、上記の構成要素の他、バスバー300の位置決めを行うバスバーフレーム、複数の蓄電素子200を拘束する拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)、蓄電素子200同士の間に配置されるスペーサ、蓄電素子200の充電状態及び放電状態等を監視するための回路基板並びにリレー等の電気機器等を備えていてもよい。蓄電素子200同士の間、及び、蓄電素子200と外装体100との間に接着剤等が配置されて、これらが接着されて固定されていてもよい。
【0025】
外装体100は、蓄電装置10の筐体(外殻)を構成する箱形(略直方体形状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体100は、複数の蓄電素子200、及び、複数のバスバー300の外方に配置され、これら蓄電素子200等を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。外装体100(後述の高透過部130を除く)は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、または、それらの複合材料等の絶縁部材等により形成されている。外装体100は、これにより、蓄電素子200等が外部の金属部材等に接触することを回避する。なお、蓄電素子200等の絶縁性が保たれる構成であれば、外装体100は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0026】
外装体100は、外装体100の本体を構成する外装体本体110と、外装体100の蓋体を構成する外装体蓋体120と、を有している。外装体本体110は、Z軸プラス方向に向く開口が形成された有底矩形筒状のハウジング(筐体)であり、蓄電素子200等を収容する。外装体本体110は、X軸方向両側の側面に、対向する一対の壁部111及び112を有し、Y軸方向両側の側面に、対向する一対の壁部113及び114を有し、Z軸マイナス方向側に、壁部115を有している。壁部111は、外装体本体110のX軸プラス方向の側壁部であり、壁部112は、外装体本体110のX軸マイナス方向の側壁部である。壁部113は、外装体本体110のY軸マイナス方向の側壁部であり、壁部114は、外装体本体110のX軸プラス方向の側壁部である。
【0027】
壁部111及び112は、外装体100の短側面を形成する矩形状かつ平板状の壁部(短側壁部)であり、蓄電素子200の容器210の長側面とX軸方向において対向して配置される。壁部111及び112は、壁部113、114及び115に隣接し、かつ、壁部113及び114よりも外面の面積が小さい。壁部113及び114は、外装体100の長側面を形成する矩形状かつ平板状の壁部(長側壁部)であり、蓄電素子200の容器210の短側面とY軸方向において対向して配置される。壁部113及び114は、壁部111、112及び115に隣接し、かつ、壁部111及び112よりも外面の面積が大きい。壁部115は、外装体100の底面を形成する矩形状かつ平板状の壁部(底壁部)であり、蓄電素子200の容器210の底面とZ軸方向において対向して配置される。壁部115は、壁部111、112、113及び114に隣接する。なお、蓄電素子200の個数及び形状等によっては、壁部111及び112が長側壁部であり、壁部113及び114が短側壁部であってもよい。
【0028】
外装体蓋体120は、外装体本体110と接合されて、外装体本体110の開口を閉塞する扁平な矩形状の部材である。外装体蓋体120は、蓋体本体部121と、高透過部130とを有している。蓋体本体部121は、外装体蓋体120の大部分を占める、外装体蓋体120の本体部である。本実施の形態では、外装体蓋体120のうちの高透過部130以外の部位を、蓋体本体部121と称する。
【0029】
蓋体本体部121は、外部端子配置部121aと、蓋体突出部121bとを有している。外部端子配置部121aは、正極側及び負極側の一対の外部端子122(正極外部端子及び負極外部端子)が配置される、XY平面に平行な平板状の部位である。蓄電装置10は、この一対の外部端子122を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。蓋体突出部121bは、外部端子配置部121aからZ軸プラス方向に突出する、Z軸方向から見てT字状の突出部である。つまり、蓋体本体部121は、一対の外部端子122が配置されるY軸マイナス方向端部かつX軸方向両端部が矩形状に凹んだ形状を有している。
【0030】
