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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150494
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220929BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/165 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053122
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】荒川 悠太
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA37
2C056JA01
2C056JA08
(57)【要約】
【課題】キャップユニットを記録ヘッドに対して位置決めすること。
【解決手段】プレートASSY284は、キャリッジ261とともに右向きに移動するにつれて、ASSYガイド部材283A~283Dにより案内されて、記録ヘッド262L,262Rに近づく向き(即ち、上向き)に移動する。これにより、CP当接部材2815A~2815Dが上下方向7において記録ヘッド262L,262Rと当接可能な位置まで上向きに移動する。記録ヘッド262L,262Rは、キャリッジ261とともに右向きに移動する過程でCP当接部材2815A~2815Dに当接し、CPユニット287L,287Rに対して位置決められる。記録ヘッド262L,262Rが右向きにさらに移動すると、ノズルキャップ2812L,2812Rにより被覆される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向へ移動可能なキャリッジと、
上記キャリッジに搭載されており、ノズル面に開口するノズルから液体を吐出するヘッドと、
上記第1方向へ移動可能なホルダと、
上記ホルダに対して上記第1方向へ移動可能に上記ホルダに搭載されており、上記ノズル面を覆うキャップを有するキャップユニットと、
上記ホルダを上記第1方向へ案内する第1ガイド部材と、
上記ホルダまたは上記キャップユニットを上記第1方向と交差しており上記ヘッドに対して接離する第2方向へ案内する第2ガイド部材と、を具備しており、
上記ホルダは、上記第1方向の一方向きへ移動する上記キャリッジと当接する第1当接部を有しており、
上記キャップユニットは、上記第1方向の一方向きへ移動する上記ヘッドと当接する第2当接部を有しており、
上記ホルダまたは上記キャップユニットの少なくとも一方が、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ移動可能であり、
上記第2ガイド部材は、上記ホルダが上記第1方向の一方向きへ移動するにつれて、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ、上記ホルダまたは上記キャップユニットを案内する画像記録装置。
【請求項2】
上記ホルダは、上記第1方向に沿った第1位置および当該第1位置よりも上記第1方向の一方向きにある第2位置に移動可能であり、
上記画像記録装置は、
上記ホルダを、上記第1方向の他方向きへ付勢する第1弾性部材と、
上記キャップユニットを、上記ホルダに対して上記第1方向の他方向きへ付勢する第2弾性部材と、
上記第1方向の一方向きへ移動するキャリッジと第1当接部とが当接して上記ホルダが上記第1方向の一方向きへ移動するときに、上記キャップユニットに上記第1方向の一方向きに当接して、上記第2弾性部材の付勢力に抗して、上記キャップユニットが上記ホルダに対して上記第1方向の他方向きへ移動することを制止するストッパと、をさらに具備する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第2ガイド部材が、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ上記ホルダまたは上記キャップユニットを案内することによって、
上記キャップユニットは、上記第2当接部が上記ヘッドと当接せず且つ上記キャップが上記ヘッドのノズル面を覆わない第1位置、上記第2当接部が上記ヘッドと当接し且つ上記キャップが上記ヘッドのノズル面を覆わない第2位置、および上記第2当接部が上記ヘッドと当接し且つ上記キャップが上記ヘッドのノズル面を覆う第3位置に移動する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記第2ガイド部材は、上記ホルダまたは上記キャップユニットから突出する突部が挿入され、上記第1方向の一方向きへ向かうにつれて、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ向かうガイド溝を有する請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記ガイド溝は、上記第1方向に沿って延びており、上記キャップユニットを上記第2位置に維持しつつ上記第1方向に沿って上記ホルダまたは上記キャップユニットを案内する部分を有する請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記ホルダおよび上記キャップユニットは、凸部および当該凸部が挿入されて上記第1方向へ延びる溝の一方と他方とをそれぞれが有する請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記第2当接部は、上記第1方向および上記第2方向と交差する第3方向に離れた2箇所にそれぞれ位置しており、
上記第2当接部の少なくとも一方は、上記ヘッドの上記第1方向に沿った面と当接する請求項1から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記ヘッドは、上記第1方向に離れて位置する第1ヘッドおよび第2ヘッドを有しており、
上記キャップユニットは、上記第1ヘッドのノズル面を覆う第1キャップを有する第1キャップユニットと、上記第2ヘッドのノズル面を覆う第2キャップを有する第2キャップユニットと、を有しており、
上記第1キャップユニットは、上記ホルダに対して上記第1方向へ移動可能であり、
上記第2キャップユニットは、上記ホルダに対して上記第1方向へ移動可能であり、
上記第2当接部は、上記第1キャップユニットおよび上記第2キャップユニットにそれぞれ設けられている請求項1から7のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記第1ヘッドと上記第2ヘッドとは、上記第1方向および上記第2方向と交差する第3方向に占める範囲が重複しており、
上記第1ヘッドは、上記第2ヘッドよりも上記第1方向の一方向きに位置しており、
上記第2ガイド部材は、上記第2キャップユニットが有する上記第2当接部が、上記第1方向において上記第1ヘッドと上記第2ヘッドとの間に位置するときに、上記第2方向の上記第2ヘッドへ近づく向きへ、上記ホルダまたは上記第2キャップユニットを案内する請求項8に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドのノズル面を覆うキャップを有する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリッジにヘッドが搭載されて、キャリッジが移動するときにヘッドからインクを吐出する画像記録装置が知られている。ヘッドのノズル面が乾燥することなどを防止するために、ヘッドのノズル面を覆うキャップを画像記録装置は有している。キャップはノズル面に対して接離する方向へ移動可能である。キャップは、キャリッジと当接してキャリッジとともに移動するときに、ノズル面に近づく向きへ案内される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6178032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャップをヘッドに対して精度よく位置決めするために、キャリッジと当接する当接部がキャップユニットに設けられることがある。しかし、キャップユニットはキャリッジに対して位置決めされているのみであり、ヘッドに対して直接に位置決めされない。他方、当接部をヘッドに当接させ、ヘッドとキャップユニットとが位置決めされた状態でキャップユニットがヘッドに近づく向きに案内されると、当接部との当接によってヘッドに大きな負荷が加わり好ましくない。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャップユニットをヘッドに対して位置決めできる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明は、第1方向へ移動可能なキャリッジと、上記キャリッジに搭載されており、ノズル面に開口するノズルから液体を吐出するヘッドと、上記第1方向へ移動可能なホルダと、上記ホルダに対して上記第1方向へ移動可能に上記ホルダに搭載されており、上記ノズル面を覆うキャップを有するキャップユニットと、上記ホルダを上記第1方向へ案内する第1ガイド部材と、上記ホルダまたは上記キャップユニットを上記第1方向と交差しており上記ヘッドに対して接離する第2方向へ案内する第2ガイド部材と、を具備している。上記ホルダは、上記第1方向の一方向きへ移動する上記キャリッジと当接する第1当接部を有している。上記キャップユニットは、上記第1方向の一方向きへ移動する上記ヘッドと当接する第2当接部を有している。上記ホルダまたは上記キャップユニットの少なくとも一方が、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ移動可能である。上記第2ガイド部材は、上記ホルダが上記第1方向の一方向きへ移動するにつれて、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ、上記ホルダまたは上記キャップユニットを案内する。
