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  • 特開-風力発電装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150502
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20220929BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F03D7/04 H
F03D7/04 Z
F03D1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053133
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 隆之
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB01
3H178BB73
3H178CC05
3H178CC25
3H178DD03X
3H178DD06X
3H178DD13X
3H178DD34X
3H178DD43X
3H178DD54
3H178EE13
3H178EE15
(57)【要約】
【課題】風力発電装置においてコストの上昇を抑制する。
【解決手段】風力発電装置100は、タワー1と、タワー1の上部に設けられ、タワー1に対して旋回自在に取り付けられたナセル2と、ナセル2の一端に回転自在に設けられたハブ3と、一端がハブ3に支持され、風を受けてハブ3とともに回転する複数のブレード4と、ハブ3の回転動力によって発電する回転電機5と、ブレード4のピッチ角を制御するピッチ角制御機構Pと、ナセル3のヨー角を制御するヨー角制御機構Yと、を備える。ピッチ角制御機構Pは、回転電機5による駆動力を変換してブレード4のピッチ角を変更する歯車機構G1を有し、ヨー角制御機構Yは、回転電機5による駆動力を変換してナセル2を旋回させる歯車機構G2と、タワー1に対するナセル2の旋回を停止させる第1ブレーキ2aと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
前記支柱の上部に設けられ、前記支柱に対して旋回自在に取り付けられたナセルと、
前記ナセルの一端に回転自在に設けられたハブと、
一端が前記ハブに支持され、風を受けて前記ハブとともに回転する複数のブレードと、
前記ハブの回転動力によって発電する回転電機と、
前記ブレードのピッチ角を制御するピッチ角制御機構と、
前記ナセルのヨー角を制御するヨー角制御機構と、を備え、
前記ピッチ角制御機構は、
前記回転電機による駆動力を変換して前記ブレードのピッチ角を変更する第1動力変換機構を有し、
前記ヨー角制御機構は、
前記回転電機による駆動力を変換して前記ナセルを旋回させる第2動力変換機構と、
前記支柱に対する前記ナセルの旋回を停止させる第1ブレーキと、を有する風力発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載された風力発電装置において、
前記第1動力変換機構は、
前記ブレードに取り付けられたピニオンギアと、
前記ナセルに支持された第1回転軸に取り付けられ、前記ピニオンギアに噛合する第1サイドギアと、
前記第1サイドギアと相対回転可能に設けられ、前記ピニオンギアに噛合する第2サイドギアと、
前記第1サイドギアと前記第2サイドギアとの相対回転を規制する第1クラッチと、
前記第2サイドギアの回転を停止させる第2ブレーキと、を有する風力発電装置。
【請求項3】
請求項2に記載された風力発電装置において、
前記第2動力変換機構は、
前記支柱の軸方向に沿って前記支柱から前記ナセル内に延び、前記支柱に回転自在に支持される第2回転軸と、
前記ナセル内に設けられ前記第2回転軸に取り付けられた第1歯車と、
前記第1歯車に噛み合い、前記ハブの回転が伝達される第3回転軸に取り付けられた第2歯車と、を有し、
前記回転電機は、前記第2回転軸に接続される風力発電装置。
【請求項4】
請求項3に記載された風力発電装置において、
前記ナセルのヨー角を制御するときには、
前記第1ブレーキを非作動状態として前記ナセルの旋回を許容し、
前記第1クラッチを締結させて前記第1サイドギアと前記第2サイドギアとの相対回転を規制し、
前記第2ブレーキを作動させて前記第1サイドギアと前記第2サイドギアとの回転を停止させて、
前記回転電機を駆動する風力発電装置。
【請求項5】
請求項3に記載された風力発電装置において、
前記ブレードのピッチ角を制御するときには、
前記第1ブレーキを作動させて前記ナセルの旋回を停止させ、
前記第1クラッチを解放させて前記第1サイドギアと前記第2サイドギアとの相対回転を許容し、
前記第2ブレーキを作動させて前記第2サイドギアの回転を停止させ、
前記回転電機を駆動する風力発電装置。
【請求項6】
請求項3に記載された風力発電装置において、
