(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150161
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】投薬対象者管理システム、管理方法、管理制御装置、端末装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20220929BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
G16H20/10
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052634
(22)【出願日】2021-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】常川 聡
(72)【発明者】
【氏名】小長谷 隆人
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 陽一
(72)【発明者】
【氏名】泉 博明
(72)【発明者】
【氏名】田畑 雅章
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】薬剤の投与を受けたより広範囲の投薬対象者について投薬後の状態の管理を可能にする。
【解決手段】管理制御装置において、投薬対象者が使用する端末装置から、投薬対象者が投薬後に任意に入力した投薬後情報と、指定された報告項目について入力した投薬後情報を、それぞれ投薬者手帳情報および薬剤管理者への報告情報として取得して管理する。そして、これらの投薬者手帳情報および薬剤管理者への報告情報を選択的に使用することで、投薬対象者の投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬対象者が使用する端末装置と、当該端末装置との間でネットワークを介して情報データの伝送が可能な管理制御装置とを具備し、前記投薬対象者の投薬後の状態を管理する投薬対象者管理システムであって、
前記端末装置は、
任意の項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第1の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する第1の送信処理部と、
予め指定された報告項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第2の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する第2の送信処理部と
を備え、
前記管理制御装置は、
前記投薬対象者に対応して投薬者手帳情報を記憶するための記憶領域が設定される第1の記憶部と、
前記投薬対象者に対応して薬剤管理者向けの報告情報を記憶するための記憶領域が設定される第2の記憶部と、
前記端末装置から前記第1の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第1の投薬管理情報を前記投薬対象者の識別情報と対応付け、前記投薬者手帳情報として前記第1の記憶部に記憶させる第1の取得処理部と、
前記端末装置から前記第2の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第2の投薬管理情報を前記投薬対象者の前記識別情報と対応付け、前記報告情報として前記第2の記憶部に記憶させる第2の取得処理部と、
記憶された前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に使用して、前記投薬対象者に対する前記投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する投薬後対応処理部と
を備える投薬対象者管理システム。
【請求項2】
投薬対象者が使用する端末装置との間でネットワークを介して情報データの伝送が可能であり前記投薬対象者の投薬後の状態を管理する管理制御装置であって、
前記投薬対象者に対応して投薬者手帳情報を記憶するための記憶領域が設定される第1の記憶部と、
前記投薬対象者に対応して薬剤管理者向けの報告情報を記憶するための記憶領域が設定される第2の記憶部と、
任意の項目について作成された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第1の投薬管理情報を、前記端末装置から前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第1の投薬管理情報を前記投薬対象者の識別情報と対応付け、前記投薬者手帳情報として前記第1の記憶部に記憶させる第1の取得処理部と、
予め指定された報告項目について作成された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第2の投薬管理情報を、前記端末装置から前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第2の投薬管理情報を前記投薬対象者の前記識別情報と対応付け、前記報告情報として前記第2の記憶部に記憶させる第2の取得処理部と、
記憶された前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に使用して、前記投薬対象者に対する前記投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する投薬後対応処理部と
を具備する管理制御装置。
【請求項3】
前記投薬対象者について前記第2の投薬管理情報の報告に同意するか否かを確認する同意確認処理部を、さらに具備し、
前記第2の記憶部は、前記投薬対象者のうち前記第2の投薬管理情報の報告に同意した前記投薬対象者に対応して前記報告情報の記憶領域を設定する、請求項2に記載の管理制御装置。
【請求項4】
前記投薬後対応処理部は、前記第2の投薬管理情報が新たに取得されたとき、または取得された前記第2の投薬管理情報に前記投薬対象者の所定の状態変化が疑われる内容が含まれている場合に、取得された前記第2の投薬管理情報を前記薬剤管理者に転送する処理を行う、請求項2に記載の管理制御装置。
【請求項5】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に医療機関に転送し、前記端末装置と前記医療機関との間にオンライン診療のための通信リンクを設定する処理を行う、請求項2に記載の管理制御装置。
【請求項6】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報に基づいて前記医療機関を選択する、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項7】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報の各登録日時に基づいて投薬管理情報を選択し、選択された前記投薬管理情報を前記医療機関に転送する、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項8】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報に対し前記第2の投薬管理情報との差分を追加した第3の投薬管理情報を生成し、生成された前記第3の投薬管理情報を前記医療機関に転送する、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項9】
前記投薬後対応処理部は、前記オンライン診療の診療結果を表す情報を前記医療機関から取得し、取得された前記診療結果を表す情報を対応する前記第1の投薬管理情報に追加登録する処理を行う、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項10】
請求項2に記載の管理制御装置との間で前記ネットワークを介して情報データの伝送が可能な、前記投薬対象者が使用する端末装置であって、
任意の項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む前記第1の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する第1の送信処理部と、
予め指定された報告項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む前記第2の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する第2の送信処理部と
を具備する端末装置。
【請求項11】
