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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150209
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】検査システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220929BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052701
(22)【出願日】2021-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】指示者がリアルタイムで監視しなくても、機器の検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保する。
【解決手段】検査システム100は、例えば、高圧電力設備10の複数の機器12、14、16、18の検査をする作業者20が、スマートグラス30などの端末を装着することで、検査すべき機器を認識し、認識した機器を正しい順序で、検査項目の漏れがないように、検査順序又は検査項目を出力する。検査システム100において、検査対象となる機器の画像を記憶する機器画像記憶部がサーバに備えられ、サーバは、スマートグラス30による撮影画像を取得し、撮影された機器を、記憶された画像により認識し、認識された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、
検査対象となる機器の画像を記憶する機器画像記憶部と、
前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、
前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部と、
前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、
を備える検査システム。
【請求項2】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、
検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードと、
前記識別コードを撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、
前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部と、
前記認識部で認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、
を備える検査システム。
【請求項3】
前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記認識部は、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識する請求項1又は3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記認識部は、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する処理を、事前に撮影された録画データから認識する請求項2に記載の検査システム。
【請求項6】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムが実行する方法であって、
検査対象となる機器の画像を記憶するステップと、
前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得するステップと、
前記撮影された機器を、前記記憶された画像により認識するステップと、
前記認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力するステップと、
を備える検査方法。
【請求項7】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムが実行する方法であって、
検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードを予め備えておき、前記端末によって撮影された撮影画像を取得するステップと、
前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識するステップと、
前記認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を出力するステップと、
を備える検査方法。
【請求項8】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムを、
検査対象となる機器の画像を記憶する機器画像記憶部、
前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部、
前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部、
前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部、
として機能させる検査プログラム。
【請求項9】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムを、
検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードを予め備えておき、前記端末によって撮影された撮影画像を取得する取得部、
前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部、
前記認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部、
として機能させる検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリモートサポートシステムでは、作業者端末の撮像画像共有により、指示者は作業者の作業内容を確認する。例えば、下記特許文献1には、ユーザ端末で撮像された画像を、遠隔作業支援のためにユーザ端末と遠隔作業指示端末とで画面共有する際に、IDまたはパスワードが見えなくなるように画像を加工して遠隔作業指示端末に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6259962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現場にいる作業者の確認・検査手順が適切か否かは、遠隔にいる指示者がリアルタイムで監視する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査等の手順が正しく、漏れなく行うことができる検査システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
第1の発明は、現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる機器の画像を記憶する機器画像記憶部と、前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部と、前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備える検査システムを提供する。
【0008】
また、第2の発明は、現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードと、前記識別コードを撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部と、前記認識部で認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備える検査システムを提供する。
【0009】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する検査システムを提供する。
【0010】
更に、第4の発明は、第1又は第3の発明において、前記認識部は、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識する検査システムを提供する。
【0011】
