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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150318
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20220929BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20220929BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B62B3/02 C
B62B3/00 G
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052881
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】514033770
【氏名又は名称】公立大学法人前橋工科大学
(71)【出願人】
【識別番号】515118014
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】朱 赤
(72)【発明者】
【氏名】李 沛譲
(72)【発明者】
【氏名】澤入 良樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 栄輝
(72)【発明者】
【氏名】田近 基孝
(72)【発明者】
【氏名】角田 勝
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050BB22
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050HH07
3D050JJ01
3D050KK14
(57)【要約】
【課題】荷台を昇降させる駆動源としての電動アクチュエータの小型化を可能とする運搬台車を提供する。
【解決手段】
運搬台車は、電動アクチュエータ91によって駆動されて移動する可動体93と、可動体93に連結された第1リンク部材951R(951L)と、軸部材952R(952L)を介して第1リンク部材951R(951L)に連結されると共に左右一対のX字状アーム71L、71R(75L、75R)に連結された第2リンク部材953R(953L)と、可動体93の移動に伴う軸部材952R(952L)の移動をガイドするガイド孔971R(971L)が形成されたガイド部材97R(97L)とを有し、可動体93の移動により第1、第2リンク部材951R、951L(953R、953L)を介して前記左右一対のX字状アームを上下方向に伸縮させて荷台50を昇降させる。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に車輪が取り付けられた基台と、前記基台の上方に配置された荷台と、前記基台と前記荷台との間に設けられて上下方向に伸縮可能な左右一対のX字状アームと、前記左右一対のX字状アームを伸縮させて前記荷台を昇降させる駆動装置とを有し、
前記駆動装置は、電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータによって駆動されて移動する可動体と、一端が前記可動体に回転自在に連結された第1リンク部材と、一端が前記左右一対のX字状アームに回転自在に連結されると共に他端が軸部材を介して前記第1リンク部材の他端に回転自在に連結された第2リンク部材と、前記可動体の移動に伴う前記軸部材の移動をガイドするガイド部が形成されたガイド部材とを有し、前記可動体の移動により前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材を介して前記左右一対のX字状アームを上下方向に伸縮させるように構成されている、
運搬台車。
【請求項2】
前記可動体は、前後方向に直線移動する、請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記荷台を上昇させる方向への前記可動体の移動に伴い前記軸部材を水平又は斜め下向きに移動させた後に斜め上向きに移動させるように形成されている、請求項2に記載の運搬台車。
【請求項4】
前記左右一対のX字状アームが上下に複数段積み重ねられている、請求項1~3のいずれか一つに記載の運搬台車。
【請求項5】
前記荷台を上昇させる上昇指令及び前記荷台を下降させる下降指令を含む前記荷台の動作指令に基づいて前記電動アクチュエータを制御する制御装置を含む、請求項1~4のいずれか一つに記載の運搬台車。
【請求項6】
前記電動アクチュエータは、電動モータと、前記電動モータによって減速機構を介して回転駆動される直動軸と、前記直動軸の回転に伴い前記直動軸の軸方向に移動する直動ナットとを含み、
前記可動体は、前記直動ナットに一体に設けられており、
前記制御装置は、前記荷台を上昇させる場合には前記電動モータを正転駆動し、前記荷台を下降させる場合には前記電動モータを逆転駆動する、
請求項5に記載の運搬台車。
【請求項7】
前記荷台に荷物が載置されていない場合には前記荷台の上面の上下方向の位置を検出する一方、前記荷台に荷物が載置されている場合には前記荷台に載置されている荷物の上面の上下方向の位置を検出可能な位置検出部を有し、
前記制御装置は、前記荷台が所定の昇降位置に保持されているときに前記位置検出部によって検出された位置を基準位置とし、前記荷台が保持される昇降位置が変更されるまでの間、前記位置検出部によって検出される位置が前記基準位置を一致するように前記電動アクチュエータを制御することが可能である、
