(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150379
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】制動装置
(51)【国際特許分類】
F16D 65/02 20060101AFI20220929BHJP
F16D 55/06 20060101ALI20220929BHJP
H01F 7/20 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F16D65/02 E
F16D55/06 A
H01F7/20 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052958
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】591082591
【氏名又は名称】三陽工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】本田 武信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸太郎
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA78
3J058AA87
3J058BA51
3J058CC13
3J058CC84
3J058DD02
3J058FA34
(57)【要約】
【課題】制動装置のコンパクト化を図る。
【解決手段】ディスク5の外周縁5Aに沿うように、複数のアクチュエータ20を配設し、さらに、被取付用の固定ケーシング10の略円形状の外周縁C
10よりもラジアル内方向に、全てのアクチュエータ20を、配設する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形状外周面(12)を有する固定ケーシング(10)の外端面(13)から回転自在に回転軸(11)が突設した回転装置(M)における該回転軸(11)に、円板状ディスク(5)を固設し、
該ディスク(5)の外周縁(5A)に沿って、複数のアクチュエータ(20)を配設すると共に、
複数の上記アクチュエータ(20)は、上記回転軸(11)の軸心方向(Y11)から見て、上記固定ケーシング(10)の略円形状の外周縁(C10)よりも内部のラジアル内方向域に、配設され、
しかも、各アクチュエータ(20)は、上記固定ケーシング(10)の上記外端面(13)から突設された固定ピン(15)にて保持されている
ことを特徴とする制動装置。
【請求項2】
略円形状外周面(12)を有する固定ケーシング(10)の外端面(13)から回転自在に回転軸(11)が突設した回転装置(M)における該回転軸(11)に、円板状ディスク(5)を固設し、
該ディスク(5)の外周縁(5A)に沿って、複数のアクチュエータ(20)を配設すると共に、
複数の上記アクチュエータ(20)は、上記回転軸(11)の軸心方向(Y11)から見て、上記固定ケーシング(10)の略円形状の外周縁(C10)よりも内部のラジアル内方向域に、配設され、
さらに、上記固定ケーシング(10)の上記外端面(13)に固着具(21)にて取着される取付板(25)を、備えると共に、該取付板(25)には複数本の固定ピン(15)をアキシャル方向に突設して、上記各アクチュエータ(20)を該固定ピン(15)によって保持するように構成した
ことを特徴とする制動装置。
【請求項3】
上記固定ピン(15)は、上記外端面(13)に対して、固着・取外し自在として、固着され、
配設される上記アクチュエータ(20)の個数を増減可能に構成した請求項1記載の制動装置。
【請求項4】
上記固定ピン(15)は、上記取付板(25)に対して、固着・取外し自在として、固着され、
配設される上記アクチュエータ(20)の個数を増減可能に構成した請求項2記載の制動装置。
【請求項5】
上記アクチュエータ(20)は、上記回転軸(11)の軸心方向から見て、長円形の両長辺を凹状に形成した繭型の固定鉄心(1)と可動鉄心(2)を、有すると共に、周方向に分離した2個の電磁コイル(3)(3)は接続配線(33)によって電気的に直列に接続され、かつ、繭型の上記可動鉄心(2)の中心位置にパッド(6A)が配設されている請求項1又は2記載の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動装置に係り、工作機構やロボット、あるいは電動機等の回転軸を有する装置の保持を行う制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の制動装置としては、