また、第5の発明は、第2の発明において、前記認識部は、識別コードが撮影されることで前記識別コードを認識する処理を、事前に撮影された録画データから認識する検査システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、指示者がリアルタイムで監視しなくても、機器の検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る検査システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係る検査システムの出力イメージ及び表示枠にスマートグラスの視線のポインタが静止している状態を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る検査処理フローを示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係る検査システムの全体構成を示す図である。
図6】本発明の実施形態2に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。
図7】本発明の実施形態2に係る検査処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【実施形態1】
【0016】
<基本概念/基本構成>
図1は、本発明の実施形態1に係る検査システムの全体構成を示す図である。検査システム100は、例えば、高圧電力設備10の複数の機器12、14、16、18の検査をする作業者20が、一例として、スマートグラス30などの端末を装着することで、検査すべき機器を認識し、認識した機器を正しい順序で、検査項目の漏れなく検査ができるように、検査順序又は検査項目を出力する。なお、本実施形態1では、機器の画像を撮影可能な端末として、スマートグラス30を例に挙げて説明しているが、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ等であってもよい。
【0017】
検査システム100において、検査対象となる機器の画像を記憶する機器画像記憶部が、サーバに記憶されている。
【0018】
そして、検査システム100において、サーバは、スマートグラス30から、撮影画像を取得し、スマートグラス30によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する。そして、サーバは、認識された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に出力する。また、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識してもよい。また、機器の認識は、端末(スマートグラス30)側で行うこともできるし、スマートグラス30とサーバ50の双方で実行されてもよい(後述する実施形態2でも同様)。
【0019】
本実施形態では、端末がスマートグラス30であり、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。このような判断は、サーバとなるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30から受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間)を判断してもよい。判断結果がNGの場合は、作業者20又は指示者に通知して、検査順序通りに検査し直すように促してもよい。
【0020】
このような検査システム100では、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0021】
<機能構成>
図2は、本実施形態1に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。検査システム100は、作業者20が装着するスマートグラス30と、スマートグラス30とネットワーク80を介して接続されたサーバ50と、を備える。なお、本実施形態では、スマートグラス30とサーバ50とは別の装置として説明するが、後述するサーバ50の機能の全部又は一部を端末(スマートグラス30)が備えるようにしてもよい。
【0022】
(スマートグラスの機能構成)
スマートグラス30は、撮影部であるカメラ31と、表示部33と、制御部36と、通信部38と、を備える。
【0023】
表示部33は、サーバ50の出力部55によって出力された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に表示する。表示部33は、例えば、スマートグラス30のグラス部分である。図2に示すように、出力イメージは、スマートグラス30を装着して高圧電力設備10を見たときに、例えば、機器12を認識すると表示22が表示され、「(1) 電力メータAは100kw以下か?」というように、最初に検査することと、検査項目が表示される。
【0024】
同様に、機器14を認識すると、表示24が表示され、2番目に検査することが表示される。機器16、18を認識したときも同様に、表示26、28が表示され、それぞれ3番目、4番目に検査すべきことが表示される。
【0025】
なお、ここでは、理解を容易にするために、機器12に対応する表示22以外は、検査順序のみを表示することとしたが、むろん、機器14、16、18に対応する表示24、26、28にも検査項目を表示してよい。
【0026】
制御部36は、通信部38及びネットワーク80を介して、サーバ50と相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をサーバ50に送信したり、サーバ50が出力した機器の検査順序又は検査項目を受信する。むろん、その他のデータの送受信を行うことを妨げるものではない。
【0027】
(サーバの機能構成)
サーバ50は、例えば、クラウドコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、スマートグラス30とネットワーク80を介して相互にデータを送受信可能に接続される。
【0028】
また、サーバ50は、機器画像記憶部52、取得部53、認識部54、出力部55、判断部56、通知部57、録画データ58、制御部60、通信部62と、を備える。
【0029】
機器画像記憶部52は、検査対象となる機器の画像を記憶する。本実施形態では、少なくとも、機器12、14、16、18が記憶されている。このような機器画像記憶部52は、スマートグラス30に設けてもよい。
【0030】
取得部53は、機器(機器12~18など)の画像を撮影可能なスマートグラス30から、ネットワーク80を介して撮影画像を取得する。
【0031】
認識部54は、前記スマートグラス30により撮影された機器を、前記機器画像記憶部52に記憶された画像により認識する。また、認識部54は、例えば、指示者であるサポート側が映してほしい被写体(機器)を映していることを、画像解析で判断してもよい。
あるいは、サーバ50の認識部54と同様の機能をスマートグラス30に設け、スマートグラス30側で機器の認識を行うようにしてもよい。
【0032】
出力部55は、前記認識部54で認識された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に出力する。
【0033】
判断部56は、複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30によって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。例えば、サーバ50が、スマートグラス30のカメラ31によって撮影された動画をネットワーク80を介して受信し、検査対象をきちんと目視して検査したか(撮影画像の撮影時間)、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間帯)を判断する。
【0034】
通知部57は、前記判断部56によって、機器の検査が適切な順序通りに行われていない(検査順序が間違っている)と判断された場合に、ネットワーク80を介してスマートグラス30や指示者の端末に通知する。これによって、検査順序が適切でない場合に、適切な順序で検査をし直すように作業者20に促すことができる。
【0035】
録画データ58は、事前に撮影された機器の録画データであって、前記認識部54は、機器12、14、16、18が撮影されたことを、録画データ58から認識するようにしてもよい。このような録画データ58は、スマートグラス30に設けてもよい。
【0036】
制御部60は、通信部62及びネットワーク80を介して、スマートグラス30と相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をスマートグラス30から受信したり、出力部55によって前記認識部54で認識された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に送信したり、判断部56により判断した結果を、通知部57によってスマートグラス30に通知する。むろん、その他のデータの送受信を行うことを妨げるものではない。
【0037】
上記の本システム100の機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロックを分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solod State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0038】