【0007】
第1方向の一方向きへ移動するキャリッジと第1当接部とが当接すると、ホルダがキャリッジと共に第1方向の一方向きへ移動する。ホルダの第1方向の一方向きへの移動につれて、第2ガイド部材に案内されて、ホルダ又はキャップユニットが第2方向のヘッドへ近づく向きへ移動すると、ホルダとともに第1方向の一方向きへ移動するヘッドと第2当接部とが当接する。これにより、ヘッドに対してキャップユニットが位置決めされる。さらにキャリッジが第1方向の一方向きへ移動すると、キャップユニットのキャップがヘッドのノズル面を覆う。
【0008】
(2) 上記ホルダは、上記第1方向に沿った第1位置および当該第1位置よりも上記第1方向の一方向きにある第2位置に移動可能である。上記画像記録装置は、上記ホルダを、上記第1方向の他方向きへ付勢する第1弾性部材と、上記キャップユニットを、上記ホルダに対して上記第1方向の他方向きへ付勢する第2弾性部材と、上記第1方向の一方向きへ移動するキャリッジと第1当接部とが当接して上記ホルダが上記第1方向の一方向きへ移動するときに、上記キャップユニットに上記第1方向の一方向きに当接して、上記第2弾性部材の付勢力に抗して、上記キャップユニットが上記ホルダに対して上記第1方向の他方向きへ移動することを制止するストッパと、をさらに具備する。
【0009】
ストッパにより、第1方向の一方向きへ移動するキャリッジと第1当接部とが当接してホルダが第1方向の一方向きへ移動するときに、ストッパと当接するキャップユニットは、第2弾性部材により第1方向の他方向きに付勢されてストッパと当接した状態に維持される。すなわち、キャップユニットの第2当接部は、ホルダと共に第1方向の一方向きへ移動するヘッドに対して、第1方向の他方向きへ相対的に移動してヘッドと当接する。これにより、ヘッドに対してキャップユニットを精度よく位置決めすることができる。
【0010】
(3) 上記第2ガイド部材が、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ上記ホルダまたは上記キャップユニットを案内することによって、上記キャップユニットは、上記第2当接部が上記ヘッドと当接せず且つ上記キャップが上記ヘッドのノズル面を覆わない第1位置、上記第2当接部が上記ヘッドと当接し且つ上記キャップが上記ヘッドのノズル面を覆わない第2位置、および上記第2当接部が上記ヘッドと当接し且つ上記キャップが上記ヘッドのノズル面を覆う第3位置に移動する。
【0011】
第2ガイド部材に案内されて、キャップがノズル面を確実に覆うことができる。
【0012】
(4) 上記第2ガイド部材は、上記ホルダまたは上記キャップユニットから突出する突部が挿入され、上記第1方向の一方向きへ向かうにつれて、上記第2方向の上記ヘッドへ近づく向きへ向かうガイド溝を有する。
【0013】
(5) 上記ガイド溝は、上記第1方向に沿って延びており、上記キャップユニットを上記第2位置に維持しつつ上記第1方向に沿って上記ホルダまたは上記キャップユニットを案内する部分を有する。
【0014】
キャップユニットが第2位置に維持されて、第2当接部とヘッドとが相対的に近づくので、第2当接部がヘッドに当接する前に、キャップがノズル面に接触することが抑制される。
【0015】
(6) 上記ホルダおよび上記キャップユニットは、凸部および当該凸部が挿入されて上記第1方向へ延びる溝の一方と他方とをそれぞれが有する。
【0016】
(7) 上記第2当接部は、上記第1方向および上記第2方向と交差する第3方向に離れた2箇所にそれぞれ位置している。上記第2当接部の少なくとも一方は、上記ヘッドの上記第1方向に沿った面と当接する。
【0017】
キャップユニットが、ヘッドに対して第1方向及び第3方向の二つの方向において位置決めされる。
【0018】
(8) 上記ヘッドは、上記第1方向に離れて位置する第1ヘッドおよび第2ヘッドを有している。上記キャップユニットは、上記第1ヘッドのノズル面を覆う第1キャップを有する第1キャップユニットと、上記第2ヘッドのノズル面を覆う第2キャップを有する第2キャップユニットと、を有している。上記第1キャップユニットは、上記ホルダに対して上記第1方向へ移動可能であり、
上記第2キャップユニットは、上記ホルダに対して上記第1方向へ移動可能である。上記第2当接部は、上記第1キャップユニットおよび上記第2キャップユニットにそれぞれ設けられている。
【0019】
キャリッジに二つのヘッドが搭載されている態様において、第1キャップユニット及び第2キャップユニットがホルダに対してそれぞれ第1方向へ移動可能なので、各ヘッドに対して各第2当接部がそれぞれ当接して各キャップユニットが位置決めされる。
【0020】
(9) 上記第1ヘッドと上記第2ヘッドとは、上記第1方向および上記第2方向と交差する第3方向に占める範囲が重複している。上記第1ヘッドは、上記第2ヘッドよりも上記第1方向の一方向きに位置している。上記第2ガイド部材は、上記第2キャップユニットが有する上記第2当接部が、上記第1方向において上記第1ヘッドと上記第2ヘッドとの間に位置するときに、上記第2方向の上記第2ヘッドへ近づく向きへ、上記ホルダまたは上記第2キャップユニットを案内する。
【0021】
第2キャップユニットに設けられた第2当接部が、第1ヘッドと当接することが抑制される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、キャップユニットをヘッドに対して位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタ100の内部構成を示す模式図。
図2】(A)はキャリッジ搬送機構27を示す模式図、(B)はプリンタ100の構成を示すブロック図。
図3】(A)は、記録ヘッド262L,262Rを模式的に示す正面図、(B)は、記録ヘッド262L,262Rを模式的に示す下面図。
図4】記録ユニット26およびキャップ機構28の斜視図。
図5】(A)は、ASSY突起284A等が下位置P11にあるときの記録ユニット26およびキャップ機構28の正面図、(B)は、同図(A)の一部断面図。
図6】キャップ機構28の斜視図。
図7】記録ユニット26およびキャップ機構28の平面図。
図8】(A)は、ASSYガイド部材283Aの正面図、(B)は、プレートASSY284の斜視図。
図9】(A)は、CPガイド部材286A,286Cの正面図、(B)は、CPガイド部材286B,286Dの正面図。
図10】キャップユニット287L,287Rの斜視図。
図11】(A)は、ASSY突起284A等が中間位置P12付近にあるときの記録ユニット26およびキャップ機構28の正面図、(B)は、同図(A)の一部断面図。
図12】(A)は、ASSY突起284A等が中間位置P13付近にあるときの記録ユニット26およびキャップ機構28の正面図、(B)は、同図(A)の一部断面図。
図13】(A)は、ASSY突起284A等が上位置P14付近にあるときの記録ユニット26およびキャップ機構28の正面図、(B)は、同図(A)の一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ100(画像記録装置の一例)について詳説する。実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更可能である。
【0025】
[用語の定義]
以下では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。
【0026】
各図および以下の説明において、上下方向7は、プリンタ100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として定義される。前後方向8は、プリンタ100において排出口13が設けられている側を前側として定義される。プリンタ100を前方から見て左右方向9が定義される。
【0027】
[プリンタ100の全体構成]
図1において、プリンタ100は、インクジェット記録方式でシートS(被記録媒体の一例)に画像を記録する。シートSは、ロール状に巻かれた長尺の用紙であり、ラベルロール紙を含む。シートSをプリンタ100に装着するために、シートSの巻回中心には貫通孔が形成されている。ラベルロール紙には、画像が印刷されるラベル紙が長尺の台紙に間隔をあけて貼付されている。被記録媒体は、シートSの他にも、ファンフォールド紙であってもよい。被記録媒体は、裁断紙や布地であってもよい。
【0028】
[筐体10]
図1において、プリンタ100は、概ね直方体形状の筐体10を備えている。筐体10は、卓上、床上またはラック等に載置可能なサイズである。筐体10は、外壁により、筐体10の内部空間11を外部から区画する。外壁は、底壁12A、上壁12B、前壁12C、後壁12D、左壁12Eおよび右壁12Fを含む。なお、図1では、右壁12Fの一部のみが示されている。
