(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150148
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】サニタリールームの天井部支持装置およびリフォーム方法
(51)【国際特許分類】
E04B 9/30 20060101AFI20220929BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20220929BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20220929BHJP
E04B 2/72 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E04B9/30 A
E04B9/00 R
E04G23/02 E
E04B2/72 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052619
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】坂本 直樹
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA09
2E176BB29
(57)【要約】
【課題】 サニタリールームの天井部支持装置の強度を高め、脱衣室の天井板の支持強度を高める。
【解決手段】
サニタリールームは、脱衣室1と、浴室2と、脱衣室1と浴室2の境に設置された間仕切り壁40と、間仕切り壁40の上側に設置された垂れ壁5と、脱衣室1において躯体天井3の下方に配置された天井板6とを備えている。このサニタリールームに設置される天井部支持装置10は、脱衣室1と浴室2の境に沿って水平に延び天井板6の側縁部上面に固定された支持桟15と、躯体天井3に支持されて垂下し垂れ壁5を支持する複数の縦枠12とを備えている。さらに天井部支持装置10は、縦枠12と支持桟15を連結する連結金具20を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱衣室と、浴室と、前記脱衣室と前記浴室の境に設置された間仕切り壁と、前記間仕切り壁の上側に設置された垂れ壁と、前記脱衣室において躯体天井の下方に配置された天井板とを備えたサニタリールームに設置される天井部支持装置であって、
前記脱衣室と前記浴室の境に沿って水平に延び前記天井板の側縁部上面に固定された支持桟と、前記躯体天井に支持されて垂下し前記垂れ壁を支持する複数の縦枠とを備え、
さらに、前記縦枠と前記支持桟を連結する連結金具を備えたことを特徴とするサニタリールームの天井部支持装置。
【請求項2】
前記連結金具が互いに直交する第1連結板部と第2連結板部を有し、
前記第1連結板部は、前記垂れ壁の下端部を貫く固定具により前記支持桟に固定され、
前記第2連結板部は、前記縦枠において前記境に沿う方向を向く側面に固定されることを特徴とする請求項1に記載のサニタリールームの天井部支持装置。
【請求項3】
前記支持桟が前記縦枠の下端部より低い位置に配置されており、
前記第1連結板部は、上下に長く延びその下端部が前記垂れ壁を介して前記支持桟に固定され、
前記第2連結板部は、前記第1連結板部より短くその上端部に連なり、前記縦枠の側面に固定されることを特徴とする請求項2に記載のサニタリールームの天井部支持装置。
【請求項4】
前記間仕切り壁の上端部が、前記天井板を貫く固定具により、前記支持残に固定されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のサニタリールームの天井部支持装置。
【請求項5】
脱衣室と、既設の旧ユニットバスを含む浴室と、前記脱衣室と前記浴室の境に設置された既設の旧間仕切り壁と、その上側の垂れ壁と、前記脱衣室において躯体天井の下方に配置された天井板と、天井部支持装置とを備え、
前記天井部支持装置が、前記脱衣室と前記浴室の境に沿って水平に延び前記天井板の側縁部上面に固定された支持桟と、前記躯体天井に支持されて垂下し前記垂れ壁を支持する複数の縦枠とを有するサニタリールームをリフォームする方法において、
前記垂れ壁と前記天井板と前記天井部支持装置を残して、前記旧間仕切り壁と前記旧ユニットバスを撤去する工程と、
前記支持装置の前記縦枠と前記支持桟とを連結金具で連結することにより、前記支持装置を補強する工程と、
