(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150013
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】寒暖情報提供システム、暖房システム、寒暖情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F24H 3/00 20220101AFI20220929BHJP
F24D 7/00 20220101ALI20220929BHJP
F24D 19/10 20060101ALI20220929BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20220929BHJP
F24D 3/00 20220101ALN20220929BHJP
【FI】
F24H3/00 Z
F24D7/00 Z
F24D19/10 C
F24F11/65
F24D3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052403
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
(72)【発明者】
【氏名】波多野 文美
【テーマコード(参考)】
3L070
3L071
3L073
3L260
【Fターム(参考)】
3L070AA02
3L070AA06
3L070BB06
3L070BB09
3L070DD02
3L070DD06
3L070DE04
3L070DE09
3L070DF15
3L071BB02
3L071BB05
3L071BD01
3L073DD08
3L073DE07
3L073DF05
3L260BA23
3L260FA02
(57)【要約】
【課題】体感としての寒暖が反映された情報を提供しやすい寒暖情報提供システム、暖房システム、寒暖情報提供方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】寒暖情報提供システム1は、取得部131と、使用率算出部132と、提供情報作成部133と、提供部134と、を備える。取得部131は、複数の暖房装置の使用に関する暖房装置使用情報を取得する。使用率算出部132は、取得した暖房装置使用情報より複数の暖房装置における暖房装置使用率を算出する。提供情報作成部は、算出した暖房装置使用率を基に寒暖情報を含む提供情報を作成する。提供部134は、作成した提供情報を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の暖房装置の使用に関する暖房装置使用情報を取得する取得部と、
取得した前記暖房装置使用情報より前記複数の暖房装置における暖房装置使用率を算出する使用率算出部と、
算出した前記暖房装置使用率を基に寒暖情報を含む提供情報を作成する提供情報作成部と、
作成した前記提供情報を提供する提供部と、を備える
寒暖情報提供システム。
【請求項2】
前記提供情報作成部は、前記暖房装置使用率を基に、前記提供情報として季節情報を作成する
請求項1記載の寒暖情報提供システム。
【請求項3】
前記暖房装置は、温水床暖房装置である
請求項1又は2記載の寒暖情報提供システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の寒暖情報提供システムと、
前記取得部に前記暖房装置使用情報を取得される複数の暖房装置と、を備える
暖房システム。
【請求項5】
複数の暖房装置の使用に関する暖房装置使用情報を取得する取得ステップと、
取得した前記暖房装置使用情報より前記複数の暖房装置における暖房装置使用率を算出する使用率算出ステップと、
算出した前記暖房装置使用率を基に寒暖情報を含む提供情報を作成する提供情報作成ステップと、
作成した前記提供情報を提供する提供ステップと、を備える
寒暖情報提供方法。
【請求項6】
1以上のプロセッサに、
請求項5記載の寒暖情報提供方法を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒暖情報提供システム、暖房システム、寒暖情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、従来の季節判定方法が開示されている。この季節判定方法は、夏、冬、中間期の三つの季節モードの判定を行なう空調制御において、暦日による夏、冬、中間期の大別を行なうとともに、中間期の暦日期間において、当日の空調開始時に、この時の外気温度と前日同時刻の外気温度とを比較する。外気温度と前日同時刻の外気温度との差が、設定値以内であれば、前日の季節モードのまま運転し、差が設定値以上であれば、空調開始時の外気温度により、夏、冬、中間期のモード判定を行う。