【0029】
前壁12Cの上部には、左右に細長いスリット状の排出口13が位置する。排出口13からは、プリンタ100により画像が記録されたシートSが排出される。排出されたシートSは、例えば、プリンタ100に取り付けられている巻取装置(図示せず)により巻き取られる。
【0030】
[筐体10内の構成]
図1において、プリンタ100は、内部空間11に、4つのタンク20A~20D、ホルダ21、テンショナ22、搬送ローラ対23、排出ローラ対24、プラテン25、および記録ユニット26を備える。図2(A)において、プリンタ100は、キャリッジ搬送機構27(以下、「CR搬送機構」とも称す)およびキャップ機構28をさらに備えている。図2(B)において、プリンタ100は、モータ21B,23C、ポンプ291およびコントローラ29をさらに備えている。
【0031】
[タンク20A~20D]
図1において、各タンク20A~20Dは、底壁12Aおよび前壁12Cの近くに位置する。タンク20A~20Dは、イエロ、マゼンタ、シアンおよびブラックのインクを個々に貯留する。各インクは、所謂ラテックスインクであり、顔料、樹脂微粒子、および添加剤を含有している。各インクは、顔料および樹脂微粒子を均一に分散させるに適した粘度を有している。顔料は、インクの色となるものである。樹脂微粒子は、シートSに顔料を付着させるためのものであり、例えばヒータ(図示せず)の加熱によってガラス転移温度を超える合成樹脂である。以下、イエロ、マゼンタ、シアンおよびブラックをY,M,C,Kとも称する。
【0032】
なお、タンクは、少なくとも1つでよく、インク以外の液体を貯留してもよい。液体の例としては、前処理液がある。前処理液は、カチオン系高分子、多価金属塩(例えば、マグネシウム塩)等を含有してもよい。前処理液は、インク中の成分を凝集または析出させることにより、インクの滲みや裏抜けを防止する機能を有する。前処理液は、インクの発色性や速乾性を向上させる機能を有する場合もある。
【0033】
図1において、ホルダ21は、底壁12Aおよび後壁12Dの近くに位置し、シートSの支持する回転軸21Aを有する。回転軸21Aは、内部空間11で上下前後に拡がるサイドフレーム(図示せず)から左右方向9に延びている。
【0034】
ホルダ21の回転軸21Aには、モータ21B(図2(B)参照)の動力が伝達される。この動力により、ホルダ21は、回転軸21Aの周方向に回転する。この周方向は、図1において反時計回りである。ホルダ21の回転により、ホルダ21に支持されたロール体も回転する。シートSは、搬送ローラ対23および排出ローラ対24が回転することで、ロール体の後端から上方に引き出されテンショナ22へと案内される。
【0035】
内部空間11においてホルダ21の上方には、一対のサイドフレーム(図示せず)が設けられる。テンショナ22、搬送ローラ対23および排出ローラ対24の各々は、サイドフレームの間で左右に延び、左右方向9に平行な回転軸の周方向に回転可能に取り付けられる。
【0036】
テンショナ22は、バネなどの付勢部材によって後向きの付勢力が加えられている。テンショナ22は、ロール体から引き出されたシートSと当接して、シートSを前方へ向かって湾曲するように案内する。
【0037】
搬送ローラ対23は、駆動ローラ23Aとピンチローラ23Bとを有する。駆動ローラ23Aは、テンショナ22の前方に位置する。駆動ローラ23Aの下端位置は、上下方向7においてテンショナ22の上端位置に概ね一致する。ピンチローラ23Bは、駆動ローラ23Aに下方から当接する。
【0038】
排出ローラ対24は、駆動ローラ24Aとピンチローラ24Bとを有する。駆動ローラ24Aは、駆動ローラ23Aの前方に位置する。駆動ローラ24Aの下端位置は、上下方向7においてテンショナ22の上端位置に概ね一致する。ピンチローラ24Bは、駆動ローラ24Aに下方から当接する。
【0039】
駆動ローラ23A,24Aの各々は、モータ23C(図2(B)参照)が発生した動力により回転する。これにより、駆動ローラ23A,24Aは、ピンチローラ23B,24Bとの間にシートSをニップしつつ搬送向き8Aへ搬送する。搬送向き8Aは、本実施形態では、前方である。
【0040】
[プラテン25,記録ユニット26]
図1において、プラテン25および記録ユニット26の各々は、前後方向8において搬送ローラ対23および排出ローラ対24の間の位置で、筐体10に取り付けられている。
【0041】
プラテン25は、サイドフレームの間で左右に延びており、前後左右に拡がるシートSの支持面25Aを有する。支持面25Aは、プラテン25の上端面である。支持面25Aの上下位置は、テンショナ22の上端位置と概ね一致する。プラテン25は、シートSを支持面25Aに吸着させることが可能な吸着プラテンであってもよい。
【0042】
[記録ユニット26の詳細]
図1図2(A)において、記録ユニット26は、キャリッジ261および2つの記録ヘッド262L,262R(ヘッドの一例)を備える。キャリッジ261は、上下方向7において支持面25Aから真上に僅かに離れた位置で、CR搬送機構27(図2(A)参照)から与えられる動力により、左右方向9(第1方向の一例)に往復移動可能である。
【0043】
図4に示すように、キャリッジ261は、上方および前方が開放されたトレイ形状であり、底壁261A、および3つの側壁261B~261Dを有する。底壁261Aは、平面視で矩形形状である。側壁261B,261C,261Dは、底壁261Aの左右両端および後端から上方に延出する。
【0044】
図2(A)において、底壁261Aには、記録ヘッド262L,262R用に2個の貫通孔(以下、「HD貫通孔」とも称す)261L,261Rが形成される。各HD貫通孔261L,261Rは、底壁261Aを上下方向7に貫通する。各HD貫通孔261L,261Rは、互いに同じ形状であって、記録ヘッド262L,262Rの下面263L,263Rの形状に概ね一致する。なお、図2(A)では、各HD貫通孔261L,261Rは、破線の矩形より模式的に示される。
【0045】
HD貫通孔261Rは、HD貫通孔261Lから右方に距離X11だけ離間する。前後方向8においてHD貫通孔261L,261Rが占める範囲は互いに重複している。換言すると、HD貫通孔261Rの前端は、HD貫通孔261Lの前端より前方に距離Y11だけ離間する。HD貫通孔261Rの後端は、HD貫通孔261Lの後端より前方に距離Y11だけ離間する。距離X11,Y11とは、適宜定められる。
【0046】
図3(B)において、記録ヘッド262L,262Rは、下面263L,263Rをそれぞれ有する。下面263L,263Rは、HD貫通孔261L,261Rの平面形状に概ね一致する。
【0047】
記録ヘッド262Lは、図3(A)に示すように、吐出モジュール264L、4つのサブタンク265A~265D、4つの排気流路266A~266D、4つのバルブ267A~267D、および4つの付勢部材2613A~2613Dを有する。
【0048】
図3(A)において、吐出モジュール264Lは、記録ヘッド262Lにおける下部に位置する。図3(B)において、吐出モジュール264Lの下面(ノズル面の一例)は、下面263Lの一部であって、平面視で概ね矩形形状の第1領域268Lを含む。第1領域268Lには、多数のノズル269Lが形成されている。図3(B)では、8つのノズルにのみ、参照符号が付されている。多数のノズル269Lは、前後左右に間隔をあけて並んでおり、第1領域268Lにおいて下方に向けて開口している。本実施形態では、多数のノズル269Lにより、前後に延びる4列のノズル269A~269Dが形成されている。各ノズル269Lは、画像記録時に吐出モジュール264Lに貯留される液体(例えばインク)を吐出するために用いられる。詳細には、ノズル269A~269DからY,M,C,Kのインクがそれぞれ吐出される。ノズル269Lは、パージ処理において内部の液体をキャップユニット(以下、「CPユニット」とも称す)287L(図6参照)に強制的に排出する際にも用いられる。
【0049】
図3(A)において、4つのサブタンク265A~265Dは、吐出モジュール264Lの上面において左右に並んでいる。各サブタンク265A~265Dは、外壁により区画された内部空間に液体を貯留する。各サブタンク265A~265Dは、チューブジョイント2610A~2610D(図4参照)等によりタンク20A~20D(図1参照)とそれぞれ接続されている。サブタンク265A~265Dは、Y,M,C,Kのインクを個々に貯留しており、吐出モジュール264Lに供給する。吐出モジュール264Lがインクを消費したことに応じて、サブタンク265A~265Dには、タンク20A~20Dから同色のインクが供給される。
【0050】
図3(B)において、記録ヘッド262Lの下面263Lは、第1領域268Lの右方に第2領域2611Lを含む。第2領域2611Lは、平面視で前後に長い略矩形形状である。第2領域2611Lには、4つの排気孔2612A~2612Dが前後に並んでいる。各排気孔2612A~2612Dは、パージ処理によりサブタンク265A~265D(図3(A)参照)内の気体や液体をCPユニット287L(図6参照)に排出するための孔である。
【0051】
図3(A)において、排気流路266A~266Dは、主にサブタンク265A~265D内の気体を記録ヘッド262Lの外部に排出するための流路である。図3(A)では、1つの排気流路266Aのみが示され、それ以外の3つの排気流路266B~266Dは排気流路266Aの後方に隠れている。図3(A)では、バルブ267B~267Dもバルブ267Aの後方に隠れている。