新しいユニットバスを浴室に設置するとともに、新しい間仕切り壁を設置する工程と、
を備えたことを特徴とするサニタリールームのリフォーム方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サニタリールームにおける脱衣室と浴室の境の天井部に位置する支持装置、およびこの支持装置を補強する工程を含むサニタリールームのリフォーム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主としてコンクリート造の集合住宅のサニタリールームでは、脱衣室と浴室の境にドアを含む間仕切り壁と、その上側の垂れ壁が設置されている。脱衣室には躯体天井の下方に天井板が設けられ、この天井板により、躯体天井に沿う配管(例えば換気扇の排気管等)を隠している。浴室には箱型のユニットバスが設置されている。
【0003】
垂れ壁は、垂れ壁に沿って間隔をおいて配置されるとともに躯体天井から垂下した短尺の複数の縦枠に固定されている。脱衣室の天井板の側縁部(浴室側の側縁部)の上面には、脱衣室と浴室の境に沿って水平に延びる支持桟が固定されている。
【0004】
なお、特許文献1に示すように、老朽化等したユニットバスをリフォームする際、サニタリールームの浴室と脱衣室を仕切る間仕切り壁を撤去し、浴室からユニットバスを撤去した後、新ユニットバスを設置し、さらに、新しい間仕切り壁を設置することは公知である。特許文献1には、天井板を残したままリフォームすることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
垂れ壁を支持する縦枠は、ユニットバスとの干渉を避けるために長さに制約があり、特に天井板が低い場合には、垂れ壁が縦枠より下方に延びている。その場合、脱衣室の天井板の側縁部に固定された支持桟は、縦枠に直接固定することができず、垂れ壁の下端部にのみ固定される。そのため、天井板を強固に支持することができない。また、支持桟には必要に応じて間仕切り壁の上端部やユニットバスが連結されるが、これらを強固に支持することもできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明は、脱衣室と、浴室と、前記脱衣室と前記浴室の境に設置された間仕切り壁と、前記間仕切り壁の上側に設置された垂れ壁と、前記脱衣室において躯体天井の下方に配置された天井板とを備えたサニタリールームに設置される天井部支持装置であって、
前記脱衣室と前記浴室の境に沿って水平に延び前記天井板の側縁部上面に固定された支持桟と、前記躯体天井に支持されて垂下し前記垂れ壁を支持する複数の縦枠とを備え、さらに、前記縦枠と前記支持桟を連結する連結金具を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、支持桟が連結金具を介して縦枠に連結されるので、支持桟を強固に支持することができ、ひいては天井板の支持強度を高めることができる。
【0008】
好ましくは、前記連結金具が互いに直交する第1連結板部と第2連結板部を有し、前記第1連結板部は、前記垂れ壁の下端部を貫く固定具により前記支持桟に固定され、前記第2連結板部は、前記縦枠において前記境に沿う方向を向く側面に固定される。
上記構成によれば、簡単な形状の連結金具で支持桟を縦枠に強固に固定できる。
【0009】
好ましくは、前記支持桟が前記縦枠の下端部より低い位置に配置されており、前記第1連結板部は、上下に長く延びその下端部が前記垂れ壁を介して前記支持桟に固定され、前記第2連結板部は、前記第1連結板部より短くその上端部に連なり、前記縦枠の側面に固定される。
上記構成によれば、天井板と支持桟が前記縦枠の下端部より低い位置に配置されていても、縦枠と支持桟を確実に連結することができる。また、第2連結板部は縦枠の下方から突出しないか突出量を小さくすることができる。
【0010】
好ましくは、前記間仕切り壁の上端部が、前記天井板を貫く固定具により、前記支持残に固定される。
上記構成によれば、間仕切り壁の支持強度を高めることができる。
【0011】
本発明の他の態様は、脱衣室と、既設の旧ユニットバスを含む浴室と、前記脱衣室と前記浴室の境に設置された既設の旧間仕切り壁と、その上側の垂れ壁と、前記脱衣室において躯体天井の下方に配置された天井板と、天井部支持装置とを備え、前記天井部支持装置が、前記脱衣室と前記浴室の境に沿って水平に延び前記天井板の側縁部上面に固定された支持桟と、前記躯体天井に支持されて垂下し前記垂れ壁を支持する複数の縦枠とを有するサニタリールームをリフォームする方法において、