さらに、空調機運転時間内の外気平均温度時刻に、当日の外気温度を判定し、起動時の季節モード判定を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された季節判定方法では、外気温度に基づいて季節モード判定を行うものの、空調装置の実際の使用については考慮されておらず、例えば体感温度と外気温度との間に差がある場合には、体感としての寒暖が反映されにくいものであった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、体感としての寒暖が反映された情報を提供しやすい寒暖情報提供システム、暖房システム、寒暖情報提供方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る寒暖情報提供システムは、取得部と、使用率算出部と、提供情報作成部と、提供部と、を備える。前記取得部は、複数の暖房装置の使用に関する暖房装置使用情報を取得する。前記使用率算出部は、取得した前記暖房装置使用情報より前記複数の暖房装置における暖房装置使用率を算出する。前記提供情報作成部は、算出した前記暖房装置使用率を基に寒暖情報を含む提供情報を作成する。前記提供部は、作成した前記提供情報を提供する。
【0007】
請求項2に係る発明にあっては、請求項1に従属する発明であって、前記提供情報作成部は、前記暖房装置使用率を基に、前記提供情報として季節情報を作成する。
【0008】
請求項3に係る発明にあっては、請求項1又は2に係る発明であって、前記暖房装置は、温水床暖房装置である。
【0009】
請求項4の発明に係る暖房システムは、請求項1~3のいずれかの寒暖情報提供システムと、前記取得部に前記暖房装置使用情報を取得される複数の暖房装置と、を備える。
【0010】
請求項5の発明に係る寒暖情報提供方法は、取得ステップと、使用率算出ステップと、提供情報作成ステップと、提供ステップと、を備える。前記取得ステップは、複数の暖房装置の使用に関する暖房装置使用情報を取得するステップである。前記使用率算出ステップは、取得した前記暖房装置使用情報より前記複数の暖房装置における暖房装置使用率を算出するステップである。前記提供情報作成ステップは、算出した前記暖房装置使用率を基に寒暖情報を含む提供情報を作成するステップである。前記提供ステップは、作成した前記提供情報を提供するステップである。
【0011】
請求項6の発明に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、請求項5記載の寒暖情報提供方法を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る寒暖情報提供システムにあっては、単に気温変化からなる情報ではなく、体感としての寒暖が反映された情報を提供情報として提供しやすくなる。
【0013】
請求項2に係る発明にあっては、季節情報より、各種業種におけるシーズンイン、トップシーズン及びシーズンアウト等の時期の判断をしやすくなる。
【0014】
請求項3に係る発明にあっては、温水床暖房装置は頻繁に入り切りされにくいため、暖房装置使用率のばらつきが抑えられ、寒暖情報の精度を上げやすい。
【0015】
請求項4に係る発明にあっては、単に気温変化からなる情報ではなく、体感としての寒暖が反映された情報を提供情報として提供しやすくなる。
【0016】
請求項5に係る発明にあっては、単に気温変化からなる情報ではなく、体感としての寒暖が反映された情報を提供情報として提供しやすくなる。
【0017】
請求項6に係る発明にあっては、単に気温変化からなる情報ではなく、体感としての寒暖が反映された情報を提供情報として提供しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る寒暖情報提供システム及び暖房システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、同上の寒暖情報提供システムにおける寒暖情報提供方法のフロー図である。
【
図3】
図3は、最低気温-暖房装置使用率の相関図である。
【
図4】
図4は、最低気温及び暖房装置使用率のタイムチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る寒暖情報提供システム、暖房システム、寒暖情報提供方法及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る暖房システムは、複数の暖房装置と、寒暖情報提供システム1と、を備える。本実施形態における暖房装置は、温水床暖房装置231であり、温水床暖房装置231は給湯システム2を構成する一要素となっているが、給湯システム2は暖房システム及び寒暖情報提供システム1の必須の構成ではない。以下に、まず、給湯システム2について説明する。
【0021】
(給湯システム)
給湯システム2は、発電装置21と、発電装置21で発生した熱を回収する主熱媒が循環する主熱媒回路22と、暖房用端末23と、を備えている。主熱媒回路22の途中には排熱回収用熱交換器222が接続され、発電装置21と排熱回収用熱交換器222との間には、回収用熱媒が循環する回収用回路221が接続されている。発電装置21で発生した熱は、回収用熱媒を介して、主熱媒に回収される。
