IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本セイフティー株式会社の特許一覧 ▶ ナカダ産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-救命設備 図1
  • 特開-救命設備 図2
  • 特開-救命設備 図3
  • 特開-救命設備 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150118
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】救命設備
(51)【国際特許分類】
   B63C 9/08 20060101AFI20220929BHJP
   B63C 9/26 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B63C9/08 E
B63C9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052573
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】391046610
【氏名又は名称】日本セイフティー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591224766
【氏名又は名称】ナカダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】齊 藤 康 則
(72)【発明者】
【氏名】遠 藤 優 輝
(72)【発明者】
【氏名】森 下 伸
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、大掛かりとならず、簡易に設置することができる救命設備を提供するものである。
【解決手段】
救命設備Sは、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面1に取り付けられた案内体3と、この案内体3に移動自在に取り付けられた移動体4と、この移動体4に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロート5とを備えた救命設備Sであって、案内体3は、前記水面の上と前記水面の下に至る直線状に設けられているものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられた案内体と、
この案内体に移動自在に取り付けられた移動体と、
この移動体に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートとを備えた救命設備であって、
前記案内体は、前記水面の上と前記水面の下に至る直線状に設けられている
ことを特徴とする救命設備。
【請求項2】
ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられたネットと、
このネットの上に設けられた案内体と、
この案内体に移動自在に取り付けられた移動体と、
この移動体に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートとを備えた救命設備であって、
前記案内体は、前記水面の上と前記水面の下に至る直線状に設けられている
ことを特徴とする救命設備。
【請求項3】
移動体は、案内体に案内される被案内部と、ネットに当接する当接部と、前記被案内部とフロートとを接続する接続体とを有し、
前記当接部は前記ネットに当接する部位が曲面であり、前記当接部の前記ネットに当接する部位から離間した部位に前記被案内部が設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の救命設備。
【請求項4】
当接部が当接するネットの目合いは、前記当接部が当接しない前記ネットの目合いより小さい
ことを特徴とする請求項3記載の救命設備。
【請求項5】
移動体は、案内体に案内される被案内部と、傾斜面に当接する当接部と、前記被案内部とフロートとを接続する接続体とを有し、
前記当接部は前記傾斜面に当接する部位が曲面であり、前記当接部の前記傾斜面に当接する部位から離間した部位に前記被案内部が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の救命設備。
【請求項6】
ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられたネットと、
前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートと、
このフロートと前記ネットとを接続する接続体とを備えている
ことを特徴とする救命設備。
【請求項7】
ネットがない場合には、案内体の近傍に蓄光体が取付けられ、
前記ネットがある場合には、前記ネットに前記蓄光体が取付けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項6記載の救命設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救命設備に係り、特に、大掛かりとならず、簡易に設置することができる救命設備に関する。
【背景技術】
【0002】
水面に浮設され、ため池等に滑落した滑落者を保護する「ため池等滑落者救助装置」がある(例えば、特許文献1参照)。
