(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150060
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】推定装置、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20220929BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220929BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052475
(22)【出願日】2021-03-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「狭空間における周波数稠密利用のための周波数有効利用技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】新居 英志
(72)【発明者】
【氏名】管 宜理
(72)【発明者】
【氏名】東森 敏英
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義規
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
5K067LL01
5K067LL14
(57)【要約】
【課題】通信の異常原因に対処できるように通信の異常原因と異常原因の発生位置とを推定可能な推定装置を提供する。
【解決手段】原因推定手段51は、学習データに対する観測データの乖離度合を示す乖離度に基づいて、通信装置によって送信されたパケットを受信できないときの無線通信の異常の原因である異常原因を推定する。位置推定手段52は、原因推定手段51によって推定された異常原因に対応付けられた位置推定方法を選択し、パケットがチャネルを用いて無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を用いて、選択した位置推定方法に従って異常原因が発生した位置を推定する。学習データは、正常状態において取得された第1のQoS/チャネル状況情報からなり、観測データは、パケットの受信可否が不明である状態において取得された第2のQoS/チャネル状況情報からなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習データに対する観測データの乖離度合を示す乖離度に基づいて、通信装置によって送信されたパケットを受信できないときの無線通信の異常の原因である異常原因を推定する原因推定手段と、
前記原因推定手段によって推定された異常原因に対応付けられた位置推定方法を選択し、パケットがチャネルを用いて前記無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を用いて、前記選択した位置推定方法に従って前記異常原因が発生した位置を推定する位置推定手段とを備え、
前記原因推定手段は、一定期間において、少なくとも1つの通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が有ると判定したとき、前記任意の通信装置が故障でないと判定し、前記任意の通信装置が故障でないと判定したとき、前記異常原因を推定し、
前記学習データは、前記パケットを受信し、かつ、前記パケットを復号できた状態である正常状態において取得された前記QoS/チャネル状況情報である第1のQoS/チャネル状況情報からなり、
前記観測データは、前記パケットの受信可否が不明である状態において取得された前記QoS/チャネル状況情報である第2のQoS/チャネル状況情報からなる、推定装置。
【請求項2】
前記原因推定手段は、前記正常状態において前記第1のQoS/チャネル状況情報と異なるタイミングで取得された前記QoS/チャネル状況情報である第3のQoS/チャネル状況情報からなる分布推定データの前記学習データに対する乖離度合を示す乖離度を前記第3のQoS/チャネル状況情報の取得タイミングを変化させて複数算出し、その算出した複数の乖離度の確率密度分布を推定し、前記第2のQoS/チャネル状況情報の前記第1のQoS/チャネル状況情報に対する乖離度合を示す推定用乖離度を算出し、1台以上の基地局における前記第2のQoS/チャネル状況情報内の受信信号強度が、前記推定用乖離度が前記確率密度分布における第1のしきい値以下であることを示す異常下降、もしくは前記推定用乖離度が前記確率密度分布の第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値以上であることを示す異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が前記受信信号強度の低下もしくは上昇による原因であると推定し、全ての基地局において前記受信信号強度が前記異常下降および前記異常上昇のどちらでもないと判定されたとき、前記異常原因が通信のスループットの低下による原因であると推定する、請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記原因推定手段は、更に、複数の通信装置に関する前記受信信号強度が前記異常下降または前記異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が障害物の設置であると推定する、請求項2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記原因推定手段は、更に、前記受信信号強度が前記異常下降または前記異常上昇である通信装置が単一であると判定したとき、前記異常原因が前記通信装置の設置位置変更であると推定する、請求項3に記載の推定装置。
【請求項5】
前記原因推定手段は、更に、1台以上の基地局またはモニター通信装置において、前記通信装置のチャネル占有率が前記異常下降であると判定したとき、前記異常原因が前記通信装置のトラフィックの増加、または設置機器からのノイズ、または通信装置の外部からの持ち込みであると推定する、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項6】
前記原因推定手段は、更に、全ての基地局またはモニター通信装置において、前記通信装置のチャネル占有率が前記異常下降でないと判定したとき、異常無しと推定する、請求項5に記載の推定装置。
【請求項7】
前記原因推定手段は、更に、1台以上の基地局において、前記通信のスループットが前記異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が前記通信装置のトラフィックの増加であると推定する、請求項5または請求項6に記載の推定装置。
【請求項8】
前記原因推定手段は、更に、全ての基地局において、前記通信のスループットが前記異常上昇でないと判定したとき、前記異常原因が通信装置の外部からの持ち込み、または設置機器からのノイズであると推定する、請求項7に記載の推定装置。
【請求項9】
前記原因推定手段は、更に、前記1台以上の基地局またはモニター通信装置において、管理外の通信装置のチャネル占有率が前記異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであると推定する、請求項8に記載の推定装置。
【請求項10】
前記原因推定手段は、更に、前記全ての基地局またはモニター通信装置において、前記管理外の通信装置のチャネル占有率が前記異常上昇でないと判定したとき、前記異常原因が設置機器からのノイズであると推定する、請求項8または請求項9に記載の推定装置。
【請求項11】
前記位置推定手段は、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記外部からの通信装置の持ち込みであると推定されたとき、前記外部から持ち込まれた通信装置から前記正常状態において前記パケットを受信したときの前記受信信号強度を用いて前記異常原因が発生した位置を推定し、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記設置機器からのノイズであると推定されたとき、前記観測データに含まれる前記モニター端末装置のアンテナ端における前記受信信号強度の前記学習データに含まれる前記受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度を用いて前記異常原因が発生した位置を推定する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項12】
前記位置推定手段は、更に、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記通信装置のトラフィックの増加であると推定されたとき、前記観測データに含まれる前記スループットの前記学習データに含まれる前記スループットに対するユークリッド距離の最小値からなる第2の異常度が最も高いリンクを検出し、その検出したリンクの送信元の通信装置から受信した受信信号強度の高い3個の前記モニター端末装置の位置と前記3個のモニター端末装置における受信信号強度とを用いて前記異常原因が発生した位置を推定する、請求項11に記載の推定装置。
【請求項13】
前記位置推定手段は、更に、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記障害物の設置であると推定されたとき、前記観測データに含まれる前記モニター端末装置のアンテナ端における前記受信信号強度の前記学習データに含まれる前記受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度と前記学習データに含まれる前記受信信号強度の平均値との乗算結果の高い順に検出された任意の個数のリンクの中間点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の中点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の重心を前記異常原因が発生した位置を推定し、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記通信装置の設置位置変更であると推定されたとき、前記第1の異常度が最も高いリンクの送信元の前記通信装置の初期位置を前記異常原因が発生した位置を推定する、請求項12に記載の推定装置。
【請求項14】
原因推定手段が、学習データに対する観測データの乖離度合を示す乖離度に基づいて、通信装置によって送信されたパケットを受信できないときの無線通信の異常の原因である異常原因を推定する第1のステップと、
位置推定手段が、前記第1のステップにおいて推定された異常原因に対応付けられた位置推定方法を選択し、パケットがチャネルを用いて前記無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を用いて、前記選択した位置推定方法に従って前記異常原因が発生した位置を推定する第2のステップとをコンピュータに実行させ、
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、一定期間において、少なくとも1つの通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が有ると判定したとき、前記任意の通信装置が故障でないと判定し、前記任意の通信装置が故障でないと判定したとき、前記異常原因を推定し、
前記学習データは、前記パケットを受信し、かつ、前記パケットを復号できた状態である正常状態において取得された前記QoS/チャネル状況情報である第1のQoS/チャネル状況情報からなり、
前記観測データは、前記パケットの受信可否が不明である状態において取得された前記QoS/チャネル状況情報である第2のQoS/チャネル状況情報からなる、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、前記正常状態において前記第1のQoS/チャネル状況情報と異なるタイミングで取得された前記QoS/チャネル状況情報である第3のQoS/チャネル状況情報からなる分布推定データの前記学習データに対する乖離度合を示す乖離度を前記第3のQoS/チャネル状況情報の取得タイミングを変化させて複数算出し、その算出した複数の乖離度の確率密度分布を推定し、前記第2のQoS/チャネル状況情報の前記第1のQoS/チャネル状況情報に対する乖離度合を示す推定用乖離度を算出し、1台以上の基地局における前記第2のQoS/チャネル状況情報内の受信信号強度が、前記推定用乖離度が前記確率密度分布における第1のしきい値以下であることを示す異常下降、もしくは前記推定用乖離度が前記確率密度分布の第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値以上であることを示す異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が前記受信信号強度の低下もしくは上昇による原因であると推定し、全ての基地局において前記受信信号強度が前記異常下降および前記異常上昇のどちらでもないと判定されたとき、前記異常原因が通信のスループットの低下による原因であると推定する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、複数の通信装置に関する前記受信信号強度が前記異常下降または前記異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が障害物の設置であると推定する、請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、前記受信信号強度が前記異常下降または前記異常上昇である通信装置が単一であると判定したとき、前記異常原因が前記通信装置の設置位置変更であると推定する、請求項16に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、1台以上の基地局またはモニター通信装置において、前記通信装置のチャネル占有率が前記異常下降であると判定したとき、前記異常原因が前記通信装置のトラフィックの増加、または設置機器からのノイズ、または通信装置の外部からの持ち込みであると推定する、請求項15から請求項17のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、全ての基地局またはモニター通信装置において、前記通信装置のチャネル占有率が前記異常下降でないと判定したとき、異常無しと推定する、請求項18に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、1台以上の基地局において、前記通信のスループットが前記異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が前記通信装置のトラフィックの増加であると推定する、請求項18または請求項19に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項21】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、全ての基地局において、前記通信のスループットが前記異常上昇でないと判定したとき、前記異常原因が通信装置の外部からの持ち込み、または設置機器からのノイズであると推定する、請求項20に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項22】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、前記1台以上の基地局またはモニター通信装置において、管理外の通信装置のチャネル占有率が前記異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであると推定する、請求項21に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項23】
前記原因推定手段は、前記第1のステップにおいて、更に、前記全ての基地局またはモニター通信装置において、前記管理外の通信装置のチャネル占有率が前記異常上昇でないと判定したとき、前記異常原因が設置機器からのノイズであると推定する、請求項21または請求項22に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
前記位置推定手段は、前記第2のステップにおいて、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記外部からの通信装置の持ち込みであると推定されたとき、前記外部から持ち込まれた通信装置から前記正常状態において前記パケットを受信したときの前記受信信号強度を用いて前記異常原因が発生した位置を推定し、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記設置機器からのノイズであると推定されたとき、前記観測データに含まれる前記モニター端末装置のアンテナ端における前記受信信号強度の前記学習データに含まれる前記受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度を用いて前記異常原因が発生した位置を推定する、請求項14から請求項23のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項25】
前記位置推定手段は、前記第2のステップにおいて、更に、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記通信装置のトラフィックの増加であると推定されたとき、前記観測データに含まれる前記スループットの前記学習データに含まれる前記スループットに対するユークリッド距離の最小値からなる第2の異常度が最も高いリンクを検出し、その検出したリンクの送信元の通信装置から受信した受信信号強度の高い3個の前記モニター端末装置の位置と前記3個のモニター端末装置における受信信号強度とを用いて前記異常原因が発生した位置を推定する、請求項24に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項26】
前記位置推定手段は、前記第2のステップにおいて、更に、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記障害物の設置であると推定されたとき、前記観測データに含まれる前記モニター端末装置のアンテナ端における前記受信信号強度の前記学習データに含まれる前記受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度と前記学習データに含まれる前記受信信号強度の平均値との乗算結果の高い順に検出された任意の個数のリンクの中間点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の中点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の重心を前記異常原因が発生した位置と推定し、前記原因推定手段によって前記異常原因が前記通信装置の設置位置変更であると推定されたとき、前記第1の異常度が最も高いリンクの送信元の前記通信装置の初期位置を前記異常原因が発生した位置と推定する、請求項25に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項27】
請求項14から請求項26のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、推定装置、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造現場において生産性を高めるため、各種センサやディスプレイを用いた製造状況のモニターなど、様々なオペレーションが自動化されてきている。これらの機器・装置を有線ネットワークにより接続する場合、レイアウト変更などによる再配線のコストや物理的な断線のリスクが生じることから、無線ネットワークによりこれらを接続する需要が高まっている。
【0003】
しかしながら、工場のような環境は、金属体などの移動による電波の伝搬環境の変化、複数の無線システムが混在することによる電波の干渉や設置機器からの干渉に加えて、近年の多品種少量生産に伴うラインの変更など、無線環境が変動する要因が多数あるため、無線通信の品質が不安定になりやすい環境であるといえる。
【0004】
一方、無線通信を利用するアプリケーションにおいて所要の通信品質(QoS: Quality of Service)が確保できない状況(すなわち、通信異常)が発生すると、ライン停止などを引き起こして工場の生産性が低下し、莫大な損失に直結する。これを防ぐためには、通信異常が発生した際に通信異常の発生原因の種別と位置を把握して迅速かつ適切に対処し、できるだけ短時間でアプリケーションを復旧させることが必要となる。
【0005】
従来、干渉・遮蔽・故障を原因とする無線LAN(Local Area Network)におけるQoS異常を遠隔で診断する方法が知られている(非特許文献1)。この方法は、CAMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)のACK(Acknowledgement)の応答遅延を測定することによって異常を検知して異常の原因を推定する。より具体的には、ACKの応答遅延が通信端末全体で発生していれば、アクセスポイント付近に異常原因があり、ACKの応答遅延が一部の通信端末のみで発生していれば、通信端末付近に異常原因があると推定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】H. Fujita et al.: Access Point Initiated Approach for Interfered Node Detection in 802.11 WLANs. in IEEE Vehicular Technology Conference (VTC2015-Spring), in press (2015).
【非特許文献2】K. P. Murphy, Machine Learning: A Probabilistic Perspective, The MIT Press, 2012. (p.510 Sec.14.7.2 KDE ).
【非特許文献3】O. Anava and K. Levy, “k*-nearest neighbors: From global to local,” in Proc. Int. Conf. Neural Inf. Process. Syst., 2016, pp. 4916-4924.
【非特許文献4】井手剛,井上恵介:非線形変換を利用した時系列データからの知識発見,第4回データマイニングワークショップ,日本ソフトウェア科学会データマイニング研究会,研究会資料シリーズ ISSN 1341-870X,No.29, pp.1-8(2004).
【非特許文献5】https://www.itu.int/dms_pubrec/itu-r/rec/p/R-REC-P.1238-6-200910-S!!PDF-E.pdf.