外装体本体110及び蓋体本体部121は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもよい。外装体蓋体120は、第一部材の一例であり、外装体本体110は、第二部材の一例である。つまり、外装体蓋体120及び外装体本体110は、互いに接合される第一部材及び第二部材の一例である。蓋体本体部121は、第一部材の本体部の一例である。
【0031】
高透過部130は、蓋体本体部121内に埋設された状態で配置され、蓋体本体部121よりも光の透過率が高い部位であり、高透過部130を用いて、外装体蓋体120が外装体本体110に接合される。高透過部130は、蓋体本体部121の外周縁に沿って配置された、Z軸方向から見て環状の部材である。例えば、高透過部130は、インサート成形等によって、蓋体本体部121内に埋設されることにより、蓋体本体部121と一体化(一体形成)されている。高透過部130は、例えば、光ファイバに用いられる繊維を、数mm程度の厚みの板状に加工し、かつ、環状に形成した部材である。本実施の形態では、高透過部130は、蓋体突出部121bの外縁に沿って配置されている。これにより、高透過部130は、X軸方向中央部かつY軸マイナス方向端部がY軸マイナス方向に突出した、Z軸方向から見てT字状となる環状に形成されている。高透過部130の構成、及び、高透過部130を用いて外装体蓋体120を外装体本体110に接合する手法の詳細な説明については、後述する。
【0032】
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子200は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子200がX軸方向に並んで配列されている。なお、蓄電素子200の形状は、直方体形状には限定されず、長円柱形状、楕円柱形状、円柱形状、または、直方体以外の多角柱形状等であってもよい。配列される蓄電素子200の個数は特に限定されず、1個の蓄電素子200しか配置されていなくてもよい。蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子200は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子200は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子200は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。
【0033】
蓄電素子200は、容器210と、一対(正極側及び負極側)の電極端子220と、を備えている。容器210の内方には、電極体、一対(正極側及び負極側)の集電体、及び、電解液(非水電解質)等が収容され、電極端子220及び集電体と容器210との間にはガスケットが配置されているが、これらの図示及び詳細な説明は省略する。当該電解液としては、蓄電素子200の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。蓄電素子200は、上記の構成要素の他、電極体の側方または下方等に配置されるスペーサ、電極体等を包み込む絶縁フィルム、及び、容器210の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)等が配置されていてもよい。
【0034】
容器210は、開口が形成された容器本体と、容器本体の当該開口を閉塞する容器蓋体と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器210は、X軸方向両側の側面に一対の長側面を有し、Y軸方向両側の側面に一対の短側面を有し、Z軸マイナス方向側に底面を有している。容器蓋体には、容器210内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁、及び、容器210内方に電解液を注液するための注液部等が設けられている。容器210の材質は、特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0035】
電極端子220は、容器210の容器蓋体に配置される蓄電素子200の端子部材(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続される。つまり、電極端子220は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子200の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子200の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子220は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0036】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0037】
