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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150285
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】モルタル均し装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/20 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
E01C19/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052830
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】林 知三夫
(72)【発明者】
【氏名】市毛 敬介
(72)【発明者】
【氏名】柏本 昭信
(72)【発明者】
【氏名】酒井 伯文
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA08
2D052AD12
2D052CA01
(57)【要約】
【課題】 モルタル均し装置において、モルタルを均す時間を短縮する技術を提供する。
【解決手段】 モルタル均し装置は、モルタルの表面に沿わせて移動させることで、モルタルの表面を均して仕上げ面を形成する均し部と、均し部に接続され、水糸との平行度合いを確認するための検査面であって、水糸までの高さを調整可能な検査面と、を備え、水糸と検査面との距離を一定に保つことで、水糸と仕上げ面との間の距離を一定に保つことが可能である。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタルの上方に張られた水糸を基準にして前記モルタルを均すときに用いられるモルタル均し装置であって、
前記モルタルの表面に沿わせて移動させることで、前記モルタルの表面を均して仕上げ面を形成する均し部と、
前記均し部に接続され、前記水糸との平行度合いを確認するための検査面であって、前記水糸までの高さを調整可能な検査面と、を備え、
前記水糸と前記検査面との距離を一定に保つことで、前記水糸と前記仕上げ面との間の距離を一定に保つことが可能な、
モルタル均し装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモルタル均し装置は、さらに、
前記検査面と前記水糸との位置関係が映る鏡面であって、前記モルタル均し装置の使用者に前記位置関係を視認させるための鏡面を備える、
モルタル均し装置。
【請求項3】
請求項1に記載のモルタル均し装置は、さらに、
前記検査面と前記水糸との位置関係を撮像する撮像部と、
前記モルタル均し装置の使用者に、撮像された前記位置関係を表示するための表示部と、を備える、
モルタル均し装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のモルタル均し装置であって、
前記均し部は、モルタルの表面の一部を取り除くブレードと、モルタルの表面を均す均しプレートと、を含んでいる、
モルタル均し装置。
【請求項5】
請求項4に記載のモルタル均し装置であって、
前記均しプレートは、両側に、前記モルタルを転圧可能な立ち上がり部を有する、
モルタル均し装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のモルタル均し装置であって、
前記均し部は、前記ブレードに形成されている開口を通るモルタルを回収するモルタル回収部を含んでいる、
モルタル均し装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のモルタル均し装置であって、
前記均し部は、前記仕上げ面に対する前記ブレードの高さを調整する高さ調整部を含んでいる、
モルタル均し装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のモルタル均し装置は、さらに、
前記モルタル均し装置の使用者が把持する棒状の把持部と、
前記均し部と前記把持部とに接続し、前記仕上げ面に対する前記把持部の取り付け角度を調整する角度調整部と、を備える、
モルタル均し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタル均し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モルタルの表面を均すモルタル均し装置が知られている(例えば、特許文献1)。通常、水糸を基準にしてモルタルの表面を均す場合、最初に、適度に盛られているモルタルの表面をトンボなどの道具を使って均す。この均し作業の後、水糸とモルタルの表面との間の距離を定規などによって確認しながら、余分なモルタルを取り除いたり、足りない部分にモルタルを継ぎ足したりして、モルタルの表面の高さを調整し、仕上げ面を形成する。このように、水糸を基準にしてモルタルを均す場合、モルタルの表面を均す均し作業と、モルタルの表面の高さを調整する高さ調整作業とを別々に行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-293620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、均し作業と高さ調整作業とを別々に行うことから、モルタルを施工するには時間がかかり、効率化を図る装置が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、モルタル均し装置において、モルタルを均す時間を短縮する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、モルタルの上方に張られた水糸を基準にして前記モルタルを均すときに用いられるモルタル均し装置が提供される。このモルタル均し装置は、前記モルタルの表面に沿わせて移動させることで、前記モルタルの表面を均して仕上げ面を形成する均し部と、前記均し部に接続され、前記水糸との平行度合いを確認するための検査面であって、前記水糸までの高さを調整可能な検査面と、を備え、前記水糸と前記検査面との距離を一定に保つことで、前記水糸と前記仕上げ面との間の距離を一定に保つことが可能である。
