(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150048
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】帯状製品の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/12 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B65B61/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052460
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】前田 紗知
(72)【発明者】
【氏名】権田 俊明
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056CA02
3E056DA01
3E056EA05
3E056FB09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】全体に含まれる一対の包装体のような一対の要素部材を簡易に繋ぐことを可能にする帯状製品の製造方法及び製造装置を提供すること。
【解決手段】帯状製品の製造方法は、分離可能に繋がれたシート状の複数のバッグ10aを連結した帯状製品11の製造方法であって、移動制限部材3であるストッパ35a,35bを用いて、分離された一対のバッグ10aの接続端(外周部)を台座32上において所定幅でオーバラップさせ、溶着装置37を用いた溶着によって、一対のバッグ10aのオーバラップ領域RRにおいて複数の接着箇所11jを接続する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能につながれたシート状の複数の要素部材を連結した帯状製品の製造方法であって、
移動制限部材を用いて、分離された一対の要素部材の外周部を台座上において所定幅でオーバラップさせ、
溶着装置を用いた溶着によって、前記一対の要素部材のオーバラップ領域において複数の点状箇所を接続する、帯状製品の製造方法。
【請求項2】
前記台座において、前記オーバラップ領域に対応して設けられ、前記溶着装置に設けられたポイント溶着ヘッドに付勢された接着箇所を受ける支持部材が設けられている、請求項1に記載の帯状製品の製造方法。
【請求項3】
前記一対の要素部材は、前記溶着された箇所で強制的に分離可能である、請求項1及び2のいずれか一項に記載の帯状製品の製造方法。
【請求項4】
前記一対の要素部材うち先に前記台座上で位置決めされる第1要素部材の接続端を、前記移動制限部材の第1ストッパを動作させることによって前記台座上に位置決めし、前記一対の要素部材うち後に前記台座上で位置決めされる第2要素部材の接続端を、前記移動制限部材の第2ストッパを動作させることによって前記台座上に位置決めする際に、前記第2ストッパを動作させる際の上昇によって前記第1要素部材の前記接続端を前記第2要素部材の前記接続端に対して上昇させ、前記第2要素部材の前記接続端を前記第1要素部材の前記接続端の下に移動させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の帯状製品の製造方法。
【請求項5】
前記第1要素部材は、前記台座の送り方向に関して前記支持部材の後方側に配置され、前記第2要素部材は、前記台座の送り方向に関して前記支持部材の前方側に配置される、請求項4に記載の帯状製品の製造方法。
【請求項6】
前記オーバラップ領域を前記台座に付勢する付勢装置をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の帯状製品の製造方法。
【請求項7】
前記複数の要素部材は、当初ミシン目で連結されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の帯状製品の製造方法。
【請求項8】
分離可能につながれたシート状の複数の要素部材を連結した帯状製品の製造装置であって、
分離された一対の要素部材の外周部を台座上において所定幅でオーバラップさせるための移動制限部材と、