集電体は、電極端子220と電極体とに電気的に接続される導電性の集電部材(正極集電体及び負極集電体)である。集電体は、電極端子220と電極体とに、溶接またはかしめ接合等によって接合される。正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0038】
バスバー300は、複数の蓄電素子200の上方に配置され、複数の蓄電素子200の電極端子220(正極端子または負極端子)に接続される平板状かつ矩形状の部材である。これにより、バスバー300は、複数の蓄電素子200の電極端子220同士を接続し、かつ、他のバスバー(図示せず)を介して端部の蓄電素子200の電極端子220と外部端子122とを接続する。バスバー300は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等の金属製の導電部材で形成されている。本実施の形態では、バスバー300は、蓄電素子200を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続するが、蓄電素子200の接続形態は特に限定されない。
【0039】
[2 高透過部130の構成、及び、外装体本体110との接合手法の説明]
次に、外装体蓋体120が有する高透過部130の構成、及び、高透過部130を用いて外装体蓋体120を外装体本体110に接合する手法について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る高透過部130の構成、及び、外装体蓋体120を外装体本体110に接合する手法を説明する斜視図である。具体的には、
図3は、
図1に示した外装体蓋体120が有する高透過部130の構成、及び、高透過部130を用いて外装体蓋体120を外装体本体110に接合する手法を説明する図である。
【0040】
図4は、本実施の形態に係る高透過部131の構成、及び、外装体蓋体120を外装体本体110の壁部111に接合する手法を説明する断面図である。具体的には、
図4は、
図3に示した外装体蓋体120の蓋体本体部121及び高透過部131、並びに、外装体本体110の壁部111をXZ平面に平行な面で切断した断面を、Y軸マイナス方向から見た場合の構成を示す断面図である。
図5は、本実施の形態に係る高透過部134の構成、及び、外装体蓋体120を外装体本体110の壁部113に接合する手法を説明する断面図である。具体的には、
図5は、
図3に示した外装体蓋体120の蓋体本体部121及び高透過部134、並びに、外装体本体110の壁部113をYZ平面に平行な面で切断した断面を、X軸プラス方向から見た場合の構成を示す断面図である。
【0041】
図6は、本実施の形態に係る外装体蓋体120を外装体本体110に接合する手法を説明する上面図及び断面図である。具体的には、
図6の(a)は、外装体蓋体120を外装体本体110に接合する工程を、Z軸プラス方向から見た場合の構成を示す上面図である。
図6の(b)は、
図6の(a)を、VIb-VIb線を含みYZ平面に平行な面で切断した断面を、X軸プラス方向から見た場合の構成を示す断面図である。
図6の(c)は、
図6の(a)を、VIc-VIc線を含みYZ平面に平行な面で切断した断面を、X軸プラス方向から見た場合の構成を示す断面図である。
【0042】
高透過部130は、上述の通り、蓋体本体部121(第一部材の本体部)内に埋設された状態で配置され、蓋体本体部121よりも光の透過率(または透過度)が高い部位である。光の透過率(または透過度)が高いとは、光を照射した場合に、当該光が通過する割合が高い(通過しやすい)ことをいう。本実施の形態では、当該光とは、2つの部材(外装体蓋体120及び外装体本体110)の接合(溶接または溶着)に使用されるレーザ光である。つまり、本実施の形態では、光の透過率(または透過度)が高いとは、レーザ光を照射した場合に、当該レーザ光が通過する割合が高い(通過しやすい)ことをいう。なお、当該2つの部材の接合を、電子ビーム等のレーザ光以外の光を用いて行う場合には、光の透過率(または透過度)が高いとは、電子ビーム等の光を照射した場合に、当該電子ビーム等の光が通過する割合が高い(通過しやすい)ことをいう。また、上述の通り、本実施の形態では、高透過部130は、光ファイバに用いられる繊維で形成されるが、高透過部130は、蓋体本体部121よりも光の透過率が高い素材で形成されていればよく、上記光の種類に応じて、高透過部130の材質も適宜変更される。
