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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150280
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】積層体およびそれを用いた包装体
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20220929BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B32B9/00 A
B65D65/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052823
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】石原 毅
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB01
3E086BB62
4F100AA00B
4F100AA00E
4F100AA19B
4F100AA19E
4F100AH02A
4F100AH02D
4F100AH03A
4F100AH03D
4F100AH06A
4F100AH06D
4F100AK00A
4F100AK00C
4F100AK00D
4F100AK03A
4F100AK03D
4F100AK21A
4F100AK21D
4F100AK41A
4F100AK41D
4F100AK42C
4F100AK52A
4F100AK52D
4F100AL05A
4F100AL05D
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CA02A
4F100CA02D
4F100EH46A
4F100EH46D
4F100EH66B
4F100EH66E
4F100EJ42A
4F100EJ42D
4F100EJ86A
4F100EJ86D
4F100GB15
4F100JA07A
4F100JA07D
4F100JB09A
4F100JB09D
4F100YY00A
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】印刷性に優れた積層体およびそれを用いた包装体を提供する。
【解決手段】
基材フィルムの少なくとも一方の側に、無機層及び保護層をこの順に有する積層体であって、保護層は、ビニル系樹脂、直鎖状ポリシロキサン、ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする積層体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの少なくとも一方の側に、無機層及び保護層をこの順に有する積層体であって、保護層は、ビニル系樹脂、直鎖状ポリシロキサン、ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記保護層が、水性樹脂架橋剤を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記ビニル系樹脂が、環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂を含む請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ビニル系樹脂が、ラクトン構造を有するビニル系樹脂を含む請求項1または2に記載の積層体。
【請求項5】
前記ポリエステル樹脂が、カルボン酸残基とアルコール残基を含む請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
前記ポリエステル系樹脂の含有量が、保護層の0.1~1.2質量%である請求項1~5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記水性樹脂架橋剤が、カルボジイミド基を含む請求項1~6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記水性樹脂架橋剤の含有量が、保護層の0.1~0.3質量%である請求項1~7のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
インキ密着発現比率が、0を超え、1未満である請求項1~8のいずれかに記載の積層体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の積層体を含む包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷性に優れた積層体およびそれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食物、医薬品、日用品など様々なものを包装するために、各種包装材料が用いられてきたが、これらの包装材料には、内容物の劣化を防止するために酸素バリア性、水蒸気バリア性が必要とされる。優れたガスバリア性を有するアルミニウム箔は、レトルト食品用包装材料として用いられている。しかし、アルミニウム箔を用いた包装材料は、ピンホールが発生しやすいことからアルミニウム箔の取り扱いが難しく、用途が限定される。
【0003】
これらの問題を解決するため、ポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムに真空蒸着法等の物理気相成長法を用いて、ガスバリア層としてアルミニウムや酸化アルミニウムを蒸着したフィルムが使用されている。さらにこれらフィルム上に文字や絵柄など表示目的の印刷処理を施したり、他の樹脂フィルムと貼り合わせることで様々な用途の包装材料に適用している。しかし、例えば使用環境が過酷なボイル・レトルト食品用途には、ガスバリア性能の悪化を防止する目的でガスバリア層の上に保護層を積層し、その保護層上に印刷処理をしたり、他の樹脂フィルムと貼り合わせて使用している。
【0004】
ボイル・レトルト食品用途のためのガスバリア性フィルムとして、プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機酸化物もしくは無機窒化物で構成される蒸着層と、特定の樹脂層を積層したガスバリア性フィルムが開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、蒸着フィルムの耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性を向上させ、アルミニウム蒸着層の外観変化を抑えるため、基材(a)、金属蒸着層(b)および保護層(c)がこの順序で積層されてなる積層体であり、保護層(c)が特定のダイマー酸系ポリアミド樹脂を含有するものが開示されている(特許文献2)。
【0006】
また、印刷層との印刷性を向上させるために、基材の一方の面にポリエステルと、紫外線重合性官能基を有する樹脂と、架橋剤と、を含む印刷用コート層を備えた印刷用シートが開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-131756号公報
【特許文献2】特開2012-210744号公報