前記一対の要素部材のオーバラップ領域において複数の点状箇所を接続する複数のポイント溶着ヘッドを有する溶着装置とを備える、帯状製品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状バッグのような複数の要素部材を連結した帯状製品の製造方法及び製造装置に関し、特に要素部材の境界を任意の個所で分離した後に再接続することを可能にする帯状製品の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
一連の連続した包装体を帯状のフィルムから一括して製造する方法や装置が公知となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
連続した包装体において、例えば特定位置に不良箇所がある場合、この不良箇所を除去して前後の包装体を繋ぐ必要が生じる場合がある。この場合、ミシン目入りテープで前後の包装体を繋ぐことも考えられるが、ミシン目入りテープは、部分的剥離等によって異物混入の原因となりうること、また、ミシン目入りテープを両包装体に接着する作業は、ミシン目入りテープの位置決め等の煩雑な作業を伴い作業性がよくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、全体に含まれる一対の包装体のような一対の要素部材を簡易に繋ぐことを可能にする帯状製品の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る帯状製品の製造方法は、分離可能に繋がれたシート状の複数の要素部材を連結した帯状製品の製造方法であって、移動制限部材を用いて、分離された一対の要素部材の外周部を台座上において所定幅でオーバラップさせ、溶着装置を用いた溶着によって、一対の要素部材のオーバラップ領域において複数の点状箇所を接続する。
【0007】
上記製造方法によれば、溶着装置を用いた溶着によって一対の要素部材のオーバラップ領域において複数の点状箇所を接続するので、ミシン目入りテープで接続する場合の作業性その他の不都合を回避することができる。また、上記方法では、移動制限部材を用いて分離された一対の要素部材の外周部を台座上において所定幅でオーバラップさせるので、オーバラップ量の調整が正確になり、オーバラップが多くなって要素部材の本体を破損するといった事態や、オーバラップが少なくなって不完全な接続によって意図しない場面で一対の要素部材が分離する事態を回避することができる。
【0008】
本発明の具体的な態様又は観点では、台座において、オーバラップ領域に対応して設けられ、溶着装置に設けられたポイント溶着ヘッドに付勢された接着箇所を受ける支持部材が設けられている。この場合、支持部材とポイント溶着ヘッドとの間にオーバラップ領域を挟んで溶着を行うことができる。
【0009】
本発明の別の観点では、一対の要素部材は、溶着された箇所で強制的に分離可能である。この場合、一旦接続した一対の要素部材を使用に際して再度分離することができる。
【0010】
本発明のさらに別の観点では、一対の要素部材うち先に台座上で位置決めされる第1要素部材の接続端を、移動制限部材の第1ストッパを動作させることによって台座上に位置決めし、一対の要素部材うち後に台座上で位置決めされる第2要素部材の接続端を、移動制限部材の第2ストッパを動作させることによって台座上に位置決めする際に、第2ストッパを動作させる際の上昇によって第1要素部材の接続端を第2要素部材の接続端に対して上昇させ、第2要素部材の接続端を第1要素部材の接続端の下に移動させる。この場合、第1ストッパの動作後に第2ストッパを動作させる際の上昇によって、第1要素部材の接続端を第2要素部材の接続端に対して上昇させることができ、第2要素部材の接続端を第1要素部材の接続端の下に移動させることで、第2要素部材の接続端と第1要素部材の接続端とをオーバラップさせることができる。
【0011】
本発明のさらに別の観点では、第1要素部材は、台座の送り方向に関して支持部材の後方側に配置され、第2要素部材は、台座の送り方向に関して支持部材の前方側に配置される。この場合、第1要素部材や第2要素部材を台座上で送りながら所定のタイミングで第2要素部材を後退させることで、両者の部分的オーバラップが可能になる。
【0012】
本発明のさらに別の観点では、オーバラップ領域を台座に付勢する付勢装置をさらに備える。この場合、一対の要素部材がオーバラップ領域で例えば波打つように撓んでいても平坦化することができ、溶着されたオーバラップ領域を平坦化することができるだけでなく、溶着が確実なものとなる。