投薬対象者が使用する端末装置と、当該端末装置との間でネットワークを介して情報データの伝送が可能な管理制御装置とを具備し、前記管理制御装置が前記投薬対象者に対応して投薬者手帳情報の記憶領域が設定される第1の記憶部と、前記投薬対象者に対応して薬剤管理者向けの報告情報を記憶するための記憶領域が設定される第2の記憶部とを備えるシステムが実行する投薬対象者管理方法であって、
前記端末装置が、
任意の項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第1の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する過程と、
予め指定された報告項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第2の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する過程と
を実行し、
前記管理制御装置が、
前記端末装置から前記第1の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第1の投薬管理情報を前記投薬対象者の識別情報と対応付けた状態で、前記投薬者手帳情報として前記第1の記憶部に記憶させる過程と、
前記端末装置から前記第2の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第2の投薬管理情報を前記投薬対象者の前記識別情報と対応付けた状態で、前記報告情報として前記第2の記憶部に記憶させる過程と、
記憶された前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に使用して、前記投薬対象者に対する前記投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する過程と
を実行する投薬対象者管理方法。
【請求項12】
請求項2乃至9のいずれかに記載の管理制御装置が備える前記各処理部の処理を、前記管理制御装置が備えるハードウェアプロセッサに実行させるプログラム。
【請求項13】
請求項10に記載の端末装置が備える前記各処理部の処理を、前記端末装置が備えるハードウェアプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一態様は、例えば投薬を受けた患者の状態の管理する投薬対象者管理システム、管理方法、管理制御装置、端末装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療または医薬の分野では、投薬後の患者の状態を追跡調査するいわゆる治験が行われる。従来の治験は、例えば入院患者または通院患者を対象とし、治験コーディネータが上記患者のカルテ等をもとに治験対象者を抽出して実施するのが一般的である。このため、治験対象者の抽出作業に多くの手間と時間が掛かり、また本来対象とすべき患者の抽出漏れが発生しやすいという課題があった。
【0003】
そこで、入院患者または通院患者の処方箋および調剤情報をデータベースに登録し、情報処理装置により、登録された上記処方箋および調剤情報を予め設定された治験基準を示す治験情報とデータ照合することで、治験対象者をスクリーニングして治験適合患者のデータベースを構築するシステムが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記提案システムでは、治験対象が入院患者や通院患者のようにカルテまたは処方箋等の診療情報が医療機関または薬局等で管理されている患者に限定されるため、治験数が少数になり、より広範囲の患者群から治験対象を抽出できないという課題がある。
【0006】
特に、例えばワクチン接種者を対象に接種後の追跡調査を行おうとした場合、接種者の中には健常者が多く含まれ、これらの接種者については医療機関または薬局等でカルテまたは処方箋等の診療情報が管理されていないことが多いため、上記提案システムでは接種後の患者に対する追跡調査等の管理を行うことが困難である。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、一側面では、薬剤の投与を受けたより広範囲の投薬対象者について投薬後の状態の管理を可能にする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためにこの発明の一態様は、投薬対象者が使用する端末装置と、当該端末装置との間でネットワークを介して情報データの伝送が可能な管理制御装置とを具備し、前記投薬対象者の投薬後の状態を管理する投薬対象者管理システムに関するものである。
【0009】
前記端末装置は、任意の項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第1の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する機能と、予め指定された報告項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第2の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する機能とを備える。
【0010】
これに対し、前記管理制御装置は、前記投薬対象者に対応して投薬者手帳情報を記憶するための記憶領域が設定される第1の記憶部と、前記投薬対象者に対応して薬剤管理者への報告情報を記憶するための記憶領域が設定される第2の記憶部とを備える。前記管理制御装置は、さらに前記端末装置から前記第1の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第1の投薬管理情報を前記投薬対象者の識別情報と対応付け、前記投薬者手帳情報として前記第1の記憶部に記憶させる第1の取得処理部と、前記端末装置から前記第2の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第2の投薬管理情報を前記投薬対象者の前記識別情報と対応付け、前記報告情報として前記第2の記憶部に記憶させる第2の取得処理部と、記憶された前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に使用して、前記投薬対象者に対する前記投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する投薬後対応処理部とを備えるようにしたものである。
【0011】
この発明の一態様によれば、管理制御装置において、投薬対象者が投薬後に任意に入力した投薬後情報と、指定された報告項目について入力した投薬後情報が、それぞれ投薬者手帳情報および薬剤管理者への報告情報として端末装置から取得されて管理され、これらの投薬者手帳情報および薬剤管理者への報告情報が選択的に使用されて、投薬対象者の投薬後の状態変化に応じた対応処理が実行される。
【0012】
従って、例えば医療機関等においてカルテ等が管理されていない投薬対象者についても、投薬対象者の端末装置を使用することで投薬後の情報を管理制御装置で収集し管理することが可能となる。このため、より広範囲の投薬対象者についてその接種後の状態を管理することが可能となる。また、投薬者手帳情報と薬剤管理者への報告情報とを選択的に使用して、投薬対象者の投薬後の状態変化に対応することで、両情報の性質を考慮した適切な対応処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
すなわちこの発明の一態様によれば、一側面では、薬剤が投与されたより広範囲の投薬対象者について投薬後の状態を管理することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る投薬対象者管理システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、この発明の第1の実施形態に係る接種者端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した接種者端末のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、この発明の第1の実施形態に係る管理制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した管理制御装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図3に示した接種者端末により実行される、接種前から接種までの処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図3に示した接種者端末により実行される、接種後の処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図5に示した管理制御装置により実行される、接種前から接種時までの処理の手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図5に示した管理制御装置により実行される、接種後の処理の手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図9に示した処理手順のうちオンライン診療支援処理の手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図3に示した管理制御装置とその周辺システムおよび接種者端末との間における、接種前から接種時までの情報データの流れを示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、
