(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150392
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ストライカ、乗物用シート、および、ストライカの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20220929BHJP
【FI】
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052972
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】嘉藤 遥平
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DA06
3B087DA10
(57)【要約】
【課題】ストライカの剛性を向上させることを目的とする。
【解決手段】ストライカ1は、ラッチ装置と係合可能なU字形状のループ部10と、ループ部10の両端部が固定されるベース面F1を有するベースプレート20と、ループ部10およびベースプレート20を補強する補強部材30と、を備える。補強部材30は、ベース面F1に沿って配置され、ベース面F1を支持する第1板状部31と、第1板状部31の一端からベース面F1とは反対側に延びる第2板状部32であって、ループ部10に固定される第2板状部32と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッチ装置と係合可能なU字形状のループ部と、
前記ループ部の両端部が固定されるベース面を有するベースプレートと、
前記ループ部および前記ベースプレートを補強する補強部材と、を備え、
前記補強部材は、
前記ベース面に沿って配置され、前記ベース面を支持する第1板状部と、
前記第1板状部の一端から前記ベース面とは反対側に延びる第2板状部であって、前記ループ部に固定される第2板状部と、を有することを特徴とするストライカ。
【請求項2】
前記第2板状部は、前記ループ部の内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のストライカ。
【請求項3】
前記ベースプレートは、他の部材に前記ベースプレートを締結させるための第1締結孔を有し、
前記第1板状部は、前記他の部材に前記第1板状部を前記ベースプレートとともに締結させるための第2締結孔であって、前記第1締結孔に重なる第2締結孔を有し、
前記第2板状部は、前記ループ部に溶接により接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のストライカ。
【請求項4】
前記第2板状部は、前記第1板状部に対して直交していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のストライカ。
【請求項5】
前記第1板状部は、前記一端の幅よりも幅が大きな幅広部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のストライカ。
【請求項6】
前記ループ部は、
前記ベース面から離れる方向に延びる第1延在部および第2延在部と、
前記第1延在部と前記第2延在部を連結する連結部と、を有し、
前記第2板状部は、前記第1延在部および前記第2延在部に固定されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のストライカ。
【請求項7】
前記第1延在部の形状は、前記第2延在部の形状とは異なることを特徴とする請求項6に記載のストライカ。
【請求項8】
前記ループ部は、
前記第1延在部の前記ベースプレート側の端部から前記ベース面に沿って延びるフランジ部であって、前記ベース面に接合されるフランジ部を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のストライカ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のストライカと、
前記ストライカが固定されるフレームと、を備えたことを特徴とする乗物用シート。
【請求項10】
ラッチ装置と係合可能なU字形状のループ部と、前記ループ部の両端部が固定されるベース面を有するベースプレートと、前記ループ部および前記ベースプレートを補強する補強部材であって、前記ベース面に沿って配置され、前記ベース面を支持する第1板状部と、前記第1板状部の一端から前記ベース面とは反対側に延びる第2板状部であって、前記ループ部に固定される第2板状部と、を有する補強部材と、を備えたストライカの製造方法であって、
前記ループ部を前記ベースプレートに固定する工程と、
