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特開2022-150614磁気変調ギヤ装置、駆動装置及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150614
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】磁気変調ギヤ装置、駆動装置及びロボット
(51)【国際特許分類】
   H02K 49/10 20060101AFI20220929BHJP
   H02K 11/21 20160101ALI20220929BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20220929BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20220929BHJP
【FI】
H02K49/10 Z
H02K11/21
H02K11/25
H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053292
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰三
(72)【発明者】
【氏名】三成 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】中川 博貴
【テーマコード(参考)】
5H501
5H611
5H649
【Fターム(参考)】
5H501AA22
5H501GG00
5H501LL32
5H501LL35
5H501LL36
5H501LL37
5H501PP02
5H611AA01
5H611BB00
5H611PP05
5H611QQ03
5H611QQ04
5H611UA04
5H649BB02
5H649GG08
5H649GG13
5H649GG16
5H649HH01
5H649HH13
5H649HH16
(57)【要約】
【課題】トルクセンサを不要とする。
【解決手段】磁気変調ギヤ装置30は、入力軸23と、減速部を通じて入力軸23に対して変速されて出力される出力軸32bと、入力軸23側の回転角度を計測する入力軸側センサ35と、出力軸32b側の回転角度を計測する出力軸側センサ36とを有する。
例えば、駆動装置1は、上記磁気変調ギヤ装置30と、入力軸にトルクを入力する駆動源20と、計測された入力軸側の回転角度と計測された出力軸側の回転角度とに基づいて目標トルクとなるように駆動源の動作量を制御する制御装置40とを備え、トルクセンサを用いることなく出力軸側のトルクを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と、減速部を通じて前記入力軸に対して変速されて出力される出力軸とを有する磁気変調ギヤ装置において、
前記入力軸側の回転角度を計測する入力軸側センサと、
前記出力軸側の回転角度を計測する出力軸側センサと
を有する磁気変調ギヤ装置。
【請求項2】
筐体を備え、
少なくとも前記入力軸側センサ又は前記出力軸側センサを前記筐体内に備える
請求項1に記載の磁気変調ギヤ装置。
【請求項3】
前記入力軸側センサと前記出力軸側センサの両方を前記筐体の同一空間内に備える
請求項2に記載の磁気変調ギヤ装置。
【請求項4】
前記入力軸側センサが計測した回転角度と前記出力軸側センサが計測した回転角度とから前記出力軸の出力トルクを推定するトルク推定部を備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気変調ギヤ装置。
【請求項5】
前記トルク推定部は、前記磁気変調ギヤ装置の磁石の温度に応じて、前記出力軸の出力トルクを補正して推定する
請求項4に記載の磁気変調ギヤ装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の磁気変調ギヤ装置と、
前記入力軸に入力トルクを加える駆動源と、
前記トルク推定部が推定する出力トルクと目標出力トルクの差分から前記駆動源の入力トルクの制御を行う制御装置と
を備える駆動装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気変調ギヤ装置と、
前記入力軸に入力トルクを加える駆動源と、
計測された前記入力軸側の回転角度と計測された前記出力軸側の回転角度とに基づいて前記出力軸から目標出力トルクが出力されるように前記駆動源の動作量を制御する制御装置と
を備える駆動装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記磁気変調ギヤ装置の磁石の温度に応じて、前記目標出力トルクを出力させるための前記駆動源の動作量を補正する