【特許文献3】特開2019-155869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2は、基材上に金属や金属化合物層で構成される蒸着層と、特定の保護層を積層したものである。しかしながら、いずれも、保護層と接する積層構成を考慮したものではなく、印刷処理や他の樹脂フィルムとの貼り合わせに好適な保護層成分としたものではない。そのため保護層と隣接する他の層(印刷層、接着層、樹脂層など)との印刷性が不足し、接着力やガスバリア性が不良となる課題があった。また、特許文献3は印刷層との印刷性を向上させるために、専用の印刷用コート層を設けるというもので、層構成が1層分増えてしまうというコストが増加する課題があった。
【0009】
本発明では、この課題を鑑み、積層体の好ましい状態を明らかにすることで、層構成を変えずに印刷性に優れた積層体およびそれを用いた包装体を安定して提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の積層体は、基材フィルムの少なくとも一方の側に、無機層及び保護層をこの順に有する積層体であって、保護層は、ビニル系樹脂、直鎖状ポリシロキサン、ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする積層体である。また、前記保護層に、水性樹脂架橋剤を含む積層体である。また、前記ビニル系樹脂が、環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂を含む積層体である。また、前記ビニル系樹脂が、ラクトン構造を有するビニル系樹脂を含む積層体である。また、前記ポリエステル系樹脂が、カルボン酸残基とアルコール残基を含む積層体である。また、前記のポリエステル系樹脂の含有量が、保護層の0.1~1.2質量%である上述のいずれかに記載の積層体である。また、前記水性樹脂架橋剤が、カルボジイミド基とイソシアネート基を含む上述のいずれかに記載の積層体である。また、前記水性樹脂架橋剤の含有量が、保護層の0.1~0.3質量%である上述のいずれかに記載の積層体である。また、インキ密着発現比率が、0を超え、1未満である上述のいずれかに記載の積層体である。また、上述のいずれかに記載の積層体を含む包装体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷性に優れた積層体およびそれを用いた包装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の積層体について、さらに詳しく説明する。
【0013】
本発明の積層体は、基材フィルムの少なくとも一方の側に、無機層及び保護層をこの順に有する積層体であって、保護層は、ビニル系樹脂、直鎖状ポリシロキサン、ポリエステル樹脂を含む。
【0014】
本発明において基材フィルムとは、特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂、さらにはポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリビニルアルコールなどの生分解性樹脂等からなるフィルムが挙げられる。中でも、リサイクルのしやすさという観点からはポリプロピレンフィルムが好ましく、またリサイクル性に加え無機層との密着力やハンドリングの観点からはポリエステルフィルムが好ましい。これらフィルムを構成する樹脂全体に対し3~55質量%のリサイクル材料を含むことが好ましい。尚、リサイクル材料は、メカニカルリサイクルにてリサイクルされたものであっても、ケミカルリサイクルにてリサイクルされたものであってもよく、特に限定されるものではない。さらに、前記基材フィルムを構成する樹脂にバイオマス由来(植物由来)の原料を含んで化学燃料由来の原料との混合樹脂であってもよく、例えばポリエステルの場合、その原料であるジオールもしくはジカルボン酸のいずれか一方または両方が、樹脂組成物全体に対し10~95質量%のバイオマス由来(植物由来)の原料を含むことが好ましい。
【0015】
基材フィルムは、未延伸であっても、延伸(一軸又は二軸)されていてもよいが、熱寸法安定性の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0016】
基材フィルムの厚みは、特に制限はないが、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
【0017】
基材フィルムの表面には、無機層との印刷性を向上させるため、必要に応じて、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、グロー放電処理等を施してもよい。
【0018】
本発明の無機層とは、無機物を含む層のことをいう。無機物は無機物単体であっても良いし、無機化合物でもよく、例えば、アルミニウム、マグネシウム、チタン、錫、インジウム、ケイ素、亜鉛およびそれらの酸化物等が挙げられ、これらは単独であっても、2種類以上の混合物であってもよい。無機層は、金属酸化物または金属窒化物を含む無機化合物がより好ましい。無機層が金属酸化物または金属窒化物を含む場合、ボイル・レトルト処理時にかかる熱に対する耐久性及び、本発明の積層体を包装体とし、その内容物が酸性物の場合に、酸性内容物に対する耐酸性が向上するため、好ましい。金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム合金、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素が、金属窒化物としては窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素等が挙げられる。これらの無機化合物は単独であっても2種以上の混合物であってもよい。また、無機層内の元素組成が厚み方向で、異なっていてもよい。無機層の元素組成が厚み方向で異なることで、無機層と保護層との印刷性が向上し、積層体とした場合に、無機層と保護層の剥離が起こりにくくすることができる。これらの中でも製造時のコストやガスバリア性および前述したボイル・レトルト処理時にかかる熱に対する耐熱性及び、酸性内容物に対する耐酸性の観点から、無機層の元素として、酸素、アルミニウムが好ましい。
【0019】
無機層の形成方法に特に制限はなく、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法等、公知の方法で形成できるが、生産性の観点から真空蒸着法が好ましい。また、無機層内の元素組成を厚み方向で、異なるように形成する方法の一例として、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する無機層の形成方法を説明する。この場合、無機層の形成方法として、真空槽内でアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化させる方法が好ましい。無機層形成の方法は、蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法等の公知の方法により行うことができるが、蒸着法が、生産性の点から好ましい。さらに、具体的に説明する。真空槽中でロール状の基材フィルムをセット、基材フィルムを巻き出し、アルミニウムを加熱蒸発させる。アルミニウムを加熱蒸発させる方法としては、抵抗加熱法、高周波加熱法、電子ビーム加熱法などの方法が適用できる。加熱蒸発されたアルミニウムが、基材フィルムに付着し、アルミニウム金属層が形成される。アルミニウム金属層を形成した後、蒸着の後半部分に酸素ガスを導入する。導入した酸素ガスは、基材フィルムの巻取り側から巻出し側に向って拡散するため、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に酸素の反応が連続的に進み、組成が膜厚方向に連続的に変化する傾斜構造となる無機層を形成することができる。