図3に示した管理制御装置とその周辺システムおよび接種者端末との間における、接種後の情報データの流れを示すシーケンス図である。
【
図13】
図13は、
図3に示した管理制御装置とその周辺システムおよび接種者端末との間における、接種後のPMS報告を終了する場合の情報データの流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の第1の実施形態に係る投薬対象者管理システムの全体構成の一例を示す図で、PFはこのシステムの中核をなす管理制御装置を示している。なお、管理制御装置PFを以後プラットフォームとも云う。
【0017】
プラットフォームPFは、接種者が使用する接種者端末UT1~UTn(以後まとめてUTと称する)との間で、ネットワークNWを介してデータ伝送が可能となっている。さらにプラットフォームPFは、医療機関が運用するシステムHS、製薬会社が運用するシステムPS、および自治体等の行政機関が運用するシステムGSとの間でも、ネットワークNWを介してそれぞれデータ伝送が可能となっている。
【0018】
医療機関が運用するシステムHS、製薬会社が運用するシステムPS、および行政機関が運用するシステムGSは、いずれもデータベースを有するサーバコンピュータと、それぞれのシステムの管理担当者等が使用する管理用端末とを備える。医療機関や製薬会社および行政機関の各担当者は、それぞれ上記管理用端末を使用してプラットフォームPFとの間或いは接種者端末UTとの間で情報データの送受信を行う。
【0019】
ネットワークNWは、例えばインターネットを中核とする広域網と、この広域網にアクセスするためのアクセス網とを備える。アクセス網としては、例えば、有線または無線を使用する公衆通信ネットワーク、有線または無線を使用するLAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)ネットワークが使用される。
【0020】
(2)装置
(2-1)接種者端末UT
図2および
図3は、それぞれ接種者端末UTのハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
接種者端末UTは、例えばブラウザ、電子メールやSNS(Social Network System)、SMS(Short Message Service)等を使用して情報データを転送するための通信用アプリケーションを備える汎用のスマートフォンからなる。なお、接種者端末UTとしては、同様の機能を備えるものであれば、他にタブレット型端末やノート型のパーソナルコンピュータ等が用いられてもよい。
【0022】
接種者端末UTは、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを使用した制御部1Bを備える。そして、この制御部1Bに対し、プログラム記憶部2Bおよびデータ記憶部3Bを有する記憶ユニットと、通信インタフェース(以後インタフェースをI/Fと称する)4B、および入出力I/F5Bを接続したものとなっている。
【0023】
通信I/F4Bは、制御部1Bの制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、プラットフォームPFとの間でデータ伝送を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0024】
入出力I/F5Bには、入出力デバイス6Bおよびカメラ7Bが接続される。入出力デバイス6Bは、例えば液晶又は有機ELを使用する表示部61Bの表示画面上に、感圧式または静電容量式のタッチ式入力シートを使用する入力部62Bを重ねて配置したものである。なお、入出力デバイス6Bとしては、キーボードやマウス等のその他のデバイスが使用されてもよい。
【0025】
入力部62Bは、通常の端末操作の他、接種者が、例えば接種者の基本情報や同意情報、問診情報、接種後の自身の状態を示す情報を入力するために使用される。このうち基本情報は、接種者の名前や年齢、住所、連絡先情報等の属性情報を含む。接種後の状態を示す情報には、接種者が後述する接種者手帳に登録するための自身の体調等を表す任意の情報と、製薬会社からの薬剤製造販売後調査(Post Marketing Surveillance:PMS)の実施依頼に対し、その指定された項目について接種者が自身の接種後の状態を報告する情報とが含まれる。
【0026】
表示部61Bは、通常の端末操作に必要な各種情報に加え、入力された上記各情報データや、製薬会社または行政機関から配信されるワクチン情報、PMS実施のためのEラーニングの画像情報、オンライン診療において医師端末から送られる画像データ等を表示するために使用される。
【0027】
カメラ7Bは、例えば、接種者に対し接種前に自治体等の行政機関から送られる接種券に記載された情報や、予防接種法に基づき国が行うワクチン接種事業においては接種会場で医療従事者等から発行される接種証明シールもしくは接種済証明書に記載された情報を、光学的に読み取る際に使用される。接種券および接種証明シールに記載された情報は、例えばバーコードまたはQRコード(登録商標)等のコードデータにより表されることが多く、一方接種済証明書は接種者が情報を直接確認できるように平文により記載されることが多い。なお、上記同意情報や問診情報がシートに記載されている場合、上記カメラ7Bは上記同意情報および問診情報を光学的に読取るために使用されてもよい。
【0028】
その他、入出力I/F5Bには、接種者の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)センサや、接種者の体温や血圧、心拍数等の生体情報を測定するバイタルセンサが接続されていてもよい。
【0029】
プログラム記憶部2Bは、例えば、記憶媒体としてSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なアプリケーション・プログラムを格納する。なお、以後OSと各アプリケーション・プログラムとをまとめてプログラムと称する。
【0030】
データ記憶部3Bは、例えば、記憶媒体として、SSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、プラットフォームPFから受信された情報データや接種者が入力した各種情報データ等を保存するために使用される。
【0031】
制御部1Bは、この発明に関係する処理機能として、認証・同意要求処理部11Bと、接種者手帳登録処理部12Bと、PMS同意登録処理部13Bと、PMS接種者情報登録処理部14Bと、オンライン診療要求/応答処理部15Bとを備える。これらの処理部11B~15Bは、何れもプログラム記憶部2Bに格納されたプログラムを制御部1Bのハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0032】
認証・同意要求処理部11Bは、プラットフォームPFに対し接種者端末UTの利用登録を行う際に、プラットフォームPFとの間で各種認証手順および同意手順を実行する。
【0033】
接種者手帳登録処理部12Bは、接種者が入力部62Bにおいて入力する、接種者の基本情報、接種券の記載情報、問診情報、接種証明シールまたは接種済証明書の記載情報、および接種者の接種後の状態等を任意に表す接種後情報を入出力I/F5Bを介して取り込む。そして、取り込まれた上記各情報データを、プラットフォームPF内に設けられる接種者手帳記憶部に登録するべく、通信I/F4BからプラットフォームPFへ送信する処理を行う。
【0034】
PMS同意登録処理部13Bは、製薬会社システムPSからプラットフォームPFを介してPMSへの協力依頼および実施依頼が送られた場合に、これらの依頼に対し接種者が入力した同意の有無を表す情報を、通信I/F4BからプラットフォームPFに対し返信する処理を行う。
【0035】
PMS接種者情報登録処理部14Bは、製薬会社システムPSから事前に送られるPMSの指定項目に従い、接種者が入力部62Bにより入力した自身の接種後の状態を表すPMS報告情報を入出力I/F5Bを介して取り込む。そして、取り込まれた上記PMS報告情報をプラットフォームPFのPMS接種者情報記憶部に登録するべく、通信I/F4BからプラットフォームPFへ送信する処理を行う。
