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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150605
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】運転制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20220929BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60W30/10
B62D6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053283
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 元哉
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA23
3D232DA50
3D232DA87
3D232EB04
3D232GG01
3D241BA11
3D241CC17
3D241CD11
3D241CD16
3D241CD17
3D241CE04
3D241CE09
3D241DA52Z
3D241DA54Z
3D241DB02Z
3D241DB07Z
3D241DB08Z
3D241DB12Z
3D241DB46Z
3D241DB48Z
3D241DC43Z
(57)【要約】
【課題】車両を目標軌道に沿って走行させることができる。
【解決手段】運転制御装置10は、車両の重量と、車両の重心位置と、車両の縦速度と、車両の横速度と、車両の操舵角と、車両の横偏差と、方位角偏差と、車両が走行する路面の曲率と、を取得する取得部121と、縦速度と、横速度と、重量と、重心位置と、操舵角と、横偏差と、方位角偏差と、曲率と、の関係を示す第1車両モデルを生成する生成部122と、取得部121が取得した縦速度、横速度、重量、及び重心位置に対応する第1車両モデルに対応する評価関数に、取得部121が取得した横偏差及び方位角偏差と、曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正操舵角を算出する算出部124と、補正操舵角に基づいて車両を走行させる走行制御部125と、を有する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の重量と、前記車両の重心位置と、前記車両の進行方向の速度である縦速度と、前記車両の前記進行方向と直交する方向の速度である横速度と、前記車両の操舵角と、前記車両の横偏差と、前記車両が走行する位置における前記車両の向きと前記位置に対応する前記車両が目標とする向きとの差である方位角偏差と、前記車両が走行する路面の曲率と、を取得する取得部と、
前記縦速度と、前記横速度と、前記重量と、前記重心位置と、前記操舵角と、前記横偏差と、前記方位角偏差と、前記曲率と、の関係を示す第1車両モデルを生成する生成部と、
前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに対応する評価関数に、前記取得部が取得した前記横偏差及び前記方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正操舵角を算出する算出部と、
前記補正操舵角に基づいて前記車両を走行させる走行制御部と、
を有する運転制御装置。
【請求項2】
前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに対応する状態空間モデルに、前記取得部が取得した前記操舵角と前記曲率とを入力することにより、前記取得部が取得した前記横偏差及び前記方位角偏差に含まれるノイズを推定し、前記ノイズを除外した補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する特定部をさらに有し、
前記算出部は、前記評価関数に、前記特定部が特定した前記補正横偏差及び前記補正方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための前記補正操舵角を算出する、
請求項1に記載の運転制御装置。
【請求項3】
車両の重量と、前記車両の重心位置と、前記車両の進行方向の速度である縦速度と、前記車両の前記進行方向と直交する方向の速度である横速度と、前記車両の操舵角と、前記車両の横偏差と、前記車両が走行する位置における前記車両の向きと前記位置に対応する前記車両が目標とする向きとの差である方位角偏差と、前記車両が走行する路面の曲率と、を取得する取得部と、
前記縦速度と、前記横速度と、前記重量と、前記重心位置と、前記操舵角と、前記横偏差と、前記方位角偏差と、前記曲率と、の関係を示す第1車両モデルを生成する生成部と、
前記取得部が取得した前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに対応する評価関数に、前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記横偏差及び前記方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正加速度、又は補正操舵角のうち少なくともいずれかを算出する算出部と、
