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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150593
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】はんだバンプ平坦化装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053263
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】荒井 俊行
(57)【要約】
【課題】はんだバンプの密度が異なる複数の領域を有する配線基板において複数の球状のはんだバンプの頂部を平坦化しても、はんだバンプの大きさにばらつきが生じることを抑制することができるはんだバンプ平坦化装置を提供する。
【解決手段】はんだバンプ平坦化装置1は、はんだバンプ120の頂部に押込みヘッド22を押し込むことで前記頂部を平坦化する押込み部2と、複数の領域毎におけるはんだバンプの密度を測定する測定部3と、複数の領域毎に、測定されたはんだバンプの密度に応じてはんだバンプに対する押込みヘッドの押込み量及び押込み荷重を設定する押込み条件設定部4と、を備える。押込み部は、設定された押込み量及び押込み荷重で、押込みヘッドを前記頂部に押し込む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだバンプの密度が異なる複数の領域を有する配線基板上に形成された複数のはんだバンプの球状の頂部を平坦化するはんだバンプ平坦化装置であって、
前記はんだバンプの頂部に押し込む押込みヘッドを含み、当該押込みヘッドを前記頂部に押し込むことで前記頂部を平坦化する押込み部と、
複数の前記領域毎における前記はんだバンプの密度を測定する測定部と、
複数の前記領域毎に、測定された前記はんだバンプの密度に応じて前記はんだバンプに対する前記押込みヘッドの押込み量及び押込み荷重を設定する押込み条件設定部と、を備え、
前記押込み部は、設定された前記押込み量及び前記押込み荷重で、前記押込みヘッドを前記はんだバンプの頂部に押し込むはんだバンプ平坦化装置。
【請求項2】
前記測定部は、複数の前記領域毎における前記はんだバンプの密度として、複数の前記領域毎における、前記はんだバンプのピッチ、前記はんだバンプの径寸法及び前記はんだバンプの高さ寸法を測定し、
前記押込み条件設定部は、複数の前記領域毎に、測定された前記ピッチ、前記径寸法及び前記高さ寸法に応じて前記押込み量及び前記押込み荷重を設定する請求項1に記載のはんだバンプ平坦化装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記はんだバンプのピッチ、前記はんだバンプの径寸法及び前記はんだバンプの高さ寸法を測定するレーザ測長器を含む、請求項2に記載のはんだバンプ平坦化装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記配線基板の反り量を測定し、
前記押込み条件設定部は、測定された前記反り量に応じて前記押込み量及び前記押込み荷重を設定する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のはんだバンプ平坦化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだバンプ平坦化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のはんだバンプを介して配線基板上にLSIチップ等のチップを実装した半導体パッケージは、複数のはんだバンプを配線基板の複数のパッド上に各々形成した後に、複数のはんだバンプにチップの複数の端子を各々接合することで製造される。はんだバンプの頂部は、配線基板上に形成された時点では球状に形成されている。このため、はんだバンプの高さにはばらつきが生じやすい。その結果として、チップの一部の端子がはんだバンプに接合されない、という不具合が生じる。