【非特許文献6】S. Tsutsui, M. Pelikan, and D.E. Goldberg. Evolution- ary algorithm using marginal histogram models in con- tinuous domain. In Proc. of the Optimization by Building and Using Probabilistic Models OBUPM Workshop at the 2001 Genetic and Evolutionary Computation Conf., pages 230-233, 2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、非特許文献1は、通信の異常原因が発生した位置を推定することを扱っていないため、通信の異常原因を推定できても、通信の異常原因に対処することが困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の実施の形態によれば、通信の異常原因に対処できるように通信の異常原因と異常原因の発生位置とを推定可能な推定装置を提供する。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、通信の異常原因に対処できるように通信の異常原因と異常原因の発生位置との推定をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、通信の異常原因に対処できるように通信の異常原因と異常原因の発生位置との推定をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、推定手段は、原因推定手段と、位置推定手段とを備える。原因推定手段は、学習データに対する観測データの乖離度合を示す乖離度に基づいて、通信装置によって送信されたパケットを受信できないときの無線通信の異常の原因である異常原因を推定する。位置推定手段は、原因推定手段によって推定された異常原因に対応付けられた位置推定方法を選択し、パケットがチャネルを用いて無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を用いて、選択した位置推定方法に従って異常原因が発生した位置を推定する。そして、原因推定手段は、一定期間において、少なくとも1つの通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が有ると判定したとき、任意の通信装置が故障でないと判定し、任意の通信装置が故障でないと判定したとき、異常原因を推定する。学習データは、パケットを受信し、かつ、パケットを復号できた状態である正常状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第1のQoS/チャネル状況情報からなる。観測データは、パケットの受信可否が不明である状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第2のQoS/チャネル状況情報からなる。
【0012】
(構成2)
構成1において、原因推定手段は、正常状態において第1のQoS/チャネル状況情報と異なるタイミングで取得されたQoS/チャネル状況情報である第3のQoS/チャネル状況情報からなる分布推定データの学習データに対する乖離度合を示す乖離度を第3のQoS/チャネル状況情報の取得タイミングを変化させて複数算出し、その算出した複数の乖離度の確率密度分布を推定し、第2のQoS/チャネル状況情報の第1のQoS/チャネル状況情報に対する乖離度合を示す推定用乖離度を算出し、1台以上の基地局における前記第2のQoS/チャネル状況情報内の受信信号強度が、前記推定用乖離度が前記確率密度分布における第1のしきい値以下であることを示す異常下降、もしくは前記推定用乖離度が前記確率密度分布の第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値以上であることを示す異常上昇であると判定したとき、前記異常原因が前記受信信号強度の低下もしくは上昇による原因であると推定し、全ての基地局において前記受信信号強度が前記異常下降および前記異常上昇のどちらでもないと判定されたとき、前記異常原因が通信のスループットの低下による原因であると推定する。
【0013】
(構成3)
構成2において、原因推定手段は、更に、複数の通信装置に関する受信信号強度が異常下降または異常上昇であると判定したとき、異常原因が障害物の設置であると推定する。
【0014】
(構成4)
構成3において、原因推定手段は、更に、受信信号強度が異常下降または異常上昇である通信装置が単一であると判定したとき、異常原因が通信装置の設置位置変更であると推定する。
【0015】
(構成5)
構成2から構成4のいずれかにおいて、原因推定手段は、更に、1台以上の基地局またはモニター通信装置において、通信装置のチャネル占有率が異常下降であると判定したとき、異常原因が通信装置のトラフィックの増加、または設置機器からのノイズ、または通信装置の外部からの持ち込みであると推定する。
【0016】
(構成6)
構成5において、原因推定手段は、更に、全ての基地局またはモニター通信装置において、通信装置のチャネル占有率が異常下降でないと判定したとき、異常無しと推定する。
【0017】
(構成7)
構成5または構成6において、原因推定手段は、更に、1台以上の基地局において、通信のスループットが異常上昇であると判定したとき、異常原因が通信装置のトラフィックの増加であると推定する。
【0018】
(構成8)
構成7において、原因推定手段は、更に、全ての基地局において、通信のスループットが異常上昇でないと判定したとき、異常原因が通信装置の外部からの持ち込み、または設置機器からのノイズであると推定する。
【0019】
(構成9)
構成8において、原因推定手段は、更に、1台以上の基地局またはモニター通信装置において、管理外の通信装置のチャネル占有率が異常上昇であると判定したとき、異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであると推定する。
【0020】
(構成10)
構成8または構成9において、原因推定手段は、更に、全ての基地局またはモニター通信装置において、管理外の通信装置のチャネル占有率が異常上昇でないと判定したとき、異常原因が設置機器からのノイズであると推定する。
【0021】
(構成11)
構成1から構成10のいずれかにおいて、位置推定手段は、原因推定手段によって異常原因が外部からの通信装置の持ち込みであると推定されたとき、外部から持ち込まれた通信装置から正常状態においてパケットを受信したときの受信信号強度を用いて異常原因が発生した位置を推定し、原因推定手段によって異常原因が設置機器からのノイズであると推定されたとき、観測データに含まれるモニター端末装置のアンテナ端における受信信号強度の学習データに含まれる受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度を用いて異常原因が発生した位置を推定する。
【0022】
(構成12)
構成11において、位置推定手段は、更に、原因推定手段によって異常原因が通信装置のトラフィックの増加であると推定されたとき、観測データに含まれるスループットの学習データに含まれるスループットに対するユークリッド距離の最小値からなる第2の異常度が最も高いリンクを検出し、その検出したリンクの送信元の通信装置から受信した受信信号強度の高い3個のモニター端末装置の位置と3個のモニター端末装置における受信信号強度とを用いて異常原因が発生した位置を推定する。
【0023】
(構成13)
構成12において、位置推定手段は、更に、原因推定手段によって異常原因が障害物の設置であると推定されたとき、観測データに含まれるモニター端末装置のアンテナ端における受信信号強度の学習データに含まれる受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度と学習データに含まれる受信信号強度の平均値との乗算結果の高い順に検出された任意の個数のリンクの中間点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の中点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の重心を異常原因が発生した位置を推定し、原因推定手段によって異常原因が通信装置の設置位置変更であると推定されたとき、第1の異常度が最も高いリンクの送信元の通信装置の初期位置を異常原因が発生した位置を推定する。
【0024】
(構成14)
また、この発明の実施の形態によるプログラムは、
原因推定手段が、学習データに対する観測データの乖離度合を示す乖離度に基づいて、通信装置によって送信されたパケットを受信できないときの無線通信の異常の原因である異常原因を推定する第1のステップと、
位置推定手段が、第1のステップにおいて推定された異常原因に対応付けられた位置推定方法を選択し、パケットがチャネルを用いて無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を用いて、選択した位置推定方法に従って異常原因が発生した位置を推定する第2のステップとをコンピュータに実行させ、
原因推定手段は、第1のステップにおいて、一定期間において、少なくとも1つの通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が有ると判定したとき、任意の通信装置が故障でないと判定し、任意の通信装置が故障でないと判定したとき、異常原因を推定し、
学習データは、パケットを受信し、かつ、パケットを復号できた状態である正常状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第1のQoS/チャネル状況情報からなり、
観測データは、パケットの受信可否が不明である状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第2のQoS/チャネル状況情報からなる、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0025】
(構成15)
構成14において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、正常状態において第1のQoS/チャネル状況情報と異なるタイミングで取得されたQoS/チャネル状況情報である第3のQoS/チャネル状況情報からなる分布推定データの学習データに対する乖離度合を示す乖離度を第3のQoS/チャネル状況情報の取得タイミングを変化させて複数算出し、その算出した複数の乖離度の確率密度分布を推定し、第2のQoS/チャネル状況情報の第1のQoS/チャネル状況情報に対する乖離度合を示す推定用乖離度を算出し、1台以上の基地局における第2のQoS/チャネル状況情報内の受信信号強度が、推定用乖離度が確率密度分布における第1のしきい値以下であることを示す異常下降、もしくは推定用乖離度が確率密度分布の第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値以上であることを示す異常上昇であると判定したとき、異常原因が受信信号強度の低下もしくは上昇による原因であると推定し、全ての基地局において受信信号強度が前記異常下降および異常上昇のどちらでもないと判定されたとき異常原因が通信のスループットの低下による原因であると推定する。
【0026】
(構成16)
構成15において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、複数の通信装置に関する受信信号強度が異常下降または異常上昇であると判定したとき、異常原因が障害物の設置であると推定する。
【0027】
(構成17)
構成16において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、受信信号強度が異常下降または異常上昇である通信装置が単一であると判定したとき、異常原因が通信装置の設置位置変更であると推定する。
【0028】
(構成18)
構成15から構成17のいずれかにおいて、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、1台以上の基地局またはモニター通信装置において、通信装置のチャネル占有率が前記異常下降であると判定したとき、異常原因が通信装置のトラフィックの増加、または設置機器からのノイズ、または通信装置の外部からの持ち込みであると推定する。
【0029】
(構成19)
構成18において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、全ての基地局またはモニター通信装置において、通信装置のチャネル占有率が前記異常下降でないと判定したとき、異常無しと推定する。
【0030】
(構成20)
構成18または構成19において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、1台以上の基地局において、通信のスループットが異常上昇であると判定したとき、異常原因が通信装置のトラフィックの増加であると推定する。
【0031】
(構成21)
構成20において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、全ての基地局において、通信のスループットが異常上昇でないと判定したとき、異常原因が通信装置の外部からの持ち込み、または設置機器からのノイズであると推定する。
【0032】
(構成22)
構成21において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、1台以上の基地局またはモニター通信装置において、管理外の通信装置のチャネル占有率が前記異常上昇であると判定したとき、異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであると推定する。
【0033】
(構成23)
構成21または構成22において、原因推定手段は、第1のステップにおいて、更に、全ての基地局またはモニター通信装置において、管理外の通信装置のチャネル占有率が異常上昇でないと判定したとき、異常原因が設置機器からのノイズであると推定する。
【0034】
(構成24)
構成14から構成23のいずれかにおいて、位置推定手段は、第2のステップにおいて、原因推定手段によって異常原因が外部からの通信装置の持ち込みであると推定されたとき、外部から持ち込まれた通信装置から正常状態においてパケットを受信したときの受信信号強度を用いて異常原因が発生した位置を推定し、原因推定手段によって異常原因が設置機器からのノイズであると推定されたとき、観測データに含まれるモニター端末装置のアンテナ端における受信信号強度の学習データに含まれる受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度を用いて異常原因が発生した位置を推定する。
【0035】
(構成25)
構成24において、位置推定手段は、第2のステップにおいて、更に、原因推定手段によって異常原因が前記通信装置のトラフィックの増加であると推定されたとき、観測データに含まれるスループットの学習データに含まれるスループットに対するユークリッド距離の最小値からなる第2の異常度が最も高いリンクを検出し、その検出したリンクの送信元の通信装置から受信した受信信号強度の高い3個のモニター端末装置の位置と3個のモニター端末装置における受信信号強度とを用いて異常原因が発生した位置を推定する。
【0036】
(構成26)
構成25において、位置推定手段は、第2のステップにおいて、更に、原因推定手段によって異常原因が障害物の設置であると推定されたとき、観測データに含まれるモニター端末装置のアンテナ端における受信信号強度の学習データに含まれる受信信号強度に対するユークリッド距離の最小値からなる第1の異常度と学習データに含まれる受信信号強度の平均値との乗算結果の高い順に検出された任意の個数のリンクの中間点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の中点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の重心を異常原因が発生した位置と推定し、原因推定手段によって異常原因が通信装置の設置位置変更であると推定されたとき、第1の異常度が最も高いリンクの送信元の通信装置の初期位置を異常原因が発生した位置と推定する。
【0037】
(構成27)
更に、この発明の実施の形態によれば、記録媒体は、構成14から構成26のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0038】
通信の異常原因に対処できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】この発明の実施の形態における通信システムの概略図である。
【
図4】モニター端末装置および基地局が検出するQoS/チャネル状況情報を説明するための図である。
【
図5】受信信号強度RSSIの算出方法を説明するための図である。
【
図7】乖離度の算出方法を説明するための図である。
【
図9】観測データの乖離度の算出方法を示す図である。
【
図10】観測データの異常上昇および異常下降を判定する方法を説明するための図である。
【
図14】異常度(Rarity)の算出方法を説明するための図である。
【
図15】通信の異常原因が障害物の設置であるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【
図16】通信の異常原因が障害物の設置であるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【
図17】受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)および受信信号強度RSSIの平均値の正規化値の概念図である。
【
図18】通信の異常原因が通信装置の設置位置変更であるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【
図19】通信の異常原因がトラフィックの増加であるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【
図20】受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法1を説明するための図である。
【
図21】複数のモニター端末装置における受信信号強度を示す図である。
【
図22】受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法2を説明するための図である。
【
図23】受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法2を説明するための図である。
【
図24】受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法2を説明するための図である。
【
図25】受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法3を説明するための図である。
【
図26】通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【
図27】通信の異常原因が製造現場の設置機器からのノイズであるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【
図29】
図2に示す推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図30】
図29に示すステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図31】
図29に示すステップS4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図32】
図29に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図33】
図29に示すステップS7の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図34】
図29に示すステップS8の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図35】
図29に示すステップS12の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図36】
図35に示すステップS123の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図37】
図35に示すステップS126の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図38】
図35に示すステップS129の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図39】
図38に示すステップS129-3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図40】
図38に示すステップS129-3の詳細な動作を説明するための別のフローチャートである。
【
図41】
図38に示すステップS129-3の詳細な動作を説明するための更に別のフローチャートである。
【
図42】
図35に示すステップS132の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図43】
図35に示すステップS134の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図44】シミュレーションに用いた車体検査工場における通信装置、基地局およびモニター端末装置の配置を示す図である。
【
図45】各異常原因が発生したときの原因推定方法の評価結果を示す図である。
【
図46】各異常原因が発生したときの位置推定方法の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0041】
図1は、この発明の実施の形態における通信システムの概略図である。
図1においては、実線の矢印は、有線通信を表し、点線の矢印は、無線通信を表す。
【0042】
図1を参照して、通信システム100は、推定装置10と、サーバ20と、通信装置30と、基地局40と、モニター端末装置50とを備える。
【0043】
通信システム100は、例えば、製造現場に配置される。推定装置10は、パケットがチャネルを用いて無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を基地局40から有線通信によって受信するとともに、QoS/チャネル状況情報を有線通信および無線通信によってモニター端末装置50から受信する。そして、推定装置10は、QoS/チャネル状況情報に基づいて、後述する方法によって、通信の異常原因と通信の異常原因が発生した位置とを推定する。
【0044】
サーバ20は、QoS/チャネル状況情報を有線通信によって基地局40から受信し、その受信したQoS/チャネル状況情報を記憶する。
【0045】
通信装置30は、無線通信によってパケットを基地局40へ送信する。基地局40は、無線通信によってパケットを通信装置30から受信する。そして、基地局40は、パケットを受信したときのQoS/チャネル状況情報を検出し、その検出したQoS/チャネル状況情報を推定装置10へ送信する。
【0046】
モニター端末装置50は、通信装置30と基地局40との間の無線通信をモニターしてQoS/チャネル状況情報を検出し、その検出したQoS/チャネル状況情報を有線通信および無線通信によって推定装置10へ送信する。
【0047】
なお、
図1においては、1個の通信装置30、1個の基地局40および1個のモニター端末装置50が図示されているが、実際には、通信システム100は、複数の通信装置30、複数の基地局40および複数のモニター端末装置50を備える。
【0048】
図2は、
図1に示す推定装置10の概略図である。
図2を参照して、推定装置10は、有線ケーブル1と、アンテナ2と、受信手段3,4と、推定手段5とを備える。推定手段5は、原因推定手段51と、位置推定手段52とを含む。
【0049】
受信手段3は、有線ケーブル1を介して基地局40またはモニター端末装置50からQoS/チャネル状況情報を受信し、その受信したQoS/チャネル状況情報を推定手段5の原因推定手段51および位置推定手段52へ出力する。
【0050】
受信手段4は、アンテナ2を介してQoS/チャネル状況情報をモニター端末装置50から受信し、その受信したQoS/チャネル状況情報を推定手段5の原因推定手段51および位置推定手段52へ出力する。
【0051】
原因推定手段51は、受信手段3,4からQoS/チャネル状況情報を受け、その受けたQoS/チャネル状況情報に基づいて、後述する方法によって、通信の異常原因を推定する。そして、原因推定手段51は、その推定した異常原因を位置推定手段52へ出力する。
【0052】
位置推定手段52は、受信手段3,4からQoS/チャネル状況情報を受け、原因推定手段51から通信の異常原因を受ける。