前記補正加速度、又は前記補正操舵角の少なくともいずれかに基づいて前記車両を走行させる走行制御部と、
を有する運転制御装置。
【請求項4】
前記取得部が取得した前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに、前記取得部が取得した前記操舵角と前記曲率とを入力することにより、前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記横偏差及び前記方位角偏差に含まれるノイズを推定し、前記ノイズを除外した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する特定部をさらに有し、
前記算出部は、前記評価関数に、前記特定部が特定した前記補正縦速度、前記補正横速度、前記補正横偏差及び前記補正方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための前記補正加速度、又は前記補正操舵角のうち少なくともいずれかを算出する、
請求項3に記載の運転制御装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記第1車両モデルと、前記第1車両モデルと異なる非線形の車両モデルである第2車両モデルと、を生成し、
前記算出部は、前記第1車両モデル又は前記第2車両モデルのうち少なくとも1つを用いて前記補正加速度又は前記補正操舵角の少なくともいずれかを算出する、
請求項3又は4に記載の運転制御装置。
【請求項6】
前記取得部は、一定の周期で前記重量、前記重心位置、前記縦速度、又は前記横速度のうち少なくともいずれかを取得し、
前記生成部は、前記取得部が前記重量、前記重心位置、前記縦速度、又は前記横速度のうち少なくともいずれかを取得した時刻に対応する周期の次の周期の時刻に対応する前記第1車両モデルを生成する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の運転制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目標軌道に沿って車両を走行させるための走行制御システムが知られている。特許文献1には、車両の速度に基づいて目標軌道の曲率を決定する走行制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4297123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の走行制御システムは、車両の重量及び重心位置を固定値として予め入力した車両モデルを用いることにより、車両が目標軌道に沿って走行するための操舵角を算出する。しかしながら、車両の乗車人数又は積載重量が変化した場合、車両の重量及び重心位置は、車両モデルに固定値として入力した車両の重量及び重心位置と異なる。その結果、走行制御システムは、目標軌道に沿って走行するための操舵角を高い精度で算出することができないため、車両を目標軌道に沿うように走行させることができない場合があるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両を目標軌道に沿って走行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る運転制御装置は、車両の重量と、前記車両の重心位置と、前記車両の進行方向の速度である縦速度と、前記車両の前記進行方向と直交する方向の速度である横速度と、前記車両の操舵角と、前記車両の横偏差と、前記車両が走行する位置における前記車両の向きと前記位置に対応する前記車両が目標とする向きとの差である方位角偏差と、前記車両が走行する路面の曲率と、を取得する取得部と、前記縦速度と、前記横速度と、前記重量と、前記重心位置と、前記操舵角と、前記横偏差と、前記方位角偏差と、前記曲率と、の関係を示す第1車両モデルを生成する生成部と、前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに対応する評価関数に、前記取得部が取得した前記横偏差及び前記方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正操舵角を算出する算出部と、前記補正操舵角に基づいて前記車両を走行させる走行制御部と、を有する。
【0007】
前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに対応する状態空間モデルに、前記取得部が取得した前記操舵角と前記曲率とを入力することにより、前記取得部が取得した前記横偏差及び前記方位角偏差に含まれるノイズを推定し、前記ノイズを除外した補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する特定部をさらに有し、前記算出部は、前記評価関数に、前記特定部が特定した前記補正横偏差及び前記補正方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための前記補正操舵角を算出してもよい。
【0008】
