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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150380
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】プラグドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20220929BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20220929BHJP
   E05F 15/638 20150101ALI20220929BHJP
   E05F 15/646 20150101ALI20220929BHJP
   E05D 15/10 20060101ALI20220929BHJP
   E05F 15/635 20150101ALN20220929BHJP
   E05F 15/643 20150101ALN20220929BHJP
【FI】
B61D19/00 B
E05F15/655
E05F15/638
E05F15/646
E05D15/10
E05F15/635
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052959
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】榊 源太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 数馬
【テーマコード(参考)】
2E034
2E052
【Fターム(参考)】
2E034FA01
2E034GA08
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA12
2E052EA13
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA02
2E052KA04
2E052LA02
(57)【要約】
【課題】スライドベースの回転による気密性の低下を抑制することができるプラグドア装置を提供する。
【解決手段】実施形態のプラグドア装置1は、車両の車体に固定される固定ベース3と、車両の乗降口15を開閉するためのドア2が取り付けられており、駆動源6からの駆動力によって固定ベース3に対して車両の幅方向に移動可能なスライドベース4と、スライドベース4の幅方向の移動を、ドア2の全閉位置で制限する制限機構40と、を備える。制限機構40は、固定ベース3に固定され、制限部41を有する2つの固定部材42と、スライドベース4において車両の前後方向に離れた2つの部分のそれぞれに取り付けられた2つの移動部材43と、2つの移動部材43を接続する接続シャフト44と、を備える。2つの移動部材43は、ドア2が全閉位置に到達した際に、制限部41と接触してスライドベース4の幅方向の移動が制限される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に固定される固定ベースと、
前記車両の乗降口を開閉するためのドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向に移動可能なスライドベースと、
前記スライドベースの前記幅方向の移動を、前記ドアの全閉位置で制限する制限機構と、を備え、
前記制限機構は、
前記固定ベースに固定され、制限部を有する2つの固定部材と、
前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向に離れた2つの部分のそれぞれに取り付けられ、前記2つの固定部材のそれぞれと対になるように設けられた2つの移動部材と、
前記2つの移動部材を接続する接続シャフトと、を備え、
前記接続シャフトで接続された前記2つの移動部材は、前記ドアが前記全閉位置に到達した際に、前記制限部と接触して前記スライドベースの前記幅方向の移動が制限される制限領域に、外力を受けて一体に移動する
プラグドア装置。
【請求項2】
前記2つの移動部材のそれぞれは、前記スライドベースの前記前後方向の両端に設けられている
請求項1に記載のプラグドア装置。
【請求項3】
前記制限部は、前記前後方向のいずれかの方向に窪む凹部であり、
前記2つの移動部材のそれぞれは、前記ドアが前記全閉位置に到達した際に、前記外力を受けて、前記凹部の窪みに嵌る凸部を有する
請求項1又は2に記載のプラグドア装置。
【請求項4】
前記固定部材は、前記スライドベースの前記幅方向の移動が制限されない非制限領域に前記移動部材が位置する際に前記凸部が嵌り、前記移動部材の前記幅方向の移動を案内する案内壁を更に有する
請求項3に記載のプラグドア装置。
【請求項5】
前記2つの移動部材のそれぞれは、
前記ドアが前記全閉位置に到達した際に前記制限部と接触する接触部と、
前記車両の高さ方向に延びる回転軸を中心として回転可能に前記接触部に連結される連結アームと、を有し、
2つの前記連結アームは、前記高さ方向から見て前記回転軸と異なる位置で、前記接続シャフトに接続され、
前記2つの移動部材のそれぞれが有する前記接触部は、前記ドアが前記全閉位置に到達しようとする際に、前記外力を受けて前記連結アームが前記回転軸を中心として回転することにより前記制限領域に一体に移動する
請求項1から4の何れか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項6】
前記2つの連結アームは、前記高さ方向から見て平行リンクを構成する
請求項5に記載のプラグドア装置。
【請求項7】
前記接続シャフトは、前記高さ方向から見て前記前後方向と平行に延びている
請求項6に記載のプラグドア装置。
【請求項8】
前記2つの連結アームを接続する前記接続シャフトは、前記接続シャフトの長さを調整可能な接続側調整機構を有する
請求項6又は7に記載のプラグドア装置。
【請求項9】
前記2つの連結アームが有する前記回転軸の少なくとも一方には、前記外力を前記連結アームに作用させて、前記連結アームを回転させるねじりバネが取り付けられている
請求項5から8の何れか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項10】
前記ドアをロックするためのロック機構に駆動源からの出力を伝達し、前記ロック機構を作動させる伝達機構を更に備え、
前記伝達機構は、一方の前記連結アームと前記伝達機構とを接続する解錠シャフトを有し、
前記伝達機構が前記駆動源からの出力を受けて前記ドアのロックを解除する方向へ移動する際に、前記伝達機構と連動して前記解錠シャフトを介して前記一方の連結アームが回転することで、前記制限領域から、前記スライドベースの前記幅方向の移動が制限されない非制限領域に前記接触部が移動する
請求項5から9の何れか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項11】
前記解錠シャフトは、前記解錠シャフトの長さを調整可能な解錠側調整機構を有する
請求項10に記載のプラグドア装置。
【請求項12】
前記伝達機構には、前記外力として弾性力を作用させる弾性部材が設けられている
請求項10又は11に記載のプラグドア装置。
【請求項13】
前記制限機構は、前記2つの固定部材を接続する固定シャフトを更に備える
請求項1から12の何れか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項14】
前記固定ベースにおいて前記前後方向に離れた2つの部分にそれぞれ固定され、前記スライドベースにおいて前記前後方向に離れた2つの部分を前記幅方向に移動可能に支持する2つのレールベースを更に備え、
前記2つの固定部材のそれぞれは、前記2つのレールベースに固定されている
請求項1から13の何れか一項に記載のプラグドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアを鉄道車両の前後方向に移動させながら幅方向に移動させる動作、いわゆるプラグ動作をさせるプラグドア装置が知られている。例えば、特許文献1には、ドアリーフと、ドアリーフに接続され且つ回動可能に設けられた回動柱と、ドアリーフのスライド方向に沿って配向された支持体と、ドアリーフの上側に設けられた第1のロック機構と、ドアリーフの下側に設けられた第2のロック機構と、を備えた構成が開示されている。このようなプラグドア装置では、ドアリーフのスライド運動は、モータ等の駆動源からの駆動力によって支持体及び回動柱を動かすことで行われる。ドアリーフは、全閉位置では第1のロック機構及び第2のロック機構によりロックされる。
一方、プラグドア装置として、車体に固定される固定ベースと、ドアが取り付けられており駆動源からの駆動力によって固定ベースに対して車両の幅方向にスライドするスライドベースと、ドアをロックするためのロック機構と、を備えた構成が知られている。ロック機構は、車両の高さ方向に沿う軸線回りに回転可能なロックローラを備える。ロックローラは、ドアの全閉位置でロック機構がロック状態となるとき、外力を受けて移動して、ドアハンガのブロックに接触する。これにより、ドアは、全閉位置ではロックローラによりロックされる。このようなプラグドア装置では、車両の内部と外部とで気圧差が生じて車両の外部が負圧となった場合、ロックローラの設置位置によっては、スライドベースがロックローラを中心に回転することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-538171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スライドベースがロックローラを中心に回転すると、スライドベースに取り付けられたドアも一緒に回転するため、ドアの外面と車体側壁の外面との間に隙間が生じ、気密性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、スライドベースの回転による気密性の低下を抑制することができるプラグドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の車体に固定される固定ベースと、前記車両の乗降口を開閉するためのドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向に移動可能なスライドベースと、前記スライドベースの前記幅方向の移動を、前記ドアの全閉位置で制限する制限機構と、を備え、前記制限機構は、前記固定ベースに固定され、制限部を有する2つの固定部材と、前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向に離れた2つの部分のそれぞれに取り付けられ、前記2つの固定部材のそれぞれと対になるように設けられた2つの移動部材と、前記2つの移動部材を接続する接続シャフトと、を備え、前記接続シャフトで接続された前記2つの移動部材は、前記ドアが前記全閉位置に到達した際に、前記制限部と接触して前記スライドベースの前記幅方向の移動が制限される制限領域に、外力を受けて一体に移動する。