前記回転電機によって発電を行うときには、
前記第1ブレーキを作動させて前記ナセルの旋回を停止させ、
前記第1クラッチを締結させて前記第1サイドギアと前記第2サイドギアとの相対回転を規制し、
前記回転電機を回転させる風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サーボモータによってブレードのピッチ角を制御する風力発電装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、モータによってナセルのヨー角を制御する風力発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-99045号公報
【特許文献2】特開2011-127551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの風力発電装置では、ピッチ角やヨー角を制御するためにそれぞれ個別のモータを設けているため、その分コストが上昇してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、風力発電装置においてコストの上昇を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の風力発電装置は、支柱と、支柱の上部に設けられ、支柱に対して旋回自在に取り付けられたナセルと、ナセルの一端に回転自在に設けられたハブと、一端がハブに支持され、風を受けてハブとともに回転する複数のブレードと、ハブの回転動力によって発電する回転電機と、ブレードのピッチ角を制御するピッチ角制御機構と、ナセルのヨー角を制御するヨー角制御機構と、を備え、ピッチ角制御機構は、回転電機による駆動力を変換してブレードのピッチ角を変更する第1動力変換機構を有し、ヨー角制御機構は、回転電機による駆動力を変換してナセルを旋回させる第2動力変換機構と、支柱に対するナセルの旋回を停止させる第1ブレーキと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
この態様によれば、ピッチ角やヨー角を制御するモータをそれぞれ個別に設ける必要がないので、風力発電装置のコストの上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る風力発電装置の主要部に係る概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
風力発電装置100は、支柱としてのタワー1と、タワー1の上部に設けられタワー1に対して旋回自在に取り付けられたナセル2と、ナセル2に回転自在に取り付けられたハブ3と、一端がハブ3に支持され風を受けてハブ3とともに回転する複数のブレード4と、ハブ3の回転動力によって発電する回転電機5と、ブレード4のピッチ角を制御するピッチ角制御機構Pと、ナセル2のヨー角を制御するヨー角制御機構Yと、を備える。
【0012】
タワー1は、例えば、中空円筒状の鋼材により形成される。タワー1は、例えば、地面に設けられたコンクリート製の基礎上に設置される。
【0013】
ナセル2は、タワー1の上部に設けられた軸受2b上に、垂直方向に延びる軸O1を中心として旋回可能に取り付けられる。タワー1には、ナセル2の旋回を停止させる第1ブレーキ2aが設けられる。第1ブレーキ2aは、図示しない油圧制御装置から供給される油圧によって作動する。
【0014】
ハブ3は、水平方向に延びる軸O2を中心にしてナセル2に回転自在に支持される。ハブ3内には、第1動力伝達機構としての歯車機構G1が収容される。
【0015】
ブレード4は、例えば、炭素繊維強化プラスチックによって形成される。ブレード4は、例えば、3枚設けられる。なお、ブレード4の枚数はこれに限らず、2枚、あるいは、4枚以上であってもよい。
【0016】
歯車機構G1は、ブレード4の一端に取り付けられたピニオンギア6aと、ナセル2に支持された回転軸9aと、回転軸9aに取り付けられピニオンギア6aに噛合する第1サイドギア6bと、第1サイドギア6bと相対回転可能に設けられ、ピニオンギア6aに噛合する第2サイドギア6cと、第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転を規制する第1クラッチ7と、第2サイドギア6cの回転を停止させる第2ブレーキ8と、を有する。歯車機構G1は、ブレード4のピッチ角を制御するピッチ角制御機構Pの一部として機能する。
【0017】
ピニオンギア6aは、ブレード4の一端に設けられたシャフト4aに取り付けられる。ピニオンギア6aは、本実施形態では、かさ歯車によって構成される。シャフト4aは、図示しない軸受によってハブ3に回動可能に支持される。
【0018】
第1サイドギア6bは、本実施形態では、かさ歯車によって構成される。回転軸9aは、ナセル2内に設けられた軸受10a,10bによって回転可能に支持される。回転軸9aはその軸心が軸O2上に位置するように設けられる。