本発明の第2の態様に係る運転制御装置は、車両の重量と、前記車両の重心位置と、前記車両の進行方向の速度である縦速度と、前記車両の前記進行方向と直交する方向の速度である横速度と、前記車両の操舵角と、前記車両の横偏差と、前記車両が走行する位置における前記車両の向きと前記位置に対応する前記車両が目標とする向きとの差である方位角偏差と、前記車両が走行する路面の曲率と、を取得する取得部と、前記縦速度と、前記横速度と、前記重量と、前記重心位置と、前記操舵角と、前記横偏差と、前記方位角偏差と、前記曲率と、の関係を示す第1車両モデルを生成する生成部と、前記取得部が取得した前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに対応する評価関数に、前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記横偏差及び前記方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正加速度、又は補正操舵角のうち少なくともいずれかを算出する算出部と、前記補正加速度、又は前記補正操舵角の少なくともいずれかに基づいて前記車両を走行させる走行制御部と、を有する。
【0009】
前記取得部が取得した前記重量、及び前記重心位置に対応する前記第1車両モデルに、前記取得部が取得した前記操舵角と前記曲率とを入力することにより、前記取得部が取得した前記縦速度、前記横速度、前記横偏差及び前記方位角偏差に含まれるノイズを推定し、前記ノイズを除外した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する特定部をさらに有し、前記算出部は、前記評価関数に、前記特定部が特定した前記補正縦速度、前記補正横速度、前記補正横偏差及び前記補正方位角偏差と、前記曲率と、を入力し、前記評価関数の出力値を最小又は最大にするための前記補正加速度、又は前記補正操舵角のうち少なくともいずれかを算出してもよい。
【0010】
前記生成部は、前記第1車両モデルと、前記第1車両モデルと異なる非線形の車両モデルである第2車両モデルと、を生成し、前記算出部は、前記第1車両モデル又は前記第2車両モデルのうち少なくとも1つを用いて前記補正加速度又は前記補正操舵角の少なくともいずれかを算出してもよい。
【0011】
前記取得部は、一定の周期で前記重量、前記重心位置、前記縦速度、又は前記横速度のうち少なくともいずれかを取得し、前記生成部は、前記取得部が前記重量、前記重心位置、前記縦速度、又は前記横速度のうち少なくともいずれかを取得した時刻に対応する周期の次の周期の時刻に対応する前記第1車両モデルを生成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両を目標軌道に沿って走行させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】運転制御システムSの構成を示す図である。
図2】生成部122が生成する車両モデルを説明するための図である。
図3】補正操舵角に基づいて車両が走行した結果を示す図である。
図4】運転制御装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第1変形例に係る運転制御装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[運転制御システムSの概要]
図1は、運転制御システムSの構成を示す図である。運転制御システムSは、状態特定装置1と、走行制御装置2と、運転制御装置10と、を備える。運転制御システムSは、車両の操舵角を制御することにより、車両を目標軌道に沿って走行させるためのシステムであり、当該車両が備えるシステムである。目標軌道は、予め定められた軌道であり、車両が目標とする複数の走行位置と複数の走行位置それぞれに対応する車両が目標とする向きとを含む。目標軌道は、例えば状態特定装置1が有する記憶部(不図示)に記憶されている。
【0015】
状態特定装置1は、車両の状態を示すパラメータを一定の周期で特定する。車両の状態を示すパラメータは、例えば車両の重量、重心位置、速度、操舵角、横偏差、方位角偏差、及び路面の曲率である。横偏差は、車両の進行方向と直交する方向における当該車両が走行する位置と当該車両が目標とする走行位置との差である。方位角偏差は、車両が走行する位置における車両の向きと当該位置に対応する車両が目標とする向きとの差である。
【0016】
状態特定装置1は、例えば車両に搭乗した人の重量及び車両に積載した荷物の重量を計測する。状態特定装置1は、計測した人の重量及び荷物の重量と車両の重量とに基づいて、走行している車両の重量を特定する。状態特定装置1は、特定した車両の重量と車両のホイールベースとに基づいて車両の重心位置を特定する。
【0017】
状態特定装置1は、例えば車両が備える速度センサ(不図示)が測定した車両の速度に基づいて、車両の進行方向の速度である縦速度と、車両の進行方向と直交する方向の速度である横速度と、を特定する。状態特定装置1は、例えば車両が備える操舵角センサが測定した車両の操舵角を取得する。状態特定装置1が取得する操舵角は、ハンドルシャフトの回転角度、又は車両の向きと車両が備えるタイヤの向きとの差である。
【0018】