前記補強部材を前記ループ部に固定する工程と、を備えることを特徴とするストライカの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストライカ、ストライカを備えた乗物用シート、および、ストライカの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストライカとして、ラッチ装置と係合可能なU字形状のループ部と、ループ部の両端部が固定されるベース面を有するベースプレートと、ループ部を補強する補強板とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、補強板は、ベース面に直交する向きで設置され、ループ部の2つの棒状部の間に位置する平板状の部分と、各棒状部に沿って屈曲した2つの屈曲部分とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ストライカの剛性について、さらなる向上が望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、ストライカの剛性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るストライカは、ラッチ装置と係合可能なU字形状のループ部と、前記ループ部の両端部が固定されるベース面を有するベースプレートと、前記ループ部および前記ベースプレートを補強する補強部材と、を備える。
前記補強部材は、前記ベース面に沿って配置され、前記ベース面を支持する第1板状部と、前記第1板状部の一端から前記ベース面とは反対側に延びる第2板状部であって、前記ループ部に固定される第2板状部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、第2板状部がループ部に固定されるとともに、ベース面に沿った第1板状部がベース面を支持するので、ストライカの剛性を向上させることができる。
【0008】
また、前記第2板状部は、前記ループ部の内側に配置されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、第2板状部によってループ部を内側から補強することができるので、ストライカの剛性を向上させることができる。
【0010】
また、前記ベースプレートは、他の部材に前記ベースプレートを締結させるための第1締結孔を有し、前記第1板状部は、前記他の部材に前記第1板状部を前記ベースプレートとともに締結させるための第2締結孔であって、前記第1締結孔に重なる第2締結孔を有し、前記第2板状部は、前記ループ部に溶接により接合されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1板状部がベースプレートとともに他の部材に締結されるので、第1板状部をベースプレートに溶接等により固定する必要がなく、ストライカの製造コストを低くすることができる。
【0012】
また、前記第2板状部は、前記第1板状部に対して直交していてもよい。
【0013】
また、前記第1板状部は、前記一端の幅よりも幅が大きな幅広部を有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1板状部とベースプレートの接触面積を大きくすることができるので、ベースプレートの剛性を向上させることができる。
【0015】
また、前記ループ部は、前記ベース面から離れる方向に延びる第1延在部および第2延在部と、前記第1延在部と前記第2延在部を連結する連結部と、を有し、前記第2板状部は、前記第1延在部および前記第2延在部に固定されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、例えば第2板状部を第1延在部のみに固定する構成と比べ、ループ部の剛性を向上させることができる。
【0017】
また、前記第1延在部の形状は、前記第2延在部の形状とは異なっていてもよい。
【0018】
また、前記ループ部は、前記第1延在部の前記ベースプレート側の端部から前記ベース面に沿って延びるフランジ部であって、前記ベース面に接合されるフランジ部を有していてもよい。
【0019】
この構成によれば、第1延在部をベース面に強固に接合することができる。
【0020】
また、本発明に係る乗物用シートは、前述したストライカと、前記ストライカが固定されるフレームと、を備える。
【0021】
また、本発明に係るストライカの製造方法は、ラッチ装置と係合可能なU字形状のループ部と、前記ループ部の両端部が固定されるベース面を有するベースプレートと、前記ループ部および前記ベースプレートを補強する補強部材であって、前記ベース面に沿って配置され、前記ベース面を支持する第1板状部と、前記第1板状部の一端から前記ベース面とは反対側に延びる第2板状部であって、前記ループ部に固定される第2板状部と、を有する補強部材と、を備えたストライカの製造方法である。
前記ストライカの製造方法は、前記ループ部を前記ベースプレートに固定する工程と、前記補強部材を前記ループ部に固定する工程と、を備える。
【0022】
この製造方法によれば、剛性の高いストライカを製造することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ストライカの剛性を向上させることができる。
【0024】
また、第2板状部がループ部の内側に配置されることで、第2板状部によってループ部を内側から補強することができるので、ストライカの剛性を向上させることができる。
【0025】
また、第1板状部をベースプレートとともに他の部材に締結させる構成とすることで、第1板状部をベースプレートに溶接等により固定する必要がないので、ストライカの製造コストを低くすることができる。
【0026】
また、第1板状部が、第2板状部が延びる一端の幅よりも幅が大きな幅広部を有する構成とすることで、第1板状部とベースプレートの接触面積を大きくすることができるので、ベースプレートの剛性を向上させることができる。