従来では、このような不具合を解消するために、平坦面を有する押さえブロックを、配線基板上に形成された複数のはんだバンプの頂部に押し付けることで、複数のはんだバンプの頂部を平坦にして、はんだバンプの高さの均一化を図っている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-112133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、半導体パッケージの高性能化に伴い、配線基板に対するチップの実装態様が多様化している。例えば、互いに異なる種類のチップを同一の配線基板に複数実装したり、複数の機能を有するチップを配線基板に実装したりすることがある。このため、実装するチップ毎(あるいはチップの機能毎)でチップの端子のピッチや端子の大きさが異なる場合がある。この場合、配線基板上におけるはんだバンプの密度(はんだバンプのピッチやはんだバンプの径寸法や高さ寸法))も、配線基板上の領域ごとに異なる。例えば、配線基板の第一領域に実装される第一チップの端子のピッチが小さい場合、配線基板の第一領域上におけるはんだバンプの密度は大きくなる。一方、配線基板の第二領域に実装される第二チップの端子のピッチが大きい場合、配線基板の第二領域上におけるはんだバンプの密度は小さくなる。
しかしながら、配線基板上に、はんだバンプの密度が異なる複数の領域が存在する場合、従来のように、押さえブロックによって全てのはんだバンプを同じ条件(同じ押込み荷重、同じ押し込み量)で押して、複数のはんだバンプの頂部を平坦化しても、はんだバンプの大きさ(特に高さや頂面の面積)にばらつきが生じてしまう。この場合、はんだバンプを形成した配線基板の歩留まりの低下を招いてしまう。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、はんだバンプの密度が異なる複数の領域を有する配線基板において、はんだバンプの頂部を平坦化しても、はんだバンプの大きさにばらつきが生じることを抑制できるはんだバンプ平坦化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、はんだバンプの密度が異なる複数の領域を有する配線基板上に形成された複数のはんだバンプの球状の頂部を平坦化するはんだバンプ平坦化装置であって、前記はんだバンプの頂部に押し込む押込みヘッドを含み、当該押込みヘッドを前記頂部に押し込むことで前記頂部を平坦化する押込み部と、複数の前記領域毎における前記はんだバンプの密度を測定する測定部と、複数の前記領域毎に、測定された前記はんだバンプの密度に応じて前記はんだバンプに対する前記押込みヘッドの押込み量及び押込み荷重を設定する押込み条件設定部と、を備えるはんだバンプ平坦化装置である。前記押込み部は、設定された前記押込み量及び前記押込み荷重で、前記押込みヘッドを前記はんだバンプの頂部に押し込む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、はんだバンプの密度が異なる複数の領域を有する配線基板においてはんだバンプの頂部を平坦化しても、はんだバンプの大きさにばらつきが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るはんだバンプ平坦化装置の構成を示す図である。
図2図1のはんだバンプ平坦化装置において扱う配線基板の第一例を示す平面図である。
図3図1のはんだバンプ平坦化装置において扱う配線基板の第二例を示す平面図である。
図4図1の第一記憶部に格納されるはんだバンプの仕様情報のデータテーブルを示す図である。
図5図1の測定部の構成例を示す図である。
図6図1,5の測定部による配線基板の反り量の測定について説明するための図である。
図7図1の第二記憶部に格納されるデータテーブルを示す図である。
図8図1の押込み部の押込みヘッドを各領域のはんだバンプの頂部に押し込む様子を示す図である。
図9図1,8の押込みヘッドによって頂部が平坦化されたはんだバンプの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1~8を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態に係るはんだバンプ平坦化装置1は、図2,3に例示するようにはんだバンプ120の密度が異なる複数の領域131,132を有する配線基板100上に形成された複数のはんだバンプ120の球状の頂部を平坦化するための装置である。まず、はんだバンプ120の平坦化の対象となる配線基板100(100A,100B)について説明する。
【0010】
図2に例示する配線基板100Aは、はんだバンプ120の密度が大きい1つの第一領域131と、はんだバンプ120の密度が第一領域131よりも小さい1つの第二領域132と、を有する。図2の配線基板100Aでは、第一領域131と第二領域132とが配線基板100Aの上面110に沿って隣り合うように位置している。