<処理フロー>
図4は、実施形態1に係る検査システム100が実行する検査処理フローを示す図である。検査処理は、本実施形態では、作業者20が装着する端末であるスマートグラス30と、スマートグラス30とネットワーク80を介してデータの送受信が相互に可能なサーバ50が実行する。
【0039】
ステップS10において、サーバ50の取得部53は、スマートグラス30から、当該スマートグラス30のカメラ31が撮影した撮影画像を取得する。
【0040】
ステップS12において、サーバ50の認識部54は、前記スマートグラス30によって撮影された機器(機器12~18など)を認識する。具体的には、検査対象となる機器の画像を記憶した機器画像記憶部52がサーバ50に設けられており、前記認識部54は、前記スマートグラス30によって撮影された機器が、前記記憶された画像に対応する機器であることを認識する。
【0041】
ステップS14において、サーバ50の出力部55は、認識部54で認識された機器の検査順序又は検査項目を、前記スマートグラス30に出力する。
【0042】
出力イメージは、スマートグラス30を装着して高圧電力設備10を見たときに、例えば、機器12を認識すると表示22が表示され、「(1) 電力メータAは100kw以下か?」というように、最初に検査することと、検査項目が表示される。
【0043】
同様に、機器14を認識すると、表示24が表示され、2番目に検査することが表示される。機器16、18を認識したときも同様に、表示26、28が表示され、それぞれ3番目、4番目に検査すべきことが表示される。むろん、機器14、16、18に対応する表示24、26、28にも検査項目を表示してよい。
【0044】
ステップS16において、サーバ50の判断部56は、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30によって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。
【0045】
このような判断は、サーバ50となるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30から受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したかを判断してもよい。
【0046】
検査対象の機器をきちんと目視して検査したかについては、例えば、図3に示すように、機器12に対応する表示22の表示枠22Aに、スマートグラス30の視線のポインタ90が何秒間静止していたかで、作業者20が目視した時間を計測し、機器12を目視して検査したかを判断する。
【0047】
また、機器を順序通りに検査したかは、複数の機器12、14、16、18を撮影した時刻によって判断してもよい。すなわち、機器12の撮影時刻から機器18の撮影時刻の順で撮影時刻が遅くなる場合には、機器12~機器18までの検査順序が正しかったものと判断する。
【0048】
ここで、検査順序通りに検査したものと判断部56により判断された場合(ステップS16でYES)には、処理フローを終了する。一方、検査順序通りに検査していないと判断部56により判断されると(ステップS16でNO)、サーバ50の通知部57は、判断結果を作業者20のスマートグラス30や指示者の端末にネットワーク80を通じて通知し(ステップS18)、検査順序通りに検査し直すように促し、正しい順序で検査が行われると処理フローを終了する。また、図3では、検査順序の番号をAR表示することとしているが、ナビゲート要素も含めて表示してもよい。例えば、(1)(機器22)の確認が取れると、機器22の場所に「OK」マークを表示して、次の点検箇所である(2)(機器24)の方向へ矢印を表示する。それに加えて、次の点検箇所である(2)を点滅表示、あるいは、反転表示させるなどして、目立つようにしてもよい。
【0049】
<効果>
このような検査システム100によれば、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0050】
なお、本実施形態において、機器12、14、16、18の認識は、例えば、認識部54が、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データ58から認識してもよい。
【実施形態2】
【0051】
<基本概念/基本構成>
次に、本発明の実施形態2について説明する。図5は、本発明の実施形態2に係る検査システムの全体構成を示す図である。検査システム100Aは、例えば、高圧電力設備10の複数の機器12、14、16、18の検査をする作業者20が、スマートグラス30Aを装着することで検査すべき機器を認識し、認識した機器を正しい順序で、検査項目の漏れがないように、検査順序又は検査項目を出力する。なお、実施形態2では、機器の画像を撮影可能な端末として、スマートグラス30Aを例に挙げて説明しているが、スマートフォンなどであってもよい。
【0052】
検査システム100Aにおいては、検査対象となる機器12、14、16、18の各々に識別コード23、25、27、29が貼付されている。これら識別コード23、25、27、29は、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示すものである。
【0053】
そして、検査システム100Aにおいて、スマートグラス30Aは、前記識別コード23、25、27、29をカメラ31で撮影し、撮影された識別コードを認識し、認識された識別コードが示す機器の検査順序又は検査項目を出力する。また、認識部54は、識別コード23、25、27、29が撮影されることで前記識別コード23、25、27、29を認識する処理を、事前に撮影された録画データから行ってもよい。
【0054】
実施形態2では、端末がスマートグラス30Aであり、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。このような判断は、サーバとなるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30Aから受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間)を判断してもよい。判断結果がNGの場合は、作業者20や指示者に通知して、検査順序通りに検査し直すように促してもよい。
【0055】
このような検査システム100Aでは、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0056】
<機能構成>
図6は、実施形態2に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。検査システム100Aは、作業者20が装着するスマートグラス30Aと、スマートグラス30Aとネットワーク80を介して接続されたサーバ50Aと、を備える。なお、本実施形態では、スマートグラス30Aとサーバ50Aとは別の装置として説明するが、実施形態1と同様に、サーバ50Aの機能の全部又は一部を端末(スマートグラス30A)が備えるようにしてもよい。
【0057】
(スマートグラスの機能構成)
スマートグラス30Aは、撮影部であるカメラ31と、表示部33と、出力部34と、制御部36と、通信部38と、を備える。
【0058】
表示部33は、サーバ50Aで認識された識別コード23、25、27、29が示す機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30Aに表示する。表示部33は、例えば、スマートグラス30Aのグラス部分である。
【0059】
出力部34は、サーバ50Aの認識部54で認識された識別コード23、25、27、29が示す機器の検査順序又は検査項目を出力する。図6に示すように、出力イメージは、スマートグラス30を装着して高圧電力設備10を見たときに、機器12、14、16、18に貼付された識別コード23、25、27、29を認識すると表示22、24、26、28が表示され、表示枠内に、それぞれの機器の検査順序が(1)~(4)のように表示される。
【0060】
なお、表示22、24、26、28には、検査順序のみならず、実施形態1と同様に検査項目を表示してもよいし、検査が正しく行われたことの確認が取れた後には、上述した実施形態1と同様にナビゲート要素を含む表示をしてよい。
【0061】
制御部36は、通信部38及びネットワーク80を介して、サーバ50Aと相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をサーバ50Aに送信したり、所定のデータを受信する。
【0062】
(サーバの機能構成)
サーバ50Aは、例えば、クラウドコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、スマートグラス30Aとネットワーク80を介してデータを相互に送受信可能に接続される。