【0043】
図3に示すように、外装体蓋体120において、蓋体本体部121の蓋体突出部121bの外縁に沿って、高透過部130(高透過部131~138)が配置されている。高透過部131は、高透過部130のX軸プラス方向端部かつY軸プラス方向寄りに、Y軸方向に延設されて配置される。高透過部132は、高透過部130のY軸方向中央部かつX軸プラス方向寄り(X軸プラス方向の外部端子122のY軸プラス方向)に、X軸方向に延設されて配置される。高透過部133は、高透過部130のX軸プラス方向寄りかつY軸マイナス方向寄り(X軸プラス方向の外部端子122のX軸マイナス方向)に、Y軸方向に延設されて配置される。高透過部134は、高透過部130のY軸マイナス方向端部かつX軸方向中央部に、X軸方向に延設されて配置される。高透過部135は、高透過部130のX軸マイナス方向寄りかつY軸マイナス方向寄り(X軸マイナス方向の外部端子122のX軸プラス方向)に、Y軸方向に延設されて配置される。高透過部136は、高透過部130のY軸方向中央部かつX軸マイナス方向寄り(X軸マイナス方向の外部端子122のY軸プラス方向)に、X軸方向に延設されて配置される。高透過部137は、高透過部130のX軸マイナス方向端部かつY軸プラス方向寄りに、Y軸方向に延設されて配置される。高透過部138は、高透過部130のY軸プラス方向端部に、X軸方向に延設されて配置される。
【0044】
図3~
図5に示すように、高透過部130(高透過部131~138)は、露出部140と、接合部151と、光通過経路160と、を有している。なお、
図4に示すように、高透過部131が有する露出部140を露出部141とも称し、高透過部131が有する光通過経路160を光通過経路161とも称する。
図5に示すように、高透過部134が有する露出部140を露出部142とも称し、高透過部134が有する光通過経路160を光通過経路162とも称する。
【0045】
露出部140は、高透過部130のうちの、蓋体本体部121(本体部)から露出する部位である。具体的には、露出部140は、高透過部130のZ軸プラス方向端部に配置され、蓋体本体部121のZ軸プラス方向の表面(外面)から、外部に露出する部分である。
【0046】
接合部151は、外装体本体110(第二部材)と接合される部位である。接合部151は、高透過部130及び外装体本体110が接合された場合の高透過部130側の接合部分であって、高透過部130のZ軸マイナス方向端部に配置される。具体的には、高透過部130にレーザ光が照射されることで、高透過部130及び外装体本体110が接合(溶接または溶着)されて、接合部150が形成される。つまり、接合部150は、高透過部130からレーザ光が照射されることで外装体本体110が溶融し、その熱で高透過部130も溶融して形成された溶融部である。外装体本体110は、高透過部130よりも光を吸収する部材で形成されており、レーザ光が照射されることで照射された部分が溶融する。これにより、接合部150は、高透過部130側の溶融部分である接合部151と、外装体本体110側の溶融部分である接合部152と、を有することとなる(
図4及び
図5参照)。
【0047】
本実施の形態では、外装体蓋体120及び外装体本体110は、外装体本体110のZ軸プラス方向端部の開口部の全周に亘って接合される。つまり、接合部150(151及び152)は、外装体本体110のZ軸プラス方向端部の開口部の全周に沿って形成された、Z軸方向から見て四角環状の部位である。このように、接合部151は、外装体本体110(第二部材)に沿って延設されて配置されている。
【0048】
接合部151は、蓋体本体部121(本体部)を介することなく、外装体本体110(第二部材)に接合されている。つまり、外装体蓋体120及び外装体本体110が接合される前の状態では、高透過部130は、外装体本体110と接合される部分(Z軸マイナス方向端部)が蓋体本体部121から露出している。このため、高透過部130は、蓋体本体部121を介することなく、外装体本体110と接合されて、接合部151が形成される。
【0049】