この「ため池等滑落者救助装置」は、長辺材と短辺材とを有した矩形の発泡性プラスチック製の浮き枠と、この浮き枠に縁取りされた網材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-50076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記「ため池等滑落者救助装置」にあっては、浮き枠に縁取りされた網材等が大きいため、救命設備が大掛かりになるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮した救命設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の救命設備は、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられた案内体と、この案内体に移動自在に取り付けられた移動体と、この移動体に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートとを備えた救命設備であって、前記案内体は、前記水面の上と前記水面の下に至る直線状に設けられているものである。
【0007】
また、請求項2記載の救命設備は、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられたネットと、このネットの上に設けられた案内体と、この案内体に移動自在に取り付けられた移動体と、この移動体に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートとを備えた救命設備であって、前記案内体は、前記水面の上と前記水面の下に至る直線状に設けられているものである。
【0008】
また、請求項3記載の救命設備は、請求項2記載の救命設備において、移動体は、案内体に案内される被案内部と、ネットに当接する当接部と、前記被案内部とフロートとを接続する接続体とを有し、前記当接部は前記ネットに当接する部位が曲面であり、前記当接部の前記ネットに当接する部位から離間した部位に前記被案内部が設けられているものである。
【0009】
また、請求項4記載の救命設備は、請求項3記載の救命設備において、当接部が当接するネットの目合いは、前記当接部が当接しない前記ネットの目合いより小さいものである。
【0010】
また、請求項5記載の救命設備は、請求項1記載の救命設備において、移動体は、案内体に案内される被案内部と、傾斜面に当接する当接部と、前記被案内部とフロートとを接続する接続体とを有し、前記当接部は前記傾斜面に当接する部位が曲面であり、前記当接部の前記傾斜面に当接する部位から離間した部位に前記被案内部が設けられているものである。
【0011】
また、請求項6記載の救命設備は、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられたネットと、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートと、このフロートと前記ネットとを接続する接続体とを備えているものである。
【0012】
また、請求項7記載の救命設備は、請求項1又は請求項2又は請求項6記載の救命設備において、ネットがない場合には、案内体の近傍に蓄光体が取付けられ、前記ネットがある場合には、前記ネットに前記蓄光体が取付けられているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の救命設備によれば、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられた案内体と、この案内体に移動自在に取り付けられた移動体と、この移動体に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートとを備えた救命設備であって、前記案内体は、前記水面の上と前記水面の下に至る直線状に設けられているため、大掛かりとならず、簡易に救命設備を設置することができる。
【0014】
また、請求項2記載の救命設備によれば、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられたネットと、このネットの上に設けられた案内体(ロープ)と、この案内体(ロープ)に移動自在に取り付けられた移動体と、この移動体に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートとを備えた救命設備であって、前記案内体(ロープ)は、前記水面の上と前記水面の下に至る直線状に設けられているため、大掛かりとならず、簡易に救命設備を設置することができ、しかも、傾斜面より滑落した滑落者がネットの目合いを利用して傾斜面を登ることができる。
【0015】
また、請求項3記載の救命設備によれば、上述した請求項2記載の発明の効果に加え、当接部はネットに当接する部位が曲面であるため、当接部が移動し易く、水面の昇降に追随して移動体を移動させることができる。
【0016】
また、請求項4記載の救命設備によれば、上述した請求項3記載の発明の効果に加え、当接部が当接するネットの目合いは、前記当接部が当接しない前記ネットの目合いより小さいため、当接部が更に移動し易く、水面の昇降に追随して移動体を移動させることができる。
【0017】
また、請求項5記載の救命設備によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、当接部は傾斜面に当接する部位が曲面であるため、当接部が移動し易く、水面の昇降に追随して移動体を移動させることができる。
【0018】
また、請求項6記載の救命設備によれば、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面に取り付けられたネットと、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートと、 このフロートと前記ネットとを接続する接続体とを備えているため、大掛かりとならず、簡易に救命設備を設置することができ、しかも、傾斜面より滑落した滑落者がネットの目合いを利用して傾斜面を登ることができる。
【0019】
また、請求項7記載の救命設備によれば、上述した請求項1又は請求項2又は請求項6記載の発明の効果に加え、ネットがない場合には、案内体の近傍に蓄光体が取付けられ、前記ネットがある場合には、前記ネットに前記蓄光体が取付けられているため、夜間において、蓄光体を目印にして、救命設備の位置を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施例の救命設備が設置され、水位が低い状態の概略的斜視図である。