請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の駆動装置を有するロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気変調ギヤ装置、駆動装置及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内外周に配置された2つの磁石の間に、複数の磁極片を有する磁極片部材を配置し、内外周の磁石間での磁束分布を変調させる磁気変調ギヤ装置が知られている。この磁気変調ギヤ装置は、内周側の磁石とその磁極片部材との間でトルク伝達を行い、減速又は増速回転を伝達していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-17984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の磁気変調ギヤ装置は、伝達されるトルクを制御したいという要求があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、好適にトルク制御をおこなうことができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、磁気変調ギヤ装置において、
入力軸と、減速部を通じて前記入力軸に対して変速されて出力される出力軸とを有する磁気変調ギヤ装置において、
前記入力軸側の回転角度を計測する入力軸側センサと、
前記出力軸側の回転角度を計測する出力軸側センサと
を有する構成とした。
【0007】
また、本発明は、駆動装置において、
上記磁気変調ギヤ装置と、
前記入力軸にトルクを入力する駆動源と、
入力軸側センサが計測した回転角度と前記出力軸側センサが計測した回転角度とから前記入力軸から前記出力軸に伝わるトルクを推定するトルク推定部が推定するトルクと目標トルクの差分から前記駆動源のトルク制御を行う制御装置と
を備える構成とした。
【0008】
また、本発明は、駆動装置において、
上記磁気変調ギヤ装置と、
前記入力軸にトルクを入力する駆動源と、
計測された前記入力軸側の回転角度と計測された前記出力軸側の回転角度とに基づいて目標トルクとなるように前記駆動源の動作量を制御する制御装置と
を備える構成とした。
【0009】
また、本発明は、ロボットにおいて、上記駆動装置駆を有する構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、専用のトルクセンサを設けずにトルク制御に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る駆動装置の軸方向断面図である。
図2】磁気変調ギヤ装置の斜視図である。
図3】出力軸における位相差と出力トルクとの関係を示した線図である。
図4】第2実施形態に係る駆動装置の軸方向断面図である。
図5】第3実施形態に係る駆動装置の軸方向断面図である。
図6】駆動装置を適用したロボットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る駆動装置1の軸方向断面図である。
この図に示すように、本実施形態に係る駆動装置1は、モータ20と磁気変調ギヤ装置30と駆動装置1のトルク制御を行う制御装置40とを備えている。
【0013】
[モータ]
モータ20は、回転角度量の制御が可能なモータ、例えば、ブラシレスモータを例示する。
モータ20は、モータロータと、モータステータとを備え(いずれも図示略)、モータロータは、シャフト23とロータヨーク31bと内極磁石(ロータ磁石)31aと有する。ロータヨーク31bは、磁性体から構成され、シャフト23の外周面に設けられ、内極磁石31aは、ロータヨーク31bの外周面に設けられる。
モータステータは、複数のコイルが巻回されたステータコアから構成され、複数のコイルが所定の順番に励磁されることにより、モータロータ(シャフト23)の回転駆動を行う。
また、シャフト23は、磁気変調ギヤ装置30内部にまで延出されている。
なお、以下の説明では、シャフト23の中心軸Axに沿った方向を「軸方向」、中心軸Axに垂直な方向を「径方向」、中心軸Axを中心とする回転方向を「周方向」という。また、軸方向のうち、駆動装置1の出力軸32bが外部の被駆動部材と連結される側(図中の左側)を「負荷側」といい、負荷側とは反対側(図中の右側)を「反負荷側」という。
【0014】
[磁気変調ギヤ装置]
磁気変調ギヤ装置30は、モータ20の負荷側に配置され、モータ20からの回転入力を変速して負荷側に出力する変速機(例えば、減速機)として機能する。磁気変調ギヤ装置30とモータ20とは、シャフト23を共通化している。つまり、シャフト23は、磁気変調ギヤ装置30の入力軸として機能する。