第一領域131においては、はんだバンプ120のピッチが小さいため、はんだバンプ120の密度が大きい。一方、第二領域132においては、第一領域131と比較して、はんだバンプ120のピッチが大きいため、はんだバンプ120の密度が小さい。図2において、複数のはんだバンプ120のサイズは第一、第二領域131,132にかかわらず等しい。各領域131,132において例えば各はんだバンプ120のサイズ(高さ寸法や径寸法)が大きくなれば、はんだバンプ120の密度は大きくなる。逆に、各領域131,132において例えば各はんだバンプ120のサイズ(高さ寸法や径寸法)が小さくなれば、はんだバンプ120の密度は小さくなる。
【0011】
図3に例示する配線基板100Bは、図2に例示した配線基板100Aと同様に、はんだバンプ120の密度が大きい第一領域131と、はんだバンプ120の密度が第一領域131よりも小さい第二領域132と、を有する。ただし、図3に例示する配線基板100Bでは、第二領域132が第一領域131を囲むように形成されている。また、図3においては、長方形状の第二領域132が、第一領域131にあるはんだバンプ120と重ならないように複数(図3では6つ)に分割されている。分割された複数の第二領域132は、第一領域131を囲む周方向に並んでいる。第二領域132に含まれるはんだバンプ120の数は、図3に例示するように複数の第二領域132の間で互いに等しくてもよいが、互いに異なってもよい。
図2,3における第一領域131及び第二領域132の形状や大きさは、図1,8に示す押込み部2の押込みヘッド22の平面視の形状及び大きさ(押込み面22aの形状及び大きさ)に対応している。
【0012】
図1に示すように、はんだバンプ平坦化装置1は、押込み部2と、測定部3と、押込み条件設定部4と、を備える。また、本実施形態のはんだバンプ平坦化装置1は、第一記憶部5、データ読出し部6、表示部7及び第二記憶部8も備える。本実施形態において、押込み条件設定部4、データ読出し部6及び表示部7は、同一のデータ処理装置10に含まれているが、これに限ることはない。
【0013】
押込み部2は、押込みヘッド22を配線基板100上のはんだバンプ120の頂部に押し込むことではんだバンプ120の頂部を平坦化する(図8,9参照)。押込み部2は、ステージ21と、押込みヘッド22と、ヘッド駆動部23と、制御部24と、を有する。
ステージ21は、配線基板100を載置する載置面21aを有する。ステージ21は、押込みヘッド22に対して載置面21aに沿う方向(図1において矢印D1で示す方向)に移動可能となっている。
【0014】
押込みヘッド22は、はんだバンプ120の頂部を平坦化するために、はんだバンプ120の頂部に押し込む部位である(図8参照)。押込みヘッド22は、ステージ21の上方に配置され、ステージ21に対して上下方向に移動可能となっている。押込みヘッド22は、ステージ21の載置面21aに対向する平坦な押込み面22aを有する。押込み面22aは、はんだバンプ120の頂部の平坦化の際にはんだバンプ120の頂部に押し付けられる面である。
押込みヘッド22は、配線基板100の単一の領域131,132(図2,3参照)のはんだバンプ120の頂部に対して押し込まれる、すなわち、複数の領域131,132のはんだバンプ120の頂部に対して同時に押し込まれることはない。
【0015】
ヘッド駆動部23は、押込みヘッド22を上下方向(図1において矢印D2で示す方向)に駆動する。押込みヘッド22は、ヘッド駆動部23に対して着脱可能とされている。これにより、押込み部2では、大きさや形状(特に上下方向から見た押込み面22aの面積や形状)が異なる複数種類の押込みヘッド22を選択することができる。
制御部24は、後述する押込み条件設定部4から出力される押込み条件(押込み量及び押込み荷重)や、後述する配線基板100のデータ(配線基板100において押込みヘッド22を押し込む位置を示す位置情報)に基づいて、ステージ21及び押込みヘッド22の動作を制御する。
【0016】
第一記憶部5は、複数種類の配線基板100のデータを格納している。図2,3に示した配線基板100のデータは一例である。配線基板100のデータには、図2,3にも例示した各配線基板100及びこれに形成されたはんだバンプ120を含む図面データ、及び、配線基板100における複数の領域131,132の位置を示す位置情報が含まれる。
また、配線基板100のデータには、図4に示すように、各領域131,132(位置情報)に対応するはんだバンプ120のピッチP1,P2、平坦化した後の目標とするはんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2及び径寸法の目標値TR1,TR2(以下、はんだバンプ120の仕様情報とも呼ぶ。)を示すデータテーブルが含まれる。
図4に例示したデータテーブルは、図2あるいは図3に例示した配線基板100A,100Bのデータに対応する。
【0017】