【0013】
本発明のさらに別の観点では、複数の要素部材は、当初ミシン目で連結されている。この場合、複数の要素部材から不要部分を除去する際にミシン目で分離することができ、溶着後においても、複数の要素部材の連結箇所のうち接着箇所以外についてはミシン目で分離することができる。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る帯状製品の製造装置は、分離可能に繋がれたシート状の複数の要素部材を連結した帯状製品の製造装置であって、分離された一対の要素部材の外周部を台座上において所定幅でオーバラップさせるための移動制限部材と、一対の要素部材のオーバラップ領域において複数の点状箇所を接続する複数のポイント溶着ヘッドを有する溶着装置とを備える。
【0015】
上記製造装置によれば、溶着装置を用いた溶着によって、一対の要素部材のオーバラップ領域において複数の点状箇所を接続することができ、ミシン目入りテープで接続する場合の作業性その他の不都合を回避することができる。また、上記装置では、移動制限部材によって、分離された一対の要素部材の外周部を台座上において所定幅でオーバラップさせることができるので、オーバラップ量の調整が正確になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)及び(B)は、製造される帯状製品を説明する平面図である。
【
図2】帯状製品を梱包した出荷物を説明する概念的断面図である。
【
図3】第1実施形態の帯状製品の製造装置を説明する斜視図を含む概念図である。
【
図4】溶着装置のシールヘッドやヘッド保持部を説明する一部破断正面図である。
【
図6】(A)及び(B)は、シールヘッド等の構造を説明する側断面図である。
【
図7】(A)、(B)及び(C)は、オーバラップ形成用装置の構造や動作を説明する側断面図である。
【
図8】(A)及び(B)は、オーバラップ形成用装置の動作を説明する側断面図である。
【
図9】全体的な処理の流れを説明する概念図である。
【
図10】第2実施形態の帯状製品の製造装置を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1(A)及び
図1(B)を参照して、本発明の第1実施形態に係る帯状製品の製造装置及び方法によって製造される対象物について説明する。
図1(A)は、完成前の帯状製品10を示し、
図1(B)は、完成後の帯状製品11を示す。
【0018】
図1(A)を参照して、完成前の帯状製品10は、矩形の輪郭を有するシート状の複数の要素部材であるバッグ10aを一列に連結したものであり、当初ミシン目18によって連結されている。つまり、一連のバッグ(要素部材)10aは、ミシン目18によって分離可能に繋がれている。ミシン目18は、帯状製品10の境界線に沿って周期的な切込みを入れることによって形成された多数の小孔であり、個々のバッグ10aをミシン目18に沿って切り離すことを可能にする。帯状製品10は、シート材等から一括して形成されるが、使用に際しては個々のバッグ10aに分離される。バッグ10aは、一対の基材シート12を上下に重ね合わせた状態で周辺部のシール部13において液密に接着されており、水や油といった液体を収納可能な容器として機能する。各基材シート12は、バッグ10aの用途に応じた遮断性能や強度を有し、単層又は複数層で構成される。上側の基材シート12には、スパウト14が設けられている。スパウト14の周囲には、不図示のキャップを螺合させるネジ部が形成され、バッグ10aに流体を注入することやバッグ10aから液体を流出させることを可能にする。
【0019】
図1(B)を参照して、完成後の帯状製品11は、一箇所にオーバラップ連結部11pを有する。帯状製品11は、オーバラップ領域に相当するオーバラップ連結部11pにおいて、複数の点状接着部11qを有する。点状接着部11qは、前後一対のバッグ(要素部材)10aを溶着によって連結しており、両バッグ10aは、点状箇所としての接着箇所11jに相当する点状接着部11qにおいて強制的に分離可能になっている。つまり、点状接着部11qは、ミシン目18と同様に機能する。完成後の帯状製品11は、