【0036】
オンライン診療要求/応答処理部15Bは、接種者がオンライン診療の受診要求を入力した場合に、プラットフォームPFに対しオンライン診療の実施要求を通信I/F4Bから送信する。そして、医師端末との間がオンライン診療のための通信リンクにより接続されると、オンライン診療のための画像データおよび音声データ等の情報の送受信制御を行う。
【0037】
(2-2)プラットフォームPF
図4および
図5は、それぞれプラットフォームPFのハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
プラットフォームPFは、例えばクラウドに設けられるサーバコンピュータからなり、CPU等のハードウェアプロセッサを使用した制御部1Aを備える。そして、この制御部1Aに対し、バスを介して、プログラム記憶部2Aおよびデータ記憶部3Aを有する記憶ユニットと、通信I/F4Aを接続したものとなっている。なお、この例ではプラットフォームPFを1台のサーバコンピュータにより実現する場合を例にとって説明するが、プラットフォームPFは複数のサーバコンピュータにより複数の機能を分散処理するように構成されてもよい。
【0039】
通信I/F4Aは、制御部1Aの制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、接種者端末UT、行政機関システムGS、製薬会社システムPSおよび医療機関システムHSとの間で、それぞれ情報データの送受信を行う。
【0040】
プログラム記憶部2Aは、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS等のミドルウェアに加えて、この発明の第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0041】
データ記憶部3Aは、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の第1の実施形態の実施に必要な主たる記憶部として、認証・同意情報記憶部31Aと、接種者手帳記憶部32Aと、PMS接種者情報記憶部33Aとを備えている。
【0042】
認証・同意情報記憶部31Aは、接種者端末UTとの間で行われる認証手順および同意手順により生成または受信された各種認証情報および同意情報を保存するために使用される。認証情報には、接種者が例えば通信キャリアやSNSを利用するために有しているアカウント(個人ID)や、接種者がプラットフォームPFを利用するために使用する接種者IDが含まれ、これらのIDは相互に連携が可能になるように保存される。
【0043】
接種者手帳記憶部32Aは、接種者端末UTから送られる、接種者の基本情報、接種券の記載情報、問診情報、接種証明シールまたは接種済証明書の記載情報、および接種後の体調等を示す任意の情報を記憶するために使用される。
【0044】
PMS接種者情報記憶部33Aは、PMSへの協力依頼に対し同意した各接種者にそれぞれ対応して用意されるPMS情報記憶領域を有し、このPMS情報記憶領域に、対応する接種者から送られたPMS報告情報を記憶するために使用される。
【0045】
制御部1Aは、この発明の第1の実施形態を実施するために必要な主たる処理機能として、認証・同意管理処理部11Aと、接種者手帳管理処理部12Aと、PMS同意確認処理部13Aと、PMS接種者情報管理処理部14Aと、PMS接種者情報報告処理部15Aと、オンライン診療支援処理部16Aとを備えている。これらの処理部11A~16Aは、何れもプログラム記憶部2Aに格納されたプログラムを制御部1Aのハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0046】
認証・同意管理処理部11Aは、接種者端末UTとの間で接種者がプラットフォームPFを利用するために必要な各種認証手順および同意手順を実行する。認証手順には、例えば接種者が接種者手帳を利用するためのアカウントの設定や、接種者手帳のその後の利用に必要な認証情報の生成が含まれる。なお、接種者の本人認証のために、公的個人認証サービス(JPKI)が利用されてもよい。同意手順には、プラットフォームPFの利用規約に対する接種者の同意確認に加えて、製薬会社や自治体等の行政機関に対する接種者の接種者手帳の情報等の提供に対する同意確認、接種者に対する製薬会社や行政機関によるワクチン情報等の配信に対する同意確認が含まれる。
【0047】
接種者手帳管理処理部12Aは、接種者端末UTから送られる、接種者の基本情報、接種券の記載情報、問診情報、接種証明シールまたは接種済証明書の記載情報、および接種後の体調等を示す任意の情報を、通信I/F4Aを介して受信する。そして、受信された上記各情報データを接種者手帳記憶部32A内の上記要求元の接種者に対応する接種者手帳記憶領域に、接種者IDと紐付けて記憶させる処理を行う。
【0048】
PMS同意確認処理部13Aは、製薬会社システムPSから送られる接種者に対するPMS協力依頼およびPMS実施依頼に対し、接種者端末UTとの間で上記PMS協力依頼およびPMS実施依頼に対する同意を確認する処理を行う。
【0049】
PMS接種者情報管理処理部14Aは、PMSの協力依頼および実施依頼に対し同意した各接種者について、PMS接種者情報記憶部33AにPMS報告情報の記憶領域をそれぞれ設定する。そして、以後接種者端末UTからPMS報告情報が送られた場合に、この報告情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された上記PMS報告情報をPMS接種者情報記憶部33A内の上記接種者に対応するPMS報告情報の記憶領域に記憶させる処理を行う。
【0050】
PMS接種者情報報告処理部15Aは、例えば、上記接種者端末UTから新たなPMS報告情報が送られる毎に、或いはPMS報告情報に副反応が疑われる情報が含まれている場合に、上記PMS報告情報を上記PMS接種者情報記憶部33Aの対応する記憶領域から読み出し、読み出されたPMS報告情報を通信I/F4Aから製薬会社システムPSへ送信する処理を行う。
【0051】
オンライン診療支援処理部16Aは、接種者端末UTから接種後の健康相談の要求或いはオンライン診療の受診要求が送られた場合に、オンライン診療に対応している医療機関を選択する。そして、選択された医療機関の医師端末と要求元の接種者端末との間を通信リンクにより接続し、オンライン診療のための情報データの伝送を可能にする。この処理の一例は動作例において説明する。
【0052】
(動作例)
次に、以上のように構成されたプラットフォームPFを含むシステムの動作例を説明する。
【0053】
(1)接種前および接種時の処理
図6は接種者端末UTの制御部1Bによる接種前から接種時までの処理手順と処理内容を示すフローチャート、
図8はプラットフォームPFの制御部1Aによる接種前から接種時までの処理手順と処理内容を示すフローチャートである。また、
図11はプラットフォームPFとその周辺システムおよび接種者端末UTとの間における、接種前から接種時までの一連の情報データの流れを示すシーケンス図である。
【0054】
(1-1)接種者端末UTの初期設定
ワクチン接種に先立ち、接種者が接種者端末UTからプラットフォームPFに対しアクセスすると、以後接種者端末UTとプラットフォームPFとの間では、以下のように認証情報等の初期設定が行われる。
【0055】
すなわち、接種者端末UTの制御部1Bは、
図6に示すようにステップS10において接種者による初期設定要求の入力を検知すると、認証・同意要求処理部11Bの制御の下、接種者が使用する通信事業者またはSNSのアカウントを使用して、プラットフォームPFに対しアカウントの初期設定を要求する。
【0056】
プラットフォームPFの制御部1Aは、認証・同意管理処理部11Aの制御の下、上記アカウントの初期設定の要求を
図8に示すようにステップS40により受信すると、認証・同意管理処理部11Aは、先ずステップS41において、要求元の接種者端末UTとの間で認証手順を実行して認証情報を認証・同意情報記憶部31Aに記憶する。続いてステップS42において、要求元の接種者がプラットフォームPFの接種者手帳を使用するためのアカウントを生成する。このアカウント生成処理では、要求元の接種者に対し接種者の固有識別情報(接種者ID)が発行されると共に、接種者手帳記憶部32Aに要求元の接種者が専用に使用する接種者手帳記憶領域が設定される。そして、上記接種者IDと接種者が使用する上記通信事業者またはSNSのアカウントとのID連携を行う。なお、上記認証手順では、接種者の本人認証のために公的個人認証サービス(JPKI)が利用されてもよい。
【0057】