状態特定装置1は、例えばGPS(Global Positioning System)信号を取得することにより、車両の位置及び向きを取得する。状態特定装置1は、取得した車両の位置と当該車両の位置に対応する車両が目標とする走行位置とに基づいて、車両の横偏差を特定する。状態特定装置1は、取得した車両の向きと当該車両の位置に対応する車両が目標とする向きとに基づいて、車両の方位角偏差を特定する。
【0019】
状態特定装置1は、例えば状態特定装置1が有する記憶部に記憶されている地図情報に基づいて、取得した車両の位置に対応する路面の曲率を特定する。状態特定装置1は、特定した車両の重心、重心位置、縦速度、横速度、操舵角、横偏差、方位角偏差及び路面の曲率を一定の周期で運転制御装置10に出力する。
【0020】
走行制御装置2は、車両の速度及び向きを制御する。走行制御装置2は、運転制御装置10が一定の周期で出力した、次の周期の時刻における操舵角(以下、「補正操舵角」という。)に応じて車両の向きを制御する。
【0021】
運転制御装置10は、状態特定装置1から入力された車両の状態に対応する車両モデルを一定の周期で生成する。運転制御装置10は、生成した車両モデルを用いて、車両を目標となる方向に走行させるべく、一定の周期で補正操舵角を算出する。一定の周期は、例えばサンプリング周期である。運転制御装置10は、算出した補正操舵角を走行制御装置2に入力することにより、車両を目標方向に走行させる。以下、運転制御装置10の構成及び動作を詳細に説明する。
【0022】
[運転制御装置10の構成]
運転制御装置10は、記憶部11と、制御部12とを有する。制御部12は、取得部121と、生成部122と、特定部123と、算出部124と、走行制御部125とを有する。運転制御装置10は、状態特定装置1が出力した車両の状態を示すパラメータに基づいて車両モデルを生成し、生成した車両モデルに対応する評価関数を用いて一定の周期で補正操舵角を算出し、走行制御装置2に出力する。
【0023】
記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶している。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部121、生成部122、特定部123、算出部124、及び走行制御部125として動作する。
【0024】
取得部121は、状態特定装置1が出力した車両の状態を示すパラメータを一定の周期で取得する。取得部121は、車両の重量と、車両の重心位置と、車両の進行方向の速度である縦速度と、車両の進行方向と直交する方向の速度である横速度と、車両の操舵角と、車両の横偏差と、車両が走行する位置における車両の向きと位置に対応する車両が目標とする向きとの差である方位角偏差と、車両が走行する路面の曲率と、を取得する。
【0025】
生成部122は、車両の縦速度と、横速度と、重量と、重心位置と、操舵角と、横偏差と、方位角偏差と、路面の曲率と、の関係を示す第1車両モデルを生成する。図2は、生成部122が生成する車両モデルを説明するための図である。生成部122は、例えば図2に示す参照点に対応する車両モデルを生成する。
【0026】
生成部122は、取得部121が一定の周期で車両の重量、重心位置、縦速度又は横速度のうち少なくともいずれかを取得したことに応じて、取得部121が重量、重心位置、縦速度、又は横速度のうち少なくともいずれかを取得した時刻に対応する周期の次の周期の時刻に対応する第1車両モデルを生成してもよい。生成部122は、例えば一定の周期ごとに車両の重心、重心位置、縦速度、又は横速度のうち少なくともいずれかを更新した第1車両モデルを生成する。
【0027】
生成部122は、連続時間型の車両モデルとして、車両の運動を示す車両プラントモデルと車両が運動した軌跡を示す経路追従モデルとを生成する。続いて、生成部122は、生成した連続時間型の車両モデルから離散時間型の状態方程式を導出する。本実施形態においては、一例として、等価二輪モデルを用いて車両モデルを生成する。
【0028】
最初に、車両プラントモデルを説明する。図2に示す参照点に対応する車両運動は、車両の縦速度vx、車両の横速度vy、ヨー角ψ、車両速度v、操舵角入力δを用いて以下の式(1)及び式(2)のように表現できる。
【数1】
【0029】
ただし、車両の縦速度vxが一定かつすべり角が十分に小さいと仮定し、以下の式(3)が成り立つと仮定する。
【数2】
【0030】
式(1)及び式(2)に用いた係数aij(i,j=1,2,3)は、前輪のコーナリング係数Kf、後輪のコーナリング係数Kr、重心から前輪までの距離lf、重心から後輪までの距離lr、車両の重量m、慣性モーメントIを用いて以下の式(4)から式(9)により算出する。
【数3】
【0031】
車両が走行する軌道を示す曲率κの算出式は、式(1)及び式(2)に基づいて、以下の式(10)のように示される。
【数4】
【0032】
次に、経路追従モデルを説明する。車両プラントモデルを状態空間モデルで表現すると、以下の式(11)から式(14)である。
【数5】
【0033】
参照点と車両との結線と、参照点の接線とが直交しているとすると、経路長さSrは、図2に示す車両と参照点との距離である符号付距離zを用いて以下の式(15)のように示される。符号付距離zは、以下の式(16)のように示される。