図10に示すように、固定鉄心61内に電磁コイル62と複数のばね63を設け、ばね63で押し付けられた可動鉄心64でディスク65を挾圧して、停止状態に保ち、他方、電磁コイル62に通電して可動鉄心64を吸引することで、ディスク65を解放し、電気モータ67の出力軸67Aが回動する。
【0003】
ディスク65の制動力(クランプ力)は、ディスク65の中心孔部65Aと、モータ出力軸67Aに固着された円筒体(スプラインハブ)68の外周面とが、相互に噛合するスプライン機構部SP を介して、伝達される(特許文献1参照)。
このスプライン機構部SP において、制動装置の開閉作動毎に、ディスク65がアキシャル方向に動くことで、経年的に摩耗し、滑らかな動きが困難となる場合もあると共に、制動面で発生した摩耗粉がスプライン機構部SP に直接に降りかかって付着し、動きが阻害される虞れがあった。
【0004】
また、上述の構成の制動装置(
図10)では、電磁コイルの吸引力が制動力になることから、制動力の大きさに対応した電磁コイルが必要となり、そのため、制動性能の増加は、種類の増加となり、生産性の低下要因となっていた。
そこで、
図11,
図12に示すように、複数のアクチュエータ71,71を配設した制動(クランプ)装置も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-56925号公報
【特許文献2】特開2007-246187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の制動装置(特許文献2、及び、
図11,
図12参照)では、複数のアクチュエータ71,71を設置するために、アクチュエータがラジアル外方へ突出し、また、取付用ブラケット70を特に必要としていた。
従って、制動装置全体が大型化し、高コスト化を招き、性能向上もほとんど改善されないことが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、略円形状外周面を有する固定ケーシングの外端面から回転自在に回転軸が突設した回転装置における該回転軸に、円板状ディスクを固設し;該ディスクの外周縁に沿って、複数のアクチュエータを配設すると共に;複数の上記アクチュエータは、上記回転軸の軸心方向から見て、上記固定ケーシングの略円形状の外周縁よりも内部のラジアル内方向域に、配設され;しかも、各アクチュエータは、上記固定ケーシングの上記外端面から突設された固定ピンにて保持されている。
【0008】
また、略円形状外周面を有する固定ケーシングの外端面から回転自在に回転軸が突設した回転装置における該回転軸に、円板状ディスクを固設し;該ディスクの外周縁に沿って、複数のアクチュエータを配設すると共に;複数の上記アクチュエータは、上記回転軸の軸心方向から見て、上記固定ケーシングの略円形状の外周縁よりも内部のラジアル内方向域に、配設され;さらに、上記固定ケーシングの上記外端面に固着具にて取着される取付板を、備えると共に、該取付板には複数本の固定ピンをアキシャル方向に突設して、上記各アクチュエータを該固定ピンによって保持するように構成した。
【0009】
また、上記固定ピンは、上記外端面に対して、固着・取外し自在として、固着され;配設される上記アクチュエータの個数を増減可能に構成した。
また、上記固定ピンは、上記取付板に対して、固着・取外し自在として、固着され;配設される上記アクチュエータの個数を増減可能に構成した。
また、上記アクチュエータは、上記回転軸の軸心方向から見て、長円形の両長辺を凹状に形成した繭型の固定鉄心と可動鉄心を、有すると共に、周方向に分離した2個の電磁コイルは接続配線によって電気的に直列に接続され、かつ、繭型の上記可動鉄心の中心位置にパッドが配設されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制動装置を設置する際に、簡単に(ブラケットを使用せずに)設置可能である。また、設置スペースが小さくて済む。即ち、(制動装置が取付けられる)電気モータ等の回転装置を回転軸心方向から見た略円形状の外周縁よりも、ラジアル外方に(殆ど)突出することなく、設置可能であり、設置場所(箇所)の省スペース化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】組付途中の状態を示すと共に、取付板を備えた本発明の他の実施形態の側面図である。