図1に示すデータ読出し部6は、はんだバンプ平坦化装置1を扱う作業者が、配線基板100の種類(品番)を入力あるいは選択することで、対応する種類の配線基板100のデータを第一記憶部5から読み出す。読み出された配線基板100のデータのうち、複数の領域131,132の位置情報は、測定部3において各領域131,132のはんだバンプ120の密度を測定する際、また、押込み部2が押込みヘッド22を各領域131,132のはんだバンプ120の頂部に押し込む際に、測定部3や押込み部2が各領域131,132の位置を認識するために利用される。また、読み出された配線基板100のデータのうち、図4に例示した各領域131,132に対応するはんだバンプ120の仕様情報(はんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2、径寸法の目標値TR1,TR2)は、押込み条件設定部4においてはんだバンプ120に対する押込みヘッド22の押込み条件(押込み量及び押込み荷重)の設定に利用される。
データ読出し部6が読み出した配線基板100のデータは、例えば表示部7に表示されてよい。
【0018】
図1に示す測定部3は、配線基板100上に形成された複数のはんだバンプ120を押込み部2によって平坦化する前に、複数の領域131,132毎におけるはんだバンプ120の密度を測定する。本実施形態では、データ読出し部6によって第一記憶部5から読み出された配線基板100のデータに含まれる複数の領域131,132(図2,3参照)の位置情報に基づいて、複数の領域131,132毎におけるはんだバンプ120の密度を測定する。測定部3は、配線基板100を載置するためのステージ31と、領域131,132毎にはんだバンプ120の密度を測定するための測定器32と、を有する。
【0019】
測定部3のステージ31は、配線基板100を載置する載置面31aを有し、測定器32に対して載置面31aに沿う方向(図1において矢印D3で示す方向)に移動可能となっている。測定部3のステージ31は、前述した押込み部2のステージ21と共用であってもよい。
【0020】
測定器32は、ステージ31の載置面31aに対して上方に間隔をあけて位置する。測定器32は、例えば図5に示すカメラ32Cであってよい。この場合には、例えば、カメラ32Cで撮影した配線基板100の各領域131,132の画像において、複数のはんだバンプ120が存在する面積と存在しない面積との比に基づいて、各領域131,132のはんだバンプ120の密度を測定してよい。
【0021】
本実施形態の測定器32は、領域131,132毎におけるはんだバンプ120の密度として、領域131,132毎におけるはんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及びはんだバンプ120の高さ寸法MH1,MH2を測定する。測定部3において測定するはんだバンプ120のピッチP1,P2、径寸法MR1,MR2及び高さ寸法MH1,MH2は、同一の領域131,132における複数のはんだバンプ120の径寸法及び高さ寸法の平均値(あるいは代表値)であってよい。以下の説明では、測定されたはんだバンプ120の径寸法MR1,MR2、高さ寸法MH1,MH2の値をはんだバンプ120の径寸法の測定値MR1,MR2、高さ寸法の測定値MH1,MH2と呼ぶことがある。なお、領域131,132毎におけるはんだバンプ120のピッチP1,P2が、図4に例示したようにはんだバンプ120の仕様情報に含まれる場合には、例えば測定器32によってはんだバンプ120のピッチP1,P2を測定しなくてもよい。
【0022】
本実施形態では、このような測定器32としてレーザ測長器32Lを活用する。レーザ測長器32Lは、レーザ光を測定対象である配線基板100及びはんだバンプ120に向けて照射し、その反射光を高さデータのプロファイルとして取得することで、はんだバンプ120の高さ寸法MH1,MH2を測定することができる。また、ステージ31等によって測定対象である配線基板100及びはんだバンプ120とレーザ測長器32Lとを相対的に移動させることで、各領域131,132における配線基板100及びはんだバンプ120の3次元形状を測定することで、領域131,132毎におけるはんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及びはんだバンプ120の高さ寸法MH1,MH2を測定することができる。この場合、はんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及びはんだバンプ120の高さ寸法MH1,MH2を高い精度で測定することができる。すなわち、カメラ32Cを用いる場合と比較して、各領域131,132のはんだバンプ120の密度を高い精度で測定できる。