具体的に、磁気変調ギヤ装置30は、高速ロータ31と、低速ロータ32と、外極磁石33と、筐体としてのケーシング34と、シャフト23側の回転角度を計測する入力軸側センサとしての高速軸回転角度センサ35と、出力軸32b側の回転角度を計測する出力軸側センサとしての低速軸回転角度センサ36と、磁気変調ギヤ装置30の磁石の温度を検出する温度センサ37とを備える。
【0015】
図1に示すように、ケーシング34は、シャフト23と同心の円筒体であり、モータ20のシャフト23は、ケーシング34の中心を通って、ケーシング34の反負荷側端部を閉塞する反負荷側カバー11からケーシング34の負荷側端部を閉塞する負荷側カバー13に設けられた中空の出力軸32bの内部にまで達している。
そして、シャフト23は、反負荷側カバー11の中心に設けられた軸受12a(例えば玉軸受)と、出力軸32bの内周に設けられた軸受12b(例えば玉軸受)により、中心
軸Ax回りに回転可能に支持されている。
【0016】
出力軸32bは、シャフト23の負荷側にシャフト23と同心で配置されている。出力軸32bは、中実の軸部321bと、当該軸部321bの反負荷側の端部に設けられた中空の円筒部322bと、円筒部322bの反負荷側の端部の外周に設けられたフランジ部323bとを有している。出力軸32bの軸部321bと円筒部322bとフランジ部323bとは、一体化されており、シャフト23と同心に配置されている。
円筒部322bは、その外周が負荷側カバー13の中心に設けられた軸受32f(例えば玉軸受)により回転可能に支持されている。さらに、円筒部322bの反負荷側端部は、当該反負荷側に向かって開口し、内周部の軸受12bによりシャフト23を回転可能に支持している。
なお、シャフト23の負荷側端部を出力軸32bの内側で支持しない構造であれば、出力軸32bは中空でなくとも良い。或いは、出力軸32bの図示されていない負荷側が中実軸となっていても良い。つまり、出力軸の形状は特に限定されない。
【0017】
図2は、磁気変調ギヤ装置30の斜視図である。
図1及び図2に示すように、高速ロータ31は、シャフト23及びロータヨーク31bと内極磁石31aとを備える。ロータヨーク31bは、ケーシング34内において、軸方向におけるおおむね中間(厳密には、幾分、反負荷側寄り)となる位置において、シャフト23の外周に固定的に取り付けられている。ロータヨーク31bは、軸方向全長に渡って外径が一様であり、外周に内極磁石31aが固定的に取り付けられている。内極磁石31aも軸方向全長に渡って外径が一様である。
【0018】
内極磁石31aは、例えばネオジム磁石などの永久磁石であり、ロータヨーク31bの外周面に極性が互いに逆となる複数のものが周方向に沿って交互に貼り付けられている。この内極磁石31aは、複数の極対数からなる磁極を形成するものである。また、複数の内極磁石31aに替えて、一体のリング状の磁石で構成してもよい。
【0019】
低速ロータ32は、前述した出力軸32bと複数の磁極片(ポールピース)32aとを有する。
複数の磁極片32aは、高速ロータ31と同心で高速ロータ31の周囲を取り囲むように配置されている。
複数の磁極片32aは、積層鋼板から形成され、周方向に所定間隔で配置されている。尚、磁極片32aは、軟磁性体であればなんでもよい。例えば、圧粉磁心やアモルファス、SPCC等でもよい。磁極片32aの数は、外極極対数(外極磁石33の極対数)±内極極対数(内極磁石31aの極対数)であり、一般的には外極極対数+内極極対数である。周方向に隣り合う2つの磁極片32aの間は、薄肉の連結部で連結されていてもよいし、非磁性体で連結されていてもよい。
【0020】
磁極片32aの軸方向両端部には樹脂部32cが固定されており、出力軸32bのフランジ部323bは、負荷側の樹脂部32cにボルト32d(例えばスーパーエンジニアリングプラスチック製などの樹脂製)で固定されている。尚、ボルト32dによる連結でなくても連結方法は限定されない。例えば、樹脂部32cと出力軸32bが一体成型されていてもよい。出力軸32bは、前述したように、負荷側の軸部321bがケーシング34から露出し、図示しない被駆動部材に連結されている。
低速ロータ32は、磁極片32aの反負荷側に設けられた軸受32eと、出力軸32bを支持する軸受32fとを介してケーシング34に回転可能に支持されている。このうち、反負荷側の軸受32eは、磁極片32aの反負荷側の樹脂部32cに固定されたステンレス製のリング部材32gとケーシング34との間に配置されている。負荷側の軸受32fは、前述したように、ケーシング34の負荷側カバー13と出力軸32bの円筒部32
2bとの間に配置されている。
【0021】
外極磁石33は、複数の磁極片32aの外周に所定の隙間を介して同心状に配置されている。この外極磁石33は、高速ロータ31の内極磁石31aよりも極対数が多く、極性が互いに逆となる複数のものが周方向に交互に配置される。これら外極磁石33は、ケーシング34の内側に嵌入されたヨーク部33aの内周面に上記配置で貼り付けられ、固定子として機能する。また、複数の外極磁石33に替えて、一体のリング状の磁石で構成してもよい。