【0020】
また、前述の酸素ガスを導入する際の酸素量や導入速度、酸素ノズルなどの導入口の位置・形状・導入口数、基材フィルムの搬送速度、等を調整・変更することで、上述の無機層の傾斜構造を制御することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0021】
次いで、後述する方法にて無機層の総厚みを求める。本発明の無機層の厚みは、5nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上140nm以下である。5nm以下ではバリア性が不十分となる場合がある一方、150nm以上では無機層の凝集力が低下し、無機層内で凝集破壊し、無機層が割れたり、剥離したりする場合がある。
【0022】
本発明において、保護層とは、保護層が、ビニル系樹脂、直鎖状ポリシロキサン、ポリエステル樹脂を含む層のことをいう。ビニル系樹脂とは、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、変性ポリビニルアルコール等が挙げられ、これらの樹脂は単独で用いても、2種以上の混合物であってもよいが、好ましくはビニルアルコール系樹脂(変性ポリビニルアルコールを含む)である。ビニルアルコール系樹脂(変性ポリビニルアルコールを含む)は、一般に、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものであり、酢酸基の一部をけん化して得られる部分けん化であっても、完全けん化であってもよいが、けん化度が高い方が好ましい。けん化度は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。けん化度が低く、立体障害の大きい酢酸基を多く含むと、層の自由体積が大きくなる場合がある。ビニルアルコール系樹脂の重合度は、1,000以上3,000以下が好ましく、1,000以上2,000以下がより好ましい。重合度が低い場合、ポリマーが固定されにくく、印刷性が発現しやすくなる。ビニル系樹脂が、環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂を含むことが好ましい。また、ビニル系樹脂が、ラクトン構造を有するビニル系樹脂を含むことが好ましい。
【0023】
特に好ましいビニル系樹脂としては、環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂である。保護層中のビニル系樹脂として、環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂を含むことで、環状構造による疎水化と、カルボニル基による樹脂周囲の相互作用にて緻密な構造の膜となり、耐水性が向上し、親水性の低い緻密な構造の保護層となり、酸素や水蒸気などのガス分子との相互作用を小さくし、ガス分子の透過経路を遮断することで、印刷性の発現とともに優れたガスバリア性を発現すると考えられる。尚、本発明において、環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂は、保護層中の全ビニル系樹脂100質量%中に20~100質量%、より好ましくは40~100質量である。20質量%未満であると、ガスバリア性の向上効果が乏しい場合があり、全てのビニル系樹脂が環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂である100質量%が最も好ましい。
【0024】
環状構造としては、三員環以上(例えば、三~六員環)であれば特に限定されない。また、環状構造内に例えば炭素以外の窒素、酸素、硫黄、リンなどのヘテロ元素等を有する複素環のような環状構造であってもよい。また、この環状構造中におけるカルボニル基を有する部位は、ビニル系樹脂における主鎖や側鎖、または架橋鎖のうちどちらに存在していてもよい。これら環状構造中にカルボニル基を有するビニル系樹脂として、具体的には例えば環状エステルであるラクトン構造や環状アミドであるラクタム構造が挙げられ、これらは単独であっても、2種以上を含んであってもよく、特に限定されるものではないが、好ましくはラクトン構造である。ビニル系樹脂としてラクトン構造を有するビニル系樹脂を用いると、後述するケイ素アルコキシドの加水分解に使用する酸触媒に対し安定でありガスバリア性が維持しやすい。ラクトン構造を有するビニル系樹脂をとしては例えば、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等が挙げられる。
【0025】
またケイ素アルコキシドは、Si(OR)で表される金属アルコキシドの1種であり、このケイ素アルコキシド中のRは低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基が挙げられる。ケイ素アルコキシドとしては具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランが挙げられ、これらは単独であっても、2種以上の混合物であってもよく、また後述するそれらの加水分解物であってもよい。
【0026】
本発明において、保護層には、さらに直鎖状ポリシロキサンを含むことが好ましい。直鎖状ポリシロキサンは、分子鎖に細孔が少なく、分子鎖同士は高い密度で存在できるため、直鎖状ポリシロキサンを含み、保護層中でネットワークを形成し固定することで、保護層を構成する成分の分子鎖の動きを抑制できるため、緻密な構造の保護層になることで、さらにガスバリア性が向上しやすくなるとともに、印刷性が発現しやすくなる。
【0027】
直鎖状ポリシロキサンとは、下記化学式(1)で示されるものであり、ここで化学式(1)中のnは2以上の整数である。化学式(1)中のRは低級アルキル基として例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基や、分岐アルキル基としてiso-プロピル基、t-ブチル基などが挙げられる。本発明において、直鎖状ポリシロキサンの直鎖構造が長いと保護層中でネットワークを形成し固定しやすくなるため、nは好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上30未満である。
【0028】
【化1】
【0029】
直鎖状ポリシロキサンは、前述の通りSi(OR)で表されるケイ素アルコキシドから得ることができる。ケイ素アルコキシド中のRは低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基が挙げられる。ケイ素アルコキシドとしては具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランが挙げられ、これらは単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。ケイ素アルコキシドは、例えば直鎖状ポリシロキサンを得るために加水分解することができる。ケイ素アルコキシドは、Si(OR)、水、触媒、有機溶媒の存在下で加水分解される。加水分解に使用される水は、Si(OR)のアルコキシ基に対して0.8当量以上5当量以下であることが好ましい。水の量が0.8当量より少ないと、十分に加水分解が進行せず、直鎖状ポリシロキサンを得ることができなかったりする場合がある。水の量が5当量より多いと、後述するケイ素アルコキシドの反応がランダムに進行して、直鎖状でないポリシロキサンを多量に形成し直鎖状ポリシロキサンを得ることができない場合がある。
【0030】