なお、「外力」とは、バネ等の弾性部材による弾性力、及びモータやアクチュエータ等の駆動源からの駆動力の少なくとも一方の力を含む概念である。
また、「一体」とは、完全に一体である場合のほか、スライドベースの幅方向の移動を制限するうえで支障が無い範囲でのずれも含む概念である。
【0007】
この構成によれば、ドアが全閉位置に到達した際に、接続シャフトで接続された2つの移動部材が、制限領域に一体に移動するため、スライドベースの幅方向における移動を安定して制限することができる。したがって、スライドベースの回転による気密性の低下を抑制することができる。
加えて、接続シャフトが2つの移動部材に接続されることで、スライドベースにおいて前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を同期することができるため、ドアにおいて前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動の同期を取ることができる。加えて、2つの移動部材は、ドアが全閉位置に到達した際に、制限領域に、外力を受けて一体に移動することで、ドアの全閉位置でスライドベースにおいて前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を制限することができるため、ドアの全閉位置でドアにおいて前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を制限することができる。したがって、ドアにおいて前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動の同期を取ると共に、ドアの全閉位置でドアにおいて前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を制限することができる。
【0008】
(2)上記(1)に記載のプラグドア装置では、前記2つの移動部材のそれぞれは、前記スライドベースの前記前後方向の両端に設けられていてもよい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載のプラグドア装置では、前記制限部は、前記前後方向のいずれかの方向に窪む凹部であり、前記2つの移動部材のそれぞれは、前記ドアが前記全閉位置に到達した際に、前記外力を受けて、前記凹部の窪みに嵌る凸部を有していてもよい。
【0010】
(4)上記(3)に記載のプラグドア装置では、前記固定部材は、前記スライドベースの前記幅方向の移動が制限されない非制限領域に前記移動部材が位置する際に前記凸部が嵌り、前記移動部材の前記幅方向の移動を案内する案内壁を更に有していてもよい。
【0011】
(5)上記(1)から(4)の何れか一項に記載のプラグドア装置では、前記2つの移動部材のそれぞれは、前記ドアが前記全閉位置に到達した際に前記制限部と接触する接触部と、前記車両の高さ方向に延びる回転軸を中心として回転可能に前記接触部に連結される連結アームと、を有し、2つの前記連結アームは、前記高さ方向から見て前記回転軸と異なる位置で、前記接続シャフトに接続され、前記2つの移動部材のそれぞれが有する前記接触部は、前記ドアが前記全閉位置に到達しようとする際に、前記外力を受けて前記連結アームが前記回転軸を中心として回転することにより前記制限領域に一体に移動してもよい。
【0012】
(6)上記(5)に記載のプラグドア装置では、前記2つの連結アームは、前記高さ方向から見て平行リンクを構成してもよい。
【0013】
(7)上記(6)に記載のプラグドア装置では、前記接続シャフトは、前記高さ方向から見て前記前後方向と平行に延びていてもよい。
【0014】
(8)上記(6)又は(7)に記載のプラグドア装置では、前記2つの連結アームを接続する前記接続シャフトは、前記接続シャフトの長さを調整可能な接続側調整機構を有していてもよい。
【0015】
(9)上記(5)から(8)の何れか一項に記載のプラグドア装置では、前記2つの連結アームが有する前記回転軸の少なくとも一方には、前記外力を前記連結アームに作用させて、前記連結アームを回転させるねじりバネが取り付けられていてもよい。
【0016】
(10)上記(5)から(9)の何れか一項に記載のプラグドア装置では、前記ドアをロックするためのロック機構に駆動源からの出力を伝達し、前記ロック機構を作動させる伝達機構を更に備え、前記伝達機構は、一方の前記連結アームと前記伝達機構とを接続する解錠シャフトを有し、前記伝達機構が前記駆動源からの出力を受けて前記ドアのロックを解除する方向へ移動する際に、前記伝達機構と連動して前記解錠シャフトを介して前記一方の連結アームが回転することで、前記制限領域から、前記スライドベースの前記幅方向の移動が制限されない非制限領域に前記接触部が移動してもよい。
【0017】
(11)上記(10)に記載のプラグドア装置では、前記解錠シャフトは、前記解錠シャフトの長さを調整可能な解錠側調整機構を有してもよい。
【0018】
(12)上記(10)又は(11)に記載のプラグドア装置では、前記伝達機構には、前記外力として弾性力を作用させる弾性部材が設けられていてもよい。
【0019】
(13)上記(1)から(12)の何れか一項に記載のプラグドア装置では、前記制限機構は、前記2つの固定部材を接続する固定シャフトを更に備えていてもよい。
【0020】
(14)上記(1)から(13)の何れか一項に記載のプラグドア装置では、前記固定ベースにおいて前記前後方向に離れた2つの部分にそれぞれ固定され、前記スライドベースにおいて前記前後方向に離れた2つの部分を前記幅方向に移動可能に支持する2つのレールベースを更に備え、前記2つの固定部材のそれぞれは、前記2つのレールベースに固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スライドベースの回転による気密性の低下を抑制することができるプラグドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態のプラグドア装置の斜視図である。
図2】実施形態の制限機構の斜視図である。
図3】実施形態の制限機構の一方の斜視図である。
図4】実施形態の制限機構の他方の斜視図である。
図5】実施形態の制限機構の下面図である。
図6】実施形態の制限部材の他方を含む周辺の下面図である。
図7】実施形態のプラグドア装置のドアが全開位置に位置する状態の下面図である。
図8】実施形態のプラグドア装置のドアが全閉位置に位置する状態の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、プラグドア装置として鉄道車両(車両)の乗降口を開閉する片引きのドアを備えた例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も含むものとする。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0024】
<実施形態>
図1は、実施形態のプラグドア装置の斜視図である。図2は、実施形態の制限機構の斜視図である。
図1に示すように、プラグドア装置1は、ドア2と、固定ベース3と、スライドベース4と、制限機構40と、を備える。なお、図1においては、ドア2を二点鎖線で示している。図1及び図2においては、ドア2が全閉位置に位置する状態の制限機構40をそれぞれ示している。
【0025】
なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、車両の前後方向と一致している。Y方向は、車両の幅方向と一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する車両の高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。+Y側は幅方向外側に相当し、-Y側は幅方向内側に相当する。+Z側は重力方向の上側に相当し、-Z側は重力方向の下側に相当する。
【0026】
プラグドア装置1は、ドア2が全閉位置のとき、車体側壁の外面とドア2の外面とが面一となるようにドア2を支持している。ドア2は、ドアリーフ10と、ドアリーフ10に連結されたドアハンガ11と、を備える。ドア2は、スライドベース4に取り付けられている。ドアハンガ11は、スライドベース4に対して前後方向に移動可能な状態でスライドベース4に支持されている。
【0027】
固定ベース3は、車両の車体に固定されている。車体は、車両の骨格をなすフレームである。固定ベース3は、車両の乗降口15の上方に設けられている。固定ベース3は、乗降口15の上端縁を跨ぐように前後方向に延びている。固定ベース3の前後方向の両端(固定ベースにおいて前後方向に離れた2つの部分の一例)には、幅方向に延びるレールベース9がそれぞれ連結されている。
【0028】
スライドベース4は、駆動源6からの駆動力によって固定ベース3に対して幅方向にスライドすることで、ドア2を幅方向に移動させる。スライドベース4は、固定ベース3の下方に設けられている。スライドベース4は、乗降口15の上端縁に沿うように前後方向に延びている。スライドベース4の前後方向の両端は、レールベース9に沿って幅方向に移動可能とされている。
【0029】
駆動源6は、ドア2を移動させるための駆動力を出力する。例えば、駆動源6は、モータである。モータの出力軸は、高さ方向に沿う軸線まわりで回転する。例えば、モータの出力軸は、高さ方向に沿う軸線まわりの一方と他方とに回転可能(正逆回転可能)とされる。駆動源6は、動くことが可能な電源ケーブル29、いわゆるケーブルベヤ(登録商標)に接続されている。駆動源6は、下面視でX方向に長手を有する矩形状のケース7内に設けられている。駆動源6は、動力伝達機構30とスライドベース4との間に設けられている。駆動源6は、スライドベース4の+X側部に取り付けられている。駆動源6は、スライドベース4の幅方向への移動と共に幅方向に移動可能とされている。
【0030】