【0019】
第2サイドギア6cは、本実施形態では、かさ歯車によって構成される。第2サイドギア6cは、ナセル2に支持された回転軸9bに取り付けられる。回転軸9bは、ナセル2内に設けられた軸受10cによって回転可能に支持される。回転軸9bは、円筒状に形成され、その内部には、回転軸9aが挿通する。回転軸9bはその軸心が軸O2上に位置するように設けられる。
【0020】
第1クラッチ7は、回転軸9aに取り付けられた第1クラッチ板7aと、回転軸9bに取り付けられた第2クラッチ板7bと、を有する。第1クラッチ7は、図示しない油圧制御装置から供給される油圧を制御することによって締結または解放される。第1クラッチ7が解放されている状態では、回転軸9aと回転軸9bとの相対回転、すなわち、第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転が許容される。これに対し、第1クラッチ7が締結されている状態では、回転軸9aと回転軸9bとの相対回転、すなわち、第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転が規制され、第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとが一体的に回転する。
【0021】
第2ブレーキ8は、図示しない油圧制御装置から供給される油圧によって第2クラッチ板7bを挟持することにより、回転軸9bの回転を停止させる。第2ブレーキ8を作動させることにより、回転軸9bに取り付けられた第2サイドギア6cの回転は停止される。なお、第2ブレーキ8は、第2クラッチ板7bではなく、回転軸9bに別途取り付けたブレーキディスクを挟持するなど、回転軸9bの回転を停止することができるものであれば、どのような形式のものであってもよい。
【0022】
風力発電装置100は、回転軸9aの回転速度を増速するための増速機構20と、増速機構20から出力された回転を回転電機5に伝達するための第2動力伝達機構としての歯車機構G2と、をさらに備える。
【0023】
増速機構20は、複数の歯車20a~20dを組み合わせることによって構成され、回転軸9aの回転速度を増速して、回転軸11に出力する。回転軸11は、その軸心が軸O2上に位置するように設けられ、ナセル2内に設けられた軸受10d,10eによって回転可能に支持される。
【0024】
歯車機構G2は、タワー1の軸方向に沿ってタワー1からナセル2内に延び、タワー1に回転自在に支持される第2回転軸としての回転軸12と、ナセル2内に設けられ回転軸12の先端に取り付けられた第1歯車としてのかさ歯車12aと、かさ歯車12aに噛み合い、回転軸11に取り付けられた第2歯車としてのかさ歯車12bと、を有する。
【0025】
歯車機構G2は、軸O2を中心とする回転軸11の回転を軸O2を中心とする回転軸12の回転に変換する。歯車機構G2は、回転電機5による駆動力を変換してナセル2を旋回させるヨー角制御機構Yの一部として機能する。また、歯車機構G2は、回転軸11の回転速度を増速して回転軸12に伝達する増速機としても機能する。
【0026】
本実施形態では、回転軸12は、回転電機5のロータ(図示せず)の回転軸である。なお、回転軸12と回転電機5の回転軸との間に、増速機構などを設けるようにしてもよい。この場合、回転軸12は、回転電機5のロータ(図示せず)の回転軸ではなくなる。
【0027】
次に、風力発電装置100において、回転電機5によって発電させる場合の制御について説明する。
【0028】
回転電機5によって発電させる場合には、第1ブレーキ2aを作動させてナセル2の旋回を停止させるとともに、第1クラッチ7を締結させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転(回転軸9aと回転軸9bとの相対回転)を規制する。なお、このとき、第2ブレーキ8は非作動状態にする。
【0029】
この状態で、ブレード4が風を受けた場合には、第1クラッチ7が締結されているので、第1サイドギア6b(回転軸9a)、第2サイドギア6c(回転軸9b)及びハブ3が一体的に回転する。これにより、ブレード4が風を受けることによって生じたハブ3の回転動力が、回転軸9a、増速機構20、回転軸11、歯車機構G2及び回転軸12を通じて回転電機5に伝達され、回転電機5が発電する。
【0030】
次に、風力発電装置100におけるナセル2のヨー角を制御するヨー制御について説明する。
【0031】
ヨー角とは、ナセル2の旋回する方向における基準となる位置からのタワー1に対するナセル2の回転角度である。風力発電装置100では、図示しない風向計からの風向データに応じて、図示しないコンピュータによってナセル2のヨー角が制御される。
【0032】