請求項5又は6に記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台を昇降させることができる運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の運搬台車の一例として、特許文献1には、電動シリンダ(電動アクチュエータ)によってリフトアーム(X字状アーム)を伸縮駆動して荷台を昇降させる運搬台車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-274704公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X字状アームを伸縮駆動して荷台を昇降させる構成においては、通常、最下位置にある荷台を上昇させるときにそれ以外のときに比べて大きな力が必要になる。このため、荷台を昇降させる駆動源として電動アクチュエータが用いられる場合、最下位置にあり且つ荷物が載置された状態の荷台を上昇させるのに必要な出力を発揮し得る電動アクチュエータを採用せざるを得ず、電動アクチュエータの小型化が容易ではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、荷台を昇降させる駆動源としての電動アクチュエータの小型化を可能とする運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、運搬台車が提供される。前記運搬台車は、下部に車輪が取り付けられた基台と、前記基台の上方に配置された荷台と、前記基台と前記荷台との間に設けられて上下方向に伸縮可能な左右一対のX字状アームと、前記左右一対のX字状アームを伸縮させて前記荷台を昇降させる駆動装置とを有する。前記運搬台車において、前記駆動装置は、電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータによって駆動されて移動する可動体と、一端が前記可動体に回転自在に連結された第1リンク部材と、一端が前記左右一対のX字状アームに回転自在に連結されると共に他端が軸部材を介して前記第1リンク部材の他端に回転自在に連結された第2リンク部材と、前記可動体の移動に伴う前記軸部材の移動をガイドするガイド部が形成されたガイド部材とを有し、前記可動体の移動により前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材を介して前記左右一対のX字状アームを上下方向に伸縮させるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、荷台を昇降させる駆動源としての電動アクチュエータの小型化を可能とする運搬台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る運搬台車を前方から見た図である。
図2】前記運搬台車を後方から見た図である。
図3】前記運搬台車を右側方から見た図である。
図4】前記運搬台車を左側方から見た図である。
図5】前記運搬台車の基台及びハンドルを示す斜視図である。
図6】前記運搬台車の伸縮機構の構成を右側方から見た図である。
図7】前記伸縮機構を左側方から見た図である。
図8】前記伸縮機構の斜視図である。
図9】前記伸縮機構を駆動する駆動装置を右側方から見た図である。
図10】前記駆動装置を左側方から見た図である。
図11図9のA視図である。
図12】荷台が最下位置にあるときの前記伸縮機構及び前記駆動装置の状態を示す図である。
図13】荷台が中間位置にあるときの前記伸縮機構及び前記駆動装置の状態を示す図である。
図14】荷台が最上位置にあるときの前記伸縮機構及び前記駆動装置の状態を示す図である。
図15】前記運搬台車と従来の同種の運搬台車との比較結果を示す図である。
図16】前記駆動装置のガイド部材のガイド孔の他の形状を示す図である。
図17】前記運搬台車の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1図4は、本発明の一実施形態に係る手押しハンドル付きの運搬台車10の構成を示している。図1は、運搬台車10を前方から見た図であり、図2は、運搬台車10を後方から見た図であり、図3は、運搬台車10を右側方から見た図であり、図4は、運搬台車10を左側方から見た図である。
【0011】
図1図4に示されるように、実施形態に係る運搬台車10は、基台30と、手押しハンドル(以下単に「ハンドル」という)40と、基台30の上方に配置された荷台50と、基台30と荷台50との間に設けられた伸縮機構70と、伸縮機構70を駆動する(伸縮させる)駆動装置90と、駆動装置90を制御する制御装置100とを有する。
【0012】
図5は、主に運搬台車10の基台30及びハンドル40を示す斜視図である。
【0013】
図5に示されるように、基台30は、矩形枠状のフレームとして形成されている。基台30は、左右方向に延びる前側フレーム部材31A及び後側フレーム部材31Bと、前後方向に延びる左右一対のフレーム部材(左側フレーム部材32L及び右側フレーム部材32R)とを有する。また、基台30の四隅のうち前側の二隅の下部には自在キャスタ輪(前輪)33、33が取り付けられ、後側の二隅の下部には例えばインホイールモータが組み込まれた電動駆動輪(後輪)34、34が取り付けられている。
【0014】