前記垂れ壁と前記天井板と前記天井部支持装置を残して、前記旧間仕切り壁と前記旧ユニットバスを撤去する工程と、前記支持装置の前記縦枠と前記支持桟とを連結金具で連結することにより、前記支持装置を補強する工程と、新しいユニットバスを浴室に設置するとともに、新しい間仕切り壁を設置する工程と、を備えている。
上記方法によれば、サニタリールームをリフォームする過程において、天井部支持装置を補強することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、天井部支持装置の支持強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るリフォーム後のサニタリールームの天井部支持装置を示す断面図である。
【
図2】同天井部支持装置を浴室側から見た図である。
【
図3】同天井部支持装置で用いられる連結金具を示す斜視図である。
【
図4】天井部支持装置の変形例を示す
図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1、
図2は、コンクリート造の集合住宅におけるリフォーム後のサニタリールームの天井部を示している。
<リフォーム前のサニタリールームについて>
リフォーム前のサニタリールームを簡単に説明する。サニタリールームは脱衣室1と浴室2とを有している。本実施形態では、換気扇の排気管等の配管4が脱衣室1と浴室2の上部を通るように躯体天井3に沿って延びている。脱衣室1と浴室2の境には、間仕切り壁(旧間仕切り壁は図示せず)が設置されるとともに、その上側には垂れ壁5が配置されている。配管4は垂れ壁5を貫通している。浴室2には、ユニットバス(旧ユニットバスは図示せず)が設置されている。脱衣室1には天井板6が設けられている。この天井板6により、上記躯体天井3および配管4が隠されている。
【0015】
次に天井部支持装置10について説明する。天井部支持装置10は、躯体天井1に固定され脱衣室1と浴室2の境に沿って延びる横枠11と、この横枠11の長手方向に間隔をおいて配された短尺の複数の縦枠12とを有している。縦枠11は横枠11の下面に固定され、垂直に下方に延びている。垂れ壁5は浴室2側の面を縦枠12に当てた状態で、縦枠12に固定されている。必要に応じて縦枠12には水平に延びる補助枠13(
図1にのみ示す)が掛け渡されている。
【0016】
天井部支持装置10は、さらに脱衣室1と浴室2の境に沿って水平に延びる支持桟15を有している。この支持桟15は、天井板6の側縁部(脱衣室1と浴室2の境界に沿う側縁部)の上面に固定されている。この支持桟15は垂れ壁5の下縁部の脱衣室1側の面にあてがわれこの垂れ壁5に固定されている。
【0017】
図1に示すように天井板6が低い場合には、それに応じて垂れ壁5が下方に延びるが、縦枠12はユニットバスとの干渉を回避するため、長さに制限がある。その結果、支持桟15および天井板6は、縦枠12の下端部より低い位置になる。この場合、支持桟15は縦枠12に直接固定することができず、垂れ壁5を介してのみ縦枠12に固定される。この場合、支持桟15は強固に支持されず、天井板6の側縁部の支持強度も低い。また、支持桟15には間仕切り壁やユニットバスが連結されるが、支持桟15自体の支持強度が低いので、間仕切り壁やユニットバスの支持強度も低い。
【0018】
次に、上記構成をなす既存のサニタリールームのリフォーム方法を説明する。
<撤去工程>
旧間仕切り壁を撤去し、旧ユニットバスを撤去する。垂れ壁5、脱衣室1の天井板6、天井部支持装置10は撤去せずに残す。
【0019】
<天井部支持装置の補強工程>
次に、天井部支持装置10を、連結金具20を用いて補強する。この連結金具20は
図3に示すように、直角をなして連なる平板形状の第1連結板部21と第2連結板部22とを有している。第1連結板部22は上下に長く延びており、第2連結板部21は第1連結板部22より上下方向の寸法が短く、第1連結板部21の上端部に連なっている。第1連結板部21の下端部には貫通穴21aが形成されており、第2連結板部22にも貫通穴22aが形成されている。
【0020】