動力伝達機構30は、駆動源6からの駆動力の向きを変換する動力変換機構31と、前後方向に沿って延びる無端状のベルト32と、を備える。動力変換機構31は、モータの出力軸の高さ方向に沿う軸線まわりの回転を、ベルト32の周回方向へ変換する。動力変換機構31は、高さ方向に沿う軸線まわりで回転するギア33を備える。ギア33の回転中心は、モータの出力軸と同軸に配置されている。ギア33に対して前後方向に離間した位置には、ギア33の回転軸線と平行な軸線(高さ方向に沿う軸線)まわりで回転可能なプーリ34が設けられている。
【0031】
ベルト32は、ギア33とプーリ34とに架け渡されている。ベルト32は、ギア33の回転に連動してギア33及びプーリ34の周りを移動(周回)する。ベルト32には、ドアハンガ11が接続されている。ドアハンガ11は、ベルト32の移動と共に前後方向に移動する。
【0032】
ベルト32には、ベルト32の移動と共に移動する連結部材(不図示)が取り付けられている。連結部材には、ドア2が開閉する際にガイドレール(不図示)に案内されながらドア2の開閉経路(不図示)に沿って転がる回転体(不図示)が支持されている。図1中において、符号8はドア2の全閉位置でドア2をロックするロック機構を示す。
以下、ドアを前後方向に移動させながら幅方向に移動させる動作、いわゆるプラグ動作の一例について説明する。
【0033】
ドア2は、ドアハンガ11を介して、ベルト32の+Y側の部分に接続されている。上述の通りベルト32は前後方向において互いに離間した位置にあるギア33とプーリ34とに架け渡されているため、ベルト32の+Y側の部分は前後方向に移動する。このため、ベルト32が移動すると、ドア2が前後方向に移動する。
【0034】
ドア2は、図1に示す全閉位置(車体側壁の外面とドア2の外面とが面一となる位置)から、駆動源6からの駆動力がベルト32に伝達され、ベルト32に接続されたドアハンガ11が移動することにより、全開位置まで移動する。ここで、全開位置は、ドア2が乗降口15を開放(全開)するとともに、ドア2が車両外部に出た位置を意味する。図1の例では、ドア2は、全閉位置から最初は幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動し、その後、前後方向の一方(例えば+X方向)へ真っ直ぐ移動することにより全開位置に至る。
【0035】
図示はしないが、ガイドレールが有する開閉経路は、前後方向に沿う直線部分と、直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を有する。回転体は、ドアを全開位置から閉じる動作を行うとき、最初は直線部分に沿って真っ直ぐ移動するが、その後、傾斜部分に沿って幅方向内側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動する。上述の通り回転体は連結部材及びベルト32等を介してスライドベース4に支持されているため、回転体が傾斜部分に沿って移動する場合にはスライドベース4は幅方向に移動する。また、ドアリーフ10はドアハンガ11等を介してスライドベース4に支持されているため、スライドベース4が幅方向に移動する場合にはドアリーフ10は幅方向に移動する。
【0036】
なお、ドアの駆動方式は、動力伝達機構30が上述のベルト32を備える、いわゆるベルト式に限定されない。例えば、ドアの駆動方式は、ボルトに相当するスクリュー軸をモータで回転させ、ナットに相当するボールナットに取り付けられたドアを開閉する方式である、いわゆるスクリュー式であってもよい。または、ドアの駆動方式は、ラック・アンド・ピニオン機構のピニオンをモータで回転させ、ラックレールに取り付けられたドアを開閉する方式である、いわゆるラック・アンド・ピニオン方式であってもよい。例えば、ドアの駆動方式は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0037】
制限機構40は、スライドベース4の幅方向の移動を、ドア2の全閉位置で制限する。
制限機構40は、固定ベース3に固定され且つ凹部41(制限部の一例)を有する2つの固定部材42と、スライドベース4の前後方向の両端(スライドベース4において前後方向に離れた2つの部分の一例)に設けられた2つの移動部材43と、2つの移動部材43を接続する接続シャフト44と、を備える。なお、各図においては、制限機構40の前後方向の一方(-X側)の構成要素の末尾には記号Aを付し、他方(+X側)の構成要素の末尾には記号Bを付しているが、特に区別する必要が無い場合は末尾の記号を省略して説明する。
【0038】
固定部材42は、固定ベース3に固定されている。固定部材42は、ボルト等の締結部材によってレールベース9に固定されている。固定部材42は、幅方向に並ぶ複数(例えば本実施形態では2本)の第1のボルト47と、2本の第1のボルト47を間に挟んで幅方向に並ぶ複数(例えば本実施形態では2本)の第2のボルト48と、によってレールベース9の下部に取り付けられている。
【0039】
図2に示すように、固定部材42は、固定部材42を高さ方向に開口する開口部50を有する。開口部50は、レールベース9よりも前後方向の内側に配置されている。開口部50は、高さ方向から見てL字状に形成された貫通孔である。開口部50は、ドアが全閉位置に到達した際にスライドベース4の幅方向の移動を制限する制限領域51と、スライドベース4の幅方向の移動を制限しない非制限領域52と、を有する。
【0040】
制限領域51は、開口部50のうち+X側の部分である。制限領域51は、高さ方向から見てローラ60の外形に沿う湾曲形状を有する。
非制限領域52は、開口部50のうち-X側の部分である。非制限領域52は、高さ方向から見て幅方向に長手を有する。非制限領域52の幅方向の両側部分は、高さ方向から見てローラ60の外形に沿う湾曲形状を有する。
【0041】
凹部41は、高さ方向から見て非制限領域52の-Y端近傍から+X側(前後方向のいずれかの方向の一例)に向けて窪んでいる。制限領域51は、凹部41の窪みに相当する。
【0042】
固定部材42は、移動部材43の幅方向の移動を案内する案内壁53を有する。案内壁53は、高さ方向から見て幅方向に延びている。案内壁53は、高さ方向から見て非制限領域52と重なる開口部50における前後方向の一対の内壁である。一対の案内壁53は、高さ方向から見て幅方向に互いに平行に延びている。一方の案内壁53の幅方向の長さは、他方の案内壁53(前後方向において凹部41側の案内壁53)の幅方向の長さよりも長い。案内壁53の幅方向の長さは、ローラ60の外径よりも大きい。
【0043】
なお、開口部50は、固定部材42を高さ方向に開口し且つ高さ方向から見てL字状に形成された貫通孔であることに限らない。例えば、開口部50は、高さ方向から見てL字状に形成された溝であってもよい。例えば、開口部50として固定部材42に形成される孔や溝の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0044】
図1に示すように、2つの移動部材43は、スライドベース4の前後方向の両端にそれぞれ取り付けられている。2つの移動部材43は、2つの固定部材42のそれぞれと対になるように設けられている。2つの移動部材43のそれぞれは、ドア2が全閉位置に到達した際に凹部41と接触するローラ60(接触部の一例)と、高さ方向に延びる回転軸61を中心として回転可能にローラ60に連結される連結アーム62と、を備える。
【0045】
図3は、実施形態の制限機構40の一方の斜視図である。図4は、実施形態の制限機構40の他方の斜視図である。図5は、実施形態の制限機構40の下面図である。図3から図5においては、ドアが全閉位置に位置する状態の制限機構40をそれぞれ示している。
図3に示すように、連結アーム62は、高さ方向に延びる回転軸61と同軸に配置されるアーム基部63と、アーム基部63から開口部50に向けて延びる第1のアーム部64と、回転軸61と離間して配置される伝達軸65を有する第2のアーム部66と、を備える。例えば、アーム基部63、第1のアーム部64及び第2のアーム部66は、同一の部材により一体に形成されていてもよい。
【0046】
アーム基部63は、回転軸61に沿って高さ方向に延びる筒状に形成されている。アーム基部63は、固定部材42の上方に配置されている。アーム基部63は、回転軸61の周囲を囲んでいる。例えば、アーム基部63の内周と回転軸61との間には、回転軸61を回転可能に支持する軸受が設けられていてもよい。
【0047】
第1のアーム部64は、アーム基部63から径方向外方(アーム基部63と直交する方向の外方)に向けて延びている。第1のアーム部64は、アーム基部63から径方向外方に向かって延びた後に下方に湾曲して延び、その後、径方向外方に延びている。図5に示すように、第1のアーム部64は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て、アーム基部63から開口部50と重なる位置まで+Y側に向けて延びている。
【0048】
図3に示すように、ローラ60は、第1のアーム部64の下方に配置されている。ローラ60は、第1のアーム部64の先端部(アーム基部63から最も離間した部分)に対して高さ方向に延びる軸線回りに回転可能に連結されている。図5に示すように、ローラ60の形状は、高さ方向から見て円形状である。ローラ60は、ドアが全閉位置に到達した際に、凹部41の窪みに嵌る凸部60aを有する。ローラ60の凸部60aは、高さ方向から見て凹部41の内壁面に沿う弧状に形成されている。ローラ60の凸部60aは、ドアが全閉位置に到達した際に、凹部41の内壁面に接触する。
【0049】
第2のアーム部66は、アーム基部63において第1のアーム部64が延びる部分とは異なる部分から径方向外方に向けて延びている。第2のアーム部66は、高さ方向から見て、第1のアーム部64が延びる方向とは反対方向(アーム基部63から-Y側)に延びている。第2のアーム部66は、高さ方向から見て、第1のアーム部64の延長線に対して-X側に斜めに延びている。
【0050】
第1のアーム部64及び第2のアーム部66は、高さ方向から見て互いに交差する方向に延びている。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第2のアーム部66がなす角度Aaは、150度程度となっている。ここで、角度Aaは、高さ方向から見て、回転軸61の軸心とローラ60の回転中心(第1のアーム部64の先端部中心)とを通る仮想直線と、回転軸61の軸心と伝達軸65の軸心とを通る仮想直線とがなす角度を意味する。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第2のアーム部66がなす角度Aaが150度程度であることにより、接続シャフト44を車内制限スペースに収めることができる。
【0051】