【0053】
位置推定手段52は、通信の異常原因と位置推定方法との対応関係を予め保持している。位置推定手段52は、原因推定手段51から通信の異常原因を受けると、その受けた異常原因に対応する位置推定方法を選択する。そして、位置推定手段52は、選択した位置推定方法を用いてQoS/チャネル状況情報に基づいて、後述する方法によって、通信の異常原因が発生した位置を推定する。
【0054】
図3は、通信の異常原因を説明するための図である。
図3の(a)を参照して、3台の通信装置30-1~30-3が基地局40と無線通信を行っているとき、通信装置30-1~30-3と基地局40との間に金属板等の障害物60が設置されると、受信電力が低下するので、通信装置30-1~30-3と基地局40との間の無線通信による通信の異常が発生する。
【0055】
図3の(b)を参照して、センサ等の通信装置30または基地局40が電池交換または機器交換等で再配置された際に設置位置がずれ、マルチパスフェージングの影響により当該装置の無線リンクにおいて受信電力の落ち込みが発生する。その結果、通信の異常が発生する。
【0056】
図3の(c)を参照して、製造現場のシステム(通信システム100)が管理する通信装置30がソフトウェアアップデートなどを行うことで無線システム内のトラフィックが増加し、周囲の通信装置のスループットが低下する。その結果、周囲の通信装置による通信に異常が発生する。
【0057】
図3の(d)を参照して、タブレット端末70などが外部から持ち込まれ、タブレット端末70が通信することで周囲の通信装置30のスループットが低下する。その結果、通信装置30と基地局40との無線通信に異常が発生する。
【0058】
図3の(e)を参照して、製造現場に設置されている製造装置80からノイズが発生し、周囲の通信装置30のスループットが低下する。その結果、通信装置30と基地局40との無線通信に異常が発生する。
【0059】
この発明の実施の形態においては、原因推定手段51は、
図3に示す“障害物の設置”、“通信装置の設置位置変更”、“通信装置のトラフィック増加”、“通信装置の外部からの持ち込み”および“製造現場の設置機器からのノイズ”を通信の異常原因として推定する。
【0060】
QoS/チャネル状況情報の要素を表1に示す。
【0061】
【0062】
表1において、「パケットを正常に受信」とは、パケットを受信し、その受信したパケットを復号できたことを意味する。
【0063】
モニター端末装置のみがアンテナ端における受信信号強度を検出する。また、基地局のみがトラスポート層におけるスループットを検出する。そして、トランスポート層におけるスループットは、送信元の通信装置および送信先の通信装置のペア毎に算出される。また、スループットは、各パケットを識別し、パケットのタイムスタンプに格納された時刻を取得した上で、現在時刻から定められた時間間隔の間に受信したパケット数に各パケットのパケットサイズを乗算した乗算結果の総和として算出される。
【0064】
なお、「パケットを正常に受信したときの受信信号強度」、「製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率」および「製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率」は、パケットを復号した後に各リンクを特定した上で算出される。また、製造現場のシステムが管理する通信装置か製造現場のシステムが管理しない通信装置かは、送信元のMACアドレスから判定される。
【0065】
図4は、モニター端末装置および基地局が検出するQoS/チャネル状況情報を説明するための図である。
【0066】
図4を参照して、通信装置A,Bは、基地局Aと無線通信を行い、通信装置Cは、基地局Bと無線通信を行う。この場合、通信装置Aは、アプリケーションApp1のパケットを基地局Aと送受信し、通信装置Bは、アプリケーションApp2のパケットを基地局Aと送受信し、通信装置Cは、アプリケーションApp3のパケットを基地局Bと送受信する。
【0067】
そして、モニター端末装置A,Bの各々は、通信装置Aと基地局Aとの無線通信をモニターし、通信装置Bと基地局Aとの無線通信をモニターし、通信装置Cと基地局Bとの無線通信をモニターする。
【0068】
その結果、基地局A,Bおよびモニター端末装置A,Bは、次の情報をQoS/チャネル状況情報として検出する。
(1)基地局A
・通信装置A,Bからパケットを受信したときの受信信号強度
・通信装置A,Bのチャネル占有率
・通信装置Aに対するアプリケーションApp1のスループット
・通信装置Bに対するアプリケーションApp2のスループット
(2)基地局B
・通信装置Cからパケットを受信したときの受信信号強度
・通信装置Cのチャネル占有率
・通信装置Cに対するアプリケーションApp1のスループット
(3)モニター端末装置A,B
・アンテナ端における受信信号強度
・基地局A,Bがパケットを送信したときの受信信号強度
・通信装置A,B,Cがパケットを送信したときの受信信号強度
・基地局A,Bのチャネル占有率
・通信装置A,B,Cのチャネル占有率
・製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率
・製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率
図5は、受信信号強度RSSI(Received Signal Strength Indicator)の算出方法を説明するための図である。
【0069】
図5を参照して、受信信号強度RSSI_1~RSSI_6は、パケットを正常に受信したときの受信信号強度であり、サンプリング間隔SP1内において検出される。また、受信信号強度RSSI_7~RSSI_10は、パケットを正常に受信したときの受信信号強度であり、サンプリング間隔SP2内において検出される。
【0070】
そして、受信信号強度RSSI_1~RSSI_6の平均値を時刻tにおける受信信号強度RSSIとし、受信信号強度RSSI_7~RSSI_10の平均値を時刻t+1における受信信号強度RSSIとする。サンプリング間隔SP1,SP2は、同じ時間長からなり、例えば、1秒である。
【0071】
基地局40は、
図5において説明した方法によって受信信号強度RSSIを算出し、その算出した受信信号強度RSSIと基地局40のIPアドレスとを対応付けてポートミラーリングによって推定装置10およびサーバ20へ送信する。
【0072】
一方、モニター端末装置50は、パケットを受信したときのアンテナ端における電波の受信電力からなる受信信号強度RSSI’を検出し、その検出した受信信号強度RSSI’とモニター端末装置50のIPアドレスとを対応付けて有線通信および無線通信によって推定装置10へ送信する。
【0073】
図6は、チャネル占有率の概念図である。なお、
図6は、通信装置A,Bが基地局Aと無線通信を行っているときのモニター端末装置Aが検出したチャネル占有率を示す。
【0074】
図6を参照して、モニター端末装置Aは、基地局Aがチャネルを占有している時間長T
LG_1をサンプリング間隔SP1で除算した除算結果を基地局Aのチャネル占有率として算出し、通信装置Aがチャネルを占有している時間長T
LG_2をサンプリング間隔SP1で除算した除算結果を通信装置Aのチャネル占有率として算出し、通信装置Bがチャネルを占有している時間長T
LG_3をサンプリング間隔SP1で除算した除算結果を通信装置Bのチャネル占有率として算出する。
【0075】
また、モニター端末装置Aは、基地局Aがチャネルを占有している時間長TLG_4をサンプリング間隔SP2で除算した除算結果を基地局Aのチャネル占有率として算出し、通信装置Aがチャネルを占有している時間長TLG_5をサンプリング間隔SP2で除算した除算結果を通信装置Aのチャネル占有率として算出し、通信装置Bがチャネルを占有している時間長TLG_6をサンプリング間隔SP2で除算した除算結果を通信装置Bのチャネル占有率として算出する。
【0076】
このように、チャネル占有率は、チャネルを占有している時間長をサンプリング間隔で除算して算出される。つまり、チャネル占有率は、通信装置または基地局によって送信されたパケットがチャネルを占有している時間割合である。
【0077】
基地局40は、
図6において説明した方法によってチャネル占有率を算出し、その算出したチャネル占有率と基地局40のIPアドレスとを対応付けて推定装置10およびサーバ20へ送信する。また、モニター端末装置50は、
図6において説明した方法によってチャネル占有率を算出し、その算出したチャネル占有率とモニター端末装置50のIPアドレスとを対応付けて有線通信および無線通信によって推定装置10へ送信する。
【0078】
[通信の異常原因の推定]
図7は、乖離度の算出方法を説明するための図である。
図7を参照して、学習データは、パケットを正常に受信したときのN(Nは、Wよりも大きい整数である。)個のサンプルからなる。N個のサンプルの各々は、QoS値(表1に示す“1”~“5”のいずれか)からなる。
【0079】
また、分布推定データは、学習データと異なるタイミングで取得され、かつ、パケットを正常に受信したときのM(Mは、Wよりも大きい整数である。)個のサンプルからなる。M個のサンプルの各々は、QoS値(表1に示す“1”~“5”のいずれか)からなる。なお、NとMとの大小関係は、任意である。
【0080】
曲線k1は、学習データを構成するQoS値の時間依存性を示し、曲線k2は、分布推定データを構成するQoS値の時間依存性を示す。
【0081】
ウィンドウWd_1,Wd_W+1,・・・,Wd_N-W+1,Wd_1’の各々は、幅W(Wは、2以上の整数である。)のウィンドウである。幅Wは、各ウィンドウWd_1,Wd_W+1,・・・,Wd_N-W+1,Wd_1’に含まれるサンプル数を表す。
【0082】
学習データにおいて、ウィンドウWd_1は、1~WのW個のサンプルを含み、ウィンドウWd_W+1は、W+1~2WのW個のサンプルを含み、以下、同様にして、ウィンドウWd_N-W+1は、N-W+1~NのW個のサンプルを含む。また、分布推定データにおいて、ウィンドウWd_1’は、1~WのW個のサンプルを含む。
【0083】
学習データにおけるウィンドウWd_1内のW個のサンプルと、分布推定データにおけるウィンドウWd_1’内のW個のサンプル(曲線k3によって表される)との差分ベクトルを算出し、その算出した差分ベクトルの要素の和n1を算出する。
【0084】
次に、学習データにおけるウィンドウWd_W+1内のW個のサンプルと、分布推定データにおけるウィンドウWd_1’内のW個のサンプル(曲線k3によって表される)との差分ベクトルを算出し、その算出した差分ベクトルの要素の和n2を算出する。
【0085】
以下、同様にして、学習データにおけるウィンドウWd_N-W+1内のW個のサンプルと、分布推定データにおけるウィンドウWd_1’内のW個のサンプル(曲線k3によって表される)との差分ベクトルを算出し、その算出した差分ベクトルの要素の和nN-W+1を算出する。
【0086】
このように、学習データにおいて、ウィンドウWdをスライディングして和n1,n2,・・・,nN-W+1を算出する。
【0087】
そうすると、和n1,n2,・・・,nN-W+1のうちの最小値をタイミングtにおける乖離度とする。
【0088】
上記の動作をタイミングt+1,t+2,・・・について実行し、タイミングt,t+1,t+2,・・・における複数(M-W+1個)の乖離度を取得する。
【0089】
なお、タイミングt+1における乖離度を算出するときのウィンドウWd_1’は、2~W+1のW個のサンプルからなり、タイミングt+2における乖離度を算出するときのウィンドウWd_1’は、3~W+2のW個のサンプルからなり、以下、同様である。
【0090】
また、複数(M-W+1個)の乖離度は、学習データに対する分布推定データの乖離度合(即ち、ずれ量)を表す。
【0091】
更に、学習データおよび分布推定データは、パケットを正常に受信したときのQoS値からなる点で共通するが、分布推定データは、学習データの取得タイミングと異なるタイミングで取得されるので、複数(M-W+1個)の乖離度は、正常状態における第1のタイミングのQoS/チャネル状況情報(QoS値および無線チャネル状況)に対する第1のタイミングと異なる第2のタイミングのQoS/チャネル状況情報(QoS値および無線チャネル状況)の乖離度合(即ち、ずれ量)を示す乖離度として把握することができる。
【0092】
図8は、乖離度の確率密度分布を示す概念図である。
図8を参照して、複数(M-W+1個)の乖離度を算出すると、その算出した複数(M-W+1個)の乖離度(●)の各々にカーネル関数を対応付け、その対応付けた複数(M-W+1個)のカーネル関数を重ね合わすことによって乖離度の確率密度分布を推定する(非特許文献2)。その結果、推定された乖離度の確率密度分布は、曲線k4によって表される。
【0093】
なお、
図7に示すタイミングt,t+1,t+2,・・・にける複数(M-W+1個)の乖離度は、表1に示す「パケットを正常に受信したときの受信信号強度」、「アンテナ端における受信信号強度」、「製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率」、「製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率」および「トランスポート層におけるスループット」の各々について算出され、
図8に示す乖離度の確率密度分布は、表1に示す「パケットを正常に受信したときの受信信号強度」、「アンテナ端における受信信号強度」、「製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率」、「製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率」および「トランスポート層におけるスループット」の各々について推定される。
【0094】
従って、原因推定手段51は、上述した方法によって、複数(M-W+1個)の乖離度を算出し、その算出した複数(M-W+1個)の乖離度に基づいて乖離度の確率密度分布を推定することを表1に示す「パケットを正常に受信したときの受信信号強度」、「アンテナ端における受信信号強度」、「製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率」、「製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率」および「トランスポート層におけるスループット」の各々について実行し、表1に示す「パケットを正常に受信したときの受信信号強度」、「アンテナ端における受信信号強度」、「製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率」、「製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率」および「トランスポート層におけるスループット」にそれぞれ対応付けて乖離度の確率密度分布を保持する。
【0095】
なお、この発明の実施の形態においては、非特許文献6に記載されたヒストグラム分布推定法を用いて乖離度の確率密度分布を推定してもよい。
【0096】
図9は、観測データの乖離度の算出方法を示す図である。通信の異常原因を推定する際には、パケットを正常に受信したか否かが不明であるときに検出されたQoS/チャネル状況情報からなる観測データが用いられる。そして、通信の異常原因を推定するタイミングtにおいて、観測データの学習データに対する乖離度D
diverを
図7において説明した方法によって算出する(
図9参照)。
【0097】
この場合、タイミングtにおいて通信の異常原因および異常原因の発生位置を推定するとき、タイミングtに端部が設定されたウィンドウWd_1’(点線で示すウィンドウ)内の観測データのW個のサンプルと、ウィンドウWd_1,Wd_W+1,・・・,Wd_N-W+1内の学習データのW個のサンプルとの差分ベクトルが算出され、その算出された差分ベクトルの要素の和として観測データの乖離度Ddiver_tが算出される。
【0098】
また、タイミングt+1において通信の異常原因および異常原因の発生位置を推定するとき、タイミングt+1に端部が設定されたウィンドウWd_1’(一点鎖線で示すウィンドウ)内の観測データのW個のサンプルと、ウィンドウWd_1,Wd_W+1,・・・,Wd_N-W+1内の学習データのW個のサンプルとの差分ベクトルが算出され、その算出された差分ベクトルの要素の和として観測データの乖離度Ddiver_t+1が算出される。
【0099】
更に、タイミングt+2において通信の異常原因および異常原因の発生位置を推定するとき、タイミングt+2に端部が設定されたウィンドウWd_1’(二点鎖線で示すウィンドウ)内の観測データのW個のサンプルと、ウィンドウWd_1,Wd_W+1,・・・,Wd_N-W+1内の学習データのW個のサンプルとの差分ベクトルが算出され、その算出された差分ベクトルの要素の和として観測データの乖離度Ddiver_t+2が算出される。以下、同様である。
【0100】
図10は、観測データの異常上昇および異常下降を判定する方法を説明するための図である。
図10において、縦軸は、正常状態における乖離度の確率密度分布を表し、横軸は、乖離度を表す。曲線k4は、乖離度の確率密度分布と乖離度との関係を示す。
【0101】
図10を参照して、乖離度の確率密度分布(曲線k4)において、しきい値Ψ
d,Ψ
rを設定する。しきい値Ψ
dは、累積確率で下位C
d%(例えば、0.1%)を与える値であり、しきい値Ψ
rは、累積確率で上位C
r%(例えば、0.3%)を与える値である。また、しきい値C
d,C
rは、乖離度を算出するQoS/チャネル状況情報ごとに設定される。
【0102】
そして、原因推定手段51は、観測データの乖離度Ddiverがしきい値Ψr以上であるとき、観測データのQoS/チャネル状況情報が異常上昇(rise)であると判定し、観測データの乖離度Ddiverがしきい値Ψr以上でないとき、観測データのQoS/チャネル状況情報が異常上昇(rise)でないと判定する。
【0103】
また、原因推定手段51は、観測データの乖離度Ddiverがしきい値Ψd以下であるとき、観測データのQoS/チャネル状況情報が異常下降(descent)であると判定し、観測データの乖離度Ddiverがしきい値Ψd以下でないとき、観測データのQoS/チャネル状況情報が異常下降(descent)でないと判定する。
【0104】
図11は、対応表TBL1の概略図である。
図11を参照して、対応表TBL1は、正常状態におけるQoS/チャネル状況情報と乖離度の確率密度分布とを含む。正常状態におけるQoS/チャネル状況情報および乖離度の確率密度分布は、相互に対応付けられる。
【0105】
確率密度分布1~確率密度分布5の各々は、
図7および
図8において説明した方法によって推定された確率密度分布からなる。
【0106】
そして、確率密度分布1は、パケットを正常に受信したときの受信信号強度に対応付けられ、確率密度分布2は、アンテナ端における受信信号強度に対応付けられ、確率密度分布3は、製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率に対応付けられ、確率密度分布4は、製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率に対応付けられ、確率密度分布5は、トランスポート層におけるスループットに対応付けられる。
【0107】
図12は、対応表TBL2の概略図である。
図12を参照して、対応表TBL2は、基地局、通信装置およびモニター端末装置と、一定期間におけるパケットの受信有無とを含む。一定期間におけるパケットの受信有無は、基地局、通信装置およびモニター端末装置に対応付けられる。
【0108】
基地局、通信装置およびモニター端末装置は、基地局のIPアドレスAdd_AP_1~Add_AP_I(Iは、基地局の総数を示し、2以上の整数からなる。)と、通信装置のIPアドレスAdd_CM_1~Add_CM_J(Jは、通信装置の総数を示し、2以上の整数からなる。)と、モニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_1~Add_MN_M(Mは、モニター端末装置の総数を示し、2以上の整数からなる。)とを含む。
【0109】
一定期間におけるパケットの受信有無は、yes/noからなる。“yes”は、パケットを受信したことを表し、“no”は、パケットを受信しなかったことを表す。そして、一定期間におけるパケットの受信有無の欄には、基地局のIPアドレスAdd_AP_1~Add_AP_I、通信装置のIPアドレスAdd_CM_1~Add_CM_Jおよびモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_1~Add_MN_Mに対応付けて“yes”または“no”が格納される。
【0110】
図13は、対応表TBL3の概略図である。
図13を参照して、対応表TBL3は、観測データにおけるQoS/チャネル状況情報と、乖離度と、QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置と、QoS/チャネル状況情報の検出の元になったパケットの送信元の通信装置とを含む。観測データにおけるQoS/チャネル状況情報、乖離度、QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置、およびQoS/チャネル状況情報の検出の元になったパケットの送信元の通信装置は、相互に対応付けられる。
【0111】
観測データにおけるQoS/チャネル状況情報は、パケットを正常に受信したときの受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,・・・と、パケットを受信したときのアンテナ端における受信信号強度RSSI’_1,RSSI’_2,・・・と、製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率CH_ocp_1,CH_ocp_2,・・・と、製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率CH’_ocp_1,CH’_ocp_2,・・・と、トランスポート層におけるスループットTHP_1,THP_2,・・・とを含む。
【0112】
乖離度は、観測データの乖離度である。そして、乖離度は、乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・と、乖離度D’diver_1_RSSI,D’diver_2_RSSI,・・・と、乖離度Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・と、乖離度D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・と、乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・とを含む。
【0113】
乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・は、それぞれ、受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,・・・に対応付けられ、乖離度D’diver_1_RSSI,D’diver_2_RSSI,・・・は、それぞれ、受信信号強度RSSI’_1,RSSI’_2,・・・に対応付けられ、乖離度Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・は、それぞれ、チャネル占有率CH_ocp_1,CH_ocp_2,・・・に対応付けられ、乖離度D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・は、それぞれ、チャネル占有率CH’_ocp_1,CH’_ocp_2,・・・に対応付けられ、乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・は、それぞれ、スループットTHP_1,THP_2,・・・に対応付けられる。
【0114】
QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置は、基地局のIPアドレスAdd_AP_i(i=1~I)および/またはモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m(m=1~M)を含む。
【0115】