【0052】
排気流路266A~266Dは、サブタンク265A~265Dの上端付近から排気孔2612A~2612Dにそれぞれ至る。詳細には、排気流路266A~266Dは、サブタンク265A~265Dの上端付近から右方に延出する。排気流路266A~266Dは、サブタンク265Aの右方を通って上下に延びて、排気孔2612A~2612Dに至る。
【0053】
バルブ267A~267Dは、排気流路266A~266D内に収容され、排気孔2612A~2612Dの上方に位置する。バルブ267A~267Dは、排気孔2612A~2612Dを閉塞する閉位置(図3(A)参照)、および排気孔2612A~2612Dを開放する開位置(図示せず)に移動可能である。開位置は、閉位置よりも上方に離れた位置である。バルブ267A~267Dは、バネ等の付勢部材2613A~2613Dにより、排気孔2612A~2612Dを閉塞する向きに付勢されている。
【0054】
記録ヘッド262Rは、図3(A)に示すように、吐出モジュール264R、4つのサブタンク265E~265H、4つの排気流路266E~266H、および4つのバルブ267E~267H、排気孔2612E~2612H、および付勢部材2613E~2613Hを有する。図3(B)において、吐出モジュール264Rの下面(ノズル面の一例)は、下面263Rの一部であって、平面視で概ね矩形形状の第1領域268Rを含む。第1領域268Rには、多数のノズル269R(ノズル269E~269H)が形成されている。記録ヘッド262Rは、記録ヘッド262Lと比較すると、内部空間11における位置が異なるだけである。それゆえ、記録ヘッド262Rの各構成の形状や機能の説明を控える。
【0055】
図4図5(A)に示すように、記録ヘッド262L,262Rは、下記のようにキャリッジ261の底壁261Aに取り付けられる。即ち、下面263L,263RがHD貫通孔261R,261Lを通って底壁261Aより下方に突出する。下面263L,263Rがプラテン25の支持面25Aから同じ距離だけ離れる。記録ヘッド262Rは、記録ヘッド262Lから右方に距離X11(図2(A)参照)と同距離だけ離間し、記録ヘッド262Lから前方に距離Y11と同距離だけ離間する。
【0056】
[CR搬送機構27]
図2(A)において、CR搬送機構27は、2本のレール271B,271F、2個のプーリ272L,272R、無端ベルト273およびキャリッジモータ(以下、「CRモータ」とも称す)274を含む。
【0057】
レール271B,271Fの各々は、プラテン25より上方で左右に延びる。レール271B,271Fは、プラテン25を挟んで前後に離間する。レール271B,271Fの右端は、プラテン25の右端よりも右方に位置する。即ち、キャリッジ261は、プラテン25の右端よりも右方の位置まで移動できる。キャリッジ261は、レール271B,271Fの間に架け渡される。
【0058】
プーリ272L,272Rの各々は、レール271Bの左端付近および右端付近に位置する。特に、プーリ272Rは、プラテン25の右端よりも右方に位置する。プーリ272L,272Rは、レール271Bの上面から上方に突出するように設けられ、上下方向7に沿う回転軸の周方向に回転可能である。
【0059】
無端ベルト273は、プーリ272L,272Rに巻き掛けられる。無端ベルト273においてプーリ272L,272Rの間の位置には、キャリッジ261が固定される。
【0060】
CRモータ274は、ブラシ付きDCモータ等であり、コントローラ29(図2(B)参照)の制御下で回転し、プーリ272Rを回転させるための動力を出力軸に発生する。これにより、無端ベルト273は、プーリ272L,272R間で左右に走行し、キャリッジ261は、移動範囲261Eにおいて左右方向Xに往復移動する。移動範囲261Eの左端は、筐体10の左壁12Eより若干右方であり、移動範囲261Eの右端は、右壁12Fの若干左方であることが好ましい。
【0061】
[キャップ機構28]
図4図7において、内部空間11には、板金製の基台281、前壁282A、および後壁282Bが設けられている。基台281は、図5(A)に示すように、プラテン25より右方にあり、上下方向7において支持面25Aより低い位置にある。基台281およびプラテン25の前後方向8において占める範囲は互いに重複している。なお、図5(B),(C)では、記録ユニット26の大部分を省略して示している。
【0062】
基台281は、図6に示すように、平面視で、前後左右に平行な辺を有する略矩形形状である。前壁282Aおよび後壁282Bは、基台281の前端および後端から上方にそれぞれ延出する。前壁282Aおよび後壁282Bは、前後に薄い形状である。図7に示すように、前壁282Aおよび後壁282Bは、記録ヘッド262Lよりも前方および後方で上下左右に拡がっている。
【0063】
図4図7において、キャップ機構28は、4つのASSYガイド部材283A~283D、プレートASSY284(ホルダの一例)、ASSY当接部材285(第1当接部の一例)、4つのCPガイド部材286A~286D、および2つのCPユニット287L,287Rを備えている。
【0064】
[ASSYガイド部材283A~283D]
図5において、各ASSYガイド部材283A~283Dは、樹脂等の成形品であり、実質的には互いに同じ形状である。各ASSYガイド部材283A~283Dは、第1ガイド部材および第2ガイド部材の一例である。
【0065】
図4図6において、ASSYガイド部材283Aは、前壁282Aの左右中心より左側であって、前壁282Aの左端付近に位置する。ASSYガイド部材283Aは、前後に薄く且つ上下左右に拡がる矩形形状である。ASSYガイド部材283Aの上端は、左右に真直ぐ延びており、正面視で、前壁282Aより僅かに上方に突出している。なお、ASSYガイド部材283Aの上端位置は、前壁282Aの上端位置と同じでもよい。
【0066】
図8(A)に示すように、ASSYガイド部材283Aには、前後方向8に貫通し、左右方向9(第1方向の一例)および上下方向7(第2方向の一例)の二方向に延びるASSYガイド溝289Aが形成されている。ASSYガイド溝289Aの幅は、全域に亘ってASSY突起284Aの外径より僅かに大きい。ASSYガイド溝289Aは、下位置P11から中間位置P12まで斜めに真直ぐ延びる。下位置P11は、ASSYガイド溝289Aの下端であり、且つASSYガイド溝289Aの左端から概ねASSY突起284Aの外径分だけ右方に離れた位置である。中間位置P12は、下位置P11から右方および上方に離れた位置である。ASSYガイド溝289Aは、中間位置P12から中間位置P13まで右方に真直ぐ延びる。ASSYガイド溝289Aは、中間位置P13から上位置P14まで斜めに真直ぐ延びる。上位置P14は、中間位置P13から右方および上方に離れた位置である。ASSYガイド溝289Aは、上位置P14から上位置P15まで右方に真直ぐ延びる。上記より、P11~P15の上下位置は、P11<P12=P13<P14=15という関係にある。
【0067】
図6において、ASSYガイド部材283Bは、後壁282Bにおいて、ASSYガイド部材283Aを後方に平行移動させた位置に設けられる。
【0068】
ASSYガイド部材283Cは、前壁282Aの左右中心より右側であって、前壁282Aの右端付近に位置する。ASSYガイド部材283Cは、ASSYガイド部材283Aを右方に平行移動させた位置に設けられる。図5(A)に示すように、ASSYガイド部材283A,283Cの左右間隔は、記録ヘッド262Rの下面263Rの左右幅と概ね同じである。
【0069】
図6において、ASSYガイド部材283Dは、後壁282Bにおいて、ASSYガイド部材283Cを後方に平行移動させた位置に設けられる。
【0070】
ASSYガイド部材283B~283Dには、正面視で、ASSYガイド溝289Aと同じ形状のASSYガイド溝289B~289Dが形成されている。
【0071】
[プレートASSY284]
図6図7図8(B)において、プレートASSY284は、板金製であり、4つのASSY突起(突部の一例)284A~284D、上パネル284E、前パネル284F、および後パネル284Gを有している。図6に示すように、プレートASSY284は、ASSY付勢部材284H(第1弾性部材の一例)をさらに有している。
【0072】
図6図8(B)において、上パネル284Eは、平面視で前後左右に平行な辺を有する略矩形形状である。図7において、上パネル284Eの前後寸法Y21は、前壁282Aおよび後壁282Bの前後間隔Y22より若干小さい。図6に示すように、上パネル284Eの左右寸法X21は、前壁282Aおよび後壁282Bの左右寸法X22よりも小さい。
【0073】
図8(B)において、前パネル284Fおよび後パネル284Gは、上パネル284Eの前端および後端から下方にそれぞれ延出する。前パネル284Fおよび後パネル284Gは、前後方向に薄い板状であり、正面視で左右に細長い略矩形形状である。
【0074】
図8(B)において、ASSY突起284A~284Dは、円柱形状であり、ASSYガイド溝289A~289D(図6参照)の上下寸法より僅かに小さい外径を有する。ASSY突起284A,284Cは、前パネル284Fの左端付近および右端付近から前方に突出している。図5(A)において、ASSY突起284A,284Cの左端間の左右距離X31は、ASSYガイド溝289A,289Cの左端間の左右距離X32に概ね等しい。図8(B)において、ASSY突起284B,284Dは、後パネル284GにおいてASSY突起284A,284Cを後方に平行移動した位置から後方に突出している。