【0063】
また、サーバ50Aは、取得部53、認識部54、出力部55、判断部56、通知部57、録画データ58、制御部60、通信部62と、を備える。
取得部53は、スマートグラス30Aで撮影された撮影画像をスマートグラス30Aより取得する。認識部54は、取得部53が取得した撮影画像内の識別コードを、所定のデータベース等を参照して認識する。
【0064】
判断部56は、複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30Aによって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。例えば、サーバ50Aが、スマートグラス30Aのカメラ31によって撮影された動画をネットワーク80を介して受信し、検査対象をきちんと目視して検査したか(撮影画像の撮影時間)、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間帯)を判断する。
【0065】
通知部57は、前記判断部56によって、機器の検査が適切な順序通りに行われていないと判断された場合に、ネットワーク80を介してスマートグラス30Aまたは指示者の端末に通知する。これによって、検査順序が適切でない場合に、適切な順序で検査をし直すように作業者20に促すことができる。
【0066】
録画データ58は、事前に撮影された録画データであって、認識部54は、機器12、14、16、18に貼付された識別コード23、25、27、29が撮影されることで識別コード23、25、27、29を認識する処理を、録画データ58から認識するようにしてもよい。このような録画データ58は、スマートグラス30Aに設けてもよい。
【0067】
制御部60は、通信部62及びネットワーク80を介して、スマートグラス30Aと相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をスマートグラス30から受信したり、判断部56により判断した結果を、通知部57によってスマートグラス30Aに通知する。むろん、その他のデータの送受信を行うことを妨げるものではない。
【0068】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロックを分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0069】
<処理フロー>
図7は、実施形態2に係る検査システム100Aが実行する検査処理フローを示す図である。検査処理は、本実施形態では、作業者20が装着する端末であるスマートグラス30Aと、スマートグラス30Aとネットワーク80を介してデータの送受信が相互に可能なサーバ50Aが実行する。なお、検査対象となる機器12、14、16、18の各々には、識別コード23、25、27、29が貼付されている。これら識別コード23、25、27、29は、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示すものである。
【0070】
ステップS20において、スマートグラス30Aが、前記識別コード23、25、27、29を撮影し、撮影画像をサーバ50Aに送信することで、撮影された識別コード23、25、27、29を、サーバ50Aの認識部54が認識する。
【0071】
ステップS22において、スマートグラス30Aの出力部34は、認識部54で認識された識別コード23、25、27、29が示す機器の検査順序又は検査項目を表示部33に出力する。
ここで、認識部54が、スマートグラス30Aに備えられ、スマートグラス30Aで撮影された上記識別コード23、25、27、29の画像を受信し、認識処理を端末側で行い、その結果をスマートグラス30Aの出力部34で出力してもよい。
【0072】
出力イメージは、スマートグラス30Aを装着して高圧電力設備10を見たときに、例えば、機器12、14、16、18を見ると、表示22、24、26、28に検査順序が表示される。また、実施形態1と同様に、検査順序とともに、検査項目を併せて表示してもよい。
【0073】
ステップS24において、サーバ50Aの判断部56は、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30によって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。
【0074】
このような判断は、サーバ50Aとなるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30Aから受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したかを判断してもよい。
【0075】
検査対象の機器をきちんと目視して検査したかについては、例えば、上述した実施形態1の図3に示すように、機器12に対応する表示22の表示枠22Aに、スマートグラス30Aの視線のポインタ90が何秒間静止していたかで、作業者20が目視した時間を計測し、機器12を目視して検査したかを判断する。
【0076】
また、機器を順序通りに検査したかは、複数の機器12、14、16、18を撮影した時刻によって判断してもよい。すなわち、機器12の撮影時刻から機器18の撮影時刻の順で撮影時刻が遅くなる場合には、機器12~機器18までの検査順序が正しかったものと判断する。
【0077】
ここで、検査順序通りに検査したものと判断部56により判断された場合(ステップS24でYES)には、処理フローを終了する。一方、検査順序通りに検査していないと判断部56により判断されると(ステップS24でNO)、サーバ50Aの通知部57は、判断結果を作業者20のスマートグラス30Aや指示者の端末にネットワーク80を通じて通知し(ステップS26)、検査順序通りに検査し直すように促し、正しい順序で検査が行われると処理フローを終了する。また、図6では、検査順序の番号をAR表示することとしているが、ナビゲート要素も含めて表示してもよい。例えば、被写体である機器に、QRコード(や何らかの特定の印)が張られている場合、QRコードで確認が取れた場合、次の被写体(機器)を映すことをナビゲートして、次の被写体が撮影されたかどうかを同様の手法で確認してもよい。
【0078】
<効果>
このような検査システム100Aによれば、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0079】
なお、本実施形態において、認識部54は、識別コード23、25、27、29が撮影されることで前記識別コード23、25、27、29を認識する処理を、事前に撮影された録画データ58から行ってもよい。
【0080】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、検査システムについて説明したが、本発明において検査システムが実行する方法や、検査システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。また、本発明では、リアルタイムのデータに加えて、録画データでも対応することができ、点検ポイントのみをハイライト再生するようにしてもよい。更に、本発明は、高圧電力設備の機器のみならず、公知の各種の機器全般の検査に適用可能である。
【0081】
また、本発明の検査システムは、以下のような構成とすることができる。
【0082】
(1)現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる機器の画像を記憶する機器画像記憶部と、前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部と、前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備える構成。
【0083】
(2)現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードと、前記識別コードを撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部と、前記認識部で認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備える構成。
【0084】
(3)前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する構成。
【0085】
(4)前記認識部は、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識する構成。
【0086】
(5)前記認識部は、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードが撮影されたことで前記識別コードを認識する処理を、事前に撮影された録画データから認識する構成。
【符号の説明】
【0087】
10:高圧電力設備
12、14、16、18:機器
20:作業者