加水分解に使用する触媒は、酸触媒であることが好ましい。酸触媒の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、酒石酸等が挙げられ、特に限定されるものではない。通常、ケイ素アルコキシドの加水分解および重縮合反応は、酸触媒であっても塩基触媒であっても進めることができるが、酸触媒を用いた場合、系中のモノマーは平均的に加水分解されやすく、直鎖状になりやすい。一方、塩基触媒を用いた場合は、同一分子に結合したアルコキシドの加水分解・重縮合反応が進みやすい反応機構であるため、反応がランダムに進行し反応生成物は空隙の多い状態になりやすい。触媒の使用量は、ケイ素アルコキシド総モル量に対して、0.1モル%以上0.5モル%以下であることが好ましい。
【0031】
加水分解に使用する有機溶媒は、水およびケイ素アルコキシドと混合可能なメチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等のアルコール類を用いることができる。
【0032】
加水分解温度は20℃以上45℃以下であることが好ましい。20℃未満で反応させた場合は、反応性が低く、Si(OR)の加水分解が進みづらい場合がある。一方、45℃を超える温度で反応させた場合は、急激に加水分解、重縮合反応が進行し、ゲル化したり、直鎖状ではないランダムで疎なポリシロキサンになる場合がある。
【0033】
本発明において、保護層中の全てのビニル系樹脂の合計の含有率が、保護層100質量%中に20~80質量%であることが好ましい。ビニル系樹脂の含有率が20~80質量%であると、緻密な構造の保護層となりやすく、印刷性の発現とともに優れたガスバリア性を発現しやすくなる。ビニル系樹脂の含有率が20質量%未満であると保護層が硬くなりやすく、クラックが生じてガスバリア性が低下する場合がある。ビニル系樹脂の含有率が80質量%より多いとビニル系樹脂を固定化することができず、ガスバリア性が低下する場合がある。ビニル系樹脂の含有率はより好ましくは30~60質量%、さらに好ましくは35~50質量%である。なお、保護層中の全ての直鎖状ポリシロキサンの合計の含有率も、保護層100質量%中に20~80質量%であることも可能であるが、前述の通りケイ素アルコキシド(ケイ素アルコキシドの加水分解物を含む)を別途含んでいてもよいため、含有比率は、直鎖状ポリシロキサンおよびケイ素アルコキシドをSiO換算し、保護層中の無機成分(以後、保護層中の無機成分を、保護層無機成分、と記す)の合計含有率が、保護層100質量%中に20~80質量%、より好ましくは30~70質量%である。尚、保護層中のビニル系樹脂と保護層無機成分の含有率は後述する方法で測定することができる。
【0034】
本発明において、保護層における直鎖状ポリシロキサンとケイ素アルコキシドの混合比率を調整することが可能である。混合比率は、直鎖状ポリシロキサンおよびケイ素アルコキシドの、それぞれのSiO換算した質量比率で、直鎖状ポリシロキサン/ケイ素アルコキシド=15/85~90/10の範囲が好ましく、50/50~85/15の範囲がより好ましく、60/40~85/15の範囲がさらに好ましい。この値が90/10を超える場合は、直鎖ポリシロキサン同士の相互作用が強くなり前記ビニル系樹脂を固定化することができず、ガスバリア性が低下する場合がある。一方、15/85未満であると、ケイ素アルコキシド由来のSi-OH結合が多くなることで親水性が高くなりガスバリア性が低下する場合がある。保護層中における直鎖状ポリシロキサンとケイ素アルコキシドの混合比率は後述する方法で測定することができる。
【0035】
尚、直鎖状ポリシロキサンとして、あらかじめSi(OR)が複数結合したオリゴマー原料を使用することで、直鎖状ポリシロキサンおよびケイ素アルコキシドの混合比率を容易に調整することができる。あらかじめSi(OR)が複数結合したオリゴマー原料としては、例えば化学式(1)中のRがメチル基であるメチルシリケートや、Rがエチル基であるエチルシリケートなどのアルキルシリケートが数量体となった直鎖状オリゴマーが挙げられる。
【0036】
本発明において、保護層に含まれる直鎖状ポリシロキサンおよびケイ素アルコキシドを熱によって重縮合反応を進行させて保護層を形成することができる。重縮合反応が進行した場合、直鎖状ポリシロキサンやケイ素アルコキシドに含まれるアルコキシ基および/またはヒドロキシル基が減少し、緻密で強靭な構造の保護層となる。また、重縮合反応によって、直鎖状ポリシロキサンやケイ素アルコキシドの分子量が大きくなるため、ビニル系樹脂を固定する能力が高くなる。したがって、保護層は熱によって反応を進行させることでガスバリア性、印刷性を向上できるため、温度は高い方が好ましい。しかしながら、温度が200℃を超える場合は、基材フィルムが熱によって収縮したり、無機層のひずみやクラックが発生したりしてガスバリア性が低下する場合がある。
【0037】
本発明において、ポリエステル樹脂は、三価以上の多価カルボン酸残基を含むカルボン酸残基と、アルコール残基とを含有し、酸価が150mgKOH/g以上300mgKOH/g以下である。ポリエステル樹脂は、酸価が150mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることで、アルコール溶媒、特に低級アルコールへの優れた溶解性を有する。また、ポリエステル樹脂は、三価以上の多価カルボン酸残基を含むカルボン酸残基を含有することで、ポリエステル樹脂の結晶性を低下させることができるため、ポリエステル樹脂の低級アルコールへの溶解性を向上させることができる。
【0038】
カルボン酸残基は、カルボン酸成分に由来する。カルボン酸成分は、カルボン酸とカル
ボン酸のエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含有する。カルボン酸のエステ
ル形成性誘導体とは、カルボン酸から誘導された化合物であり、カルボキシル基由来のエ
ステル形成性誘導基を有する。カルボキシル基由来のエステル形成性誘導基は、ヒドロキ
シル基と反応してエステルを形成できる基であり、例えばカルボキシル基を無水化した基
、カルボキシル基をエステル化した基、及びカルボキシル基をハロゲン化した基からなる
群から選択される少なくとも一種の基を含有する。
【0039】
カルボン酸成分は、カルボキシル基及びエステル形成性誘導基以外に、反応性の官能基
を備えないことが好ましい。特に、多価カルボン酸成分は、エチレン性不飽和結合、アミ
ノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基の
うちいずれも備えないことが好ましい。
【0040】
カルボン酸成分は、三価以上の多価カルボン酸成分を含有する。すなわち、ポリエステ
ル樹脂は、三価以上の多価カルボン酸残基を含むカルボン酸残基を含有する。三価以上の
多価カルボン酸残基は、三価以上の多価カルボン酸成分に由来する。三価以上の多価カル
ボン酸成分は、三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価カルボン酸のエステル形成性
誘導体とのうちの少なくとも一方を含有する。
【0041】
三価以上の多価カルボン酸成分は、三価のカルボン酸成分であるトリカルボン酸成分、
四価のカルボン酸成分であるテトラカルボン酸成分、及び六価のカルボン酸成分であるヘ
キサカルボン酸成分からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有することが好
ましい。すなわち、ポリエステル樹脂は、トリカルボン酸残基、テトラカルボン酸残基、
及びヘキサカルボン酸残基からなる群から選択される少なくとも1種の残基を含有するこ
とが好ましい。なお、トリカルボン酸残基はトリカルボン酸成分に由来し、テトラカルボ