【0075】
図6において、ASSY突起284A~284Dは、ASSYガイド溝289B~289Dにそれぞれ挿通される。これにより、プレートASSY284は、前壁282Aおよび後壁282Bの間で、ASSYガイド溝289B~289Dにガイドされつつ上下左右に移動可能となる。即ち、プレートASSY284の移動は、ASSYガイド溝289B~289Dの形状により規制される。
【0076】
特に、図5(A),(B)において、ASSY突起284A~284Dが下位置P11(図8(A)参照)にあるとき、CP当接部材2815A~2815Dは、ASSYガイド部材283A~283Dの上端より上方に突出しない。図5では、ASSYガイド部材283B,283Dは、ASSYガイド部材283A,283Cの後方に隠れている。ASSY突起284B,284DがASSY突起284A,284Cの後方に隠れている。これらの点については、図11図13にも同様に当てはまる。
【0077】
図11(A),(B)において、ASSY突起284A~284Dが中間位置P12付近(図8(A)参照)にあるとき、CP当接部材2815A~2815Dは、ASSYガイド部材283A~283Dの上端より上方で且つ記録ヘッド262L,262Rの下面263L,263Rより上方の位置まで突出する。
【0078】
図12(A),(B)において、ASSY突起284A~284Dが中間位置P13付近(図8(A)参照)にあるとき、CP当接部材2815A~2815Dは、中間位置P12付近(図8(A)参照)にあるときと同じ上下位置にある。
【0079】
図13(A),(B)において、ASSY突起284A~284Dが上位置P14,P15(図8(A)参照)にあるとき、CP当接部材2815A~2815Dは、ASSYガイド部材283A~283Dの上端より上方で且つ記録ヘッド262L,262Rの下面263L,263Rより上方の位置まで突出する。
【0080】
図8(B)において、上パネル284Eには、CPユニット287L,287R用に2個の貫通孔(以下、「CP貫通孔」とも称す)284L,284Rが形成される。各CP貫通孔284L,284Rは、上パネル284Eを上下方向7に貫通する。各CP貫通孔284L,284Rは、互いに同じ形状であって、平面視で、各CPユニット287L,287Rを内包可能な左右寸法および前後寸法の略矩形形状である。
【0081】
CP貫通孔284Rの右端は、後述の左端面285Aから左方に左右距離X41だけ離れた位置で前後に延びている。左右距離X41は、HD貫通孔261R(即ち、記録ヘッド262Rの下面263R)の右端と、キャリッジ261の側壁261Cとの間の左右距離X42(図5(A)参照)よりも若干短い。CP貫通孔284Rの左端は、CP貫通孔284Rの右端から左方に左右距離X43だけ離れた位置で、CP貫通孔284Rの右端と平行に延びている。CPユニット287Lの左右寸法をX44(図10参照)とし、CPガイド溝2810Aの左右長さをX45(後述、図9(A)参照)とすると、X43は、概ねX44+X45である。
【0082】
CP貫通孔284Lは、上パネル284Eにおいて、CP貫通孔284Rを左方に距離X11(図2(A)参照)と同距離だけ移動し、CP貫通孔284Rを後方に距離Y11(図2(A)参照)と同距離だけ移動した位置に形成されている。
【0083】
図6において、ASSY付勢部材284Hは、引張コイルばね等である。ASSY付勢部材284Hの一方端は上パネル284Eに接続される。ASSY付勢部材284Hの他方端は、左右方向9において上パネル284Eよりも左方の位置で筐体10に接続される。ASSY突起284A~284Dが下位置P11(図8(A)参照)にあるとき、ASSY付勢部材284Hの長さは、自然長より若干長くなっている。これにより、プレートASSY284は、ASSY付勢部材284Hにより左方に付勢される。
【0084】
[ASSY当接部材285]
図8(B)に示すように、ASSY当接部材285は、概ね直方体形状であり、上パネル284Eの上面に取り付けられている。ASSY当接部材285は、上パネル284Eの上面の右端付近且つ前後中央付近から上方に突出する。ASSY当接部材285は、前後上下に拡がり且つ左方を向く左端面285Aを有する。図5に示すように、左端面285Aの上端は、ASSY突起284A~284Dの上下位置に関わらず、前壁282A、後壁282Bおよびキャリッジ261の底壁261Aより上方の位置まで突出している。図5図7に示すように、側壁261Cが前後方向8および上下方向7の各方向において占める範囲は、左端面285Aが前後方向8および上下方向7の各方向において占める範囲と重複している。
【0085】
[CPガイド部材286A~286D]
図5図8(B),図9図10において、各CPガイド部材286A~286Dは、樹脂等の成形品であり、実質的には互いに同じ形状である。CPガイド部材286Bは、図5ではCPガイド部材286Aの後方に隠れており、図8に部分的に示されている。図10は、図8(B)と比較すると、プレートASSY284およびASSY当接部材285が図示されていない点で相違する。
【0086】
図9(A)において、CPガイド部材286Aは、上パネル284EにおけるCP貫通孔284Lの前縁から下方に延出する。CPガイド部材286Aは、前後に薄く且つ上下左右に拡がる矩形形状である。CPガイド部材286Aには、前後方向8に貫通し、左右に延びる2つのCPガイド溝2810A,2810B(凸部が挿入される溝の一例)が形成されている。CPガイド溝2810A,2810Bの幅は、左右方向9における略全域に亘ってCP突起2814A,2814Bの外径より僅かに大きい。CPガイド溝2810A,2810Bの左右長さは、互いに同じであり、X45である。
【0087】
CPガイド溝2810Aは、下位置P21から下位置P22まで左右に真直ぐ延びる。下位置P21,P22は、上下方向7において、上パネル284Eの上面から下方に上下距離Z1だけ離れた位置である。上下距離Z1は、上パネル284Eの上面からCP突起2814Aの下端までの距離に等しい。下位置P21は、左右方向9においてCP貫通孔284Lの左端と概ね同じである。
【0088】
CPガイド溝2810Bは、上位置P23から上位置P24まで左右に真直ぐ延びる。上位置P23,P24は、上下方向7において、上パネル284Eの上面から下方に上下距離Z2だけ離れた位置である。上下距離Z2は、上パネル284Eの上面からCP突起2814Bの下端までの距離に等しい。上位置P24は、左右方向9においてCP貫通孔284Lの右端と概ね同じである。
【0089】
図9(B),図10において、CPガイド部材286Bは、上パネル284EにおけるCP貫通孔284Lの後縁から下方に延出する。CPガイド部材286Bは、CPガイド部材286Aを後方に平行移動させた位置に設けられている。
【0090】
図9(A),図10において、CPガイド部材286Cは、上パネル284EにおけるCP貫通孔284Rの前縁から下方に延出する。CPガイド部材286Cは、CPガイド部材286Aを右方に平行移動させた位置に設けられている。
【0091】
図9(B),図10において、CPガイド部材286Dは、上パネル284EにおけるCP貫通孔284Rの後縁から下方に延出する。CPガイド部材286Dは、CPガイド部材286Cを後方に平行移動させた位置に設けられている。
【0092】
図9において、CPガイド部材286BにはCPガイド溝2810C,2810Dが、CPガイド部材286CにはCPガイド溝2810E,2810Fが、CPガイド部材286DにはCPガイド溝2810G,2810Hが形成されている。CPガイド溝2810C~2810Hは、CPガイド溝2810Aと同形状である。
【0093】
[CPユニット287L,287R]
図10において、CPユニット287L,287Rは、互いに同じ形状を有しており、プレートASSY284に対して左右方向9に移動可能にプレートASSY284に搭載されている。
【0094】
CPユニット287Lは、CPケース2811L、ノズルキャップ2812L、排気キャップ2813L、CP突起2814A~2814D(凸部の一例)、および2つのCP当接部材2815A,2815B(第2当接部の一例)、CP付勢部材2819L(第2弾性部材の一例)を備えている。
【0095】
CPケース2811Lは、上方が開放されたトレイ形状を有する。CPケース2811Lの前後寸法はY41であり、その左右寸法はX44である。CPケース2811Lは、底壁2811A、および4つの側壁2811B~2811Eを有する。
【0096】
側壁2811B~2811Eは、平面視で矩形形状の底壁2811Aの左端、右端、前端、後端から上方へ延出する。側壁2811D,2811Eは、CP貫通孔284Lの前端および後端において、上パネル284Eの前縁および後縁に沿って位置する。側壁2811B~2811Eの上端は、図8(B)に示すように、上パネル284Eの上面から突出しておらず、上パネル284Eの上面と段差無く平行である。
【0097】
図10において、ノズルキャップ2812Lは、基部2812A、およびリップ2812Bを有する。
【0098】
基部2812Aは、ノズルキャップ2812Lの底部をなし、平面視で矩形形状を有する。基部2812Aには、流出口2812Cが形成されている。