なお、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第2のアーム部66がなす角度Aaは150度程度に限らない。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第2のアーム部66がなす角度Aaは、10度以上且つ140度以下となっていてもよいし、160度以上且つ170度以下となっていてもよい。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第2のアーム部66がなす角度Aaは、180度を超えない範囲内となっていてもよい。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第2のアーム部66がなす角度Aaは、180度であってもよい。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第2のアーム部66がなす角度Aaは、制限機構40により本発明の効果が得られる範囲で、要求仕様に応じて変更することができる。
【0052】
図1に示すように、スライドベース4の前後方向の両端には、レールベース9に沿って幅方向に移動可能なスライダ20がそれぞれ固定されている。スライダ20は、レールベース9に沿って幅方向に延びている。2つのスライダ20のそれぞれには、ステー21が固定されている。ステー21は、スライダ20から前後方向の内側に向けて延びている。
【0053】
一方のステー21Aの前後方向の長さは、他方のステー21Bの前後方向の長さよりも長い。一方のステー21Aの先端部(スライダ20から最も離間した部分)は、他方のステー21Bの先端部(スライダ20から最も離間した部分)よりも上側に配置されている。図3に示すように、一方のステー21Aの先端部と一方の移動部材43Aが有する連結アーム62との高さ方向の間隔は、他方のステー21Bの先端部と他方の移動部材43Bが有する連結アーム62との高さ方向の間隔よりも大きい(図4参照)。
【0054】
図3に示すように、回転軸61は、高さ方向に延びている。回転軸61の上端部は、ステー21の先端部(スライダ20から最も離間した部分)に連結されている。回転軸61は、ステー21及びスライダ20を介してスライドベース4の前後方向の両端に連結されている。
【0055】
伝達軸65は、回転軸61と平行な方向(高さ方向)に延びている。伝達軸65の上端部は、第2のアーム部66の先端部(アーム基部63から最も離間した部分)に連結されている。
【0056】
図5に示すように、2つの連結アーム62は、高さ方向から見て平行リンクを構成する。言い換えると、高さ方向から見て、一方の移動部材43Aの連結アーム62が有する第2のアーム部66の長手方向に沿う仮想直線と、他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する第2のアーム部66の長手方向に沿う仮想直線とは、互いに平行である。ここで、一方の移動部材43Aの連結アーム62が有する第2のアーム部66の長手方向に沿う仮想直線は、高さ方向から見て、一方の移動部材43Aの連結アーム62が有する回転軸61の軸心と伝達軸65の軸心とを通る仮想直線を意味する。他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する第2のアーム部66の長手方向に沿う仮想直線は、高さ方向から見て、他方の連結アーム62が有する回転軸61の軸心と伝達軸65の軸心とを通る仮想直線を意味する。
【0057】
接続シャフト44は、2つの連結アーム62のそれぞれが有する伝達軸65に前後方向の両端が接続されている。接続シャフト44は、2つの連結アーム62のそれぞれが有する伝達軸65をわたすように直線状に延びている。接続シャフト44は、高さ方向から見て前後方向と平行に延びている。接続シャフト44の両端は、伝達軸65を回転中心として回転可能とされている。
【0058】
接続シャフト44は、2つの連結アーム62の一方の回転力を他方へ十分に伝達し得る剛性を持つ。例えば、接続シャフト44としては、金属製の軸部材が挙げられる。例えば、接続シャフト44は、理想的には剛体と見なすことができる部材であることが好ましい。なお、接続シャフト44は、どのような力を作用させても変形しない部材ではなく、一定以上の力が加わった場合に多少変形する部材であってもよい。例えば、2つの移動部材43を接続する接続部材は、ロープ(例えばワイヤーロープ等)の可撓性部材を含んでいてもよい。例えば、接続部材は、伝達軸65を接続するロープと、ローラ60を接続するロープの2本のロープを含んでいてもよい。
【0059】
2つの連結アーム62を接続する接続シャフト44は、接続シャフト44の長さを調整可能な接続側調整機構70を有する。接続側調整機構70は、2つの連結アーム62のそれぞれが有する伝達軸65の間隔を調整可能である。接続側調整機構70は、接続シャフト44と同軸に配置されたボルト71と、ボルト71が螺合するナット72と、を備える。接続側調整機構70を構成するナット72は、接続シャフト44の前後方向の両端に設けられている。
【0060】
例えば、接続シャフト44を中心としてボルト71を時計回りに回転させると、ボルト71の頭部(言い換えると、接続シャフト44の本体部分)がナット72に近づくため、接続シャフト44を短くする(言い換えると、2つの連結アーム62のそれぞれが有する伝達軸65の間隔を小さくする)ことができる。これとは逆に、接続シャフト44を中心としてボルト72を反時計回りに回転させると、ボルト71の頭部がナット72から遠ざかるため、接続シャフト44を長くする(言い換えると、2つの連結アーム62のそれぞれが有する伝達軸65の間隔を大きくする)ことができる。
【0061】
なお、接続側調整機構70は、接続シャフト44と同軸に配置されたボルト71と、ボルト71が螺合するナット72と、を備えることに限らない。例えば、接続側調整機構70は、接続シャフト44に設けられたナットと、ナットに螺合するボルトと、を備えていてもよい。例えば、接続側調整機構70の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0062】
2つの連結アーム62は、高さ方向から見て回転軸61とは異なる位置で、接続シャフト44に接続されている。2つの連結アーム62のそれぞれが有する回転軸61は、高さ方向から見て互いに同じ幅方向位置に配置されている。2つの連結アーム62のそれぞれが有する伝達軸65は、高さ方向から見て互いに同じ幅方向位置に配置されている。
【0063】
接続シャフト44は、2つの連結アーム62と共に高さ方向から見て平行リンクを構成する。言い換えると、高さ方向から見て、接続シャフト44に沿う仮想直線と、2つの連結アーム62のそれぞれが有する回転軸61の軸心を通る仮想直線とは、互いに平行である。ここで、接続シャフト44に沿う仮想直線は、2つの連結アーム62のそれぞれが有する伝達軸65の軸心を通る仮想直線を意味する。
【0064】
2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て回転軸61よりも+Y側に配置されている。2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て、前後方向において回転軸61と同じ位置(言い換えると、回転軸61の軸心を通り且つ幅方向に平行な仮想直線上)に配置されている。
【0065】
図7に示すように、2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全開位置に位置する場合、高さ方向から見て回転軸61よりも+Y側に配置されている。2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全開位置に位置する場合、高さ方向から見て、前後方向において回転軸61と異なる位置(具体的には、回転軸61の軸心を通り且つ幅方向に平行な仮想直線よりも-X側)に配置されている。
【0066】
図3に示すように、一方の移動部材43Aの連結アーム62が有する回転軸61には、ねじりバネ49(弾性部材の一例)が取り付けられている。ねじりバネ49は、弾性力(外力の一例)を連結アーム62に作用させて、連結アーム62を回転させる。ねじりバネ49は、一方の移動部材43Aの連結アーム62が有する回転軸61に巻き付けられている。ねじりバネ49は、一方のステー21Aの先端部と一方の移動部材43Aのアーム基部63との間に配置されている。なお、他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する回転軸61には、ねじりバネ49は設けられていない(図4参照)。
【0067】
一方の移動部材43Aの連結アーム62には、ねじりバネ49からの弾性力が常に加えられている。図5に示すように、ねじりバネ49は、下面視で回転軸61を中心として反時計回り(矢印Ra方向)に弾性力を作用させる。ねじりバネ49は、ドアが全閉位置に到達した際に、ローラ60と凹部41との接触が保たれるように連結アーム62に対して弾性力を加える。ねじりバネ49は、ローラ60が非制限領域52に位置する際に、ローラ60と案内壁53との接触が保たれるように連結アーム62に対して弾性力を加える(図7参照)。
【0068】
図6は、実施形態の制限部材40の他方を含む周辺の下面図である。図6においては、ドアが全閉位置に位置する状態の制限機構40を示している。
図6に示すように、他方の移動部材43Bが有する連結アーム62は、一方の移動部材43Aが有する連結アーム62(図5参照)とは異なる形状を有する。他方の移動部材43Bが有する連結アーム62は、アーム基部63、第1のアーム部64及び第2のアーム部66を備えると共に、回転軸61と離間して配置される解錠軸67を有する第3のアーム部68を備える。例えば、他方の移動部材43Bを構成するアーム基部63、第1のアーム部64、第2のアーム部66及び第3のアーム部68は、同一の部材により一体に形成されていてもよい。
【0069】
第3のアーム部68は、アーム基部63において第1のアーム部64及び第2のアーム部66が延びる部分とは異なる部分から径方向外方に向けて延びている。第3のアーム部68は、高さ方向から見てアーム基部63から-X側に延びている。
【0070】