基地局のIPアドレスAdd_AP_i_RSSIおよびモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m_RSSIは、乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・に対応付けられる。また、モニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m_RSSI’は、乖離度D’diver_1_RSSI,D’diver_2_RSSI,・・・に対応付けられる。更に、基地局のIPアドレスAdd_AP_i_CHおよびモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m_CHは、乖離度Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・に対応付けられる。更に、基地局のIPアドレスAdd_AP_i_CH’およびモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m_CH’は、乖離度D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・に対応付けられる。更に、基地局のIPアドレスAdd_AP_i_THPは、乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・に対応付けられる。
【0116】
この場合、基地局のIPアドレスAdd_AP_i_RSSI,Add_AP_i_CH,Add_AP_i_CH’,Add_AP_i_THPは、それぞれ、1個の基地局のIPアドレスのみからなることもあれば、1個以上の基地局のIPアドレスからなることもある。また、モニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m_RSSI’,Add_MN_m_CH,Add_MN_m_CH’は、それぞれ、1個のモニター端末装置のIPアドレスのみからなることもあれば、1個以上のモニター端末装置のIPアドレスからなることもある。更に、通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_RSSI,Add_CM_j_RSSI’,Add_CM_j_CH,Add_CM_j_CH’,Add_CM_s_j,Add_CM_d_jは、それぞれ、1個の通信装置のIPアドレスのみからなることもあれば、1個以上の通信装置のIPアドレスからなることもある。
【0117】
QoS/チャネル状況情報の検出の元になったパケットの送信元の通信装置は、通信装置のIPアドレスAdd_CM_j(j=1~J),Add_CM_s_j,Add_d_CM_jを含む。IPアドレスAdd_CM_s_jは、送信元の通信装置のIPアドレスを示し、IPアドレスAdd_CM_d_jは、送信先の通信装置のIPアドレスを示す。
【0118】
通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_RSSIは、乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・に対応付けられる。また、通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_RSSI’は、乖離度D’diver_1_RSSI,D’diver_2_RSSI,・・・に対応付けられる。更に、通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_CHは、乖離度Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・に対応付けられる。更に、通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_CH’は、乖離度D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・に対応付けられる。更に、通信装置のIPアドレスAdd_CM_s_j,Add_CM_d_jは、乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・に対応付けられる。
【0119】
この場合、IPアドレスAdd_CM_j_RSSI,Add_CM_j_RSSI’,Add_CM_j_CH,Add_CM_j_CH,Add_CM_s_j,Add_CM_d_jは、それぞれ、1個の通信装置のIPアドレスからなることもあれば、複数の通信装置のIPアドレスからなることもある。
【0120】
QoS/チャネル状況情報を乖離度に対応付けることによって、通信装置に関する受信信号強度RSSI,RSSI’の乖離度、チャネル占有率CH_ocp,CH’_ocpの乖離度およびスループットTHPの乖離度が異常上昇(rise)であるか異常下降(descent)であるかを
図10において説明した方法によって判定することができる。
【0121】
送信元の通信装置のIPアドレスAdd_CM_s_jおよび送信先の通信装置のIPアドレスAdd_CM_d_jが乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・に対応付けられるのは、トランスポート層におけるスループットTHP_1,THP_2,・・・が送信元の通信装置と送信先の通信装置とのペアに対して算出されるからである。
【0122】
また、基地局のIPアドレスAdd_AP_i_THPのみが乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・に対応付けられるのは、基地局のみがトランスポート層におけるスループットを検出するからである。
【0123】
更に、モニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m_RSSI’のみがD’diver_1_RSSI,D’diver_2_RSSI,・・・に対応付けられるのは、モニター端末装置のみがアンテナ端における受信信号強度RSSI’を検出するからである。
【0124】
原因推定手段51は、正常状態におけるQoS/チャネル状況情報(受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHP)からなる学習データと、学習データと異なるタイミングで取得され、かつ、正常状態におけるQoS/チャネル状況情報(受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHP)からなる分布推定データとを受信手段3,4から受けると、その受け学習データおよび分布推定データに基づいて、上述した方法によって、乖離度の確率密度分布を推定することを受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHPの全てについて実行し、確率密度分布1~確率密度分布5を生成する。
【0125】
そして、原因推定手段51は、その生成した確率密度分布1、確率密度分布2、確率密度分布3、確率密度分布4、および確率密度分布5をそれぞれ受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHPに対応付けて対応表TBL1を作成する。
【0126】
また、原因推定手段51は、一定期間において、基地局、通信装置およびモニター端末装置がパケットを受信したことを示す信号Sreceiveを受信手段3,4から受けたか否かを判定する。そして、原因推定手段51は、一定期間において、少なくとも1回、信号Sreceiveを受信手段3,4から受けたとき、信号Sreceiveの送信元のIPアドレス(基地局、通信装置およびモニター端末装置のうちのいずれかのIPアドレス)に対応付けて“yes”を設定し、一定期間において、信号Sreceiveを受信手段3,4から受けなかったとき、一定期間において信号Sreceiveを受けていないIPアドレス(基地局、通信装置およびモニター端末装置のうちのいずれかのIPアドレス)に対応付けて“no”を設定して対応表TBL2を作成する。
【0127】
更に、原因推定手段51は、QoS/チャネル状況情報(受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHP)からなる観測データを受信手段3,4から受けると、その受けた観測データに基づいて、上述した方法によって、観測データの乖離度を算出することを受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHPの全てについて実行し、乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・;D’diver_1_RSSI,D’diver_2_RSSI,・・・;Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・;D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・;Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・を取得する。
【0128】
そして、原因推定手段51は、QoS/チャネル状況情報を含むパケットからQoS/チャネル状況情報(受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHP)を検出した基地局/モニター端末装置のIPアドレスAdd_AP_i,Add_MN_mを検出し、QoS/チャネル状況情報の各要素(受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHP)からQoS/チャネル状況情報(受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、 管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHP)の検出の元になるパケットを送信した送信元の通信装置のIPアドレスAdd_CM_j,Add_CM_s_j,Add_CM_d_jを検出する。
【0129】
そうすると、原因推定手段51は、QoS/チャネル状況情報の各要素(受信信号強度RSSI、アンテナ端の受信信号強度RSSI’、管理下の通信装置のチャネル占有率CH_ocp、管理外の通信装置のチャネル占有率CH’_ocpおよびスループットTHP)と、乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・;D’diver_1_RSSI,D’diver_2_RSSI,・・・;Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・;D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・;Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・と、IPアドレスAdd_AP_i,Add_MN_mと、IPアドレスAdd_CM_j,Add_CM_s_j,Add_CM_d_jとをそれぞれ対応付けて対応表TBL3を作成する。
【0130】
原因推定手段51は、対応表TBL1,TBL2,TBL3を作成すると、対応表TBL2を参照して、一定期間において、通信システム100内の全ての基地局、通信装置およびモニター端末装置が任意の通信装置からパケットを受信していないか否かを判定する。
【0131】
そして、原因推定手段51は、一定期間において、通信システム100内の全ての基地局、通信装置およびモニター端末装置が任意の通信装置からパケットを受信していないと判定したとき、任意の通信装置が故障していると推定する。
【0132】
一方、原因推定手段51は、一定期間において、通信システム100内の基地局、通信装置およびモニター端末装置のうちの少なくとも1つが任意の通信装置からパケットを受信したと判定したとき、対応表TBL3を参照して、各基地局のIPアドレスAdd_AP_i_RSSIに対応付けられた乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・を検出し、対応表TBL1を参照して、確率密度分布1を検出する。
【0133】
そして、原因推定手段51は、1台以上の基地局における受信信号強度RSSIに異常下降(descent)があるか否かを判定する。この場合、原因推定手段51は、乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・のうちの1個以上の乖離度Ddiver_j_RSSIが確率密度分布1のしきい値Ψd以下であると判定したとき、1台以上の基地局における受信信号強度RSSIに異常下降(descent)があると判定し、乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・の全てが確率密度分布1のしきい値Ψdよりも大きいと判定したとき、1台以上の基地局における受信信号強度RSSIに異常下降(descent)がないと判定する。
【0134】
原因推定手段51は、1台以上の基地局における受信信号強度RSSIに異常下降(descent)があると判定したとき、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIに異常下降(descent)があるか否かを判定する。この場合、原因推定手段51は、対応表TBL3における複数の通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_RSSIに対応付けられた乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・のうちの複数の乖離度が確率密度分布1のしきい値Ψd以下であると判定したとき、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIに異常下降(descent)があると判定し、対応表TBL3における1個の通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_RSSIに対応付けられた乖離度のみが確率密度分布1のしきい値Ψd以下であるとき、または対応表TBL3における複数の通信装置のIPアドレスAdd_CM_j_RSSIに対応付けられた乖離度Ddiver_1_RSSI,Ddiver_2_RSSI,・・・のうちの複数の乖離度が確率密度分布1のしきい値Ψdよりも大きいと判定したとき、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIに異常下降(descent)が無いと判定する。
【0135】
原因推定手段51は、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIに異常下降(descent)があると判定したとき、通信の異常原因を“障害物の設置”であると推定する。
【0136】
一方、原因推定手段51は、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIに異常下降(descent)が無いと判定したとき、通信の異常原因を“通信装置の設置位置変更”であると推定する。
【0137】
また、原因推定手段51は、1台以上の基地局における受信信号強度RSSIに異常下降(descent)が無いと判定したとき、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率CH_ocpに異常下降(descent)があるか否かを判定する。この場合、原因推定手段51は、対応表TBL3におけるIPアドレスAdd_AP_i_CH/Add_MN_m_CHに対応する乖離度Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・が対応表TBL1における確率密度分布3のしきい値Ψd以下であると判定したとき、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率CH_ocpに異常下降(descent)があると判定し、乖離度Ddiver_1_CH,Ddiver_2_CH,・・・が確率密度分布3のしきい値Ψdよりも大きいと判定したとき、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率CH_ocpに異常下降(descent)が無いと判定する。
【0138】
原因推定手段51は、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率CH_ocpに異常下降(descent)が無いと判定したとき、通信の異常原因が無いと判定する。
【0139】
一方、原因推定手段51は、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率CH_ocpに異常下降(descent)があると判定したとき、1台以上の基地局でスループットTHPに異常上昇(rise)があるか否かを判定する。この場合、原因推定手段51は、対応表TBL3におけるIPアドレスAdd_AP_i_THPに対応付けられた乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・のうちの1個以上の乖離度が対応表TBL1における確率密度分布5のしきい値Ψr以上であるとき、1台以上の基地局でスループットTHPに異常上昇(rise)があると判定し、乖離度Ddiver_1_THP,Ddiver_2_THP,・・・の全てが確率密度分布5のしきい値Ψrよりも小さいとき、1台以上の基地局でスループットTHPに異常上昇(rise)が無いと判定する。
【0140】
原因推定手段51は、1台以上の基地局でスループットTHPに異常上昇(rise)があると判定したとき、通信の異常原因を通信装置のトラフィック増加であると推定する。
【0141】
一方、原因推定手段51は、1台以上の基地局でスループットTHPに異常上昇(rise)が無いと判定したとき、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率CH’_ocpに異常上昇(rise)があるか否かを判定する。この場合、原因推定手段51は、対応表TBL3におけるIPアドレスAdd_AP_i_CH’/Add_MN_m_CH’に対応する乖離度D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・の少なくとも1つが対応表TBL1における確率密度分布4のしきい値Ψr以上であると判定したとき、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率CH’_ocpに異常上昇(rise)があると判定し、乖離度D’diver_1_CH,D’diver_2_CH,・・・の全ての乖離度D’が確率密度分布4のしきい値Ψrよりも小さいと判定したとき、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率CH’_ocpに異常上昇(rise)が無いと判定する。
【0142】
原因推定手段51は、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率CH’_ocpに異常上昇(rise)があると判定したとき、通信の異常原因を通信装置の外部からの持ち込みであると推定する。
【0143】
一方、原因推定手段51は、1台以上の基地局/モニター端末装置で通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率CH’_ocpに異常上昇(rise)が無いと判定したとき、通信の異常原因を製造現場の設置機器からのノイズであると推定する。
【0144】
原因推定手段51は、上述した方法によって、通信の異常原因を推定すると、その推定した通信の異常原因を位置推定手段52へ出力する。
【0145】
原因推定手段51は、通信の異常原因を推定する各タイミングt,t+1,t+2,・・・において、上述した方法によって、通信の異常原因を推定する。
【0146】
[異常原因の発生位置の推定]
図14は、異常度(Rarity)の算出方法を説明するための図である。
図14を参照して、位置推定手段52は、
図9において説明した方法によって、タイミングtにおいて、観測データのウィンドウWd_1’内のW個のサンプルと学習データのウィンドウWd_1内のW個のサンプルとの差分ベクトルを算出し、その算出した差分ベクトルの要素の絶対値の和n’
1を算出する。
【0147】
その後、位置推定手段52は、学習データにおいてウィンドウをウィンドウWd_2,・・・,Wd_N-W+1に順次スライディングさせて、同様にして、差分ベクトルの要素の絶対値の和n’2,・・・n’N-W+1を算出する。
【0148】
そして、位置推定手段52は、和n’1,n’2,・・・n’N-W+1のうちの最小値をタイミングtにおける異常度(Rarity)とする。即ち、異常度(Rarity)は、観測データの学習データに対する最小ユークリッド距離からなる。なお、和n’1,n’2,・・・n’N-W+1のうちの最小値が複数存在する場合、複数の最小値のうちの任意の1つをタイミングtにおける異常度(Rarity)とする。
【0149】
また、位置推定手段52は、同様にして、タイミングt+1,t+2,・・・における異常度(Rarity)を算出する。
(1)位置推定方法1
通信の異常原因が障害物の設置である場合について、異常原因の発生位置を推定する方法を説明する。
【0150】
図15および
図16は、通信の異常原因が障害物の設置であるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【0151】
図15を参照して、例えば、複数のモニター端末装置50が碁盤目状に配置される。そして、通信装置30は、基地局40と無線通信を行っている。
【0152】
このような状況において、障害物60が通信装置30と基地局40とのリンク上に配置されると、観測データの受信信号強度RSSIが学習データの受信信号強度RSSIに比べて低下する。そして、リンク長が短いリンクほど、通信装置30および基地局40は、障害物60に近い。
【0153】
図16を参照して、位置推定手段52は、上述した方法によって、時刻tにおける受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)を算出する。
【0154】
また、位置推定手段52は、時刻tにおいて、学習データの受信信号強度RSSIの平均値を算出する。
【0155】
図17は、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)および受信信号強度RSSIの平均値の正規化値の概念図である。
【0156】
図17の(a)を参照して、位置推定手段52は、モニター端末装置50_1と基地局40_1とのリンク、モニター端末装置50_1と基地局40_2とのリンク、モニター端末装置50_1と通信装置30_1とのリンク、・・・、基地局40_1と通信装置30_2とのリンクおよび基地局40_1と通信装置30_1とのリンクの全てについて、時刻tにおける受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)を算出する。そして、位置推定手段52は、算出した受信信号強度RSSIの複数の異常度(Rarity)のうちの最小値を“0”とし、受信信号強度RSSIの複数の異常度(Rarity)のうちの最大値を“1”として異常度(Rarity)を正規化した正規化値を取得する。
【0157】
図17の(b)を参照して、位置推定手段52は、モニター端末装置50_1と基地局40_1とのリンク、モニター端末装置50_1と基地局40_2とのリンク、モニター端末装置50_1と通信装置30_1とのリンク、・・・、基地局40_1と通信装置30_2とのリンクおよび基地局40_1と通信装置30_1とのリンクの全てについて、学習データにおける各リンクの受信信号強度RSSIの平均値を算出する。そして、位置推定手段52は、算出した受信信号強度RSSIの複数の平均値のうちの最小値を“0”とし、受信信号強度RSSIの複数の平均値のうちの最大値を“1”として受信信号強度RSSIの平均値を正規化した正規化値を取得する。
【0158】
そうすると、位置推定手段52は、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)の正規化値と学習データの受信信号強度RSSIの平均値の正規化値とを乗算して乗算結果を取得する。
【0159】
位置推定手段52は、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)の正規化値と受信信号強度RSSIの平均値の正規化値との乗算結果を
図15に示す複数のモニター端末装置50の全てについて算出する。
【0160】
再び、
図15を参照して、その後、位置推定手段52は、乗算結果が大きい順にN
2(N
2は、自然数である。)個のリンク(例えば、通信装置30とモニター端末装置50A,50B,50Cとの3個のリンク)を検出する。そして、位置推定手段52は、通信装置30とモニター端末装置50Aとのリンクの中間点MD1(x
1,y
1)、通信装置30とモニター端末装置50Bとのリンクの中間点MD2(x
2,y
2)および通信装置30とモニター端末装置50Cとのリンクの中間点MD3(x
3,y
3)を算出する。この場合、位置推定手段52は、通信装置30および全てのモニター端末装置50の位置を予め保持しているので、中間点MD1,MD2,MD3を算出できる。
【0161】
位置推定手段52は、中間点MD1(x1,y1),MD2(x2,y2),MD3(x3,y3)を算出すると、中間点MD1(x1,y1),MD2(x2,y2),MD3(x3,y3)の受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)の正規化値と受信信号強度RSSIの平均値の正規化値との乗算結果ML1,ML2,ML3を重みとした重心G(xG,yG)を異常原因(障害物の設置)の発生位置として推定する。この場合、位置推定手段52は、以下に示す式(5)の異常度R1~R3をそれぞれ乗算結果ML1,ML2,ML3に変えて、重心G(xG,yG)を算出する。