図1(A)に示す完成前の帯状製品10を構成する複数のバッグ10aから、具体的には一連のバッグ…,Bn0,Bn1,Bn2,…から、1つのバッグBn1を除いたものとなっている。ここで、除かれたバッグBn1は、バッグ10a及びスパウト14に異物・キズに代表される外観や機能上の欠陥を有するものであり、製造工程で不可避的に発生する可能性がある。完成後の帯状製品11では、完成前の帯状製品10から不良品のバッグBn1を除いた残りを連結している。不良品のバッグBn1を除いた前後のバッグBn0,Bn2を接続するため、オーバラップ連結部11pが設けられている。オーバラップ連結部11pによって一旦分離された前側の帯状製品11aと後側の帯状製品11bとが連結されて必要な個数のバッグ10aを含む帯状製品11となる。なお、図示の例では、帯状製品10から1つのバッグBn1を除いた例を示しているが、帯状製品10から2つ以上のバッグ10aを除く場合も生じ得る。また、個別に製造された2つの帯状製品10を繋いで帯状製品11とする場合も、2つの帯状製品10の間にオーバラップ連結部11pが形成される。
【0020】
図2は、帯状製品11を梱包した出荷物20を説明する概念的な断面図である。帯状製品11は、折り畳まれて例えば紙製の箱容器21に収納されている。帯状製品11を折り畳む単位は、1つのバッグ10aであってもよいが2つ以上のバッグ10aであってもよい。バッグ10aごとに設けられているスパウト14には、キャップ(不図示)を装着しておくこともできる。使用時には、箱容器21から帯状製品11を取り出し、
図1(B)に示すミシン目18や接着箇所11jにおいて切り離しを行い、個々のバッグ10aに分離する。
【0021】
図3は、
図1(B)等に示す帯状製品11の製造装置を説明する斜視図等を含む概念図である。製造装置100は、連結装置30と、オーバラップ機構駆動部50、溶着ヘッド駆動部60と、シールピン接触圧均一化機構70と、センサ駆動部2と、操作部81と、制御部90とを備える。
【0022】
連結装置30は、フレーム31に固定された複数の板状体32aを含む台座32を有し、台座32上に帯状製品11又は帯状製品10を支持する。台座32は、表面が滑らかで、帯状製品11の前方D1への移動を許容する。台座32の両側には、ガイド33が設けられており、帯状製品11を台座32上で前方D1に移動させる際に、帯状製品11が横方向に位置ずれしないように案内し保持する。
【0023】
連結装置30は、台座32等のほかに、オーバラップ形成用装置35と、溶着装置37とを備える。オーバラップ形成用装置35は、オーバラップ連結部11pを形成する前半工程で用いられるものであり、分離された一対のバッグ10aの外周部を台座32上において所定幅でオーバラップさせるために用いられる。オーバラップ形成用装置35は、台座32を横断するように帯状製品11の下側に延びる一対のストッパ35a,35bと、ストッパ35a,35bに昇降動作を行わせるストッパ昇降機構35cとを含む。溶着装置37は、分離された一対のバッグ10aのオーバラップ連結部11p(
図1(B)参照)において複数の点状箇所を融着させることによって接続する。溶着装置37は、オーバラップ連結部11pを局所的に加熱するシールヘッド37aと、シールヘッド37aを保持するヘッド保持部37bと、ヘッド保持部37bを介してシールヘッド37aを昇降させるヘッド昇降機構37cと、シールヘッド37aの温度を検出する温度センサ2aとを有する。シールヘッド37aは、例えば200℃~300℃といった温度に維持される。シールヘッド37a及びヘッド保持部37bの構造については後述する。ヘッド昇降機構37cは、エアシリンダ41aと昇降ガイド41bとを有する。エアシリンダ41aは、ロッド41rの下端に接続されたヘッド保持部37bを介してシールヘッド37aを昇降させる。この際、一対の昇降ガイド41bによってシールヘッド37aの安定した昇降が可能になる。昇降ガイド41bは、エアシリンダ41aの本体に固定された支持板41gに形成されたガイド孔41dと、基部がヘッド保持部37bに固定されて上方に延びガイド孔41dに摺動可能に挿通されるステム41eとを有する。ヘッド昇降機構37cによって降下した動作位置に配置されたシールヘッド37aの下端に対向して、台座32には、シールヘッド37aに付勢された接着箇所11jを受けて支持する支持部材32sが設けられている。
【0024】