第1連結板部21の下端を垂れ壁5の下端縁および天井板6の下面に合わせるとともに、第1連結板部21を垂れ壁5の浴室2側の面に当て、第2連結板部21を縦枠12の側面(脱衣室1と浴室2の境に沿う方向を向く側面)に当てる。この位置決め状態で、木ネジ25(固定具)を第1連結板部21の貫通穴21aに通し、垂れ壁5にねじ込み、さらに支持板15にねじ込むことにより、第1連結板部21の下端部を垂れ壁5を介して支持桟15に固定する。また、木ネジ26(固定具)を第2連結板部21の貫通穴22aに通して建枠12にねじ込むことにより、第2連結板部22を縦枠12に固定する。
【0021】
第2連結板部22は第1連結板部21より上下寸法が短く、縦枠12の下端より上方に位置しており、縦枠12の下方に延びてユニットバス30等の構造体と干渉しない。
【0022】
図2に示すように、上記連結金具20は縦枠12の一方の側面だけに設けてもよいし両方の側面に設けてもよい。また、すべての縦枠12に設けてもよいし、選択された複数の縦枠12に設けてもよい。
【0023】
上述したように、支持桟15は、連結金具20を介して縦枠12に固定されるので、強固に支持される。その結果、支持材15に固定された天井版6の側縁部の支持強度も高めることができる。
【0024】
<新しいユニットバスおよび間仕切り壁の設置>
最後に、新しいユニットバス30(
図1において一部のみ示す)を浴室2に設置し、脱衣室1と浴室2の境に、新しい間仕切り壁40(
図1において上端部のみを)を設置する。
【0025】
間仕切り壁40の上端部(上枠や方立の上端部を含む)は、支持桟15に支持される。以下、詳述する。
図1に示すように、天井板6と間仕切り壁40の上端部との間に広い隙間がある場合には、水平に延びる細長い補助桟45およびL形ブラケット46を用いる。詳しくは、補助桟45を天井板6の下面に当て、木ネジ47(固定具)で補助桟45を天井板6および支持桟15に固定する。そして、L形ブラケット46の水平片を間仕切り壁40に固定し、垂直片を補助桟45に固定する。一方、ユニットバス30の脱衣室1側の側縁は、連結部材35およびL形ブラケット46、補助桟45.天井板6を介して支持桟15に支持される。
【0026】
天井板6と間仕切り壁40の上縁部との間の隙間が
図1より狭い場合には、L形ブラケットを用いず、この隙間に補助桟をスペーサとして介在させ、このスペーサと天井板6を貫く木ネジで間仕切り壁40の上端部と天井板6および支持桟15を連結してもよい。
【0027】
図4に示すように天井板6がさらに低い位置にあり、天井板6と間仕切り壁40の上縁部との間の隙間がない場合には、補助桟を介さず、間仕切り壁40の上端部を天井板6に当て、木ネジ47で間仕切り壁40の上端部と支持桟15を連結してもよい。
連結金具20の第2連結板部22の下端は建枠12の下端と略一致するが、わずかであれば下方に突出してもよい。
【0028】
上述したように、支持桟15が縦枠12に連結金具20を介して強固に固定されているので、天井板6の支持強度を高めることができ、例えば新しい間仕切り壁40を設置する際に間仕切り壁40により突き上げられても、天井板6が割れる等の損傷を受けるのを防止することができる。また、間仕切り壁40及びユニットバス30の支持強度も高めることができる。特に縦枠12が垂れ壁5の下端まで延びていなくても、支持強度を高めることができる。
【0029】
本発明は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
上記実施形態では、リフォームの工程において天井部支持装置を連結金具により補強して、本願発明の天井部支持装置を得たが、新築で住宅のサニタリールームを作る際に、連結金具を含む天井部支持装置を構築してもよい。浴室は浴槽を有する室に限らず、シャワー室をも含む。ユニットバスは、浴槽を有さずシャワー設備だけを有するものであってもよい。脱衣室は、脱衣を主目的とする室に限られず、浴室と隣接する室であればどのような目的の室であってもよく、洗面室を含む。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、サニタリールームの天井部支持装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 脱衣室
2 浴室
3 躯体天井
5 垂れ壁
6 天井板
10 天井部支持装置
12 縦枠
15 支持桟
20 連結金具
21 第1連結板部
22 第2連結板部
25、26 木ネジ(固定具)
30 ユニットバス
40 間仕切り壁