光通過経路160は、蓋体本体部121(本体部)内に配置され、露出部140から接合部151へ光を導く部位である。光通過経路160は、Z軸プラス方向端部が露出部140に接続され、Z軸マイナス方向端部が接合部151に接続されて、露出部140と接合部151とを繋ぐ部位である。具体的には、光通過経路160は、露出部140の全体から接合部151の全体へ光を導くために、露出部140の全体と接合部151の全体とを繋ぐ。つまり、光通過経路160は、露出部140の延設方向に沿って延設されて配置され、かつ、接合部151の延設方向に沿って延設されて配置されている。接合部151が外装体本体110に沿って延設されて配置されているため、光通過経路160は、外装体本体110に沿って延設されて配置されているとも言える。
【0050】
例えば、
図4に示すように、高透過部131においては、光通過経路161は、露出部141から接合部151に向けてZ軸方向に直線状に延設され、かつ、外装体本体110の壁部111に沿ってY軸方向にも延設されて配置される、YZ平面に平行な平板状の部位である。このような構成において、露出部141にレーザ光L1が照射された場合、レーザ光L1は、光通過経路161をZ軸マイナス方向に向けて直進することで、壁部111のZ軸プラス方向端部に照射される。これにより、壁部111のZ軸プラス方向端部が溶融し、その熱で高透過部131のZ軸マイナス方向端部も溶融して、接合部150(151及び152)が形成される。なお、上記では、レーザ光L1が光通過経路161を直進するとしたが、この直進の概念には、レーザ光L1が、光通過経路161内において、全反射を繰り返しながら光通過経路161内を進んでいくことも含む。以下についても同様である。
【0051】
図5に示すように、高透過部134においては、光通過経路162は、露出部142から接合部151に向けて、Z軸方向及びY軸方向にL字状に延設され、かつ、外装体本体110の壁部113に沿ってX軸方向にも延設されて配置される板状の部位である。具体的には、光通過経路162は、第一経路162aと、第二経路162bと、曲げ部162cと、傾斜部162dと、を有している。第一経路162aは、Z軸方向及びX軸方向に直線状に延設されるXZ平面に平行な平板状の部位である。第二経路162bは、Y軸方向及びX軸方向に直線状に延設されるXY平面に平行な平板状の部位である。曲げ部162cは、第一経路162a及び第二経路162bの間に配置され、光が通過する経路が屈曲または湾曲した部位である。つまり、曲げ部162cは、Z軸マイナス方向からY軸マイナス方向に折れ曲がるように湾曲した部分が、X軸方向に延設される部位である。傾斜部162dは、第二経路162bのY軸マイナス方向端部に配置され、Z軸マイナス方向に向かうほどY軸マイナス方向に傾斜した部分が、X軸方向に延設される部位である。
【0052】
このような構成において、露出部142にレーザ光L2が照射された場合、レーザ光L2は、光通過経路162の第一経路162aをZ軸マイナス方向に向けて直進し、曲げ部162cで反射してY軸マイナス方向に向きを変える。そして、レーザ光L2は、第二経路162bをY軸マイナス方向に向けて直進し、傾斜部162dで反射してZ軸マイナス方向に向きを変え、壁部113のZ軸プラス方向端部に照射される。これにより、壁部113のZ軸プラス方向端部が溶融し、その熱で第二経路162bのY軸マイナス方向端部かつZ軸マイナス方向端部も溶融して、接合部150(151及び152)が形成される。
【0053】
このように、
図6の(a)及び(b)に示すように、高透過部134を介して、外装体蓋体120と壁部113のX軸方向中央部とが接合される。具体的には、外装体蓋体120のZ軸プラス方向における、Z軸方向から見て外装体蓋体120の中央位置に、ガルバノスキャナ等に使用されるレーザ光の光源(ミラー)である光源20が配置されている。この場合、壁部113のX軸方向中央部においては、光源20と接合対象部位との間には蓋体突出部121bが配置されるため、光源20から当該接合対象部位にレーザ光を直接照射することができない。このため、光源20からのレーザ光L2を高透過部134に照射することで、外装体蓋体120と壁部113のX軸方向中央部とを接合する。外装体蓋体120と壁部114との接合においても、光源20と接合対象部位との間には蓋体突出部121bが配置されるため、光源20からのレーザ光L3を高透過部138に照射することで、外装体蓋体120と壁部114とを接合する。
【0054】
これに対し、
図6の(a)及び(c)に示すように、壁部113のX軸プラス方向端部においては、光源20と接合対象部位との間には蓋体突出部121b等の物体が配置されないため、光源20から当該接合対象部位にレーザ光L4を直接照射することができる。このため、光源20からのレーザ光L4を、高透過部130を介さずに、接合対象部位に直接照射することで、外装体蓋体120と壁部113のX軸プラス方向端部とを接合(貫通溶接)する。このように、高透過部132を用いることなく、外装体蓋体120と壁部113のX軸プラス方向端部とを接合できるため、高透過部132を設けない構成でもよい。高透過部132を設けずに、高透過部134を介して、外装体蓋体120と壁部113のX軸プラス方向端部とを接合するように構成してもよい。高透過部132を設けて、