基台30において、左側フレーム部材32Lの前側の内面には、前後方向に延びる左側レール部35Lが設けられ、右側フレーム部材32Rの前側の内面には、左側レール部35Lと対をなす右側レール部35Rが設けられている。また、基台30の後部側には、左右方向に離隔した一対の取付部(左側取付部36L及び右側取付部36R)が設けられている。さらに、基台30の内側であって且つ基台30よりも低い位置には、駆動装置90及び制御装置100が設置される設置部37が設けられている。
【0015】
ハンドル40は、後側フレーム部材31Bに起立した状態で取り付けられている。ハンドル40は、例えばパイプ材からなり、略門型(略逆U字型)に形成されている。具体的には、ハンドル40は、後側フレーム部材31Bから上方に略垂直に延びた後に斜め後方に傾斜して延びる左右一対の支持部41、41と、左右一対の支持部41、41の先端部の間を略水平に延びる把持部43とを有する。把持部43は、主に運搬台車10を利用する作業者等(以下単に「作業者」という)によって把持される部位である。
【0016】
図1図4に戻り、荷台50は、上面に図示省略の荷物が載置される矩形状の天板部51と、天板部51の周縁部から垂下した周壁部53とを有している。天板部51の下面の前部側には、それぞれがレール溝を有する左右一対のレール部材(左側レール部材55L及び右側レール部材55R)が設けられ、天板部51の下面の後部側には、左右方向に離隔した一対の取付部(左側取付部56L及び右側取付部56R)が突設されている。
【0017】
伸縮機構70は、左右一対のX字状アーム(パンタアームとも呼ばれる)が上下方向に伸縮することで荷台50を基台30に対して平行な状態で昇降させるように構成されている。ここで、伸縮機構70は、通常、運搬台車10が水平面上にあるとき、すなわち、基台30が水平状態にあるときに伸縮される。このため、伸縮機構70は、左右一対のX字状アームが上下方向に伸縮することで荷台50を水平状態で昇降させるように構成されているということもできる。本実施形態において、伸縮機構70は、左右一対のX字状アームが上下に積み重ねられた2段構造のX字状リンク機構として形成されている。
【0018】
図6図8は、伸縮機構70の構成を示している。図6は、伸縮機構70を右側方から見た図であり、図7は、伸縮機構70を左側方から見た図であり、図8は、伸縮機構70の斜視図である。
【0019】
図6図8に示されるように、本実施形態において、伸縮機構70は、下段側の左右一対のX字状アーム(左側下段X字状アーム71L及び右側下段X字状アーム71R)と、上段側の左右一対のX字状アーム(左側上段X字状アーム75L及び右側上段X字状アーム75R)とを含む。
【0020】
下段側の左右一対のX字状アームである左側下段X字状アーム71L及び右側下段X字状アーム71Rのそれぞれは、下側インナーアームと下側アウターアームとが側方視でX字状に交差し且つ互いに相対回転可能に組み合わされて形成されている。具体的には、本実施形態において、左側下段X字状アーム71Lは、下側インナーアーム72Lの中央部及び下側アウターアーム74Lの中央部が左右方向に延びる下側連結軸81の左端部の近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられて構成されている(図7図8参照)。同様に、右側下段X字状アーム71Rは、下側インナーアーム72Rの中央部及び下側アウターアーム74Rの中央部が下側連結軸81の右端部の近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられて構成されている(図6図8参照)。
【0021】
上段側の左右一対のX字状アームである左側上段X字状アーム75L及び右側上段X字状アーム75Rのそれぞれも、上側インナーアームと上側アウターアームとが側面視でX字状に交差し且つ互いに相対回転可能に組み合わされて形成されている。具体的には、本実施形態において、左側上段X字状アーム75Lは、上側インナーアーム76Lの中央部及び上側アウターアーム78Lの中央部が、下側連結軸81の上方を左右方向に延びる上側連結軸82の左端部の近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられて構成されている(図7図8参照)。同様に、右側上段X字状アーム75Rは、上側インナーアーム76Rの中央部及び上側アウターアーム78Rの中央部が上側連結軸82の右端部近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられて構成されている(図6図8参照)。
【0022】
そして、下段側の左右一対のX字状アーム(左側下段X字状アーム71L及び右側下段X字状アーム71R)と、上段側の左右一対のX字状アーム(左側上段X字状アーム75L及び右側上段X字状アーム75R)とは、左右方向に延びる後側連結軸83及び前側連結軸84を介して連結されている。
【0023】
具体的には、本実施形態において、左側下段X字状アーム71Lを構成する下側インナーアーム72Lの後端部及び左側上段X字状アーム75Lを構成する上側アウターアーム78Lの後端部が、後側連結軸83の左端部の近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられており(図7図8参照)、右側下段X字状アーム71Rを構成する下側インナーアーム72Rの後端部及び右側上段X字状アーム75Rを構成する上側アウターアーム78Rの後端部が、後側連結軸83の右端部の近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられている(図6図8参照)。
