(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150469
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】トルクレンチ及びトルクレンチ用プログラム
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20220929BHJP
B25B 23/142 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B25B23/14 620J
B25B23/142
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053084
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】大河 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 喜晴
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038BC01
3C038CC08
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの限られた狭い領域を有効に活用して、操作ボタンによる種々の操作内容を作業者に伝えることができるようになる。
【解決手段】締付作業時に締付トルクがデジタル表示されるディスプレイDと、少なくとも締付作業の前の設定作業時に操作される1又は複数の操作ボタンBと、操作ボタンBの操作内容を示すシンボルSをディスプレイDに表示する表示制御部C2と、を備えるトルクレンチ100において、使用状況に応じて操作ボタンBの操作内容が変更されるように構成されており、表示制御部C2が、操作ボタンBの操作内容の変更に応じてシンボルSを切り替えるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付作業時に締付トルクがデジタル表示されるディスプレイと、
少なくとも締付作業の前の設定作業時に操作される1又は複数の操作ボタンと、
前記操作ボタンの操作内容を示すシンボルを前記ディスプレイに表示する表示制御部と、を備えるトルクレンチにおいて、
使用状況に応じて前記操作ボタンの操作内容が変更されるように構成されており、
前記表示制御部が、前記操作ボタンの操作内容の変更に応じて前記シンボルを切り替えることを特徴とするトルクレンチ。
【請求項2】
前記表示制御部が、締付作業時には前記シンボルを前記ディスプレイから消去する、請求項1記載のトルクレンチ。
【請求項3】
締付作業前の設定作業時にその設定作業を完了したことが前記操作ボタンを介して入力された場合に、前記表示制御部が前記シンボルを前記ディスプレイから消去する、請求項1又は2記載のトルクレンチ。
【請求項4】
締付作業時の測定データを外部に送信するための前記操作ボタンが操作された場合に、前記表示制御部が前記シンボルを前記ディスプレイから消去する、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載のトルクレンチ。
【請求項5】
締付作業時の締付トルクが所定の閾値を下回った場合に、前記表示制御部が、当該締付作業時の測定データを送信するための前記操作ボタンの前記シンボルを前記ディスプレイに表示する、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載のトルクレンチ。
【請求項6】
締付作業時の締付トルクの変動に応じて伸び縮みするバーグラフが前記ディスプレイに表示される構成において、
前記ディスプレイの予め設定された所定領域が、前記シンボルが表示されるシンボル表示領域、及び、前記バーグラフが表示されるバー表示領域として兼用されている、請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のトルクレンチ。
【請求項7】
締付作業時に締付トルクがデジタル表示されるディスプレイと、少なくとも締付作業の前の設定作業時に操作される1又は複数の操作ボタンと、を備え、使用状況に応じて前記操作ボタンの操作内容が変更されるように構成されたトルクレンチに用いられるプログラムであって、
前記操作ボタンの操作内容を示すシンボルを前記ディスプレイに表示する表示制御部としての機能をコンピュータに発揮させるものであり、
前記表示制御部が、前記操作ボタンの操作内容の変更に応じて前記シンボルを切り替えることを特徴とするトルクレンチ用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクレンチ及びトルクレンチ用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトルクレンチとしては、特許文献1に示すように、締付作業時の締付トルクがディスプレイに表示される所謂デジタル式のトルクレンチがある。