【0008】
この構成によれば、モルタルの表面を均して仕上げ面を形成する均し部には、水糸との平行度合いを確認するための検査面が接続されており、水糸と検査面との距離を一定に保つことで、水糸と仕上げ面との間の距離を一定に保つことが可能である。これにより、このモルタル均し装置をモルタルの表面に沿わせて移動させることで、モルタルの表面を均しつつ、水糸に対する高さを調整した仕上げ面を形成することができる。したがって、モルタルの表面を均す均し作業と、均したモルタルの表面の高さを調整する高さ調整作業と、を並列して行うことができるため、モルタルを均す時間が短縮され、モルタルの施工効率を向上することができる。
【0009】
(2)上記形態のモルタル均し装置において、前記検査面と前記水糸との位置関係が映る鏡面であって、前記モルタル均し装置の使用者に前記位置関係を視認させるための鏡面を備えてもよい。この構成によれば、モルタル均し装置は、検査面と水糸との位置関係が映る鏡面を備えている。この鏡面は、検査面と水糸との位置関係をモルタル均し装置の使用者に視認させることができるため、使用者は、検査面と水糸との位置関係が確認しやすくなる。これにより、使用者は、鏡面に映る検査面と水糸との位置関係から、水糸と仕上げ面との間の距離を予測し、水糸と仕上げ面との間の距離を一定に保たせることができる。したがって、モルタル均し装置をモルタルの表面に沿わせて移動させることで、均し作業と高さ調整作業とを並行して行うことができるため、モルタルを均す時間が短縮することができる。
【0010】
(3)上記形態のモルタル均し装置において、前記検査面と前記水糸との位置関係を撮像する撮像部と、前記モルタル均し装置の使用者に、撮像された前記位置関係を表示するための表示部と、を備えてもよい。この構成によれば、モルタル均し装置は、検査面と水糸との位置関係を撮像する撮像部と、モルタル均し装置の使用者に対して撮像部が撮像した検査面と水糸との位置関係を表示する表示部と、を備える。これにより、使用者は、検査面と水糸との位置関係を表示部によって確認しやすいため、検査面と水糸との位置関係から、水糸と仕上げ面との間の距離を予測し、水糸と仕上げ面との間の距離を一定に保たせることができる。したがって、モルタル均し装置をモルタルの表面に沿わせて移動させることで、均し作業と高さ調整作業とを並行して行うことができるため、モルタルを均す時間を短縮することができる。
【0011】
(4)上記形態のモルタル均し装置において、前記均し部は、モルタルの表面の一部を取り除くブレードと、モルタルの表面を均す均しプレートと、を含んでいてもよい。この構成によれば、モルタル均し装置をモルタルの表面に沿わせて移動させると、ブレードによってモルタルの表面の一部を取り除いたのち、ブレードによって表面の一部が取り除かれたモルタルの表面を均しプレートによって均すことで、仕上げ面が形成される。これにより、適度に盛られたモルタルを均しプレートによって直接均す場合に比べ、仕上げ面を形成する作業を容易に行うことができる。したがって、モルタルを均す時間をさらに短縮することができる。
【0012】
(5)上記形態のモルタル均し装置において、前記均しプレートは、両側に、前記モルタルを転圧可能な立ち上がり部を有してもよい。この構成によれば、均しプレートは、モルタルを転圧可能な立ち上がり部を両側に有する。これにより、モルタル均し装置をモルタルの表面に沿わせて押し進めることで前進させてモルタルの表面を均す場合、両側の立ち上がり部のうちの前側の立ち上がり部によってモルタルを効率的に転圧しつつ均すことができる。さらに、均しプレートが通過した後に一度均したモルタルの表面の状態が十分でないと確認された場合、モルタル均し装置を手前に引いて後退させることで、両側の立ち上がり部のうちの後側の立ち上がり部によって、再度転圧しつつ均し直すことができる。これにより、モルタル均し装置の押し引きによって、前側の立ち上がり部で均されたモルタルの表面を後側の立ち上がり部で再度均すことができるため、仕上げ面を別途修正する手間を省くことができる。したがって、モルタルを均す時間をさらに短縮することができる。
【0013】
(6)上記形態のモルタル均し装置において、前記均し部は、前記ブレードに形成されている開口を通るモルタルを回収するモルタル回収部を含んでもよい。この構成によれば、ブレードによって取り除かれたモルタルの一部は、ブレードに沿って移動し、ブレードに形成されている開口を通り、モルタル回収部に回収される。これにより、ブレードによって取り除かれたモルタルが均しプレートによって均される前のモルタルの表面に戻ることを抑制できるため、比較的容易に仕上げ面を形成することができる。したがって、モルタルを均す時間をさらに短縮することができる。
【0014】
(7)上記形態のモルタル均し装置において、前記均し部は、前記仕上げ面に対する前記ブレードの高さを調整する高さ調整部を含んでいてもよい。この構成によれば、均し部は、仕上げ面に対するブレードの高さを調整する高さ調整部を含んでいる。これにより、ブレードによって取り除かれるモルタルの量を調整することができる。例えば、ブレードを比較的高くセットした場合、均しプレートによって均されるモルタルの量は比較的多くなり、均しプレートは、モルタルに対する均しと転圧を同時に行うことができる。したがって、モルタルを均す時間をさらに短縮することができる。