【0024】
また、左側下段X字状アーム71Lを構成する下側アウターアーム74Lの前端部及び左側上段X字状アーム75Lを構成する上側インナーアーム76Lの前端部が、前側連結軸84の左端部の近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられており(図7図8参照)、右側下段X字状アーム71Rを構成する下側アウターアーム74Rの前端部及び右側上段X字状アーム75Rを構成する上側インナーアーム76Rの前端部が、前側連結軸84の右端部の近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられている(図6図8参照)。
【0025】
左側下段X字状アーム71Lを構成する下側インナーアーム72Lの前端部は、前側連結軸84の下方を左右方向に延びると共に前後方向に移動可能な下側移動軸85の左端部の内側に回転自在に取り付けられており(図7図8参照)、右側下段X字状アーム71Rを構成する下側インナーアーム72Rの前端部は、下側移動軸85の右端部の内側に回転自在に取り付けられている(図6図8参照)。
【0026】
下側移動軸85の左端部は、基台30の左側フレーム部材32Lに設けられた左側レール部35Lに挿入されており、下側移動軸85の右端部は、基台30の右側フレーム部材32Rに設けられた右側レール部35Rに挿入されている(図3図8参照)。つまり、本実施形態において、下側移動軸85は、基台30に設けられた左側レール部35L及び右側レール部35Rによって両端が支持されていると共に、左側レール部35L及び右側レール部35Rに沿って前後方向に移動可能に構成されている。
【0027】
また、左側下段X字状アーム71Lを構成する下側アウターアーム74Lの後端部は、基台30の後部側に設けられた左側取付部36Lにピン部材P1を介して回転自在に固定されており、右側下段X字状アーム71Rを構成する下側アウターアーム74Rの後端部は、基台30の後部側に設けられた右側取付部36Rにピン部材P1を介して回転自在に固定されている(図3図8参照)。
【0028】
左側上段X字状アーム75Lを構成する上側アウターアーム78Lの前端部は、前側連結軸84の上方を左右方向に延びると共に前後方向に移動可能な上側移動軸86の左端部の内側に回転自在に取り付けられており(図7図8参照)、右側上段X字状アーム75Rを構成する上側アウターアーム78Rの前端部は、上側移動軸86の右端部の内側に回転自在に取り付けられている(図6図8参照)。
【0029】
上側移動軸86の左端部は、荷台50(の天板部51)の下面に設けられた左側レール部材55Lのレール溝に挿入されており、上側移動軸86の右端部は、荷台50(の天板部51)の下面に設けられた、左側レール部材55Lと対をなす右側レール部材55Rのレール溝に挿入されている(図1図4図6図8参照)。つまり、本実施形態において、上側移動軸86は、荷台50の下面に設けられた左側レール部材55L及び右側レール部材55Rによって両端が支持されると共に、左側レール部材55Lのレール溝及び右側レール部材55Rのレール溝に沿って前後方向に移動可能に構成されている。
【0030】
左側上段X字状アーム75Lを構成する上側インナーアーム76Lの後端部は、荷台50(の天板部51)の下面に突設された左側取付部56Lにピン部材P2を介して回転自在に固定されている(図2図4図6図8参照)。また、右側上段X字状アーム75Rを構成する上側インナーアーム76Rの後端部は、荷台50(の天板部51)の下面に突設された、左側取付部56Lと対をなす右側取付部56Rにピン部材P2を介して回転自在に固定されている(図2図3図6図8参照)。
【0031】
駆動装置90は、基台30の内側に基台30よりも一段低く設けられた設置部37に設置されている。駆動装置90は、伸縮機構70を構成する下段側の左右一対のX字状アーム(左側下段X字状アーム71L及び右側下段X字状アーム71R)と、上段側の左右一対のX字状アーム(左側上段X字状アーム75L及び右側上段X字状アーム75R)とを上下方向に伸縮させ、これによって、荷台50を昇降させるように構成されている。
【0032】
図9図11は、駆動装置90の構成を示している。図9は、駆動装置90を右側方から見た図であり、図10は、駆動装置90を左側方から見た図であり、図11は、図9のA視図である。
【0033】
図9図11に示されるように、本実施形態において、駆動装置90は、電動アクチュエータ91と、電動アクチュエータ91によって駆動されて移動する可動体93と、可動体93と伸縮機構70とを連結する連結機構としての左右一対のリンク機構(左側リンク機構95L、右側リンク機構95R)と、左右一対のガイド部材(左側ガイド部材97L、右側ガイド部材97R)とを有する。
【0034】
電動アクチュエータ91は、電動モータの回転運動を直動機構(例えば、ボールねじ機構)によって直線運動に変換して出力するリニアアクチュエータである。本実施形態において、電動アクチュエータ91は、電動モータ(サーボモータ)911と、減速機構913と、直動機構(直動軸(ねじ軸)915A及び直動ナット915B)と、を有する。
【0035】
電動モータ911の動作は、制御装置100によって制御される。電動モータ911の出力軸には、例えばカップリングを介して無励磁作動型ブレーキ912が取り付けられており、電動モータ911には、電動モータ911の回転を検出して信号を出力するエンコーダ(回転センサ)914が取り付けられている。