次に、接種者端末UTとプラットフォームPFとの間では、認証・同意要求処理部11Bおよび認証・同意管理処理部11Aの制御の下、同意手順が実行される。同意手順では、例えば、プラットフォームPFの利用規約に対する接種者の同意情報に加え、製薬会社や行政機関に対する接種者の接種者手帳情報等の提供に対する同意情報、接種者に対する製薬会社や行政機関によるワクチン情報等の配信に対する同意情報がそれぞれ設定される。上記同意手順において設定された各同意情報は、ステップS43により認証・同意情報記憶部31Aに保存される。
【0058】
上記同意手順が終了すると、プラットフォームPFの認証・同意管理処理部11Aは、上記接種者手帳情報等の提供およびワクチン情報等の配信に同意した接種者を示す情報を、通信I/F4Bから製薬会社システムPSおよび行政機関システムGSに通知する。製薬会社および行政機関は、プラットフォームPFから通知された、上記情報提供および情報配信に対し同意した接種者を示す情報を接種者リストに登録する。
【0059】
(1-2)基本情報の登録
上記認証・同意手順の終了後、接種者は、ワクチンを接種する前に、接種者端末UTからプラットフォームPFに対し接種者の基本情報を登録する。例えば、接種者端末UTの制御部1Bは、ステップS12において基本情報の登録要求の入力を検知すると、ステップS13により、接種者が入力部62Bにより入力した基本情報をプラットフォームPFへ送信する。
【0060】
これに対し、プラットフォームPFの制御部1Aは、ステップS44により基本情報の登録要求を受信すると、接種者手帳管理処理部12Aの制御の下、ステップS45において、接種者端末UTから送信された上記基本情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された基本情報を接種者手帳記憶部32A内の、要求元の接種者に対応する接種者手帳記憶領域に記憶させる。なお、基本情報には、接種者の属性を示す情報、例えば氏名や年齢、住所、電話番号やメールアドレス等の連絡先情報が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0061】
(1-3)接種券・問診票の登録
接種者は、続いて、接種前に自治体等から郵送される接種券の記載情報、および接種者自身が作成した問診票の記載情報を、プラットフォームPFの接種者手帳に登録する処理を行う。
【0062】
例えば、接種者端末UTの制御部1Bは、接種者手帳登録処理部12Bの制御の下、ステップS14により登録要求を検知すると、ステップS15において、上記接種券および問診票の各記載情報を例えばカメラ7Bにより光学的に読み取り、読み取られた画像データから記載情報を解読する。そして、解読された上記接種券および問診票の記載情報を、通信I/F4BからプラットフォームPFへ送信する。
【0063】
なお、接種券の記載情報がQRコード(登録商標)により表わされている場合には、このQRコードを読み取ることで接種券の記載情報を容易にかつ正確に入力することが可能となる。また、問診票の記載情報は、接種者自身が接種者端末UTの入力部62Bから手入力するようにしてもよく、また別途作成された問診情報を別の端末から信号ケーブルまたはBluetooth(登録商標)等の近距離無線インタフェースを介して読み込むようにしてもよい。
【0064】
これに対しプラットフォームPFの制御部1Aは、接種者手帳管理処理部12Aの制御の下、ステップS46により上記接種券・問診票の登録要求を受信すると、ステップS47において、接種者端末UTから送信された上記接種券および問診票の各記載情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された各情報を接種者手帳記憶部32A内の、上記要求元の接種者に対応する接種者手帳記憶領域に記憶させる。
【0065】
接種券には、例えば、自治体等の行政機関が管理する接種対象者の識別情報と、接種指定日時または期間、接種場所、接種ワクチンの種類等が記載されるが、これに限るものではない。また問診票には、例えば、接種者の接種直前の体温や、持病の有無、処方中の薬剤の種類、薬剤アレルギーの有無、妊娠の有無、過去の所定期間における体調変化等を示す情報が含まれるが、これに限るものではない。
【0066】
(1-4)ワクチン情報の配信
製薬会社または行政機関は、情報提供および情報配信に対し同意した接種者向けに、ワクチン接種に関する各種案内情報を配信する。配信する情報には、例えばワクチンの準備状況や接種時期や接種場所の案内情報、有害事象等の注意事項等が含まれるが、これに限らない。
【0067】
これに対しプラットフォームPFの制御部1Aは、ステップS48によりワクチン情報の配信要求を受信すると、接種者手帳管理処理部12Aの制御の下、ステップS49において、製薬会社システムPSまたは行政機関システムGSから送信された上記ワクチン情報を受信して、接種者手帳記憶部32A内の対応する接種者の接種者手帳記憶領域に記憶した後、当該ワクチン情報を接種者の対応する接種者端末UTへ転送する。この結果、接種者端末UTの表示部61Bには上記ワクチン情報が表示され、接種者は接種前に上記ワクチン情報からワクチン接種に関する注意事項や接種時期、接種予定場所等を確認することが可能となる。
【0068】
なお、接種者端末UTのアドレス情報等を、製薬会社システムPSおよび行政機関システムGSに通知することに接種者が同意している場合には、上記ワクチンに関する情報を、製薬会社システムPSまたは行政機関システムGSから接種者端末UTへ直接配信することも可能である。
【0069】
(1-5)接種済情報の登録
さて、接種者が医療機関等の接種会場においてワクチン接種を受けると、医療従事者等から接種者に対し接種証明シールまたは接種済証明書が発行される。接種証明シールまたは接種済証明書には、例えば、接種したワクチンの種類、製薬会社の識別情報(メーカID)およびロット番号が含まれるが、ほかに自治体等が管理する接種者識別番号、接種実施日時、接種会場名等が含まれていてもよい。
【0070】
接種者は、上記接種証明シールまたは接種済証明書の記載情報を自身の接種者端末UTに入力する。入力手段としては、例えばカメラ7Bによる光学的な読み取りが用いられる。すなわち、接種者端末UTの制御部1Bは、接種者手帳登録処理部12Bの制御の下、ステップS16により上記接種証明シールまたは接種済証明書の読取要求を検知すると、ステップS17においてカメラ7Bを起動して上記接種証明シールまたは接種済証明書の記載情報を光学的に読み取る。そして、読み取られた画像データから記載情報を解読し、解読された記載情報を接種済情報として通信I/F4BからプラットフォームPFに送信する。なお、接種証明シールの記載情報についても、QRコードにより表わすことができ、この場合には接種証明シールの記載情報を容易にかつ正確に入力することが可能である。
【0071】
これに対しプラットフォームPFの制御部1Aは、接種者手帳管理処理部12Aの制御の下、ステップS50により上記接種証明シールまたは接種済証明書から読み取った接種済情報の登録要求を受信すると、ステップS51において、接種者端末UTから送信された上記接種済情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された接種済情報を接種者手帳記憶部32A内の接種者に対応する接種者手帳記憶領域に記憶させる。
【0072】
なお、上記接種者手帳記憶部32Aに記憶された接種済情報は、プラットフォームPFから製薬会社システムPSまたは行政機関システムGSに通知される。その際、接種者が接種したワクチンの製造元が選択され、選択された製薬会社システムPSにのみ接種済情報が通知される。
【0073】
(1-6)PMS協力依頼に対する同意確認
製薬会社は、製薬会社システムPSから、接種済の接種者に対しPMSへの協力依頼を送信する。プラットフォームPFの制御部1Aは、ステップS52により上記PMS協力依頼を受信すると、PMS同意確認処理部13Aの制御の下、ステップS53において上記PMS協力依頼に対する接種者の同意確認処理を行う。
【0074】
例えば、PMS同意確認処理部13Aは、該当する接種者端末UTへ上記PMS協力依頼のメッセージを転送する。これに対し、接種者端末UTの制御部1Bは、PMS同意登録処理部13Bの制御の下、ステップS18により上記PMS協力依頼を受信すると、受信されたPMS協力依頼のメッセージを表示部61Bに表示させる。この状態で、接種者が上記PMS協力依頼に同意する旨を入力部62Bから入力すると、PMS同意登録処理部13Bは同意の有無をステップS19で確認し、同意であればステップS20において、PMS協力に対する同意情報を通信I/F4BからプラットフォームPFへ返送する。プラットフォームPFのPMS同意確認処理部13Aは、上記PMS協力に対する同意情報を受信すると、ステップS54により上記同意情報を依頼元の製薬会社システムPSへ転送する。
【0075】
(2)接種後の処理
図7は接種者端末UTの制御部1Bによる接種後の処理手順と処理内容を示すフローチャート、
図9および