図5に示した高透過部134の場合と同様の手法により、高透過部132を介して、外装体蓋体120と壁部113のX軸プラス方向端部とを接合してもよい。外装体蓋体120と壁部113のX軸マイナス方向端部との接合についても同様である。
【0055】
外装体蓋体120と壁部111との接合についても同様である。つまり、外装体蓋体120と壁部111のY軸プラス方向寄りの部位との接合においては、光源20からのレーザ光L1を高透過部131に照射することで、外装体蓋体120と壁部111のY軸プラス方向寄りの部位とを接合する。外装体蓋体120と壁部111のY軸マイナス方向寄りの部位との接合においては、光源20からのレーザ光を接合対象部位に直接照射することで、外装体蓋体120と壁部111のY軸マイナス方向寄りの部位とを接合する。このため、高透過部133を設けない構成でもよい。外装体蓋体120と壁部112との接合についても同様である。例えば、光源20からのレーザ光を反時計回りに回転(
図6の(a)の回転R1)させて、壁部114、112、113及び111の順に外装体蓋体120と接合する。このようにして、外装体蓋体120と外装体本体110の壁部111~114の全体とが接合される。
【0056】
[3 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置10によれば、外装体蓋体120(第一部材)の蓋体本体部121(本体部)内に埋設された高透過部130は、露出部140と、外装体本体110(第二部材)との接合部151と、蓋体本体部121内で露出部140から接合部151へ光を導く光通過経路160と、を有している。このように、外装体蓋体120に、露出部140から外装体本体110との接合部151へ光を導く光通過経路160を有する高透過部130を、蓋体本体部121内に埋設した状態で配置する。これにより、外装体蓋体120及び外装体本体110の接合時に、高透過部130の露出部140にレーザ光等の光を照射することで、当該光が露出部140から光通過経路160を通過し、接合部151において外装体本体110と接合される。ここで、一般的に、レーザ光等の光を照射して接合する方が、接着またはヒートシール等により接合するよりも、時間の短縮を図ることができる。したがって、光の照射により外装体蓋体120及び外装体本体110が接合されることで、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際の時間の短縮を図ることができる。
【0057】
高透過部130を蓋体本体部121内に埋設した構成は、高透過部130を蓋体本体部121に貼り付けた構成と比べて、以下の利点を有する。高透過部130を蓋体本体部121に貼り付けると高透過部130が蓋体本体部121から離脱しやすいが、高透過部130を蓋体本体部121内に埋設することで、高透過部130が蓋体本体部121から離脱しにくい。蓋体本体部121を形成する際に高透過部130を蓋体本体部121内に埋設すればよいため、高透過部130を蓋体本体部121に貼り付ける工程を行う必要がなく、容易に外装体蓋体120を形成できる。高透過部130を蓋体本体部121に貼り付けるよりも、高透過部130を蓋体本体部121内に埋設する方が、高透過部130を通過する光が外部に漏れにくい。
【0058】
高透過部130を蓋体本体部121内に埋設した構成は、外装体蓋体120の全体を高透過部130とする構成と比べて、以下の利点を有する。外装体蓋体120の全体を高透過部130とするのではなく、高透過部130を蓋体本体部121内に埋設した構成とすることで、蓋体本体部121を、外装体蓋体120の機能(外装体100を塞ぐ蓋としての機能)に応じた素材や形状で形成できる。例えば、高透過部130が強度の弱い素材の場合でも、蓋体本体部121を強度の強い素材で形成することで、外装体蓋体120を補強できる。高透過部130が加工しにくい素材の場合でも、蓋体本体部121を加工しやすい素材で形成することで、外装体蓋体120を複雑な形状に加工できる。高透過部130が高価な素材の場合でも、蓋体本体部121に安価な素材を用いることで、外装体蓋体120のコスト低減を図ることができる。
【0059】