【数6】
【0034】
図2に示す方位角偏差θは、すべり角β、ヨー角ψ、及び参照点の姿勢角φを用いた以下の式(17)で算出される。
【数7】
式(1)及び式(2)を式(12)に代入することにより、方位角偏差θは、以下の式(18)で算出することもできる。さらに、車両の横偏差が変化する速度と方位角偏差が変化する速度とに以下の式(19)が成り立つと仮定する。
【数8】
【0035】
式(11)から式(14)、及び式(17)から式(19)を用いて状態方程式を再定義することにより、以下の式(20)から式(25)が成り立つ。式(20)から式(25)を用いることにより、曲率及び操舵角に基づいて車両が走行する軌跡を算出することができる。
【数9】
【0036】
生成部122は、このように生成した連続時間の車両モデルに、車両の重量mと、車両の重心位置に基づいて算出した重心から前輪までの距離lf及び重心から後輪までの距離lrと、縦速度vx及び横速度vyとを入力することにより、連続時間の車両モデルを更新する。
【0037】
生成部122がこのように車両モデルを更新することで、生成部122は、一定の周期ごとに取得した車両の重量、車両の重心位置、又は車両の速度の少なくともいずれかに応じて車両モデルを更新することができる。その結果、生成部122は、車両の重量、車両の重心位置及び車両の速度の変化に対応する車両モデルを遅滞なく生成することができる。
【0038】
次に、離散時間型の状態方程式を導出する。離散化後の状態方程式は、以下の式(26)から式(29)で示される。Tは、サンプリング周期である。
【数10】
【0039】
連続時間の状態方程式の解は以下の式(30)であるため、式(30)を式(26)に代入することにより、以下の式(31)及び式(32)を導出することができる。
【数11】
【0040】
以下の式(33)のように0次ホールドを表すと、式(33)を式(32)に代入することにより、サンプリング周期ごとの状態変数は、以下の式(34)のように表すことができる。
【数12】
【0041】
さらに、式(34)は、以下の式(35)を導出することができる。
【数13】
【0042】
続いて、以下の式(36)及び式(37)を定義することにより、離散時間型の状態方程式は、以下の式(38)のように表すことができる。
【数14】
【0043】
式(26)と式(38)の係数を比較することにより、状態方程式の係数行列は、以下の式(39)及び式(40)のように表すことができる。
【数15】
【0044】
このように、連続時間型の車両モデルである状態方程式から離散時間型の状態空間方程式を導出したが、式(40)は積分を含む方程式であるため、過去の周期における車両の運動を含む。その結果、現在の周期における車両モデルを精度高く生成できない。これに対して、生成部122は、AとBの行列指数関数において成り立つ以下の式(41)を用いることにより、以下の式(42)及び式(43)を導出する。
【数16】
【0045】
生成部122は、式(41)から式(43)を用いて離散時間型の車両モデルを生成する。このように生成部122が動作することで、生成部122は、精度が高い離散時間型の車両モデルを生成できる。さらに、生成部122は、過去の周期における車両の運動を算出することを省略できるため、算出時間を短縮することができる。その結果、生成部122は、一定の周期で精度が高い車両モデルを生成することができる。
【0046】
図1に戻って、特定部123は、取得部121が取得した横偏差及び方位角偏差に含まれるノイズを除外した補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する。ノイズは、例えば観測ノイズ又はシステムノイズであり、状態特定装置1が横偏差又は方位角偏差を特定する際に含まれる測定誤差を含む。
【0047】
特定部123は、取得部121が取得した縦速度、横速度、重量、及び重心位置に対応する第1車両モデルに対応する状態空間モデルに、取得部121が取得した操舵角と曲率とを入力することにより、取得部121が取得した横偏差及び方位角偏差に含まれるノイズを推定する。特定部123は、推定したノイズを除外した補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する。
【0048】
特定部123は、生成部122が生成した第1車両モデルに取得部121が取得した操舵角と車両が走行する路面の曲率とを入力することにより、取得部121が取得した横偏差及び方位角偏差に含まれるノイズを除外した補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する。特定部123は、例えば線形カルマンフィルタを用いた状態方程式を用いることにより補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する。
【0049】
特定部123が除外する観測ノイズνとシステムノイズωを白色雑音と仮定した場合、線形カルマンフィルタを用いた状態方程式は、以下の式(44)及び式(45)のように表すことができる。
【数17】
【0050】