【0003】
このデジタル式トルクレンチにおいて、例えばディスプレイの近傍に複数の操作ボタンが設けられており、これらの操作ボタンを介して、例えば目標トルクの設定、作業モードの設定、表示方法の設定など、種々の操作ができるように構成されたものがある。
【0004】
かかる構成において、必要以上に操作ボタンの個数を増やすことなく、種々の操作をできるようにするために、1つの操作ボタンに複数の操作内容を担わせることがある。具体的にこのような操作ボタンとしては、例えば目標トルクの設定時には目標トルクを増減させる機能として働き、作業モードの設定時には設定される作業モードを切り替える機能として働くものなどがある。
【0005】
このように、1つの操作ボタンに複数の操作内容を担わせる場合、使い勝手を良くするためには、その時々の操作内容を作業者に把握させることが望ましく、そのための実施態様としては、上述したディスプレイに操作ボタンの操作内容を示す文字やアイコン等を表示させる態様が考えられる。
【0006】
しかしながら、ディスプレイは、トルクレンチのサイズやコストの観点から小型なものが多く、こうしたディスプレイの限られた狭い領域に、種々の操作内容を示す文字やアイコン等を一挙に表示させることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本願発明は、上述した問題を解決するべくなされたものであり、ディスプレイの限られた狭い領域を有効に利用して、操作ボタンによる種々の操作内容を作業者に伝えられるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係るトルクレンチは、締付作業時に締付トルクがデジタル表示されるディスプレイと、少なくとも締付作業の前の設定作業時に操作される1又は複数の操作ボタンと、前記操作ボタンの操作内容を示すシンボルを前記ディスプレイに表示する表示制御部と、を備えるトルクレンチにおいて、使用状況に応じて前記操作ボタンの操作内容が変更されるように構成されており、前記表示制御部が、前記操作ボタンの操作内容の変更に応じて前記シンボルを切り替えることを特徴とするものである。
【0010】
このようなトルクレンチであれば、操作ボタンの操作内容の変更に応じて、表示制御部がその操作内容のシンボルを切り替えるので、操作ボタンによる種々の操作内容をディスプレイの限られた狭い領域に表示させることができる。これにより、ディスプレイの限られた狭い領域を有効に利用することができ、操作ボタンのその時々の操作内容を作業者に伝えることが可能となる。
【0011】
締付作業時には操作ボタンを操作することは稀であることから、締付作業時においてディスプレイを有効に活用できるようにするためには、前記表示制御部が、締付作業時には前記シンボルを前記ディスプレイから消去することが好ましい。
【0012】
締付作業前の設定作業時にその設定作業を完了したことが前記操作ボタンを介して入力された場合に、前記表示制御部が前記シンボルを前記ディスプレイから消去することが好ましい。
このような構成であれば、設定作業から締付作業に移行する際に、ディスプレイからシンボルを消去することができ、締付作業時においてディスプレイを有効活用することができる。
【0013】
締付作業時の測定データを外部に送信するための前記操作ボタンが操作された場合に、前記表示制御部が前記シンボルを前記ディスプレイから消去することが好ましい。
このような構成であれば、測定データの送信後にシンボルがディスプレイから消去されるので、次の締付作業時において再びディスプレイを有効活用することができる。
【0014】
締付作業時の締付トルクが所定の閾値を下回った場合に、前記表示制御部が、当該締付作業時の測定データを送信するための前記操作ボタンの前記シンボルを前記ディスプレイに表示することが好ましい。
このような構成であれば、測定データを送信する適切なタイミングで、その送信のための操作ボタンのアイコンが表示されるので、操作性の向上を図れる。
【0015】
締付作業時の締付トルクの変動に応じて伸び縮みするバーグラフが前記ディスプレイに表示される構成において、前記ディスプレイの予め設定された所定領域が、前記シンボルが表示されるシンボル表示領域、及び、前記バーグラフが表示されるバー表示領域として兼用されていることが好ましい。
このような構成であれば、所定領域がシンボル表示領域とバー表示領域とに兼用されているので、限られた狭い領域を有効に活用して、より多くの情報をディスプレイに表示させることができる。
【0016】