【0022】
発電装置21は、本実施形態では原動機駆動式の発電装置21であるが、燃料電池からなる発電装置21であってもよく、特に限定されない。単なる発熱装置ではなく発電装置21が用いられることにより、コージェネレーションシステムとなる。
【0023】
発電装置21は、発電制御部210により制御される。発電制御部210は、マイクロコンピュータを有し、制御プログラムにより制御を行うもので、発電装置21の作動/停止及び発熱量、回収用回路221を流れる回収用熱媒の流量を制御して、熱利用運転を実行する。発電制御部210は、発電操作部211での熱利用運転の開始操作により熱利用運転を開始し、熱利用運転の停止操作により熱利用運転を停止する。
【0024】
主熱媒回路22には、給湯タンク24が設けられる。給湯タンク24には出湯管241が接続されており、この出湯管241の途中から給湯利用の給湯管と風呂の湯張り用の湯張り管とが分岐している。
【0025】
また主熱媒回路22には、給湯タンク24と並列に、熱交換器251及び熱交換器252を直列に接続した並列流路25が設けられる。熱交換器251の一次流路は並列流路25に接続されると共に二次流路は追い焚き用循環回路に接続される。浴槽から追い焚き用循環回路に吸入された浴水は、熱交換器251にて加熱された後、再び浴槽に吐出可能となっている。
【0026】
熱交換器252は、並列流路25を流れる主熱媒と、暖房用熱媒回路26を流れる暖房用熱媒との間で熱交換させる。暖房用熱媒回路26には、暖房用端末23が接続される。暖房用端末23は、暖房用熱媒から熱を得て暖房を行うものである。暖房用端末23として、暖房用熱媒を流して暖房を行う温水床暖房装置231と、暖房用熱媒により加熱した温風を吹き出す浴室暖房乾燥機232と、が設けられる。暖房用端末23は、内部に放熱流路を備えており、暖房用熱媒が放熱流路を流れる際に放熱して暖房が行われる。各暖房用端末23には、放熱流路の内部を流れる暖房用熱媒の単位時間当たりの流量を調節する制御弁230がそれぞれ設けられる。浴室暖房乾燥機232は、高温(例えば80℃程度)の暖房用熱媒を要する高温端末であり、温水床暖房装置231は、低温(例えば60℃程度)の暖房用熱媒を要する低温端末である。
【0027】
暖房用熱媒回路26には、暖房用熱媒の搬送手段となるポンプ261が接続される。暖房用熱媒回路26は、ポンプ261よりも下流側の部分で、浴室暖房乾燥機232に至る高温路27と温水床暖房装置231に至る低温路28とに分岐している。
【0028】
暖房用端末23に設けられた制御弁230は、暖房制御部29により制御される。暖房制御部29は、マイクロコンピュータを有し、制御プログラムにより制御を行うもので、暖房操作部291で設定入力された各暖房用端末23の設定情報を基に、各暖房用端末23に設けられた制御弁230の制御及び暖房用熱媒回路26を流れる暖房用熱媒の流量を制御する。暖房操作部291は、各暖房用端末23における暖房の実行/停止及び暖房量の設定入力を行うもので、設定情報を暖房制御部29へ無線又は有線で送信する。
【0029】
発電制御部210と暖房制御部29とは、無線又は有線により互いに通信可能に構成されている。なお、発電制御部210と暖房制御部29とが別に設けられるのではなく、発電制御部210と暖房制御部29とを統合した制御部であってもよい。本実施形態では、発電制御部210及び暖房制御部29を含めて給湯システム2全体を制御する給湯システム制御部20(
図1参照)を有するものとする。
【0030】
また、発電操作部211及び暖房操作部291は、浴室を含む入居空間に配置されてもよいし、持ち運び可能な操作リモコン(リモートコントローラ)であってもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、給湯システム2は発電装置21及び給湯タンク24を備えるコージェネレーションシステムであるが、給湯システム2はコージェネレーションシステムである必要はなく、発電装置21及び給湯タンク24の一方あるいは両方を備えなくてもよい。上記給湯システム2は一例であり、上述した構成に限定されるものではない。
【0032】
(床暖房装置)
温水床暖房装置231は、床暖房機能を有する。温水床暖房装置231は、内部に温水流路を有する温水パネルが床(浴室の床でもよい)に埋設されて構成される。床暖房機能は、温水流路を流れる暖房用熱媒が放熱することにより、床及び室内を暖める機能である。温水床暖房装置231は、暖房制御部29により制御され、暖房操作部291での操作により運転が行われる。
【0033】
(寒暖情報提供システム)
寒暖情報提供システム1は、体感としての寒暖が反映された情報を提供しやすいシステムである。寒暖情報提供システム1は、通信部11と、記憶部12と、処理部13とを備える。寒暖情報提供システム1は、1以上のサーバにより実現され得る。