【0015】
(8)上記形態のモルタル均し装置は、さらに、前記モルタル均し装置の使用者が把持する棒状の把持部と、前記均し部と前記把持部とに接続し、前記仕上げ面に対する前記把持部の取り付け角度を調整する角度調整部と、を備えてもよい。この構成によれば、モルタル均し装置は、モルタル均し装置の使用者が把持する棒状の把持部と、仕上げ面に対する把持部の取り付け角度を調整する角度調整部と、を備えている。これにより、仕上げ面に対して使用者が把持部を把持する角度を変更することができるため、立位での作業姿勢がとりやすくなる。したがって、使用者の身体的負担を軽減することができる。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、モルタル均し装置を含むシステム、これら装置およびシステムの制御方法、これら装置およびシステムを用いてモルタルを均す方法を実行させるコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のモルタル均し装置の側面図である。
図2】第1実施形態のモルタル均し装置の上面図である。
図3図1のA部拡大図である。
図4図2のB部拡大図である。
図5】本実施形態のモルタル均し装置が備える検査部の模式図である。
図6】モルタル均し装置の評価試験の方法を説明する模式図である。
図7】モルタル均し装置の評価試験の結果を説明する図である。
図8】第2実施形態のモルタル均し装置が備える検査部の模式図である。
図9】第3実施形態のモルタル均し装置の部分拡大図である。
図10】第4実施形態のモルタル均し装置の部分拡大図である。
図11】第5実施形態のモルタル均し装置の部分拡大図である。
図12】第6実施形態のモルタル均し装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のモルタル均し装置1の側面図である。図2は、第1実施形態のモルタル均し装置1の上面図である。図3は、図1のA部拡大図である。図4は、図2のB部拡大図である。第1実施形態のモルタル均し装置1は、建設現場などで水平線を示す基準として用いられる水糸9に対して、モルタル90の表面91が平行となるように、モルタル90を均すために用いられるものである。本実施形態のモルタル均し装置1は、均しプレート10と、掃き出し部15と、検査部20と、鏡23と、シャフト部30と、を備える。なお、説明の便宜上、図1から図4では、モルタル90を均すときに、モルタル均し装置1を押し進める方向をx軸方向とし、鉛直方向をz軸とし、x軸とz軸とに直交する方向をy軸方向とする。均しプレート10、および、掃き出し部15は、特許請求の範囲の「均し部」に相当する。
【0019】
均しプレート10は、底部11と、立ち上がり部12と、を備える。均しプレート10は、図1に示すように、底部11と、立ち上がり部12とが一体に形成されており、y軸に垂直な断面形状が曲面形状を有している。本実施形態では、均しプレート10は、y軸の垂直な断形状が、中心角が90度より小さい円弧形状となるように形成されている。
【0020】
底部11は、均しプレート10では最下部に位置している。本実施形態では、底部11は、モルタル90の表面91に接触する外壁面11aが曲面状に形成されている。底部11は、水糸9からの距離D0が一定に保たれるモルタル90の仕上げ面91aを形成する(図3参照)。
【0021】
立ち上がり部12は、底部11でのx軸のプラス側の端部に接続されている。立ち上がり部12は、底部11からz軸のプラス方向に立ち上がりつつ、x軸のプラス方向に延びるように形成されている。立ち上がり部12は、掃き出し部15によって一部が掃き出されたモルタル90の表面91を、底部11に先立って転圧しつつ均す。立ち上がり部12は、掃き出し部15を支持する。
【0022】
ベース部13は、均しプレート10の内側に組付けられている。ベース部13は、均しプレート10によってモルタル90の表面91を均すときの重りにもなる。ベース部13には、検査部20とシャフト部30とが接続されている。
【0023】
掃き出し部15は、ブレード16と、回収ボックス17と、接続部材18と、高さ調整部19と、を備える。掃き出し部15は、均しプレート10によって均される前のモルタル90の表面91の一部を取り除くことで、モルタル90の表面91をある程度平らにする。これにより、均しプレート10は、モルタル90の表面91を均しやすくなる。
【0024】
ブレード16は、モルタル均し装置1では、x軸の最もプラス側に配置されている平面形状の板状部材である。ブレード16は、z軸のマイナス側の端部16aがz軸のプラス側の端部16bに比べ、x軸のプラス側に位置するように、z軸に対して斜めに配置されている。ブレード16は、モルタル均し装置1によって均される前のモルタル90の表面91の一部を取り除く。ブレード16には、ブレード16によって取り除かれたモルタル90がブレード16の前面16cに沿って移動するモルタルが通過する開口16dが形成されている。
【0025】
回収ボックス17は、ブレード16のx軸のマイナス側に取り付けられている。回収ボックス17は、ブレード16の開口16dを通るモルタルを回収する。回収ボックス17には、y軸方向の両端に開口17aが形成されている(図4参照)。回収ボックス17は、特許請求の範囲に記載の「モルタル回収部」に相当する。
【0026】