ン酸残基はテトラカルボン酸成分に由来し、ヘキサカルボン酸残基はヘキサカルボン酸成
分に由来する。
【0042】
多価カルボン酸成分に対する三価以上の多価カルボン酸成分の含有量は、70モル%以
上100モル%以下の範囲内であることが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂は、低
級アルコールへのより優れた溶解性を有する。
【0043】
アルコール残基は、アルコール成分に由来する。アルコール成分は、アルコールとアルコールのエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含有する。アルコールのエステル形成性誘導体とは、アルコールから誘導された化合物であり、ヒドロキシル基由来のエステル形成性誘導基を有する。ヒドロキシル基由来のエステル形成性誘導基は、カルボキシル基と反応してエステルを形成できる基であり、例えばヒドロキシル基をアセテート化した基を含有する。
【0044】
アルコール成分は、ヒドロキシル基及びエステル形成性誘導基以外に、反応性の官能基
を備えないことが好ましい。特に、上述の三価以上の多価カルボン酸成分とアルコール成
分とが、共に反応性の官能基を備えないことが好ましい。アルコール成分は、エチレン性
不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基
、及びシアノ基のうちいずれも備えないことが好ましい。
【0045】
アルコール成分は、多価アルコール成分を含有することが好ましい。すなわち、アルコ
ール残基は、多価アルコール残基を含有することが好ましい。多価アルコール残基は、多
価アルコール成分に由来する。多価アルコール成分は、多価アルコールと多価アルコール
のエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含有する。アルコール成分は、例えば
、芳香族多価アルコール及び脂肪族多価アルコールからなる群から選択される少なくとも
1種の成分を含有する。すなわち、多価アルコール残基は、芳香族多価アルコール残基及
び脂肪族多価アルコール残基のうちの少なくとも一方を含有する。多価アルコール成分は
、芳香族多価アルコール成分のみを含んでもよく、脂肪族多価アルコール成分のみを含ん
でもよく、芳香族多価アルコール成分と脂肪族多価アルコール成分との両方を含んでもよ
い。
【0046】
本発明において、ポリエステル樹脂の含有量は、保護層の0.1~1.2質量%が好ましい。さらに好ましくは、0.2~1.0質量%である。ポリエステル系樹脂の含有量が、保護層の0.1質量%より少なくなるとインキ密着向上効果が発現しなくなり、また、1.2質量%を超えるとインキ密着性が悪化する。
【0047】
前記保護層に水性樹脂架橋剤を含むことが好ましい。
【0048】
本発明において、水性樹脂架橋剤とは、両末端に親水性有機化合物に由来する置換基を有し、前記置換基のうち少なくとも1個の置換基が、分子量340以上の親水性有機化合物に由来する置換基であるポリカルボジイミド(A)と、両末端に分子量300以下の有機化合物に由来する置換基を有するポリカルボジイミド(B)とを含有し、前記ポリカルボジイミド(A)に対する前記ポリカルボジイミド(B)の質量比[(A)/(B)]が20/80~80/20、より好ましくは30/70~70/30であるカルボジイミド系水性樹脂架橋剤である。
【0049】
ポリカルボジイミド(A)は、例えば、イソシアネート末端ポリカルボジイミドと、該イソシアネートと反応性を有する特定の親水性有機化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0050】
親水性有機化合物とは、ポリカルボジイミドの末端のイソシアネート基と反応性を有する活性水素を有する置換基を有し、該置換基の他に更に分子中にヘテロ原子を1個以上有するモノアルコール類、モノアミン類、モノカルボン酸類を指す。
【0051】
より具体的には、分子中に水酸基、第1級アミノ基、第2級アミノ基、イミノ基、イソ
シアネート基、及びカルボキシル基から選ばれる置換基を1個有し、該置換基の他に更に
分子中にヘテロ原子を1個以上有するモノアルコール類、モノアミン類、モノカルボン酸
類が挙げられ、中でも、分子鎖の末端に水酸基、第1級アミノ基、第2級アミノ基及びイ
ミノ基から選ばれる置換基を1個有し、該置換基の他に更に分子中にヘテロ原子を1個以
上有するモノアルコール類又はモノアミン類が好ましい。
【0052】
前記モノアルコール類又はモノアミン類としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式
炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる1種以上の置換基を有するポリ(オキシア
ルキレン)モノアルキルエーテル、モノヒドロキシポリエステル等が挙げられる。なお、
前記モノアルコール類又はモノアミン類は、アニオン性基、カチオン性基、ノニオンアニ
オン性基、及びノニオンカチオン性基から選ばれる1種以上を有していてもよい。
【0053】
具体的な親水性有機化合物としては、例えば、ポリ(オキシアルキレン)モノアルキル
エーテル又はモノヒドロキシポリエステル、モノヒドロキシアルキルスルホン酸塩、ジア
ルキルアミノアルコール、ヒドロキシカルボン酸アルキルエステル、及びジアルキルアミ
ノアルキルアミンが挙げらる。
【0054】
ポリカルボジイミド(B)は、両末端に分子量300以下の有機化合物に由来する置換
基を有するポリカルボジイミドであり、イソシアネート末端ポリカルボジイミドと、分子量が300以下であって該イソシアネートと反応性を有する有機化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0055】
ポリカルボジイミド(B)の末端の置換基を構成する有機化合物は、分子量が300以
下であることを要し、分子量300以下のイソシアネート基と反応する活性水素を有する
化合物又は分子量300以下のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。より具体
的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及びイソシアネート基から選ばれる置換基
を1個有するモノアルコール類、モノカルボン酸類、モノアミン類、及びモノイソシアネ
ート類が挙げられる。
【0056】
水性樹脂架橋剤の含有量は、保護層の0.1~0.3質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、0.15~0.25質量%である。水性樹脂架橋剤の含有量が、保護層の0.1質量%より少なくなると、インキ密着向上効果が発現しなくなり、また、0.3質量%を超えるとインキ密着性が悪化する。
【0057】
保護層は、保護層の成分を含む塗液(以下、保護層塗液と略す)を、無機層上に塗工、乾燥して得ることができる。したがって、前記重縮合反応を進行させるための温度である塗膜の乾燥温度は、100℃以上200℃以下であることが好ましく、120℃以上180℃以下であることがより好ましく、150℃以上180℃以下であることがさらに好ましい。100℃未満の場合は、後述の溶媒として含まれる水が十分に蒸発せず、層を硬化できない場合がある。
【0058】
保護層塗液は、ビニル系樹脂を水または水/アルコール混合溶媒に溶解したものと、特定官能基を有する化合物や直鎖状ポリシロキサンや特定官能基を有さないケイ素アルコキシドを含む溶液とを混合して得ることができる。溶媒で使用されるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0059】