【0036】
減速機構913は、電動モータ911の出力軸の回転を減速して前記直動機構の直動軸915Aに伝達する。減速機構913の構成等は特に制限されない。減速機構913は、一段減速機構であってもよいし、複数段減速機構であってもよい。
【0037】
直動軸915Aは、前後方向に延びており、軸受(図示省略)が取り付けられた支持部材916A、916Bによって回転自在に支持されている。直動軸915Aは、減速機構913を介して電動モータ911によって回転駆動される。直動ナット915Bは、直動軸915Aに螺合されており、直動軸915Aの回転に伴って直動軸915A上を軸方向に移動する(すなわち、前後方向に直線移動する)。
【0038】
可動体93は、直動ナット915Bに固定されており、直動ナット915Bと一体に移動する。なお、本実施形態において、直動軸915Aの下方には、リニアスライダ94が設置されている。リニアスライダ94は、前後方向に延びるスライドレール94Aと、スライドレール94A上を移動するスライドブロック94Bとを有している。そして、直動ナット915Bに固定された可動体93の下部がスライドブロック94Bに固定されている。
【0039】
連結機構としての左側リンク機構95L及び右側リンク機構95Rは、可動体93の移動に伴って伸縮機構70の後側連結軸83を押し引きすることにより、下段側の左右一対のX字状アーム(左側下段X字状アーム71L及び右側下段X字状アーム71R)及び上段側の左右一対のX字状アーム(左側上段X字状アーム75L及び右側上段X字状アーム75R)を上下方向に伸縮させるように構成されている。
【0040】
具体的には、本実施形態において、左側リンク機構95Lは、前端部が可動体93の左側面に回転自在に連結された第1リンク部材951Lと、後端部が伸縮機構70の後側連結軸83(すなわち、下段側の左右一対のX字状アーム71L、71R及び上段側の左右一対のX字状アーム75L、75R)に回転自在に連結されると共に前端端が軸部材952Lを介して第1リンク部材951Lの後端部に回転自在に連結された第2リンク部材953Lとを含む。同様に、右側リンク機構95Rは、前端部が可動体93の右側面に回転自在に連結された第1リンク部材951Rと、後端部が伸縮機構70の後側連結軸83に回転自在に連結されると共に前端部が軸部材952Rを介して第1リンク部材951Rの後端部に回転自在に連結された第2リンク部材953Rとを含む。また、左側リンク機構95Lの第1リンク部材951Lと、右側リンク機構95Rの第1リンク部材951Rとは、連結板954によって連結されている。
【0041】
左側ガイド部材97L及び右側ガイド部材97Rは、基台30の内側に基台30よりも一段低く設けられた設置部37の後部側に、電動アクチュエータ91を挟んでその左右両側にそれぞれ配置されている。左側ガイド部材97Lには、可動体93の移動に伴う左側リンク機構95Lの軸部材952Lの移動をガイドするガイド孔971Lが形成されており、右側ガイド部材97Rには、可動体93の移動に伴う右側リンク機構95Rの軸部材952Rの移動をガイドするガイド孔971Rが形成されている。左側ガイド部材97Lのガイド孔971Lと、右側ガイド部材97Rのガイド孔971Rとは、同形状に形成されている。
【0042】
左側ガイド部材97Lのガイド孔971L及び右側ガイド部材97Rのガイド孔971R)の形状は、例えば次のようにして決定される。なお、ここでは、図9を参照して右側ガイド部材97Rのガイド孔971Rの形状について説明するが、左側ガイド部材97Lのガイド孔971L)の形状についても同様である。
【0043】
まず、荷台50が最下位置と最上位置との間を昇降するときに、可動体93と第1リンク部材951Rの前端部との第1連結部J1がX軸上を移動し、第2リンク部材953Rと後側連結軸83との第2連結部J2がY軸上を移動するものとする(図9参照)。
【0044】
次に、第1連結部J1の位置(x,0)と第2連結部J2の位置(0,y)との関係、すなわち、xとyとの関係を物理法則(ここでは仮想仕事の原理)により決める。yとxとの関係(例えば、dy/dx)は、定数であってもよいし、線形であってもよいし、非線形であってもよい。なお、本実施形態においては、yとxとの関係(dy/dx)を定数としており、これにより、後述するように、荷台50を最下位置から最上位置まで上昇させる間、電動アクチュエータ91の出力がほぼ一定となる。
【0045】
次に、逆運動学又は機構の幾何関係により、具体的には、第1連結部J1の位置(x,0)と、第1リンク部材951Rの長さL1と、第2連結部J2の位置(0,y)と、第2リンク部材953Rの長さL2との関係に基づき、第1リンク部材951Rの変位角θ1(X軸に対する角度)を求める。
【0046】
そして、第1連結部J1の位置(x,0)、第1リンク部材951Rの長さL1及び第1リンク部材951Rの変位角θ1に基づき、軸部材952Rの中心J3の位置(x0,y0)を求め、求められた軸部材952Rの中心J3の位置(x0,y0)を繋ぎ合わせることでガイド孔971Rの形状を決定する。ここで、第1リンク部材951Rの変位角θ1には二つの解がある(変位角θ1は二つの値を取り得る)。本実施形態においては、主にガイド孔971L、971Rのサイズを小さくするために二つの解(二つの値)のうちの小さい方を第1リンク部材951Rの変位角θ1として採用しており、その結果、ガイド孔971L、971Rは、図9図10等に示される形状になっている。