なお、前述した測定部3のカメラ32Cは、例えば上記したレーザ測長器32Lによる測定に際して、各領域131,132におけるはんだバンプ120の位置を確認するために利用してもよい。
【0023】
本実施形態の測定部3は、図6に示すように、ステージ31上に載置された配線基板100の反り量をさらに測定する。配線基板100の反り量は、例えば、配線基板100の上面110をマトリクス状に配列された多数の測定領域に分割し、多数の測定領域におけるステージ31の載置面31aを基準とした配線基板100の上面110の高さ位置BHによって表されてよい。本実施形態において、配線基板100の反り量は、複数の領域131,132毎に、対応する領域131,132における配線基板100の上面110の高さ位置BHの平均値によって設定される。配線基板100の上面110の高さ位置BH(配線基板100の反り量)は、例えば前述したレーザ測長器32Lによって測定されてよい。以下の説明では、測定された配線基板100の反り量を、反り量の測定値と呼ぶことがある。
測定部3において測定された配線基板100のデータ(はんだバンプ120のピッチP1,P2、高さ寸法MH1,MH2及び径寸法MR1,MR2、並びに、配線基板100の反り量)は、例えば表示部7(図1参照)に表示されてよい。
【0024】
図1に示す押込み条件設定部4は、配線基板100の複数の領域131,132毎に、測定部3において測定されたはんだバンプ120の密度に応じてはんだバンプ120に対する押込みヘッド22の押込み条件を設定する。押込みヘッド22の押込み条件には、はんだバンプ120に対する押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重が含まれる。押込み量は、押込みヘッド22の押込み面22aがはんだバンプ120の球状の頂部が接触してから押込みヘッド22を下方に移動させる長さPLである(図8参照)。また、押込み荷重は、押込みヘッド22をはんだバンプ120の頂部に押し込む力の大きさである。押込み条件設定部4は、例えば所定の領域131,132におけるはんだバンプ120の密度が大きい場合には押込み荷重を大きく設定し、はんだバンプ120の密度が小さい場合には押込み荷重を小さく設定する。
【0025】
本実施形態において、押込み条件設定部4は、複数の領域131,132毎に、測定部3においてはんだバンプ120の密度として測定されたはんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及びはんだバンプ120の高さ寸法MH1,MH2(図5参照)に応じて押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定する。なお、押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重の設定には、測定部3において測定されるはんだバンプ120のピッチP1,P2の代わりに、図4に例示したはんだバンプ120の仕様情報に含まれるはんだバンプ120のピッチP1,P2を用いてもよい。
【0026】
押込み条件設定部4は、例えば、所定の領域131,132におけるはんだバンプ120のピッチP1,P2が大きい程、はんだバンプ120の密度が大きいと見なし、押込み荷重を大きく設定する。また、押込み条件設定部4は、はんだバンプ120の径寸法の測定値MR1,MR2とはんだバンプ120の径寸法の目標値TR1,TR2との差分が大きい程、押込み荷重を大きく設定する。また、押込み条件設定部4は、所定の領域131,132におけるはんだバンプ120の高さ寸法の測定値MH1,MH2とバンプの高さ寸法の目標値TH1,TH2との差分が大きい程、押込み量を大きく設定する。
【0027】
さらに、本実施形態の押込み条件設定部4は、測定部3において測定された配線基板100の反り量に応じて押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定する。押込み条件設定部4は、例えば、所定の領域131,132における配線基板100の反り量(配線基板100の上面110の高さ位置BH)が大きい程、押込み量及び押込み荷重を大きく設定する。その理由は、配線基板100の反りに応じて配線基板100の所定領域131,132がステージ21(31)から上方に離れて位置する場合には、当該領域131,132に対する押込みヘッド22の押込みに伴って、配線基板100の所定領域131,132がステージ21に向けて押されて移動することにある。
【0028】