また、本発明に係るトルクレンチ用プログラムは、締付作業時に締付トルクがデジタル表示されるディスプレイと、少なくとも締付作業の前の設定作業時に操作される1又は複数の操作ボタンと、を備え、使用状況に応じて前記操作ボタンの操作内容が変更されるように構成されたトルクレンチに用いられるプログラムであって、前記操作ボタンの操作内容を示すシンボルを前記ディスプレイに表示する表示制御部としての機能をコンピュータに発揮させるものであり、前記表示制御部が、前記操作ボタンの操作内容の変更に応じて前記シンボルを切り替えることを特徴とするものである。
このようなトルクレンチ用プログラムによっても、上述したトルクレンチと同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0017】
このように構成された本発明によれば、ディスプレイの限られた狭い領域を有効に活用して、操作ボタンによる種々の操作内容を作業者に伝えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトルクレンチの内部構造を示す模式図。
【
図2】同実施形態のトルクレンチの全体構成を示す模式図。
【
図3】同実施形態の制御機器の機能を示す機能ブロック図。
【
図4】同実施形態の表示制御機器による表示内容を表す図。
【
図5】同実施形態の表示制御機器による表示内容を表す図。
【
図6】その他の実施形態の表示制御機器による表示内容を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るトルクレンチを図面に基づいて説明する。
【0020】
本発明に係るトルクレンチ100は、ネジやボルト等の締付対象を締め付ける或いは緩めるために用いられるものであり、具体的には、
図1に示すように、締付トルクを測定するトルクセンサ等の測定手段TSを備えた所謂デジタル式のものである。
【0021】
このトルクレンチ100は、
図1及び
図2に示すように、上述した締付トルクが表示されるディスプレイDと、種々の操作に供される操作ボタンBと、操作ボタンBを介して入力された入力信号を受け付けるとともにディスプレイDの表示内容を制御する制御機器Cとをさらに備えている。
【0022】
ディスプレイDは、ケーシング10の外周面に設けられており、測定手段TSにより測定された締付作業の締付トルクが、その締付作業時にデジタル表示されるものである。本実施形態のディスプレイDは、薄型のものであり、具体的には有機EL素子を備えた薄型の有機ELディスプレイであるが、液晶ディスプレイを用いても構わない。
【0023】
操作ボタンBは、ケーシング10の外周面において例えばディスプレイDの近傍の複数箇所に例えば列状に設けられており、少なくとも締付作業の前の設定作業時に操作されるものである。
【0024】
より具体的に説明すると、これらの操作ボタンBは、設定作業時における例えば目標トルクの設定、作業モードの設定、表示方法の設定などにおいて操作される。
【0025】
目標トルクの設定では、操作ボタンBの1つが目標トルクを増大させる機能を果たし、別の操作ボタンBが目標トルクを減少させる機能を果たす。さらに別の操作ボタンBは、目標トルクの設定を完了したことを入力するための完了ボタンとしての機能を果たす。
【0026】
作業モードの設定では、例えば、締付作業において測定された締付トルクのピーク値をディスプレイDに表示し続けるピークホールドなど、複数の作業モードが選択可能に構成されている。そして、操作ボタンBの1つが複数の作業モードを所定順に先送りにする機能を果たし、別の操作ボタンBが所定順の逆順に複数の作業モードを後戻りする機能を果たす。さらに別の操作ボタンBは、作業モードの設定を完了したことを入力するための完了ボタンとしての機能を果たす。
【0027】
また、本実施形態では、操作ボタンBの1つが、締付トルクの測定が終了した後に操作されて、測定された締付トルクを外部に送信するための送信ボタンとしての機能を果たす。
【0028】
このように、複数の操作ボタンBの一部又は全部は、その時々での機能、すなわち操作内容が変わる。つまり、本実施形態のトルクレンチ100は、トルクレンチ100の使用状況に応じて操作ボタンBの操作内容が変更されるように構成されている。具体的には、例えば操作ボタンBの1つが操作された場合に、その操作ボタンB又は別の操作ボタンBの操作内容が変更したり、操作ボタンBが操作されずとも、例えば外部装置と通信を確立している最中や、通信可能な外部装置が見つからなかった或いは見つかった場合などに、少なくとも1つの操作ボタンBの操作内容が変更したりするように構成されている。
【0029】
制御機器Cは、ケーシング10内に収容されており、CPUやメモリ等を備えたものである。そして、この制御機器Cは、前記メモリに格納されたプログラムに基づいて、
図3に示すように、入力信号受付部C1及び表示制御部C2としての機能を少なくとも発揮する。
【0030】
入力信号受付部C1は、作業者により操作ボタンBが操作された場合に、その操作ボタンBが操作されたことを示す入力信号を受け付けるものである。具体的には、この入力信号受付部C1が入力信号を受け付けることを契機に、ディスプレイDが例えば設定作業用の表示態様から作業モード用の表示態様に切り替わる。そして、本実施形態では、入力信号受付部C1が入力信号を受け付けることで、操作ボタンBの操作内容がその次の操作に対応する操作内容に切り替わる。