【
図6】配設されるアクチュエータの個数が、例えば、(A)のように6個、(B)のように4個、(C)のように3個と、増減自在であることを示した説明用正面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII断面拡大図である。
【
図10】従来例を示す図であって、(A)は要部断面側面図、(B)は(A)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1~
図3に示す本発明の実施の一形態について説明すると、Mは、固定ケーシング10と回転軸11を有する電気モータ等の回転装置を示す。固定ケーシング10は、略円形状外周面12と、略円板状外端面13,14を有する。
【0013】
回転軸11は、一方の外端面13の中心から、突設している。回転自在な該回転軸11には、円板状ディスク5が固設されている。
回転装置Mとしては、電動機(電気モータ)が一般的であるが、これ以外に回転駆動源としての空圧モータや油圧モータとすることも自由であり、さらには、各種減速装置の場合もある。
【0014】
そして、上記ディスク5の外周縁5Aに沿って、複数の───
図1では6個の───アクチュエータ20が配設されている。
複数の上記アクチュエータ20は、上記回転装置Mの回転軸11の軸心L
11に沿った方向───軸心方向Y
11───から見れば、
図1に示す如く、上記固定ケーシング10の略円形状の外周縁C
10よりも内部のラジアル内方向域に、配設されている。
【0015】
図1~
図3に於て、ΔRは、回転軸11の軸心L
11を中心として、複数個のアクチュエータ20の最も離れた部分を包み込む(円形の)包絡線C
20と、固定ケーシング10の略円形状の外周縁C
10との半径方向差を示している。そして、固定ケーシング10のアキシャル方向の外端面13に固着されて、該外端面13から突設された固定ピン15によって、各アクチュエータ20は保持されている。つまり、従来の大型ブラケット70(
図11,
図12参照)は省略されている。
【0016】
固定ピン15は、例えば、雄ネジを有するボルト形状とすると共に、(回転装置Mの)固定ケーシング10の外端面13に凹設したネジ孔16に、上記雄ネジを、着脱可能として、螺着して、固定ケーシング10の外端面13に(取外し自在に)固着されている。
【0017】
上述の如く、固定ピン15は、固定ケーシング10の外端面13に対して、固着・取外し自在として、固着されていることによって、複数(
図1では6個)の各アクチュエータ20の個数を減らすことが可能である。
【0018】
図6(A)は、
図1と同じ図であって、周方向に6個のアクチュエータ20が配設されている状態を示している。これを、
図6(B)に示す如く、4個のアクチュエータ20に減少し、さらには、
図6(C)に示す如く、3個のアクチュエータ20に減少することが自由自在である。
【0019】
この
図6(A)(B)(C)に示すように、配設すべきアクチュエータ20の個数を設置すべき現場の要望(制動性能)や条件に対応して、増減可能であることが、判る。特に、制動力を段階的に変更できると共に、制動力の大小にかかわらず、共通の基本部材(部品)を相互流用できる利点がある。
【0020】
次に、
図4と
図5は、本発明の他の実施形態を示す。即ち、
図1~
図3と対比すれば、判るように、取付板25が付設される。
図4と
図5に示す他の実施形態に於ても、
図1~
図3と同様に、略円形状外周面12を有する固定ケーシング10の外端面13から回転自在に回転軸11が突設した回転装置Mにおける該回転軸11に、円板状ディスク5を固設し、該ディスク5の外周縁5Aに沿って、複数のアクチュエータ20を配設すると共に、複数の上記アクチュエータ20は、上記回転軸11の軸心方向Y
11から見て、上記固定ケーシング10の略円形状の外周縁C
10よりも内部のラジアル内方向域に、配設されている。
【0021】
そして、固定ケーシング10の外端面13に、固着具(ボルト)21にて、取付板25が、着脱自在に固着される。
この取付板25には、複数本の固定ピン15がアキシャル方向に突設されている。各アクチュエータ20は、この固定ピン15によって保持されている。
【0022】
このようにして、
図4と
図5に示した他の実施形態では、複数のアクチュエータ20を、まず、取付板25に取付けて、ユニットU
