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特開2022-150479電力供給設備、作業用機械設備及び電力供給方法
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150479
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】電力供給設備、作業用機械設備及び電力供給方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220929BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
H02J7/02 F
H01M10/44 Q
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053100
(22)【出願日】2021-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 一正
(72)【発明者】
【氏名】石川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮部 昇三
(72)【発明者】
【氏名】関 正明
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA17
5G503DA18
5G503GB06
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF43
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】移動可能な電力供給設備、作業用機械設備及び電力供給方法を提供する。
【解決手段】電力供給設備100は、第1の切替スイッチ6及び第2の切替スイッチ7の開閉状態による第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2の接続状態に基づき、D端子J1から電力を供給する第1の電力供給モード、又は、A端子J2から電力を供給する第2の電力供給モード、又は、C端子J3から電力を供給する第3の電力供給モードの何れかを選択して電力を供給する。また、電力供給設備100は、管理されたエリアにおいて、D端子J1から所定電圧の外部直流電力を入力し、第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2を介して蓄電設備4に充電する充電モードを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部設備と接続する第1の接続端子、第2の接続端子及び第3の接続端子と、
直流電力から交流電力に変換し又は交流電力から直流電力に変換する、第1の電力変換装置及び第2の電力変換装置と、
直流電力を蓄電する蓄電設備と、
前記第2の電力変換装置の一方と接続されている第1の共通端子、前記第1の電力変換装置の一方と接続されている第1の常開端子及び前記第2の接続端子と接続されている第1の常閉端子を有する第1の切替スイッチと、
前記第2の電力変換装置の他方と接続されている第2の共通端子、前記第3の接続端子と接続されている第2の常開端子及び前記蓄電設備と接続されている第2の常閉端子を有する第2の切替スイッチと、
管理装置と、を備え、
前記第1の接続端子は、前記第1の電力変換装置の他方と接続されており、
前記管理装置は、
前記第1の切替スイッチ及び前記第2の切替スイッチの開閉状態による前記第1の電力変換装置及び前記第2の電力変換装置の接続状態に基づき、前記第1の接続端子から電力を供給する第1の電力供給モード、又は、前記第2の接続端子から電力を供給する第2の電力供給モード、又は、前記第3の接続端子から電力を供給する第3の電力供給モードの何れかを選択して電力を供給する
ことを特徴とする電力供給設備。
【請求項2】
前記電力供給設備は、管理されたエリア又は前記管理されたエリア外において、前記第1の共通端子を第1の常開端子に接続し、さらに、前記第2の共通端子を前記第2の常閉端子に接続した前記第1の電力供給モードにおいて、前記蓄電設備から出力した直流電力を前記第2の電力変換装置及び前記第1の電力変換装置を介して所望の電圧の第1の直流電力を生成して前記第1の接続端子から前記第1の直流電力を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給設備。
【請求項3】
前記電力供給設備は、前記管理されたエリア又は前記管理されたエリア外において、前記第1の共通端子を前記第1の常閉端子に接続し、さらに、前記第2の共通端子を前記第2の常閉端子に接続した前記第2の電力供給モードにおいて、前記蓄電設備から出力した直流電力を前記第2の電力変換装置を介して所望の電圧の交流電力を生成して前記第2の接続端子から前記交流電力を供給する
ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給設備。
【請求項4】
前記電力供給設備は、前記管理されたエリアにおいて、前記第1の接続端子から所定電圧の外部直流電力を入力し、前記第1の共通端子を前記第1の常開端子に接続し、さらに、前記第2の共通端子を前記第2の常開端子に接続した前記第3の電力供給モードにおいて、前記第1の接続端子から入力した前記外部直流電力を前記第1の電力変換装置及び前記第2の電力変換装置を介して所望の電圧の第2の直流電力を生成して前記第3の接続端子から前記第2の直流電力を供給する
ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給設備。
【請求項5】
前記電力供給設備は、前記管理されたエリアにおいて、前記第1の接続端子から所定電圧の外部直流電力を入力し、前記第1の共通端子を前記第1の常開端子に接続し、さらに、前記第2の共通端子を前記第2の常閉端子に接続した充電モードにおいて、前記第1の接続端子から入力した前記外部直流電力を前記第1の電力変換装置及び前記第2の電力変換装置を介して所望の電圧の第3の直流電力を生成して前記蓄電設備を充電する
ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給設備。
【請求項6】
前記管理装置は、
前記第1の接続端子に直流負荷である外部デバイスの接続を検知したときに前記第1の電力供給モードを選択し、
前記第2の接続端子に交流負荷である外部デバイスの接続を検知したときに前記第2の電力供給モードを選択し、
前記第1の接続端子に前記外部直流電力の供給を検知し、さらに前記第3の接続端子に外部デバイスの接続を検知したときに前記第3の電力供給モードを選択し、
前記第1の接続端子に前記外部直流電力の供給を検知し、さらに前記第3の接続端子に外部デバイスの接続を検知しないときに前記充電モードを選択するように、前記第1の切替スイッチ及び前記第2の切替スイッチの開閉操作を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の電力供給設備。
【請求項7】
前記電力供給設備は、準備された移動手段により前記管理されたエリアから前記管理されたエリア外に移動する
ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給設備。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電力供給設備を備えた作業用機械設備であって、
前記電力供給設備は、さらに、第4の接続端子と、
前記第1の電力変換装置と前記第1の切替スイッチの間に配置され、前記第1の電力変換装置の一方に接続されている第3の共通端子、前記第1の常開端子に接続されている第3の常開端子及び前記第4の接続端子に接続されている第3の常閉端子を有する第3の切替スイッチと、を備え、
前記作業用機械設備は、作業モードと、前記第1の電力供給モード、前記第2の電力供給モード、前記第3の電力供給モードを含む電力供給モードと、を備え、
前記作業用機械設備は、前記作業モードを選択したときに自走可能な状態となり、前記電力供給モードを選択したときに所定電圧の直流電力又は所定電圧の交流電力を供給可能な状態となる
ことを特徴とする作業用機械設備。
【請求項9】
前記作業用機械設備は、
交流駆動機構と、
第5の接続端子、第6の接続端子、及び第7の接続端子と、
第4の共通端子、第4の常開端子及び第4の常閉端子を有する第4の切替スイッチと、を備え、
前記第1の接続端子に前記第5の接続端子が接続されており、前記第2の接続端子に前記第4の共通端子が接続されており、前記第4の常開端子に前記交流駆動機構が接続されており、前記第4の常閉端子に前記第6の接続端子が接続されており、前記第3の接続端子に前記第7の接続端子が接続されている
ことを特徴とする請求項8に記載の作業用機械設備。
【請求項10】
前記作業用機械設備は、さらに、前記第4の切替スイッチの第1の選択位置及び第2の選択位置を有する第1のモード切替レバーを備え、
前記第4の切替スイッチの第1の選択位置が選択されたときに前記作業モードを選択して、前記第4の共通端子に前記第4の常開端子を接続し、前記管理装置は、前記第2の電力供給モードを選択して前記第2の接続端子を介して前記交流駆動機構に所定電圧の交流電力を供給し、