接続部材18は、ブレード16および回収ボックス17と、均しプレート10とを接続する。高さ調整部19は、立ち上がり部12の外壁面12aに取り付けられている。高さ調整部19は、接続部材18をz軸方向に移動可能な状態で支持している。これにより、高さ調整部19は、モルタル90の仕上げ面91aに対するブレード16の端部16aの位置を調整することができるため、掃き出し部15によるモルタル90の掃き出し量を調整することができる。
【0027】
検査部20は、検査プレート21と、高さ調整部22と、を備える。検査部20は、モルタル均し装置1と水糸9との位置関係を確認するために用いられる。
【0028】
検査プレート21は、平板形状の部材であって、xy平面に略平行な検査面21aが形成されている。検査面21aは、水糸9との平行度合いを確認することで、水糸9と検査面21aとの距離を目視等によって測定することができる。検査面21aには、検査面21aの平面度合いを確認するための水準器21bが取り付けられている。
【0029】
高さ調整部22は、検査プレート21とベース部13とに接続されている。高さ調整部22では、ベース部13に接続されている円筒部22aの内部に、検査プレート21に接続されている円柱部22bが挿入されている。高さ調整部22は、例えば、ラックアンドピニオン機構を備えており、調整ダイヤル22cの回転によって円筒部22aに対する円柱部22bの挿入の度合いを調整することで、検査プレート21とベース部13との間の距離を変更可能である。これにより、高さ調整部22は、検査面21aから水糸9までの高さを調整することができる。なお、高さ調整部22における高さを調整する機構はこれに限定されない。
【0030】
鏡23は、検査プレート21におけるy軸のマイナス側の端部に接続されている。鏡23の検査プレート21側の面は、検査面21aと水糸9との位置関係が映る鏡面23aとなっている。
【0031】
図5は、本実施形態のモルタル均し装置1が備える検査部20の模式図である。図5(a)は、z軸のプラス側からマイナス側に向かって検査部20を見た図(上面図)であり、図5(b)は、x軸のプラス側からマイナス側に向かって検査部20を見た図(正面図)である。モルタル均し装置1を用いてモルタル90を均すとき、図5に示すように、検査面21aの上方に水糸9を通しつつ、水糸9と検査面21aとが鏡23の鏡面23aに映し出されるように、モルタル均し装置1をセットする(図5(a)の符号9L、21aL参照)。本実施形態では、鏡面23aは、水平面に対して約45度の角度で傾くように配置されているため、鏡面23aに映し出されている水糸9と検査面21aとの位置関係は、検査面21aの上方においてシャフト部30を把持するモルタル均し装置1の使用者によって視認可能となっている(図5(b)の点線矢印DL1、DL2参照)。これにより、使用者は、例えば、水糸9と検査面21aとの間の距離D1の大きさや、水糸9と検査面21aとが平行か否かなどを判断することができる(図5(a)参照)。したがって、使用者は、水糸9に対する仕上げ面91aの高さ調整を容易に行うことができる。
【0032】
シャフト部30は、連結部31と、把持部32と、連結部31と把持部32とを接続する角度調整部33と、を備える。連結部31は、一端がベース部13に接続されている。把持部32は、一端が角度調整部33を介して、回転可能に連結部31の他端に接続されている。把持部32は、モルタル均し装置1の使用者が把持する部分となる。角度調整部33は、連結部31と把持部32とがなす角度を調整し固定する。これにより、連結部31が接続する均しプレート10と把持部32とがなす角度を任意に調整することができる。
【0033】
次に、本実施形態のモルタル均し装置1によるモルタルの均し方法について説明する。モルタル90の均し方法では、最初に、モルタル90を設置するコンクリート基盤などの上に、適度な高さのモルタル90を盛る。その後、盛られた状態のモルタル90の表面91と水糸9との間に、モルタル均し装置1をセットする。このとき、上述した図5に示すように、検査面21a上に、水糸9が通るように、モルタル均し装置1をセットする。モルタル均し装置1の使用者は、鏡23の鏡面23aに映し出される水糸9と検査面21aとの位置関係を見ながら、水糸9と検査面21aとの平行度合いを確認しつつ、モルタル均し装置1をモルタル90の表面上で移動させる(図3および図4の白抜き矢印A1)。
【0034】
モルタル均し装置1をモルタル90の表面91に沿って移動させると、最初に、ブレード16によって、モルタル90の表面91の一部が取り除かれる。この取り除かれたモルタル90の一部は、ブレード16の前面16cに沿ってz軸のプラス方向に移動し、ブレード16の開口16dを通って回収ボックス17に回収される。回収ボックス17に回収されたモルタル90は、回収ボックス17の両端の開口17aを通って、ブレード16によってモルタル90が取り除かれた範囲の外側に排出される。これにより、掃き出し部15によって取り除かれたモルタル90が均しプレート10によって均される前のモルタル90の表面91上に戻ることはなく、均し作業に影響を及ぼさない。また、回収ボックス17は、取り外し可能であって、回収したモルタルを回収ボックス17の取り外しによって、排出してもよい。
【0035】
掃き出し部15によって一部が取り除かれたモルタル90の表面91は、均しプレート10の立ち上がり部12によって転圧され、平らな状態に均される(均し作業)。その後、転圧されたモルタル90の表面91は、底部11によってさらに転圧される。底部11がモルタル90を転圧するとき、検査部20を利用して、底部11の外壁面11aに接触している表面91の高さが調整され、目標とする高さの仕上げ面91aが形成される(高さ調整作業)。
【0036】