続いて、式(44)及び式(45)に基づいて、事前推定値xεを以下の式(46)のように算出することができる。さらに、システムノイズの影響で事前推定値と状態量に偏差が発生している場合、事前推定値xεは、以下の式(47)のように補正することができる。式(47)の変数hは、イノベーションゲインである。
【数18】
【0051】
式(47)において、事前推定値xεは、変数hの値を変化させることに応じて、観測ノイズの影響が小さくなる場合はシステムノイズの影響が大きくなり、観測ノイズの影響が大きくなる場合はシステムノイズの影響が小さくなる。これに対して、特定部123は、変数hを最適化するために、事前分散と事後分散とを更新する。事前分散は以下の式(48)、事後分散は以下の式(50)のように表すことができる。
【数19】
【0052】
特定部123は、式(48)から式(50)を用いてイノベーションゲインである変数hを調整することにより、観測ノイズとシステムノイズの重みづけを最適化する。例えば、観測ノイズの重みを大きくすると、式(49)の分母が大きくなることによりイノベーションゲインが小さくなる。一方、システムノイズの重みを大きくすると、式(49)の分子が大きくなることによりイノベーションゲインが大きくなる。
【0053】
状態行列AdとBdは、時不変と定義されているため、観測ノイズ及びシステムノイズが白色雑音であれば、無限時間における線形時不変な状態方程式の状態変数が定常値に収束すると考えられる。このように特定部123が観測ノイズ及びシステムノイズの重みづけを最適化することで観測ノイズ及びシステムノイズを特定し、観測ノイズ及びシステムノイズを除外した補正横偏差及び補正方位角偏差を特定することで、運転制御装置10は、補正横偏差及び補正方位角偏差に基づいた精度が高い補正操舵角を算出することができる。
【0054】
算出部124は、取得部121が取得した縦速度、横速度、重量、及び重心位置に対応する第1車両モデルに対応する評価関数に、取得部121が取得した横偏差及び方位角偏差と、曲率と、を入力する。そして、算出部124は、評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正操舵角を算出する。算出部124は、生成部122が生成した第1車両モデルに対応する評価関数に、取得部121が取得した車両の横偏差、方位角偏差、及び車両が走行する路面の曲率を入力する。
【0055】
算出部124は、評価関数に、特定部123が特定した補正横偏差及び補正方位角偏差と、曲率と、を入力し、評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正操舵角を算出してもよい。算出部124は、例えば取得部121が取得した横偏差及び方位角偏差を、特定部123が特定した補正横偏差及び補正方位角偏差に置き換えて評価関数に入力する。
【0056】
算出部124が用いる評価関数は、例えば以下の式(51)である。ρは予測ホライズン、Δδは直前の周期の操舵角入力との差分、各入出力変数の添え字であるmaxとminはそれぞれ信号の上下限値である。RΔ、Q、Ru、ρsは、重み係数である。εはスラック変数である。状態変数の予測値は、一定の周期で以下の式(52)により算出される。本実施形態においては、算出部124が、例えば以下の式(51)の出力値Jを最小にするための補正操舵角を算出する。
【数20】
【0057】
算出部124がこのように、評価関数の出力値Jを最小にするための補正操舵角を算出することで、運転制御装置10は、複数の周期それぞれの時刻において、目標軌道との誤差が少ない位置を車両に走行させることができる。走行制御部125は、算出部124が算出した補正操舵角に基づいて車両を走行させる。走行制御部125は、算出部124が算出した補正操舵角を一定の周期で走行制御装置2に出力することにより補正操舵角に応じた操舵角で車両を走行させる。
【0058】
図3は、補正操舵角に基づいて車両が走行した結果示す図である。図3(a)は、目標軌道と車両が走行した位置とを示す図である。図3(b)は、車両が走行した時刻における車両の横偏差を示す図である。図3(c)は、車両が走行した時刻における車両の方位角偏差を示す図である。図3(d)は、車両が走行した時刻における車両の操舵角を示す図である。
【0059】
図3(a)において、位置A1は、車両が走行を開始する位置である。位置A2は、車両が走行を終了する位置である。位置A3は、車両が走行を開始してから5秒後に車両が走行する位置である。破線は目標軌跡を示し、実線は車両が走行した位置を示す。図3(a)に示すように、車両は、走行を開始してから走行を終了するまでの間、目標軌跡が示す位置との偏差が少ない位置を走行している。
【0060】
図3(b)において、横軸は時刻を示し、縦軸は横偏差を示す。時刻の単位は秒であり、縦軸の単位はメートルである。例えば、図3(a)に示す位置A3における車両の横偏差は、およそ0.005メートルである。図3(b)に示すように、車両は、横偏差が一定の範囲を超えない状態で走行している。
【0061】
図3(c)において、横軸は時刻を示し、縦軸は方位角偏差を示す。時刻の単位は秒であり、縦軸の単位はラジアンである。例えば、図3(a)に示す位置A3における車両の方位角偏差は、およそ-1ラジアンである。図3(c)に示すように、車両は、方位角偏差が一定の範囲を超えない状態で走行している。
【0062】