押込み条件設定部4は、例えば、データ読出し部6から読み出されたはんだバンプ120の仕様情報(はんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2及び径寸法の目標値TR1,TR2)や、測定部3において測定されたはんだバンプ120のピッチP1,P2、高さ寸法の測定値MH1,MH2及び径寸法の測定値MR1,MR2、配線基板100の反り量の測定値に基づいて計算することで、押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を導き出してもよい。
本実施形態において、押込み条件設定部4は、はんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2及び径寸法の目標値TR1,TR2、はんだバンプ120の高さ寸法の測定値MH1,MH2及び径寸法の測定値MR1,MR2、配線基板100の反り量の測定値、に対応する押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を、予め第二記憶部8に記憶された図7に示すデータテーブルから読み出して設定する。
【0029】
第二記憶部8には、図7に示すデータテーブルが格納されている。
データテーブルには、対応表81が含まれている。対応表81では、はんだバンプ120の高さ寸法の測定値MH1,MH2と目標値TH1,TH2との差分ΔH及びはんだバンプ120の径寸法の測定値MR1,MR2と目標値TR1,TR2との差分ΔRと、押込み量及び押込み荷重のデータを含む押込みヘッド22の押込み条件Aij(i、jは1以上の整数)とが対応付けられている。この対応表81においては、高さ寸法の差分ΔHが大きい程(図7ではΔHの後の数字が大きくなる程)、押込み条件Aijの押込み量が大きくなる。また、径寸法の差分ΔRが大きい程(図7ではΔRの後の数字が大きくなる程)、押込み条件Aijの押込み荷重が大きくなる。
この対応表81は、はんだバンプ120の高さ寸法の測定値MH1,MH2及び径寸法の測定値MR1,MR2のデータ82(以下、バンプ測定値データ82と呼ぶ。)毎に用意されている。すなわち、はんだバンプ120の高さ寸法及び径寸法の測定値MH1,MH2,MR1,MR2が変われば、参照する対応表81も変わる。
【0030】
また、複数のバンプ測定値データ82は、はんだバンプ120のピッチP1,P2のデータ83(以下、バンプピッチデータ83と呼ぶ。)毎に用意されている。すなわち、はんだバンプ120のピッチP1,P2が変われば、参照するバンプ測定値データ82も変わる。
上記した、複数のバンプピッチデータ83、各バンプピッチデータ83に含まれる複数のバンプ測定値データ82、各バンプ測定値データ82に含まれる対応表81を活用することで、各領域131,132におけるはんだバンプ120の密度に応じた押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を簡単に設定することができる。
【0031】
また、第二記憶部8に格納されたデータテーブルでは、複数のバンプピッチデータ83が配線基板100の反り量の測定値のデータ84(以下、反り量データ84と呼ぶ。)毎に用意されている。すなわち、配線基板100の反り量が変われば、参照するバンプピッチデータ83も変わる。これにより、各領域131,132における配線基板100の反り量も考慮した押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を簡単に設定することができる。
【0032】
図7のデータテーブルを活用する場合、押込み条件設定部4は、はじめに、データテーブルの複数の反り量データ84のうち、測定部3から出力された配線基板100の反り量の測定値に対応する、反り量データ84を選択する。
次いで、押込み条件設定部4は、上記で選択された反り量データ84に含まれる複数のバンプピッチデータ83のうち、データ読出し部6(第一記憶部5)や測定部3から出力されたはんだバンプ120のピッチP1,P2に対応するバンプピッチデータ83を選択する。
【0033】
その後、押込み条件設定部4は、上記で選択されたバンプピッチデータ83に含まれる複数のバンプ測定値データ82のうち、測定部3から出力されたはんだバンプ120の高さ寸法及び径寸法の測定値MH1,MH2,MR1,MR2に対応する、バンプ測定値データ82を選択する。
さらに、押込み条件設定部4は、データ読出し部6から出力されたはんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2及び径寸法の目標値TR1,TR2、測定部3から出力されたはんだバンプ120の高さ寸法の測定値MH1,MH2及び径寸法の測定値MR1,MR2、に基づいて、はんだバンプ120の高さ寸法の差分ΔHと、はんだバンプ120の径寸法の差分ΔRと、を算出する。
【0034】