次に、モルタル均し装置の評価試験について説明する。本評価試験では、モルタルの代わりに砂を用いて、砂の表面を均す均し作業と、砂の表面の高さを目標の高さとする高さ調整作業とを行った場合に、一定の時間でこれらの作業をおこなうことができる距離を複数の方法について比較した。
【0037】
図6は、モルタル均し装置の評価試験の方法を説明する模式図である。本評価試験では、コンクリート基盤95上に盛られた砂96を、コンクリート基盤95から高さH1(240mm)上方に張られた水糸97を基準として、水糸97から砂96の表面96aまでの距離が距離H2(200mm)となるように均す。本評価試験では、30秒間で均すことができた距離(例えば、図6に示す距離L1)を測定した。本評価試験で比較した方法は、以下の3種類である。実験回数は、それぞれ10回とした。
「本実施形態」
モルタル均し装置1の検査面21aと水糸97とが平行になるように目視で確認しながら、モルタル均し装置1を移動させて、砂96を均す方法
「比較例1」
木の棒で一定の距離の砂96を均してから、その均した表面96aと水糸97との距離を定規で計測し、高さの調整を行う方法(この方法では、均し作業と高さ調整作業を一定の距離ごとに繰り返し行う)
「比較例2」
トンボで一定の距離の砂96を均してから、その均した表面96aと水糸97との距離を定規で計測し、高さの調整を行う方法(この方法では、均し作業と高さ調整作業を一定の距離ごとに繰り返し行う)
【0038】
図7は、モルタル均し装置の評価試験の結果を説明する図である。図7に示すように、本実施形態のモルタル均し装置1を用いた方法(「本実施形態」)では、「比較例1」および「比較例2」に比べて、約2倍の長さの砂96の表面96aを均すことができることが明らかとなった。すなわち、本実施形態の方法でモルタル90の表面91を均すと、「比較例1」および「比較例2」に比べて、作業時間を約半分に短縮することができることが明らかとなった。
【0039】
また、本評価試験で比較した3つの方法のうち、「比較例1」と「比較例2」とでは、木の棒やトンボで砂96の表面96aを均したのち、定規で高さを調整する作業を行う。モルタルは、比較的低い位置に盛られることが多いため、均し作業のときには立位姿勢またはしゃがみ込む姿勢で行う一方、高さ調整作業のときにはしゃがみ込む姿勢が多くなり、腰を痛めるなどの身体的負担が大きくなる。一方、本実施形態の方法では、使用者がシャフト部30をもってモルタル均し装置1を動かすことで、均し作業と高さ調整作業との全てを立位姿勢で行うことができるため、身体的負担を少なくすることもできる。
【0040】
以上説明した、本実施形態のモルタル均し装置1によれば、均しプレート10は、モルタル90の表面91を均して仕上げ面91aを形成する。均しプレート10に接続する検査部20には、水糸9との平行度合いを確認するための検査面21aが形成されており、水糸9と検査面21aとの距離を一定に保つことで、水糸9と仕上げ面91aとの間の距離D0(図3参照)を一定に保つことが可能である。これにより、モルタル均し装置1をモルタル90の表面91に沿わせて移動させることで、モルタル90の表面91を均しつつ、水糸9に対する高さを調整した仕上げ面91aを形成することができる。したがって、モルタル90の表面91を均す均し作業と、均したモルタル90の表面91の高さを調整する高さ調整作業と、を並列して行うことができるため、モルタル90を均す時間が短縮され、モルタル90の施工効率を向上することができる。
【0041】
また、本実施形態のモルタル均し装置1によれば、モルタル均し装置1は、検査面21aと水糸9との位置関係が映る鏡面23aを備えている。この鏡面23aは、検査面21aと水糸9との位置関係をモルタル均し装置1の使用者に視認させることができるため、使用者は、検査面21aと水糸9との位置関係が確認しやすくなる。これにより、使用者は、鏡面23aに映る検査面21aと水糸9との位置関係から、水糸9と仕上げ面91aとの間の距離D0を予測し、水糸9と仕上げ面91aとの間の距離D0を一定に保たせることができる。したがって、モルタル均し装置1をモルタル90の表面91に沿わせて移動させることで、均し作業と高さ調整作業とを並行して行うことができるため、モルタル90を均す時間を短縮することができる。
【0042】
また、本実施形態のモルタル均し装置1によれば、モルタル均し装置1をモルタル90の表面91に沿わせて移動させると、ブレード16によってモルタル90の表面91の一部を取り除いたのち、ブレード16によって表面91の一部が取り除かれたモルタル90の表面91を均しプレート10によって均すことで、仕上げ面91aが形成される。これにより、適度に盛られたモルタル90を均しプレート10によって直接均す場合に比べ、仕上げ面91aを形成する作業を容易に行うことができる。したがって、モルタル90を均す時間をさらに短縮することができる。
【0043】
また、本実施形態のモルタル均し装置1によれば、ブレード16によって取り除かれたモルタル90の一部は、ブレード16の前面16cに沿って移動し、ブレード16に形成されている開口16dを通り、回収ボックス17に回収される。これにより、ブレード16によって取り除かれたモルタル90が均しプレート10によって均される前のモルタル90の表面91に戻ることを抑制できるため、比較的容易に仕上げ面91aを形成することができる。したがって、モルタル90を均す時間をさらに短縮することができる。
【0044】
また、本実施形態のモルタル均し装置1によれば、掃き出し部15は、仕上げ面91aに対するブレード16の高さを調整する高さ調整部19を含んでいる。これにより、ブレード16によって取り除かれるモルタル90の量を調整することができる。例えば、ブレード16を比較的高くセットした場合、均しプレート10によって均されるモルタル90の量は比較的多くなり、均しプレート10は、モルタル90に対する均しと転圧を同時に行うことができる。これにより、モルタル90を均す時間をさらに短縮することができる。