図10はプラットフォームPFの制御部1Aによる接種後の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。また、
図12および
図13はプラットフォームPFとその周辺システムおよび接種者端末UTとの間における、接種後の一連の情報データの流れを示すシーケンス図である。
【0076】
(2-1)接種者手帳への接種後情報の登録
接種者は、接種後の自身の体調等を表す情報を、任意のフォーマットでかつ随時プラットフォームPFの接種者手帳に登録することが可能である。
【0077】
例えば、接種者が接種者手帳への登録要求を入力すると、接種者端末UTの制御部1Bは、上記登録要求の入力をステップS27により検知する。そして、接種者手帳登録処理部12Bの制御の下、ステップS28において、接種者が入力部62Bにおいて任意のフォーマットで入力した自身の接種後の体調等を表す情報を、入出力I/F5Bを介して取り込む。次に、取り込まれた上記接種後の体調等を表す情報を、その時点の時刻情報と共に、接種者手帳に登録するための接種後情報として通信I/F4BからプラットフォームPFへ送信する。なお、接種者端末UTにGPSセンサを用いた位置測定機能が備えられている場合には、接種者端末UTの現在位置情報を併せて上記接種後情報に含めるようにしてもよい。
【0078】
上記接種後情報は、接種者がその時々の体調変化等を任意のフォーマットで入力した情報であるが、不慣れな接種者向けに予め用意された複数の体調の種類の中から該当するものを選択した情報であってもよいし、自由文で入力された情報であってもよい。また、登録タイミングについても任意に選ぶことができる。例えば、体調変化を感じた時点でその都度その内容を登録することが可能である。
【0079】
これに対しプラットフォームPFの制御部1Aは、ステップS61により接種者端末UTから上記接種者手帳への接種後情報の登録要求を受信すると、接種者手帳管理処理部12Aの制御の下、ステップS62において、接種者端末UTから送信された上記接種後情報を通信I/F4Aを介して受信する。そして、受信された上記接種後情報を、接種者手帳記憶部32A内の、要求元の接種者に対応する接種者手帳記憶領域に、例えば時系列順に記憶させる。
【0080】
(2-2)PMS実施依頼に対する同意確認
製薬会社は、先にPMS協力依頼に対し同意した接種者に対し、製薬会社システムPSからPMS実施依頼を送信する。プラットフォームPFの制御部1Aは、ステップS55により上記PMS実施依頼を受信すると、PMS同意確認処理部13Aの制御の下、ステップS56において上記PMS実施依頼に対する接種者の同意確認処理を行う。
【0081】
例えば、PMS同意確認処理部13Aは、該当する接種者端末UTへ上記PMS実施依頼のメッセージを転送する。これに対し、接種者端末UTの制御部1Bは、PMS同意登録処理部13Bの制御の下、ステップS21により上記PMS実施依頼を受信すると、受信されたPMS実施依頼のメッセージを表示部61Bに表示させる。この状態で、接種者が上記PMS実施依頼に同意する旨を入力部62Bから入力すると、PMS同意登録処理部13Bは同意の有無をステップS22で確認し、同意であればステップS23において、PMS実施に対する同意情報を通信I/F4BからプラットフォームPFへ返送する。
【0082】
これに対し、プラットフォームPFのPMS同意確認処理部13Aは、ステップS57において上記PMS実施に対する同意情報をもとに同意を確認すると、この同意確認情報を依頼元の製薬会社システムPSに通知する。そして、製薬会社システムPSからPMS用プロファイルが送られると、ステップS58において、上記PMS用プロファイルを接種者端末UTへダウンロードする。
【0083】
続いて、製薬会社システムPSから接種者端末UTへ、PMS用Eラーニングプログラムがダウンロードされる。接種者端末UTは、ステップS24において上記PMS用Eラーニングプログラムを実行する。かくして、接種者はPMSに対する報告方法等を確認することが可能となる。
【0084】
(2-3)PMS接種者情報の登録
接種者端末UTの制御部1Bは、ダウンロードされた上記PMS用プロファイルに従い、例えば接種後の指定された報告タイミングにおいて、接種者に対しPMSの実施依頼メッセージとPMS報告項目の一覧を表示部61Bに表示させる。この状態で、例えば表示された上記報告項目に対して、接種者が自身の体調等を表す報告情報を入力部62Bにより入力したとする。そうすると接種者端末UTの制御部1Bは、PMS接種者情報登録処理部14Bの制御の下、ステップS25により、入力された上記PMS報告情報を入出力I/F5Bを介して取り込み、取り込まれたPMS報告情報をこの時点の時刻情報と共にPMS接種者情報として通信I/F4BからプラットフォームPFへ送信する。
【0085】
これに対しプラットフォームPFの制御部1Aは、上記接種者端末UTからPMS登録要求を受信すると、ステップS59からステップS60に移行する。そして、PMS接種者情報管理処理部14Aの制御の下で、上記PMS接種者情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された上記PMS接種者情報を接種者IDと対応付けてPMS接種者情報記憶部33Bに記憶させる。またそれと共に、上記PMS接種者情報を接種者手帳にも反映させるべく、接種者手帳記憶部32A内の接種者に対応する接種者手帳記憶領域に、上記PMS接種者情報を記憶させる。
【0086】
そしてプラットフォームPFの制御部1Aは、PMS接種者情報報告処理部15Aの制御の下、上記PMS接種者情報記憶部33Bに記憶されたPMS接種者情報を、通信I/F4Aから依頼元の製薬会社システムPSへ送信する。なお、この場合PMS接種者情報報告処理部15Aは、PMS接種者情報が取得される毎にこのPMS接種者情報を製薬会社システムPSへ送信してもよいし、PMS接種者情報に接種者の所定の状態変化が疑われる内容が含まれている場合に、取得された上記PMS接種者情報を製薬会社システムPSへ送信するようにしてもよい。
【0087】
(2-4)オンライン診療への対応処理
オンライン診療には、健康受診相談と、オンライン診療受診とがある。このうち健康受診相談は、プラットフォームPFの制御部1Aが、オンライン診療支援処理部16Aの制御の下で、例えばチャット方式により接種者の相談に対応する。なお、接種者端末UTを医療機関または保健所の端末に接続して、担当者に態様を依頼するようにしてもよい。
【0088】
一方、オンライン診療受診の場合には、プラットフォームPFが要求元の接種者に対応する接種者手帳情報およびPMS接種者情報の少なくとも一方を参照して、接種者と候補となる複数の医療機関との間でマッチングを行い、対応可能な医療機関を選択する。そして、選択された医療機関システムHSへ、上記接種者に対応する接種者手帳情報またはPMS接種者情報を転送し、さらに当該医療機関と接種者端末UTとの間をオンライン診療のための通信リンクにより接続してオンライン診療を可能にする。
【0089】
以下、オンライン診療受診を行う場合の処理について、その一例を詳しく説明する。
接種者端末UTの制御部1Bは、ステップS29によりオンライン診療の受診要求の入力を検知すると、オンライン診療要求/応答処理部15Bの制御の下、ステップS30において、オンライン診療の受診要求をプラットフォームPFへ送信した後、オンライン診療を受診するための一連の対応処理を開始する。
【0090】
これに対しプラットフォームPFの制御部1Aは、ステップS63により上記接種者端末UTからオンライン診療の受診要求を受信すると、ステップS74に移行して、以後オンライン診療支援処理部16Aの制御の下、以下のようにオンライン診療支援処理を実行する。
【0091】
図10は、このオンライン診療支援処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
一般に、接種者手帳への接種後情報の登録は、接種者により任意のタイミングで比較的頻繁に行われるが、PMS接種者情報の登録は、製薬会社により指定された接種後の所定のタイミング、例えば接種後に副反応等が現れる可能性が高いタイミングまたはその期間に行われるため登録回数が少なくまた登録の時間間隔が大きくなる傾向がある。
【0092】
そこで、プラットフォームPFの制御部1Aは、オンライン診療支援処理部16Aの制御の下、先ずステップS70,S71において、それぞれ要求元の接種者に対応する接種者手帳情報およびPMS接種者情報を読み込む。そしてオンライン診療支援処理部16Aは、ステップS72において、上記接種者手帳情報の最終登録日時とPMS接種者情報の最終登録日時とを比較する。この比較の結果、接種者手帳情報の最終登録日時の方が新しければ、ステップS76に移行して当該接種者手帳情報をそのまま選択する。
【0093】