そして、押込み条件設定部4は、前述したように選択されたバンプ測定値データ82に含まれる対応表81を参照して、算出されたはんだバンプ120の高さ寸法の差分ΔH及びはんだバンプ120の径寸法の差分ΔRに対応する、押込み量及び押込み荷重のデータを含む押込みヘッド22の押込み条件Aijを読み出す。以上により、押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を簡単に設定することができる。
【0035】
図8に示すように、押込み部2は、前述した押込み条件設定部4において、はんだバンプ120の密度や配線基板100の反り量を考慮した上ではんだバンプ120の密度が異なる領域131,132毎に設定された押込み量及び押込み荷重で、押込みヘッド22をはんだバンプ120の頂部に押し込む。また、押込み部2は、データ読出し部6によって読み出された配線基板100のデータに含まれる複数の領域131,132の位置情報(図2,3参照)に基づいて、複数の領域131,132毎において押込みヘッド22をはんだバンプ120の頂部に押し込む。
【0036】
具体的には、配線基板100のデータに含まれる領域131,132の位置情報(図2,3参照)に基づいて、押込み部2の制御部24(図1参照)が、押込み部2のステージ21をその載置面21aに沿う方向に移動させることで、ステージ21上に載置された配線基板100の所定の領域131,132を、押込みヘッド22の直下に位置させる。そして、制御部24が、押込み条件設定部4から出力された所定の領域131,132に対応する押込み量及び押込み荷重に基づいて、押込み部2のヘッド駆動部23の動作を制御する。これにより、配線基板100の所定の領域131,132に配置されたはんだバンプ120の頂部に対して、押込みヘッド22を適切な押込み量及び押込み荷重で押し込むことができる。
【0037】
図9は、押込みヘッド22(図8等参照)を各領域131,132のはんだバンプ120の頂部に押し込んだ後の状態の一例を示している。この状態では、各領域131,132のはんだバンプ120の頂部が平坦に形成されている。本実施形態のはんだバンプ平坦化装置1では、はんだバンプ120の頂部を平坦化した後に、測定部3(例えばレーザ測長器32L)によって各領域131,132におけるはんだバンプ120の高さ寸法AH1,AH2及び径寸法AR1,AR2を測定し、平坦化されたはんだバンプ120の仕上がりを確認してもよい。
なお、はんだバンプ平坦化装置1では、例えば、平坦化後に測定したはんだバンプ120の高さ寸法AH1,AH2及び径寸法AR1,AR2と、はんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2及び径寸法の目標値TR1,TR2と、を比較してもよい。また、測定したはんだバンプ120の高さ寸法AH1,AH2及び径寸法AR1,AR2と、はんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2及び径寸法の目標値TR1,TR2とが異なる場合には、これらの差に基づいて、再度はんだバンプ120の押込みを実施してもよい。
【0038】
図2に例示した配線基板100Aには、はんだバンプ120の密度が異なる第一領域131と第二領域132とが1つずつ含まれている。このため、1つの第一領域131及び1つの第二領域132に対してそれぞれ押込み部2によるはんだバンプ120の押込みを実施すればよい。
一方、図3に例示した配線基板100Bには、1つの第一領域131と複数の第二領域132とが含まれている。このため、1つの第一領域131及び複数の第二領域132に対してそれぞれ押込み部2によるはんだバンプ120の押込みを実施すればよい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のはんだバンプ平坦化装置1は、配線基板100の複数の領域131,132毎におけるはんだバンプ120の密度を測定する測定部3と、複数の領域131,132毎に測定されたはんだバンプ120の密度に応じてはんだバンプ120に対する押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定する押込み条件設定部4と、を備える。そして、押込み部2は、はんだバンプ120の密度が異なる配線基板100の複数の領域131,132に応じて、それぞれ設定された押込み量及び押込み荷重で、押込みヘッド22をはんだバンプ120の頂部に押し込む。すなわち、はんだバンプ120の密度が異なる配線基板100の複数の領域131,132に応じて、はんだバンプ120に対する押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定することができる。