【0045】
また、本実施形態のモルタル均し装置1は、モルタル均し装置1の使用者が把持する把持部32と、仕上げ面91aに対する把持部32の取り付け角度を調整する角度調整部33と、を備えている。これにより、仕上げ面91aに対して使用者が把持部32を把持する角度を変更することができるため、立位での作業姿勢がとりやすくなる。したがって、使用者の身体的負担を軽減することができる。
【0046】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態のモルタル均し装置が備える検査部の模式図である。第2実施形態のモルタル均し装置は、第1実施形態のモルタル均し装置1(図3)と比較すると、水糸との平行度合いを確認するための検査部の構成が異なる。
【0047】
第2実施形態のモルタル均し装置は、均しプレート10と、掃き出し部15と、検査部20と、撮像部43と、画像表示部44と、シャフト部30と、を備える。撮像部43は、検査プレート21におけるy軸のマイナス側に接続されているカメラである。撮像部43は、検査プレート21の検査面21aと検査面21aの上方に位置する水糸9との位置関係を撮像する(図8(b)の点線矢印DL1、DL2参照)。
【0048】
画像表示部44は、例えば、シャフト部30の把持部32に取り付けられているディスプレイである。図8(c)に示すように、画像表示部44に表示される水糸9と検査面21aとの位置関係は、本実施形態のモルタル均し装置の使用者から視認可能である(図8(c)の符号9L、21aL参照)。これにより、使用者は、水糸9と検査面21aとの間の距離D2の大きさや、水糸9と検査面21aとが平行か否かなどを判断することができる(図8(c)参照)。したがって、使用者は、水糸9に対するモルタル90の表面91の高さ調整を容易に行うことができる。
【0049】
以上説明した、第2実施形態のモルタル均し装置によれば、検査面21aと水糸9との位置関係を撮像する撮像部43と、モルタル均し装置の使用者に対して撮像部43が撮像した検査面21aと水糸9との位置関係を表示する画像表示部44と、を備える。これにより、使用者は、検査面21aと水糸9との位置関係を画像表示部44によって確認しやすいため、検査面21aと水糸9との位置関係から、水糸9と仕上げ面91aとの間の距離D0を予測し、水糸9と仕上げ面91aとの間の距離D0を一定に保たせることができる。したがって、本実施形態のモルタル均し装置をモルタル90の表面91に沿わせて移動させることで、均し作業と高さ調整作業とを並行して行うことができるため、モルタル90を均す時間を短縮することができる。
【0050】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態のモルタル均し装置3の部分拡大図である。第3実施形態のモルタル均し装置3は、第1実施形態のモルタル均し装置1(図3)と比較すると、均しプレートの形状が異なる。
【0051】
本実施形態のモルタル均し装置3は、均しプレート50と、掃き出し部15と、検査部20と、シャフト部30と、を備える。なお、説明の便宜上、図9では、モルタル90の表面91を均すときに、モルタル均し装置3を押し進める方向をx軸方向とし、鉛直方向をz軸とし、x軸とz軸とに直交する方向をy軸方向とする。
【0052】
均しプレート50は、底部51と、立ち上がり部52、53と、を備える。均しプレート50では、底部51と立ち上がり部52、53とは、図9に示すように、一体に形成されている。
【0053】
底部51は、均しプレート50において最下部に位置している。本実施形態では、底部51は、平面状に形成されており、外壁面51aがモルタル90の表面91に接触する。底部51は、モルタル90の仕上げ面91aを形成する。
【0054】
立ち上がり部52は、底部51でのx軸のプラス側に端部に接続されている。立ち上がり部52は、底部51からz軸のプラス方向に立ち上がりつつ、x軸のプラス方向に延びるように形成されている。本実施形態では、立ち上がり部52は、平面状に形成されている。立ち上がり部52は、掃き出し部15によって一部が掃き出されたモルタル90の表面91を、底部51に先立って転圧しつつ均す。立ち上がり部52は、掃き出し部15を支持する。
【0055】
立ち上がり部53は、底部51でのx軸のマイナス側に端部に接続されている。立ち上がり部53は、底部51からz軸のプラス方向に立ち上がりつつ、x軸のマイナス方向に延びるように形成されている。立ち上がり部53は、平面状に形成されている。
【0056】
モルタル90の表面91を均すとき、モルタル均し装置3を前進(図9の白抜き矢印A31の方向への移動)させると、最初に、掃き出し部15によってモルタル90の表面91の一部が取り除かれたのち、立ち上がり部52によって転圧されつつ均される。転圧されたモルタル90の表面91は、底部51によって高さの調整が行われ、仕上げ面91aが形成される。
【0057】
仕上げ面91aを形成したのち、底部51が仕上げ面91a上を通過してから、例えば、仕上げ面91aの状態が満足できない場合などにおいて、使用者は、モルタル均し装置3を後退(図9の白抜き矢印A32の方向への移動)させる。これにより、立ち上がり部53によってモルタル90の表面91が再度転圧されつつ均され、底部51によって再度高さの調整が行われる。
【0058】