保護層塗液を、無機層上に塗工する方法としては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、マイクログラビア方式、ロッドコート方式、バーコート方式、ダイコート方式、スプレーコート方式等、特に限定はなく既知の方法を用いることができる。
【0060】
本発明にかかる保護層には、ガスバリア性を損なわない限りにおいて、レベリング剤、架橋剤、硬化剤、密着剤、安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を含んでもよい。架橋剤の一例としては例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等のケイ素アルコキシドおよびその錯体等が挙げられる。
【0061】
保護層の平均厚みは10nm以上1,000nm以下が好ましく、より好ましくは、100nm以上600nm以下、さらに好ましくは350nm以上500nm以下である。平均厚みが10nm未満の場合、無機層のピンホールやクラックを十分に埋めることができず、十分なガスバリア性を発現できない場合がある。一方、厚みが1,000nmを超えると、厚みによるクラックが生じたりする場合がある。
【0062】
保護層は、前述の通り熱によって縮合反応が進行し、ガスバリア性が向上する。したがって、ガスバリア性を向上させるために保護層を形成した後、積層体をさらに熱処理することが好ましい。熱処理温度は、30℃以上100℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましい。熱処理時間は、1日以上14日以下が好ましく、3日以上7日以下がより好ましい。熱処理温度が30℃未満の場合は、反応促進に必要な熱エネルギーが不十分で効果が小さい場合があり、100℃を超える場合は、基材のカールやオリゴマーが発生したり、設備や製造のためのコストが高くなったりする場合がある。
【0063】
本発明において、インキ密着発現比率とは、保護層がビニル系樹脂、直鎖状ポリシロキサンのみの層に対するインキ密着発現時間をA時間とし、本発明にかかる保護層に対するインキ密着発現時間をB時間とした場合、B/Aのことをいう。B/Aは、0を超え、1.0未満が好ましい。インキ密着発現時間とは、本発明の積層体の保護層上に、「フィナートR794白S」(DIC株式会社製、油性グラビアインキ白)100質量部と、「CVLハードナーNo.10」(DIC株式会社製の架橋剤)3質量部と、「ユニビアNTレジューサーNo.1K」(DIC株式会社製の希釈溶剤)35質量部を混合することによって白色インキを調製し、乾燥後の厚さが2μmになるようグラビアコーターを用いて塗工した後、90℃で30秒乾燥させ印刷層を形成し、印刷層の表面に、約75mmの長さに取り出した粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ」(登録商標))を貼り、印刷層が透けて見えるまで指でテープを擦り、貼り付けてから1分以内に180°の角度で、1.0~3.0秒で引き離した後、10分毎に評価し、粘着テープに印刷層が残存しなくなるまでの時間のことをいう。
【0064】
本発明の包装体とは、本発明の積層体を接着剤などの接着成分を介して貼り合わせ、袋状としたものである。貼り合わせる面は樹脂層側同士の場合や、一方が樹脂層でもう一方が基材とで貼り合わせる場合であってもよい。本発明の包装体は、本発明の積層体を用いることで印刷性とガスバリア性に優れている。そのため内容物充填後に剥離などの不良が発生せず安全に内容物を保存することができるため、例えばボイル・レトルト処理時にかかる熱や、その内容物が酸性物の場合に酸性内容物の酸などでの剥離が発生しない包装体を提供することができる。
【0065】
本発明の包装体の印刷性は、後述の方法にて求めることができる。
【実施例0066】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0067】
(1)無機層の総厚み、保護層の平均厚み、
無機層の総厚みおよび保護層の平均厚みは、その断面をTEMにより観察した。まず、断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム((株)日立製作所製 FB-2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118~119に記載の方法に基づいて)作製した。次いで、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製 H-9000UHRII)を用いて、加速電圧300kVで観察を行い、得られた断面を観察画像における層の厚みが占める割合が30~70%となるように観察倍率を調整し観察した。同様に計5サンプルを測定し計5点の平均値を算出し、nmに単位換算した値を保護層の平均厚みおよび無機層の総厚みとした。
【0068】
(2)インキ密着発現比率の測定方法
インキ密着発現比率の測定は、以下の方法で行った。
【0069】
<インキ層形成方法>
「フィナートR794白S」(DIC株式会社製、油性グラビアインキ白)100質量部と、「CVLハードナーNo.10」(DIC株式会社製の架橋剤)3質量部と、「ユニビアNTレジューサーNo.1K」(DIC株式会社製の希釈溶剤)35質量部を混合することによって白色インキを調製した。本発明の保護層に、乾燥後の厚さが2μmになるようワイヤーバーを用いて塗工した後、90℃で30秒乾燥させインキ層を形成した。
【0070】
<インキ密着発現時間の評価方法>
印刷層の表面に、約75mmの長さに取り出した粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ」(登録商標))を貼り、印刷層が透けて見えるまで指でテープを擦る。貼り付けてから1分以内に180°の角度で、1.0~3.0秒で引き離す。10分毎に評価し、粘着テープに印刷層が残存しなくなるまでの時間を評価した。
【0071】
<インキ密着発現比率>
保護層をビニル系樹脂、直鎖状ポリシロキサンのみの層に対するインキ密着発現時間をA時間とし、本発明の保護層に対するインキ密着発現時間をB時間とした場合、B/Aのことをインキ密着発現比率とする。
【0072】
(3)酸素バリア性(酸素透過率)
酸素透過率(以下、OTRと略すこともある)は、温度23℃、湿度90%RHの条件で、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(「OX-TRAN」(登録商標) 2/21)を使用してJIS K7126(2006年)に記載のB法に基づいて測定した。測定は2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を酸素透過率の値とした。
【0073】
(4)水蒸気バリア性(水蒸気透過率)
水蒸気透過率(以下、WVTRと略すこともある)は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(“PERMATRAN”(登録商標)-W 3/31)を使用してJIS K7126(2006年)に記載のB法に基づいて測定した。測定は2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を水蒸気透過率の値とした。
【0074】
[実施例1]
<無機層>