一方、上記PMS接種者情報の最終登録日時の方が新しかったとする。この場合オンライン診療支援処理部16Aは、ステップS73に移行して接種者手帳情報とPMS接種者情報との間に差分があるか否かを判定する。そして、PMS接種者情報に接種者手帳情報に未反映の情報がある場合には、ステップS74において接種者手帳情報を上記PMS接種者情報により補完する処理を行った後、ステップS75において上記補完処理後の接種者手帳情報を選択する。なお、差分がなかった場合には、上記接種者手帳情報をそのまま選択する。なお、情報量が大きくなるが、接種者手帳情報に加えてPMS接種者情報をそのまま選択するようにしてもよい。
【0094】
次にオンライン診療支援処理部16Aは、ステップS77において、接種者とオンライン診療可能な複数の医療機関との間でマッチングを行い、接種者が望む条件、例えば待ち時間や対面診療を行う場合の地理的条件等を満たす医療機関(医師)を選択する。なお、上記マッチング処理においては、選択された上記接種者手帳情報またはPMS接種者情報の内容を参照することで、例えば症状の種類や重篤度等が考慮されるようにしてもよい。
【0095】
上記医療機関が選択されるとオンライン診療支援処理部16Aは、当該医療機関に対し上記接種者手帳情報を転送する。そして、ステップS78において、上記医療機関のシステムHSまたはその医師端末と要求元の接種者端末UTとの間を、オンライン診療が可能な通信リンクにより接続する。かくして、以後医師端末と接種者端末UTとの間では、オンライン診療のための画像データおよび音声データの伝送が可能となる。
【0096】
上記オンライン診療中にオンライン診療支援処理部16Aは、ステップS79によりオンライン診療の終了監視を行っている。そして、終了が検出されると、ステップS80により上記通信リンクを切断する。
【0097】
また、オンライン診療支援処理部16Aは、続いてステップS81において、医師端末から送られる診療結果を示す情報、例えば電子カルテに記載された情報を受信する。そして、受信された診療結果を示す情報を対応する接種者手帳情報に追加すると共に、接種者端末UTへ送信する。
【0098】
接種者端末UTの制御部1Bは、上記診療結果を示す情報を受信すると、オンライン診療要求/応答処理部15Bの制御の下、受信された上記診療結果を示す情報をデータ記憶部3Bに保存すると共に、表示部61Bに表示させる。この状態で、接種者が上記診療結果を示す情報をPMS接種者情報に登録するための要求操作を行い、この操作がステップS31により検知されると、オンライン診療要求/応答処理部15Bは、ステップS32において、上記診療結果を示す情報を通信I/F4BからプラットフォームPFへ送信する。
【0099】
これに対しプラットフォームPFの制御部1Aは、ステップS82により接種者端末UTから送られる上記PMS登録要求を受信すると、オンライン診療支援処理部16Aの制御の下、ステップS83において、上記診療結果を示す情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された上記診療結果を示す情報をPMS接種者情報記憶部33Aに追加する。
【0100】
(3)接種後におけるPMS登録終了
製薬会社は、接種後、例えば副反応等が現れる期間が経過し、ワクチンに対する追跡調査が不要となったと判断すると、プラットフォームPFに対しPMS登録処理の終了を依頼する。この場合、プラットフォームPFは以下のような処理を実行する。
【0101】
図13は、プラットフォームPFと製薬会社システムPSおよび接種者端末UTとの間における、PMS登録を終了する場合の情報データの流れを示すシーケンス図である。
すなわち、プラットフォームPFの制御部1Aは、製薬会社システムPSからPMS登録終了の依頼を受信すると、PMS同意確認処理部13Aの制御の下、上記PMS登録終了の依頼を接種者端末UTへ転送する。
【0102】
これに対し、接種者端末UTからPMS登録終了に対する同意情報が返送されると、プラットフォームPFのPMS同意確認処理部13Aは、上記同意情報を認証・同意情報記憶部31Aに保存した後、製薬会社システムPSに返送する。そして、最後にPMS接種者情報記憶部33A内の対応する接種者のPMS記憶領域に記憶されているPMS接種者情報を消去する。
【0103】
なお、プラットフォームPFの制御部1Aは、上記PMS登録が終了した後も、接種者手帳への接種者の体調変化等を表す情報の登録処理を継続する。
【0104】
(作用・効果)
以上述べたように第1の実施形態では、プラットフォームPFに、接種者手帳記憶部32AとPMS接種者情報記憶部33Aを設けて、これらの記憶部32A,33Aにそれぞれ接種者端末UTから送信される接種者の接種後の体調等を示す任意情報およびPMS報告用の情報を登録し、これらの接種者手帳情報およびPMS接種者情報を選択的に使用して、製薬会社への情報提供、オンライン診療支援を実行するようにしている。
【0105】
従って、例えば医療機関等においてカルテ等が管理されていない接種者についても、接種者端末UTを使用することで投薬後の情報をプラットフォームPFで収集し管理することが可能となる。このため、より広範囲の接種者についてその接種後の状態を効率良く管理することが可能となる。また、接種者手帳情報と製薬会社へのPMS報告情報とを選択的に使用して、接種者の投薬後の状態変化に対応することで、両情報の性質を考慮した適切な対応処理を行うことが可能となる。
【0106】
また第1の実施形態によれば、製薬会社へのPMS報告情報の提供に対する接種者の同意確認手順が事前に自動的に実行されることで、PMS報告情報の提供処理を円滑に行うことができる。
【0107】
さらに、接種者端末UTからのオンライン診療の要求に対し、接種者手帳情報とPMS接種者情報との登録日時を比較し、接種者手帳情報の方が新しい場合にはそのまま接種者手帳情報を医療機関に提供し、PMS接種者情報の方が新しい場合には当該PMS接種者情報のうち接種者手帳情報には含まれていない差分情報を追加した接種者手帳情報を医療機関に提供するようにしている。このようにすることで、オンライン診療に際し常に最新の情報を含む接種者手帳情報を医療機関に提供することが可能となる。
【0108】
さらに、オンライン診療の医療機関を選択する際に、接種者手帳情報およびPMS接種者情報の内容を考慮することで、接種者の状態に対応した最適な医療機関を選択することが可能となる。
【0109】
[その他の実施形態]
(1)前記実施形態では、プラットフォームPFがオンライン診療支援処理において、接種者と医療機関の医師端末とを通信リンクを介して1対1で接続してオンライン診療を実施する場合を例にとって説明した。しかし、これに限らず、接種者端末UTおよび医師端末に加え、PMS接種者情報の管理者である製薬会社の管理用端末を上記通信リンクに接続し、これにより3者によるオンライン診療に係る通信を行うようにしてもよい。このようにすると、接種者に現れた副反応等の有害性が疑われる症状を、製薬会社の担当者がリアルタイムに把握することが可能となる。
【0110】
(2)前記実施形態では、PMS接種者情報がプラットフォームPFから製薬会社システムPSにそのまま転送される場合について説明した。しかし、例えばプラットフォームPFにPMS接種者情報の解析処理機能を持たせることで、PMS接種者情報から副反応等の有害が疑われる事象を推定し、その推定結果を製薬会社に通知するようにしてもよい。またこの場合、上記有害が疑われる事象を表す情報を、行政機関システムGSにも通知するようにしてもよい。
【0111】
(3)前記実施形態ではワクチン接種の場合を例にとって説明したが、それに限らず製薬会社等がワクチン以外の新薬等の開発過程における治験を行う場合に対してもこの発明は適用可能である。すなわち、薬剤の種類についてはワクチンに限らず、その他の薬剤であってもよい。
【0112】
(4)その他、プラットフォームPFの機能構成とこれらの機能が実行する処理の手順および処理内容、接種者手帳情報とPMS接種者情報とを選択的に使用した対応処理の種類や、認証および同意確認のための手順、接種者手帳に登録する情報の種類や形式、PMS登録する情報の形式や登録依頼タイミング等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0113】
さらに、例えばPMSや治験を行う際の適用に留まらず、前記三者によるオンライン診療での利用形態において、製薬会社の管理用端末の代わりに薬剤師端末を加え、継続的な在宅治療が必要な疾患に罹患した患者に対して、薬剤治療を担当する医師および当該服薬指導を行う薬剤師が連携して治療を行う医薬連携治療を実施する際の、薬剤治療支援ツールとして利用することも考えられる。
【0114】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0115】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0116】