【0027】
また、第2板状部が、ループ部の第1延在部および第2延在部に固定される構成とすることで、例えば第2板状部を第1延在部のみに固定する構成と比べ、ループ部の剛性を向上させることができる。
【0028】
また、ベース面に接合されるフランジ部を第1延在部に設ける構成とすることで、第1延在部をベース面に強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1の実施形態に係るストライカを備えた乗物用シートを示す斜視図である。
【
図2】ストライカを示す斜視図(a)と、ストライカを分解して示す分解斜視図である。
【
図3】第2の実施形態に係るストライカを示す斜視図である。
【
図4】第3の実施形態に係るストライカを示す斜視図である。
【
図5】第1参考例に係るストライカを示す斜視図である。
【
図6】第2参考例に係るストライカを示す斜視図である。
【
図7】第3参考例に係るストライカを示す斜視図である。
【
図8】第4参考例に係るストライカを示す斜視図である。
【
図9】第5参考例に係るストライカを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、ストライカ1は、例えば、自動車などの乗物用シートのフレームSのうち、背もたれを構成するサイドフレームS1などに固定される。一例として、サイドフレームS1は、板金からなるブラケットS2が溶接されており、ストライカ1は、このブラケットS2にボルト等の締結部材により固定されている。
【0031】
ストライカ1には、車体に固定された図示せぬラッチ装置が係合可能となっている。ラッチ装置は、ストライカ1に係合可能なラッチを備える機構である。ストライカ1にラッチが係合・離脱することで、サイドフレームS1が車体に対してロックまたはロック解除されるようになっている。
【0032】
図2(a),(b)に示すように、ストライカ1は、ラッチ装置と係合可能なU字形状のループ部10と、ループ部10の両端部が固定されるベース面F1を有するベースプレート20と、ループ部10およびベースプレート20を補強する補強部材30と、を備える。なお、以下のストライカ1の構成の説明において、便宜上、上下、左右、前後は、
図2に矢印で示した上下、左右、前後の方向を用いるが、ストライカ1を任意の姿勢で使用できることは言うまでもない。
【0033】
ループ部10は、例えば金属からなる棒状部材をU字形状に屈曲させることで形成されている。ループ部10は、ベース面F1から離れる方向に延びる第1延在部11および第2延在部12と、第1延在部11と第2延在部12を連結する連結部13と、を有する。
【0034】
第1延在部11および第2延在部12は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。第1延在部11の下端部および第2延在部12の下端部は、ベース面F1に溶接等により固定される。連結部13は、第1延在部11の上端と第2延在部12の上端とを連結している。ラッチ装置のラッチは、第1延在部11,第2延在部12および連結部13のいずれかに係合可能となっている。
【0035】
ベースプレート20は、例えば金属からなる板状の部材である。ベースプレート20は、ブラケットS2(
図1参照)にベースプレート20を締結させるための第1締結孔H1を複数有している。本実施形態では、第1締結孔H1の数を3つとするが、第1締結孔H1の数は、複数であればよい。
【0036】
第1締結孔H1は、ループ部10の前に2つ、ループ部10の後ろに1つ設けられている。ループ部10の前の2つの第1締結孔H1は、左右に間隔を空けて並んでいる。ループ部10の後ろの第1締結孔H1は、左右方向において、前の2つの第1締結孔H1の間に位置する。
【0037】
補強部材30は、ベース面F1に沿って配置される第1板状部31と、第1板状部31の後端311から上側(ベース面F1とは反対側)に延びる第2板状部32と、を有している。
【0038】
第1板状部31は、ブラケットS2(
図1参照)に第1板状部31をベースプレート20とともに締結させるための2つの第2締結孔H2を有している。2つの第2締結孔H2は、それぞれ第1締結孔H1に重なるように配置されている。第1板状部31は、ベースプレート20とともにブラケットS2に締結されることで、ベース面F1と接触してベース面F1を支持している。
【0039】
第1板状部31は、後端311の左右の幅よりも幅が大きな幅広部312を有している。本実施形態では、第1板状部31の後端311以外の部位が、幅広部312となっている。幅広部312は、前方に向かうにつれて左右の幅が徐々に大きくなっている。幅広部312の前端は、左右の幅が最も大きい。幅広部312の前端の左右両端は、後端311よりも左右方向外側に位置している。
【0040】
第2板状部32は、第1板状部31に対して直交している。第2板状部32は、ループ部10の内側に配置され、第1延在部11および第2延在部12に溶接により接合(固定)されている。図にドットのハッチングが施された部分は、溶接痕Wを示している。溶接痕Wは、第2板状部32と各延在部11,12との間に配置され、上下方向に延びている。
【0041】
第2板状部32は、上下方向に間隔を空けて並ぶ2つの孔H3を有している。各孔H3は、第2板状部32の左右方向の中央に配置されている。