20とし、このユニットU
20を、ボルト等から成る固着具21にて、固定ケーシング10の外端面13に、着脱可能として、固着する構造である。
【0023】
そして、固定ピン15は、取付板25に対して、固着・取外し自在として、固着されている。従って、ユニットU20として、取付板25に取着されるアクチュエータ20の個数を、増減可能としている。
【0024】
図1~
図3、及び、
図6に於て、既に説明したように、アクチュエータ20の取着個数は、
図4と
図5の実施形態でも、同様に、増減可能である。さらに、
図4と
図5では、軽量で取扱い易いユニットU
20の構造において、アクチュエータ20の取外し、取着の作業ができるため、作業が容易かつ迅速に行い得る。さらに、予めアクチュエータ20の付設個数が相違するユニットU
20…を一揃え準備(在庫)しておけば、一層迅速に、設置すべき現場の要望(制動性能)や条件に、対応できる。
図4に於て、矢印F
U は、ユニットU
20として、回転装置Mの固定ケーシング10に取着のため接近させる方向を示している。
【0025】
ところで、
図2,
図3の実施例、及び、
図4,
図5の他の実施例のいずれに於ても、各アクチュエータ20は、固定ピン(締結ピン)15に対して摺動可能な浮動式であり、かつ、ディスク5から可動鉄心2の移動した量の約半分の隙間が、両パッド6A,6B間に、設定されるように構成されている。このような構成によって、ディスク5とパッド6A,6Bに確実に隙間が形成でき、安全性及び信頼性が高い。
【0026】
次に、
図7,
図8,
図9は、本発明の別の実施形態を示し、
図7は、
図1と対比すべき図である。
図8,
図9は、各々、
図7の(VIII-VIII)断面,(IX-IX)断面であって、円板状ディスクは図示省略している。
【0027】
図7に示したように、アクチュエータ20は、回転軸11の軸心L
11の軸心方向から見て、長円形の両長辺を凹状に形成した繭型の固定鉄心1と可動鉄心2を、有している。つまり、
図7には固定鉄心1のみが見えているが、可動鉄心2の外郭形状も同じである。
【0028】
また、各アクチュエータ20は、2個の円形電磁コイル3,3を周方向に分離して、有する。しかも、2個の電磁コイル3,3は、(
図7,
図8に破線をもって示す)接続配線33によって、電気的に直列に接続されている。
そして、繭型の可動鉄心2には、(回転軸11の軸心方向から見た)中心位置に、パッド6Aが、配設されている。また、キャリパー7には、上記パッド6Aに対面状として同一形状のパッド6Bが配設されている。
【0029】
また、
図8,
図9に示した図例では、取付板25にアクチュエータ20を、固定ピン15にて、取着し、ユニットU
20として組立てる。その後に、(
図4と同様に)回転装置Mの固定ケーシング10の外端面13に、取付板25を当接させて、固着具(ボルト)21によって固着する(
図7参照)。
【0030】
このとき、
図7に示す如く、アクチュエータ20は、長円形の両長辺を凹状に形成した形状───繭型───であるが故に、(外周側の)凹状部23に固着具21を、配設可能であり、この固着具21をもって、回転装置Mの外端面13に、ユニットU
20を固着できる。
即ち、複数個(3個)のアクチュエータ20,20,20は勿論のこと、固着具21,21,21も、固定ケーシング10の略円形状の外周縁C
10よりも内部のラジアル内方向域に、配設される。
【0031】
ところで、
図8,
図9の実施の形態に於て、各アクチュエータ20は、固定ピン(締結ピン)15に対して摺動可能な浮動式であり、かつ、ディスク5から可動鉄心2の移動した量の約半分の隙間が、両パッド6A,6B間に、設定されるように構成されている。このような構成によって、ディスク5とパッド6A,6Bに確実に隙間が形成でき、安全性及び信頼性が高い。
【0032】
なお、従来例の
図11と
図12に示すように、従来の回転装置59の固定ケーシング60の円形状外周縁の直径D
60よりも24%も大きな直径の仮想円C
124 にまで、アクチュエータ71又はブラケット70が突設していた。さらに、前記の先行特許文献2では、固定ケーシングの円形状外周縁の直径よりも33%も大きな直径の仮想円にまで、ブレーキ(アクチュエータ)又はブラケットが突設していた。
【0033】
本発明における「固定ケーシング10の略円形状の外周縁C10よりも内部のラジアル内方向域」を定義するに当り、上述した従来の「24%」「33%」を考慮すべきであって、本発明では、固定ケーシング10の略円形状の外周縁C10の直径を100とすれば、その直径の110%以内をもって「ラジアル内方向域」と、定義する。