【0099】
リップ2812Bは、ゴム等の弾性材料で作製されており、基部2812Aの外周から上方に突出する枠体である。ASSY突起284A~284D(図8(B)参照)がASSYガイド部材283A~283Dにおける上位置P14(図8(A)参照)に到達したことに応じて、リップ2812Bの上端は、多数のノズル269Lを四方から包囲する位置で吐出モジュール264Lの下面に密着する。ASSY突起284A~284Dが下位置P11から上位置P14に到達するまでの間、リップ2812Bの上端は、吐出モジュール264Lの下面に密着しない。
【0100】
排気キャップ2813Lは、基部2813A、リップ2813B、および4つの排気突起2813C~2813Fを有する。
【0101】
基部2813Aは、排気キャップ2813Lの底部をなし、平面視で前後方向に細長い矩形形状を有する。基部2813Aには、パージ処理で排気キャップ2813Lに排出された液体の流出口(図示せず)が形成されている。
【0102】
リップ2813Bは、ゴム等の弾性材料で作製されており、基部2813Aの外周から上方に突出する枠体である。ASSY突起284A~284D(図8(B)参照)がASSYガイド部材283A~283Dにおける上位置P14に到達したことに応じて、リップ2813Bの上端は、排気孔2612A~2612Dを四方から包囲する位置で吐出モジュール264Lの下面に密着する。ASSY突起284A~284Dが下位置P11から上位置P14に到達するまでの間、リップ2813Bの上端は、吐出モジュール264Lの下面に密着しない。
【0103】
排気突起2813C~2813Fは、リップ2813Bの内側で前後に間隔をあけて並んでいる。排気突起2813C~2813Fは、基部2813Aから上方に延出しており、リップ2813Bの上端より上方の位置まで延びている。排気突起2813C~2813Fは、ASSYガイド部材283A~283Dにおける上位置P14に到達する過程で、排気孔2612A~2612Dに挿通され、バルブ267A~267D(図3(A)参照)を閉位置から開位置へと移動させる。
【0104】
図9において、各CP突起2814A~2814Hは、互いに同じ略円柱形状であり、CPガイド溝2810A等の上下寸法より僅かに小さい外径を有する。各CP突起2814A~2814Hの位置は、側壁2811B~2811Eが上パネル284Eの上面から突出することなく、CPユニット287LがCP貫通孔284L内で左右に平行移動するように適切に選ばれる。
【0105】
図10において、CP突起2814A,2814Bは、側壁2811Dの左端付近および右端付近から前方に突出する。図9(B)において、CP突起2814C,2814Dは、側壁2811Eにおいて、CP突起2814A,2814B(図9(A)参照)を後方に平行移動した位置から後方に突出している。
【0106】
図9(A)において、CP突起2814A,2814Bは、CPガイド部材286AのCPガイド溝2810A,2810Bに挿通される。CP突起2814A,2814Bの突出端(即ち、前端)は、CPガイド部材286Aの前面よりも前方に突出する。図9(B)において、CP突起2814C,2814Dは、CPガイド部材286BのCPガイド溝2810C,2810Dに挿通される。CP突起2814C,2814Dの突出端(即ち、後端)は、CPガイド部材286Bの後面よりも後方に突出する。
【0107】
図10において、CPケース2811Lの上端は、平面視で矩形枠のような形状である。CP当接部材2815Aは、CPケース2811Lの上端における右前隅から上方に突出している。CP当接部材2815Aは、傾斜面2816Aおよび左向き面2816Bを有する。傾斜面2816Aは、左斜め後方を向く略平面である。左向き面2816Bは、上下前後に拡がり且つ左方を向く略平面である。
【0108】
CP当接部材2815Bは、CPケース2811Lの上端における右後隅から上方に突出しており、CP当接部材2815Aから後方に離間している。CP当接部材2815Bは、前向き面2816Cおよび左向き面2816Dを有する。前向き面2616Cは、上下左右に拡がり且つ前方を向く略平面であって、傾斜面2816Aと前後方向8において対向している。左向き面2816Dは、上下前後に拡がり且つ左方を向く略平面であって、左向き面2816Bと段差無く平行である。
【0109】
傾斜面2816Aおよび前向き面2616Cの前後距離は、記録ヘッド262Lの右下隅の前後距離に等しい。
【0110】
図10において、CP付勢部材2819Lは、引張コイルばね等である。CP付勢部材2819Lの一方端はCPケース2811Lに接続される。CP付勢部材2819Lの他方端は、左右方向9においてCPケース2811Lよりも左方の位置でプレートASSY284に接続される。
【0111】
図10において、CPユニット287Rは、CPケース2811R、ノズルキャップ2812R、排気キャップ2813R、CP突起2814E~2814H、2つのCP当接部材2815C,2815D、およびCP付勢部材2819R(第2付勢部材の他の一例)を備える。CPユニット287Rは、CPユニット287Lから右方に距離X11(図2(A)参照)と同距離だけ離間し、記録ヘッド262Lから前方に距離Y11と同距離だけ離間する点で、CPユニット287Rと異なる。そのため、CPケース2811R、ノズルキャップ2812R、排気キャップ2813R、CP突起2814E~2814I、2つのCP当接部材2815C,2815D、およびCP付勢部材2819Rの詳説を控える。
【0112】
[ストッパ2820A~2820D]
図5(B),図9において、プリンタ100は、ストッパ2820A~2820Dをさらに備える。図5(B)では、ストッパ2820B,2820Dは隠れている。図9において、ストッパ2820A~2820Dは破線で示されている。ストッパ2820A~2820Dは、基台281に固定的に取り付けられている。ストッパ2820A~2820Dは、例えば板金製であり、左右方向9からの平面視で上下方向7に細長い略矩形形状である。ストッパ2820A~2820Dは、前後上下に拡がり右方を向く略平面を主面として有している。
【0113】
ストッパ2820A,2820Cの主面が前後方向8および上下方向7の各方向において占める範囲は、CP突起2814A,2814Bが前後方向8および上下方向7の各方向において占める範囲と重複している。ストッパ2820B,2820Dの主面が前後方向8および上下方向7の各方向において占める範囲は、CP突起2814E,2814Gが前後方向8および上下方向7の各方向において占める範囲と重複している。
【0114】
[コントローラ29]
コントローラ29は、CPU、ROM、RAM、EEPROMなどを含み、画像記録処理、キャッピング処理およびパージ処理の際に、モータ21B,23C,CRモータ274、記録ヘッド262L,262R、ポンプ291等を制御する。
【0115】
[画像記録処理]
コントローラ29は、図示しない操作パネルを通じて画像記録の開始の入力を受け付けたことに応じて、モータ21B,23Cの回転を制御して、ホルダ21、搬送ローラ対23および排出ローラ対24によりシートSの搬送向き8Aの先端を、吐出モジュール264L,264Rの直下の頭出し位置へと搬送させる。その後、コントローラ29は、モータ21B,23Cの回転を制御して、ホルダ21、搬送ローラ対23および排出ローラ対24によりシートSの搬送向き8Aへと搬送しつつ、画像データに基づく画像をシートSに記録するために、吐出モジュール264L,264RからインクをシートSに向けて吐出する。
【0116】
[キャッピング処理]
コントローラ29は、画像記録処理の終了後等、キャッピング処理の実行条件を満たしたことに応じて、キャッピング処理を開始する。
【0117】
キャッピング処理の過程でASSY当接部材285にキャリッジ261の側壁261Cが当接する。キャッピング処理前、側壁261Cは、左端面285Aより左方で左端面285Aと対向している。この時、ASSY突起284A~284Dは、下位置P11(図8(A)参照)にあり、ASSY付勢部材284H(図6参照)の付勢力によりASSYガイド溝289A~289Dの左端に当接している。ASSY付勢部材284Hの長さは、少なくとも自然長より延びている。この時、プレートASSY284は、ASSY付勢部材284Hにより左方に付勢される。ASSY付勢部材284HがCPユニット287Lを付勢する左向きの力を、「ASSY付勢力」とも称する。ASSY付勢力は、ASSY付勢部材284Hの延びによる変位量にバネ定数を乗じた力の左向きの成分である。
【0118】
キャッピング処理前、CP突起2814A,2814Cは、CPガイド溝2810A,2810Cの右端付近に位置し、CP付勢部材2819Lの付勢力により、ストッパ2820A,2820Bの主面に右方から当接している。CP付勢部材2819Lの長さは、少なくとも自然長より延びている。この時、CPユニット287Lは、CP付勢部材2819Lにより左方に付勢される。CP付勢部材2819LがCPユニット287Lを付勢する左向きの力を、「CP付勢力」とも称する。CP付勢力は、CP付勢部材2819Lの延びによる変位量にバネ定数を乗じた力の左向きの成分である。CP付勢力は、キャッピング処理前ではASSY付勢力より小さい。
【0119】