【0047】
なお、ガイド孔971Rは、軸部材952Rを滑らかに移動させることができるように湾曲形状を有して形成される。本実施形態において、ガイド孔971Rは、荷台50を上昇させる方向への可動体93の移動に伴い、軸部材952Rを後方に向かって斜め下向きに移動させた後に斜め上向きに移動させるように、略U字状(又は略V字状)に湾曲して形成されている。
【0048】
制御装置100は、電源及び制御回路を含み、基台30の内側に基台30よりも一段低く設けられた設置部37に電動モータ911に隣接して設置されている。制御装置100には、エンコーダ(回転センサ)914の出力信号が入力される。
【0049】
制御装置100は、図示省略の入力部を介して入力される動作指令に基づいて電動アクチュエータ91の電動モータ911を制御する。本実施形態において、前記動作指令は、荷台50を上昇させる上昇指令、荷台50を下降させる下降指令及び荷台50の昇降を停止させる停止指令を含む。前記停止指令には、前記上昇指令の入力を停止すること及び/又は前記停止指令の入力を停止することが含まれる。そして、制御装置100は、前記上昇指令が入力されると電動モータ911を第1方向に回転駆動(以下「正転駆動」という)し、前記下降指令が入力されると電動モータ911を前記第1方向とは逆の第2方向に回転駆動(以下「逆転駆動」という)する。また、制御装置100は、前記停止指令が入力されると、そのときの昇降位置で荷台50を保持するように電動モータ911を制御する。
【0050】
次に、図12図14を参照して運搬台車10における荷台50の昇降動作の一例を説明する。なお、ここでは、荷台50に荷物が載置されていない場合について説明するが、荷台50に荷物が載置されている場合についても同様である。
【0051】
図12は、荷台50が最下位置にあるときの伸縮機構70及び駆動装置90の状態を示し、図13は、荷台50が中間位置にあるときの伸縮機構70及び駆動装置90の状態を示し、図14は、荷台50が最上位置にあるときの伸縮機構70及び駆動装置90の状態を示している。
【0052】
例えば、荷台50が最下位置にあるときに作業者が前記入力部を介して前記上昇指令を入力すると、制御装置100は、電動アクチュエータ91の電動モータ911を正転駆動する。すると、可動体93が後方に向かって移動し、伸縮機構70の後側連結軸83が左側リンク機構95L(第1リンク部材951L、軸部材952L及び第2リンク部材953L)及び右側リンク機構95R(第1リンク部材951R、軸部材952R及び第2リンク部材953R)を介して押し上げられる。これにより、下段側の左右一対のX字状アーム(左側下段X字状アーム71L及び右側下段X字状アーム71R)及び上段側の左右一対のX字状アーム(左側上段X字状アーム75L及び右側上段X字状アーム75R)が上方に伸びて荷台50が上昇する。そして、制御装置100は、荷台50が最上位置まで上昇すると、電動アクチュエータ91の電動モータ911の正転駆動を停止すると共に、荷台50を最上位置に保持するように電動アクチュエータ91の電動モータ911を制御する(図12図13図14)。
【0053】
また、例えば、荷台50が最上位置にあるときに作業者が前記入力部を介して前記下降指令を入力すると、制御装置100は、電動アクチュエータ91の電動モータ911を逆転駆動する。すると、可動体93が前方に向かって移動し、伸縮機構70の後側連結軸83が左側リンク機構95L及び右側リンク機構95Rを介して引き下げられる。これにより、下段側の左右一対のX字状アーム(左側下段X字状アーム71L及び右側下段X字状アーム71R)及び上段側の左右一対のX字状アーム(左側上段X字状アーム75L及び右側上段X字状アーム75R)が下方に縮んで荷台50が下降する。そして、制御装置100は、荷台50が最下位置まで下降すると、電動アクチュエータ91の電動モータ911の逆転駆動を停止する(図14図13図12)。
【0054】
なお、荷台50が中間位置まで上昇又は下降したときに作業者が前記入力部を介して前記停止指令を入力すると、制御装置100は、電動アクチュエータ91の電動モータ911の正転駆動又は逆転駆動を停止すると共に、荷台50をそのときの昇降位置(中間位置)に保持するように電動アクチュエータ91の電動モータ911を制御する(図13)。
【0055】
ここで、本実施形態において、電動アクチュエータ91の電動モータ911の出力軸には無励磁作動型ブレーキ912が取り付けられている。このため、電動アクチュエータ91(電動モータ911)への電力の供給が停止された場合であっても、荷台50はそのときの位置に保持される。
【0056】
図15は、実施形態に係る運搬台車10と従来の同種の運搬台車との比較結果の一例を示す図であり、荷物を載置した状態の荷台を最下位置から最上位置まで上昇させたときの電動アクチュエータの出力を示している。
【0057】
図15において破線で示されるように、従来の同種の運搬台車では、最下位置にある荷台を上昇させるときの電動アクチュエータの出力が最大となり、その後、荷台が上昇するにしたがって電動アクチュエータの出力は減少する。これに対し、実施形態に係る運搬台車10では、図15において実線で示されるように、最下位置にある荷台50を上昇させるときの電動アクチュエータの出力が従来の同種の運搬台車のそれよりも小さく、また、荷台50を最下位置から最上位置まで上昇させる間、電動アクチュエータ91の出力Fは、ほぼ一定である。これに従って、荷台50を最下位置から最上位置まで上昇させる間、荷台50の上昇速度も一定になる。
