(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150071
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】金属製造花の作成方法
(51)【国際特許分類】
A41G 1/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A41G1/00 B
A41G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052489
(22)【出願日】2021-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】521096430
【氏名又は名称】有限会社リノ・ユニバーサル
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】美馬 庄一
(57)【要約】
【課題】容易な工程で立体感がある金属製造花の作成方法を提供する。
【解決手段】まず、金属薄板からの略相似状の複数の花弁板体を作成する。次に、複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心近傍どうしを固定する。そして、最も上に位置する花弁板体から順に、周縁部近傍を立ち上げて花弁形状を形成する。花弁板体を作成する際に花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成しておき、花弁形状を形成する際に凹部近傍に力を作用させて周縁部近傍を立ち上げるようにしてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板製の略相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、
前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心近傍どうしを固定する固定ステップと、
最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部近傍を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備えたことを特徴とする金属製造花の作成方法。
【請求項2】
前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、
前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部近傍に力を作用させて前記周縁部近傍を立ち上げることを特徴とする請求項1記載の金属製造花の作成方法。
【請求項3】
前記花弁板体作成ステップにおいて、各々の前記花弁板体の前記重心近傍に挿通孔を形成し、
前記固定ステップにおいて、重ね合わせた前記複数の花弁板体の挿通孔に挿通した棒状部材によって前記重心近傍どうしを固定することを特徴とする請求項1または2記載の金属製造花の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製造花、特に、金属製薄板を用いた造花の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、造花は紙、布、樹脂、金属等様々な素材で製造されている。特に、金属で作られた造花は高い保型性を有しており、アクセサリ等の強度が要求される用途には非常に有用である。
【0003】
このような金属製の造花として特許文献1が知られている。この特許文献1の金属製造花置物では、薄金属板を所定の形状に型抜きして形成した花弁部および花芯部を重ね合わせ、細棒金属体を花弁部および花芯部に設けた挿通孔に装着して花弁体を形成している。このような構成であるため、容易に花弁体を製作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1の金属製造花置物では、容易に花弁体を製作することができる。しかしながら、この花弁体は単に金属板を型抜きしたものであるため、形状が平面的であり、立体感に乏しい。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易な工程で立体感がある金属製造花の作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る、金属製造花の作成方法の好適な実施形態の一つでは、金属薄板製の略相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心近傍どうしを固定する固定ステップと、最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部近傍を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備えている。
【0008】
本発明に係る金属製造花の製造方法の好適な実施形態の一つでは、前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部近傍に力を作用させて前記周縁部近傍を立ち上げる。
【0009】
本発明に係る金属製造花の製造方法の好適な実施形態の一つでは、前記花弁板体作成ステップにおいて、各々の前記花弁板体の前記重心近傍に挿通孔を形成し、前記固定ステップにおいて、重ね合わせた前記複数の花弁板体の挿通孔に挿通した棒状部材によって前記重心近傍どうしを固定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る金属製造花の製造方法によれば、簡易な工程で立体感のある金属製造花を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る金属製造花の作成方法によって製造された造花を示す図である。
【
図2】本発明に係る金属製造花の作成方法の流れを説明するフローチャートである。
【
図4】実施形態における金属製造花の製造過程を示す図である。
【
図5】実施形態における製造途中の金属製造花の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係る金属製造花の作成方法によって製造された造花(以下、造花と称する)を示す図である。図に示すように、本実施形態では、造花Fは薔薇を模しており、複数の花弁によって構成されている。
【0013】
以下に、
図2のフローチャートを用いて本発明に係る金属製造花の作成方法を説明する。先ず、薄い銅板から複数の花弁板体1を作成する(#01)。本実施形態では、
図3に示すように、5枚の花弁板体1a,1b,1c,1d,1eを作成する。また、
図3に示すように、花弁板体1a,1b,1c,1d,1eは互いに略相似形であり、大きさが若干異なっている。この例では、花弁板体1aが最も大きく、花弁板体1b,1c,1dと次第に小さくなり、花弁板体1eが最も小さくなっている。なお、以下の説明において、各々の花弁板体1a,1b,1c,1d,1eを区別する必要がない場合には、花弁板体1と表記する。
【0014】
本実施形態における花弁板体1は、
図3に示すように、角が丸い略5角形であり、各辺には周縁部から内側に凹む凹部11が形成されている。当然ながら、花弁板体1の形状はこれに限定されるものではなく、模する花の形状等によって適宜変更可能である。
【0015】
また、本実施形態における花弁板体1は、平面視における重心近傍に挿通孔12が形成されている。挿通孔12の直径は、後述する金属針2の直径と同じまたは若干大きい程度である。
【0016】
ここで、花弁板体1の作成方法を具体的に説明する。本実施形態では、花弁板体1は0.1mmの銅板から作成している。先ず、この銅板を酸洗浄し、硫化着色する。その後、銅板を打ち抜き加工や切断加工等の板金加工することによって上述した形状の花弁板体1を作成する。なお、板金加工等によって花弁板体1の形状を作成した後に酸洗浄および硫化着色をしても構わない。
【0017】
次に、
図3に示すように、各々の花弁板体1の平面視における重心近傍に小さな挿通孔12を形成する(#02)。そして、
図4に示すように、各々の挿通孔12が同じ位置となるように、花弁板体1a,1b,1c,1d,1eを重ね合わせる(#03)。このとき、最も大きな花弁板体1aが最も下となり、最も小さな花弁板体1eが最も上となるように、大きさ順に重ねていく。そして、
図4(a)に示すように、下方から挿通孔12に対して金属針2(本発明における棒状部材の例)を挿通する(#04)。なお、
図4(a)では、複数の花弁板体1の重ね合わせと、挿通孔12への金属針2の挿通とを同時に行う状態を示している。