キャッピング処理前、両記録ヘッド262L,262Rは、左右方向9において全CP当接部材2815A~2815Dより左方に位置する。CP当接部材2815A~2815Dの各上端は、記録ヘッド262Lの下面263L,記録ヘッド262Rの下面263Rより下方に位置する。
【0120】
キャッピング処理の開始後、コントローラ29は、CRモータ274の回転を制御して、ASSY当接部材285に向けてキャリッジ261を、ノズルキャップ2812L、排気キャップ2813Lが吐出モジュール264Lの下面に密着し且つノズルキャップ2812R、排気キャップ2813Rが吐出モジュール264Rの下面に密着するまでの間(即ち、図13の状態になるまでの間)、右方に搬送させる。
【0121】
キャッピング処理の過程で、キャリッジ261の側壁261CがASSY当接部材285に当接するまでの間(以下、「第1時間区間」とも称す)、CPユニット287Lは、プレートASSY284に対して移動していない。第1時間区間では、CP当接部材2815A,2815Bの各上端は、下面263L,263Rの双方よりも下方に位置し、CP当接部材2815C,2815D(図10参照)は、左端面285Aから左右距離X42(図5(A)参照)より短い左右距離X46(図5(B)参照)だけ離れている。第1時間区間では、記録ヘッド262Rの下面263Rは、左右方向9において、左向き面2816B,2816Dよりも左方の位置で右向きに移動する。この時、図5(B)に示すように、記録ヘッド262Rは、CP当接部材2815Aと接触せずにCP貫通孔284Lの上方を通り過ぎる。そして、側壁261Cが左端面285Aに当接する時、記録ヘッド262Rは、CP貫通孔284Rの左斜め上方であって、左右方向9においてCP当接部材2815C,2815Dから左方に若干離れた位置に到達する。一方、記録ヘッド262Lは、記録ヘッド262Rに対して左方に距離X11(図2(A)参照)だけ離れ後方に距離Y11だけ離れている。
【0122】
図5では、CP当接部材2815B,2815Dは、CP当接部材2815A,2815Cの後方に隠れている。CP突起2814C,2814Gは、CP突起2814A,2814Eの後方に隠れている。これらの点については、図11図13でも同様に当てはまる。
【0123】
側壁261Cが左端面285Aに当接した後、ASSY当接部材285は、キャリッジ261から右向きの力を受ける。これにより、プレートASSY284は、キャリッジ261とともに右方に移動し始める。その結果、ASSY突起284A~284Dは、ASSY付勢力に抗して、ASSYガイド溝289A~289Dの左端から離間し始め、下位置P11から中間位置P12(図8(A)参照)に向けて、ASSYガイド溝289A~289Dに沿って右斜め上方へと移動する。ASSY突起284A~284Dが下位置P11から中間位置P12へと移動するまでの間(以下、「第2時間区間」とも称す)、CP当接部材2815A~2815Dは、ASSYガイド部材283A~283Dの上端より上方に突出し始める。第2時間区間でも、ASSY当接部材285に対する記録ヘッド262Rの左右位置は変わらないので、CP当接部材2815C,2815Dは、ASSY当接部材285および記録ヘッド262Rの間の左右位置で両者に接触することなく上方に突出する。
【0124】
第2時間区間では、プレートASSY284、記録ヘッド262L,262Rは、キャリッジ261とともに右方に移動する。それに対し、第2時間区間では、記録ヘッド262L,262RがCP当接部材2815A~2815Dとは当接しておらず、CPユニット287L,287Rには、CP付勢部材2819L,2819RによるCP付勢力が加わっている。CP付勢力により、CP突起2814A,2814C,2814E,2814Gは、ストッパ2820A,2820B,2820C,2820Dの主面に右方から当接している。即ち、CPユニット287L,287Rは、プレートASSY284に対して左方に相対移動する。上記より、第2時間区間では、記録ヘッド262L,262Rは、右方に移動して、CP当接部材2815A~2815Dに接近する。
【0125】
第2時間区間の後、図11に示すように、ASSY突起284A~284Dは、中間位置P12(図8(A)参照)を通り過ぎた後、中間位置P13に向けて左方に移動する。中間位置P12の通過後、記録ヘッド262Lの前面における右下隅は、CP当接部材2815Aの傾斜面2616Aと対向し始め、記録ヘッド262Lの後面における右下隅がCP当接部材2815Bの前向き面2616Cと対向し始める。同様に、記録ヘッド262Rの前面における右下隅がCP当接部材2815Cと対向し始め、記録ヘッド262Rの後面における右下隅がCP当接部材2815Dと対向し始める。その後、記録ヘッド262Lの後面における右下隅がCP当接部材2815Bの前向き面2816Cに当接する。これにより、記録ヘッド262LのCPユニット287Lに対する前後位置が精密に決まる。図12に示すように、記録ヘッド262Lの右面の前下隅および後下隅がCP当接部材2815Aの左向き面2816BおよびCP当接部材2815Bの左向き面2816Dとに当接する。これにより、記録ヘッド262LのCPユニット287Lに対する左右位置が精密に決まる。同様に、記録ヘッド262Rの後面における右下隅がCP当接部材2815Dに前方から当接し、記録ヘッド262Rの右面の前下隅および後下隅がCP当接部材2815C,2815Dに左方から当接することにより、記録ヘッド262RのCPユニット287Rに対する前後位置および左右位置が精密に決まる。
【0126】
図12において、記録ヘッド262L,262RがCP当接部材2815A~2815Dに当接した後、記録ヘッド262L,262RがCPユニット287L,287Rを右向きの力を加える。これにより、CP突起2814A,2814C,2814E,2814Gは、CP付勢部材2819L,2819Rの付勢力に抗してストッパ2820A,2820B,2820C,2820Dの主面から右方に離間し始め、CPガイド溝2810A,2810C,2810E,2810G内で右方へと移動する。同様に、CP突起2814B,2814D,2814F,2814Hは、CPガイド溝2810B,2810D,2810F,2810H内で右方へと移動する。
【0127】
中間位置P13の通過後、図13に示すように、ASSY突起284A~284Dは、中間位置P13から上位置P14(図8(A)参照)に向けて、ASSYガイド溝289A~289Dに沿って右斜め上方へと移動する。ASSY突起284A~284Dが上位置P14へと移動する過程で、CPユニット287L,287Rは、プレートASSY284とともに右斜め上方に移動する。一方、記録ヘッド262L,262Rは上下位置を変えない。そのため、CPユニット287L,287Rが記録ヘッド262L,262Rの下面263L,263Rに近づいていく。そして、ASSY突起284A~284Dが上位置P14に到達したことに応じて、リップ2812B,2813Bは、吐出モジュール264Lの下面に密着する。同様に、CPユニット287Rにおいて、ノズルキャップ2812R、排気キャップ2813Rは、吐出モジュール264Rの下面に密着する。
【0128】
その後、コントローラ29は、CRモータ274の回転を停止し、パージ処理のためにポンプ291を駆動する。
【0129】
[アンキャッピング処理]
コントローラ29は、画像記録処理の開始する等、アンキャッピング処理の実行条件を満たしたことに応じて、アンキャッピング処理を開始する。
【0130】
アンキャッピング処理の開始時、図13に示すように、ASSY突起284A~284Dは、上位置P14(図8(A)参照)に位置する。リップ2812B,2813Bは、吐出モジュール264Lの下面に密着する。同様に、CPユニット287Rにおいて、ノズルキャップ2812R、排気キャップ2813Rは、吐出モジュール264Rの下面に密着する。記録ヘッド262Lは、CP当接部材2815A,2815Bに当接する。記録ヘッド262Rは、CP当接部材2815C,2815Dに当接する。キャリッジ261の側壁261Cは、ASSY当接部材285に当接している。
【0131】
コントローラ29は、アンキャッピング処理の間、CRモータ274の回転を制御して、キャリッジ261を左方に搬送させる。プレートASSY284は、ASSY付勢部材284H(図6参照)の付勢力により、キャリッジ261の左方への移動に追従する。
【0132】
図13において、ASSY突起284A~284Dは、上位置P14から中間位置P13(図8(A)参照)に向けて、ASSYガイド溝289A~289Dに沿って左斜め下方へと移動する。ASSY突起284A~284Dが中間位置P13へと移動する過程で、CPユニット287L,287Rは、プレートASSY284とともに左斜め下方に移動する。一方、記録ヘッド262L,262Rは上下位置を変えない。そのため、CPユニット287Lにおいて、リップ2812B,2813Bは、吐出モジュール264Lの下面から離れていき、CPユニット287Rにおいて、ノズルキャップ2812R、排気キャップ2813Rは、吐出モジュール264Rの下面から離れていく。CPユニット287L,287Rにおいて、CP当接部材2815A~2815Dは下方へと移動する。
【0133】
ASSY突起284A~284Dが中間位置P13を通過し中間位置P12に向かう過程で、図12図11に示すように、記録ヘッド262L,262Rは、CP当接部材2815A~2815Dから左方に離間する。その結果、CP突起2814A,2814C,2814E,2814Gは、CPガイド溝2810A,2810C,2810E,2810G内で左方へと移動し、CP付勢部材2819L,2819Rの付勢力によりストッパ2820A,2820B,2820C,2820Dの主面に当接する。