以上説明した、第3実施形態のモルタル均し装置3によれば、均しプレート10は、モルタル90を転圧可能な立ち上がり部52、53を両側に有する。これにより、モルタル均し装置3をモルタル90の表面91に沿わせて押すことで前進させてモルタル90の表面91を均す場合、両側の立ち上がり部52、53のうちの前側の立ち上がり部52によってモルタル90を効率的に転圧しつつ均すことができる。さらに、均しプレート10が通過した後に一度均したモルタル90の表面91の状態が十分でないと確認された場合、モルタル均し装置1を手前に引いて後退させることで、後側の立ち上がり部53によって、再度転圧しつつ均し直すことができる。これにより、モルタル均し装置3の押し引きによって、立ち上がり部52で均されたモルタル90の表面91を立ち上がり部53で再度均すことができるため、仕上げ面91aを別途修正する手間を省くことができる。したがって、モルタル90を均す時間をさらに短縮することができる。
【0059】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態のモルタル均し装置4の部分拡大図である。第4実施形態のモルタル均し装置4は、第1実施形態のモルタル均し装置1(図3)と比較すると、均し部材の形状が異なる。
【0060】
本実施形態のモルタル均し装置4は、均しプレート60と、掃き出し部15と、検査部20と、シャフト部30と、を備える。なお、説明の便宜上、図10では、モルタル90の表面91を均すときに、モルタル均し装置4を押し進める方向をx軸方向とし、鉛直方向をz軸とし、x軸とz軸とに直交する方向をy軸方向とする。
【0061】
均しプレート60は、底部51と、立ち上がり部62、63と、を備える。均しプレート60では、底部51と立ち上がり部62、63とは、図10に示すように、一体に形成されている。
【0062】
立ち上がり部62は、底部51でのx軸のプラス側に端部に接続されている。立ち上がり部62は、底部51からz軸のプラス方向に立ち上がりつつ、x軸のプラス方向に延びるように形成されている。本実施形態では、立ち上がり部62は、外壁面62aのy軸に垂直な断面形状が円弧形状となるように形成されている。立ち上がり部62は、掃き出し部15によって一部が掃き出されたモルタル90の表面91を、底部51に先立って転圧しつつ均す。立ち上がり部62は、掃き出し部15を支持する。
【0063】
立ち上がり部63は、底部51でのx軸のマイナス側に端部に接続されている。立ち上がり部63は、底部51からz軸のプラス方向に立ち上がりつつ、x軸のマイナス方向に延びるように形成されている。立ち上がり部63は、外壁面63aのy軸に垂直な断面形状が円弧形状となるように形成されている。
【0064】
モルタル90の表面91を均すとき、モルタル均し装置4を前進(図10の白抜き矢印A41の方向への移動)させると、立ち上がり部62によって転圧されつつ均され、底部51によって高さの調整が行われることで、仕上げ面91aが形成される。立ち上がり部63は、使用者がモルタル均し装置4を後退(図10の白抜き矢印A42の方向への移動)させるとき、モルタル90の表面91を再度均す。
【0065】
以上説明した、第4実施形態のモルタル均し装置4によれば、第3実施形態のモルタル均し装置3と同様に、両側の立ち上がり部62、63によって、モルタル均し装置4の押し引きのいずれによっても仕上げ面91aを形成することができる。モルタル均し装置4の立ち上がり部62、63のそれぞれは、外壁面62a、63aの形状が曲面形状となっているため、モルタル90を転圧するとき、均しプレート60がモルタル90に食い込みにくくなっている。これにより、モルタル均し装置4を押し引きする速度を上げてもモルタル90の表面91が傷つきにくく荒れにくいため、仕上げ面91aをさらに短時間で形成することができる。したがって、モルタル90を均す時間をさらに短縮することができる。
【0066】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態のモルタル均し装置5の部分拡大図である。第5実施形態のモルタル均し装置5は、第1実施形態のモルタル均し装置1(図4)と比較すると、ブレードの形状が異なる。
【0067】
本実施形態のモルタル均し装置5は、均しプレート10と、掃き出し部65と、検査部20と、シャフト部30と、を備える。なお、説明の便宜上、図11では、モルタル90の表面91を均すときに、モルタル均し装置5を押し進める方向をx軸方向とし、鉛直方向をz軸とし、x軸とz軸とに直交する方向をy軸方向とする。
【0068】
掃き出し部65は、ブレード66と、接続部材68と、高さ調整部19と、を備える。掃き出し部65は、均しプレート10によって均される前のモルタル90の表面91の一部を取り除くことで、モルタル90の表面91をある程度平らにする。
【0069】
ブレード66は、2枚の平面形状の板状部材をつなぎ合わせた形状をなしている。具体的には、図11のモルタル均し装置5の上面図に示すように、平面形状の右ブレード66aの一端と、平面形状の左ブレード66bの一端とが、モルタル均し装置5の中心軸CA5上で接続されている。右ブレード66aは、モルタル均し装置5の中心軸CA5上の部分からy軸のマイナス方向に向かうにしたがって、x軸のマイナス方向に延びている。左ブレード66bは、モルタル均し装置5の中心軸CA5上の部分からy軸のプラス方向に向かうにしたがって、x軸のマイナス方向に延びている。これにより、ブレード66は、中央部分がx軸のプラス方向に突出するように形成されている。ブレード66は、接続部材68によって均しプレート10に接続されている。
【0070】