外装体蓋体120において、光通過経路162が曲げ部162cを有することで、露出部142から接合部151へ光を導く際に、光が曲がって接合部151まで到着できる。これにより、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際に、光の光源20と接合対象部位との間に何らかの物体(蓋体突出部121b等)が配置されているような場合でも、光源20または接合対象部位を移動させることなく、光を接合部151に到着させることができる。したがって、光源20または接合対象部位を移動させる時間が不要となるため、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際の時間の短縮をさらに図ることができる。光源20または接合対象部位を移動させる必要がないため、外装体蓋体120及び外装体本体110を容易に接合できる。
【0060】
外装体蓋体120において、接合部151が、蓋体本体部121を介することなく外装体本体110に直接接合されることで、接合部151を外装体本体110に強固に接合できる。これにより、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際の時間の短縮を図った場合でも、外装体蓋体120及び外装体本体110をより強固に接合できる。
【0061】
外装体蓋体120において、光通過経路160が、接合部151の延設方向に沿って延設されて配置されることで、接合部151の延設方向に亘って、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際の時間の短縮を図ることができる。光通過経路160が、接合部151の延設方向に沿って延設されて配置されることで、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際に、光を接合部151に容易に到着させることができため、外装体蓋体120及び外装体本体110を容易に接合できる。
【0062】
[4 変形例の説明]
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。
図7は、本実施の形態の変形例1に係る高透過部130(139)の構成を示す断面図である。なお、
図7は、
図4または
図5の高透過部130(131または134)に対応する図である。
【0063】
図7に示すように、本変形例では、高透過部130として、高透過部139が配置される。高透過部139は、光通過経路160として、光通過経路163を有している。本変形例のその他の構成は、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0064】
光通過経路163は、第一経路163aと、第二経路163bと、分岐部163c及び163dと、を有している。分岐部163c及び163dは、光が通過する経路が分岐する部位である。本実施の形態では、第一経路163aが、分岐部163c及び163dによって、複数の第二経路163bに分岐されている。具体的には、1つの第一経路163aが、分岐部163cにおいて2つの経路に分岐され、分岐した2つの経路が、2つの分岐部163dにおいて、それぞれ2つの経路に分岐され、この結果、4つの第二経路163bに分岐されている。これにより、第一経路163aにレーザ光L6が照射された場合、レーザ光L6は、分岐部163c及び163dを介して4つの第二経路163bに分岐されて、それぞれの第二経路163bにおいて接合が行われる。
【0065】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、光通過経路163が分岐部163c及び163dを有することで、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際に、光が分岐して複数箇所の接合部151まで到着できる。これにより、一度に複数箇所の接合を行うことができるため、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際の時間の短縮を図ることができる。光通過経路163が分岐部163c及び163dを有することで、光を複数箇所の接合部151に容易に到着させることができるため、外装体蓋体120及び外装体本体110を容易に接合できる。レーザ光を分岐させて一括で複数の箇所を接合できるため、ひずみの少ない製品提供に寄与できる。
【0066】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。
図8は、本実施の形態の変形例2に係る外装体蓋体120を外装体本体110に接合する手法を説明する上面図である。具体的には、
図8は、
図6の(a)に対応する図である。
【0067】