【0134】
ASSY突起284A~284Dは、中間位置P12を通過し下位置P11に向かう過程で、ASSYガイド溝289A~289Dに沿って左斜め下方へと移動する。ここで、記録ヘッド262Lの右下隅と、記録ヘッド262Rの左下隅との間の左右距離は、中間位置P12と下位置P11との間の左右距離より若干長くなっている。そのため、記録ヘッド262Rが左右方向9においてCP当接部材2815A,2815Bの右端位置に到達するまでに、CP当接部材2815A,2815Bは、ASSYガイド部材283A,283Bの上端よりも下方に移動する。従って、記録ヘッド262Rは、CP当接部材2815Aに接触することなく、プラテン25の上方に移動することができる。
【0135】
図5において、ASSY突起284A~284Dが下位置P11に到達すると、ASSYガイド溝289A~289Dの左端に突き当たる。その結果、プレートASSY284がキャリッジ261に追従できなくなるため、キャリッジ261は、ASSY当接部材285から左方に離間していく。
【0136】
[実施形態の作用効果]
実施形態によれば、キャリッジ261は、左右方向9の右向きに移動中にASSY当接部材285に当接すると、プレートASSY284とともに右向きに移動する。プレートASSY284が右向きに移動するにつれて、プレートASSY284は、ASSYガイド部材283A~283Dにより案内されて、記録ヘッド262L,262Rに近づく向き(即ち、上向き)に移動する。これにより、CP当接部材2815A~2815Dが上下方向7において記録ヘッド262L,262Rと当接可能な位置まで上向きに移動する。記録ヘッド262L,262Rは、プレートASSY284とともに右向きに移動する過程でCP当接部材2815A~2815Dに当接し、これにより、記録ヘッド262L,262Rは、CPユニット287L,287Rに対して位置決められる。記録ヘッド262LがプレートASSY284とともに右向きにさらに移動すると、CPユニット287Lが有するノズルキャップ2812Lが多数のノズル269Lを覆い、CPユニット287Rが有するノズルキャップ2812Rが多数のノズル269Rを覆う。
【0137】
左右方向9における右向きに移動するキャリッジ261と、ASSY当接部材285とが当接してプレートASSY284が右向きに移動するときに、ストッパ2820A~2820Dと当接するCPユニット287L,287Rは、CP付勢部材2819L,2819Rにより左右方向9における左向きに付勢されてストッパ2820A~2820Dと当接した状態に維持される。即ち、CPユニット287L,287Rにおいて、CP当接部材2815A~2815Dは、プレートASSY284とともに右向きに移動する記録ヘッド262L,262Rに対して左向きへと相対的に移動して記録ヘッド262L,262Rと当接する。これにより、記録ヘッド262L,262Rに対してCPユニット287L,287Rを精度よく位置決めすることができる。ASSY当接部材285を通じてプレートASSY284と当接しているキャリッジ261が右方に移動すると、ASSY付勢部材284Hの付勢力により、プレートASSY284が右方に移動する。これに伴い、CPユニット287L,287Rは、記録ヘッド262L,262Rから離れる向き(即ち、下向き)に移動し、ノズルキャップ2812L,2812Rがノズル269L,269Rから離れてしまう。
【0138】
記録ヘッド262Lに対してCPユニット287Lを精度よく位置決めできるため、排気突起2813C~2813で,バルブ267A~267Dを確実に開閉できる。この点については、記録ヘッド262Rでも同様に当てはまる。
【0139】
実施形態では、ASSYガイド部材283A~283Dが、記録ヘッド262L,262Rに近づく向き(即ち、上向き)に、プレートASSY284をガイドすることで、CPユニット287L,287Rは、下位置P11(第1位置の一例)と、中間位置P12,P13(第2位置の一例)と、上位置P14,P15(第3位置の一例)とに移動する。下位置P11は、CP当接部材2815A~2815Dが記録ヘッド262L,262Rと当接することなくノズルキャップ2812L,2812Rがノズル269L,269Rを覆わない位置である。中間位置P12,P13は、CP当接部材2815A~2815Dが記録ヘッド262L,262Rと当接し且つノズルキャップ2812L,2812Rがノズル269L,269Rを覆わない位置である。上位置P14,P15は、CP当接部材2815A~2815Dが記録ヘッド262L,262Rと当接し且つノズルキャップ2812L,2812Rがノズル269L,269Rを覆う位置である。これにより、ノズルキャップ2812L,2812Rがノズル269L,269Rを確実に覆うことができる。
【0140】
CPユニット287L,287Rは、下位置P11と、中間位置P12,P13と、上位置P14,P15とに移動可能にすることで、上下方向7および前後方向8の二方向において占める範囲が互いに重複する記録ヘッド262L,262Rをプリンタ100が備える場合であっても、キャッピング処理の際に、記録ヘッド262RがCP当接部材2815Aと干渉することなく、ノズルキャップ2812L,2812Rがノズル269L,269Rを確実に覆うことができる。また、アンキャッピング処理の際には、記録ヘッド262RがCP当接部材2815Aと干渉することなく、ノズルキャップ2812L,2812Rをノズル269L,269Rから離間させることができる。
【0141】
実施形態では、ASSYガイド溝289A~289Dは、左右方向9に沿って延びており、CPユニット287L,287Rを、互いに同じ上下位置の中間位置P12,P13に維持しつつ左右方向9に沿ってプレートASSY284を中間位置P12の左右位置から中間位置P13の左右位置までガイドする部分を有している。CPユニット287L,287Rが中間位置P12,P13の上下位置に維持された状態で、CP当接部材2815A~2815Dと記録ヘッド262L,262Rとが相対的に近づくので、CP当接部材2815A~2815Dが記録ヘッド262L,262Rに当接する前に、ノズルキャップ2812L,2812Rが第1領域268L,268Rに接触することを抑制できる。
【0142】
上記実施形態では、CP当接部材2815A~2815Dにより、記録ヘッド262L,262Rを前後方向8(第3方向の一例)および左右方向9の二方向に位置決めできる。
【0143】
[変形例]
実施形態では、プリンタ100は、2つの記録ヘッド262L,262Rと、2つのCPユニット287L,287Rを備えていた。しかし、これに限らず、プリンタ100は、記録ヘッド262Lと、CPユニット287Lを備えるだけでもよい。プリンタ100は、記録ヘッド262Rに代えて、キャリッジ261の底壁261Aから下方に突出する突出部材を備えていてもよい。この場合も、キャッピング処理の際に、突出部材や底壁261A自体がCP当接部材2815Aと干渉することなく、ノズルキャップ2812Lがノズル269Lを確実に覆うことができる。また、アンキャッピング処理の際には、突出部材や底壁261AがCP当接部材2815Aと干渉することなく、ノズルキャップ2812Lをノズル269Lから離間させることができる。
【0144】
実施形態では、ASSYガイド部材283A~283Dにより、プレートASSY284の上下方向7および左右方向9への移動をガイドしていた。しかし、これに限らず、ASSYガイド部材283A~283Dは、プレートASSY284の左右方向9への移動をガイドしてもよい。この場合、プリンタ100は、別のガイド部材やスライドカム等をプレートASSY284またはCPユニット287L,287Rに備え、これらによりプレートASSY284の上下方向7および左右方向9の双方向への移動をガイドする。
【0145】
実施形態では、ASSY突起284A~284Dは、プレートASSY284の前パネル284Fおよび後パネル284Gに設けられ、ASSYガイド部材283A~283Dは、前壁282Aおよび後壁282Bに設けられていた。しかし、これに限らず、ASSY突起284A~284Dは、前壁282Aおよび後壁282Bに設けられ、ASSYガイド部材283A~283Dは、プレートASSY284の前パネル284Fおよび後パネル284Gに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0146】
100・・・プリンタ
25・・・プラテン
26・・・記録ユニット
262L,262R・・・記録ヘッド
27・・・キャリッジ搬送機構
271B,271F・・・レール
272L,272R・・・プーリ
273・・・無端ベルト
274・・・CRモータ
28・・・キャップ機構
283A~283D・・・ASSYガイド部材
284・・・プレートASSY
284A~284D・・・ASSY突起
284H・・・ASSY付勢部材
285・・・当接部材
286A~286D・・・CPガイド部材
2810A~2810D・・・CPガイド溝
287L,287R・・・CPユニット
2812L,2812R・・・ノズルキャップ
2814A~2814H・・・CP突起
2815A~2815D・・・当接部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13