オーバラップ機構駆動部50は、制御部90の制御下でオーバラップ形成用装置35を動作させ、オペレータが一対のバッグ10aの端部を所定幅でオーバラップさせる操作を支援する。溶着ヘッド駆動部60は、制御部90の制御下で溶着装置37のシールヘッド37aやヘッド昇降機構37cを動作させる。これにより、シールヘッド37aを加熱しつつ一対のバッグ10aのオーバラップ領域に向けて降下させ、後述するポイントシールヘッドをオーバラップ領域に押圧して多数のポイント溶着を行うことができ、オーバラップ連結部11pを形成することができる。この際、制御部90の制御下で温度センサ2aが動作してシールヘッド37aの温度が計測されており、制御部90は、シールヘッド37aを溶着に適する加熱温度に維持する。操作部81は、オペレータが操作するものであり、制御部90に対してオペレータの指示が出力される。これにより、オーバラップ形成用装置35を構成するストッパ昇降機構35cに動作方向や動作開始を指示し、一対のバッグ10aをオーバラップさせることを可能にする。また、溶着装置37を構成するヘッド昇降機構37cに動作方向や動作開始を指示し、シールヘッド37aによって一対のバッグ10aのオーバラップ領域にポイント溶着を行わせることができる。なお、製造装置100は、以上のような位置決めや溶着を、操作部81を介することなく自動的に行うもいのであってもよい。
【0025】
以上では説明を省略しているが、製造装置100は、
図1(A)等に示す帯状製品11a,11bを台座32上に送り込んで移動させる移動装置を含むものであってもよい。このような移動装置は、帯状製品11a,11bの形状等を検出しつつ帯状製品11a,11bを台座32上に順次送り込み、帯状製品11a,11bの前後端が支持部材32sに近づくまでは迅速に移動させ、帯状製品11a,11bの前後端が支持部材32sに近づいた後は、オーバラップ形成用装置35による送り抵抗を受けて動作を自動的に停止させる。なお、移動装置による移動は、自動的なものに限らず、オーバラップ形成用装置35の移動制限部材3に帯状製品11a,11bの端部を当てる移動工程を目視で確認しながら行う半自動なものであってもよい。
【0026】
図4、
図5、及び
図6(A)を参照して、ヘッド保持部37bやシールヘッド37aの構造について説明する。ヘッド保持部37bは、第1基板42aと第2基板42bとを有する。第1基板42aは、エアシリンダ41aのロッド41rの下端に断熱板42hを介して固定されている。第2基板42bは、一対のエアシリンダ37dから延びる可動軸37eを介して第1基板42aに固定されている。エアシリンダ37dにより、第2基板42bに固定されたシールヘッド37a(すなわちポイント溶着用ピン43a)のバッグ10aに対する接触圧が均一化される。可動軸37eに支持された第2基板42bの動作を滑らかにするため、第1基板42aと第2基板42bとの間には、昇降ガイド42cが設けられている。昇降ガイド42cの構造は、
図2に示すヘッド昇降機構37cの一部として設けられた昇降ガイド41bと同様のものであり、ガイド孔やステムで構成される。第2基板42bには、1以上の温度センサ2aが固定され、温度センサ2aの先端の熱電対部分は、シールヘッド37a中に埋め込まれている。第2基板42bの下面には、遮熱板42iを介してY方向に延びるシールヘッド37aが固定されている。シールヘッド37aの下端には、長手方向つまりY方向に沿って多数のポイント溶着用ピン43aが等間隔で配置され、各ポイント溶着用ピン43aは、根元側においてシールヘッド37aに埋め込むように固定されている。シールヘッド37a中に形成された2つの貫通孔43hには、カートリッジヒータ43iが埋め込むように挿入され、シールヘッド37aの均一な加熱を可能にする。シールヘッド37aの下方には、
図3に示す一対のバッグ10aのオーバラップ領域を台座32に押し付けて平坦にするための押圧部材44a,44b,44cが配置されている。押圧部材44a,44b,44cは、一対のバッグ10aのオーバラップ領域を台座32の支持部材32sに付勢する付勢装置4である。
【0027】
第1の押圧部材44aは、4つの付勢ユニット45aによって下方すなわち-Z側に向かう付勢力が与えられている。各付勢ユニット45aは、下端が押圧部材44aに固定されたステム45hと、ステム45hの周りに配置されたコイルばね45gと、第2基板42bの孔45kに支持されてステム45hの上下動を案内するガイドブッシュ45iと、ステム45hの所定以上の下方移動を制限するフランジ45jとを有する。