図8に示すように、本変形例では、4つの蓄電装置10のZ軸プラス方向における、Z軸方向から見て4つの蓄電装置10の中央位置に、光源20が配置されている。このような構成において、例えば、X軸マイナス方向かつY軸プラス方向の蓄電装置10内で、光源20からのレーザ光を、回転R2のように反時計回りに回転させて、外装体蓋体120を外装体本体110の各壁部に接合する。そして、光源20からのレーザ光を、回転R3に沿って反時計回りに回転させて、X軸マイナス方向かつY軸マイナス方向の蓄電装置10に照射する。この際、当該蓄電装置10においても、光源20からのレーザ光を、回転R2のように反時計回りに回転させて、外装体蓋体120を外装体本体110の各壁部に接合する。このようにして、4つの蓄電装置10内の外装体蓋体120及び外装体本体110を順次接合する。
【0068】
このように、複数の蓄電装置10を製造する方法において、1つの光源20を用いて、第1の蓄電装置10にレーザ光を照射し、第1の蓄電装置10内でレーザ光を移動(回転)させて外装体蓋体120(第一部材)と外装体本体110(第二部材)とを接合する。次に、当該1つの光源20を用いて、第2の蓄電装置10にレーザ光を移動(回転)させ、第2の蓄電装置10内でレーザ光を移動(回転)させて外装体蓋体120(第一部材)と外装体本体110(第二部材)とを接合する。同様にして、第3の蓄電装置10等についても、当該1つの光源20を用いて接合を行う。
【0069】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、1つの光源20によって、複数(4つ)の蓄電装置10内の外装体蓋体120及び外装体本体110をまとめて接合できるため、外装体蓋体120及び外装体本体110を接合する際の時間の短縮を図ることができる。なお、本変形例において、1つの光源20によって接合する蓄電装置10の個数は、特に限定されない。
【0070】
(その他の変形例)
以上、本実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、第一部材として外装体蓋体120を例示し、第二部材として外装体本体110を例示したが、第一部材として外装体本体110を例示し、第二部材として外装体蓋体120を例示してもよい。つまり、外装体本体110に高透過部130が設けられていてもよい。または、第一部材及び第二部材として、蓄電装置10が備える互いに接合される2つの部材であれば、どのような部材であってもよい。例えば、第一部材及び第二部材として、蓄電素子200の容器210の容器蓋体及び容器本体でもよいし、蓄電素子200同士の間のスペーサ及び外装体でもよいし、当該スペーサ及びバスバーフレームでもよいし、その他、どのような2つの部材であってもよい。材質についても、第一部材及び第二部材として、樹脂部材及び金属部材でもよいし、金属部材及び樹脂部材でもよいし、金属部材及び金属部材でもよい。
【0072】
上記実施の形態では、高透過部130の露出部140は、蓋体本体部121から外部に露出した部分であることとした。しかし、露出部140を他の部材で覆って(隠して)、露出部140が外部に露出しないようにしてもよい。
【0073】
上記実施の形態では、高透過部130の接合部151は、蓋体本体部121を介することなく、外装体本体110に接合されていることとした。しかし、接合部151は、蓋体本体部121を介して外装体本体110に接合されていてもよい。
【0074】
上記実施の形態では、外装体蓋体120及び外装体本体110の接合部150の全てが上記手法で接合されることとしたが、外装体蓋体120及び外装体本体110の接合部150の一部が上記手法で接合されなくてもよい。
【0075】
上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、第一部材、または、第一部材と第二部材との組み合わせとしても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
10 蓄電装置
20 光源
100 外装体
110 外装体本体
111、112、113、114、115 壁部
120 外装体蓋体
121 蓋体本体部
121a 外部端子配置部
121b 蓋体突出部
122 外部端子
130、131、132、133、134、135、136、137、138、139 高透過部
140、141、142 露出部
150、151、152 接合部
160、161、162、163 光通過経路
162a、163a 第一経路
162b、163b 第二経路
162c 曲げ部
162d 傾斜部
163c、163d 分岐部
200 蓄電素子
210 容器
220 電極端子
300 バスバー