【0162】
また、位置推定手段52は、N2が“2”である場合、例えば、通信装置30とモニター端末装置50A,50Bとの2個のリンクを検出し、中間点MD1,MD2の受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)の正規化値と受信信号強度RSSIの平均値の正規化値との乗算結果ML1,ML2を重みとした中点を異常原因(障害物の設置)の発生位置として推定する。更に、位置推定手段52は、N2が“1”である場合、例えば、通信装置30とモニター端末装置50Aとの1個のリンクを検出し、中間点MD1を異常原因(障害物の設置)の発生位置として推定する。なお、N2個のモニター端末装置の位置を用いた推定位置(xE,yE)は、以下に示す式(6)のRmに乗算結果ML1,ML2を代入して算出される。
【0163】
このように、位置推定手段52は、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)の正規化値と受信信号強度RSSIの平均値の正規化値との乗算結果が高い順に検出されたN2個のリンクの中間点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の中点、もしくは乗算結果を重みとした中間点の重心Gを異常原因(障害物の設置)の発生位置として推定する。
【0164】
なお、上記においては、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)を用いて異常原因の発生位置を推定すると説明したが、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)に代えて、観測データと学習データとの平均二乗誤差を用いてもよく、k近傍法(k-NN法)およびSingular Spectrum Transform等の異常検知手法で計算された異常度を用いてもよい(非特許文献3,4)。
(2)位置推定方法2
通信の異常原因が通信装置の設置位置変更である場合について、異常原因の発生位置を推定する方法を説明する。
【0165】
図18は、通信の異常原因が通信装置の設置位置変更であるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【0166】
図18を参照して、例えば、複数のモニター端末装置50が碁盤目状に配置される。そして、通信装置30の設置位置が数十cmずれる。その結果、マルチパスフェージングの影響を受けて通信装置30と基地局40とのリンクLink_1において受信信号強度RSSIが低下する。
【0167】
そこで、位置推定手段52は、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)を複数のリンクについて算出し、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)が最も大きいリンクLink_1から異常原因の発生位置を推定する。
【0168】
より具体的には、位置推定手段52は、複数のリンクから異常度(Rarity)が最も大きいリンクLink_1を検出し、その検出したリンクLink_1の送信元の通信装置30の初期位置を異常原因の発生位置として推定する。なお、位置推定手段52は、通信装置30の初期位置を予め保持しているので、異常原因の発生位置を推定できる。
【0169】
受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)が最も大きいリンクLink_1から異常原因の発生位置を推定するのは、リンクLink_1は、マルチパスフェージングの影響を受けて受信信号強度RSSIが最も低下するので受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)が最も大きくなるからである。
【0170】
なお、受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)が最も大きいリンクLink_1が複数存在するとき、複数のリンクのうちの任意の1つをリンクLink_1として検出する。
(3)位置推定方法3
通信の異常原因がトラフィックの増加である場合について、異常原因の発生位置を推定する方法を説明する。
【0171】
図19は、通信の異常原因がトラフィックの増加であるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【0172】
図19を参照して、例えば、複数のモニター端末装置50が碁盤目状に配置される。そして、通信装置30と基地局40との無線通信において、トラフィックが増加する。
【0173】
トラフィックが増加すると、観測データのスループットTHPの異常度(Rarity)が大きくなる。
【0174】
そこで、位置推定手段52は、スループットTHPの異常度(Rarity)を複数のリンクについて算出し、複数のリンクからスループットTHPの異常度(Rarity)が最も大きいリンクLink_2を検出する。なお、スループットTHPの異常度(Rarity)が最も大きいリンクが複数存在するとき、複数のリンクのうちの任意の1つをリンクLink_2として検出する。
【0175】
そして、位置推定手段52は、基地局40がリンクLink_2の送信元である通信装置30からパケットを正常に受信したときの受信信号強度RSSIに基づいて通信装置30の位置を算出し、その算出した通信装置30の位置を異常原因の発生位置と推定する。
(3-1)受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法1
図20は、受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法1を説明するための図である。
図21は、複数のモニター端末装置50における受信信号強度RSSIを示す図である。
【0176】
図20を参照して、無線通信空間を格子状(例えば、5m間隔)に分割し、各交点を通信装置30の位置の候補点とする。また、モニター端末装置50を碁盤目状に配置する。
【0177】
そして、通信装置30を各候補点に配置したときにモニター端末装置50が通信装置30からパケットを受信したときの受信信号強度RSSI_ESTを電波伝搬モデルを用いて推定する。
【0178】
また、各モニター端末装置50は、パケットを実際に受信したときの受信信号強度RSSI_Detectを検出する。
【0179】
図21を参照して、受信信号強度RSSI_1_1,RSSI_1_2,・・・,RSSI_1_Mは、通信装置30が候補点1に配置されたときに、電波伝搬モデルを用いて推定されたM個のモニター端末装置MN_1~MN_Mにおける受信信号強度RSSIであり、受信信号強度RSSI_2_1,RSSI_2_2,・・・,RSSI_2_Mは、通信装置30が候補点2に配置されたときに、電波伝搬モデルを用いて推定されたM個のモニター端末装置MN_1~MN_Mにおける受信信号強度RSSIであり、以下、同様にして、受信信号強度RSSI_S_1,RSSI_S_2,・・・,RSSI_S_Mは、通信装置30が候補点Sに配置されたときに、電波伝搬モデルを用いて推定されたM個のモニター端末装置MN_1~MN_Mにおける受信信号強度RSSIである。ここで、Sは、2以上の整数である。
【0180】
受信信号強度RSSI_ESTは、受信信号強度RSSI_1_1,RSSI_1_2,・・・,RSSI_1_M;RSSI_2_1,RSSI_2_2,・・・,RSSI_2_M;・・・;RSSI_S_1,RSSI_S_2,・・・,RSSI_S_Mからなる。
【0181】
また、受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,・・・,RSSI_Mは、通信装置30が実際の位置PS_CMに配置されたときにM個のモニター端末装置MN_1~MN_Mがパケットを実際に受信したときの受信信号強度である。
【0182】
受信信号強度RSSI_Detectは、受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,・・・,RSSI_Mからなる。
【0183】
位置推定手段52は、受信信号強度RSSI_Detect(=RSSI_1,RSSI_2,・・・,RSSI_M)と受信信号強度RSSI_EST(=RSSI_1_1,RSSI_1_2,・・・,RSSI_1_M;RSSI_2_1,RSSI_2_2,・・・,RSSI_2_M;・・・;RSSI_S_1,RSSI_S_2,・・・,RSSI_S_M)とのS個のユークリッド誤差を算出し、その算出したS個のユークリッド誤差のうちの最も小さいユークリッド誤差が得られるときの候補点を通信装置30の位置と推定する。なお、最も小さいユークリッド誤差が複数存在するとき、位置推定手段52は、複数の最小のユークリッド誤差のうちの任意の1つのユークリッド誤差が得られるときの候補点を通信装置30の位置と推定する。
【0184】
位置推定手段52は、受信信号強度RSSI_1_1,RSSI_1_2,・・・,RSSI_1_M;RSSI_2_1,RSSI_2_2,・・・,RSSI_2_M;・・・;RSSI_S_1,RSSI_S_2,・・・,RSSI_S_Mの各々を次式によって表されるITU-R勧告の屋内における電波の伝搬損失モデル(非特許文献5)を用いて推定する。
【0185】
【0186】
式(1A)において、Ltotalは、電波の伝搬損失であり、fは、電波の周波数であり、Nは、距離減衰定数であり、dは、各候補点と各モニター端末装置との距離であり、Lfは、障害壁による信号減衰量であり、cは、障害壁数である。また、式(1B)において、Ptは、電波の送信電力である。
【0187】
位置推定手段52は、電波の周波数f、距離減衰定数N、障害壁数c、障害壁による信号減衰量L
fおよび
図20に示す格子の各交点の位置を予め保持する。その結果、位置推定手段52は、格子の各交点の位置に基づいて距離dを算出する。また、位置推定手段52は、通信装置30と無線通信を行う基地局40から通信装置30における電波の送信電力P
tを受信する。従って、位置推定手段52は、電波の周波数f、距離減衰定数N、距離d、障害壁による信号減衰量L
fおよび障害壁数cを式(1A)に代入して電波の伝搬損失L
totalを算出する。そして、位置推定手段52は、電波の伝搬損失L
totalと電波の送信電力P
tとを式(1B)に代入して受信信号強度RSSIを算出する。
【0188】
従って、位置推定手段52は、通信装置30の候補点の位置を変えながら、即ち、距離dを変えながら、受信信号強度RSSI_1_1,RSSI_1_2,・・・,RSSI_1_M;RSSI_2_1,RSSI_2_2,・・・,RSSI_2_M;・・・;RSSI_S_1,RSSI_S_2,・・・,RSSI_S_Mを算出する。
(3-2)受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法2
図22から
図24は、受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法2を説明するための図である。
【0189】
図22を参照して、無線通信空間を5m間隔の格子状に分割し、各交点を通信装置30の位置の候補点とする。また、モニター端末装置50を碁盤目状に配置する。そして、通信装置30の推定したい位置を位置PS_pfbとする。
【0190】
図23および
図24において、縦軸は、受信信号強度RSSIを表し、横軸は、モニター端末装置50の番号を表す。また、曲線k5は、20個のモニター端末装置50がパケットを実際に受信したときの受信信号強度RSSI系列を示し、曲線k6は、通信装置30が候補点CPに配置されたときに20個のモニター端末装置50の位置において式(1)によって推定された受信信号強度RSSI系列を示し、曲線k7は、通信装置30が位置PS_pfbに配置されたときに20個のモニター端末装置50の位置において式(1)によって推定された受信信号強度RSSI系列を示す。
【0191】
図23を参照して、通信装置30が候補点CPに配置されたときの20個のモニター端末装置50の位置で推定された受信信号強度RSSI系列(曲線k6)、および通信装置30が位置PS_pfbに配置されたときの20個のモニター端末装置50の位置で推定された受信信号強度RSSI系列(曲線k7)は、20個のモニター端末装置50の位置で実際に検出された受信信号強度RSSI系列(曲線k5)と乖離する。
【0192】
その結果、各受信信号強度RSSI系列の絶対値を用いると、電波伝搬モデルと実環境との乖離によって通信装置30の位置の推定精度が劣化する可能性がある。
【0193】
そこで、受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法2においては、位置推定手段52は、受信信号強度RSSI系列の平均値を算出し、受信信号強度RSSI系列の絶対値と受信信号強度RSSI系列の平均値との誤差ベクトルを算出することを曲線k5によって示される受信信号強度RSSI系列と曲線k6によって示される受信信号強度RSSI系列とについて実行する。
【0194】
その結果、位置推定手段52は、曲線k5によって示される受信信号強度RSSI系列に基づいて算出した1個の誤差ベクトルと、曲線k6によって示される受信信号強度RSSI系列に基づいて算出したS個の差分ベクトル(即ち、通信装置30の候補点の個数分の差分ベクトル)とを算出する。
【0195】
そして、位置推定手段52は、1個の誤差ベクトルと、S個の差分ベクトルの各々とのS個の誤差を算出し、その算出したS個の誤差のうちの最小の誤差が得られるときの候補点を通信装置30の位置と推定する。なお、最小の誤差が複数存在するとき、位置推定手段52は、複数の最小の誤差のうちの任意の1つの誤差が得られるときの候補点を通信装置30の位置と推定する。
(3-3)受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法3
図25は、受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法3を説明するための図である。
【0196】
図25を参照して、スループットTHPの異常度(Rarity)が最も大きいリンクの近傍に配置された3個のモニター端末装置50A,50B,50Cを選択する。そして、3個のモニター端末装置50A,50B,50Cが取得した受信信号強度を受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,RSSI_3とする。また、モニター端末装置50Aの位置を(x
1,y
1)とし、モニター端末装置50Bの位置を(x
2,y
2)とし、モニター端末装置50Cの位置を(x
3,y
3)とし、通信装置30の推定対象の位置を(x,y)とする。
【0197】
D1は、モニター端末装置50Aの位置を中心とする円の半径であり、D2は、モニター端末装置50Bの位置を中心とする円の半径であり、D3は、モニター端末装置50Cの位置を中心とする円の半径である。
【0198】
その結果、通信装置30の推定対象の位置(x,y)は、モニター端末装置50Aの位置(x1,y1)からD1の距離にあり、モニター端末装置50Bの位置(x2,y2)からD2の距離にあり、モニター端末装置50Cの位置(x3,y3)からD3の距離にある。
【0199】
従って、次式が成り立つ。
【0200】
【0201】
式(2A),(2B),(2C)をそれぞれ展開すると、次式が得られる。
【0202】
【0203】
式(3A)から式(3B)を減算し、式(3B)から式(3C)を減算すると、次式が得られる。
【0204】
【0205】
位置推定手段52は、受信信号強度RSSI_1を式(1B)に代入して式(1A),(1B)によって距離dを算出し、その算出した距離dをD1とする。また、位置推定手段52は、受信信号強度RSSI_2を式(1B)に代入して式(1A),(1B)によって距離dを算出し、その算出した距離dをD2とする。更に、位置推定手段52は、受信信号強度RSSI_3を式(1B)に代入して式(1A),(1B)によって距離dを算出し、その算出した距離dをD3とする。
【0206】
そうすると、位置推定手段52は、x1,x2,x3,y1,y2,y3,D1,D2,D3を式(4)に代入し、式(4A),(4B)によって表される2つの連立方程式を解いてx,yを算出し、その算出した(x,y)を通信装置30の位置と推定する。
【0207】
上述したように、位置推定方法3においては、位置推定手段52は、受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法1、受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法2および受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法3のいずれかによって通信装置30の位置を推定し、その推定した通信装置30の位置を通信の異常原因(トラフィックの増加)の発生位置と推定する。
(4)位置推定方法4
通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込みである場合について、異常原因の発生位置を推定する方法を説明する。
【0208】
図26は、通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【0209】
図26を参照して、複数のモニター端末装置50が碁盤目状に配置されている。そして、通信装置90が外部から持ち込まれる。
【0210】
複数のモニター端末装置50は、外部から持ち込まれた通信装置90からパケットを正常に受信したときの受信信号強度RSSIを検出する。
【0211】
位置推定手段52は、複数のモニター端末装置50が検出した受信信号強度RSSIに基づいて、上述した位置推定方法3(受信信号強度を用いた通信装置の位置推定方法1~3のいずれか)によって通信装置90の位置を推定し、その推定した通信装置90の位置を異常原因の発生位置と推定する。
(5)位置推定方法5
通信の異常原因が製造現場の設置機器からのノイズである場合について、異常原因の発生位置を推定する方法を説明する。
【0212】
図27は、通信の異常原因が製造現場の設置機器からのノイズであるときの異常原因の発生位置を推定する方法を説明するための図である。
【0213】
図27を参照して、複数のモニター端末装置50が碁盤目状に配置されている。そして、製造装置80がノイズを発生すると、アンテナ端における受信信号強度RSSI’が大きくなる。
【0214】
そこで、位置推定手段52は、上述した方法によって、モニター端末装置50がアンテナ端で観測した受信信号強度RSSI’の異常度(Rarity)を9台のモニター端末装置50の全てについて算出し、その算出した受信信号強度RSSI’の9個の異常度(Rarity)に基づいて、異常度(Rarity)の大きい順にN3(N3は、自然数である。)個のモニター端末装置の位置を取得する。
【0215】
図27においては、位置推定手段52は、例えば、3個のモニター端末装置50A,50B,50Cの位置(x
1,y
1),(x
2,y
2),(x
3,y
3)を取得する。そして、位置推定手段52は、モニター端末装置50Aにおける受信信号強度の異常度R
abn_1、モニター端末装置50Bにおける受信信号強度の異常度R
abn_2、およびモニター端末装置50Cにおける受信信号強度の異常度R
abn_3と、位置(x
1,y
1),(x
2,y
2),(x
3,y
3)とに基づいて、異常度R
abn_1,R
abn_2,R
abn_3を重みとする重心G(x
G,y
G)を算出し、その算出した重心G(x
G,y
G)を異常原因の発生位置と推定する。
【0216】
この場合、位置推定手段52は、式(5)によってxG,yGを算出する。
【0217】
【0218】
式(5)において、R1は、異常度Rabn_1からなり、R2は、異常度Rabn_2からなり、R3は、異常度Rabn_3からなる。
【0219】
また、例えば、2個のモニター端末装置50A,50Bの位置を取得した場合は、異常度Rabn_1および異常度Rabn_2を重みとした50A,50Bの中点を異常原因の発生位置と推定する。更に、例えば、1個のモニター端末装置50Aの位置を取得した場合は、50Aの位置を異常原因の発生位置と推定する。
【0220】
なお、N3個のモニター端末装置の位置を用いた推定位置(xE,yE)は、次式によって算出される。
【0221】
【0222】
式(6)において、Rmには、N3個のモニター端末装置50のアンテナ端で観測したN3個の受信信号強度RSSI’_1~RSSI’_N3のN3個の異常度(Rarity)が代入される。
【0223】
図28は、対応表TBL4の概略図である。
図28を参照して、対応表TBL4は、通信の異常原因と、位置推定方法とを含む。通信の異常原因および位置推定方法は、相互に対応付けられる。
【0224】
図28を参照して、位置推定方法1は、障害物の設置に対応付けられ、位置推定方法2は、通信装置の設置位置変更に対応付けられ、位置推定方法3は、通信装置のトラフィックの増加に対応付けられ、位置推定方法4は、通信装置の外部からの持ち込みに対応付けられ、位置推定方法5は、製造現場の設置機器からのノイズに対応付けられる。
【0225】
位置推定手段52は、対応表TBL4を保持しており、原因推定手段51から通信の異常原因を受けると、対応表TBL4を参照して、原因推定手段51から受けた通信の異常原因に対応する位置推定方法を選択し、その選択した位置推定方法によって、異常原因の発生位置を推定する。
【0226】
図29は、
図2に示す推定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
図29を参照して、推定装置10の動作が開始されると、原因推定手段51は、学習データを読み込み(ステップS1)、分布推定データを読み込む(ステップS2)。
【0227】
そして、原因推定手段51は、学習データおよび分布推定データに基づいて分布推定データの乖離度を算出する(ステップS3)。即ち、原因推定手段51は、正常状態における乖離度を算出する。
【0228】
その後、原因推定手段51は、算出した乖離度の確率密度分布を推定する(ステップS4)。
【0229】
そうすると、原因推定手段51は、観測データを読み込み(ステップS5)、観測データと学習データとの乖離度を算出する(ステップS6)。
【0230】
そして、原因推定手段51は、算出した乖離度に対する異常上昇および異常下降を判定する(ステップS7)。
【0231】
その後、原因推定手段51は、異常上昇および異常下降に基づいて通信の異常原因を推定する(ステップS8)。
【0232】
引き続いて、位置推定手段52は、ステップS8において、“故障”または“異常無し”と推定されたか否かを判定する(ステップS9)。
【0233】
ステップS9において、“故障”または“異常無し”と推定されなかったと判定されたとき、位置推定手段52は、通信の異常原因を原因推定手段51から読み込む(ステップS10)。そして、位置推定手段52は、その読み込んだ通信の異常原因に対応する位置推定方法を選択する(ステップS11)。
【0234】
そうすると、位置推定手段52は、選択した位置推定方法を用いて通信の異常原因の発生位置を推定する(ステップS12)。
【0235】
そして、ステップS9において、“故障”または“異常無し”と推定されたとき、またはステップS12の後、推定手段5は、終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。この場合、推定手段5は、通信システム100が稼働していれば、終了条件を満たさないと判定し、通信システム100が停止していれば、終了条件を満たすと判定する。
【0236】
ステップS13において、終了条件を満たさないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS5へ移行し、ステップS13において、終了条件を満たすと判定されるまで、ステップS5~ステップS13が繰り返し実行される。
【0237】
そして、ステップS13において、終了条件を満たすと判定されると、推定装置10の動作が終了する。
【0238】
図30は、
図29に示すステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0239】
図30を参照して、
図29のステップS2の後、原因推定手段51は、q=1を設定し(ステップS31)、T=tを設定する(ステップS32)。qは、表1に示すQoS/チャネル状況情報の各要素の引数である“1”~“5”からなる。また、タイミングTは、
図29に示すフローチャートを実行するタイミングを示す。
【0240】
ステップS32の後、原因推定手段51は、QoS/チャネル状況情報のq番目の要素QoS_est_qを幅Wのウィンドウを用いて分布推定データから選択する(ステップS33)。
【0241】
そして、原因推定手段51は、v=1を設定する(ステップS34)。vは、
図7に示すウィンドウWd_1,Wd_W+1,・・・,Wd_N-W+1の引数であり、1~Vからなる。