前述した内極磁石31a、磁極片32a及び外極磁石33は、入力軸と出力軸との間に設けられる減速部を構成する。
【0022】
高速軸回転角度センサ35は、シャフト23と一体的に回転する被検出部351と、被検出部351の近傍に配置され、被検出部351を検出するセンサ部352とを有する。
低速軸回転角度センサ36は、出力軸32bと一体的に回転する被検出部361と、被検出部361の近傍に配置され、被検出部361を検出するセンサ部362とを有する。
高速軸回転角度センサ35及び低速軸回転角度センサ36は、ケーシング34の内部の同一空間内に配置されている。
【0023】
高速軸回転角度センサ35及び低速軸回転角度センサ36は、例えば、シャフト23や出力軸32bの回転の変位をデジタル信号として出力するロータリーエンコーダを例示するが、アナログ信号として出力するレゾルバであってもよいし、それ以外の回転検出器であってもよい。ロータリーエンコーダは、光学式の検出部を有する構成であってもよいし、磁気的な検出部を有する構成であってもよい。また、高速軸回転角度センサ35と低速軸回転角度センサ36とは異なる種類の検出器であってもよい。
【0024】
高速軸回転角度センサ35の被検出部351は、反負荷側カバー11の負荷側の面に対向する位置でシャフト23に固定装備されたディスク(又はリング)で構成されている。被検出部351は、シャフト23と同心で装備されており、シャフト23と共に中心軸Ax回りに回転を行う。
被検出部351には、例えば、反負荷側の面に中心軸Axを中心とする円周に沿って反負荷側から光学的又は磁気的に読み取り可能なコードが形成されている。また、被検出部351をリング状に形成する場合には、これらのコードはリングの外周又は内周に形成してもよい。
【0025】
センサ部352は、ケーシング34の反負荷側カバー11の負荷側の面に固定装備されている。センサ部352は、被検出部351に近接対向するように配置されている。このセンサ部352は、例えば、被検出部351のコードを読み取り可能な光学センサ又は磁気センサから構成される。
【0026】
低速軸回転角度センサ36の被検出部361は、出力軸32bのフランジ部323bの外周に固定装備されたディスク(又はリング)で構成されている。被検出部361は、出力軸32bと同心で装備されており、出力軸32bと共に中心軸Ax回りに回転を行う。
被検出部361には、例えば、負荷側の面に中心軸Axを中心とする円周に沿って光学的又は磁気的に読み取り可能なコードが形成されている。また、被検出部361をリング状に形成する場合には、これらのコードはリングの外周又は内周に形成してもよい。
【0027】
センサ部362は、ケーシング34の内周であって、出力軸32bのフランジ部323bの負荷側近傍に固定装備されている。センサ部362は、被検出部361に近接対向するように径方向内側に延出して配置されている。このセンサ部362は、例えば、被検出部361のコードを読み取り可能な光学センサ又は磁気センサから構成される。
【0028】
なお、上記の例では、高速軸回転角度センサ35及び低速軸回転角度センサ36の被検出部351,361とセンサ部352,362とが軸方向に対向する配置を示しているが、特にセンサ部と非検出部同士の配置関係は限定されない。例えば、被検出部351,361のコードがリングの外周又は内周に形成されている場合には、センサ部352,362は、被検出部351,361の半径方向外側又は内側に配置し、被検出部351,361とセンサ部352,362とが径方向に対向する配置としてもよい。
【0029】
温度センサ37は、磁石としての外極磁石33の温度を検出する。この温度センサ37は、外極磁石33に取り付けられている。温度センサ37としては、熱電対、測温抵抗体、サーミスタ等の温度の計測対象に接触して検出可能なセンサを利用可能であるが、検出対象の温度を測定できればそれらに限られない。例えば、赤外線検出器等のように温度の検出対象から離隔した位置から検出可能な非接触式のセンサを利用しても良い。
【0030】
[制御装置]
駆動装置1は、モータ20が駆動すると、シャフト23に入力トルクが加えられる。これにより、シャフト23と共に磁気変調ギヤ装置30の高速ロータ31が回転し、高速ロータ31の内極磁石31aの空間磁束波形が、低速ロータ32の磁極片32aによって周波数が変調され、低速ロータ32にトルクが伝達される。この時、減速比は(低速ロータ32の磁極片32aの磁極数)/(内極磁石31aの極対数)となる。
【0031】
図3は出力軸32bにおける位相差と出力トルクとの関係を示した線図である。