【0034】
本発明は、以上詳述したように、略円形状外周面12を有する固定ケーシング10の外端面13から回転自在に回転軸11が突設した回転装置Mにおける該回転軸11に、円板状ディスク5を固設し;該ディスク5の外周縁5Aに沿って、複数のアクチュエータ20を配設すると共に;複数の上記アクチュエータ20は、上記回転軸11の軸心方向Y11から見て、上記固定ケーシング10の略円形状の外周縁C10よりも内部のラジアル内方向域に、配設され;しかも、各アクチュエータ20は、上記固定ケーシング10の上記外端面13から突設された固定ピン15にて保持されている構成であるので、外径寸法が増加しないでコンパクト化を図ることが可能であり、また、ブラケットを要さずに、簡易な固定ピン15による取付けで済む。特に、回転装置Mの略円形状外周面12から、複数のアクチュエータ20が殆ど突出状とならず、コンパクトでありながら、十分に大きな制動機能を発揮できる。即ち、大型化を招くことなく、制動性能を向上できる。かつ、構造の簡素化とコスト低減を実現できる。また、制動装置を設置するスペースを増加せずに、制動力を増加できるので、省スペースの利点もある。さらに、全体の制動力を、アクチュエータ20の増減にて、段階的に変更できる。
【0035】
また、本発明は、略円形状外周面12を有する固定ケーシング10の外端面13から回転自在に回転軸11が突設した回転装置Mにおける該回転軸11に、円板状ディスク5を固設し;該ディスク5の外周縁5Aに沿って、複数のアクチュエータ20を配設すると共に;複数の上記アクチュエータ20は、上記回転軸11の軸心方向Y
11から見て、上記固定ケーシング10の略円形状の外周縁C
10よりも内部のラジアル内方向域に、配設され;さらに、上記固定ケーシング10の上記外端面13に固着具21にて取着される取付板25を、備えると共に、該取付板25には複数本の固定ピン15をアキシャル方向に突設して、上記各アクチュエータ20を該固定ピン15によって保持するように構成したので、外径寸法が増加しないでコンパクト化を図ることが可能であり、また、ブラケットを要さずに、簡易な固定ピン15による取付けで済む。特に、回転装置Mの略円形状外周面12から、複数のアクチュエータ20が殆ど突出状とならず、コンパクトでありながら、十分に大きな制動機能を発揮できる。即ち、大型化を招くことなく、制動性能を向上できる。かつ、構造の簡素化とコスト低減を実現できる。また、制動装置を設置するスペースを増加せずに、制動力を増加できるので、省スペースの利点もある。さらに、全体の制動力を、アクチュエータ20の増減にて、段階的に変更できる。
さらに、取付板25に複数のアクチュエータ20を組付けて、ユニットU
20を予め準備しておき、その後、
図4の矢印F
U の方向から、簡単・迅速に回転装置Mの外端面13に取着できる。言い換えると、事前組付け方式にて能率良く最終的取着作業を行い得る。
【0036】
また、本発明は、上記固定ピン15は、上記外端面13に対して、固着・取外し自在として、固着され;配設される上記アクチュエータ20の個数を増減可能に構成したので、従来の大型ブラケット70(
図12参照)を必要とせず、コンパクト化を図り、構造の簡素化とコスト低減を実現できる。しかも、制動トルクの大小の設定を、段階的に、簡単な作業にて行い得る(
図6参照)。
【0037】
また、上記固定ピン15は、上記取付板25に対して、固着・取外し自在として、固着され;配設される上記アクチュエータ20の個数を増減可能に構成したので、従来の大型ブラケット70(
図12参照)を必要とせず、コンパクト化を図り、構造の簡素化とコスト低減を実現できる。しかも、制動トルクの大小の設定を、段階的に、簡単な作業にて行い得る(
図6参照)。特に、複数のアクチュエータ20を、例えば、
図6(A)(B)(C)のように、個数の相違したものを予め(一揃え)準備しておいて、要望される制動性能が段階的に異なる設置箇所(現場)に、迅速かつ容易に、対応可能となる。
【0038】
また、上記アクチュエータ20は、上記回転軸11の軸心方向から見て、長円形の両長辺を凹状に形成した繭型の固定鉄心1と可動鉄心2を、有すると共に、周方向に分離した2個の電磁コイル3,3は接続配線33によって電気的に直列に接続され、かつ、繭型の上記可動鉄心2の中心位置にパッド6Aが配設されているので、全体構造が簡素化され、取付及び調整箇所が削減でき、組立の作業性も改善できる。勿論、回転装置Mの固定ケーシング10の外周縁C10よりもラジアル内方向域に、容易に配設可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 固定鉄心