図3(d)において、横軸は時刻を示し、縦軸は車両の操舵角を示す。時刻の単位は秒であり、縦軸の単位はラジアンである。例えば、図3(a)に示す位置A3における車両の操舵角は、およそ0ラジアンである。図3(d)に示すように、車両は、操舵角が一定の範囲を超えない状態で走行している。
【0063】
[運転制御装置10のフローチャート]
図4は、運転制御装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、運転制御装置10が状態特定装置1から取得した車両の状態を示すパラメータに基づいて補正操舵角を算出する動作を示している。
【0064】
取得部121は、車両の状態を示すパラメータである車両の重量、車両の重心位置、車両の縦速度、車両の横速度、車両の操舵角、車両の横偏差、車両の方角偏差及び車両が走行する路面の曲率を取得する(S11)。生成部122は、取得部121が取得した車両の重量、車両の重心位置、車両の縦速度及び車両の横速度に対応する第1車両モデルを生成する(S12)。
【0065】
特定部123は、生成部122が生成した第1車両モデルに対応する状態空間モデルに、取得部121が取得した車両の操舵角と車両が走行する路面の曲率を入力することにより、取得部121が取得した車両の横偏差及び車両の方位角偏差に含まれる観測ノイズ及びシステムノイズを除外した補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する(S13)。
【0066】
算出部124は、生成部122が生成した第1車両モデルに対応する評価関数に、取得部121が取得した曲率と特定部123が特定した補正横偏差及び補正方位角偏差とを入力し、評価関数の出力値を最小にするための補正操舵角を算出する(S14)。
【0067】
運転制御装置10は、処理を終了する操作が行われていない場合(S15のNO)、次の周期の時刻に取得した車両の状態を示すパラメータに基づいて補正操舵角を算出するためにS11からS14までの処理を繰り返す。処理を終了する操作が行われた場合(S15のYES)、運転制御装置10は、処理を終了する。
【0068】
[第1変形例]
以上の説明においては、取得部121が取得した車両の状態を示すパラメータに対応する第1車両モデルを生成部122が生成し、算出部124が第1車両モデルに対応する評価関数を用いて補正操舵角を算出する動作を例示したが、算出部124は、評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正加速度又は補正操舵角の少なくともいずれかを算出してもよい。変形例に係る運転制御システムSの構成は、図1に示す運転制御システムSの構成と同じである。
【0069】
特定部123は、取得部121が取得した車両の縦速度、車両の横速度、車両の横偏差、及び車両の方位角偏差に含まれるノイズを除外した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する。特定部123は、取得部121が取得した重量、及び重心位置に対応する第1車両モデルに、取得部121が取得した操舵角と曲率とを入力することにより、取得部121が取得した縦速度、横速度、横偏差及び方位角偏差に含まれるノイズを推定し、ノイズを除外した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する。特定部123は、例えば非線形カルマンフィルタを用いることにより、補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する。
【0070】
算出部124は、取得部121が取得した重量、及び重心位置に対応する第1車両モデルに対応する評価関数に、取得部121が取得した縦速度、横速度、横偏差及び方位角偏差と、曲率と、を入力し、評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正加速度、又は補正操舵角のうち少なくともいずれかを算出する。算出部124は、生成部122が生成した第1車両モデルに対応する評価関数に、取得部121が取得した車両の縦速度、車両の横速度、車両の横偏差、車両の方位角偏差、及び車両が走行する路面の曲率を入力する。
【0071】
算出部124がこのように補正加速度を算出することで、運転制御装置10は、車両が目標軌道を走行するための加速度を、操舵角とあわせて走行制御装置2に指示することができる。その結果、車両が走行する位置と目標軌道との差をさらに小さくすることができる。
【0072】
算出部124は、評価関数に、特定部123が特定した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差と、曲率と、を入力してもよい。そして、算出部124は、評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正加速度、又は補正操舵角のうち少なくともいずれかを算出してもよい。算出部124は、例えば取得部121が取得した縦速度、横速度、横偏差及び方位角偏差を、特定部123が特定した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差に置き換えて評価関数に入力する。
【0073】