図6(A)に示す付勢ユニット45aにより、シールヘッド37aを上昇させた退避状態で、ポイント溶着用ピン43aが第1の押圧部材44aの背後に後退しているが、
図6(B)に示すように、シールヘッド37aを降下させて一対のバッグ10aのオーバラップ領域RRに付勢した動作状態では、第1の押圧部材44aが相対的に後退し、ポイント溶着用ピン43aの先端部が第1の押圧部材44aに形成された開口44hを通り抜けてオーバラップ領域RRの樹脂を加熱しつつ押圧する。
【0028】
以上では、第1の押圧部材44aやこれに付随する付勢ユニット45aの構造について説明したが、他の押圧部材44b,44cやこれらに付随する付勢ユニット45aも同様の構造を有する。ただし、
図4に示すように、横方向の中央に配置される第2の押圧部材44bは、両側に配置される第1の押圧部材44aや第3の押圧部材44cよりも若干下側つまり-Z側に配置されている。これにより、オーバラップ領域RRの中央側が優先的に押圧されてオーバラップ領域RRに反りや撓みが形成されにくくなる。
【0029】
図7(A)を参照して、オーバラップ形成用装置35の具体的な構造について説明する。オーバラップ形成用装置35は、台座32の送り方向に関して支持部材32sの前方D1側つまり+X側に隣接して配置される第1ストッパ35aと、第1ストッパ35aを昇降部材47cを介して昇降させるエアシリンダ47aとを一組として備える。第1ストッパ35aは、移動制限部材3である(
図3参照)。第1ストッパ35aは、詳細な図示を省略するが、台座32を横断するY方向に細長く延びている。オーバラップ形成用装置35は、台座32の送り方向に関して支持部材32sの後方D2側つまり-X側に隣接して配置される第2ストッパ35bと、第2ストッパ35bを昇降部材47dを介して昇降させるエアシリンダ47bとを一組として備える。第2ストッパ35bは、移動制限部材3である(
図3参照)。第2ストッパ35bは、詳細な図示を省略するが、台座32を横断するY方向に細長く延びている。エアシリンダ47a,47bは、詳細な図示を省略するが、ストッパ35a,35bをY方向の両端で支持して昇降させるようにそれぞれ2つ設けられている。エアシリンダ47a,47bや支持部材32sは、フレーム31に固定されている。また、フレーム31に固定された台座32を構成する板状体32aの上面には、シリコンシート46aが張り付けられており、
図3に示す帯状製品11の滑らかで製品表面にキズを形成させにくい移動を可能にしている。シリコンシート46aは、例えばフッ素系樹脂材のシートに置き換えることができる。支持部材32sの上端面にも、シリコンシート48dが張り付けられている。第1ストッパ35aは、上昇した動作位置において、上端がシリコンシート46a,48dの上面より上方に帯状製品11の厚み以上突出し、降下した退避位置において、上端がシリコンシート46a,48dの上面と同一もしくは下側つまり-Z側に配置される。同様に、第2ストッパ35bは、上昇した動作位置において、上端がシリコンシート46a,48dの上面より上方に帯状製品11の厚み以上突出し、降下した退避位置において、上端がシリコンシート46a,48dの上面と同一もしくは下側つまり-Z側に配置される。
【0030】
図7(B)、
図7(C)、
図8(A)、及び
図8(B)を参照して、オーバラップ形成用装置35を利用した帯状製品11の製造について説明する。
【0031】
図7(B)に示すように、第1バッグ(要素部材)Bn2を含む帯状製品11bが、台座32上に送り込まれ、送り方向に関して支持部材32sの後方D2側に配置される。この際、エアシリンダ47aを動作させて第1ストッパ35aを動作位置まで上昇させるとともに、エアシリンダ47bを動作させて第2ストッパ35bを退避位置まで降下させる。これにより、送り込まれた第1バッグBn2の前端である接続端10eを第1ストッパ35aに突き当てることができ、第1バッグBn2の接続端10eの正確な位置決めが可能になる。
【0032】