前記第4の切替スイッチの第2の選択位置が選択されたときに前記電力供給モードを選択して、前記第4の共通端子に前記第4の常閉端子を接続し、前記管理装置は、前記第5の接続端子に外部デバイスの接続を検知したときに前記第1の電力供給モードを選択して前記第1の接続端子を介して所定電圧の直流電力を供給し、前記第6の接続端子に外部デバイスの接続を検知したときに前記第2の電力供給モードを選択して前記第2の接続端子を介して前記第6の接続端子に所定電圧の交流電力を供給する
ことを特徴とする請求項9に記載の作業用機械設備。
【請求項11】
前記作業用機械設備は、さらに、
第5の共通端子、第5の常開端子及び第5の常閉端子を有する第5の切替スイッチを備え、
前記第5の接続端子に前記第5の常開端子が接続されており、前記第1の接続端子に前記第5の共通端子が接続されており、前記蓄電設備に前記第5の常閉端子が接続されており、
前記電力供給モードとして、前記第4の接続端子を介して交流電力を供給する第4の電力供給モードを有する
ことを特徴とする請求項9に記載の作業用機械設備。
【請求項12】
前記作業用機械設備は、さらに、前記第5の切替スイッチの第1の選択位置及び第2の選択位置を有する第2のモード切替レバーを備え、
前記第5の切替スイッチの第1の選択位置が選択されたときに、前記第5の共通端子に前記第5の常開端子を接続し、前記管理装置は、前記第5の接続端子に外部デバイスの接続を検知したときに前記第1の電力供給モードを選択して、前記第1の接続端子を介して所定電圧の直流電力を供給し、
前記第5の切替スイッチの第2の選択位置が選択されたときに、前記第5の共通端子に前記第5の常閉端子を接続し、前記第4の共通端子に前記第4の常閉端子を接続し、前記管理装置は、前記第4の電力供給モードを選択して、前記第4の接続端子を介して所定電圧の交流電力を供給する
ことを特徴とする請求項11に記載の作業用機械設備。
【請求項13】
前記電力供給モードは、さらに、エコモードとパワーモードを備え、
前記エコモードは、前記作業モードで生成された第1の交流電力を前記交流駆動機構に供給し、
前記パワーモードは、前記第3の共通端子を第3の常閉端子に接続し、前記第5の共通端子を第5の常閉端子に接続し、さらに、前記第4の共通端子を第4の常開端子に接続し、前記蓄電設備から出力した直流電力を前記第1の電力変換装置を介して所望の電圧の第2の交流電力を生成し、前記作業モードで生成された第1の交流電力と前記第2の交流電力を合成した交流電力を前記交流駆動機構に供給する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の作業用機械設備。
【請求項14】
前記作業用機械設備は、さらに、第2の交流駆動機構と、第8の接続端子と、
第6の共通端子、第6の常開端子及び第6の常閉端子を有する第6の切替スイッチを備え、
前記第2の交流駆動機構に前記第6の常開端子が接続されており、前記第4の接続端子に前記第6の共通端子が接続されており、前記第8の接続端子に前記第6の常閉端子が接続されている
ことを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の作業用機械設備。
【請求項15】
前記作業用機械設備は、さらに、前記第6の切替スイッチの第1の選択位置及び第2の選択位置を有する第3のモード切替レバーを備え、
前記第6の切替スイッチの第1の選択位置を選択したときに、前記管理装置は前記作業モードを選択し、前記第6の共通端子に前記第6の常開端子を接続し、前記交流駆動機構及び前記第2の交流駆動機構に所定電圧の交流電力を供給し、
前記第6の切替スイッチの第2の選択位置を選択したときに、前記管理装置は、前記第2の電力供給モードと前記第4の電力供給モードを組み合わせた第5の電力供給モードを選択し、前記第4の共通端子に前記第4の常閉端子を接続し、前記第6の接続端子に所定電圧の交流電力を供給するとともに、前記第6の共通端子に前記第6の常閉端子を接続し、前記第8の接続端子に所定電圧の交流電力を供給する
ことを特徴とする請求項14に記載の作業用機械設備。
【請求項16】
請求項10に記載の作業用機械設備を使用した電力供給方法であって、
前記管理装置は、
管理されたエリアにおいて、前記第1のモード切替レバーにより前記電力供給モードが選択された状態で前記第1の接続端子に外部直流電力の供給を検知したときに、充電モードを選択して前記蓄電設備を充電する充電ステップと、
前記第1のモード切替レバーにより前記作業モードが選択されたときに、前記第4の共通端子に前記第4の常開端子を接続し、前記第2の電力供給モードを選択して前記交流駆動機構に所定電圧の交流電力を供給して、前記作業用機械設備が所望の位置まで自走して移動する移動ステップと、
前記第1のモード切替レバーにより前記電力供給モードが選択された状態で前記第1の接続端子に外部デバイスの接続を検知したときに、前記第1の電力供給モードを選択して前記第1の接続端子に接続された前記外部デバイスに所定電圧の直流電力を供給する電力供給ステップと、
前記管理されたエリア外において、前記電力供給ステップ終了後に前記第1のモード切替レバーにより前記作業モードが選択されたときに、前記第4の共通端子に前記第4の常開端子を接続し、前記管理装置は、前記第2の電力供給モードを選択して前記交流駆動機構に所定電圧の交流電力を供給して、前記作業用機械設備が前記管理されたエリアに自走して戻る回帰ステップと、
を備えることを特徴とする電力供給方法。
【請求項17】
前記充電ステップと前記移動ステップと前記電力供給ステップと前記回帰ステップと、を繰り返して外部デバイスに所定電圧の直流電力を供給する
ことを特徴とする請求項16に記載の電力供給方法。
【請求項18】
前記作業用機械設備は、前記第1の接続端子に外部デバイスが接続されたときに前記外部デバイスが有する識別情報を取得して、前記識別情報が予め登録された識別情報と一致したときに、前記電力供給ステップを実行する
ことを特徴とする請求項16に記載の電力供給方法。
【請求項19】
前記電力供給ステップを実行したときに、前記外部デバイスに直流電力を供給した時間に設定した単価を乗算して算出したサービス料金を前記識別情報に紐づけられた所有者に課金する
ことを特徴とする請求項18に記載の電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給設備、作業用機械設備及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷軽減を目的として、様々な移動体、機械設備等が電動化されてきており、今後ますます加速すると考えられる。その結果として、将来これらを駆動するエネルギー源は、内燃力からリチウムイオン電池などの電力に移行することとなる。日本においても、2030年を目標に、全ての自動車は電動化することを目指している。
【0003】
内燃力から電力にエネルギー源を切替えるには、電動化される移動体の航続距離の延長、機械設備の連続稼働時間の延長が必須である。
【0004】
移動体、機械設備に積載し、これらを駆動するエネルギー源となるリチウムイオン電池などの蓄電設備のエネルギー密度の増大がある。これについては、蓄電設備を構成する単電池(セル)の形状を円筒形から方形にして、単位積載面積に積載するセルの容量を大きくすることが一方法である。また、セルのエネルギー密度を増大する方法がある。これについては、これまでのように、液体電解質を使用しない全固体化することがあるが、これについても開発が進んでいる。
【0005】
また、移動体である電気自動車が本格的な普及段階を迎えつつある中で、充電インフラの整備が重要になっている。このため、特許文献1のように充電スタンドの開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5777990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の充電スタンドは、小型化・省スペース化された装置でありながら、使用者の操作上の負担を軽減し、かつ安全性の高い電気自動車用急速充電器を提供することができる。しかしながら、基本的に、固定設置型の急速充電器であり、充電器本体を設置場所から電力供給ができない場所に移動して使用することは考慮されていない。
【0008】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、移動可能な電力供給設備、作業用機械設備及び電力供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の電力供給設備は、外部設備と接続する第1の接続端子、第2の接続端子及び第3の接続端子と、直流電力から交流電力に変換し又は交流電力から直流電力に変換する、第1の電力変換装置及び第2の電力変換装置と、直流電力を蓄電する蓄電設備と、前記第2の電力変換装置の一方と接続されている第1の共通端子、前記第1の電力変換装置の一方と接続されている第1の常開端子及び前記第2の接続端子と接続されている第1の常閉端子を有する第1の切替スイッチと、前記第2の電力変換装置の他方と接続されている第2の共通端子、前記第3の接続端子と接続されている第2の常開端子及び前記蓄電設備と接続されている第2の常閉端子を有する第2の切替スイッチと、管理装置と、を備え、前記第1の接続端子は、前記第1の電力変換装置の他方と接続されており、前記管理装置は、前記第1の切替スイッチ及び前記第2の切替スイッチの開閉状態による前記第1の電力変換装置及び前記第2の電力変換装置の接続状態に基づき、前記第1の接続端子から電力を供給する第1の電力供給モード、又は、前記第2の接続端子から電力を供給する第2の電力供給モード、又は、前記第3の接続端子から電力を供給する第3の電力供給モードの何れかを選択して電力を供給することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動可能な電力供給設備、作業用機械設備及び電力供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る電力供給設備の構成を示す図である。