第1のアーム部64及び第3のアーム部68は、高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第3のアーム部68がなす角度Baは、90度程度となっている。ここで、角度Baは、高さ方向から見て、他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する回転軸61の軸心とローラ60の回転中心(第1のアーム部64の先端部中心)とを通る仮想直線と、他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する回転軸61の軸心と解錠軸67の軸心(第3のアーム部68の先端部中心)とを通る仮想直線とがなす角度を意味する。
【0071】
なお、第1のアーム部64及び第3のアーム部68は、高さ方向から見て互いに直交する方向に延びていることに限らない。例えば、第1のアーム部64及び第3のアーム部68は、高さ方向から見て互いに斜めに交差する方向に延びていてもよい。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第3のアーム部68がなす角度Baは、10度以上且つ80度以下となっていてもよいし、100度以上且つ170度以下となっていてもよい。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第3のアーム部68がなす角度Baは、180度を超えない範囲内となっていてもよい。例えば、高さ方向から見て第1のアーム部64及び第3のアーム部68がなす角度Baは、制限機構40により本発明の効果が得られる範囲で、要求仕様に応じて変更することができる。
【0072】
図4に示すように、解錠軸67は、回転軸61と平行な方向(高さ方向)に延びている。解錠軸67の下端部は、第3のアーム部68の先端部(アーム基部63から最も離間した部分)に連結されている。図6に示すように、他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する回転軸61の軸心と解錠軸67の軸心との間隔は、他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する回転軸61の軸心とローラ60の回転中心との間隔よりも大きい。
【0073】
図1に示すように、プラグドア装置1は、ドア2をロックするためのロック機構8に駆動源6からの出力を伝達し、ロック機構8を作動させる伝達機構100を備える。
【0074】
なお、伝達機構100は、動力伝達機構30とスライドベース4との間に設けられた駆動源6からの出力を伝達し、ロック機構8を作動させることに限らない。例えば、伝達機構100は、駆動源6とは別の駆動源からの出力を伝達し、ロック機構8を作動させてもよい。例えば、ロック機構8に出力が伝達される駆動源の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0075】
伝達機構100は、他方の移動部材43Bが有する連結アーム62(一方の連結アームの一例)と伝達機構100とを接続する解錠シャフト101と、解錠シャフト101に第1の力(外力の一例)を伝達する第1の伝達部材102と、解錠シャフト101に第2の力(外力の一例)を伝達する第2の伝達部材103と、を備える。
【0076】
図6に示すように、解錠シャフト101は、他方の移動部材43Bの連結アーム62が有する解錠軸67と第1の伝達部材102が有する解錠側伝達軸105とに前後方向の両端が接続されている。解錠シャフト101は、解錠軸67と解錠側伝達軸105とをわたすように直線状に延びている。解錠シャフト101は、高さ方向から見て前後方向に対して斜めに延びている。解錠シャフト101の両端は、それぞれ解錠軸67及び解錠側伝達軸105を回転中心として回転可能とされている。
【0077】
解錠シャフト101は、他方の連結アーム62の回転力及び第1の伝達部材102の移動力の一方の力を他方へ十分に伝達し得る剛性を持つ。例えば、解錠シャフト101としては、金属製の軸部材が挙げられる。例えば、解錠シャフト101は、理想的には剛体と見なすことができる部材であることが好ましい。なお、解錠シャフト101は、どのような力を作用させても変形しない部材ではなく、一定以上の力が加わった場合に多少変形する部材であってもよい。
【0078】
解錠軸67と解錠側伝達軸105とを接続する解錠シャフト101は、解錠シャフト101の長さを調整可能な解錠側調整機構110を有する。解錠側調整機構110は、解錠軸67と解錠側伝達軸105との間隔を調整可能である。解錠側調整機構110は、解錠シャフト101と同軸に配置されたボルト111と、ボルトが螺合するナット112と、を備える。解錠側調整機構110を構成するナット112は、解錠シャフト101の前後方向の両端に設けられている。
【0079】
例えば、解錠シャフト101を中心としてボルト111を時計回りに回転させると、ボルト111の頭部(言い換えると、解錠シャフト101の本体部分)がナット112に近づくため、解錠シャフト101を短くする(言い換えると、解錠軸67と解錠側伝達軸105との間隔を小さくする)ことができる。これとは逆に、解錠シャフト101を中心としてボルト111を反時計回りに回転させると、ボルト111の頭部がナット112から遠ざかるため、解錠シャフト101を長くする(言い換えると、解錠軸67と解錠側伝達軸105との間隔を大きくする)ことができる。
【0080】
なお、解錠側調整機構110は、解錠シャフト101と同軸に配置されたボルト111と、ボルト111が螺合するナット112と、を備えることに限らない。例えば、解錠側調整機構110は、解錠シャフト101に設けられたナットと、ナットに螺合するボルトと、を備えていてもよい。例えば、解錠側調整機構110の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0081】
図6に示すように、第1の伝達部材102は、解錠側伝達軸105を有する支持部材120と、支持部材120を前後方向に案内可能なガイド部材121と、を備える。
支持部材120は、前後方向と平行に延びる支持部本体122と、支持部本体122を操作するための操作部材123と、を備える。解錠側伝達軸105の上端部は、支持部本体122の+X端部に連結されている。操作部材123は、前後方向と平行に延びる軸部材である。操作部材123の+X端部は、ガイド部材121をX方向に開口する貫通孔を通じて、支持部本体122の-X端部に連結されている。
【0082】
ガイド部材121は、支持部材120よりも前後方向に長く延びている。ガイド部材121は、高さ方向に開口し且つ前後方向に延びる長孔124を有する。支持部材120は、長孔124を通じて複数(例えば本実施形態では前後方向に間隔をあけて配置された2本)のボルト125によりガイド部材121に取り付けられている。
【0083】
支持部材120及びガイド部材121は、前後方向の位置を互いに調整可能とされている。例えば、長孔124を通じて支持部材120に締結されたボルト125を緩めた状態で、操作部材123を+X側へ押すことにより、支持部材120をガイド部材121に対して+X側へ移動させることができる。これとは逆に、操作部材123を-X側へ引くことにより、支持部材120をガイド部材121に対して-X側へ移動させることができる。そして、支持部材120及びガイド部材121の前後方向の位置を調整した後に、緩めたボルト125を締め付けることで、支持部材120及びガイド部材121の前後方向の位置を固定することができる。
【0084】
ガイド部材121において-X側の部分は、ボルト等の締結部材によりロック機構8のリニアガイド(不図示)に連結されている。ガイド部材121は、リニアガイドの前後方向の移動に連動して前後方向に移動する。
【0085】
ガイド部材121において-X側の部分は、ボルト等の締結部材によりブラケットを介してコイルバネ127(図7参照、弾性部材の一例)が取り付けられていてもよい。コイルバネ127は、弾性力(外力の一例)を第1の伝達部材102に作用させて、第1の伝達部材102を-X側に引っ張っている。解錠シャフト101は、第1の伝達部材102を介してコイルバネ127の弾性力を受け、-X側に引っ張られている。
【0086】
図6に示すように、第2の伝達部材103は、前後方向と平行に延びる第1の軸130を有する第1の連結部材131と、第1の軸130と平行に延びる第2の軸132を有する第2の連結部材133と、を備える。
【0087】
第1の連結部材131は、ケース7の-Y側の部分に設けられている。第2の連結部材133は、第1の伝達部材102が有するガイド部材121の+X側且つ-Y側の部分に設けられている。第1の連結部材131及び第2の連結部材133は、幅方向に延びる連結軸134により互いに連結されている。
【0088】
第1の連結部材131には、第1のコイルバネ135(弾性部材の一例)が設けられている。第1のコイルバネ135は、第1の軸130の+X側の部分に沿って設けられている。第1のコイルバネ135は、弾性力(外力の一例)を第1の連結部材131に作用させて、第1の連結部材131を-X側に押している。解錠シャフト101は、第1の連結部材131、連結軸134、第2の連結部材133及び第1の伝達部材102を介して第1のコイルバネ135の弾性力を受け、-X側に押されている。
【0089】
第2の連結部材133には、第2のコイルバネ136(弾性部材の一例)が設けられている。第2のコイルバネ136は、第2の軸132に沿って設けられている。第2のコイルバネ136は、弾性力(外力の一例)を第2の連結部材133に作用させて、第2の連結部材133を-X側に押している。解錠シャフト101は、第2の連結部材133及び第1の伝達部材102を介して第2のコイルバネ136の弾性力を受け、-X側に押されている。
【0090】
図5に示すように、制限機構40は、2つの固定部材42を接続する固定シャフト45を備える。
固定シャフト45は、2つの固定部材42に前後方向の両端が接続されている。固定シャフト45は、2つの固定部材42の前後方向の内端部をわたすように直線状に延びている。固定シャフト45は、高さ方向から見て前後方向と平行に延びている。固定シャフト45の両端は、2つの固定部材42の前後方向の内端部に固定されている。
【0091】
固定シャフト45は、2つの固定部材42を定位置に支持し得る剛性を持つ。例えば、固定シャフト45としては、金属製の軸部材が挙げられる。例えば、固定シャフト45は、理想的には剛体と見なすことができる部材であることが好ましい。なお、固定シャフト45は、どのような力を作用させても変形しない部材ではなく、一定以上の力が加わった場合に多少変形する部材であってもよい。
【0092】
2つの固定部材42を接続する固定シャフト45は、固定シャフト45の長さを調整可能な固定側調整機構80を有する。固定側調整機構80は、2つの固定部材42の前後方向の間隔を調整可能である。固定側調整機構80は、固定シャフト45と同軸に配置されたボルト81と、ボルト81が螺合する雌ねじ部82と、を備える。固定側調整機構80を構成する雌ねじ部82は、2つの固定部材42の前後方向の内側部に設けられている。