【0031】
表示制御部C2は、上述した測定手段TSからの測定信号を受け付けて、締付作業時の締付トルクをディスプレイDにリアルタイムに表示するものである。
【0032】
さらに、表示制御部C2は、
図4に示すように、操作ボタンBの操作内容を示すシンボルSを、締付トルクが表示されるディスプレイDに表示する。なお、シンボルSとしては、1又は複数の文字、記号、アイコン、或いはこれらを組み合わせたものであり、前記メモリの所定領域に設定されたシンボル格納部C3(
図3参照)に格納されている。
【0033】
然して、本実施形態の表示制御部C2は、操作ボタンBの内容の変更に応じてシンボルSを変更するように構成されている。
【0034】
より具体的に説明すると、表示制御部C2は、入力信号受付部C1が入力信号を受け付けた場合に、その次の操作内容を示すシンボルSをシンボル格納部C3から取得してディスプレイDに表示する。
【0035】
この表示制御部C2は、
図4に示すように、ディスプレイDの予め設定された所定領域(以下、シンボル表示領域A1ともいう)に、それぞれの操作ボタンBの操作内容を示すシンボルSを、それらの操作ボタンBの配置に対応させて表示する。
【0036】
例えば、目標トルクの設定時における操作ボタンBとしては、上述したように、目標トルクを増大させるものや、目標トルクを減少させるものがあり、表示制御部C2は、これらの操作内容を示す「+」や「-」などのシンボルSを、目標トルク設定画面におけるシンボル表示領域A1に表示する。
【0037】
この目標トルク設定画面では、ディスプレイDの予め設定された所定領域(以下、目標トルク表示領域A2ともいう)に目標トルクの値が表示されており、この目標トルク表示領域A2よりも上述したシンボル表示領域A1の方が狭い領域として設定されている。なお、本実施形態では、目標トルク表示領域A2の下方にシンボル表示領域A1が設定されているが、これらの領域A1、A2の配置は適宜変更して構わない。
【0038】
そして、上述した目標トルクの設定を含め、作業モードの設定や表示方法の設定など、設定作業時における全ての設定作業が完了した場合、操作ボタンBの1つが、設定作業が完了したことを入力するための設定完了ボタンとしての機能を果たす。
【0039】
この設定完了ボタンが操作されると、表示制御部C2が、
図5(A)に示すように、操作ボタンBの操作内容を示すシンボルSをディスプレイDから消去するとともに、それまでの設定画面をトルク測定画面に切り替える。すなわち、本実施形態の表示制御部C2は、測定手段TSが締付トルクを測定している間は、シンボルSをディスプレイDから消去するように構成されている。なお、表示制御部C2としては、締付トルクが測定されている間の全時間帯に亘りシンボルSを消去しても良いし、一部の時間帯に亘りシンボルSを消去しても良い。
【0040】
このトルク測定画面において、表示制御部C2は、
図5(B)、(C)に示すように、測定手段TSにより測定された締付トルクの値をディスプレイDの予め設定された所定領域(以下、測定トルク表示領域A3ともいう)に表示する。
【0041】
また、この実施形態の表示制御部C2は、
図5(B)、(C)に示すように、締付作業時の締付トルクの変動に応じて伸び縮みするバーグラフをディスプレイDの予め設定された所定領域(以下、バー表示領域A4ともいう)に表示する。
【0042】
このバー表示領域A4は、上述した測定トルク表示領域A3よりも狭い領域として設定されている。なお、本実施形態では、測定トルク表示領域A3の下方にバー表示領域A4が設定されているが、これらの領域A3、A4の配置は適宜変更して構わない。
【0043】
本実施形態では、上述したシンボル表示領域A1とバー表示領域A4とが互いに重なり合っており、言い換えれば、所定領域がシンボル表示領域A1及びバー表示領域A4として兼用されている。
【0044】
そして、締付作業時における締付トルクの測定中は、表示制御部C2が、測定された締付トルクの数値とバーグラフとを時々刻々と変化させる。
【0045】
ただし、上述した設定作業においてピークホールドが作業モードとして設定されている場合、表示制御部C2は、
図5(C)に示すように、測定された締付トルクのピーク後は、そのピーク値と、そのピーク値に対応する長さのバーグラフとの一方又は両方を、所定時間だけ変化させることなく表示し続ける。
【0046】
ここで、本実施形態の制御機器Cは、
図3に示すように、締付作業時において測定された測定トルクと、所定の閾値とを比較する比較部C4としての機能を備えている。
【0047】
そして、この比較部C4により、締付作業時に測定された締付トルクが所定の閾値を下回ったと判断された場合、表示制御部C2は、