図2】電力供給設備の制御モード一覧を示す図である。
図3】内部充電モード(充電モード)を示す図である。
図4】外部DC充電モード(第3の電力供給モード)を示す図である。
図5】DC電池モード(第1の電力供給モード)を示す図である。
図6】AC電池モード(第2の電力供給モード)を示す図である。
図7】第1実施形態に係る電力供給設備(単体)の活用例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る電力供給設備を搭載した作業用機械設備の構成を示す図である。
図9】作業用機械設備の制御モード一覧を示す図である。
図10】内部充電モード(充電モード)を示す図である。
図11】外部DC充電モード(第3の電力供給モード)を示す図である。
図12】DC電池モード(第1の電力供給モード)を示す図である。
図13】AC電池モード(第2の電力供給モード)を示す図である。
図14】作業モードを示す図である。
図15】既存の蓄電設備を備える場合の作業用機械設備の構成を示す図である。
図16】第2実施形態に係る農繁期における電力供給設備を搭載した電動農機、給電車の活用例を示す図である。
図17】第2実施形態に係る農繁期における電力供給設備を搭載した電動農機の他の活用例を示す図である。
図18】給電車の作業フローを示す図である。
図19】第3実施形態に係る農閑期における電動農機の活用例を示す図である。
図20】第4実施形態に係る電力供給設備を搭載した作業用機械設備の構成(エコモード)を示す図である。
図21】第4実施形態に係る電力供給設備を搭載した作業用機械設備の構成(パワーモード)を示す図である。
図22】第5実施形態に係る電力供給設備を搭載した作業用機械設備の構成(作業モード)を示す図である。
図23】第5実施形態に係る電力供給設備を搭載した作業用機械設備の構成(AC電力供給モード)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、本発明の目的について、詳細に説明する。
移動体の航続距離の延長、機械設備の連続稼働時間の延長には、移動体や機械設備の蓄電設備は従来のままで連続稼働時間を増大する方法がある。これは、作業用機械設備に搭載した蓄電設備の残容量が所定量以下になったときに、電力供給設備が作業現場まで移動してきて、作業現場で充電するというものである。この方法であれば、作業の中断を極力小さくすることができる。前記したように、従前の蓄電設備の充電方法は、蓄電容量が減少したときに、移動体や機械設備が電力供給設備のある充電スタンド(特定エリア)まで行き、受電用接続端子に給電部を接続して受電するというものであった。従って、作業用機械設備が特定エリアの近くで作業していれば、蓄電設備の残容量が減少したらすぐに充電できるので、連絡的に稼働時間を確保できることとなるが、作業現場が特定エリアから遠く離れている場合は、蓄電設備に充電するために作業現場と特定エリアとを往復することとなり、作業中断時間が大きくなる。
【0013】
本発明は、移動可能な現場まで移動して作業用機械設備に充電するためになされたものである。さらに、本件発明を交流モータ(ACモータ)で駆動する電動耕運機などの作業用機械設備に応用することにより、自走可能な電力供給設備として活用することができる。例えば、田畑などの作業現場にて電動化された農機具が作業しており、当該農機具に搭載された蓄電設備の残容量が小さくなったときに、充電要求の信号を発信することで自走可能な電力供給設備が田畑まで移動し、その場で給電するというものである。
【0014】
また、農業向けの作業用機械設備に電力供給機能を持たせることにより、農繁期においては農機具として活用し、農閑期においては、特定エリアにおいて作業用機械設備に給電することで充電スタンドになり、他の電気自動車、電動作業用機械設備などに給電することを可能とする。
【0015】
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1図7において、移動可能な電力供給設備について、図8図19において、電力供給設備を用いた作業用機械設備について、図20図23において、作業用機械設備の変形例について説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電力供給設備100の構成を示す図である。電力供給設備100は、DCMPU(Direct Current Multi Power Unit:直流マルチ電源ユニット)と称する。電力供給設備100は、複数の機能を有しており、内部蓄電設備又は外部直電設備に充電する機能、直流・交流電力を供給する機能を有する。各機能について説明する。電力供給設備100には、装置を特定するための装置識別情報が付与されている。
【0017】
電力供給設備100には、外部機器に接続される端子が3つ存在し、D端子J1、A端子J2、C端子J3がある。D端子J1(第1の接続端子)は、外部の直流電力供給源又は直流電力を必要とする負荷(DC需要家)に接続される入出力用の端子である。A端子J2(第2の接続端子)は、外部の交流電力を必要とする負荷(AC需要家)に接続される出力用の端子であり、入力は行わず出力のみで使用される。このA端子J2は、単相2線式又は三相3線式とするかは使用用途に応じて選択される。
【0018】
C端子J3(第3の接続端子)は、D端子J1とは異なる接続端子で、外部の直流電力供給源又は直流電力を必要とする負荷(DC需要家)に接続される入出力用の端子である。図1には図示していないが、D端子J1、A端子J2、C端子J3のそれぞれの端子には、防水・防塵のためカバーを設けてもよい。
【0019】
第1の電力変換装置1(DC-ACコンバータ)、第2の電力変換装置2(AC-DCコンバータ)は、入力された直流電力を交流電力に、又は、入力された交流電力を直流電力に変換する。
【0020】
電気的絶縁装置3は、第1の電力変換装置1と第2の電力変換装置2の中間位置に配設され、第1の電力変換装置1と第2の電力変換装置2が接続されたときに、第1の電力変換装置1と第2の電力変換装置2とを電気的に絶縁する。従来の自動車用急速充電規格であるCHAdeMO規格(登録商標)では、系統電源(商用電源)と電気自動車との間を絶縁することが義務付けられている。これと類似形態とするため、第1の電力変換装置1と第2の電力変換装置2との中間に電気的絶縁装置を配置している。
【0021】
蓄電設備4は、第2の電力変換装置2で変換された電力を貯蔵し、D端子J1に接続されたDC需要家(直流需要家)、又は、A端子J2に接続されたAC需要家(交流需要家)に対して、直流電力又は交流電力を供給する際の電力供給源となる。
【0022】
第1の切替スイッチ6は、第2の電力変換装置2を電気的絶縁装置3又はA端子J2(第2の接続端子)の何れかに接続する。第2の切替スイッチ7は、第2の電力変換装置2を蓄電設備4又はC端子J3(第3の接続端子)の何れかに接続する。
【0023】
第1の切替スイッチ6は、C接点スイッチであってもよい。C接点スイッチの端子は、共通端子(COM:コモン)、常開端子(NO:ノーマリオープン)、常閉端子(NC:ノーマリクローズ)の3つで構成される。
【0024】
第1の切替スイッチ6は、第2の電力変換装置2の一方と接続されている第1の共通端子J60、電気的絶縁装置3と接続されている第1の常開端子J61(a接点端子、ノーマリオープン端子)、A端子J2と接続されている第1の常閉端子J62(b接点端子、ノーマリクローズ端子)を設けた。
【0025】
第2の切替スイッチ7は、C接点スイッチであってもよい。第2の切替スイッチ7は、第2の電力変換装置2の他方と接続されている第2の共通端子J70を接続し、C端子J3と接続されている第2の常開端子J73(a接点端子、ノーマリオープン端子)、蓄電設備4と接続されている第2の常閉端子J74(b接点端子、ノーマリクローズ端子)を設けた。
【0026】
管理装置5は、第1の切替スイッチ6及び第2の切替スイッチ7の切替を行い、図2に示す各モードの制御等を行う。
【0027】
図2は、電力供給設備100の制御モード一覧を示す図である。図3は、内部充電モード(充電モード)を示す図である。図4は、外部DC充電モード(第3の電力供給モード)を示す図である。図5は、DC電池モード(第1の電力供給モード)を示す図である。図6は、AC電池モード(第2の電力供給モード)を示す図である。電力供給設備100は、以下の4つの制御モードを有する。
【0028】