22、24、26、28:表示
22A:表示枠
23、25、27、29:識別コード
30、30A:スマートグラス
31:カメラ
33:表示部
34:出力部
36:制御部
38:通信部
50、50A:サーバ
52:機器画像記憶部
53:取得部
54:認識部
55:出力部
56:判断部
57:通知部
58:録画データ
60:制御部
62:通信部
80:ネットワーク
90:ポインタ
100、100A:検査システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、
検査対象となる複数の機器の画像を記憶する機器画像記憶部と、
前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、
前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部と、
前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、
を備え
前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査システム。
【請求項2】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、
検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードと、
前記識別コードを撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、
前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部と、
前記認識部で認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、
を備え
前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査システム。
【請求項3】
前記認識部は、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識する請求項に記載の検査システム。
【請求項4】
前記認識部は、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する処理を、事前に撮影された録画データから認識する請求項2に記載の検査システム。
【請求項5】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムが実行する方法であって、
検査対象となる複数の機器の画像を記憶するステップと、
前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得するステップと、
前記撮影された機器を、前記記憶された画像により認識するステップと、
前記認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力するステップと、
を備え
前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査方法。
【請求項6】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムが実行する方法であって、
検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードを予め備えておき、前記識別コードを撮影可能な端末によって撮影された撮影画像を取得するステップと、
前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識するステップと、
前記認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を出力するステップと、
を備え
前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査方法。
【請求項7】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムを、
検査対象となる複数の機器の画像を記憶する機器画像記憶部、
前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部、
前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部、
前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部、として機能させ
前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査プログラム。
【請求項8】
現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムを、
検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードを予め備えておき、前記識別コードを撮影可能な端末によって撮影された撮影画像を取得する取得部、
前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部、
前記認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部、
として機能させ
前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリモートサポートシステムでは、作業者端末の撮像画像共有により、指示者は作業者の作業内容を確認する。例えば、下記特許文献1には、ユーザ端末で撮像された画像を、遠隔作業支援のためにユーザ端末と遠隔作業指示端末とで画面共有する際に、IDまたはパスワードが見えなくなるように画像を加工して遠隔作業指示端末に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6259962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現場にいる作業者の確認・検査手順が適切か否かは、遠隔にいる指示者がリアルタイムで監視する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査等の手順が正しく、漏れなく行うことができる検査システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
第1の発明は、現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる複数の機器の画像を記憶する機器画像記憶部と、前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部と、前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備え、前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査システムを提供する。
【0008】
また、第2の発明は、現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードと、前記識別コードを撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部と、前記認識部で認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備え、前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する検査システムを提供する。
【0009】
更に、第の発明は、第の発明において、前記認識部は、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識する検査システムを提供する。
【0010】
また、第の発明は、第2の発明において、前記認識部は、識別コードが撮影されることで前記識別コードを認識する処理を、事前に撮影された録画データから認識する検査システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、指示者がリアルタイムで監視しなくても、機器の検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る検査システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係る検査システムの出力イメージ及び表示枠にスマートグラスの視線のポインタが静止している状態を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る検査処理フローを示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係る検査システムの全体構成を示す図である。