【0242】
ステップS34の後、原因推定手段51は、QoS/チャネル状況情報のq番目の要素QoS_lan_qを幅WのウィンドウWd_vを用いて学習データから選択する(ステップS35)。
【0243】
そして、原因推定手段51は、W個の要素QoS_est_qとW個の要素QoS_lan_qとの差分ベクトルを算出し(ステップS36)、その算出した差分ベクトルの要素の和nq_v_Tを算出する(ステップS37)。
【0244】
その後、原因推定手段51は、v=Vであるか否かを判定する(ステップS38)。ステップS38において、v=Vでないと判定されたとき、原因推定手段51は、v=v+1を設定する(ステップS39)。その後、一連の動作は、ステップS35へ移行し、ステップS38において、v=Vであると判定されるまで、ステップS35~ステップS39が繰り返し実行される。
【0245】
そして、ステップS38において、v=Vであると判定されると、原因推定手段51は、和nq_1_T,nq_2_T,・・・,nq_V_Tのうちの最小値nq_min_Tをq番目の要素QoS_est_qの乖離度Ddiver_q_Tとする(ステップS40)。
【0246】
その後、原因推定手段51は、T=Tmaxであるか否かを判定する(ステップS41)。ここで、Tmaxは、分布推定データのM個のサンプルのうちの最後のサンプルが取得されたタイミングを表す。
【0247】
ステップS41において、T=Tmaxでないと判定されたとき、原因推定手段51は、T=t+1を設定する(ステップS42)。その後、一連の動作は、ステップS33へ移行し、ステップS41において、T=Tmaxであると判定されるまで、ステップS33~ステップS42が繰り返し実行される。
【0248】
そして、ステップS41において、T=Tmaxであると判定されると、原因推定手段51は、乖離度Ddiver_q_1~Ddiver_q_Tmaxを保持する(ステップS43)。
【0249】
その後、原因推定手段51は、q=Q(=5)であるか否かを判定する(ステップS44)。
【0250】
ステップS44において、q=Q(=5)でないと判定されたとき、原因推定手段51は、q=q+1を設定する(ステップS45)。その後、一連の動作は、ステップS32へ移行し、ステップS44において、q=Q(=5)であると判定されるまで、ステップS32~ステップS45が繰り返し実行される。
【0251】
そして、ステップS44において、q=Q(=5)であると判定されると、原因推定手段51は、乖離度D
diver_1_1~D
diver_1_Tmax;D
diver_2_1~D
diver_2_Tmax;・・・;D
diver_Q_1~D
diver_Q_Tmaxを取得する(ステップS46)。その後、一連の動作は、
図29のステップS4へ移行する。
【0252】
図30に示すフローチャートにおいては、ステップS35~ステップS37が1回実行されると、
図7に示す差分ベクトルの要素の和が1個算出される。そして、ステップS35~ステップS37がV回実行されると(即ち、
図7において学習データのウィンドウがウィンドウWd_1からウィンドウWd_N-W+1までスライディングされると)、V個の和n
q_1_T,n
q_2_T,・・・,n
q_V_Tが得られる。
【0253】
また、
図30に示すフローチャートにおいては、ステップS33~ステップS40が1回実行される毎に、各タイミングTにおけるq番目の要素QoS_est_qの乖離度D
diver_q_Tが取得され、ステップS33~ステップS40がTmax回実行されると、Tmax個の乖離度D
diver_q_1~D
diver_q_Tmaxが取得される。
【0254】
更に、
図30に示すフローチャートにおいては、ステップS32~ステップS43が1回実行される毎に、表1に示すQoS/チャネル状況情報の1つの要素についてTmax個の乖離度D
diver_q_1~D
diver_q_Tmaxが取得され、ステップS32~ステップS43がQ(=5)回実行されると、QoS/チャネル状況情報のQ(=5)個の要素の各々について、Tmax個の乖離度D
diver_q_1~D
diver_q_Tmaxが取得される。
【0255】
図31は、
図29に示すステップS4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0256】
図31を参照して、
図29のステップS3の後、原因推定手段51は、q=1を設定する(ステップS51)。そして、原因推定手段51は、Tmax個の乖離度D
diver_q_1~D
diver_q_Tmaxを横軸上にプロットする(ステップS52)。
【0257】
その後、原因推定手段51は、Tmax個の乖離度Ddiver_q_1~Ddiver_q_Tmaxの各々にカーネル関数を対応付ける(ステップS53)。
【0258】
引き続いて、原因推定手段51は、カーネル関数を重ね合わせて乖離度の確率密度分布PDD_qを推定する(ステップS54)。
【0259】
そして、原因推定手段51は、q=Qであるか否かを判定する(ステップS55)。ステップS55にいて、q=Qでないと判定されたとき、原因推定手段51は、q=q+1を設定する(ステップS56)。その後、一連の動作は、ステップS52へ移行し、ステップS55にいて、q=Qであると判定されるまで、ステップS52~ステップS56が繰り返し実行される。
【0260】
そして、ステップS55にいて、q=Qであると判定されると、一連の動作は、
図29のステップS5へ移行する。
【0261】
図31に示すフローチャートにおいては、ステップS52~ステップS54が1回実行される毎に、表1に示すQoS/チャネル状況情報の1つの要素について乖離度の確率密度分布PDDが推定され、ステップS52~ステップS54がQ(=5)回実行されると、表1に示すQoS/チャネル状況情報の全ての要素について乖離度の確率密度分布PDDが推定される。つまり、
図11に示す対応表TBL1の確率密度分布1~確率密度分布5の全てが推定される。
【0262】
図32は、
図29に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0263】
図32を参照して、
図29のステップS5の後、原因推定手段51は、q=1を設定する(ステップS61)。
【0264】
そして、原因推定手段51は、QoS/チャネル状況情報のq番目の要素QoS_obs_qを幅Wのウィンドウを用いて観測データから選択する(ステップS62)。
【0265】
そして、原因推定手段51は、v=1を設定する(ステップS63)。その後、原因推定手段51は、QoS/チャネル状況情報のq番目の要素QoS_lan_qを幅Wのウィンドウを用いて学習データから選択する(ステップS64)。
【0266】
そして、原因推定手段51は、W個の要素QoS_obs_qとW個の要素QoS_lan_qとの差分ベクトルを算出し(ステップS65)、その算出した差分ベクトルの要素の和n’q_vを算出する(ステップS66)。
【0267】
その後、原因推定手段51は、v=Vであるか否かを判定する(ステップS67)。ステップS67において、v=Vでないと判定されたとき、原因推定手段51は、v=v+1を設定する(ステップS68)。その後、一連の動作は、ステップS64へ移行し、ステップS67において、v=Vであると判定されるまで、ステップS64~ステップS68が繰り返し実行される。
【0268】
そして、ステップS67において、v=Vであると判定されると、原因推定手段51は、和n’q_1,n’q_2,・・・,n’q_Vのうちの最小値n’q_minをq番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’diver_qとする(ステップS69)。
【0269】
その後、原因推定手段51は、q=Q(=5)であるか否かを判定する(ステップS70)。
【0270】
ステップS70において、q=Q(=5)でないと判定されたとき、原因推定手段51は、q=q+1を設定する(ステップS71)。その後、一連の動作は、ステップS62へ移行し、ステップS70において、q=Q(=5)であると判定されるまで、ステップS62~ステップS71が繰り返し実行される。
【0271】
そして、ステップS70において、q=Q(=5)であると判定されると、原因推定手段51は、乖離度D’
diver_1~D’
diver_Qを取得する(ステップS72)。その後、一連の動作は、
図29のステップS7へ移行する。
【0272】
図32に示すフローチャートにおいては、ステップS64~ステップS66が1回実行されると、
図14に示す差分ベクトルの要素の和が1個算出される。そして、ステップS64~ステップS66がV回実行されると(即ち、
図14において学習データのウィンドウがウィンドウWd_1からウィンドウWd_N-W+1までスライディングされると)、V個の和n’
q_1,n’
q_2,・・・,n’
q_Vが得られる。
【0273】
また、
図32に示すフローチャートにおいては、ステップS62~ステップS69が1回実行される毎に、q番目の要素QoS_est_qの乖離度D’
diver_qが取得され、ステップS62~ステップS69がQ回実行されると、Q個の乖離度D’
diver_1~D
diver_Qが取得される。
【0274】
図33は、
図29に示すステップS7の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0275】
図33を参照して、
図29のステップS6の後、原因推定手段51は、q=1を設定する(ステップS81)。
【0276】
そして、原因推定手段51は、学習データのQoS/チャネル状況情報のq番目の要素QoS_lan_qに対応する乖離度の確率密度分布PDD_qを選択する(ステップS82)。
【0277】
その後、原因推定手段51は、観測データのq番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’diver_qが乖離度の確率密度分布PDD_qにおけるしきい値Ψr以上であるか否かを判定する(ステップS83)。
【0278】
ステップS83において、乖離度D’diver_qがしきい値Ψr以上であると判定されたとき、原因推定手段51は、観測データのq番目の要素QoS_obs_qが異常上昇(rise)であると判定する(ステップS84)。
【0279】
一方、ステップS83において、乖離度D’diver_qがしきい値Ψr以上でないと判定されたとき、原因推定手段51は、観測データのq番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’diver_qが乖離度の確率密度分布PDD_qにおけるしきい値Ψd以下であるか否かを判定する(ステップS85)。
【0280】
ステップS85において、乖離度D’diver_qがしきい値Ψd以下であると判定されたとき、原因推定手段51は、観測データのq番目の要素QoS_obs_qが異常下降(descent)であると判定する(ステップS86)。
【0281】
一方、ステップS85において、乖離度D’diver_qがしきい値Ψd以下でないと判定されたとき、原因推定手段51は、観測データのq番目の要素QoS_obs_qが異常でないと判定する(ステップS87)。
【0282】
そして、ステップS84、ステップS86およびステップS87のいずれかの後、原因推定手段51は、q=Qであるか否かを判定する(ステップS88)。
【0283】
ステップS88において、q=Qでないと判定されたとき、、原因推定手段51は、q=q+1を設定する(ステップS89)。その後、一連の動作は、ステップS82へ移行し、ステップS88において、q=Qであると判定されるまで、ステップS82~ステップS89が繰り返し実行される。
【0284】
そして、ステップS88において、q=Qであると判定されると、一連の動作は、
図29のステップS8へ移行する。
【0285】
図33に示すフローチャートにおいては、ステップS82~ステップS87が1回目に実行されると、学習データのQoS/チャネル状況情報のq(=1)番目の要素QoS_lan_q(表1に示す「パケットを正常に受信したときの受信信号強度」)に対応する乖離度の確率密度分布PDD_q(=1)(
図11に示す確率密度分布1)が選択され、観測データのq(=1)番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’
diver_q(=1)が確率密度分布PDD_q(=1)のしきい値Ψ
r以上であるかしきい値Ψ
d以下であるかを判定することによって観測データのq(=1)番目の要素QoS_obs_qが異常上昇(rise)であるか異常下降(descent)であるかが判定される。
【0286】
また、ステップS82~ステップS87が2回目に実行されると、学習データのQoS/チャネル状況情報のq(=2)番目の要素QoS_lan_q(表1に示す「アンテナ端における受信信号強度」)に対応する乖離度の確率密度分布PDD_q(=2)(
図11に示す確率密度分布2)が選択され、観測データのq(=2)番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’
diver_q(=2)が確率密度分布PDD_q(=2)のしきい値Ψ
r以上であるかしきい値Ψ
d以下であるかを判定することによって観測データのq(=2)番目の要素QoS_obs_qが異常上昇(rise)であるか異常下降(descent)であるかが判定される。
【0287】
更に、ステップS82~ステップS87が3回目に実行されると、学習データのQoS/チャネル状況情報のq(=3)番目の要素QoS_lan_q(表1に示す「製造現場のシステムが管理する通信装置のチャネル占有率」)に対応する乖離度の確率密度分布PDD_q(=3)(
図11に示す確率密度分布3)が選択され、観測データのq(=3)番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’
diver_q(=3)が確率密度分布PDD_q(=3)のしきい値Ψ
r以上であるかしきい値Ψ
d以下であるかを判定することによって観測データのq(=3)番目の要素QoS_obs_qが異常上昇(rise)であるか異常下降(descent)であるかが判定される。
【0288】
更に、ステップS82~ステップS87が4回目に実行されると、学習データのQoS/チャネル状況情報のq(=4)番目の要素QoS_lan_q(表1に示す「製造現場のシステムが管理しない通信装置のチャネル占有率」)に対応する乖離度の確率密度分布PDD_q(=4)(
図11に示す確率密度分布4)が選択され、観測データのq(=4)番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’
diver_q(=4)が確率密度分布PDD_q(=4)のしきい値Ψ
r以上であるかしきい値Ψ
d以下であるかを判定することによって観測データのq(=4)番目の要素QoS_obs_qが異常上昇(rise)であるか異常下降(descent)であるかが判定される。
【0289】
更に、ステップS82~ステップS87が5回目に実行されると、学習データのQoS/チャネル状況情報のq(=5)番目の要素QoS_lan_q(表1に示す「トランスポート層におけるスループット」)に対応する乖離度の確率密度分布PDD_q(=5)(
図11に示す確率密度分布5)が選択され、観測データのq(=5)番目の要素QoS_obs_qの乖離度D’
diver_q(=5)が確率密度分布PDD_q(=5)のしきい値Ψ
r以上であるかしきい値Ψ
d以下であるかを判定することによって観測データのq(=5)番目の要素QoS_obs_qが異常上昇(rise)であるか異常下降(descent)であるかが判定される。
【0290】
図34は、
図29に示すステップS8の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0291】
図34を参照して、
図29のステップS7の後、原因推定手段51は、一定期間において、通信システム100の全ての通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が無いか否かを判定する(ステップS91)。この場合、原因推定手段51は、
図12に示す対応表TBL2を参照して、一定期間において、通信システム100の全ての通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が無いか否かを判定する。そして、原因推定手段51は、対応表TBL2において、IPアドレスAdd_AP_1,Add_AP_2,・・・,Add_AP_I;Add_CM_1,Add_CM_2,・・・,Add_CM_J;Add_MN_1,Add_MN_2,・・・,Add_MN_Mの全てに対応して、「一定期間におけるパケットの受信有無」の欄に“no”が格納されているとき、一定期間において、通信システム100の全ての通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が無いと判定する。一方、原因推定手段51は、対応表TBL2において、IPアドレスAdd_AP_1,Add_AP_2,・・・,Add_AP_I;Add_CM_1,Add_CM_2,・・・,Add_CM_J;Add_MN_1,Add_MN_2,・・・,Add_MN_Mの少なくとも1つに対応して、「一定期間におけるパケットの受信有無」の欄に“yes”が格納されているとき、一定期間において、通信システム100の少なくとも1つの通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が有ると判定する。
【0292】
ステップS91において、一定期間において、通信システム100の全ての通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が無いと判定されたとき、原因推定手段51は、任意の通信装置が故障であると推定する(ステップS92)。
【0293】
一方、ステップS91において、一定期間において、通信システム100の少なくとも1つの通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が有ると判定されたとき、原因推定手段51は、1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であるか否かを判定する(ステップS93)。
【0294】
この場合、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,・・・のいずれかに対応して「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIが格納されており、かつ、1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIに対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_RSSI,D
diver_2_RSSI,・・・のいずれか)が異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であるとき、1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であると判定する。
【0295】
一方、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,・・・のいずれかに対応して「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIが格納されており、かつ、1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIに対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_RSSI,D
diver_2_RSSI,・・・のいずれか)の全てが異常下降(descent)と異常上昇(rise)のどちらでもでないとき、「1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である」という状態ではない(全ての基地局において受信信号強度RSSIが異常下降(descent)と異常上昇(rise)のどちらでもない)と判定する。
【0296】
また、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、受信信号強度RSSI_1,RSSI_2,・・・のいずれかに対応して「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIが格納されていないとき、または1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIに対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_RSSI,D
diver_2_RSSI,・・・のいずれか)が異常下降(descent)と異常上昇(rise)のどちらでもでないとき、「1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である」という状態ではないと判定する。
【0297】
ステップS93において、1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)と異常上昇(rise)のどちらかであると判定されたとき、原因推定手段51は、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であるか否かを判定する(ステップS94)。
【0298】
この場合、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS93において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であると判定された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIに対応して、「QoS/チャネル状況情報の検出の元になったパケットの送信元の通信装置」の欄に複数の通信装置の複数のIPアドレスが格納されており、かつ、観測データの受信信号強度RSSIについての乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_RSSI,D
diver_2_RSSI,・・・のいずれか)のうち複数が異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であるとき、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であると判定する。
【0299】
一方、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS93において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であると判定された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIに対応して、「QoS/チャネル状況情報の検出の元になったパケットの送信元の通信装置」の欄に複数の通信装置の複数のIPアドレスが格納されており、かつ、観測データの受信信号強度RSSIについての乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_RSSI,D
diver_2_RSSI,・・・のいずれか)が異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)となる通信装置が1台のみであるとき、「複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である」という状態ではない(=受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である通信装置が単一である)と判定する。また、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS93において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であると判定された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSIに対応して、「QoS/チャネル状況情報の検出の元になったパケットの送信元の通信装置」の欄に複数の通信装置の複数のIPアドレスが格納されていないとき、または、観測データの受信信号強度RSSIについての乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_RSSI,D
diver_2_RSSI,・・・のいずれか)が異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)となる通信装置が1台のみであるとき、「複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である」という状態ではないと判定する。
【0300】