【0034】
通信部11は、通信インターフェースである。通信部11は、通信ネットワーク3に接続可能であり、通信ネットワーク3を通じた通信を行う機能を有する。通信部11は、例えば、トランスミッタとレシーバを含む。通信部11は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0035】
記憶部12は、処理部13が利用する情報を記憶するために用いられる。記憶部12は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0036】
処理部13は、寒暖情報提供システム1の動作を制御する制御回路である。処理部13は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上の(コンピュータ)プログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部13として機能する。プログラムは、ここでは処理部13のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0037】
処理部13は、取得部131と、使用率算出部132と、提供情報作成部133と、提供部134と、を備える。取得部131と、使用率算出部132と、提供情報作成部133と、提供部134とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部13によって実現される機能を示している。
【0038】
(取得部)
取得部131は、複数の暖房装置の使用に関する暖房装置使用情報を取得する。複数の暖房装置とは、複数の住戸(すなわち複数の給湯システム2)において使用されている暖房装置であり、温水床暖房装置231や浴室暖房乾燥機232が好適に挙げられるが、空調装置であってもよい。これらの暖房装置は、給湯システム制御部20により制御されている。
【0039】
本実施形態では、暖房装置は温水床暖房装置231であるとする。また、取得部131は、例えば大阪府内の数百万戸の給湯システム2からの暖房装置使用情報を取得可能であるとする。暖房装置使用情報は、各給湯システム2における温水床暖房装置231を今現在使用しているか否かの「使用」と「不使用」のいずれかよりなる情報であり、時系列的に(連続的又は断続的に)取得される。
【0040】
(使用率算出部)
使用率算出部132は、取得した暖房装置使用情報より複数の暖房装置における暖房装置使用率を算出する。具体的には、暖房装置使用率は、取得部131が暖房装置使用情報を取得可能な温水床暖房装置231を有する給湯システム2の数のうち、温水床暖房装置231を使用している給湯システム2の数の割合をいう。ここでは、一の給湯システム2が複数の温水床暖房装置231を有する場合、いずれか一の温水床暖房装置231が使用されていれば暖房装置使用情報としては「使用」となり、全ての温水床暖房装置231が使用されていなければ暖房装置使用情報としては「不使用」となる。この情報を給湯システム2毎に集計し、取得部131が暖房装置使用情報を取得可能な全ての給湯システム2の数のうち、暖房装置使用情報が「使用」である給湯システム2の数の割合を暖房装置使用率として算出する。
【0041】
なお、一の給湯システム2が複数の温水床暖房装置231を有する場合、暖房装置使用率として、全ての給湯システム2の数のうち、温水床暖房装置231を使用している給湯システム2の数の割合ではなく、取得部131が暖房装置使用情報を取得可能な全ての温水床暖房装置231の数のうち、使用されている温水床暖房装置231の数の割合であってもよい。暖房装置使用率の定義は任意に設定可能である。
【0042】
(提供情報作成部)
提供情報作成部133は、算出した暖房装置使用率を基に寒暖情報を含む提供情報を作成する。暖房装置使用率は、体感としての寒暖が反映された情報であって寒暖情報を含むといえるため、提供情報そのものであってもよい。また、提供情報は、暖房装置使用率を基に作成した他の情報であってもよい。本実施形態では、提供情報として、暖房装置使用率を基に作成した季節情報を作成する。
【0043】
(提供部)
提供部134は、作成した提供情報を提供する。本実施形態では、提供部134は、提供情報作成部133で作成された季節情報からなる提供情報を、通信ネットワーク3を通じて被提供者の端末装置4に送ることで、端末装置4の出力部に提供情報を出力させる。
【0044】
(通信ネットワーク)
通信ネットワーク3は、インターネットを含み得る。通信ネットワーク3は、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。通信ネットワーク3は、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0045】
(端末装置)