図6】本発明の実施形態2に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。
図7】本発明の実施形態2に係る検査処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【実施形態1】
【0015】
<基本概念/基本構成>
図1は、本発明の実施形態1に係る検査システムの全体構成を示す図である。検査システム100は、例えば、高圧電力設備10の複数の機器12、14、16、18の検査をする作業者20が、一例として、スマートグラス30などの端末を装着することで、検査すべき機器を認識し、認識した機器を正しい順序で、検査項目の漏れなく検査ができるように、検査順序又は検査項目を出力する。なお、本実施形態1では、機器の画像を撮影可能な端末として、スマートグラス30を例に挙げて説明しているが、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ等であってもよい。
【0016】
検査システム100において、検査対象となる機器の画像を記憶する機器画像記憶部が、サーバに記憶されている。
【0017】
そして、検査システム100において、サーバは、スマートグラス30から、撮影画像を取得し、スマートグラス30によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する。そして、サーバは、認識された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に出力する。また、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識してもよい。また、機器の認識は、端末(スマートグラス30)側で行うこともできるし、スマートグラス30とサーバ50の双方で実行されてもよい(後述する実施形態2でも同様)。
【0018】
本実施形態では、端末がスマートグラス30であり、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。このような判断は、サーバとなるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30から受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間)を判断してもよい。判断結果がNGの場合は、作業者20又は指示者に通知して、検査順序通りに検査し直すように促してもよい。
【0019】
このような検査システム100では、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0020】
<機能構成>
図2は、本実施形態1に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。検査システム100は、作業者20が装着するスマートグラス30と、スマートグラス30とネットワーク80を介して接続されたサーバ50と、を備える。なお、本実施形態では、スマートグラス30とサーバ50とは別の装置として説明するが、後述するサーバ50の機能の全部又は一部を端末(スマートグラス30)が備えるようにしてもよい。
【0021】
(スマートグラスの機能構成)
スマートグラス30は、撮影部であるカメラ31と、表示部33と、制御部36と、通信部38と、を備える。
【0022】
表示部33は、サーバ50の出力部55によって出力された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に表示する。表示部33は、例えば、スマートグラス30のグラス部分である。図2に示すように、出力イメージは、スマートグラス30を装着して高圧電力設備10を見たときに、例えば、機器12を認識すると表示22が表示され、「(1) 電力メータAは100kw以下か?」というように、最初に検査することと、検査項目が表示される。
【0023】
同様に、機器14を認識すると、表示24が表示され、2番目に検査することが表示される。機器16、18を認識したときも同様に、表示26、28が表示され、それぞれ3番目、4番目に検査すべきことが表示される。
【0024】
なお、ここでは、理解を容易にするために、機器12に対応する表示22以外は、検査順序のみを表示することとしたが、むろん、機器14、16、18に対応する表示24、26、28にも検査項目を表示してよい。
【0025】
制御部36は、通信部38及びネットワーク80を介して、サーバ50と相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をサーバ50に送信したり、サーバ50が出力した機器の検査順序又は検査項目を受信する。むろん、その他のデータの送受信を行うことを妨げるものではない。
【0026】
(サーバの機能構成)
サーバ50は、例えば、クラウドコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、スマートグラス30とネットワーク80を介して相互にデータを送受信可能に接続される。
【0027】
また、サーバ50は、機器画像記憶部52、取得部53、認識部54、出力部55、判断部56、通知部57、録画データ58、制御部60、通信部62と、を備える。
【0028】
機器画像記憶部52は、検査対象となる機器の画像を記憶する。本実施形態では、少なくとも、機器12、14、16、18が記憶されている。このような機器画像記憶部52は、スマートグラス30に設けてもよい。
【0029】
取得部53は、機器(機器12~18など)の画像を撮影可能なスマートグラス30から、ネットワーク80を介して撮影画像を取得する。
【0030】
認識部54は、前記スマートグラス30により撮影された機器を、前記機器画像記憶部52に記憶された画像により認識する。また、認識部54は、例えば、指示者であるサポート側が映してほしい被写体(機器)を映していることを、画像解析で判断してもよい。
あるいは、サーバ50の認識部54と同様の機能をスマートグラス30に設け、スマートグラス30側で機器の認識を行うようにしてもよい。
【0031】
出力部55は、前記認識部54で認識された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に出力する。
【0032】
判断部56は、複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30によって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。例えば、サーバ50が、スマートグラス30のカメラ31によって撮影された動画をネットワーク80を介して受信し、検査対象をきちんと目視して検査したか(撮影画像の撮影時間)、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間帯)を判断する。
【0033】
通知部57は、前記判断部56によって、機器の検査が適切な順序通りに行われていない(検査順序が間違っている)と判断された場合に、ネットワーク80を介してスマートグラス30や指示者の端末に通知する。これによって、検査順序が適切でない場合に、適切な順序で検査をし直すように作業者20に促すことができる。
【0034】
録画データ58は、事前に撮影された機器の録画データであって、前記認識部54は、機器12、14、16、18が撮影されたことを、録画データ58から認識するようにしてもよい。このような録画データ58は、スマートグラス30に設けてもよい。
【0035】
制御部60は、通信部62及びネットワーク80を介して、スマートグラス30と相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をスマートグラス30から受信したり、出力部55によって前記認識部54で認識された機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30に送信したり、判断部56により判断した結果を、通知部57によってスマートグラス30に通知する。むろん、その他のデータの送受信を行うことを妨げるものではない。
【0036】
上記の本システム100の機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロックを分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solod State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0037】
<処理フロー>
図4は、実施形態1に係る検査システム100が実行する検査処理フローを示す図である。検査処理は、本実施形態では、作業者20が装着する端末であるスマートグラス30と、スマートグラス30とネットワーク80を介してデータの送受信が相互に可能なサーバ50が実行する。
【0038】