ステップS94において、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であると判定されたとき、原因推定手段51は、通信の異常原因を障害物の設置と推定する(ステップS95)。
【0301】
一方、ステップS94において、「複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である」という状態ではないと判定されたとき、原因推定手段51は、通信の異常原因を通信装置の設置位置変更と推定する(ステップS96)。
【0302】
一方、ステップS93において、「1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である」という状態ではないと判定されたとき、原因推定手段51は、1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)であるか否かを判定する(ステップS97)。
【0303】
この場合、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS93において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSI(=Add_AP_i
_CH)と共に1台以上のモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m
_CHが、チャネル占有率CH_ocpに対応して「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されており、かつ、観測データのチャネル占有率CH_ocpについての乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_CH,D
diver_2_CH,・・・のいずれか)が異常下降(descent)であるとき、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)であると判定する。
【0304】
一方、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS93において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSI(=Add_AP_i
_CH)と共にモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m
_CHが、チャネル占有率CH_ocpに対応して「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されており、かつ、観測データのチャネル占有率CH_ocpについての乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_CH,D
diver_2_CH,・・・のいずれか)の全てが異常下降(descent)でないとき、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)でないと判定する。また、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS93において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_RSSI(=Add_AP_i
_CH)およびモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m
_CHが、チャネル占有率CH_ocpに対応して「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されていないとき、または観測データのチャネル占有率CH_ocpについての乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_CH,D
diver_2_CH,・・・のいずれか)の全てが異常下降(descent)でないとき、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)でないと判定する。
【0305】
ステップS97において、1台以上の基地局/モニター端末装置の全てにおいて、通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)でないと判定されたとき、原因推定手段51は、異常無しと推定する(ステップS98)。
【0306】
一方、ステップS97において、1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)であると判定されたとき、原因推定手段51は、1台以上の基地局において、スループットTHPが異常上昇(rise)であるか否かを判定する(ステップS99)。
【0307】
この場合、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS97において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_CHと同じIPアドレスAdd_AP_i
_CH’が「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されており、かつ、1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_CH’に対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_THP,D
diver_2_THP,・・・のいずれか)が異常上昇(rise)であるとき、1台以上の基地局において、スループットTHPが異常上昇(rise)であると判定する。
【0308】
一方、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS97において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_CHと同じIPアドレスAdd_AP_i
_CH’が「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されており、かつ、1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_CH’に対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_THP,D
diver_2_THP,・・・のいずれか)の全てが異常上昇(rise)でないとき、「1台以上の基地局において、スループットTHPが異常上昇(rise)である」という状態ではない(=全ての基地局において、スループットTHPが異常上昇(rise)ではない)と判定する。
【0309】
また、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS97において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_CHと同じIPアドレスAdd_AP_i
_CH’が「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されていないとき、または1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_CH’に対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD
diver_1_THP,D
diver_2_THP,・・・のいずれか)の全てが異常上昇(rise)でないとき、「1台以上の基地局において、スループットTHPが異常上昇(rise)である」という状態ではないと判定する。
【0310】
ステップS99において、1台以上の基地局において、スループットTHPが異常上昇(rise)であると判定されたとき、原因推定手段51は、通信の異常原因を通信装置のトラフィック増加と推定する(ステップS100)
一方、ステップS99において、全ての基地局において、スループットTHPが異常上昇(rise)でないと判定されたとき、原因推定手段51は、1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0311】
この場合、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS99において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_THPと同じIPアドレスAdd_AP_i
_CH’と共に1台以上のモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m
_CH’が「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されており、かつ、1台以上の基地局/モニター端末装置のIPアドレスAdd_AP_i
_CH’/IPアドレスAdd_MN_m
_CH’に対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD’
diver_1_CH,D’
diver_2_CH,・・・のいずれか)が異常上昇(rise)であるとき、1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)であると判定する。
【0312】
一方、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS99において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_THPと同じIPアドレスAdd_AP_i
_CH’と共に1台以上のモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m
_CH’が「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されており、かつ、1台以上の基地局/モニター端末装置のIPアドレスAdd_AP_i
_CH’/IPアドレスAdd_MN_m
_CH’に対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD’
diver_1_CH,D’
diver_2_CH,・・・のいずれか)の全てが異常上昇(rise)でないとき、「1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)である」という状態ではない(=全ての基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)ではない)と判定する。
【0313】
また、原因推定手段51は、
図13に示す対応表TBL3を参照して、ステップS99において、判定に使用された1台以上の基地局のIPアドレスAdd_AP_i
_THPと同じIPアドレスAdd_AP_i
_CH’および1台以上のモニター端末装置のIPアドレスAdd_MN_m
_CH’が「QoS/チャネル状況情報を検出した基地局/モニター端末装置」の欄に格納されていないとき、または1台以上の基地局/モニター端末装置のIPアドレスAdd_AP_i
_CH’/IPアドレスAdd_MN_m
_CH’に対応する乖離度D’
diver(対応表TBL3のD’
diver_1_CH,D’
diver_2_CH,・・・のいずれか)の全てが異常上昇(rise)でないとき、「1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)である」という状態ではないと判定する。
【0314】
ステップS101において、1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)であると判定されたとき、原因推定手段51は、通信の異常原因を通信装置の外部からの持ち込みと推定する(ステップS102)。
【0315】
一方、ステップS101において、全ての基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)でないと判定されたとき、原因推定手段51は、通信の異常原因を製造現場の設置機器からのノイズと推定する(ステップS103)。
【0316】
そして、ステップS92、ステップS95、ステップS96、ステップS98、ステップS100、ステップS102およびステップS103のいずれかの後、一連の動作は、
図29のステップS9へ移行する。
【0317】
図34に示すフローチャートにおいては、ステップS91において、一定期間において、通信システム100の少なくとも1つの通信装置において任意の通信装置からのパケットの受信が有ると判定されることは、通信システム100が管理する上述の任意の通信装置が故障でないと判定することに相当する。ここで、全ての通信装置が故障でないと判定された場合、原因推定手段51は、通信システム100において、全ての通信装置が正常に動作していると判定する。
【0318】
そして、原因推定手段51は、通信システム100において、全ての通信装置が正常に動作していることを確認した上で、ステップS92~ステップS103を実行し、通信の異常原因を推定する。
【0319】
図34に示すフローチャートにおいては、ステップS94~ステップS96は、受信信号強度RSSIが低下したことによって発生した通信の異常原因を推定するステップである。また、ステップS97~ステップS103は、スループットTHPが低下したことによって発生した通信の異常原因を推定するステップである。
【0320】
従って、原因推定手段51は、ステップS93において、1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIがdescent、もしくはriseであると判定したとき、通信の異常原因が受信信号強度RSSIの低下、もしくは上昇による原因であると推定し、ステップS93において、1台以上の基地局の全てにおいて、受信信号強度RSSIがdescentとriseのどちらでもないと判定したとき、通信の異常原因がスループットの低下による原因であると推定する。
【0321】
障害物が設置されることによって障害物を挟むリンクにおいて送受信するパケットの受信信号強度RSSIが低下、もしくは上昇する。また、通信装置の設置位置が変更されることによってマルチパスフェージングの影響により、設置位置が変更された通信装置に対する基地局が受信するパケットの受信信号強度RSSIが低下、もしくは上昇する。
【0322】
一方、通信システム100が管理する通信装置のトラフィックの増加または製造現場の設置機器からのノイズでは、周囲の通信装置が受信するパケットの受信信号強度RSSIは、低下も上昇もしない。
【0323】
従って、ステップS93において、1台以上の基地局において、受信信号強度RSSIがdescent、もしくはriseであると判定したとき、通信の異常原因が受信信号強度RSSIの低下、もしくは上昇による原因であると推定し、ステップS93において、全ての基地局において、受信信号強度RSSIがdescentとriseのどちらでもないと判定したとき、通信の異常原因がスループットの低下による原因であると推定することにしたものである。
【0324】
また、障害物が設置されたとき、複数のリンクにおいて受信信号強度RSSIが低下、もしくは上昇する。一方、通信装置の設置位置が変更されたとき、単一のリンクでのみ受信信号強度RSSIが低下、もしくは上昇する。
【0325】
従って、
図34に示すフローチャートにおいては、ステップS94において、複数の通信装置に関する受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)であると判定されたとき、通信の異常原因が障害物の設置であると推定し、受信信号強度RSSIが異常下降(descent)、もしくは異常上昇(rise)である通信装置が単一であると判定されたとき、通信の異常原因が通信装置の設置位置変更であると推定することにしたものである。
【0326】
更に、通信システム100が管理する通信装置のトラフィックの増加によって、通信システム100が管理するその他の通信装置のチャネル占有率が低下する。また、通信システム100が管理しない通信装置が持ち込まれることによって、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が低下する。更に、製造現場の設置機器からのノイズによって、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が低下する。そして、通信の異常が発生していないとき、チャネル占有率は、変動しない。
【0327】
従って、
図34に示すフローチャートにおいては、ステップS97において、1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)であると判定されたとき、通信の異常原因が通信装置のトラフィックの増加、または通信装置の外部からの持ち込みであると推定し、ステップS97において、全ての基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理する通信装置のチャネル占有率が異常下降(descent)でないと判定されたとき、異常無しと推定することにしたものである。
【0328】
更に、通信システム100が管理する通信装置のトラフィックが増加したとき、対応する基地局においてスループットが増加する。一方、通信システム100が管理しない通信装置のトラフィックの増加、または製造現場の設置機器からのノイズでは、基地局におけるスループットは、増加しない。
【0329】
従って、
図34に示すフローチャートにおいては、ステップS99において、1台以上の基地局において、スループットが異常上昇(rise)であると判定されたとき、通信の異常原因が通信装置のトラフィックの増加であると推定し、ステップS99において、全ての基地局において、スループットが異常上昇(rise)でないと判定されたとき、通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込み、または製造現場の設置機器からのノイズであると推定することにしたものである。
【0330】
更に、通信システム100が管理しない通信装置が持ち込まれ、持ち込まれた通信装置が通信を行うことによって、基地局/モニター端末装置で観測される通信システム100による管理外の通信装置のチャネル占有率が増加する。一方、製造現場の設置機器からのノイズを復号できないため、基地局/モニター端末装置で観測される通信システム100による管理外の通信装置のチャネル占有率は、増加しない。
【0331】
従って、
図34に示すフローチャートにおいては、ステップS101において、1台以上の基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)であると判定されたとき、通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであると推定し、ステップS101において、全ての基地局/モニター端末装置において、通信システム100が管理しない通信装置のチャネル占有率が異常上昇(rise)でないと判定されたとき、通信の異常原因が製造現場の設置機器からのノイズであると推定することにしたものである。
【0332】
図35は、
図29に示すステップS12の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0333】
図35を参照して、
図29のステップS11の後、位置推定手段52は、通信の異常原因が障害物の設置であるか否かを判定する(ステップS121)。
【0334】
ステップS121において、通信の異常原因が障害物の設置であると判定されたとき、位置推定手段52は、対応表TBL4を参照して、“障害物の設置”に対応する位置推定方法1を選択し(ステップS122)、その選択した位置推定方法1を用いて通信の異常原因の発生位置を推定する(ステップS123)。
【0335】
一方、ステップS121において、通信の異常原因が障害物の設置でないと判定されたとき、位置推定手段52は、通信の異常原因が通信装置の設置位置変更であるか否かを判定する(ステップS124)。
【0336】
ステップS124において、通信の異常原因が通信装置の設置位置変更であると判定されたとき、位置推定手段52は、対応表TBL4を参照して、“通信装置の設置位置変更”に対応する位置推定方法2を選択し(ステップS125)、その選択した位置推定方法2を用いて通信の異常原因の発生位置を推定する(ステップS126)。
【0337】
一方、ステップS124において、通信の異常原因が通信装置の設置位置変更でないと判定されたとき、位置推定手段52は、通信の異常原因が通信装置のトラフィックの増加であるか否かを判定する(ステップS127)。
【0338】
ステップS127において、通信の異常原因がトラフィックの増加であると判定されたとき、位置推定手段52は、対応表TBL4を参照して、“トラフィックの増加”に対応する位置推定方法3を選択し(ステップS128)、その選択した位置推定方法3を用いて通信の異常原因の発生位置を推定する(ステップS129)。
【0339】
一方、ステップS127において、通信の異常原因がトラフィックの増加でないと判定されたとき、位置推定手段52は、通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであるか否かを判定する(ステップS130)。
【0340】
ステップS130において、通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込みであると判定されたとき、位置推定手段52は、対応表TBL4を参照して、“通信装置の外部からの持ち込み”に対応する位置推定方法4を選択し(ステップS131)、その選択した位置推定方法4を用いて通信の異常原因の発生位置を推定する(ステップS132)。
【0341】
一方、ステップS130において、通信の異常原因が通信装置の外部からの持ち込みでないと判定されたとき、位置推定手段52は、通信の異常原因が製造現場の設置機器からのノイズであると判定し、対応表TBL4を参照して、“製造現場の設置機器からのノイズ”に対応する位置推定方法5を選択し(ステップS133)、その選択した位置推定方法5を用いて通信の異常原因の発生位置を推定する(ステップS134)。
【0342】
そして、ステップS123、ステップS126、ステップS129、ステップS132およびステップS134のいずれかの後、一連の動作は、
図29のステップS13へ移行する。
【0343】
図36は、
図35に示すステップS123の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0344】
図36を参照して、
図35のステップS122の後、位置推定手段52は、時刻tにおいて、観測データの受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)を算出する(ステップS123-1)。
【0345】
そして、位置推定手段52は、時刻tにおいて、学習データの受信信号強度RSSIの平均値を算出する(ステップS123-2)。
【0346】
その後、位置推定手段52は、観測データの受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)を正規化する(ステップS123-3)。
【0347】
引き続いて、位置推定手段52は、学習データの受信信号強度RSSIの平均値を正規化する(ステップS123-4)。
【0348】
そうすると、位置推定手段52は、異常度(Rarity)の正規化値と受信信号強度RSSIの平均値の正規化値とを乗算して乗算結果を複数のモニター端末装置の全てについて取得する(ステップS123-5)。
【0349】
そして、位置推定手段52は、乗算結果が大きい順にN
2個のリンクを検出し(ステップS123-6)、その検出したN
2個のリンクに対して、リンクの中間点、もしくは異常度(Rarity)の正規化値と受信信号強度RSSIの平均値の正規化値との乗算結果を重みとした中間点の中点、もしくは異常度(Rarity)の正規化値と受信信号強度RSSIの平均値の正規化値との乗算結果を重みとした中間点の重心を異常原因(障害物の設置)の発生位置と推定する(ステップS123-7)。その後、一連の動作は、
図29のステップS13へ移行する。
【0350】
図37は、
図35に示すステップS126の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0351】
図37を参照して、
図35のステップS125の後、位置推定手段52は、観測データの受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)を複数のリンクについて算出する(ステップS126-1)。
【0352】
そして、位置推定手段52は、複数のリンクから受信信号強度RSSIの異常度(Rarity)が最も大きいリンクを検出する(ステップS126-2)。
【0353】