【0093】
例えば、固定シャフト45を中心としてボルト81を時計回りに回転させると、ボルト81の頭部(言い換えると、固定シャフト45の本体部分)が雌ねじ部82(言い換えると、固定部材42の前後方向の内側部)に近づくため、固定シャフト45を短くする(言い換えると、2つの固定部材42の前後方向の間隔を小さくする)ことができる。これとは逆に、固定シャフト45を中心としてボルト81を反時計回りに回転させると、ボルト81の頭部が雌ねじ部82から遠ざかるため、固定シャフト45を長くする(言い換えると、2つの固定部材42の前後方向の間隔を大きくする)ことができる。
【0094】
なお、固定側調整機構80は、固定シャフト45と同軸に配置されたボルト81と、ボルト81が螺合する雌ねじ部82と、を備えることに限らない。例えば、固定側調整機構80は、固定シャフト45に設けられたナットと、ナットに螺合するボルトと、を備えていてもよい。例えば、固定側調整機構80の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0095】
図7及び図8は、実施形態の制限機構40の動作説明図である。図7は、実施形態のプラグドア装置1のドアが全開位置に位置する状態の下面図である。図8は、実施形態のプラグドア装置1のドアが全閉位置に位置する状態の下面図である。図7及び図8においては、固定シャフト45の図示を省略している。図7においては、ドアが全開位置に位置する状態からドアの閉動作に合わせてスライドベース4が幅方向内側(プラグイン方向)に移動する例(図7の矢印Wi方向に移動する例)を示している。例えば、図7は、ドアが全開位置に位置する状態から車両内部へ入るように幅方向内側に移動する状態に相当する。
【0096】
図7に示すように、ドアが全開位置に位置する状態では、2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、非制限領域52に配置される。ドアが全開位置に位置する状態からスライドベース4が幅方向内側に移動すると、2つの移動部材43は案内壁53によって幅方向内側へ案内される。
【0097】
一方の移動部材43Aの連結アーム62は、ねじりバネ49の弾性力により下面視で回転軸61を中心として反時計回り(矢印Ra方向)に押されている。一方の移動部材43Aの連結アーム62に作用するねじりバネ49の弾性力は、接続シャフト44を通じて他方の移動部材43Bの連結アーム62に作用する。2つの連結アーム62のそれぞれに連結されたローラ60は、一対の案内壁53のうち+X側の案内壁53に押されている。そのため、スライドベース4が幅方向内側に移動すると、2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、+X側の案内壁53に沿って転がりつつ幅方向内側へ案内される。
【0098】
図8に示すように、2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全閉位置に到達しようとする際に、ねじりバネ49の弾性力を受けて連結アーム62が回転軸61を中心として回転することにより制限領域51に一体に移動する。このとき、伝達機構100は、他方の移動部材43Bの動きを阻害しないように前後方向に移動可能とされている。
【0099】
ねじりバネ49の弾性力により、接続シャフト44で接続された2つの移動部材43は、それぞれの回転軸61を回転中心として互いに同じ方向に回転する。接続シャフト44で接続された2つの移動部材43は、ドアが全閉位置に到達した際に、固定部材42の凹部41と接触して制限領域51に、ねじりバネ49の弾性力を受けて一体に移動する。
【0100】
2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全閉位置に到達した際に、ねじりバネ49の弾性力を受けて、凹部41の窪みに嵌る凸部60aを有する。2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60の凸部60aは、ドアが全閉位置に到達した際に、ねじりバネ49の弾性力を受けて、凹部41の内壁面に接触する。これにより、ドアが全閉位置に到達した際に、スライドベース4の幅方向の移動が制限される。
【0101】
本実施形態では、制限機構40が動作する際に、ねじりバネ49の弾性力と共にコイルバネ127,135,136の弾性力が作用する。第1の伝達部材102は、コイルバネ127の弾性力により下面視で-X側に引っ張られている。第2の伝達部材103は、コイルバネ135,136の弾性力により下面視で-X側に押されている。そのため、他方の移動部材43Bの連結アーム62は、コイルバネ127,135,136の弾性力により下面視で回転軸61を中心として反時計回り(矢印Rb方向)に押されている。他方の移動部材43Bの連結アーム62に作用するコイルバネ127,135,136の弾性力は、接続シャフト44を通じて一方の移動部材43Aの連結アーム62に作用する。
【0102】
2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全閉位置に到達しようとする際に、コイルバネ127,135,136の弾性力を受けて連結アーム62が回転軸61を中心として回転することにより制限領域51に一体に移動する。接続シャフト44で接続された2つの移動部材43は、ドアが全閉位置に到達した際に、固定部材42の凹部41と接触して制限領域51に、コイルバネ127,135,136の弾性力を受けて一体に移動する。
【0103】
2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドアが全閉位置に到達した際に、コイルバネ127,135,136の弾性力を受けて、凹部41の窪みに嵌る凸部60aを有する。2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60の凸部60aは、ドアが全閉位置に到達した際に、コイルバネ127,135,136の弾性力を受けて、凹部41の内壁面に接触する。これにより、ドアが全閉位置に到達した際に、スライドベース4の幅方向の移動が制限される。
【0104】
次に、図7の状態から図8の状態に移動する例とは反対のプラグ動作の例として、ドアが全閉位置に位置する状態からドアの開動作に合わせてスライドベース4が幅方向外側(プラグアウト方向)に移動する例(図8の状態から図7の状態に移動する例、図7の矢印Wi方向とは反対方向に移動する例)を説明する。例えば、図8は、ドアが全閉位置に位置する状態から車両外部へ出るように幅方向外側に移動する状態に相当する。
【0105】
図8に示すように、ドアが全閉位置に位置する状態では、2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、制限領域51に配置される。伝達機構100は、駆動源6からの出力を受けて+X側(ドアのロックを解除する方向)へ移動する。伝達機構100は、ねじりバネ49及びコイルバネ127,135,136の弾性力に抗して+X側へ移動する。
【0106】
伝達機構100が+X側へ移動する際、他方の移動部材43Bの連結アーム62は、伝達機構100と連動して解錠シャフト101を介して回転する。伝達機構100が+X側へ移動する際、他方の移動部材43Bの連結アーム62は、下面視で回転軸61を中心として時計回り(図8の矢印Rb方向とは反対方向)に回転する。
【0107】
2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、伝達機構100が+X側へ移動する際に、上述の弾性力に抗して連結アーム62が回転軸61を中心として回転することにより非制限領域52に一体に移動する。接続シャフト44で接続された2つの移動部材43は、伝達機構100が+X側へ移動する際に、固定部材42の凹部41から離間して非制限領域52に、上述の弾性力に抗して一体に移動する。
【0108】
図7に示すように、2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60が非制限領域52に移動することにより、スライドベース4の幅方向の移動が可能となる。これにより、ドアの開動作が可能となる。
【0109】
以上説明したように、本実施形態に係るプラグドア装置1は、車両の車体に固定される固定ベース3と、車両の乗降口15を開閉するためのドア2が取り付けられており、駆動源6からの駆動力によって固定ベース3に対して車両の幅方向に移動可能なスライドベース4と、スライドベース4の幅方向の移動を、ドア2の全閉位置で制限する制限機構40と、を備える。制限機構40は、固定ベース3に固定され、制限部41を有する2つの固定部材42と、スライドベース4において車両の前後方向に離れた2つの部分のそれぞれに取り付けられ、2つの固定部材42のそれぞれと対になるように設けられた2つの移動部材43と、2つの移動部材43を接続する接続シャフト44と、を備える。接続シャフト44で接続された2つの移動部材43は、ドア2が全閉位置に到達した際に、制限部41と接触してスライドベース4の幅方向の移動が制限される制限領域51に、外力を受けて一体に移動する。2つの移動部材43のそれぞれは、スライドベース4の前後方向の両端に設けられている。制限部41は、前後方向の一方に窪む凹部41である。2つの移動部材43のそれぞれは、ドア2が全閉位置に到達した際に、外力を受けて、凹部41の窪みに嵌る凸部60aを有する。固定部材42は、スライドベース4の幅方向の移動が制限されない非制限領域52に移動部材43が位置する際に凸部60aが嵌り、移動部材43の幅方向の移動を案内する案内壁53を有する。2つの移動部材43のそれぞれは、ドア2が全閉位置に到達した際に凹部41と接触するローラ60と、車両の高さ方向に延びる回転軸61を中心として回転可能にローラ60に連結される連結アーム62と、を有する。2つの連結アーム62は、高さ方向から見て回転軸61と異なる位置で、接続シャフト44に接続されている。2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドア2が全閉位置に到達しようとする際に、外力を受けて連結アーム62が回転軸61を中心として回転することにより制限領域51に一体に移動する。2つの連結アーム62は、高さ方向から見て平行リンクを構成する。接続シャフト44は、高さ方向から見て前後方向と平行に延びている。2つの連結アーム62を接続する接続シャフト44は、接続シャフト44の長さを調整可能な接続側調整機構70を有する。2つの連結アーム62が有する回転軸61の一方には、外力を連結アーム62に作用させて、連結アーム62を回転させるねじりバネ49が取り付けられている。プラグドア装置1は、ドア2をロックするためのロック機構8に駆動源6からの出力を伝達し、ロック機構8を作動させる伝達機構100を備える。伝達機構100は、他方の移動部材43Bの連結アーム62と伝達機構100とを接続する解錠シャフト101を有する。伝達機構100が駆動源6からの出力を受けてドア2のロックを解除する方向へ移動する際に、伝達機構100と連動して解錠シャフト101を介して他方の移動部材43Bの連結アーム62が回転することで、制限領域51から、スライドベース4の幅方向の移動が制限されない非制限領域52にローラ60が移動する。解錠シャフト101は、解錠シャフト101の長さを調整可能な解錠側調整機構110を有する。伝達機構100には、外力として弾性力を作用させるコイルバネ127,135,136が設けられている。制限機構40は、2つの固定部材42を接続する固定シャフト45を備える。プラグドア装置1は、固定ベース3において前後方向に離れた2つの部分にそれぞれ固定され、スライドベース4において前後方向に離れた2つの部分を幅方向に移動可能に支持する2つのレールベース9を備える。2つの固定部材42のそれぞれは、2つのレールベース9に固定されている。