図2図2は、図1の水が高い状態の概略的断面図である。
図3図3は、図1の救命設備と異なる他の実施例の救命設備が設置され、水位が高い状態の概略的図で、 図3(a)は、概略的斜視図で、図3(b)は、概略的断面図である。
図4図4は、図3の水が低い状態の概略的図で、 図4(a)は、概略的斜視図で、図4(b)は、概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施例の救命設備を図面を参照して説明する。
図1に示すSは、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面1より滑落した滑落者を救済する救命設備である。
【0022】
救命設備Sは、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面1に取り付けられたネット2と、このネット2の上に設けられた案内体(例えば、ロープ)3と、この案内体3に移動自在に取り付けられた移動体4と、この移動体4に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面Hに浮かぶフロート5とを備えている。
案内体3は、水面Hの上と水面Hの下に至る直線状に設けられている。
そのため、全体的に大掛かりとならず、簡易に救命設備Sを設置することができ、しかも、傾斜面1より滑落した滑落者がネット2の目合いを利用して傾斜面1を登ることができる。
【0023】
移動体4は、案内体3に案内される被案内部41と、ネット2に当接する当接部42と、被案内部42とフロート5とを接続する接続体(例えば、ロープ)43とを有し、当接部42はネット2に当接する部位が曲面(例えば、蒲鉾形状、球体形状)であり、当接部42のネット2に当接する部位から離間した部位に被案内部41(例えば、リング)が設けられている。
そのため、当接部42が移動し易く、水面Hの昇降に追随して移動体4を移動させることができる。
【0024】
また、当接部42が当接するネット2(ネット21)の目合い(例えば、25mm)は、当接部42が当接しないネット2(ネット22)の目合い(例えば、100mm)より小さくなっている。
当接部42が当接するネット21は、ネット22より摩擦が少なく、当接部42が更に移動し易く、水面Hの昇降に追随して移動体4を移動させることができる。
ネット21は、ネット22[目合い(例えば、100mm)]の上に設置しても良く、また、一枚のネット22[目合い(例えば、100mm)]の中央に目合い(例えば、 mm)のネット21を設けるようにしても良い。
【0025】
なお、図1に示す6は、可視光等を蓄えて、発光する蓄光体であり、また、図2に示す23は、ネット2を固定する上部アンカーであり、24は、ネット2を固定する下部アンカーである。
【0026】
上述した実施例においては、案内体(例えば、ロープ)3の下方にネット2を設けたが、本願発明にあっては、これに限らず、ネット2を省略しても良い。
即ち、この場合の救命設備Sは、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面1に取り付けられた案内体(例えば、ロープ)と、この案内体3に移動自在に取り付けられた移動体4と、この移動体4に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面Hに浮かぶフロート5とを備えた救命設備Sであって、案内体3は、水面Hの上と水面Hの下に至る直線状に設けられているものである。この救命設備Sにおいても、全体的に大掛かりとならず、簡易に救命設備Sを設置することができる。
この場合、移動体4は、案内体3に案内される被案内部41と、傾斜面1に当接する当接42と、被案内部41とフロート5とを接続する接続体(例えば、ロープ)43とを有し、当接部42は傾斜面1に当接する部位が曲面であり、当接部42の傾斜面1に当接する部位から離間した部位に被案内部41が設けられていることとなる。
そのため、当接部42が移動し易く、水面Hの昇降に追随して移動体4を移動させることができる。
【0027】
上述した実施例においては、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面1に取り付けられた案内体3と、この案内体3に移動自在に取り付けられた移動体4とを設けたが、本願発明にあっては、これに限らず、図3及び図4に示すように、案内体3及び移動体4を設けず、ダム、又は、池、又は、湖の傾斜面1に取り付けられたネット2と、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロート5と、このフロート5とネット2とを接続する接続体(例えば、ロープ)43とを備えた救命設備Sでも良い。
この救命設備Sにおいては、水面Hが高い状態(図3)から水面Hが低い状態(図4)に変化しても、また、逆に、水面Hが低い状態(図4)から水面Hが高い状態(図3)に変化しても、水面Hの昇降に追随してフロート5を移動させることができる。そのため、大掛かりとならず、簡易に救命設備Sを設置することができ、しかも、傾斜面1より滑落した滑落者がネット2の目合いを利用して傾斜面1を登ることができる。
【0028】
なお、救命設備Sにネット2がない場合には、案内体3の近傍に蓄光体6が取付けられ、ネット2がある場合には、ネット2に蓄光体6が取付けられているため、夜間において、を目印にして、救命設備S の位置を確認することができる。また、図3及び図4においては、蓄光体は省略しているが、図3及び図4における実施例においても、図1と同様のネット2の四隅に蓄光体があるのが望ましい。
【符号の説明】
【0029】
S 救命設備
1 傾斜面
2 ネット
3 案内体
4 移動体
5 フロート
図1
図2
図3
図4