【0058】
以上説明したように、実施形態に係る運搬台車10は、駆動装置90によって下段側及び上段側の左右一対のX字状アームを上下方向に伸縮させて荷台50を昇降させるように構成されている。駆動装置90は、電動アクチュエータ91と、電動アクチュエータ91によって駆動されて移動する可動体93と、左右一対のリンク機構(左側リンク機構95L、右側リンク機構95R)と、左右一対のガイド部材(左側ガイド部材97L、右側ガイド部材97R)とを有している。
【0059】
左側リンク機構95L(右側リンク機構95R)は、前端部が可動体93に回転自在に連結された第1リンク部材951L(951R)と、後端部が伸縮機構70の後側連結軸83(すなわち、下段側及び上段側の左右一対のX字状アーム)に回転自在に連結されると共に前端端が軸部材952L(952R)を介して第1リンク部材951L(951R)の後端部に回転自在に連結された第2リンク部材953L(953R)とを有する。また、左側ガイド部材97L(右側ガイド部材97R)には、可動体93の移動に伴う軸部材952L(軸部材952R)の移動をガイドするガイド孔971L(ガイド孔971R)が形成されており、ガイド孔971L(971R)は、軸部材952L(952R)を滑らかに移動させるように湾曲形状を有している。
【0060】
そして、駆動装置90は、電動アクチュエータ91によって可動体93を前後方向に移動させ、可動体93の移動により第1リンク部材951L(951R)及び第2リンク部材953L(953R)を介して伸縮機構70の後側連結軸83を押し引きし、これによって、下段側及び上段側の左右一対のX字状アームを上下方向に伸縮させて荷台50を昇降させるように構成されている。
【0061】
実施形態に係る運搬台車10によれば、従来の同種の運搬台車に比べて、最下位置にある荷台50を上昇させるときに必要な電動アクチュエータ91の出力を低減することができると共に、荷台50を上昇させる過程で必要とされる電動アクチュエータ91の出力の変動も抑制される(図15参照)。このため、従来に比べて、小型の電動アクチュエータ91(電動モータ911)を用いることが可能となり、運搬台車10のコストを抑えることができる。また、荷台50の昇降速度の変動も抑制され得る。
【0062】
なお、上述の実施形態において、伸縮機構70は、左右一対のX字状アームが上下に積み重ねられた2段構造のX字状リンク機構として形成されている。しかし、これに限られるものではない。伸縮機構70は、左右一対のX字状アームからなる1段構造のX字状リンク機構として形成されてもよいし、左右一対のX字アームが上下に3つ以上積み重ねられた3段構造以上のX字状リンク機構として形成されてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態において、左側ガイド部材97Lには、可動体93の移動に伴う左側リンク機構95Lの軸部材952Lの移動をガイドするガイド孔971Lが形成されており、右側ガイド部材97Rには、可動体93の移動に伴う右側リンク機構95Rの軸部材952Rの移動をガイドするガイド孔971Rが形成されている。しかし、これに限られるものではない。左側ガイド部材97Lにはガイド孔971Lに代えてガイド溝が形成され、及び/又は、右側ガイド部材97Rにはガイド孔971Rに代えてガイド溝が形成されてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態において、左側ガイド部材97Lのガイド孔971L及び右側ガイド部材97Rのガイド孔971Rは、荷台50を上昇させる方向への可動体93の移動に伴い、軸部材952L、952Rを後方に向かって斜め下向きに移動させた後に斜め上向きに移動させるように、略U字状(又は略V字状)に湾曲して形成されている。しかし、これに限られるものではない。ガイド孔971L(971R)の形状は、第1リンク部材951L、951Rの長さL1及び第2リンク部材953L、953Rの長さL2によって変化する。例えば図9に対応する図16に示されるように、荷台50を上昇させる方向への可動体93の移動に伴い、軸部材952L、952Rを後方に向かって水平に移動させた後に斜め上向きに移動させるように形成されてもよい。
【0065】
但し、電動アクチュエータ91を設置するための前後方向のスペースが同じ場合、図16に示される変形例よりも上述の実施形態の方が、第1リンク部材951L、952R及び/又は第2リンク部材953L、953Rを長くすることができ、その分、荷台50を高く上昇させることが可能になる。逆に言えば、荷台50を上昇させる高さが同じ場合、上述の実施形態は、図16に示される変形例に比べて、電動アクチュエータ91を設置するための前後方向のスペースが小さくて済む。このため、運搬台車のように、電動アクチュエータ91を設置するための前後方向のスペースが制限される場合には、図16に示される変形例よりも上述の実施形態の方が有利であるといえる。
【0066】
また、上述の実施形態において、電動アクチュエータ91は、電動モータの回転運動を直動機構(例えば、ボールねじ機構)によって直線運動に変換して出力するリニアアクチュエータとして形成されている。しかし、これに限られるものではない。電動アクチュエータ91は、可動体93を前後方向に直線移動させるように構成されていればよい。
【0067】