【0042】
次に、ストライカ1の製造方法について説明する。
図2(b)に示すように、作業者は、まず、ループ部10をベースプレート20に溶接等により固定させる(第1工程)。次に、作業者は、各第1締結孔H1に各第2締結孔H2が重なるように第1板状部31をベース面F1の上に載置し、第2板状部32と各延在部11,12とを溶接により接合することで、補強部材30をループ部10に固定させる(第2工程)。なお、第1工程と第2工程の順序は、逆であってもよい。つまり、第2板状部32を各延在部11,12に溶接した後、ループ部10をベースプレート20に溶接してもよい。以上により、ストライカ1が製造される。なお、ストライカ1をフレームSに取り付ける場合には、各締結孔H1,H2に締結部材を通して、第2板状部32とともにベースプレート20をブラケットS2に締結させる。
【0043】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第2板状部32がループ部10に固定されるとともに、ベース面F1に沿った第1板状部31がベース面F1を支持するので、ストライカ1の剛性を向上させることができる。
【0044】
第2板状部32がループ部10の内側に配置されることで、第2板状部32によってループ部10を内側から補強することができるので、ストライカ1の剛性を向上させることができる。
【0045】
第1板状部31がベースプレート20とともにブラケットS2に締結されるので、第1板状部31をベースプレート20に溶接等により固定する必要がなく、ストライカ1の製造コストを低くすることができる。
【0046】
第1板状部31が後端311の幅よりも幅が大きな幅広部312を有するので、第1板状部31とベースプレート20の接触面積を大きくすることができ、ベースプレート20の剛性を向上させることができる。また、第1板状部31が幅広部312を有することで、左右に並ぶ2つの第2締結孔H2の間隔を大きくすることができるので、第1板状部31およびベースプレート20をブラケットS2に強固に固定させることができる。
【0047】
第2板状部32を第1延在部11および第2延在部12に固定したので、例えば第2板状部を第1延在部のみに固定する構成と比べ、ループ部10の剛性を向上させることができる。
【0048】
なお、本発明は第1の実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、第1の実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図3に示すように、第2の実施形態に係るストライカ1Aは、第1の実施形態とは異なるループ部10Aおよび補強部材30Aを有する。ループ部10Aは、金属板をプレス加工することにより形成されている。ループ部10Aは、第1の実施形態とは異なる第1延在部11A、第2延在部12Aおよび連結部13Aと、第1の実施形態にはないフランジ部14Aとを有している。第1延在部11A、第2延在部12A、連結部13Aおよびフランジ部14Aは、一体に形成されている。
【0050】
第1延在部11Aの形状は、第2延在部12Aの形状とは異なっている。具体的に、第1延在部11Aは、板形状であり、上端の幅(前後方向の長さ)が下端の幅よりも小さい台形状となっている。連結部13Aは、板形状であり、第1延在部11A側の左端の幅(前後方向の長さ)が、第2延在部12A側の右端の幅よりも大きい台形状となっている。
【0051】
第2延在部12Aは、外周面が円筒形状となっている。詳しくは、第2延在部12Aは、金属板が円筒状に丸められるようにプレス成型されることで、円筒状に形成されている。円筒状の第2延在部12Aは、ラッチ装置と係合可能となっている。第2延在部12Aの下端は、溶接等によりベースプレート20に固定されている。
【0052】
フランジ部14Aは、第1延在部11Aの下端部(ベースプレート20側の端部)からベース面F1に沿って左右方向外側に延びている。フランジ部14Aは、ベース面F1に溶接等により接合されている。
【0053】
補強部材30Aは、第1の実施形態と異なる第1板状部31Aを有している。第1板状部31Aは、第1の実施形態とは異なり、左右の幅が一定となっている。第2板状部32は、板形状の第1延在部11Aの左右方向内側の面に、溶接等により接合されている。
【0054】
以上、第2の実施形態によれば、第1延在部11Aの下端部に設けたフランジ部14Aをベース面F1に接合するので、第1延在部11Aをベース面F1に強固に接合することができる。
【0055】
図4に示すように、第3の実施形態に係るストライカ1Bは、第2の実施形態に係るストライカ1Aの構造の一部を変更したものである。具体的に、ストライカ1Bは、第2の実施形態とは異なるループ部10Bを有している。
【0056】
ループ部10Bは、第2の実施形態と略同様の第1延在部11Aおよびフランジ部14Aを有するとともに、第2の実施形態とは異なる第2延在部12Bおよび連結部13Bを有している。第2延在部12Bおよび連結部13Bは、例えば金属からなる棒状部材をL字形状に屈曲させることで一体に形成されている。連結部13Bの左端は、第1延在部11Aに溶接等により接合されている。連結部13Bまたは第2延在部12Bは、ラッチ装置と係合可能となっている。
【0057】
図5~
図8は、参考例を示す図である。