これにより、平坦化した後の配線基板100の各領域131,132におけるはんだバンプ120の大きさ(径寸法や高さ寸法)にばらつきが生じることを抑制することができる。このように、平坦化したはんだバンプ120の大きさのばらつきを抑制できることで、はんだバンプ120を形成した配線基板100の歩留まりの低下を抑えることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態のはんだバンプ平坦化装置1において、測定部3は、配線基板100の複数の領域131,132毎におけるはんだバンプ120の密度として、領域131,132毎におけるはんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及びはんだバンプ120の高さ寸法MH1,MH2を測定する。また、押込み条件設定部4は、複数の領域131,132毎に、測定部3において測定されたはんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及び高さ寸法MH1,MH2に応じて押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定する。各領域131,132におけるはんだバンプ120の密度として、測定されたはんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及び高さ寸法MH1,MH2を参照することで、より高い精度で押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定することができる。これにより、平坦化した後の配線基板100の各領域131,132におけるはんだバンプ120の大きさ(径寸法や高さ寸法)の均一化をさらに図ることができる。
【0041】
また、本実施形態のはんだバンプ平坦化装置1において、測定部3は、領域131,132毎におけるはんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及び高さ寸法MH1,MH2を測定する測定器32としてレーザ測長器32Lを含む。これにより、はんだバンプ120のピッチP1,P2、はんだバンプ120の径寸法MR1,MR2及び高さ寸法MH1,MH2をより高い精度で測定することが可能となる。したがって、さらに高い精度で押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定することができる。
【0042】
また、本実施形態のはんだバンプ平坦化装置1において、測定部3は、配線基板100の反り量を測定する。また、押込み条件設定部4は、測定された反り量に応じて押込みヘッド22の押込み量及び押込み荷重を設定する。このため、配線基板100の反りに起因して、はんだバンプ120を平坦化した後の配線基板100の各領域131,132におけるはんだバンプ120の大きさ(径寸法や高さ寸法)にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0043】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0044】
本発明のはんだバンプ平坦化装置において、第一記憶部5に格納される配線基板100のデータには、例えば配線基板100及びはんだバンプ120を含む図面データだけが含まれてよい。この場合には、データ読出し部6で読み出された図面データに応じて、作業者がデータ読出し部6に対し、はんだバンプ120の仕様情報(配線基板100における複数の領域131,132を示す位置情報やはんだバンプ120の高さ寸法の目標値TH1,TH2や径寸法の目標値TR1,TR2)を手動で入力してもよい。
【0045】
本発明のはんだバンプ平坦化装置において、第二記憶部8には、少なくともはんだバンプ120の密度と押込みヘッド22の押込み条件(押込み量及び押込み荷重)とを対応付けたデータテーブルが格納されていればよい。また、押込み条件設定部4は、少なくとも測定部3において測定されたはんだバンプ120の密度に対応する押込み量及び押込み荷重を第二記憶部8から読み出して設定すればよい。
【符号の説明】
【0046】
1 はんだバンプ平坦化装置
2 押込み部
3 測定部
4 押込み条件設定部
22 押込みヘッド
32L レーザ測長器
100 配線基板
120 はんだバンプ
131 第一領域
132 第二領域
P1,P2 はんだバンプ120のピッチ
MR1,MR2 はんだバンプ120の径寸法
MH1,MH2 はんだバンプ120の高さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9