PF…管理制御装置(プラットフォーム)
UT1~UTn…接種者端末
HS…医療機関システム
PS…製薬会社システム
GS…行政機関システム
NW…ネットワーク
1A,1B…制御部
2A,2B…プログラム記憶部
3A,3B…データ記憶部
4A,4B…通信I/F
5B…入出力I/F
6B…入出力デバイス
7B…カメラ
11A…認証・同意管理処理部
12A…接種者手帳管理処理部
13A…PMS同意確認処理部
14A…PMS接種者情報管理処理部
15A…PMS接種者情報報告処理部
16A…オンライン診療支援処理部
11B…認証・同意要求処理部
12B…接種者手帳登録処理部
13B…PMS同意登録処理部
14B…PMS接種者情報登録処理部
15B…オンライン診療要求/応答処理部
31A…認証・同意情報記憶部
32A…接種者手帳記憶部
33A…PMS接種者情報記憶部
【手続補正書】
【提出日】2022-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬対象者が使用する端末装置と、当該端末装置との間でネットワークを介して情報データの伝送が可能な管理制御装置とを具備し、前記投薬対象者の投薬後の状態を管理する投薬対象者管理システムであって、
前記端末装置は、
任意の項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第1の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する第1の送信処理部と、
予め指定された報告項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第2の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する第2の送信処理部と
を備え、
前記管理制御装置は、
前記投薬対象者に対応して投薬者手帳情報を記憶するための記憶領域が設定される第1の記憶部と、
前記投薬対象者に対応して薬剤管理者向けの報告情報を記憶するための記憶領域が設定される第2の記憶部と、
前記端末装置から前記第1の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第1の投薬管理情報を前記投薬対象者の識別情報と対応付け、前記投薬者手帳情報として前記第1の記憶部に記憶させる第1の取得処理部と、
前記端末装置から前記第2の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第2の投薬管理情報を前記投薬対象者の前記識別情報と対応付け、前記報告情報として前記第2の記憶部に記憶させる第2の取得処理部と、
記憶された前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に使用して、前記投薬対象者に対する前記投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する投薬後対応処理部と
を備える投薬対象者管理システム。
【請求項2】
投薬対象者が使用する端末装置との間でネットワークを介して情報データの伝送が可能であり前記投薬対象者の投薬後の状態を管理する管理制御装置であって、
前記投薬対象者に対応して投薬者手帳情報を記憶するための記憶領域が設定される第1の記憶部と、
前記投薬対象者に対応して薬剤管理者向けの報告情報を記憶するための記憶領域が設定される第2の記憶部と、
任意の項目について作成された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第1の投薬管理情報を、前記端末装置から前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第1の投薬管理情報を前記投薬対象者の識別情報と対応付け、前記投薬者手帳情報として前記第1の記憶部に記憶させる第1の取得処理部と、
予め指定された報告項目について作成された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第2の投薬管理情報を、前記端末装置から前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第2の投薬管理情報を前記投薬対象者の前記識別情報と対応付け、前記報告情報として前記第2の記憶部に記憶させる第2の取得処理部と、
記憶された前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に使用して、前記投薬対象者に対する前記投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する投薬後対応処理部と
を具備する管理制御装置。
【請求項3】
前記投薬対象者について前記第2の投薬管理情報の報告に同意するか否かを確認する同意確認処理部を、さらに具備し、
前記第2の記憶部は、前記投薬対象者のうち前記第2の投薬管理情報の報告に同意した前記投薬対象者に対応して前記報告情報の記憶領域を設定する、請求項2に記載の管理制御装置。
【請求項4】
前記投薬後対応処理部は、前記第2の投薬管理情報が新たに取得されたとき、または取得された前記第2の投薬管理情報に前記投薬対象者の所定の状態変化が疑われる内容が含まれている場合に、取得された前記第2の投薬管理情報を前記薬剤管理者に転送する処理を行う、請求項2に記載の管理制御装置。
【請求項5】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に医療機関に転送し、前記端末装置と前記医療機関との間にオンライン診療のための通信リンクを設定する処理を行う、請求項2に記載の管理制御装置。
【請求項6】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報に基づいて前記医療機関を選択する、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項7】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報の各登録日時に基づいて投薬管理情報を選択し、選択された前記投薬管理情報を前記医療機関に転送する、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項8】
前記投薬後対応処理部は、前記端末装置から前記投薬対象者によるオンライン診療の受診要求を受信した場合に、前記投薬対象者に対応する前記第1の投薬管理情報に対し前記第2の投薬管理情報との差分を追加した第3の投薬管理情報を生成し、生成された前記第3の投薬管理情報を前記医療機関に転送する、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項9】
前記投薬後対応処理部は、前記オンライン診療の診療結果を表す情報を前記医療機関から取得し、取得された前記診療結果を表す情報を対応する前記第1の投薬管理情報に追加登録する処理を行う、請求項5に記載の管理制御装置。
【請求項10】
投薬対象者が使用する端末装置と、当該端末装置との間でネットワークを介して情報データの伝送が可能な管理制御装置とを具備し、前記管理制御装置が前記投薬対象者に対応して投薬者手帳情報の記憶領域が設定される第1の記憶部と、前記投薬対象者に対応して薬剤管理者向けの報告情報を記憶するための記憶領域が設定される第2の記憶部とを備えるシステムが実行する投薬対象者管理方法であって、
前記端末装置が、
任意の項目について入力された前記投薬対象者の投薬後の状態を含む第1の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する過程と、
予め指定された報告項目について入力された前記投薬対象者の前記投薬後の状態を含む第2の投薬管理情報を、前記管理制御装置へ前記ネットワークを介して送信する過程と を実行し、
前記管理制御装置が、
前記端末装置から前記第1の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第1の投薬管理情報を前記投薬対象者の識別情報と対応付けた状態で、前記投薬者手帳情報として前記第1の記憶部に記憶させる過程と、
前記端末装置から前記第2の投薬管理情報を前記ネットワークを介して取得し、取得された前記第2の投薬管理情報を前記投薬対象者の前記識別情報と対応付けた状態で、前記報告情報として前記第2の記憶部に記憶させる過程と、
記憶された前記第1の投薬管理情報および前記第2の投薬管理情報を選択的に使用して、前記投薬対象者に対する前記投薬後の状態変化に応じた対応処理を実行する過程と を実行する投薬対象者管理方法。
【請求項11】
請求項2乃至9のいずれかに記載の管理制御装置が備える前記各処理部の処理を、前記管理制御装置が備えるハードウェアプロセッサに実行させるプログラム。