図7(C)に示すように、既に台座32上に送り込まれている第2バッグ(要素部材)Bn0を含む帯状製品11aが送り方向に関して支持部材32sの前方D1側に配置されている。この状態で、エアシリンダ47aを動作させて第1ストッパ35aを退避位置まで降下させるとともに、エアシリンダ47bを動作させて第2ストッパ35bを動作位置まで上昇させる。つまり、第2バッグBn0の位置決めの前に、第2ストッパ35bを動作させる際の上昇によって第1バッグBn2の前端である接続端10eを第2バッグBn0の後端ある接続端10eに対して上昇させ、第2バッグBn0の接続端10eを第1バッグBn2の接続端10eの下に移動させることができる。さらに、第2バッグBn0を後退させると、第2バッグBn0の後端である接続端10eを第2ストッパ35bに突き当てることができ、第2バッグBn0の接続端10eの正確な位置決めが可能になる。
【0033】
図8(A)に示すように、エアシリンダ47bを動作させて第2ストッパ35bを退避位置まで降下させる。これにより、第1バッグBn2の接続端10eを支持部材32s上に載置された状態の第2バッグBn0の接続端10e上に重ね合わせることができる。第1バッグBn2の接続端10eと第2バッグBn0の接続端10eとを重ね合わせた領域は、一対のバッグ10aのオーバラップ領域RRとなっている。オーバラップ領域RRの送り方向の幅は、例えば10mm程度である。
【0034】
図8(B)に示すように、
図3に示すヘッド昇降機構37c等を動作させてシールヘッド37aを降下させることにより、ポイント溶着用ピン43aの下端と支持部材32sの上面との間に一対のバッグ10aのオーバラップ領域RRを挟み込むことができる。この際、ポイント溶着用ピン43aが適宜の温度に加熱され、適宜の圧力でオーバラップ領域RRの接続端10eに押し付けられるので、ポイント溶着用ピン43aの位置に点状接着部11qが形成される。ポイント溶着用ピン43aは、Y方向に多数配列されており、点状接着部11qは、Y方向に多数形成される。これらの点状接着部11qによって、分離可能なオーバラップ連結部11pが完成する。
【0035】
図9は、全体的な処理の流れを説明する概念図である。まず、基材シート12にシール部13等を形成することによって、完成直前の帯状製品10を準備する(ステップS11)。次に、完成直前の帯状製品10を検査して不良なバッグ10aを抽出し取り除きつつ(ステップS12)、
図3に示す帯状製品11の製造装置100に帯状製品11a,11bを順次送り込む(ステップS13)。その後、オーバラップ形成用装置35によって、帯状製品11bの第1バッグBn2を台座32上で位置決めし、帯状製品11bの第1バッグBn2の接続端10eと帯状製品11aの第2バッグBn0の接続端10eとが上下に重なり合うように、帯状製品11aの第2バッグBn0を台座32上で位置決めする(ステップS14)。この状態で、溶着装置37によって帯状製品11a,11bのオーバラップ領域RRにおいて点状接着部11qを形成し、一対の帯状製品11a,11bを連結し、帯状製品11を完成する(ステップS15)。最後に、帯状製品11が箱容器21に収納されて出荷物20となる(ステップS16)。
【0036】
以上で説明した第1実施形態に係る帯状製品の製造方法は、分離可能に繋がれたシート状の複数のバッグ10aを連結した帯状製品11の製造方法であって、移動制限部材3であるストッパ35a,35bを用いて、分離された一対のバッグ10aの接続端(外周部)10eを台座32上において所定幅でオーバラップさせ、溶着装置37を用いた溶着によって、一対のバッグ10aのオーバラップ領域RRにおいて複数の接着箇所11jを接続する。
【0037】
上記製造方法によれば、溶着装置37を用いた溶着によって一対のバッグ10aのオーバラップ領域RRにおいて複数の接着箇所11jを接続するので、ミシン目入りテープで接続する場合の作業性その他の不都合を回避することができる。また、上記方法では、ストッパ35a,35bを用いて分離された一対のバッグ10aの接続端(外周部)10eを台座32上において所定幅でオーバラップさせるので、オーバラップ量の調整が正確になり、オーバラップが多くなって要素部材の本体を破損するといった事態や、オーバラップが少なくなって不完全な接続によって意図しない場面で一対の要素部材が分離する事態を回避することができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る帯状製品の製造方法等について説明する。なお、第2実施形態の製造方法等は、第1実施形態の製造方法等を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