端末装置4は、通信ネットワーク3を介しての寒暖情報提供システム1への情報の入力、及び、寒暖情報提供システム1からの情報の表示に利用される。端末装置4は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)により実現され得る。
【0046】
(寒暖情報提供方法)
寒暖情報提供システム1において実行される寒暖情報提供方法について
図2に基づいて説明する。
【0047】
寒暖情報提供方法は、取得ステップと、使用率算出ステップと、提供情報作成ステップと、提供ステップと、を備える。処理部13が、寒暖情報提供方法を実行する。
【0048】
寒暖情報提供方法の開始後、まず、取得部131が取得ステップを実行する(ステップS1)。取得ステップは、複数の暖房装置(温水床暖房装置231)の使用に関する暖房装置使用情報を取得するステップである。本実施形態では、暖房装置使用情報として、温水床暖房装置231を使用しているか否かについての「使用」又は「不使用」の情報を、給湯システム2毎に時系列的に取得する。
【0049】
次に、使用率算出部132が使用率算出ステップを実行する(ステップS2)。使用率算出ステップは、取得した暖房装置使用情報より複数の暖房装置における暖房装置使用率を算出するステップである。本実施形態では、暖房装置使用率として、取得部131が暖房装置使用情報を取得可能な全ての給湯システム2の数のうち、暖房装置使用情報が「使用」である給湯システム2の数の割合を算出する。
【0050】
次に、提供情報作成部133が提供情報作成ステップを実行する(ステップS3)。提供情報作成ステップは、算出した暖房装置使用率を基に寒暖情報を含む提供情報を作成するステップである。寒暖情報の作成については後で詳述する。
【0051】
次に、提供部134が提供ステップを実行する(ステップS4)。提供ステップは、作成した提供情報を提供するステップである。本実施形態では、提供部134は、寒暖情報を含む提供情報を、通信ネットワーク3を通じて被提供者の端末装置4に送る。
【0052】
このように、本実施形態においては、実際の温水床暖房装置231の使用に基づく暖房情報使用情報を多数取得して、暖房装置使用率を算出し、この暖房装置使用率を基に、寒暖情報を含む提供情報を作成する。このため、単に気温変化からなる情報ではなく、体感としての寒暖が反映された情報を提供情報として提供しやすくなるものである。
【0053】
(寒暖情報の作成)
次に、寒暖情報の作成について詳述する。
【0054】
一般的に、暖房装置は、気温が低くなるほど、使用率が向上する。
図3に、最低気温-暖房装置使用率の相関図を示す。この相関図は、日毎に一点プロットされるグラフであり、横軸に、ある一日の最低気温をとり、縦軸に、その日に温水床暖房装置231が少しでも使用された給湯システム2の数の給湯システム2全体の数に対する割合(すなわち暖房装置使用率)をとっており、多数の日についてプロットしたものである。
図3より、当然ながら最低気温と暖房装置使用率との間に相関関係が認められるものの、ばらつきも大きく、最低気温と実際の体感との間にずれがあることが分かる。
【0055】
次に、
図4に、ある地域における最低気温及び暖房装置使用率(瞬時値)のタイムチャートを示す。最低気温は、日毎のばらつきが大きいのに対して、暖房装置使用率は、日毎のばらつきが最低気温ほどは大きくない。すなわち、最低気温は変化においてノイズが大きいのに対して、暖房装置使用率は変化においてノイズが最低気温ほどは大きくない。なお、この関係においていう暖房装置使用率の「瞬時値」とは、瞬間ではなく、複数日単位で集計するのではなく、一日単位で集計することを意味している。
【0056】
この結果より、長期的な寒暖の変化(例えば季節)については、最低気温を指標として変化を判断するよりも暖房装置使用率を指標として変化を判断する方が、ノイズが小さくて正確性が向上すると考えられる。体感としての寒暖は、その時点の気温やその日の最低気温のみに依存するのではなく、長期的な寒暖の変化にも依存し、体感としての寒暖は実際の暖房装置の使用(暖房装置使用率)に反映されると考えられる。
【0057】
また、図示しないが、上述した
図4に示す瞬時値としての暖房装置使用率を考慮する考え方に対して、暖房装置使用率(移動平均値)を考慮する考え方がある。ここでいう暖房装置使用率の「移動平均値」とは、「瞬時値」のように一日単位で集計するのではなく、複数日単位で集計することを意味している。本実施形態では、移動平均値は、対象とする日を最終日とする10日間の平均値をとるものとする。移動平均値を用いることにより、瞬時値を用いる場合よりもばらつきが抑えられ、平均化が促進される。また、移動平均値には過去10日間の値が反映されるため、移動平均値は瞬時値よりも数日(概ね5日)ほどの遅れが生じる。
【0058】
次に、具体的な例により、各種の寒暖情報の作成について説明する。
【0059】
(例1)
例1では、寒暖情報の被提供者として、服飾関係の製造業者あるいは販売者を想定している。