図5に示すように、第1参考例に係るストライカ2は、第2の実施形態と略同様のループ部10Aと、第1の実施形態と略同様のベースプレート20と、前述した各実施形態とは異なる補強部材230と、を備えている。補強部材230は、矩形の板状部材であり、一端がベース面F1に接触した状態で、ループ部10Aの内側に配置されている。補強部材230の左右の両端は、第1延在部11Aおよび第2延在部12Aに溶接により接合されている。なお、補強部材230のベース面F1と接触する一端は、ベース面F1に溶接により固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
【0058】
図6に示すように、第2参考例に係るストライカ2Aは、第1の実施形態と略同様のベースプレート20と、前述した各実施形態にはないラッチ係合部材40と、を備えている。ラッチ係合部材40は、第1の実施形態と略同様の第1板状部31と、第1の実施形態とは多少構造が異なる第2板状部42と、を有している。第1板状部31の左右の端および後ろの端は、それぞれ、溶接によりベースプレート20に接合されている。
【0059】
第2板状部42は、矩形の板であり、前述した2つの孔H3を有するとともに、孔H3よりも大きな矩形の孔H4を有している。孔H4は、第2板状部42の上部、詳しくは2つの孔H3の上に配置され、上辺、左辺および右辺が、それぞれ、第2板状部42の上端、左端および右端から所定距離離れている。これにより、第2板状部42のうち孔H4の左右の側部および上部が、ループ部50を構成する、第1延在部51、第2延在部52および連結部53となっている。第1延在部51、第2延在部52または連結部53は、ラッチ装置と係合可能となっている。
【0060】
図7に示すように、第3参考例に係るストライカ2Bは、第1の実施形態と略同様のベースプレート20と、第2参考例とは多少構造が異なるラッチ係合部材40Aと、を備えている。ラッチ係合部材40Aは、第2参考例のラッチ係合部材40から第1板状部31を取り除いた構造となっている。ラッチ係合部材40Aの下端は、溶接によりベースプレート20に接合されている。
【0061】
図8に示すように、第4参考例に係るストライカ2Cは、一枚の板で構成されている。ストライカ2Cは、第2参考例と略同様のループ部50と、3つの脚部61~63と、ループ部50と各脚部61~63を連結する中間部64と、を有している。
【0062】
各脚部61~63は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。3つのうち左右の脚部61,62は、それぞれ、中間部64から下に延びた後、前に向けて延びている。3つのうち真ん中の脚部63は、中間部64から下に延びた後、後ろに向けて延びている。各脚部61~63の先端部には、ストライカ2CをブラケットS2に締結するための締結孔H5が形成されている。
【0063】
図9に示すように、第5参考例に係るストライカ2Dは、第1の実施形態と略同様のループ部10およびベースプレート20と、前述した各実施形態とは異なる補強部材330と、を備えている。補強部材330は、第1延在部11から第2延在部12まで延びる第1部位331と、第1部位331よりも左右方向の幅が小さい第2部位332と、を有している。
【0064】
第1部位331および第2部位332は、ループ部10の内側に配置されている。第2部位332は、第1部位331の上端の左側部分から上に延び、第2延在部12および連結部13から離れている。第2部位332は、上端に向かうにつれて左右の幅が小さくなるように、右側の縁が円弧状に形成されている。
【0065】
第1部位331は、第1延在部11、第2延在部12およびベースプレート20に溶接により固定されている。第2部位332は、第1延在部11に接合されている。この第5参考例では、ラッチ装置は、第2延在部12または連結部13に係合可能となっている。そのため、ラッチ装置が係合しない側の第1延在部11が補強部材330で補強される範囲(接合範囲)が、ラッチ装置が係合する側の第2延在部12が補強部材330で補強される範囲よりも大きくなっている。これにより、ストライカ2Dの撓みをより抑制することが可能となっている。
【0066】
前述した各実施形態または各参考例において、溶接により固定した部分は、接着剤等で固定してもよい。
【0067】
第1~第3の実施形態において、第1板状部を溶接等によりベースプレートに固定してもよい。
【0068】
第2板状部は、ループ部の外に配置されていてもよい。また、第2板状部は、ループ部の一部に固定されていればよく、例えば2つの延在部のうち一方の延在部のみに固定されていてもよい。
【0069】
ストライカは、車両などの乗物用シートの背もたれに使用される場合だけでなく、乗物用シートの着座部や脚に設けられていてもよく、車両のトランクなどの開閉部分をロックする装置として使用することもできる。また、乗物用シートも、車両以外の船舶や飛行機のシートであってもよい。また、乗物用シートにラッチ装置が設けられる場合には、ストライカは、車体に設けられていてもよい。
【0070】
前記した実施形態および参考例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 ストライカ
10 ループ部
20 ベースプレート
30 補強部材
31 第1板状部
32 第2板状部
F1 ベース面