本実施形態では、本出願人の出願に係る特許第6619898号公報に記載のある直流給電電動移動体管理システムに適用した場合で説明する。直流給電電動移動体管理システムは、管理されたエリアにおいて、所定の直流電圧を出力する電力変換器を出力部に備えた自然エネルギを利用する発電設備の出力、所定の直流電圧を出力する電力変換器を出力部に備えた内燃力発電設備の出力、所定の直流電圧を出力する電力変換器を出力部に備えた蓄電池の出力、及び、商用電力系統からの所用電源に所定の直流電圧を出力する電力変換器を備えた電源設備の出力、の組合せにより構成する所定電圧の直流電力を供給する直流電源母線DL(図3参照)と、通電用スイッチと接続部とから構成し、通電用スイッチをオンしたときに直流電源母線DLから直流電力を受電して接続部に供給し、接続部と電動移動体に配された受電接続部とを接続する給電用ケーブルを介して電動移動体に直流電力を供給する複数の接続装置70(図3参照)と、を備える。
【0029】
(1)内部充電モード(第1のモード、充電モード)
管理装置5は、D端子J1が直流電源母線DL(DCバス)の接続装置70に接続されたのち、第1の切替スイッチ6は、第2の電力変換装置2を電気的絶縁装置3に接続し、第2の切替スイッチ7は、第2の電力変換装置2を蓄電設備4に接続して、D端子J1から蓄電設備4までの電気的接続を確立し、蓄電設備4に直流電力を出力する。
【0030】
具体的には、図3に示すように、管理装置5は、D端子J1(第1の接続端子)から所定電圧の外部直流電力を入力し、第1の共通端子J60を第1の常開端子J61に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常閉端子J74に接続する。充電モードにおいて、D端子J1(第1の接続端子)から入力した外部直流電力を第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2を介して所望の電圧の直流電力(第3の直流電力)を生成して蓄電設備4を充電する。
【0031】
(2)外部DC充電モード(第2のモード、第3の電力供給モード)
管理装置5は、D端子J1が直流電源母線DL(DCバス)に接続されたのち、C端子J3(第3の接続端子)に他のEV電池を接続して、D端子J1からC端子J3までの電気的接続を確立し、C端子J3から直流電力を出力する。なお、EVは、Electric Vehicleの略である。
【0032】
具体的には、図4に示すように、管理装置5は、D端子J1(第1の接続端子)から所定電圧の外部直流電力を入力し、第1の共通端子J60を第1の常開端子J61に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常開端子J73に接続する。第3の電力供給モードにおいて、D端子J1(第1の接続端子)から入力した外部直流電力を第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2を介して所望の電圧の第2の直流電力を生成してC端子J3(第3の接続端子)から第2の直流電力を供給する。
【0033】
(3)DC電池モード(第3のモード、第1の電力供給モード)
蓄電設備4を直流電力供給源とする。管理装置5は、D端子J1がDC電力の必要な負荷(DC需要家)に接続されたのち、第2の電力変換装置2を蓄電設備4に接続して、D端子J1から直流電力を出力する。
【0034】
具体的には、図5に示すように、管理装置5は、第1の共通端子J60を第1の常開端子J61に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常閉端子J74に接続する。第1の電力供給モードにおいて、蓄電設備4から出力した直流電力を第2の電力変換装置2及び第1の電力変換装置1を介して所望の電圧の第1の直流電力を生成してD端子J1(第1の接続端子)から第1の直流電力を供給する。
【0035】
(4)AC電池モード(第4のモード、第2の電力供給モード)
蓄電設備4を交流電力供給源とする。管理装置5は、A端子J2がAC電源の必要な負荷(AC需要家)に接続されたのち、第2の電力変換装置2を蓄電設備4に接続して、A端子J2から交流電力を出力する。
【0036】
具体的には、図6に示すように、管理装置5は、第1の共通端子J60を第1の常閉端子J62に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常閉端子J74に接続する。第2の電力供給モードにおいて、蓄電設備4から出力した直流電力を第2の電力変換装置2を介して所望の電圧の交流電力を生成してA端子J2(第2の接続端子)から交流電力を供給する。
【0037】
以降、充電設備がある場所を「管理されたエリア」、充電設備がない場所を「管理されたエリア外」として説明する。
【0038】
図7は、第1実施形態に係る電力供給設備100の活用例を示す図である。図7(1)に、充電設備がある場所(管理されたエリア)に電力供給設備100を配置して活用するケースを示す。管理されたエリアにおいて、直流電源母線DLは、自然エネルギー、内燃力、蓄電池、及び、商用電力系統からの所用電源に所定の直流電圧を出力する電力変換器を備えた電源設備の出力の組合せにより直流電源母線を構成するものである。又は、商用電力系統を直流電力供給源とする場合、商用電力系統からの交流電力をAC/DCコンバータで直流電力に変換する。
【0039】
直流電源母線DLに接続されている複数の接続装置70(給電スポット)は、通電用スイッチと接続部とから構成し、通電用スイッチをオンしたときに直流電源母線DLから直流電力を受電して接続部に取り付けられた給電ケーブルを介して、接続された負荷に対して直流電力を供給するものである。
【0040】
電力供給設備100は、移動手段(例えば軽トラック等)に積載された状態で給電スポットまで移動し、移動手段と切り離された状態、あるいは、移動手段に積載された状態の何れかで給電スポットに配置される。
【0041】
前記した複数の給電スポットのそれぞれの給電ケーブルと電力供給設備100のD端子J1を接続し、電力供給設備100のC端子J3に他のEVを接続して、図4に示す外部DC充電モードにより、D端子J1からの入力電力をC端子J3に接続されたEVに出力する。このように、管理されたエリアの給電スポットに、電力供給設備100を移動手段に積載し移動して配置することで、EV等の電動移動体に対して急速充電器として活用することができる。
【0042】
充電を行った際、電力供給設備100に接続された電動移動体に対して電力の供給を開始したときに、年月日と時刻とを示す給電開始日時刻情報と、電気的接続が解除されたときの年月日と時刻とを示す給電終了日時刻情報と、給電終了日時刻情報から給電開始日時刻情報を減算して給電時間を算出し、供給電力の単価である単価情報に前述した給電時間を乗算して課金情報を算出する。
【0043】
そして、給電開始日時刻情報、給電終了日時刻情報、給電時間、単価情報、課金情報を、前述の電力供給設備100の装置識別情報と、電動移動体に付与された電動移動体識別情報とに紐づけて、電力供給設備100の管理装置5に記憶する。記憶された情報は、所定の期間(例えば1カ月)ごとに集計し、前述の電動移動体の所有者に対して充電した電力量に応じた充電料金を課金するといったビジネスモデルが実行できる。
【0044】
現行の充電スタンドでの充電には、基本的に「充電認証カード」が使われる。充電認証カードとは、各自動車メーカーや複数企業の提携のもと発行されている充電時に利用する月額制の会員カードである。この制度に倣い、予め登録された電動移動体にのみ充電を行う仕組みとする。
【0045】
図7(2)に、充電設備がない場所(管理されたエリア外)に電力供給設備100を移動して活用するケースを示す。移動手段(例えば軽トラック等)に積載した電力供給設備100は、管理されたエリアにおいて、電力供給設備100の蓄電設備4に充電された後、移動手段により充電設備がない場所(管理されたエリア外)に移動して、DC電源を必要とする負荷(DC需要家)又はAC電源を必要とする負荷(AC需要家)と電力供給設備100を接続して、図5に示すDC電池モード(第1の電力供給モード)、又は、図6に示すAC電池モード(第2の電力供給モード)により、電力供給設備100の蓄電設備4を電力供給源として、接続された負荷に直流電力又は交流電力を供給する。
【0046】
このように、管理されたエリアにおいて、移動手段に積載された電力供給設備100の蓄電設備4を充電し、管理エリア外に移動してDC需要家、AC需要家に対して直流電力又は交流電力を供給することができる。
【0047】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る電力供給設備100を搭載した作業用機械設備Vの構成を示す図である。防水、防塵等を考慮して、電力供給設備100は作業用機械設備Vの筐体内部に設置されることを想定している。それぞれの構成要素について以下説明する。
【0048】
作業用機械設備Vには、外部機器に接続される端子が3つあり、第1の接続部JV1(第5の接続端子)、接続部VJ2(第6の接続端子)、第3の接続部JV3(第7の接続端子)が存在し、内部又は外部接続に使用される端子が1つあり、第2のA端子J4(第4の接続端子)がある。なお、第2のA端子J4は、実施形態3から実施形態5で使用する。
【0049】