【0060】
寒暖情報としては、季節情報であり、冬季へのシーズンインの時期を表すか又は推測する情報である。暖房装置使用率として瞬時値をとる場合と移動平均値をとる場合のそれぞれについて、下記[表1]に示す値に達した時、冬季へのシーズンインの時であると判定する。
【0061】
【0062】
移動平均値の場合の方が暖房装置使用率が低いのは、冬季へのシーズンインの時期は暖房装置使用率の上昇局面であるため、同じ日においては移動平均値の方が瞬時値よりも遅れて低くなるためである。
図4のタイムチャートから、表1の値に達するのは概ね10月下旬と分かる。
【0063】
(例2)
例2では、寒暖情報の被提供者として、例1と同じく服飾関係の製造業者あるいは販売者を想定している。
【0064】
寒暖情報も例1と同じく季節情報であるが、冬季のトップシーズンの時期を表すか又は推測する情報である点で例1と異なる。暖房装置使用率として瞬時値をとる場合と移動平均値をとる場合のそれぞれについて、下記[表2]に示す値に達した時、冬季のトップシーズンの時であると判定する。
【0065】
【0066】
移動平均値の場合の方が暖房装置使用率が低いのは、冬季のトップシーズンに至る時期は暖房装置使用率の上昇局面であるため、同じ日においては移動平均値の方が瞬時値よりも遅れて低くなるためである。
図4のタイムチャートから、表2の値に達するのは概ね12月上旬と分かる。
【0067】
(例3)
例3では、寒暖情報の被提供者として、例1及び例2と同じく服飾関係の製造業者あるいは販売者を想定している。
【0068】
寒暖情報も例1及び例2と同じく季節情報であるが、冬季からのシーズンアウトの時期を表すか又は推測する情報である点で例1及び例2と異なる。暖房装置使用率として瞬時値をとる場合と移動平均値をとる場合のそれぞれについて、下記[表3]に示す値に達した時、冬季からのシーズンアウトの時であると判定する。
【0069】
【0070】
移動平均値の場合の方が暖房装置使用率が高いのは、冬季からのシーズンアウトの時期は暖房装置使用率の下降局面であるため、同じ日においては移動平均値の方が瞬時値よりも遅れて高くなるためである。
図4のタイムチャートから、表3の値に達するのは概ね4月中旬と分かる。
【0071】
(例4)
例4では、寒暖情報の被提供者として、例1~例3と同じく服飾関係の製造業者あるいは販売者を想定している。
【0072】
寒暖情報は、簡易な指標であり、下記[表4]に一例を示す。
【0073】
【0074】
表4では、寒さレベル1~5の5段階で寒さが評価され、簡易な指標でありながら服飾の製造戦略や販売戦略を立てやすい。
【0075】
上述したように、服飾関係の製造業者あるいは販売者は、体感としての寒暖が反映された季節情報を基に、服飾の製造戦略や販売戦略を立て、経営戦略に役立てることができる。
【0076】
また、例1~例4においては、寒暖情報の被提供者として服飾関係の製造業者あるいは販売者を想定していたが、業種は限定されない。寒暖情報の被提供者として、例えば、灯油等を販売する石油販売業者が挙げられ、季節に応じた石油の販売戦略を立てることができる。また、寒い日には鍋物が好まれることから、寒暖情報の被提供者として、飲食店や食材販売店が挙げられ、食材の仕入れや客足の予測等に役立てることができる。
【0077】
また、上述した実施形態では、移動平均値として、対象とする日を最終日とする10日間の平均値をとっていたが、これ以外の平均値を採用してもよい。例えば、対象とする日を最終日とする7日間の平均値をとったり、対象とする日の前後5日の平均値をとったりしてもよく、特に限定されない。
【0078】
また、上述した実施形態では、暖房装置の使用として、温水床暖房装置231の使用を採用していたが、空調装置の使用を採用してもよい。ただし、空調装置は、温水床暖房装置231よりも頻繁に入り切りされるため、温水床暖房装置231の使用を採用した場合と比較すると、暖房装置使用率のばらつきが大きくなると考えられる。この点において、温水床暖房装置231は頻繁に入り切りされにくいため、暖房装置使用率のばらつきが抑えられ、寒暖情報の精度を上げやすい。
【0079】
なお、上述した実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0080】
1 寒暖情報提供システム
11 通信部
12 記憶部
13 処理部
131 取得部
132 使用率算出部
133 提供情報作成部
134 提供部
2 給湯システム
21 発電装置
210 発電制御部
211 発電操作部
22 主熱媒回路
221 回収用回路
222 排熱回収用熱交換器
23 暖房用端末
230 制御弁
231 温水床暖房装置
232 浴室暖房乾燥機
24 給湯タンク
241 出湯管
25 並列流路
251 熱交換器
252 熱交換器
26 暖房用熱媒回路
261 ポンプ
27 高温路
28 低温路
29 暖房制御部
291 暖房操作部
3 通信ネットワーク
4 端末装置