ステップS10において、サーバ50の取得部53は、スマートグラス30から、当該スマートグラス30のカメラ31が撮影した撮影画像を取得する。
【0039】
ステップS12において、サーバ50の認識部54は、前記スマートグラス30によって撮影された機器(機器12~18など)を認識する。具体的には、検査対象となる機器の画像を記憶した機器画像記憶部52がサーバ50に設けられており、前記認識部54は、前記スマートグラス30によって撮影された機器が、前記記憶された画像に対応する機器であることを認識する。
【0040】
ステップS14において、サーバ50の出力部55は、認識部54で認識された機器の検査順序又は検査項目を、前記スマートグラス30に出力する。
【0041】
出力イメージは、スマートグラス30を装着して高圧電力設備10を見たときに、例えば、機器12を認識すると表示22が表示され、「(1) 電力メータAは100kw以下か?」というように、最初に検査することと、検査項目が表示される。
【0042】
同様に、機器14を認識すると、表示24が表示され、2番目に検査することが表示される。機器16、18を認識したときも同様に、表示26、28が表示され、それぞれ3番目、4番目に検査すべきことが表示される。むろん、機器14、16、18に対応する表示24、26、28にも検査項目を表示してよい。
【0043】
ステップS16において、サーバ50の判断部56は、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30によって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。
【0044】
このような判断は、サーバ50となるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30から受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したかを判断してもよい。
【0045】
検査対象の機器をきちんと目視して検査したかについては、例えば、図3に示すように、機器12に対応する表示22の表示枠22Aに、スマートグラス30の視線のポインタ90が何秒間静止していたかで、作業者20が目視した時間を計測し、機器12を目視して検査したかを判断する。
【0046】
また、機器を順序通りに検査したかは、複数の機器12、14、16、18を撮影した時刻によって判断してもよい。すなわち、機器12の撮影時刻から機器18の撮影時刻の順で撮影時刻が遅くなる場合には、機器12~機器18までの検査順序が正しかったものと判断する。
【0047】
ここで、検査順序通りに検査したものと判断部56により判断された場合(ステップS16でYES)には、処理フローを終了する。一方、検査順序通りに検査していないと判断部56により判断されると(ステップS16でNO)、サーバ50の通知部57は、判断結果を作業者20のスマートグラス30や指示者の端末にネットワーク80を通じて通知し(ステップS18)、検査順序通りに検査し直すように促し、正しい順序で検査が行われると処理フローを終了する。また、図3では、検査順序の番号をAR表示することとしているが、ナビゲート要素も含めて表示してもよい。例えば、(1)(機器22)の確認が取れると、機器22の場所に「OK」マークを表示して、次の点検箇所である(2)(機器24)の方向へ矢印を表示する。それに加えて、次の点検箇所である(2)を点滅表示、あるいは、反転表示させるなどして、目立つようにしてもよい。
【0048】
<効果>
このような検査システム100によれば、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0049】
なお、本実施形態において、機器12、14、16、18の認識は、例えば、認識部54が、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データ58から認識してもよい。
【実施形態2】
【0050】
<基本概念/基本構成>
次に、本発明の実施形態2について説明する。図5は、本発明の実施形態2に係る検査システムの全体構成を示す図である。検査システム100Aは、例えば、高圧電力設備10の複数の機器12、14、16、18の検査をする作業者20が、スマートグラス30Aを装着することで検査すべき機器を認識し、認識した機器を正しい順序で、検査項目の漏れがないように、検査順序又は検査項目を出力する。なお、実施形態2では、機器の画像を撮影可能な端末として、スマートグラス30Aを例に挙げて説明しているが、スマートフォンなどであってもよい。
【0051】
検査システム100Aにおいては、検査対象となる機器12、14、16、18の各々に識別コード23、25、27、29が貼付されている。これら識別コード23、25、27、29は、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示すものである。
【0052】
そして、検査システム100Aにおいて、スマートグラス30Aは、前記識別コード23、25、27、29をカメラ31で撮影し、撮影された識別コードを認識し、認識された識別コードが示す機器の検査順序又は検査項目を出力する。また、認識部54は、識別コード23、25、27、29が撮影されることで前記識別コード23、25、27、29を認識する処理を、事前に撮影された録画データから行ってもよい。
【0053】
実施形態2では、端末がスマートグラス30Aであり、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。このような判断は、サーバとなるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30Aから受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間)を判断してもよい。判断結果がNGの場合は、作業者20や指示者に通知して、検査順序通りに検査し直すように促してもよい。
【0054】
このような検査システム100Aでは、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0055】
<機能構成>
図6は、実施形態2に係る検査システムの機能構成及び出力イメージを示す図である。検査システム100Aは、作業者20が装着するスマートグラス30Aと、スマートグラス30Aとネットワーク80を介して接続されたサーバ50Aと、を備える。なお、本実施形態では、スマートグラス30Aとサーバ50Aとは別の装置として説明するが、実施形態1と同様に、サーバ50Aの機能の全部又は一部を端末(スマートグラス30A)が備えるようにしてもよい。
【0056】
(スマートグラスの機能構成)
スマートグラス30Aは、撮影部であるカメラ31と、表示部33と、出力部34と、制御部36と、通信部38と、を備える。
【0057】
表示部33は、サーバ50Aで認識された識別コード23、25、27、29が示す機器の検査順序又は検査項目をスマートグラス30Aに表示する。表示部33は、例えば、スマートグラス30Aのグラス部分である。
【0058】
出力部34は、サーバ50Aの認識部54で認識された識別コード23、25、27、29が示す機器の検査順序又は検査項目を出力する。図6に示すように、出力イメージは、スマートグラス30を装着して高圧電力設備10を見たときに、機器12、14、16、18に貼付された識別コード23、25、27、29を認識すると表示22、24、26、28が表示され、表示枠内に、それぞれの機器の検査順序が(1)~(4)のように表示される。
【0059】
なお、表示22、24、26、28には、検査順序のみならず、実施形態1と同様に検査項目を表示してもよいし、検査が正しく行われたことの確認が取れた後には、上述した実施形態1と同様にナビゲート要素を含む表示をしてよい。
【0060】
制御部36は、通信部38及びネットワーク80を介して、サーバ50Aと相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をサーバ50Aに送信したり、所定のデータを受信する。
【0061】
(サーバの機能構成)
サーバ50Aは、例えば、クラウドコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、スマートグラス30Aとネットワーク80を介してデータを相互に送受信可能に接続される。
【0062】
また、サーバ50Aは、取得部53、認識部54、出力部55、判断部56、通知部57、録画データ58、制御部60、通信部62と、を備える。
取得部53は、スマートグラス30Aで撮影された撮影画像をスマートグラス30Aより取得する。認識部54は、取得部53が取得した撮影画像内の識別コードを、所定のデータベース等を参照して認識する。
【0063】