【0110】
この構成によれば、ドア2が全閉位置に到達した際に、接続シャフト44で接続された2つの移動部材43が、制限領域51に一体に移動するため、スライドベース4の幅方向における移動を安定して制限することができる。したがって、スライドベース4の回転による気密性の低下を抑制することができる。
加えて、接続シャフト44が2つの移動部材43に接続されることで、スライドベース4において前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を同期することができるため、ドア2において前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動の同期を取ることができる。加えて、2つの移動部材43は、ドア2が全閉位置に到達した際に、制限領域51に、外力を受けて一体に移動することで、ドア2の全閉位置でスライドベース4において前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を制限することができるため、ドア2の全閉位置でドア2において前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を制限することができる。したがって、ドア2において前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動の同期を取ると共に、ドア2の全閉位置でドア2において前後方向に離れた2つの部分における幅方向の移動を制限することができる。
加えて、2つの移動部材43のそれぞれがスライドベース4の前後方向の両端に設けられていることで、スライドベース4の前後方向の両端で幅方向の移動を制限するため、スライドベース4の回転移動を安定して制限することができる。
加えて、制限部41は前後方向の一方に窪む凹部41であり、2つの移動部材43のそれぞれはドア2が全閉位置に到達した際に外力を受けて凹部41の窪みに嵌る凸部60aを有することで、ドア2が全閉位置に到達した際に、2つの移動部材43のそれぞれが有する凸部60aが凹部41の窪みに嵌るため、スライドベース4の前後方向の移動を安定して制限することができる。
加えて、固定部材42は、スライドベース4の幅方向の移動が制限されない非制限領域52に移動部材43が位置する際に凸部60aが嵌り、移動部材43の幅方向の移動を案内する案内壁53を有することで、ドア2が全閉位置に到達するまでの間における移動部材43の幅方向の移動が案内壁53によって案内されるため、移動部材43を幅方向に安定して移動することができる。
加えて、2つの移動部材43のそれぞれは、ドア2が全閉位置に到達した際に凹部41と接触するローラ60と、車両の高さ方向に延びる回転軸61を中心として回転可能にローラ60に連結される連結アーム62と、を有し、2つの連結アーム62は、高さ方向から見て回転軸61と異なる位置で、接続シャフト44に接続され、2つの移動部材43のそれぞれが有するローラ60は、ドア2が全閉位置に到達しようとする際に、外力を受けて連結アーム62が回転軸61を中心として回転することにより制限領域51に一体に移動することで、接続シャフト44に伝達された力は、連結アーム62の回転軸61を中心とした回転力に変換され、ローラ60に伝達される。そのため、ドア2が全閉位置に到達した際に、ローラ60が制限領域51に移動したとき、固定部材42が有する凹部41に対して回転力(スライドベース4の幅方向の移動を制限する方向の成分を含む力)が作用する。したがって、ドア2が全閉位置に到達した際に、スライドベース4の幅方向の移動をより安定して制限することができる。
加えて、2つの連結アーム62は高さ方向から見て平行リンクを構成することで、2つの連結アーム62が高さ方向から見て互いに非平行の場合と比較して、2つの連結アーム62の回転軸61を中心とした回転を安定化することができる。
加えて、接続シャフト44は、高さ方向から見て前後方向と平行に延びていることで、接続シャフト44が高さ方向から見て前後方向と交差する方向に延びている場合と比較して、接続シャフト44の車両の幅方向における設置スペースを小さくすることができるため、小型のプラグドア装置1を実現することができる。
加えて、2つの連結アーム62を接続する接続シャフト44は、接続シャフト44の長さを調整可能な接続側調整機構70を有することで、2つの連結アーム62の伝達軸65の間の距離がずれた場合であっても、接続シャフト44の長さを調整することにより、高さ方向から見て2つの連結アーム62が平行リンクを構成するよう調整することができる。
加えて、2つの連結アーム62が有する回転軸61の一方には、外力を連結アーム62に作用させて、連結アーム62を回転させるねじりバネ49が取り付けられていることで、回転軸61の周囲のデッドスペースを利用してねじりバネ49を設けることができるため、外力を作用させるためにアクチュエータ等の駆動源を設けた場合と比較して、小型のプラグドア装置1を実現することができる。
加えて、プラグドア装置1は、ドア2をロックするためのロック機構8に駆動源6からの出力を伝達し、ロック機構8を作動させる伝達機構100を備え、伝達機構100は、他方の移動部材43Bの連結アーム62と伝達機構100とを接続する解錠シャフト101を有し、伝達機構100が駆動源6からの出力を受けてドア2のロックを解除する方向へ移動する際に、伝達機構100と連動して解錠シャフト101を介して他方の移動部材43Bの連結アーム62が回転することで、制限領域51から、スライドベース4の幅方向の移動が制限されない非制限領域52にローラ60が移動する。これにより、解錠シャフト101が伝達機構100と連動することで、連結アーム62に連結されたローラ60が非制限領域52に移動するため、既存の伝達機構100を利用してドア2のロックを解除することができる。
加えて、解錠シャフト101は、解錠シャフト101の長さを調整可能な解錠側調整機構110を有することで、他方の移動部材43Bの連結アーム62と伝達機構100との間の距離がずれた場合であっても、解錠シャフト101の長さを調整することにより、他方の移動部材43Bの連結アーム62と伝達機構100との間の距離を所望の値に設定することができるため、ドア2のロックの解除を安定して行うことができる。
加えて、伝達機構100には、外力として弾性力を作用させるコイルバネ127,135,136が設けられていることで、伝達機構100の周囲のデッドスペースを利用してコイルバネ127,135,136を設けることができるため、外力を作用させるためにアクチュエータ等の駆動源を設けた場合と比較して、小型のプラグドア装置1を実現することができる。加えて、ねじりバネ49の弾性力及びコイルバネ127,135,136の弾性力が互いに作用し合うことで、ドア2が全閉位置に到達した際に、ローラ60が制限領域51に移動したとき、固定部材42が有する凹部41に対してねじりバネ49及びコイルバネ127,135,136のそれぞれの弾性力による回転力(スライドベース4の幅方向の移動を制限する方向の成分を含む力)が作用する。したがって、ドア2が全閉位置に到達した際に、スライドベース4の幅方向の移動をより安定して制限することができる。
加えて、制限機構40は、2つの固定部材42を接続する固定シャフト45を備えることで、固定シャフト45により2つの固定部材42の支持剛性を向上することができる。
加えて、プラグドア装置1は、固定ベース3において前後方向に離れた2つの部分にそれぞれ固定され、スライドベース4において前後方向に離れた2つの部分を幅方向に移動可能に支持する2つのレールベース9を備え、2つの固定部材42のそれぞれは、2つのレールベース9に固定されていることで、2つの固定部材42のそれぞれの固定に既存の2つのレールベース9を活用できるため、2つの固定部材42を固定するための部材をレールベース9とは別に設けた場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0111】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0112】
上述した実施形態では、2つの移動部材のそれぞれがスライドベースの前後方向の両端に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、2つの移動部材のそれぞれは、スライドベースの前後方向の一端と他端との間に設けられていてもよい。例えば、2つの移動部材は、スライドベースにおいて車両の前後方向に離れた2つの部分のそれぞれに取り付けられ、2つの固定部材のそれぞれと対になるように設けられていればよい。例えば、2つの移動部材の設置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0113】
上述した実施形態では、制限部が前後方向の一方に窪む凹部である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、制限部は、前後方向の他方に窪む凹部であってもよい。例えば、制限部は、前後方向のいずれか一方に窪む凹部でなくてもよい。例えば、制限部は、前後方向に延びる開口部であってもよい。例えば、制限部の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0114】