また、上述の実施形態において、ガイド孔971L、971Rの形状を決定する際のyとxとの関係(dy/dx)を定数としている。しかし、これに限られるものではない。上述のように、yとxとの関係(dy/dx)を線形や非線形としたりすることも可能である。そして、yとxとの関係を変えると、ガイド孔971L、971Rの形状が変わり、ガイド孔971L、971Rの形状が変わると、荷台50を上昇させる過程で必要とされる電動アクチュエータ91の出力及び荷台50の上昇速度が変わる。換言すれば、ガイド孔971L、971Rの形状によって荷台50の昇降特性を変えることが可能である。このため、実施形態に係る運搬台車10によれば、荷台50の昇降特性に関する要求に比較的柔軟に対応することが可能であるという利点もある。
【0068】
さらに、図17に示されるように、運搬台車10は、荷台50の上面の上下方向の位置や荷台50に載置された荷物の上面の上下方向の位置を検出可能な位置検出ユニット110をさらに有してもよい。特に制限されないが、位置検出ユニット110は、例えば、荷台50の上面の所定範囲を測定エリアとするTOF方式の測距イメージセンサを含み、ハンドル40に取り付けられる保持具120を利用してハンドル40よりも上方の所定位置に荷台50に向けて配置される。保持具120は、ハンドル40と同様に略門型(略逆U字型)に形成されると共に図示省略のブラケットなどを介して位置検出ユニット110を保持するように構成され得る。
【0069】
そして、位置検出ユニット110は、荷台50に荷物が載置されていない場合には荷台50の上面の上下方向の位置を検出すること及び荷台50に荷物が載置されている場合には荷台50の載置された荷物の上面の上下方向の位置を検出することが可能である。位置検出ユニット110によって検出された位置は、制御装置100に出力される。
【0070】
図17に示される運搬台車10では、荷台50を昇降させること及び所定の昇降位置に保持することに加えて、以下のような動作が可能である。
【0071】
例えば、作業者は、荷物を荷台50に載置する際、前記入力部を介して前記上昇指令を入力することによって荷物が載置されていない荷台50を最下位置から所定の昇降位置まで上昇させ、その後、前記入力部を介して前記停止指令を入力する。これにより、荷台50が前記所定の昇降位置に保持され、作業者は、前記所定の昇降位置に保持された状態の荷台50に対して荷物の載置を開始する。
【0072】
制御装置100は、前記停止指令が入力されると(又は荷台50が前記所定位置に保持されると)、そのときに位置検出ユニット110によって検出された位置を基準位置として記憶する。そして、制御装置100は、荷台50が保持される昇降位置が変更されるまでの間、位置検出ユニット110によって検出される位置が前記基準位置に一致するように、電動アクチュエータ91の電動モータ911を制御する。
【0073】
この場合、荷台50に荷物が載置されると、位置検出ユニット110によって検出される位置は前記基準位置よりも上側の位置になる。このため、制御装置100は、位置検出ユニット110によって検出される位置が前記基準位置になるように、電動モータ911を逆転駆動して荷台50を下降させる。その後、運搬台車10が荷物の運搬先まで移動して荷台50からそこに載置されている荷物が取り出されると、位置検出ユニット110によって検出される位置は前記基準位置よりも下側の位置になる。このため、制御装置100は、位置検出ユニット110によって検出される位置が前記基準位置になるように、電動モータ911を正転駆動して荷台50を上昇させる。
【0074】
このようにすると、荷物が載置されていない荷台50の上面の上下方向の位置や荷台50に荷物が載置されている場合における当該荷物の上面の上下方向の位置、すなわち、作業者が荷物を載置する位置及び作業者が荷物を取り出す位置がほぼ一定に維持される。つまり、作業者は、荷台50に荷物を複数段に載置する場合には各荷物の載置作業を同じ高さ位置に対して行うことができ、荷台50に複数段に載置された荷物を取り出す場合には各荷物の取り出し作業を同じ高さ位置から行うことができる。このため、作業者の負担が大幅に軽減され得る。
【0075】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形及び変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0076】
10…運搬台車、30…基台、40…ハンドル、50…荷台、70…伸縮機構、71L…左側下段X字状アーム、71R…右側下段X字状アーム、72L,72R…下側インナーアーム、74L,74R…下側アウターアーム、75L…左側上段X字状アーム、75R…右側上段X字状アーム、76L,76R…上側インナーアーム、78L,78R…上側アウターアーム、81…下側連結軸、82…上側連結軸、83…後側連結軸、84…前側連結軸、85…下側移動軸、86…上側移動軸、90…駆動装置、91…電動アクチュエータ、93…可動体、94…リニアスライダ、95L…左側リンク機構、95R…右側リンク機構、97L…左側ガイド部材、97R…右側ガイド部材、100…制御装置、110…位置検出ユニット(位置検出部)、911…電動モータ、913…減速機構、915A…直動軸(ねじ軸)、915B…直動ナット、951L,951R…第1リンク部材、952L,952R…軸部材、953L,953R…第2リンク部材、971L,971R…ガイド孔(ガイド部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17