モルタル90の表面91を均すとき、モルタル均し装置5をモルタル90の表面91に沿って移動させる(図11の白抜き矢印A5)と、ブレード66によって、モルタル90の表面91の一部が取り除かれる。ブレード66によって取り除かれたモルタル90は、右ブレード66aまたは左ブレード66bに沿ってモルタル均し装置5の中心軸CA5から離れていく(図11の白抜き矢印A51、A52)。これにより、ブレード66によって表面91から取り除かれたモルタル90は、モルタル90が取り除かれた範囲の外側に排出される。
【0071】
以上説明した、第5実施形態のモルタル均し装置5によれば、ブレード66によって取り除かれたモルタル90は、ブレード66の形状に沿って、モルタルが取り除かれた範囲の外側に排出される。これにより、掃き出し部65によって取り除かれたモルタル90が均しプレート10によって均される前のモルタル90の表面91上に戻ることが抑制されるため、均し作業に影響を及ぼさない。したがって、比較的容易に仕上げ面91aを形成することができるため、モルタル90を均す時間をさらに短縮することができる。
【0072】
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態のモルタル均し装置6の部分拡大図である。第6実施形態のモルタル均し装置6は、第1実施形態のモルタル均し装置1(図4)と比較すると、ブレードの形状が異なる。
【0073】
本実施形態のモルタル均し装置6は、均しプレート10と、掃き出し部75と、検査部20と、シャフト部30と、を備える。なお、説明の便宜上、図12では、モルタル90の表面91を均すときに、モルタル均し装置6を押し進める方向をx軸方向とし、鉛直方向をz軸とし、x軸とz軸とに直交する方向をy軸方向とする。
【0074】
掃き出し部75は、ブレード76と、接続部材78と、高さ調整部19と、を備える。掃き出し部75は、均しプレート10によって均される前のモルタル90の表面91の一部を取り除くことで、モルタル90の表面91をある程度平らにする。
【0075】
ブレード76は、1枚の平面形状の板状部材である。ブレード76は、図12に示すように、モルタル均し装置6のy軸のマイナス側からプラス側に向かうにしたがって、x軸のマイナス方向に延びており、モルタル均し装置6の中心軸CA6に対して傾斜している。ブレード76は、接続部材78によって均しプレート10に接続されている。
【0076】
モルタル90の表面91を均すとき、モルタル均し装置6をモルタル90の表面91に沿って移動させる(図12の白抜き矢印A6)と、ブレード76によって、モルタル90の表面91の一部が取り除かれる。ブレード76によって取り除かれたモルタル90は、ブレード76の傾斜に従ってモルタル均し装置6におけるy軸のマイナス側からプラス側に向かって移動する(図12の白抜き矢印A61)。これにより、ブレード76によって表面91から取り除かれたモルタル90は、モルタル90が取り除かれた範囲の外側に排出される。
【0077】
以上説明した、第6実施形態のモルタル均し装置6によれば、ブレード76によって取り除かれたモルタルは、ブレード76の傾斜に従って、モルタルが取り除かれた範囲の外側に排出される。これにより、掃き出し部75によって取り除かれたモルタルが均しプレート10によって均される前のモルタル90の表面91上に戻ることはなく、均し作業に影響を及ぼさない。したがって、比較的容易に仕上げ面91aを形成することができるため、モルタル90を均す時間をさらに短縮することができる。
【0078】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0079】
[変形例1]
上述の実施形態では、モルタル均し装置は、均しプレートと、掃き出し部と、検査部と、シャフト部と、を備えるとした。モルタル均し装置の構成は、これに限定されない。モルタルの表面を均す均しプレートと、検査部が有する検査面があればよい。例えば、アーム部がない代わりに、均しプレートに接続される駆動部を備え、使用者による押し引きに替えて、自動的にモルタルを均す装置としてもよい。
【0080】
[変形例2]
上述の実施形態では、モルタル均し装置は、モルタルの表面の一部を取り除くブレードと、モルタルの表面を均す均しプレートと、を備えているとした。ブレードはなくてもよい。ブレードがあることによって、均しプレートでモルタルの表面を均す前に、余分なモルタルを取り除き、ある程度平らにすることができるため、均しプレートによる仕上げ面の形成を容易に行うことができる。
【0081】
[変形例3]
第1実施形態では、鏡面を用いて、検査面と水糸との位置関係を使用者に視認させるとした。第2実施形態では、撮像部と表示部とを用いて、検査面と水糸との位置関係を使用者に視認させるとした。検査面と水糸との位置関係を使用者に視認させる構成はこれらに限定されない。検査面上の水糸と検査面との間の距離を直接視認してもよい。
【0082】
[変形例4]
第1実施形態のブレード16と、第5実施形態のブレード66と、第6実施形態のブレード76とは、相互に交換可能である。これにより、モルタルの状態や周辺環境によって、ブレードを使い分けることで、効率的にモルタルの表面を均すことができる。
【0083】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0084】
1,3,4,5,6…モルタル均し装置
9…水糸
10,50,60…均しプレート
16,66,76…ブレード
16d…開口
17…回収ボックス
19…高さ調整部
20…検査部
21a…検査面
23a…鏡面
30…シャフト部
32…把持部
43…撮像部
44…画像表示部
52,53,62,63…立ち上がり部
90…モルタル
91…表面
91a…仕上げ面
D0…水糸と仕上げ面との距離
D1、D2…水糸と検査面との距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12