ヨー制御では、まず、第1ブレーキ2aを非作動状態にしてタワー1に対するナセル2の旋回を許容する。また、第1クラッチ7を締結させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転(回転軸9aと回転軸9bとの相対回転)を規制するとともに、第2ブレーキ8を作動させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの回転(回転軸9aと回転軸9bとの回転)を停止させる。
【0033】
この状態で回転電機5を駆動させると、回転電機5の駆動力が回転軸12及び歯車機構G2を通じて回転軸11に伝達される。このとき、上述のように、第1クラッチ7が締結されるとともに第2ブレーキ8が作動しているので、回転軸9aの回転、さらには、増速機構20及び回転軸11の回転が規制される。これにより、回転電機5から回転軸12を通じて回転軸11に駆動力が伝達されても、回転軸11は回転しない。この結果、回転電機5の駆動力が、歯車機構G2によってナセル2を旋回させる回転力に変換される。これにより、ナセル2が軸O1を中心にして旋回し、ヨー角が変化する。
【0034】
次に、風力発電装置100におけるブレード4のピッチ角を制御するピッチ制御について説明する。
【0035】
ピッチ角とは、ブレード4の回転軸に対するブレード4の角度のことである。風力発電装置100では、図示しない風向計からの風向データ及び求められる発電量などに応じて、図示しないコンピュータによってブレード4のピッチ角が制御される。
【0036】
ピッチ角制御では、まず、第1ブレーキ2aを作動させてナセル2の旋回を停止させる。また、第2ブレーキ8を作動させて第2サイドギア6cの回転(回転軸9bの回転)を停止させるとともに、第1クラッチ7を解放させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転(回転軸9aと回転軸9bとの相対回転)を許容する。
【0037】
この状態で回転電機5を駆動させると、回転電機5の駆動力は、回転軸12、歯車機構G2、回転軸11及び増速機構20を通じて、回転軸9a及び第1サイドギア6bに伝達される。このとき、第2ブレーキ8が作動し、第1クラッチ7が解放しているので、第2サイドギア6cが停止した状態で、第1サイドギア6bが回転する。この結果、ハブ3は回転せずに、第1サイドギア6bの回転によってピニオンギア6aが回転し、ピッチ角が変化する。
【0038】
このように、風力発電装置100では、第1ブレーキ2a、第1クラッチ7、及び第2ブレーキ8を制御することにより、ピッチ角やヨー角を制御する装置をそれぞれ個別に設けることなく、ピッチ角やヨー角を制御することができる。
【0039】
なお、風力発電装置100を停止させる場合には、第1ブレーキ2a及び第2ブレーキ8を作動させるとともに、第1クラッチ7を締結させる。これにより、ナセル2の回転が規制されるとともに、回転軸9a及び回転軸9bの回転が規制されることで、ハブ3のハブ3の回転も規制される。
【0040】
このように構成された風力発電装置100によれば、以下の効果を奏する。
【0041】
風力発電装置100では、ピッチ角やヨー角を制御するモータをそれぞれ個別に設ける必要がないので、コストの上昇を抑制できる。
【0042】
また、風力発電装置100では、ピッチ角やヨー角を制御する際には、第1ブレーキ2a、第1クラッチ7、及び第2ブレーキ8を制御したうえで、回転電機5を制御するだけでよいので、簡単な制御でピッチ角やヨー角を変更することができる。
【0043】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0044】
(1)風力発電装置100は、支柱(タワー1)と、支柱(タワー1)の上部に設けられ、支柱(タワー1)に対して旋回自在に取り付けられたナセル2と、ナセル2の一端に回転自在に設けられたハブ3と、一端がハブ3に支持され、風を受けてハブ3とともに回転する複数のブレード4と、ハブ3の回転動力によって発電する回転電機5と、ブレード4のピッチ角を制御するピッチ角制御機構Pと、ナセル2のヨー角を制御するヨー角制御機構Yと、を備える。
【0045】
ピッチ角制御機構Pは、回転電機5による駆動力を変換してブレード4のピッチ角を変更する第1動力変換機構(歯車機構G1)を有し、ヨー角制御機構Yは、回転電機5による駆動力を変換してナセル2を旋回させる第2動力変換機構(歯車機構G2)と、支柱(タワー1)に対するナセル2の旋回を停止させる第1ブレーキ2aと、を有する。
【0046】
この構成では、回転電機5による駆動力をピッチ角制御機構P及びヨー角制御機構Yによって変換することでピッチ角やヨー角を制御することができる。これにより、ピッチ角やヨー角を制御するためのモータをそれぞれ個別に設ける必要がないので、コストの上昇を抑制できる。
【0047】
また、この構成では、ピッチ角やヨー角を制御する際には、第1ブレーキ2a、第1クラッチ7、及び第2ブレーキ8を制御したうえで、回転電機5を制御するだけでよいので、簡単な制御でピッチ角やヨー角を変更することができる。