第1の接続部JV1(第5の接続端子)は、電力供給設備100のD端子J1に接続され、外部の直流電力供給源又は直流電力を必要とする負荷(DC需要家)に接続される入出力用の端子である。
【0050】
第2の接続部JV2(第6の接続端子)は、電力供給設備100のA端子J2に接続可能であり、外部の交流電力を必要とする負荷(AC需要家)に接続される出力用の端子であり、入力は行わず出力のみで使用する。
【0051】
第3の接続部JV3(第7の接続端子)は、電力供給設備100のC端子J3に接続可能であり、第1の接続部JV1とは異なる接続端子で、直流電力を必要とする負荷(DC需用家)に接続される出力用の端子である。
【0052】
第2のA端子J4(第4の接続端子)は、後記するパワーモード等(図21参照)に使用される第1の電力変換装置1を介した交流電力を出力する出力用の端子であり、内部又は外部接続に使用される。
【0053】
また、図8には図示していないが、第1の接続部JV1、第2の接続部JV2、第3の接続部JV3のそれぞれの端子には、防水・防塵のためのカバーを設けてもよい。
【0054】
電力供給設備100の蓄電設備4は、電力供給設備100の第2の電力変換装置2で変換された電力を貯蔵し、第1の接続部JV1に接続されたDC需要家に対して直流電力供給する際の電力供給源又は第2の接続部JV2に接続されたAC需要家に対して、交流電力を供給する際の電力供給源となる。
【0055】
第4の切替スイッチBは、電力供給設備100のA端子J2を、第2の接続部JV2又は作業用機械設備VのAC駆動機構8(交流駆動機構)の何れかに接続する。
【0056】
第4の切替スイッチBは、C接点スイッチであってもよい。第4の切替スイッチBは、A端子J2と接続されている第4の共通端子JB0、AC駆動機構8と接続されている第4の常開端子JB8(a接点端子、ノーマリオープン端子)、第2の接続部JV2と接続されている第4の常閉端子JB2(b接点端子、ノーマリクローズ端子)を設けた。
【0057】
第1のモード切替レバーOLBは、第4の切替スイッチBの切替を制御する。第1のモード切替レバーOLBには2つの切替点が存在し、切替点PB2は、電力供給設備100のA端子J2に第2の接続部JV2を接続し、切替点PB8は、電力供給設備100のA端子J2と作業用機械設備VのAC駆動機構8を接続する。
【0058】
図9は、作業用機械設備Vの制御モード一覧を示す図である。図10は、内部充電モードを示す図である。図11は、外部DC充電モードを示す図である。図12は、DC電池モードを示す図である。図13は、AC電池モードを示す図である。図14は、作業モードを示す図である。作業用機械設備Vは以下の5つの制御モードを有する。商用電力系統を直流電力供給源とする場合、商用電力系統からの交流電力をAC/DCコンバータで直流電力に変換する。
【0059】
(1)内部充電モード(第1のモード)
直流電源母線DL(DCバス)又は商用電力系統を直流電力供給源とする。図10に示すように、第1の接続部JV1を接続装置70(給電スポット)に接続し、第1の接続部JV1から蓄電設備4までの電気的接続を確立し、入力電力を蓄電設備4に直流電力で出力して、蓄電設備4を充電する。
【0060】
(2)外部DC充電モード(第2のモード)
直流電源母線DL(DCバス)又は商用電力系統を直流電力供給源とする。図11に示すように、第1の接続部JV1を直流電源母線DLに接続し、C端子に第3の接続部JV3を接続している。これにより、第1の接続部JV1から第3の接続部JV3までの電気的接続を確立し、入力電力を第3の接続部JV3から直流電力を出力する。
【0061】
(3)DC電池モード(第3のモード)
電力供給設備100の蓄電設備4を直流電力供給源とする。図12に示すように、第1の接続部JV1をDC電源の必要な負荷(DC需要家)に接続し、第1の接続部JV1から電力供給設備100の蓄電設備4までの電気的接続を確立し、第1の接続部JV1から直流電力を出力する。
【0062】
(4)AC電池モード(第4のモード)
電力供給設備100の蓄電設備4を交流流電力供給源とする。図13に示すように、第2の接続部JV2をAC電源の必要な負荷(AC需要家)に接続し、第2の接続部JV2から電力供給設備100の蓄電設備4までの電気的接続を確立し、第2の接続部JV2から交流電力を出力する。
【0063】
(5)作業モード(第5のモード)
電力供給設備100の蓄電設備4を電力供給源とする。図14に示すように、電力供給設備100の蓄電設備4からAC駆動機構8までの電気的接続を確立し、AC駆動機構8に交流電力を出力する。
【0064】
図15は、既存の蓄電設備4Aを備える場合の作業用機械設備Vの構成を示す図である。この場合には、電力供給設備100の蓄電設備4を既存の蓄電設備4Aに置き換えて、既存の蓄電設備4Aと電力供給設備100との電気的接続を確立し、電力供給源とするように運用してもよい。
【0065】
図16は、第2実施形態に係る農繁期における電力供給設備100を搭載した電動農機VA,VB,VC、給電車VSAの活用例を示す図である。電動農機VA,VB,VC又は給電車VSAは、それぞれ図8に示す構成となっている。電動農機VA,VB,VCと給電車VSAの異なる点は、電動農機VA,VB,VCは、農機具として機能するための付帯設備が配備され、蓄電設備4の電力貯蔵量が充電を必要とするレベルまで低下したとき、無線通信設備の接続可能範囲内にある給電車を管理する管理用PC(図示なし)に対して充電要請信号を送信する。
【0066】
管理用PCは、電動農機VA,VB,VCからの充電要請信号の受信、充電要請信号を送信した電動農機の識別情報が予め登録されたものであるか否かの判定、充電要請に対応可能な条件を満たす給電車の選定、登録された識別情報である場合に選定した給電車VSAへの移動命令及び充電対象の電動農機の識別情報の送信等を行う。
【0067】
給電車VSAは、電力供給設備100を搭載し移動手段を備え走行可能になっており、電動農機VA,VB,VCからの充電要請信号を受信した管理用PCは、前記の判定を行った後、条件を給電車に移動命令を送信する。移動命令及び充電対象の識別情報を受信した給電車は電動農機の近傍まで移動して電動農機に充電し、充電終了後は充電場所まで戻り、給電車に充電する。この一連の作業を繰り返す。
【0068】
管理用PCは、(1)当該電動農機の識別番号が予め登録されたものであること、(2)充電要請に対応する充電可能な電力を蓄電していること、(3)充電対象からの距離が近いこと、等の条件を満たす給電車を選定し、選定した給電車に対して充電に向かうように指示する運用が考えられる。
【0069】
図16では、管理されたエリアと管理されたエリア外との距離が離れている例を示している。充電設備がない場所(管理エリア外)である農地において、3台の電動農機(電動農機VA、電動農機VB、電動農機VC)が作業を行っている。複数の給電車は、直流電力供給源である直流電源母線DL(DCバス)に接続された給電スポット、又は、商用電力系統から家庭用に供給されている直流電力に接続されて、給電車に搭載された電力供給設備100の蓄電設備4に充電を行っている。
【0070】
給電車は、図18に示す充電要請モードの作業フローにより、電動農機に接続して充電を行い、充電終了後は充電場所に戻り充電する。この一連の作業を繰り返す。
【0071】
管理用PCから移動命令及び充電対象の識別信号を受信した後、当該識別情報の電動農機の近傍まで図14に示す作業モードで移動して、電動農機と物理的・電気的に接続し、図12に示すDC電池モードで給電車用蓄電設備の電力を供給して電動農機を充電し、充電終了後は電動農機との接続を解除して充電場所まで戻り、図10に示す内部充電モードで電力供給設備100の蓄電設備4に充電を行う。この一連の作業を繰り返す。
【0072】
図16の例では、電動農機VAからの充電要請信号を受信した管理用PCから移動命令と充電対象である電動農機VAの識別信号を受信した給電車VSAが、電動農機VAの近傍まで移動して充電を行い、充電終了後は充電場所まで戻り、給電車VSAに充電を行う。
【0073】
図17は、第2実施形態に係る農繁期における電力供給設備100を搭載した電動農機の他の活用例を示す図である。図17では、管理されたエリアと管理されたエリア外との距離が近い例を示している。充電設備がない場所(管理エリア外)である農地において、2台の電動農機(電動農機VA、電動農機VB)が作業を行っている。充電を必要とするレベルまで蓄電装置4の電力貯蔵量が低下した電動農機VBが、自走して直流電力供給源であるDCバスに接続された給電スポットまで移動して充電を行い、充電終了後は自走して農地に戻り農作業を行う。この一連の作業を繰り返す。
【0074】
前記の充電要請モード、又は、自走して充電する場合においては、事前の契約等により、電力供給を行う事業者に予め登録された電動農機に対してのみ行われる。
【0075】
充電を行った際、電力供給設備100に接続された電動農機等の電動移動体に対して電力の供給を開始したときに、年月日と時刻とを示す給電開始日時刻情報と、電気的接続が解除されたときの年月日と時刻とを示す給電終了日時刻情報と、給電終了日時刻情報から給電開始日時刻情報を減算して給電時間を算出し、供給電力の単価である単価情報に前述した給電時間を乗算して課金情報を算出する。
【0076】