2 可動鉄心
3 電磁コイル
5 円板状ディスク
5A 外周縁
6A パッド
10 固定ケーシング
11 回転軸
12 略円形状外周面
13 外端面
15 固定ピン
20 アクチュエータ
21 固着具
25 取付板
33 接続配線
C10 外周縁
M 回転装置
Y11 軸心方向
【手続補正書】
【提出日】2022-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形状外周面(12)を有する固定ケーシング(10)の外端面(13)から回転自在に回転軸(11)が突設した回転装置(M)における該回転軸(11)に、円板状ディスク(5)を固設し、
該ディスク(5)の外周縁(5A)に沿って、複数のアクチュエータ(20)を配設すると共に、
複数の上記アクチュエータ(20)は、上記回転軸(11)の軸心方向(Y11)から見て、上記固定ケーシング(10)の略円形状の外周縁(C10)よりも内部のラジアル内方向域に、配設され、
しかも、各アクチュエータ(20)は、上記固定ケーシング(10)の上記外端面(13)から突設された固定ピン(15)にて保持されていると共に、
上記アクチュエータ(20)は、上記回転軸(11)の軸心方向から見て、長円形の両長辺を凹状に形成した繭型の固定鉄心(1)と可動鉄心(2)を、有すると共に、周方向に分離した2個の電磁コイル(3)(3)は接続配線(33)によって電気的に直列に接続され、かつ、繭型の上記可動鉄心(2)の中心位置にパッド(6A)が配設されている
ことを特徴とする制動装置。
【請求項2】
略円形状外周面(12)を有する固定ケーシング(10)の外端面(13)から回転自在に回転軸(11)が突設した回転装置(M)における該回転軸(11)に、円板状ディスク(5)を固設し、
該ディスク(5)の外周縁(5A)に沿って、複数のアクチュエータ(20)を配設すると共に、
複数の上記アクチュエータ(20)は、上記回転軸(11)の軸心方向(Y11)から見て、上記固定ケーシング(10)の略円形状の外周縁(C10)よりも内部のラジアル内方向域に、配設され、
さらに、上記固定ケーシング(10)の上記外端面(13)に固着具(21)にて取着される取付板(25)を、備えると共に、該取付板(25)には複数本の固定ピン(15)をアキシャル方向に突設して、上記各アクチュエータ(20)を該固定ピン(15)によって保持するように構成した
ことを特徴とする制動装置。
【請求項3】
上記固定ピン(15)は、上記外端面(13)に対して、固着・取外し自在として、固着され、
配設される上記アクチュエータ(20)の個数を増減可能に構成した請求項1記載の制動装置。
【請求項4】
上記固定ピン(15)は、上記取付板(25)に対して、固着・取外し自在として、固着され、
配設される上記アクチュエータ(20)の個数を増減可能に構成した請求項2記載の制動装置。
【請求項5】
上記アクチュエータ(20)は、上記回転軸(11)の軸心方向から見て、長円形の両長辺を凹状に形成した繭型の固定鉄心(1)と可動鉄心(2)を、有すると共に、周方向に分離した2個の電磁コイル(3)(3)は接続配線(33)によって電気的に直列に接続され、かつ、繭型の上記可動鉄心(2)の中心位置にパッド(6A)が配設されている請求項2記載の制動装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
そこで、本発明は、略円形状外周面を有する固定ケーシングの外端面から回転自在に回転軸が突設した回転装置における該回転軸に、円板状ディスクを固設し;該ディスクの外周縁に沿って、複数のアクチュエータを配設すると共に;複数の上記アクチュエータは、上記回転軸の軸心方向から見て、上記固定ケーシングの略円形状の外周縁よりも内部のラジアル内方向域に、配設され;しかも、各アクチュエータは、上記固定ケーシングの上記外端面から突設された固定ピンにて保持されていると共に;上記アクチュエータは、上記回転軸の軸心方向から見て、長円形の両長辺を凹状に形成した繭型の固定鉄心と可動鉄心を、有すると共に、周方向に分離した2個の電磁コイルは接続配線によって電気的に直列に接続され、かつ、繭型の上記可動鉄心の中心位置にパッドが配設されている。