【0048】
(2)風力発電装置100では、第1動力変換機構(歯車機構G1)は、ブレード4に取り付けられたピニオンギア6aと、ナセル2に支持された第1回転軸(回転軸9a)に取り付けられ、ピニオンギア6aに噛合する第1サイドギア6bと、第1サイドギア6bと相対回転可能に設けられ、ピニオンギア6aに噛合する第2サイドギア6cと、第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転を規制する第1クラッチ7と、第2サイドギア6cの回転を停止させる第2ブレーキ8と、を有する。
【0049】
この構成では、複数のギアを組み合わせて、回転電機5による駆動力を変換してブレード4のピッチ角を変更するピッチ角制御機構Pを構成しているので、構造を簡単にすることができる。
【0050】
(3)風力発電装置100では、第2動力変換機構(歯車機構G2)は、支柱(タワー1)の軸方向に沿って支柱(タワー1)からナセル2内に延び、支柱(タワー1)に回転自在に支持される第2回転軸(回転軸12)と、ナセル2内に設けられ第2回転軸(回転軸12)に取り付けられた第1歯車(かさ歯車12a)と、第1歯車(かさ歯車12a)に噛み合い、ハブ3の回転が伝達される第3回転軸(回転軸11)に取り付けられた第2歯車(かさ歯車12b)と、を有し、回転電機5は、第2回転軸(回転軸12)に接続される。
【0051】
この構成では、複数のギアを組み合わせて、回転電機5による駆動力を変換してブレード4のヨー角を変更するヨー角制御機構Yを構成しているので、構造を簡単にすることができる。
【0052】
(4)風力発電装置100では、ナセル2のヨー角を制御するときには、第1ブレーキ2aを非作動状態としてナセル2の旋回を許容し、第1クラッチ7を締結させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転を規制し、第2ブレーキ8を作動させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの回転を停止させて、回転電機5を駆動する。
【0053】
この構成では、回転電機5の駆動力によってブレード4のヨー角を制御することができる。
【0054】
(5)風力発電装置100では、ブレード4のピッチ角を制御するときには、第1ブレーキ2aを作動させてナセル2の旋回を停止させ、第1クラッチ7を解放させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転を許容し、第2ブレーキ8を作動させて第2サイドギア6cの回転を停止させ、回転電機5を駆動する。
【0055】
この構成では、回転電機5の駆動力によってブレード4のピッチ角を制御することができる。
【0056】
(6)風力発電装置100では、回転電機5によって発電を行うときには、第1ブレーキ2aを作動させてナセル2の旋回を停止させ、第1クラッチ7を締結させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転を規制し、回転電機5を回転させる。
【0057】
この構成では、第1クラッチ7を締結させて第1サイドギア6bと第2サイドギア6cとの相対回転を規制することで、回転電機5によって発電させることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0059】
風力発電装置100は、アップウィンド型に限らず、ダウンウィンド型であってもよい。
【0060】
第1歯車(かさ歯車12a)と回転電機5の間に増速機構を設けるようにしてもよい。また、風力発電装置100として、増速機構20を備えた場合を例に説明したが、これに限らず、増速機構20を備えていなくてもよい。
【0061】
上記実施形態では、第1ブレーキ2a、第1クラッチ7、第2ブレーキ8が油圧で作動する場合を例に説明したが、これに限らず、モータ、あるいは空気圧などによって作動するものであってもよい。
【0062】
第1動力伝達機構及び第2動力伝達機構として、かさ歯車を用いた歯車機構G1,G2を例に説明したが、これに限らず、他の歯車機構(ウォームギアや冠歯車)や、他の動力伝達機構を採用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
100 風力発電装置
1 タワー(支柱)
2 ナセル
2a 第1ブレーキ
3 ハブ
4 ブレード
5 回転電機
6a ピニオンギア
6b 第1サイドギア
6c 第2サイドギア
7 第1クラッチ
8 第2ブレーキ
9a 回転軸(第1回転軸)
9b 回転軸
11 回転軸(第3回転軸)
12 回転軸(第2回転軸)
12a かさ歯車(第1歯車)
12b かさ歯車(第2歯車)
20 増速機構
G1 歯車機構(第1動力変換機構)
G2 歯車機構(第2動力変換機構)
図1