そして、給電開始日時刻情報、給電終了日時刻情報、給電時間、単価情報、課金情報を、前述の電力供給設備100の装置識別情報と、電動移動体に付与された電動移動体識別情報とに紐づけて、電力供給設備100の管理装置に記憶する。記憶された情報は、所定の期間(例えば1カ月)ごとに集計し、上記の電動移動体に紐づけられた所有者に対して充電した電力量に応じた充電料金を請求する。このように、農繁期における給電車の配給及び契約した電動農機への電力供給、それに伴う充電料金の課金等のビジネスモデルが実現できる。
【0077】
図18は、給電車の作業フローS50を示す図である。給電車は、管理用PCからの移動命令及び充電対象の識別情報を受信すると(ステップS51)、直流供給源から解列する(ステップS52)。給電車は、充電要求のあった充電対象近傍に移動する(ステップS53)。給電車は、充電対象に接続を確認すると(ステップS54)、充電対象に充電を行う(ステップS55)。給電車は、充電が完了すると、充電対象との接続を解除し(ステップS56)、直流供給源に移動する(ステップS57)。そして、給電車は、直流供給源に接続し(ステップS58)、直流供給源から充電を行い(ステップS59)、待機する。
【0078】
<第3実施形態>
図19は、第3実施形態に係る農閑期における電動農機の活用例を示す図である。
図19(1)に、管理されたエリアのDCバスに電動農機を配置して活用するケースを示す。直流電源母線DL(DCバス)、接続装置70(給電スポット)については、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0079】
複数の給電スポットのそれぞれの給電ケーブルと電動農機の第1の接続部JV1を接続し、電動農機の第3の接続部JV3に他のEVを接続して、図11に示す外部DC充電モードにより、第1の接続部JV1からの入力電力を第3の接続部JV3に接続されたEVに出力する。このように、管理されたエリアに電動農機を移動して、給電スポットに接続することでEV等の電動移動体に対して急速充電器として活用することができる。充電を行った際の充電料金の課金については、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0080】
図19(2)に、管理されたエリア外に電動農機を移動して活用するケースを示す。電動農機は、管理されたエリアにおいて、電力供給設備100の蓄電設備4及び電動農機の電力供給設備100の蓄電設備4に充電した後、管理されたエリア外に移動して、DC需要家又はAC需要家と電動農機を接続して、図12に示すDC電池モードにより接続された負荷に直流電力を供給する。又は、図13に示すAC電池モードにより、接続された負荷に交流電力を供給する。
【0081】
このように、農閑期において、管理されたエリアにおいて電動農機に充電した電力を、管理されたエリア外に移動してDC需用家やAC需用家に対して電力供給が可能となり、停電や災害発生時の電力供給源として活用できる。これにより、これまで農閑期において有効活用されていなかった電動農機の稼働率を向上させ、電動農機に新たな付加価値を付与することができる。
【0082】
<第4実施形態>
図20は、第4実施形態に係る電力供給設備100を搭載した作業用機械設備Vの構成(エコモード)を示す図である。図21は、第4実施形態に係る電力供給設備100を搭載した作業用機械設備の構成(パワーモード)を示す図である。第4実施形態として、図14に示す作業モードにおける作業用機械設備の他の構成例を示す。
【0083】
図20は、作業用機械設備Vに搭載された電力供給設備100の蓄電設備4から1つの電力供給ラインで電力を供給するエコモードと、図21は、2つの電力供給ラインで電力を供給するパワーモードを示す。
【0084】
図20は、作業モード時における第2の電力変換装置2を介して、又は、図21は、第1の電力変換装置1を介して、電力供給設備100の蓄電設備4からの直流電力を交流電力に変換し、AC駆動機構8に電力供給する構成について説明する。
【0085】
図20図21は、図8の構成と比較して、作業用機械設備Vには第5の切替スイッチC、第5の切替スイッチCの切替を制御する第2のモード切替レバーOLCが配置されている。また、第2のA端子J4は、第4の切替スイッチBの第4の共通端子JB0に接続されている。
【0086】
第5の切替スイッチCは、電力供給設備100のD端子J1を、第1の接続部JV1又は電力供給設備100の蓄電設備4の何れかに接続する。
【0087】
第5の切替スイッチCは、C接点スイッチであってもよい。第5の切替スイッチCは、D端子J1と接続されている第5の共通端子JC0、第1の接続部JV1と接続されている第5の常開端子JC1(a接点端子、ノーマリオープン端子)、蓄電設備4と接続されている第5の常閉端子JC4(b接点端子、ノーマリクローズ端子)を設けた。
【0088】
第2のモード切替レバーOLCは、第5の切替スイッチCの切替を制御する。第2のモード切替レバーOLCには2つの切替点が存在し、切替点PC1は、電力供給設備100のD端子J1に第1の接続部JV1を接続し、切替点PC4は、電力供給設備100のD端子J1と蓄電設備4を接続する。
【0089】
図20のエコモードにおいて、第5の切替スイッチCは、a接点端子である第5の常開端子JC1に接続されている。第3の切替スイッチ9は、b接点端子である第3の常閉端子J92に接続されている。AC駆動機構8には、第2の電力変換装置2を介した交流電力のみが供給される。
【0090】
図21のパワーモードにおいて、第5の切替スイッチCは、b接点端子である第5の常閉端子JC4に接続されている。AC駆動機構8には、第1の電力変換装置1を介した第1の交流電力(出力1)と、第2の電力変換装置2を介した第2の交流電力(出力2)を合成した交流電力(出力1+出力2)が供給される。なお、第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2からAC駆動機構8に供給される交流電力の位相は、同期している。
【0091】
<第5実施形態>
図22は、第5実施形態に係る電力供給設備100を搭載した作業用機械設備の構成(作業モード)を示す図である。図23は、第5実施形態に係る電力供給設備100を搭載した作業用機械設備の構成(AC電力供給モード)を示す図である。
【0092】
図22図23は、2つのAC駆動機構(AC駆動機構8、第2のAC駆動機構8A)を搭載した作業用機械設備Vにおいて、電力供給設備100の蓄電設備4の2つの電力供給ラインからそれぞれのAC駆動機構8、第2のAC駆動機構8Aに電力を供給する作業モードと、管理されたエリア外においてAC需要家に交流電力を供給するAC電力供給モードを示す。
【0093】
図22は、図8の構成と比較して、作業用機械設備Vは、AC駆動機構が2つの構成となっており、AC駆動機構8、第2のAC駆動機構8Aを有する。また、図20図21の構成と比較して、作業用機械設備Vには第2のAC駆動機構8Aと、外部の直流電力を必要とする負荷(AC需要家)に接続される出力用の端子である第4の接続部JV4との接続を切り替える第6の切替スイッチD、第6の切替スイッチDの切替を制御する第3のモード切替レバーOLDが配置されている。さらに、また、第2のA端子J4は、第4の切替スイッチBの第4の共通端子JB0への接続に代えて、第6の切替スイッチDの第6の共通端子JD0に接続されている。
【0094】
第6の切替スイッチDは、電力供給設備100の第2のA端子J4を、第4の接続部JV4又は第2のAC駆動機構8Aの何れかに接続する。
【0095】
第6の切替スイッチDは、C接点スイッチであってもよい。第6の切替スイッチDは、第2のA端子J4と接続されている第6の共通端子JD0、第2のAC駆動機構8Aと接続されている第6の常開端子JD8(a接点端子、ノーマリオープン端子)、第4の接続部JV4と接続されている第6の常閉端子JD4(b接点端子、ノーマリクローズ端子)を設けた。
【0096】
第3のモード切替レバーOLDは、第6の切替スイッチDの切替を制御する。第3のモード切替レバーOLDには2つの切替点が存在し、切替点PD8は、電力供給設備100の第2のA端子J4と第2のAC駆動機構8Aを接続し、切替点PD4は、電力供給設備100の第2のA端子J4に第4の接続部JV4を接続する。
【0097】
図22の作業モードにおいて、第6の切替スイッチDは、a接点端子である第6の常開端子JD8に接続されている。AC駆動機構8には、第2の電力変換装置2を介して変換された第1の交流電力が供給され、第2のAC駆動機構8Aには、第1の電力変換装置1を介して変換された第2の交流電力が供給される。
【0098】
図23のAC電力供給モードにおいて、第1の切替スイッチ6は、b接点端子である第1の常閉端子J62に接続されている。第2の切替スイッチ7は、b接点端子である第2の常閉端子J74に接続されている。第3の切替スイッチ9は、b接点端子である第3の常閉端子J92に接続されている。第4の切替スイッチBは、b接点端子である第4の常閉端子JB2に接続されている。第5の切替スイッチCは、b接点端子である第5の常閉端子JC4に接続されている。第6の切替スイッチDは、b接点端子である第6の常閉端子JD4に接続されている。
【0099】
第2の接続部JV2には、作業用機械設備Vの電力供給設備100の蓄電設備4からの直流電力が第2の電力変換装置2を介して変換された第1の交流電力が供給され、第4の接続部JV4には、電力供給設備100の蓄電設備4からの直流電力が第1の電力変換装置1を介して変換された第2の交流電力が供給される。