【0018】
重ね合わせた複数の花弁板体1の挿通孔12に金属針2を挿通すると、
図4(b)の状態となる。そして、金属針2の先端の不要部分を切断し、先端を潰す等して抜け止めを形成する(
図4(c)参照)。これにより、隣接する花弁板体1の平面視における重心近傍どうしが互いに固定される(#05)。なお、本発明における花弁板体1の固定とは、全く移動が規制された状態だけでなく、遊びを持って移動が規制された状態をも含んでいる。
【0019】
次に、花弁板体1の周縁部近傍を立ち上げ、花弁形状を形成する(#06)。花弁形状の形成は最も上に重ねられている花弁板体1eから順に行う。具体的には、花弁板体1の凹部11近傍を上方に持ち上げるように力を加える。例えば、凹部11近傍をラジオペンチ等で挟持して上方に持ち上げたり、花弁板体1の下面の凹部11近傍に対してへら等の棒状器具を押し当てて上方に押し上げたり(絞り加工)することにより、花弁板体1の凹部11近傍を上方に持ち上げることができる。
【0020】
このような加工を、花弁板体1eの全ての凹部11近傍に対して行い、順次、花弁板体1dから花弁板体1aへと行う。
図5は、花弁板体1e,1d,1cに対して花弁形状の形成を行った状態を示している。全ての花弁板体1に対して花弁形状の形成を行った後に、花弁(花弁板体1の立ち上げた部分)の端部を湾曲させて丸みを持たせるとともに、丸みを持たせた部分を紙やすり等で磨くことにより銅板の素地を露出させて陰影を付ける。これにより、
図1の造花Fとなる。
【0021】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、花弁板体1に挿通孔12を形成し、挿通孔12に挿通した金属針2によって花弁板体1の重心近傍を固定したが、固定の方法はこれに限定されるものではなく、他の方法を用いても構わない。例えば、花弁板体1に挿通孔12を形成せず、重なり合った2枚の花弁板体1の重心近傍を接着剤等で固定することもできる。
【0022】
(2)上述の実施形態では、花弁形状を形成する際に花弁板体1の凹部11の近傍に力を作用させたが、他の部分に力を作用させても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、金属製造花の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
F:造花(金属製造花)
1,1a,1b,1c,1d,1e:花弁板体
11:凹部
12:挿通孔
2:金属針
【手続補正書】
【提出日】2021-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板製の相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、
前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心どうしを固定する固定ステップと、
最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備え、
前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、
前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部が形成された前記周縁部に力を作用させて前記周縁部を立ち上げることを特徴とする金属製造花の作成方法。
【請求項2】
前記花弁板体作成ステップにおいて、各々の前記花弁板体の前記重心に挿通孔を形成し、
前記固定ステップにおいて、重ね合わせた前記複数の花弁板体の挿通孔に挿通した棒状部材によって前記重心どうしを固定することを特徴とする請求項1記載の金属製造花の作成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る、金属製造花の作成方法の好適な実施形態の一つでは、金属薄板製の相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心どうしを固定する固定ステップと、最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備え、前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部が形成された前記周縁部に力を作用させて前記周縁部を立ち上げる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る金属製造花の製造方法の好適な実施形態の一つでは、前記花弁板体作成ステップにおいて、各々の前記花弁板体の前記重心に挿通孔を形成し、前記固定ステップにおいて、重ね合わせた前記複数の花弁板体の挿通孔に挿通した棒状部材によって前記重心どうしを固定する。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板製の相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、
前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心どうしを固定する固定ステップと、
最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備え、
前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、
前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部近傍を上方に持ち上げるように力を加えて前記周縁部を立ち上げることを特徴とする金属製造花の作成方法。
【請求項2】
前記花弁板体作成ステップにおいて、各々の前記花弁板体の前記重心に挿通孔を形成し、
前記固定ステップにおいて、重ね合わせた前記複数の花弁板体の挿通孔に挿通した棒状部材によって前記重心どうしを固定することを特徴とする請求項1記載の金属製造花の作成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る、金属製造花の作成方法の好適な実施形態の一つでは、金属薄板製の相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心どうしを固定する固定ステップと、最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備え、前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部近傍を上方に持ち上げるように力を加えて前記周縁部を立ち上げる。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板製の相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、
前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心どうしを固定する固定ステップと、
最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備え、
前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、
前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部を上方に持ち上げるように力を加えて前記周縁部を立ち上げることを特徴とする金属製造花の作成方法。
【請求項2】
前記花弁板体作成ステップにおいて、各々の前記花弁板体の前記重心に挿通孔を形成し、
前記固定ステップにおいて、重ね合わせた前記複数の花弁板体の挿通孔に挿通した棒状部材によって前記重心どうしを固定することを特徴とする請求項1記載の金属製造花の作成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る、金属製造花の作成方法の好適な実施形態の一つでは、金属薄板製の相似状の複数の花弁板体を作成する花弁板体作成ステップと、前記複数の花弁板体を大きいものから順に上方に重ね合わせるとともに、平面視における重心どうしを固定する固定ステップと、最も上に位置する前記花弁板体から順に、周縁部を立ち上げて花弁形状を形成する花弁形状形成ステップと、を備え、前記花弁板体作成ステップにおいて、前記花弁板体の周縁部に内側に凹む凹部を形成し、前記花弁形状形成ステップにおいて、前記凹部を上方に持ち上げるように力を加えて前記周縁部を立ち上げる。