【0039】
図10に示す帯状製品の製造装置200は、一対のローラー7a,7bと、一対のローラー7a,7bを回転可能に支持する支持軸8aと、支持軸8aを昇降させることにより一対のローラー7a,7bの姿勢を保ちかつ両者の相対的な高さ位置を一致させつつ両者を昇降させるエアシリンダ8cとを、ガイドとして備える。一対のローラー7a,7bは、エアシリンダ8cに駆動されて、台座32の上面との間にわずかな隙間を形成する動作位置と、台座32の上面との間に十分な距離を確保して各バッグ10aに形成されたスパウト14の通過を可能にする退避位置とに移動する。一対のローラー7a,7bが降下して動作位置に配置されると、帯状製品11a,11bが台座32上を移動して一対のローラー7a,7bとの隙間を通過する際に、反りや撓み等の変形が抑えられて平坦化される。さらに、台座32の上面と一対のローラー7a,7bとの隙間をより狭く調整することや、一対のローラー7a,7bに下向きの適宜の付勢力を与えることにより、帯状製品11a,11bを台座32の上面に押し付ける効果も持たせることができる。この場合、一対のローラー7a,7bは、一対のバッグ10aのオーバラップ領域RR又はその周辺を台座32に付勢する付勢装置4として機能する。なお、一対のローラー7a,7bは、昇降するが回転しないアッパーガイドに置き換えることができる。このようなアッパーガイドについても、下向きの付勢力を与えることができ、アッパーガイドによって帯状製品11a,11bを台座32の上面に押し付けることができる。
【0040】
図面では省略しているが、シールヘッド37aに付随して押圧部材44b,44cや付勢ユニット45aを設けることができる。
【0041】
以上、実施形態に即して本発明に係る帯状製品の製造方法及び製造装置を説明したが、本発明は上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、シールヘッド37aにテーパーピン状のポイント溶着用ピン43aを用いたが、ポイント溶着用ピン43aの形状は、円柱その他の様々な形状とすることができる。つまり、点状接着部11qの形状も、円形に限らず、長円形、線状等とすることができる。また、ポイント溶着用ピン43aの配列は、直線に限らず、例えば千鳥配置としてもよい。
【0042】
ストッパ35a,35bは、台座32を横断して直線状に延びるものに限らず、複数の部材で構成することができる。例えば第1ストッパ35aを帯状製品11a,11bの±Y方向の両側部を位置決めするように2分割し分離することができる。
【0043】
溶着装置37は、加熱装置を伴う溶着装置に限らず、超音波溶着装置で構成することができる。
【0044】
帯状製品11は、複数のバッグ10aを連結したものに限らず、シート状の各種要素部材を帯状に連ねたものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
2a…温度センサ、3…移動制限部材、4…付勢装置、7a,7b…付勢ローラー、8a…支持軸、8c…エアシリンダ、10…帯状製品、10a…バッグ、10e…接続端、11,11a,11b…帯状製品、11j…接着箇所、11p…オーバラップ連結部、11q…点状接着部、12…基材シート、12…基材シート、13…シール部、14…スパウト、18…ミシン目、21…箱容器、30…連結装置、31…フレーム、32…台座、32s…支持部材、35…オーバラップ形成用装置、35a,35b…ストッパ、35c…ストッパ昇降機構、37…溶着装置、37a…シールヘッド、37b…ヘッド保持部、37c…ヘッド昇降機構、41a…エアシリンダ、42h…断熱板、42i…遮熱板、42i…カートリッジヒータ、43a…ポイント溶着用ピン、44a,44b,44c…押圧部材、44c…開口、45a…付勢ユニット、45i…ガイドブッシュ、45j…フランジ、46a,48d…シリコンシート、47a,47b…エアシリンダ、47c,47d…昇降部材、48d…シリコンシート、50…オーバラップ機構駆動部、60…溶着ヘッド駆動部、70…センサ駆動部、81…操作部、90…制御部、100,200…製造装置、Bn0,Bn1,Bn2…バッグ、D1…前方、D2…後方、RR…オーバラップ領域