【0100】
以上説明した本実施形態の電力供給設備、作業用機械設備及び電力供給方法は、次の特徴を有する。
電力供給設備100は、外部設備と接続する第1の接続端子(例えば、D端子J1)、第2の接続端子(例えば、A端子J2)及び第3の接続端子(例えば、C端子J3)と、直流電力から交流電力に変換し又は交流電力から直流電力に変換する、第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2と、直流電力を蓄電する蓄電設備4と、第2の電力変換装置2の一方と接続されている第1の共通端子J60、第1の電力変換装置1の一方と接続されている第1の常開端子J61及び第2の接続端子と接続されている第1の常閉端子J62を有する第1の切替スイッチ6と、第2の電力変換装置2の他方と接続されている第2の共通端子J70、第3の接続端子と接続されている第2の常開端子J73及び蓄電設備と接続されている第2の常閉端子J74を有する第2の切替スイッチ7と、管理装置5と、を備える。第1の接続端子は、第1の電力変換装置1の他方と接続されている。
【0101】
管理装置5は、第1の切替スイッチ及び第2の切替スイッチの開閉状態により構成する、第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2の接続状態に基づき、第1の接続端子から電力を供給する第1の電力供給モード(例えば、図5参照)、又は、第2の接続端子から電力を供給する第2の電力供給モード(例えば、図6参照)、又は、第3の接続端子から電力を供給する第3の電力供給モード(例えば、図4参照)の何れかを選択して電力を供給する。これにより、図7に示すように、移動可能な多様な供給形態をする電力供給設備を提供することができる。
【0102】
電力供給設備100は、管理されたエリア又は管理されたエリア外において、第1の共通端子J60を第1の常開端子J61に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常閉端子J74に接続した第1の電力供給モード(例えば、図5参照)において、蓄電設備4から出力した直流電力を第2の電力変換装置2及び第1の電力変換装置1を介して所望の電圧の第1の直流電力を生成して第1の接続端子(例えば、D端子J1)から第1の直流電力を供給する。これにより、直流電力を必要とするDC需要家等に供給することができる。
【0103】
電力供給設備100は、管理されたエリア又は管理されたエリア外において、第1の共通端子J60を第1の常閉端子J62に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常閉端子J74に接続した第2の電力供給モード(例えば、図6参照)において、蓄電設備4から出力した直流電力を第2の電力変換装置2を介して所望の電圧の交流電力を生成して第2の接続端子(例えば、A端子J2)から交流電力を供給する。これにより、交流電力を必要とするAC需要家等に供給することができる。
【0104】
電力供給設備100は、管理されたエリアにおいて、第1の接続端子(例えば、D端子J1)から所定電圧の外部直流電力を入力し、第1の共通端子J60を第1の常開端子J61に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常開端子J73に接続した第3の電力供給モード(例えば、図4参照)において、第1の接続端子から入力した外部直流電力を第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2を介して所望の電圧の第2の直流電力を生成して第3の接続端子(例えば、C端子J3)から第2の直流電力を供給する。これにより、直流電力を必要とする電動自動車等に供給することができる。
【0105】
電力供給設備100は、管理されたエリアにおいて、第1の接続端子(例えば、D端子J1)から所定電圧の外部直流電力を入力し、第1の共通端子J60を第1の常開端子J61に接続し、さらに、第2の共通端子J70を第2の常閉端子J74に接続した充電モード(例えば、図3参照)において、第1の接続端子から入力した外部直流電力を第1の電力変換装置1及び第2の電力変換装置2を介して所望の電圧の第3の直流電力を生成して蓄電設備4を充電する。これにより、電力を必要とする需要家等へ供給するための電力を確保することができる。
【0106】
管理装置5は、第1の接続端子(例えば、D端子J1)に直流負荷である外部デバイスの接続を検知したときに第1の電力供給モード(例えば、図5参照)を選択し、第2の接続端子(例えば、A端子J2)に交流負荷である外部デバイスの接続を検知したときに第2の電力供給モード(例えば、図6参照)を選択し、第1の接続端子(例えば、D端子J1)に外部直流電力の供給を検知し、さらに第3の接続端子(例えば、C端子J3)に外部デバイスの接続を検知したときに第3の電力供給モード(例えば、図4参照)を選択し、第1の接続端子(例えば、D端子J1)に外部直流電力の供給を検知し、さらに第3の接続端子(例えば、C端子J3)に外部デバイスの接続を検知しないときに充電モード(例えば、図3参照)を選択するように、第1の切替スイッチ6及び前記第2の切替スイッチ7の開閉操作を行う。これにより、これにより、図7に示すように、移動可能な多様な供給形態をする電力供給設備を提供することができる。
【0107】
電力供給設備100は、準備された移動手段により管理されたエリアから管理されたエリア外に移動することができる(図7(2)参照)。
【0108】
電力供給設備100を備えた作業用機械設備Vであって、電力供給設備100は、さらに、第4の接続端子(例えば、第2のA端子J4)と、第1の電力変換装置1と第1の切替スイッチ6の間に配置され、第1の電力変換装置1の一方に接続されている第3の共通端子J90、第1の常開端子J61に接続されている第3の常開端子J93及び第4の接続端子に接続されている第3の常閉端子J92を有する第3の切替スイッチ9と、を備える。作業用機械設備Vは、作業モードと、第1の電力供給モード(例えば、図12参照)、第2の電力供給モード(例えば、図13参照)、第3の電力供給モード(例えば、図11参照)を含む電力供給モードと、を備え、作業用機械設備Vは、作業モードを選択したときに自走可能な状態となり、電力供給モードを選択したときに所定電圧の直流電力又は所定電圧の交流電力を供給可能な状態となる。これにより、図19に示すように、作業用機械設備Vは、作業モード以外に、移動可能な多様な供給形態をする電力供給設備を提供することができる。
【0109】
作業用機械設備Vは、AC駆動機構8と、第5の接続端子(例えば、第1の接続部JV1)、第6の接続端子(例えば、第2の接続部JV2)、及び第7の接続端子(例えば、第3の接続部JV3)と、第4の共通端子JB0、第4の常開端子JB8及び第4の常閉端子JB2を有する第4の切替スイッチBと、を備え、第1の接続端子(例えば、D端子J1)に第5の接続端子(例えば、第1の接続部JV1)が接続されており、第2の接続端子(例えば、A端子J2)に第4の共通端子JB0が接続されており、第4の常開端子JB8にAC駆動機構8が接続されており、第4の常閉端子JB2に第6の接続端子(例えば、第2の接続部JV2)が接続されており、第3の接続端子(例えば、C端子J3)に第7の接続端子(例えば、第3の接続部JV3)が接続されている。これにより、これにより、図16図17に示すように、移動可能な多様な供給形態をする電力供給設備100を有する作業用機械設備Vを提供することができる。
【0110】
作業用機械設備Vは、さらに、第4の切替スイッチBの第1の選択位置(切替点PB8、第4の常開端子JB8に対応)及び第2の選択位置(切替点PB2,第4の常閉端子JB2に対応)を有する第1のモード切替レバーOLBを備える。
【0111】
管理装置5は、第4の切替スイッチBの第1の選択位置が選択されたときに作業モードを選択して、第4の共通端子JB0に第4の常開端子JB8を接続し、第2の電力供給モードを選択して第2の接続端子(例えば、A端子J2)を介してAC駆動機構8に所定電圧の交流電力を供給する(図14参照)。
【0112】
管理装置5は、第4の切替スイッチBの第2の選択位置が選択されたときに電力供給モードを選択して、第4の共通端子JB0に第4の常閉端子JB2を接続し、第5の接続端子(例えば、第1の接続部JV1)に外部デバイスの接続を検知したときに第1の電力供給モードを選択して第1の接続端子(例えば、D端子J1)を介して所定電圧の直流電力を供給し(図12参照)、第6の接続端子(例えば、第2の接続部JV2)に外部デバイスの接続を検知したときに第2の電力供給モードを選択して第2の接続端子を介して前記第6の接続端子に所定電圧の交流電力を供給する(図13参照)。これにより、作業用機械設備Vは、所定電圧の直流電力及び交流電力を供給することができる。
【0113】