判断部56は、複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30Aによって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。例えば、サーバ50Aが、スマートグラス30Aのカメラ31によって撮影された動画をネットワーク80を介して受信し、検査対象をきちんと目視して検査したか(撮影画像の撮影時間)、機器を順序通りに検査したか(撮影画像の撮影時間帯)を判断する。
【0064】
通知部57は、前記判断部56によって、機器の検査が適切な順序通りに行われていないと判断された場合に、ネットワーク80を介してスマートグラス30Aまたは指示者の端末に通知する。これによって、検査順序が適切でない場合に、適切な順序で検査をし直すように作業者20に促すことができる。
【0065】
録画データ58は、事前に撮影された録画データであって、認識部54は、機器12、14、16、18に貼付された識別コード23、25、27、29が撮影されることで識別コード23、25、27、29を認識する処理を、録画データ58から認識するようにしてもよい。このような録画データ58は、スマートグラス30Aに設けてもよい。
【0066】
制御部60は、通信部62及びネットワーク80を介して、スマートグラス30Aと相互にデータの送受信を行う。例えば、撮影画像(静止画や動画など)をスマートグラス30から受信したり、判断部56により判断した結果を、通知部57によってスマートグラス30Aに通知する。むろん、その他のデータの送受信を行うことを妨げるものではない。
【0067】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロックを分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0068】
<処理フロー>
図7は、実施形態2に係る検査システム100Aが実行する検査処理フローを示す図である。検査処理は、本実施形態では、作業者20が装着する端末であるスマートグラス30Aと、スマートグラス30Aとネットワーク80を介してデータの送受信が相互に可能なサーバ50Aが実行する。なお、検査対象となる機器12、14、16、18の各々には、識別コード23、25、27、29が貼付されている。これら識別コード23、25、27、29は、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示すものである。
【0069】
ステップS20において、スマートグラス30Aが、前記識別コード23、25、27、29を撮影し、撮影画像をサーバ50Aに送信することで、撮影された識別コード23、25、27、29を、サーバ50Aの認識部54が認識する。
【0070】
ステップS22において、スマートグラス30Aの出力部34は、認識部54で認識された識別コード23、25、27、29が示す機器の検査順序又は検査項目を表示部33に出力する。
ここで、認識部54が、スマートグラス30Aに備えられ、スマートグラス30Aで撮影された上記識別コード23、25、27、29の画像を受信し、認識処理を端末側で行い、その結果をスマートグラス30Aの出力部34で出力してもよい。
【0071】
出力イメージは、スマートグラス30Aを装着して高圧電力設備10を見たときに、例えば、機器12、14、16、18を見ると、表示22、24、26、28に検査順序が表示される。また、実施形態1と同様に、検査順序とともに、検査項目を併せて表示してもよい。
【0072】
ステップS24において、サーバ50Aの判断部56は、前記複数の機器12、14、16、18を適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、スマートグラス30によって目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断する。
【0073】
このような判断は、サーバ50Aとなるコンピュータが、撮影動画をスマートグラス30Aから受信して、検査対象をきちんと目視して検査したか、機器を順序通りに検査したかを判断してもよい。
【0074】
検査対象の機器をきちんと目視して検査したかについては、例えば、上述した実施形態1の図3に示すように、機器12に対応する表示22の表示枠22Aに、スマートグラス30Aの視線のポインタ90が何秒間静止していたかで、作業者20が目視した時間を計測し、機器12を目視して検査したかを判断する。
【0075】
また、機器を順序通りに検査したかは、複数の機器12、14、16、18を撮影した時刻によって判断してもよい。すなわち、機器12の撮影時刻から機器18の撮影時刻の順で撮影時刻が遅くなる場合には、機器12~機器18までの検査順序が正しかったものと判断する。
【0076】
ここで、検査順序通りに検査したものと判断部56により判断された場合(ステップS24でYES)には、処理フローを終了する。一方、検査順序通りに検査していないと判断部56により判断されると(ステップS24でNO)、サーバ50Aの通知部57は、判断結果を作業者20のスマートグラス30Aや指示者の端末にネットワーク80を通じて通知し(ステップS26)、検査順序通りに検査し直すように促し、正しい順序で検査が行われると処理フローを終了する。また、図6では、検査順序の番号をAR表示することとしているが、ナビゲート要素も含めて表示してもよい。例えば、被写体である機器に、QRコード(や何らかの特定の印)が張られている場合、QRコードで確認が取れた場合、次の被写体(機器)を映すことをナビゲートして、次の被写体が撮影されたかどうかを同様の手法で確認してもよい。
【0077】
<効果>
このような検査システム100Aによれば、指示者がリアルタイムで監視しなくても、検査手順が正しく、かつ、検査項目が漏れなく行われたことを担保できる。
【0078】
なお、本実施形態において、認識部54は、識別コード23、25、27、29が撮影されることで前記識別コード23、25、27、29を認識する処理を、事前に撮影された録画データ58から行ってもよい。
【0079】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、検査システムについて説明したが、本発明において検査システムが実行する方法や、検査システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。また、本発明では、リアルタイムのデータに加えて、録画データでも対応することができ、点検ポイントのみをハイライト再生するようにしてもよい。更に、本発明は、高圧電力設備の機器のみならず、公知の各種の機器全般の検査に適用可能である。
【0080】
また、本発明の検査システムは、以下のような構成とすることができる。
【0081】
(1)現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる複数の機器の画像を記憶する機器画像記憶部と、前記機器の画像を撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された機器を、前記機器画像記憶部に記憶された画像により認識する認識部と、前記認識部で認識された機器の検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備え、前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する構成。
【0082】
(2)現場で作業者が所定の機器を検査するための検査システムであって、検査対象となる複数の機器に各々貼付され、検査対象となる機器の検査順序又は検査項目を示す識別コードと、前記識別コードを撮影可能な端末から、撮影画像を取得する取得部と、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードを認識する認識部と、前記認識部で認識された識別コードが示す検査順序又は検査項目を前記端末に出力する出力部と、を備え、前記端末が、スマートグラスであって、前記複数の機器を、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを、目視し続けた時間及び目視した時間帯で判断し、適切に検査し、検査順序通りに検査が行われたかを判断できない場合は、前記端末に通知する構成。
【0083】
(3)前記認識部は、機器が撮影されたことを、事前に撮影された録画データから認識する構成。
【0084】
(4)前記認識部は、前記端末によって撮影された前記撮影画像内の識別コードが撮影されたことで前記識別コードを認識する処理を、事前に撮影された録画データから認識する構成。
【符号の説明】
【0085】
10:高圧電力設備
12、14、16、18:機器
20:作業者
22、24、26、28:表示
22A:表示枠
23、25、27、29:識別コード
30、30A:スマートグラス
31:カメラ
33:表示部
34:出力部
36:制御部
38:通信部
50、50A:サーバ
52:機器画像記憶部
53:取得部
54:認識部
55:出力部
56:判断部
57:通知部
58:録画データ
60:制御部
62:通信部
80:ネットワーク
90:ポインタ
100、100A:検査システム