基材フィルムとして、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 「ルミラー」(登録商標)P60)を使用し、真空蒸着法で厚み15nmの酸化アルミニウム層を設け無機層とした。
<保護層>
ビニル系樹脂として、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略すこともある。重合度
1,700、けん化度98.5%)を、質量比で水/イソプロピルアルコール=97/3の溶媒に投入し、90℃で加熱撹拌して固形分10質量%のPVA溶液を得た。次いで、直鎖状ポリシロキサンとしてコルコート株式会社製エチルシリケート40(平均5量体の直鎖状オリゴマー)11.2g、メタノール16.9gを混合した溶液に、0.06N塩酸水溶液7.0gを液滴して、5量体シリケート加水分解液を得た。次いで、ポリエステル樹脂として、互応化学株式会社製GX-1157を水で希釈して固形分10質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。次いで、PVAの固形分として含有率が15質量%、ポリエステル樹脂の固形分として含有率が0.1質量%となるように、PVA溶液とポリエステル樹脂溶液と5量体シリケート加水分解液を混合・撹拌し、水で希釈して固形分13質量%の保護層塗液を得た。この塗液をグラビアコート法により無機層上に塗工後、130℃で乾燥し、乾燥後の平均厚み400nmの保護層を形成し、積層体とした。
【0075】
[実施例2]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<保護層>
直鎖状ポリシロキサンとしてコルコート株式会社製エチルシリケート48(平均10量
体の直鎖状オリゴマー)を使用したこと以外は、実施例1と同様に保護層を形成した。
【0076】
[実施例3]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<保護層>
ポリエステル樹脂の固形分として含有率が0.2質量%となるようにしたこと以外は、実施例2と同様に保護層を形成した。
【0077】
[実施例4]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<保護層>
ポリエステル樹脂の固形分として含有率が1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例2と同様に保護層を形成した。
【0078】
[実施例5]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<保護層>
ポリエステル樹脂の固形分として含有率が1.2質量%となるようにしたこと以外は、実施例2と同様に保護層を形成した。
【0079】
[実施例6]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<ポリカルボジイミド(A)>
ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート100質量部とカルボジイミド化触媒(3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド)0.5質量部とを、反応容器に入れ、窒素気流下190℃で24時間撹拌し、イソシアネート末端ジシクロヘキシルメタンポリカルボジイミドを得た。それを150℃まで加熱し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量500)54.5質量部を加え、180℃まで加熱して撹拌しながら2時間反応させ、ポリカルボジイミド(A)を得た。
<ポリカルボジイミド(B)>
ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート100質量部とシクロヘキシルイソシアネート(分子量125)19.1質量部とカルボジイミド化触媒(3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド)1.2質量部とを、反応容器に入れ、窒素気流下180℃で60時間反応させ、ポリカルボジイミド(B)を得た。
<水性樹脂架橋剤(70/30)>
ポリカルボジイミド(A)と(B)の質量比が70/30となるように配合し、150℃で4時間撹拌後、イオン交換水150質量部で希釈し、水性樹脂架橋剤(70/30)を得た。
<保護層>
ビニル系樹脂として、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略すこともある。重合度1,700、けん化度98.5%)を、質量比で水/イソプロピルアルコール=97/3の溶媒に投入し、90℃で加熱撹拌して固形分10質量%のPVA溶液を得た。次いで、直鎖状ポリシロキサンとしてコルコート株式会社製エチルシリケート40(平均10量体の直鎖状オリゴマー)11.2g、メタノール16.9gを混合した溶液に、0.06N塩酸水溶液7.0gを液滴して、10量体シリケート加水分解液を得た。次いで、ポリエステル樹脂として、互応化学株式会社製GX-1157を水で希釈して固形分10質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。次いで、PVAを固形分含有率として15質量%、ポリエステル樹脂を固形分含有率として0.2質量%、水性樹脂架橋剤(70/30)を固形分含有率として0.1質量%となるように、PVA溶液、ポリエステル樹脂溶液、水性樹脂架橋剤溶液、10量体シリケート加水分解液を混合・撹拌し、水で希釈して固形分13質量%の保護層塗液を得た。この塗液をグラビアコート法により無機層上に塗工後130℃で乾燥し、乾燥後の平均厚み400nmの保護層を形成し、積層体とした。
【0080】
[実施例7]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<水性樹脂架橋剤(40/60)>
ポリカルボジイミド(A)と(B)の質量比が40/60となるように配合し、150℃で4時間撹拌後、イオン交換水150質量部で希釈し、水性樹脂架橋剤(40/60)を得た。
<保護層>
水性樹脂架橋剤(70/30)を水性樹脂架橋剤(40/60)に変更したこと以外は、実施例6と同様に保護層を形成した。
【0081】
[実施例8]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<水性樹脂架橋剤(30/70)>
ポリカルボジイミド(A)と(B)の質量比が30/70となるように配合し、150℃で4時間撹拌後、イオン交換水150質量部で希釈し、水性樹脂架橋剤(30/70)を得た。
<保護層>
水性樹脂架橋剤(70/30)を水性樹脂架橋剤(30/70)に変更したこと以外は、実施例6と同様に保護層を形成した。
【0082】
[実施例9]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<水性樹脂架橋剤(40/60)>
実施例7と同様に水性樹脂架橋剤(40/60)を得た。
<保護層>
水性樹脂架橋剤(40/60)の固形分として含有率が0.15質量%となるようにしたこと以外は、実施例7と同様に保護層を形成した。
【0083】
[実施例10]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<水性樹脂架橋剤(40/60)>
実施例7と同様に水性樹脂架橋剤(40/60)を得た。
<保護層>
水性樹脂架橋剤(40/60)の固形分として含有率が0.25質量%となるようにしたこと以外は、実施例7と同様に保護層を形成した。
【0084】
[実施例11]
<無機層>
実施例1と同様に無機層を形成した。