作業用機械設備Vは、さらに、第5の共通端子JC0、第5の常開端子JC1及び第5の常閉端子JC4を有する第5の切替スイッチCを備え、第5の接続端子(例えば、第1の接続部JV1)に第5の常開端子JC1が接続されており、第1の接続端子(例えば、D端子J1)に第5の共通端子JC0が接続されており、蓄電設備4に第5の常閉端子JC4が接続されている。電力供給モードとして、第4の接続端子(例えば、第2のA端子J4)を介して交流電力を供給する第4の電力供給モード(図20参照)を有する。これにより、作業用機械設備Vは、第1の電力供給モード(例えば、図12参照)、第2の電力供給モード(例えば、図13参照)、第3の電力供給モード(例えば、図11参照)以外に、第4の電力供給モードを有する。
【0114】
図20における第4の電力供給モードは、蓄電設備4、第5の切替スイッチC、第1の電力変換装置1、第3の切替スイッチ9、第4の切替スイッチBを経由して、第2の接続部JV2(第6の接続端子)から、交流電力を供給するモードである。
【0115】
作業用機械設備Vは、さらに、第5の切替スイッチCの第1の選択位置(切替点PC1、第5の常開端子JC1に対応)及び第2の選択位置(切替点PC4、第5の常閉端子JC4に対応)を有する第2のモード切替レバー(OLC)を備える。
【0116】
管理装置5は、第5の切替スイッチCの第1の選択位置が選択されたときに、第5の共通端子JC0に第5の常開端子JC1を接続し、第5の接続端子(例えば、第1の接続部JV1)に外部デバイスの接続を検知したときに第1の電力供給モードを選択して、第1の接続端子(例えば、D端子J1)を介して所定電圧の直流電力を供給する。
【0117】
管理装置5は、第5の切替スイッチCの第2の選択位置が選択されたときに、第5の共通端子JC0に第5の常閉端子JC4を接続し、第4の共通端子JB0に第4の常閉端子JB2を接続し、第4の電力供給モードを選択して、第4の接続端子(例えば、第2のA端子J4)を介して所定電圧の交流電力を供給する。
【0118】
電力供給モードは、さらに、エコモードとパワーモードを備え、エコモードは、作業モードで生成された第1の交流電力をAC駆動機構8に供給する(図20参照)。
【0119】
パワーモードは、第3の共通端子J90を第3の常閉端子J92に接続し、第5の共通端子JC0を第5の常閉端子JC4に接続し、さらに、第4の共通端子JB0を第4の常開端子JB8に接続し、蓄電設備4から出力した直流電力を第1の電力変換装置を介して所望の電圧の第2の交流電力を生成し、作業モードで生成された第1の交流電力と第2の交流電力を合成した交流電力をAC駆動機構8に供給する。これにより、AC駆動機構8に大容量の交流電力を供給することができる。
【0120】
作業用機械設備Vは、さらに、第2のAC駆動機構8Aと、第8の接続端子(例えば、第4の接続部JV4)と、第6の共通端子JD0、第6の常開端子JD8及び第6の常閉端子JD4を有する第6の切替スイッチDを備える。第2のAC駆動機構8Aに第6の常開端子JD8が接続されており、第4の接続端子(例えば、第2のA端子J4)に第6の共通端子JD0が接続されており、第8の接続端子(例えば、第4の接続部JV4)に第6の常閉端子JD4が接続されている(図22図23参照)。これにより、ふたつの交流駆動機構を有する作業用機械設備Vに、駆動用の交流電力を供給でき、また、第1の接続部JV1、第2の接続部JV2、第3の接続部JV3、第4の接続部JV4から電力を供給できる。
【0121】
作業用機械設備Vは、さらに、第6の切替スイッチDの第1の選択位置(切替点PD8、第6の常開端子JD8に対応)及び第2の選択位置(切替点PD4、第6の常閉端子JD4対応)を有する第3のモード切替レバー(OLD)を備える(図22参照)。
【0122】
管理装置5は、第6の切替スイッチDの第1の選択位置を選択したときに、作業モードを選択し、第6の共通端子JD0に第6の常開端子JD8を接続し、AC駆動機構8及び第2のAC駆動機構8Aに所定電圧の交流電力を供給する(図22参照)。
【0123】
管理装置5は、第6の切替スイッチDの第2の選択位置を選択したときに、第2の電力供給モードと第4の電力供給モードを組み合わせた第5の電力供給モードを選択し、第4の共通端子JB0に第4の常閉端子JB2を接続し、第6の接続端子(例えば、第2の接続部JV2)に所定電圧の交流電力を供給するとともに、第6の共通端子JD0に第6の常閉端子JD4を接続し、第8の接続端子(例えば、第4の接続部JV4)に所定電圧の交流電力を供給する(図23参照)。これにより、作業用機械設備Vは、第2の接続部JV2と、第4の接続部JV4とから、AC需要家等に交流電力を供給することができる。
【0124】
作業用機械設備Vを使用した電力供給方法は、(a)~(d)の処理ステップを有する(図17参照)。
(a)管理装置5は、管理されたエリアにおいて、第1のモード切替レバーOLBにより電力供給モードが選択された状態で第1の接続端子(例えば、D端子J1)に外部直流電力の供給を検知したときに、充電モードを選択して蓄電設備4を充電する充電ステップ(図10参照)
(b)管理装置5は、第1のモード切替レバーOLBにより作業モードが選択されたときに、第4の共通端子JB0に第4の常開端子JB8を接続し、第2の電力供給モードを選択して交流駆動機構に所定電圧の交流電力を供給して、作業用機械設備が所望の位置まで自走して移動する移動ステップ(図15参照)
(c)管理装置5は、第1のモード切替レバーOLBにより電力供給モードが選択された状態で第1の接続端子(例えば、D端子J1)に外部デバイスの接続を検知したときに、第1の電力供給モードを選択して第1の接続端子に接続された外部デバイスに所定電圧の直流電力を供給する電力供給ステップ(図12参照)
(d)管理装置5は、管理されたエリア外において、電力供給ステップ終了後に第1のモード切替レバーOLBにより作業モードが選択されたときに、第4の共通端子JB0に第4の常開端子JB8を接続し、第2の電力供給モードを選択して交流駆動機構に所定電圧の交流電力を供給して、作業用機械設備Vが管理されたエリアに自走して戻る回帰ステップ(図10参照)
【0125】
(a)の充電ステップと(b)の移動ステップと(c)の電力供給ステップと(d)の回帰ステップと、を繰り返して外部デバイスに所定電圧の直流電力を供給することができる。
【0126】
作業用機械設備Vは、第1の接続端子(例えば、D端子J1)に外部デバイスが接続されたときに外部デバイスが有する識別情報を取得して、識別情報が予め登録された識別情報と一致したときに、電力供給ステップを実行するとよい。
【0127】
電力供給ステップを実行したときに、外部デバイスに直流電力を供給した時間に設定した単価を乗算して算出したサービス料金を識別情報に紐づけられた所有者に課金するとよい。
【0128】
本実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)ACモータ(交流モータ)で駆動する電動耕運機などの作業用機械設備に応用することにより、自走可能な電力供給設備として活用することができる。
(2)農業向けの作業用機械設備に電力供給機能を持たせることにより、農繁期においては農機具として、農閑期においては充電設備があるエリアに移動して充電スタンドとなり、他の電気自動車、電動作業用機械設備などに給電することができる。
【0129】
作業用機械設備Vは、トラクター、ショベルカー、ホイルローダ、キャリヤ等の建設作業機、あるいは、耕耘機や田植機等の農作業機といった蓄電池で駆動する何れの電動作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 第1の電力変換装置
2 第2の電力変換装置
3 電気的絶縁装置
4 蓄電設備
5 管理装置
6 第1の切替スイッチ
7 第2の切替スイッチ
8 AC駆動機構(交流駆動機構)
8A 第2のAC駆動機構(第2の交流駆動機構)
9 第3の切替スイッチ
70 接続装置(給電スポット)
100 電力供給設備
B 第4の切替スイッチ
C 第5の切替スイッチ
D 第6の切替スイッチ
J1 D端子(第1の接続端子)
J2 A端子(第2の接続端子)
J3 C端子(第3の接続端子)
J4 第2のA端子(第4の接続端子)
J60 第1の共通端子
J61 第1の常開端子(第1の切替スイッチのD端子側)
J62 第1の常閉端子(第1の切替スイッチのA端子側)
J70 第2の共通端子
J73 第2の常開端子(第2の切替スイッチのC端子側)
J74 第2の常閉端子(第2の切替スイッチの蓄電設備側)
J90 第3の共通端子
J93 第3の常開端子(第3の切替スイッチの絶縁装置側)
J92 第3の常閉端子(第3の切替スイッチの第2のA端子側)
JB0 第4の共通端子
JB8 第4の常開端子(第4の切替スイッチの交流駆動機構側)
JB2 第4の常閉端子(第4の切替スイッチの第2の接続部側)
JC0 第5の共通端子
JC1 第5の常開端子(第5の切替スイッチの第1の接続部側)
JC4 第5の常閉端子(第5の切替スイッチの蓄電設備側)
JD0 第6の共通端子
JD8 第6の常開端子(第6の切替スイッチの第2の交流駆動機構側)
JD4 第6の常閉端子(第6の切替スイッチの第4の接続部側)
JV1 第1の接続部(第5の接続端子)
JV2 第2の接続部(第6の接続端子)
JV3 第3の接続部(第7の接続端子)
JV4 第4の接続部(第8の接続端子)
OLB 第1のモード切替レバー
OLC 第2のモード切替レバー
OLD 第3のモード切替レバー
V 作業用機械設備
VA,VB,VC 電動農機
VSA 給電車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23