そうすると、位置推定手段52は、ステップS126-2において検出したリンクの送信元の通信装置30の初期位置を異常原因(通信装置の設置位置変更)の発生位置と推定する(ステップS126-3)。その後、一連の動作は、
図29のステップS13へ移行する。
【0354】
図38は、
図35に示すステップS129の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0355】
図38を参照して、
図35のステップS128の後、位置推定手段52は、観測データのスループットTHPの異常度(Rarity)を複数のリンクについて算出する(ステップS129-1)。
【0356】
そして、位置推定手段52は、複数のリンクからスループットTHPの異常度(Rarity)が最も大きいリンクを検出する(ステップS129-2)。
【0357】
その後、位置推定手段52は、ステップS129-2において検出したリンクの送信元の通信装置30からパケットを正常に受信したときの受信信号強度RSSIに基づいて送信元の通信装置30の位置PS_CMを算出する(ステップS129-3)。
【0358】
そうすると、位置推定手段52は、算出した送信元の通信装置30の位置PS_CMを異常原因(トラフィックの増加)の発生位置と推定する(ステップS129-4)。その後、一連の動作は、
図29のステップS13へ移行する。
【0359】
図39は、
図38に示すステップS129-3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0360】
図39を参照して、
図38のステップS129-2の後、位置推定手段52は、M個のモニター端末装置MN_1~MN_Mがパケットを通信装置30から実際に受信したときのM個の受信信号強度RSSI_1~RSSI_Mを検出する(ステップS201)。
【0361】
そして、位置推定手段52は、s=1を設定し(ステップS202)、m=1を設定する(ステップS203)。
【0362】
その後、位置推定手段52は、格子模様の交点からなる候補点CD_sに通信装置30を配置したときに、モニター端末装置MN_mが通信装置30からパケットを受信したときの受信信号強度RSSI_s_mを電波の伝搬モデル(式(1))を用いて推定する(ステップS204)。
【0363】
そして、位置推定手段52は、m=Mであるか否かを判定する(ステップS205)。ステップS205において、m=Mでないと判定されたとき、位置推定手段52は、m=m+1を設定する(ステップS206)。その後、一連の動作は、ステップS204へ移行し、ステップS205において、m=Mであると判定されるまで、ステップS204~ステップS206が繰り返し実行される。
【0364】
そして、ステップS205において、m=Mであると判定されると、位置推定手段52は、受信信号強度RSSI_s_1~RSSI_s_Mと受信信号強度RSSI_1~RSSI_Mとの誤差ERR_sを算出する(ステップS207)。
【0365】
その後、位置推定手段52は、s=Sであるか否かを判定する(ステップS208)。ステップS208において、s=Sでないと判定されたとき、位置推定手段52は、s=s+1を設定する(ステップS209)。その後、一連の動作は、ステップS203へ移行し、ステップS208において、s=Sであると判定されるまで、ステップS203~ステップS209が繰り返し実行される。
【0366】
そして、ステップS208において、s=Sであると判定されると、位置推定手段52は、S個の誤差ERR_1~ERR_Sのうち、最小の誤差ERR_minが得られるときの候補点CD_minを通信装置30の位置PS_CMと推定する(ステップS210)。その後、一連の動作は、
図38のステップS129-4へ移行する。
【0367】
図40は、
図38に示すステップS129-3の詳細な動作を説明するための別のフローチャートである。
【0368】
図40を参照して、
図38のステップS129-2の後、位置推定手段52は、M個のモニター端末装置MN_1~MN_Mがパケットを通信装置30から実際に受信したときのM個の受信信号強度RSSI_1~RSSI_Mを検出する(ステップS211)。
【0369】
そして、位置推定手段52は、M個の受信信号強度RSSI_1~RSSI_Mの平均値RSSI_aveを算出する(ステップS212)。
【0370】
その後、位置推定手段52は、M個の受信信号強度RSSI_1~RSSI_Mと平均値RSSI_aveとの誤差ベクトルVCERRを算出する(ステップS213)。
【0371】
そして、位置推定手段52は、s=1を設定し(ステップS214)、格子模様の交点からなる候補点CD_sに通信装置30を配置したときに、モニター端末装置MN_1~MN_Mが通信装置30からパケットを受信したときの受信信号強度RSSI_s_1~RSSI_s_Mを電波の伝搬モデル(式(1))を用いて推定する(ステップS215)。
【0372】
その後、位置推定手段52は、受信信号強度RSSI_s_1~RSSI_s_Mと平均値RSSI_aveとの誤差ベクトルVCERR_sを算出する(ステップS216)。
【0373】
そして、位置推定手段52は、s=Sであるか否かを判定する(ステップS217)。ステップS217において、s=Sでないと判定されたとき、位置推定手段52は、s=s+1を設定する(ステップS218)。その後、一連の動作は、ステップS215へ移行し、ステップS217において、s=Sであると判定されるまで、ステップS215~ステップS218が繰り返し実行される。
【0374】
そして、ステップS217において、s=Sであると判定されると、位置推定手段52は、誤差ベクトルVCERRとS個の誤差ベクトルVCERR_1~VCERR_SとのS個の誤差ERR_1~ERR_Sを算出する(ステップS219)。
【0375】
そうすると、位置推定手段52は、S個の誤差ERR_1~ERR_Sのうち、最小の誤差ERR_minが得られるときの候補点CD_minを通信装置30の位置PS_CMと推定する(ステップS220)。その後、一連の動作は、
図38のステップS129-4へ移行する。
【0376】
図41は、
図38に示すステップS129-3の詳細な動作を説明するための更に別のフローチャートである。
【0377】
図41を参照して、
図38のステップS129-2の後、位置推定手段52は、スループットTHPの異常度(Rarity)が最も大きいリンクの近傍に配置された3個のモニター端末装置MN_1~MN_3を選択する(ステップS221)。
【0378】
そして、位置推定手段52は、3個のモニター端末装置MN_1~MN_3がそれぞれ取得した受信信号強度をRSSI_1~RSSI_3とする(ステップS222)。
【0379】
その後、位置推定手段52は、モニター端末装置MN_1~MN_3の位置をそれぞれ(x1,y1),x2,y2),x3,y3)とし(ステップS223)、通信装置30の推定対象の位置を(x,y)とする(ステップS224)。
【0380】
そうすると、位置推定手段52は、m=1を設定し(ステップS225)、位置(xm,ym)と位置(x,y)との距離Dmを受信信号強度RSSI_mおよび電波の伝搬モデル(式(1))を用いて推定する(ステップS226)。
【0381】
そして、位置推定手段52は、m=Mであるか否かを判定する(ステップS227)。ステップS227において、m=Mでないと判定されたとき、位置推定手段52は、m=m+1を設定する(ステップS228)。その後、一連の動作は、ステップS226へ移行し、ステップS227において、m=Mであると判定されるまで、ステップS226~ステップS228が繰り返し実行される。
【0382】
そして、ステップS227において、m=Mであると判定されると、位置推定手段52は、位置(x1,y1),x2,y2),x3,y3)および距離D1,D2,D3を式(2)に代入して連立方程式を解くことによって位置(x,y)を算出する(ステップS229)。
【0383】
そうすると、位置数低手段52は、算出した位置(x,y)を通信装置30の位置PS_CMと推定する(ステップS230)。その後、一連の動作は、
図38のステップS129-4へ移行する。
【0384】
図39から
図41に示すフローチャートは、位置の推定対象である通信装置からパケットを受信したときのモニター端末装置における受信信号強度RSSIに基づいて通信装置の位置PS_CMを推定する点で共通する。
【0385】
そして、
図39および
図40に示すフローチャートにおいては、位置の推定対象である通信装置からパケットを受信したときの受信信号強度RSSIを電波の伝搬モデル(式(1))を用いて推定し、その推定した受信信号強度RSSIと、パケットを実際に受信したときの受信信号強度RSSIとの誤差が最小になるときの通信装置の候補点を通信装置の位置PS_CMと推定する点で共通する。
【0386】
また、
図41に示すフローチャートにおいては、モニター端末装置が位置の推定対象である通信装置から実際にパケットを受信したときの受信信号強度RSSIを用いて、位置の推定対象である通信装置とモニター端末装置との距離を電波の伝搬モデル(式(1))を用いて推定し、その推定した距離を用いて三点測位によって通信装置の位置PS_CMを推定する。
【0387】
従って、
図39から
図41に示すフローチャートによれば、
図38のステップS129-3は、位置の推定対象である通信装置からパケットを受信したときの受信信号強度RSSIまたは位置の推定対象である通信装置とモニター端末装置との距離D
mを電波の伝搬モデル(式(1))を用いて推定し、その推定した受信信号強度RSSIまたは距離D
mを用いて通信装置の位置PS_CMを推定することによって実行される。
【0388】
図42は、
図35に示すステップS132の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0389】
図42を参照して、
図35のステップS131の後、位置推定手段52は、碁盤目状に配置されたM個のモニター端末装置MN_1~MN_Mが外部から持ち込まれた通信装置CM_EXTからパケットを正常に受信したときに、M個のモニター端末装置MN_1~MN_Mによって検出されたM個の受信信号強度RSSI_1~RSSI_Mを取得する(ステップS132-1)。
【0390】
そして、位置推定手段52は、M個の受信信号強度RSSI_1~RSSI_Mに基づいて、
図38に示すフローチャート(
図39から
図41に示すフローチャートのいずれかを含む。)に従って推定した通信装置CM_EXTの位置を異常原因(通信装置の外部からの持ち込み)の発生位置と推定する(ステップS132-2)。その後、一連の動作は、
図29のステップS13へ移行する。
【0391】
図43は、
図35に示すステップS134の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0392】
図43を参照して、
図35のステップS133の後、位置推定手段52は、複数のモニター端末装置50がアンテナ端で観測した複数の受信信号強度RSSI’の複数の異常度(Rarity)を算出する(ステップS134-1)。
【0393】
そして、位置推定手段52は、の複数の異常度(Rarity)に基づいて、異常度(Rarity)の大きい順にN3個のモニター端末装置50のN3個の位置(x1,y1)~(xN3,yN3)を取得する(ステップS134-2)。
【0394】
その後、位置推定手段52は、N3個の位置(x1,y1)~(xN3,yN3)とN3個の異常度Rabn_1~Rabn_N3とに基づいて、異常度Rabnを重みとするN3個の位置(x1,y1)~(xN3,yN3)の重心、あるいは異常度Rabnを重みとするN3個の位置の中点、あるいはN3個の位置を示す(xG,yG)を式(6)によって算出する(ステップS134-3)。
【0395】
そうすると、位置推定手段52は、算出した重心(x
G,y
G)を異常原因(製造現場の設置機器からのノイズ)の発生位置と推定する(ステップS134-4)。その後、一連の動作は、
図29のステップS13へ移行する。
【0396】
上述したように、推定装置10は、通信の異常原因と異常原因の発生位置とを推定するので、通信の異常原因に対処することができる。そして、位置推定手段52は、原因推定手段51によって推定された通信の異常原因に対応付けられた位置推定方法を用いて異常原因の発生位置を推定するので、異常原因の発生位置を正確に推定できる。その結果、より迅速、かつ、正確に通信の異常原因に対処することができる。
【0397】
この発明の実施の形態においては、推定装置10の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、推定装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMは、
図29に示すフローチャート(
図30から
図34に示すフローチャート、
図35に示すフローチャート(
図36に示すフローチャート、
図37に示すフローチャートおよび
図38に示すフローチャート(
図39から
図41に示すフローチャートのいずれかを含む))、
図42に示すフローチャートおよび
図43に示すフローチャートを含む。)の各ステップからなるプログラムProg_Aを記憶する。
【0398】
CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行して、通信の異常原因および異常原因の発生位置を推定する。RAMは、乖離度、乖離度の確率密度分布、判定された異常上昇および異常下降および通信の異常原因等を一時的に記憶する。
【0399】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行し、通信の異常原因および異常原因の発生位置を推定する。
【0400】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0401】
[シミュレーション]
推定装置10による通信の異常原因および異常原因の発生位置の推定についてシミュレーションを行った。
【0402】
シミュレーションにおいては、各推定手法が正しく機能しているかを検証するために、位置推定方法では原因推定結果が常に正しいという仮定を設定し、各推定方法の性能を独立に評価した。
【0403】
シミュレーションの諸元を表2に示す。
【0404】
【0405】
図44は、シミュレーションに用いた車体検査工場における通信装置30、基地局40およびモニター端末装置50の配置を示す図である。
【0406】
工場の大きさを30m×40mとし、ライン上を移動する車体フレームに対して画像検査を行う状況を想定する。工場内には以下の機器が配置される。
・車体検査用カメラ
・ネットワークカメラ
・ラインのチェーン伸び測定用センサ
これらは、同一無線チャネルを使用するIEEE802.11g無線LANによって基地局に接続し、そこから有線接続を介してアプリケーションサーバと通信を行う。
【0407】
車体検査用カメラは、検査実施位置に到着した車体フレームの画像を伝送し、ネットワークカメラは、撮影した工場内の動画を伝送する。また、伸び測定用センサは、ラインのチェーンの伸びをセンシングし伝送を行う。モニター端末装置50は、工場内に10m間隔で格子状に配置し、通信装置30および基地局40が送信したフレームを受信してQoS情報などを原因推定・位置推定用制御サーバ(サーバ20)へ送信する。なお、基地局40におけるQoS情報は、理想的に取得できるものとした。基地局40およびモニター端末装置50において取得するQos情報は、以下の通りである。
・正常に受信したパケットの受信信号強度RSSI
・アンテナ端における受信信号強度RSSI’(モニター端末装置50のみ取得)
・製造現場内で管理されている各端末(以下、管理内端末)のチャネル占有率(正常受信したフレームの時間長より算出)
・製造現場内で管理されていない各端末(以下、管理外端末)のチャネル占有率
・トランスポート層におけるスループット(基地局40のみ取得)
基地局において取得したパケットの情報要素において送受信IPアドレスとポート番号から無線アプリケーションのパケットを識別した上で、パケットを観測したタイムスタンプとパケットサイズから基地局40におけるスループットを算出する。
【0408】
車体フレームは、0.5m/秒のスピードでライン上を流れ、車体検査用カメラの位置に到着すると検査を50秒行う。その間、ラインは、停止し、検査終了後に、再び、0.5m/秒のスピードで移動を再開する。車体フレームの到着間隔は、工場における工程や人手による作業などの要因によってばらつきがあるものと想定して、下限0秒、上限50秒、平均40秒、標準偏差2.26秒の切断正規分布でモデル化をした。
【0409】
本シミュレーションでは、異常発生原因として以下のイベントを設定した。
(1)障害物の設置:新たに金属板が設置される(
図44:1)
(2)通信装置の設置位置変更:センサ位置が数十cmずれる(
図44:2)
(3)通信装置のトラフィックの増加:ネットワークカメラにおいて追加のトラフィックが一時的に発生する(
図44:3)
(4)通信装置の外部からの持ち込み:管理外端末が工場内に持ち込まれる(
図44:4)
(5)製造現場設置機器からのノイズ:工場に設置された機器から電波雑音が発せられる(
図44:5)
本シミュレーションでは、異常が発生しない2500秒間の正常状態のデータを取得し、前半2000秒を学習データ1,後半500秒を学習データ2とした。また、学習データとは異なる3300秒のデータを観測データとして取得し、これに対して原因推定および位置推定を行った。ここで、観測データは、2500秒の時点で異常が発生するものとした。
【0410】
[評価結果]
想定した5パターンの通信異常を発生させ、上述した異常原因の推定方法と異常原因の発生位置の推定方法によって、通信の異常原因と異常原因の発生位置を推定した結果を示す。
【0411】
[異常原因の推定方法の評価結果]
図45は、各異常原因が発生したときの原因推定方法の評価結果を示す図である。
図45において、横軸は、時間を表し、縦軸は、異常原因のシナリオ番号を表す。図中の実線は、その時刻における無線通信の状態(異常無し、もしくは異常原因1~5)を表す。異常原因1は、“障害物の設置”であり、異常原因2は、“通信装置の設置位置変更”であり、異常原因3は、“通信装置のトラフィックの増加”であり、異常原因4は、“通信装置の外部からの持ち込み”であり、異常原因5は、“製造現場の設置機器からのノイズ”である。また,丸印は、その時間において原因推定方法によって推定した無線通信の状態をプロットしている。
【0412】
図45を参照して、異常原因2と異常原因3においては、異常発生後に殆どの時刻において異常発生原因を正しく推定できていることがわかる(
図45の(b),(c)参照)。異常原因1では、異常発生後は、その原因を正しく推定できているが、異常が発生していない時刻においても何らかの異常が発生していると判定している。学習データ1と学習データ2の入力系列の変動パターンの乖離が少ない場合、カーネル密度推定によって推定される乖離度の確率密度分布の広がりが小さくなり、本来、異常ではない程度の入力系列パターンの変動でもriseもしくはdescentと判定され、異常が発生していると推定されたと考えられる。
【0413】
異常原因4,5では、異常が発生していない時刻においては異常発生無しと正しく推定できているが、異常が発生した後も一部で異常無しと誤推定している。これは、観測データにおける入力系列パターンの乖離が、rise/descent判定のしきい値(Ψ)に対して小さく、異常と判定されなかったと考えられる。Ψを大きくすると、誤検出(false alarm)が発生しやすくなり、Ψを小さくすると、異常の検出見逃し(misdetection)が発生しやすくなる。即ち、Ψは、原因推定において誤検出と検出見逃しとの間のトレードオフを制御するパラメータであり、適切な値に設定することが好ましい。
【0414】
[異常原因の発生位置の推定方法の評価結果]
図46は、各異常原因が発生したときの位置推定方法の評価結果を示す図である。
図46において、x印が異常原因の発生位置を表し、丸印が位置推定方法によって推定した異常原因の発生位置を表す。各推定位置は、異常発生時刻からプロットを開始している。
【0415】
図46を参照して、全ての異常原因において、約5m程度の精度で異常原因の発生位置を推定できていることがわかる。即ち、任意の異常原因が影響を与えるQoS/チャネル状況情報を考慮し、位置推定方法を切り替えることによって異常原因の発生位置を精度よく推定することが可能となる。
【0416】
上記においては、推定装置10が屋内における通信の異常原因と異常原因の発生位置とを推定することについて説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、推定装置10は、屋外において、上述した方法によって、通信の異常原因と異常原因の発生位置とを推定してもよい。
【0417】
上述した実施の形態によれば、この発明の実施の形態による推定装置は、
学習データに対する観測データの乖離度合を示す乖離度に基づいて、通信装置によって送信されたパケットを受信できないときの無線通信の異常の原因である異常原因を推定する原因推定手段と、
原因推定手段によって推定された異常原因に対応付けられた位置推定方法を選択し、パケットがチャネルを用いて無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を用いて、選択した位置推定方法に従って異常原因が発生した位置を推定する位置推定手段とを備え、
学習データは、パケットを受信し、かつ、パケットを復号できた状態である正常状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第1のQoS/チャネル状況情報からなり、
観測データは、パケットの受信可否が不明である状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第2のQoS/チャネル状況情報からなっていればよい。
【0418】
推定装置がこのような構成を有することによって、通信の異常原因と異常原因の発生位置とを推定し、その推定結果に基づいて通信の異常原因を解消するように対処できるからである。
【0419】
また、上述した実施の形態によれば、この発明の実施の形態によるプログラムは、
原因推定手段が、学習データに対する観測データの乖離度合を示す乖離度に基づいて、通信装置によって送信されたパケットを受信できないときの無線通信の異常の原因である異常原因を推定する第1のステップと、
位置推定手段が、第1のステップにおいて推定された異常原因に対応付けられた位置推定方法を選択し、パケットがチャネルを用いて無線通信によって送信されたときの通信品質を示すQoS/チャネル状況情報を用いて、選択した位置推定方法に従って前記異常原因が発生した位置を推定する第2のステップとをコンピュータに実行させるプログラムであり、
学習データは、パケットを受信し、かつ、パケットを復号できた状態である正常状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第1のQoS/チャネル状況情報からなり、
観測データは、パケットの受信可否が不明である状態において取得されたQoS/チャネル状況情報である第2のQoS/チャネル状況情報からなっていればよい。
【0420】
プログラムが第1および第2のステップをコンピュータに実行させることによって、通信の異常原因および異常原因の発生位置が推定され、その推定結果に基づいて通信の異常原因を解消するように対処できるからである。
【0421】
この発明の実施の形態においては、学習データを構成するQoS/チャネル状況情報は、「第1のQoS/チャネル状況情報」を構成し、観測データを構成するQoS/チャネル状況情報は、「第2のQoS/チャネル状況情報」を構成し、分布推定データを構成するQoS/チャネル状況情報は、「第3のQoS/チャネル状況情報」を構成する。
【0422】
そして、学習データおよび分布推定データから乖離度の確率密度分布(
図10の曲線k4参照)を推定することは、「第1のQoS/チャネル状況情報に対する第3のQoS/チャネル状況情報の乖離度合を示す乖離度を複数算出し、その算出した複数の乖離度に基づいて確率密度分布を推定する」ことに相当する。ここで、
図7に示す方法によって1つの乖離度を算出することを
図9に示すように観測データにおいてタイミングt,t+1,t+2,・・・に順次スライディングさせた幅Wのウィンドウについて実行することは、「複数の乖離度を算出する」ことを構成する。
【0423】
また、この発明の実施の形態においては、しきいΨrは、「第1のしきい値」を構成し、しきいΨdは、「第2のしきい値」を構成する。
【0424】
更に、この発明の実施の形態においては、観測データの乖離度は、「推定用乖離度」を構成する。
【0425】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0426】
この発明は、推定装置、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に適用される。
【符号の説明】
【0427】
1 有線ケーブル、2 アンテナ、3,4 受信手段、5 推定手段、10 推定装置、20 サーバ、30,90 通信装置、40 基地局、50 モニター端末装置、51 原因推定手段、52 位置推定手段、60 障害物、70 タブレット端末、80 製造装置、100 通信システム。