<水性樹脂架橋剤(40/60)>
実施例7と同様に水性樹脂架橋剤(40/60)を得た。
<保護層>
水性樹脂架橋剤(40/60)の固形分として含有率が0.30質量%となるようにしたこと以外は、実施例7と同様に保護層を形成した。
【0085】
[実施例12]
<無機層>
基材フィルムとして、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 「ルミラー」P60)を使用し、ロール・ツー・ロール真空蒸着機内で、巻きだした基材フィルムに高周波誘導加熱のるつぼ方式のアルミニウム蒸発源でアルミニウムを蒸発させ、基材フィルムにアルミニウムを付着させた。蒸発したアルミニウムが基材フィルムに付着する最も巻取り側の位置に酸素ガスを供給することで、アルミニウム金属層膜厚が40nmおよび酸化アルミニウム層膜厚が4nmになるように連続的に無機層を形成した。アルミニウム金属層膜厚、酸化アルミニウム層膜厚みの測定は以下の方法で行った。
【0086】
まずX線光電子分光法(XPS)を用いて、深さ方向に組成分析評価を行い、デプスプロファイルにより無機の膜構成を確認した。尚、金属元素については、酸化物成分と金属成分の成分を分離してプロファイル化した。樹脂層及び保護層側の表層からイオンエッチングを行いながら基材に到達するまでデータを収集し、得られた各元素のデプスプロファイルから組成の連続的な増加又は減少の有無を確認した。尚、連続的な増加又は減少の有無については、前記増加又は減少の長さが2nm以上存在する場合に、連続的な増加又は減少が有ると判断した。
【0087】
測定条件は下記の通りとした。
・装置:X線光電子分光装置(PHI社製Quantera SXM)
・励起X線:monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)
・X線径:100μm
・光電子脱出角度:45°(試料表面に対する検出器の傾き)
・イオンエッチング条件:Ar+イオン3kV、ラスターサイズ 2×2mm(エッチング領域)、エッチングレート 12.0nm/分
次いで、前述の方法にて無機層の総厚みを求めた。無機層の総厚みとデプスプロファイルの無機層に該当する領域から、アルミニウム金属層膜厚、酸化アルミニウム層膜厚みのそれぞれの膜厚を算出した。
<保護層>
実施例3と同様に保護層を形成した。
【0088】
[比較例1]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ポリエステル樹脂を混合せずに実施例2と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂を含まないため、インキ密着発現比率が1以上となった。
【0089】
[比較例2]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂を混合せず、ポリエステル樹脂の固形分として含有率が0.05質量%となるようにしたこと以外は、実施例2と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂の含有率が少なく、インキ密着発現比率が1以上となった。
【0090】
[比較例3]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂を混合せず、ポリエステル樹脂の固形分として含有率が1.50質量%となるようにしたこと以外は、実施例2と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂の含有率が多く、インキ密着発現比率が1以上となった。
【0091】
[比較例4]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂を混合せず、ポリエステル樹脂の固形分として含有率が5.00質量%となるようにしたこと以外は、実施例2と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂の含有率が多く、インキ密着発現比率が1以上となった。
【0092】
[比較例5]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂を混合しないようにしたこと以外は、実施例6と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂を含まないため、水性樹脂架橋剤(70/30)のみを含んでもいてもインキ密着発現比率が1以上となった。
【0093】
[比較例6]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂を混合しないようにしたこと以外は、実施例7と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂を含まないため、水性樹脂架橋剤(40/60)のみを含んでもいてもインキ密着発現比率が1以上となった。
【0094】
[比較例7]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂を混合しないようにしたこと以外は、実施例8と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂を含まないため、水性樹脂架橋剤(30/70)のみを含んでもいてもインキ密着発現比率が1以上となった。
【0095】
[比較例8]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂を混合せず、ポリエステル樹脂の固形分として含有率が0.05質量%、水性樹脂架橋剤(40/60)の固形分として含有率が0.05質量%となるようにしたこと以外は、実施例7と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂の含有率と水性樹脂架橋剤の含有率がいずれも少なく、インキ密着発現比率が1以上となった。
【0096】
[比較例9]
実施例1と同様に形成した無機層上に、ビニル系樹脂を混合せず、ポリエステル樹脂の固形分として含有率が0.05質量%、水性樹脂架橋剤(40/60)の固形分として含有率が0.35質量%となるようにしたこと以外は、実施例7と同様に保護層を形成し、積層体を得たが、ポリエステル樹脂の含有率が少なく、水性樹脂架橋剤の含有率が多いため、インキ密着発現比率が1以上となった。
【0097】
【表1】
【0098】
以上の各実施例の結果より明らかなように、本発明の積層体は、ガスバリア性とともにインキ密着発現比率に優れることから、優れた印刷性が発現するものであった。
【0099】
保護層にポリエステル樹脂を0.10~1.20質量%含有することで(実施例1~5)、ポリエステル樹脂を含まない場合(比較例1)、ポリエステル樹脂が0.05質量%以下である場合(比較例2)、ポリエステル樹脂が1.50%以上である場合(比較例3、4)と比較して印刷性が向上した。また、保護層に水性樹脂架橋剤を0.10~0.30質量%に含む場合(実施例6~11)、さらに印刷性が向上した。但し、水性樹脂架橋剤中のカルボジイミド(A)と(B)の比率を変化しても、印刷性は変化しなかった(実施例6~8)。
【0100】
但し、保護層にポリエステル樹脂を含まず、水性樹脂架橋剤を0.10質量%含む場合(比較例5~7)と、保護層にポリエステル樹脂を0.05質量%含み、水性樹脂架橋剤を0.05質量%含む場合(比較例6)は、ポリエステル樹脂と水性樹脂架橋剤をいずれも含まない場合(比較例1)と印刷性は同等であった。また、保護層にポリエステル樹脂を0.05質量%含み、水性樹脂架橋剤を0.35質量%含む場合(比較例7)には、印刷性が悪化した。