算出部124は、生成部122が第1車両モデルと、第1車両モデルと異なる非線形の車両モデルである第2車両モデルと、を生成した場合、第1車両モデル又は第2車両モデルのうち少なくとも1つを用いて補正加速度又は補正操舵角の少なくともいずれかを算出してもよい。第2車両モデルは、例えばヤコビ行列を用いた非線形の車両モデルである。
【0074】
算出部124がこのように、第2車両モデルに対応する評価関数に車両の縦速度、横速度、横偏差及び方位角偏差と、曲率とを入力し、評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正加速度又は補正操舵角のうち少なくともいずれかを算出することで、算出部124は、車両が目標軌道を走行するための加速度又は操舵角を、高い精度で算出することができる。
【0075】
走行制御部125は、算出部124が算出した補正加速度、又は補正操舵角の少なくともいずれかに基づいて車両を走行させる。走行制御部125は、算出部124が算出した補正加速度又は補正操舵角のうち少なくともいずれかを、一定の周期で走行制御装置2に出力することにより、補正加速度に応じた速度、又は補正操舵角に応じた操舵角で車両を走行させる。
【0076】
[第1変形例に係る運転制御装置10のフローチャート]
図5は、第1変形例に係る運転制御装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、運転制御装置10が状態特定装置1から取得した車両の状態を示すパラメータに基づいて補正加速度及び補正操舵角を算出する動作を示している。
【0077】
取得部121は、車両の状態を示すパラメータである車両の重量、車両の重心位置、車両の縦速度、車両の横速度、車両の操舵角、車両の横偏差、車両の方角偏差及び車両が走行する路面の曲率を取得する(S21)。生成部122は、取得部121が取得した車両の重量、車両の重心位置に対応する第1車両モデル及び第2車両モデルを生成する(S22)。
【0078】
特定部123は、生成部122が生成した第1車両モデルに対応する状態空間モデルに、取得部121が取得した車両の操舵角と車両が走行する路面の曲率を入力することにより、取得部121が取得した車両の縦速度、車両の横速度、車両の横偏差、及び車両の方位角偏差に含まれる観測ノイズ及びシステムノイズを除外した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差を特定する(S23)。
【0079】
算出部124は、生成部122が生成した第1車両モデル又は第2車両モデルの少なくともいずれかに対応する評価関数に、取得部121が取得した曲率と特定部123が特定した補正縦速度、補正横速度、補正横偏差及び補正方位角偏差を入力する。続いて、算出部124は、評価関数の出力値を最小又は最大にするための補正加速度及び補正操舵角を算出する(S24)。
【0080】
運転制御装置10は、処理を終了する操作が行われていない場合(S25のNO)、次の周期の時刻に取得した車両の状態を示すパラメータに基づいて補正加速度及び補正操舵角を算出するためにS21からS24の動作を繰り返す。処理を終了する動作が行われた場合(S25のYES)、運転制御装置10は、処理を終了する。
【0081】
[第2変形例]
以上の説明においては、算出部124が評価関数の出力値を最小にするための補正操舵角又は補正加速度の少なくともいずれかを算出する動作を例示したが、算出部124は、評価関数の出力値を最大にするための補正操舵角又は補正加速度の少なくともいずれかを算出してもよい。算出部124は、例えば式(51)に示した出力値Jの逆数が評価関数の出力値として出力される場合、評価関数の出力値を最大にするための、補正操舵角又は補正加速度の少なくともいずれかを算出する。
【0082】
[運転制御装置10の効果]
以上説明したように、運転制御装置10は、車両の状態を示すパラメータである車両の重量、重心位置、縦速度、横速度、操舵角、横偏差及び方位角偏差と、車両が走行する路面の曲率と、を取得する取得部121と、取得部121が取得したパラメータの関係を示す車両モデルを生成する生成部122と、を有する。そして、算出部124が、取得部121が取得した縦速度、横速度、重量及び重心位置に対応する車両モデルに対応する評価関数に、取得部121が取得した横偏差及び方位角偏差を入力することで、評価関数の出力値を最小にするための補正操舵角を算出する。
【0083】
このように運転制御装置10が動作することで、運転制御装置10は、一定の周期で車両の重量、重心位置、縦速度、及び横速度に対応した車両モデルを生成することができるため、車両が走行する位置と目標軌道との差を小さくするための操舵角を複数の周期それぞれの時刻において算出することができる。その結果、運転制御装置10は、車両の重量、重心位置が変化した場合であっても、車両を目標軌道に沿うように走行させることができる。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0085】
1 状態特定装置
2 走行制御装置
10 運転制御装置
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 生成部
123 特定部
124 算出部
125 走行制御部
図1
図2
図3
図4
図5