図5(D)に示すように、その締付作業時の測定データを送信するための送信ボタンとして機能する操作ボタンBのシンボル(REC)SをディスプレイDのシンボル表示領域A1に表示する。なお、この送信ボタンとは別に、操作ボタンBの1つが、送信をキャンセルするためのキャンセルボタンとしての機能を果たしており、表示制御部C2は、このキャンセルボタンの操作内容を示すシンボル(CAN)SもディスプレイDのシンボル表示領域A1に表示する。
【0048】
そして、この送信ボタンを作業者が操作することで、トルクレンチ100が備える通信機能を介して、測定された締付トルク等の測定データが外部に送信される。なお、通信機能としては、有線又は無線を利用してその通信機能を発揮する種々の手段を用いて構わない。
【0049】
さらに、本実施形態では、上述した送信ボタン又はキャンセルボタンが押されると、表示制御部C2が、送信ボタンやキャンセルボタンとして機能する操作ボタンBの操作内容を示すシンボルSを消去し、再び
図5(A)に示す表示態様に戻る。
【0050】
このように構成されたトルクレンチ100によれば、操作ボタンBの操作内容の変更に応じて、表示制御部C2がその操作内容のシンボルSを切り替えるので、操作ボタンBによる種々の操作内容をディスプレイDの限られた狭い領域に表示させることができる。これにより、ディスプレイDの限られた狭い領域を有効に活用することができ、操作ボタンBのその時々の操作内容を余すことなく作業者に伝えることが可能となる。
【0051】
また、設定作業が完了した後の締付作業時には、表示制御部C2がシンボルSをディスプレイDから消去するので、締付作業時においてディスプレイDを有効活用することができる。
【0052】
さらに、締付作業時の締付トルクが所定の閾値を下回った場合に、表示制御部C2が、送信ボタンのシンボルSをディスプレイDに表示するので、作業者からすると、測定データを送信する適切なタイミングでそのアイコンが表示されることとなり、操作性の向上を図れる。
【0053】
加えて、ディスプレイDの所定領域がシンボル表示領域A1及びバー表示領域A4として兼用されているので、限られた狭い領域を有効に活用して、より多くの情報をディスプレイDに表示させることができる。
【0054】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではない。
【0055】
例えば、本発明に係るトルクレンチ100は、前記実施形態では測定データを外部に送信する通信機能を備えてものであったが、このような通信機能を備えていないものであっても良い。
【0056】
また、表示制御部C2としては、前記実施形態で挙げた表示の他、作業時において、締付トルクの経時変化を示す波形や、締付本数や、校正を促す案内を表示しても良い。さらに、表示制御部C2は、締付が何回目であるかを示すラップ数と、そのラップ数における締付トルクの値とを一覧表示しても良い。
【0057】
操作ボタンBとしては、例えば締付工具に関わる種々の異常が発生した場合に操作される異常ボタンとして機能するものが設けられていても良い。
【0058】
また、表示制御部C2としては、
図6(A)に示すように、測定された締付トルクの単位を単位表示領域A5に表示するとともに、単位切替ボタンとして機能する操作ボタンBが操作された場合に、その単位の表示を切り替えるように構成されていても良い。この場合、表示制御部C2としては、バー表示領域A4に表示されているバーグラフを表示し続ける必要はなく、例えば同
図6(A)のバーグラフを表示してから所定時間が経過した場合やユーザが操作ボタンBを操作した場合に、バーグラフを消去するとともに、上述した単位切替ボタンの操作内容を示すシンボルを表示しても良い。
【0059】
さらに、表示制御部C2としては、
図6(B)に示すように、作業モードや日時などの付加情報を付加情報表示領域A6に表示するとともに、付加情報切替ボタンとして機能する操作ボタンBが操作された場合に、その付加情報の表示を切り替えるように構成されていても良い。この場合、表示制御部C2としては、付加情報切替ボタンの操作内容を示すシンボルを表示しても良い。なお、この付加情報表示領域A6の表示は、操作ボタンBが操作された場合のみならず、例えば所定時間毎に
図6(B)の上段、中段、下段の表示に切り替わるようにしても良い。
【0060】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
100・・・トルクレンチ
TS ・・・測定手段
D ・・・ディスプレイ
B ・・・操作ボタン
C ・・・制御機器
10 ・・・ケーシング
C1 ・・・入力信号受付部
C2 ・・・表示制御部
C3 ・・・シンボル格納部
C4 ・・・比較部
A1 ・・・シンボル表示領域
A2 ・・・目標トルク表示領域
A3 ・・・測定トルク表示領域
A4 ・・・バー表示領域
A5 ・・・単位表示領域
A6 ・・・付加情報表示領域