上述した実施形態では、2つの移動部材のそれぞれは、ドアが全閉位置に到達した際に、外力を受けて、凹部の窪みに嵌る凸部を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、2つの移動部材のそれぞれは、凹部の窪みに嵌る凸部を有していなくてもよい。例えば、制限部が前後方向に延びる開口部である場合、2つの移動部材のそれぞれは、ドアが全閉位置に到達した際に、外力を受けて、開口部の開口に嵌る凸部を有していてもよい。例えば、2つの移動部材のそれぞれが有する凸部の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0115】
上述した実施形態では、固定部材は、スライドベースの幅方向の移動が制限されない非制限領域に移動部材が位置する際に凸部が嵌り、移動部材の幅方向の移動を案内する案内壁を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、固定部材は、案内壁を有していなくてもよい。例えば、固定部材は、凹部のみを有していてもよい。例えば、固定部材の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0116】
上述した実施形態では、2つの移動部材のそれぞれは、ドアが全閉位置に到達した際に凹部と接触するローラと、車両の高さ方向に延びる回転軸を中心として回転可能にローラに連結される連結アームと、を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、2つの移動部材のそれぞれは、連結アームを有していなくてもよい。例えば、移動部材の構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0117】
上述した実施形態では、ドアが全閉位置に到達した際に制限部と接触する接触部は、第1のアーム部の先端部に対して車両の高さ方向に延びる回転軸を中心として回転可能に設けられたローラである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、接触部は、ローラでなくてもよい。例えば、接触部は、第1のアーム部の先端部に対して回転不能に固定されたピンであってもよい。例えば、接触部は、第1のアーム部の先端部であってもよい。例えば、接触部の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0118】
上述した実施形態では、2つの連結アームは、高さ方向から見て平行リンクを構成する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、2つの連結アームは、高さ方向から見て平行リンクを構成していなくてもよい。例えば、2つの連結アームは、高さ方向から見て互いに非平行に配置されていてもよい。例えば、2つの連結アームの配置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0119】
上述した実施形態では、接続シャフトは、高さ方向から見て前後方向と平行に延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、接続シャフトは、高さ方向から見て前後方向と交差する方向に延びていてもよい。例えば、接続シャフトの配置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0120】
上述した実施形態では、2つの連結アームを接続する接続シャフトは、接続シャフトの長さを調整可能な接続側調整機構を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、接続シャフトは、接続側調整機構を有していなくてもよい。例えば、接続シャフトの構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0121】
上述した実施形態では、2つの連結アームが有する回転軸の一方には、外力を連結アームに作用させて、連結アームを回転させるねじりバネが取り付けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ねじりバネは、2つの連結アームが有する回転軸の他方に取り付けられていてもよい。例えば、ねじりバネは、2つの連結アームが有する回転軸の少なくとも一方に取り付けられていてもよい、例えば、2つの連結アームが有する回転軸には、ねじりバネが取り付けられていなくてもよい。例えば、2つの連結アームが有する回転軸の少なくとも一方には、外力を連結アームに作用させて、連結アームを回転させる板バネや圧縮バネ等のねじりバネ以外の弾性部材が取り付けられていてもよい。例えば、2つの連結アームが有する回転軸には、外力として弾性力を作用させる弾性部材が設けられていなくてもよい。例えば、2つの連結アームが有する回転軸には、外力を作用させるためにモータやアクチュエータ等の駆動源が設けられていてもよい。例えば、外力を作用させるための構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0122】
上述した実施形態では、プラグドア装置は、ドアをロックするためのロック機構に駆動源からの出力を伝達し、ロック機構を作動させる伝達機構を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、プラグドア装置は、伝達機構を備えていなくてもよい。例えば、プラグドア装置の構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0123】
上述した実施形態では、伝達機構は、他方の移動部材の連結アーム(一方の連結アームの一例)と伝達機構とを接続する解錠シャフトを有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、解錠シャフトは、一方の移動部材の連結アームと伝達機構とを接続していてもよい。例えば、伝達機構は、解錠シャフトを有していなくてもよい。例えば、伝達機構の構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0124】
上述した実施形態では、解錠シャフトは、解錠シャフトの長さを調整可能な解錠側調整機構を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、解錠シャフトは、解錠側調整機構を有していなくてもよい。例えば、解錠シャフトの構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0125】
上述した実施形態では、伝達機構には、外力として弾性力を作用させるコイルバネが設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、伝達機構には、コイルバネが設けられていなくてもよい。例えば、伝達機構には、外力として弾性力を作用させる板バネやねじりバネ等のコイルバネ以外の弾性部材が設けられていてもよい。例えば、伝達機構には、外力として弾性力を作用させる弾性部材が設けられていなくてもよい。例えば、伝達機構には、外力として駆動力を作用させるモータやアクチュエータ等の駆動源が設けられていてもよい。例えば、外力を作用させるための構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0126】
上述した実施形態では、制限機構は、2つの固定部材を接続する固定シャフトを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、制限機構は、固定シャフトを備えていなくてもよい。例えば、2つの固定部材は、固定シャフトを介さずに前後方向に間隔をあけて設けられていてもよい。例えば、2つの固定部材は、前後方向に延びることで互いに連結されていてもよい。例えば、2つの固定部材の接続態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0127】
上述した実施形態では、プラグドア装置は、固定ベースにおいて前後方向に離れた2つの部分にそれぞれ固定され、スライドベースにおいて前後方向に離れた2つの部分を幅方向に移動可能に支持する2つのレールベースを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、プラグドア装置は、2つのレールベースを備えていなくてもよい。例えば、スライドベースは、2つのレールベースを介さずに固定ベースに対して車両の幅方向に移動可能とされていてもよい。例えば、プラグドア装置の構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0128】
上述した実施形態では、2つの固定部材のそれぞれは、2つのレールベースに固定されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、2つの固定部材のそれぞれは、レールベースとは別の部材に固定されていてもよい。例えば、2つの固定部材のそれぞれの固定態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0129】
例えば、上述した実施形態では、プラグドア装置が鉄道車両の乗降口を開閉する片引きのドアを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、プラグドア装置は、鉄道車両以外の車両に設けられてもよい。例えば、プラグドア装置は、両引き分けの一対のドアを備えていてもよい。
【0130】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0131】
1…プラグドア装置、2…ドア、3…固定ベース、4…スライドベース、6…駆動源、8…ロック機構、9…レールベース、15…乗降口、40…制限機構、41…凹部(制限部)、42…固定部材、43…移動部材、44…接続シャフト、45…固定シャフト、49…ねじりバネ、51…制限領域、52…非制限領域、53…案内壁、60…ローラ(接触部)、60a…凸部、61…回転軸、62…連結アーム、70…接続側調整機構、100…伝達機構、101…解錠シャフト、110…解錠側調整機構、127…コイルバネ(弾性部材)、135…第1のコイルバネ(弾性部材)、136…第2のコイルバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8