前述したように、磁気変調ギヤ装置30は、シャフト23の回転角度に対して、(低速ロータ32の磁極片32aの磁極数)/(内極磁石31aの極対数)によって定まる減速比で磁極片32a及び出力軸32bが回転を行う。このとき、シャフト23の回転に対して出力軸32bが減速比通りの回転角度で回転している場合の出力軸32bの回転角度を基準位置とした場合、出力軸32bの基準位置に対して、出力軸32bの回転角度に遅れによる位相差が生じると、出力軸32bには出力トルクが発生する。出力軸32bに生じる出力トルクは、位相差との間で、例えば、図3に示すような相関がある。
この図3の例では、磁極片32a一つの周期を360[deg]として、例えば、出力軸32bに生じた位相差が0又は±180[deg]の場合に出力軸32bの出力トルクは0となり、位相差が±90[deg]の場合に出力トルクが最大となる特性を示す。
【0032】
制御装置40は、出力軸32bに生じた位相差と出力軸32bの出力トルクとの特性に基づいてトルク制御を実行する。
具体的には、制御装置40は、図1に示すように、出力軸32bに発生させる目標出力トルクを示すトルク指令Tに対して、目標出力トルクを出力するための出力軸32bの目標位相差θを出力する位相差出力部41と、現在の出力軸32bに生じている位相差θ_fbを求める位相差算出部42と、目標位相差θと現在の出力軸32bに生じている位相差θ_fbとの偏差θ_cmdを求める減算器43とを備えている。
なお、制御装置40の上記各構成については、ハードウェアによって実現させても良いし、制御装置40を演算処理装置から構成し、ソフトウェアの処理によって機能的に実現させても良い。
【0033】
位相差出力部41は、低速ロータ32の出力軸32bに生じた位相差と出力軸32bに生じる出力トルクとの特性(例えば、図3の特性)に基づくテーブルデータを記憶している。当該テーブルデータは、トルク指令T(目標出力トルク)の複数の数値ごとに対応する出力軸32bの目標位相差θの値が定められており、位相差出力部41は、トルク指令Tが入力されると、テーブルデータに定められた対応する出力軸32bの目標位相差θを特定して出力する。
【0034】
また、上記テーブルデータは、シャフト23の複数の回転角度ごとに異なるテーブルデータが用意されている。
さらに、シャフト23の各回転角度ごとのテーブルデータは、周囲の環境温度の影響を考慮して、各々の目標位相差θの値を補正したテーブルデータが異なる複数の温度ごとに用意されている。
従って、位相差出力部41は、高速軸回転角度センサ35のセンサ部352によって検出されたシャフト23の回転角度と、温度センサ37の検出温度とに基づいて適正なテーブルデータを選択した上で、目標位相差θを特定して出力する。
【0035】
位相差算出部42は、高速軸回転角度センサ35のセンサ部352によって検出されたシャフト23の回転角度と低速軸回転角度センサ36のセンサ部362によって検出された出力軸32bの回転角度とが入力される。
位相差算出部42は、検出されたシャフト23の回転角度(位相)から出力軸32bが磁気変調ギヤ装置30に定められた減速比通りの回転角度で回転している場合の出力軸32bの回転角度(位相)を基準位置として求める。さらに、基準位置と低速軸回転角度センサ36が検出した出力軸32bの回転角度(位相)との差分を求めて、出力軸32bに生じている位相差θ_fbを算出する。
【0036】
減算器43は、位相差出力部41から出力された、トルク指令T(目標出力トルク)を得るための出力軸32bの目標位相差θに対して、位相差算出部42から出力された出力軸32bに実際に生じている位相差θ_fbを減算し、出力軸32bの位相差の偏差θ_cmdを算出する。
さらに、位相差の偏差θ_cmdに対して、所定のゲインを乗算し、その乗算値をモータ20の動作量として入力する。
これより、出力軸32bに目標位相差θが生じるように、モータ20からシャフト23に入力される動作量が制御され、出力軸32bにトルク指令Tに応じた目標出力トルクが発生する。
【0037】
[第1実施形態の技術的効果]
上記駆動装置1の磁気変調ギヤ装置30は、シャフト23側の回転角度を計測する高速軸回転角度センサ35と、出力軸32b側の回転角度を計測する低速軸回転角度センサ36とを有するので、これら各センサ35,36の出力から出力軸32bに生じる位相差を容易に取得することができ、さらに、当該位相差に基づいて出力軸32b側の出力トルクのトルク制御に容易に対応して好適なトルク制御を行うことが可能である。
これにより、駆動装置1は、トルク検出を行うための専用のトルクセンサを設けることなく容易に出力トルクの制御を行うことができ、装置の構成の簡易化、部品点数の低減、さらにこれらに伴う、装置の小型化や製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0038】
また、駆動装置1は、磁気変調ギヤ装置30のケーシング34内に高速軸回転角度センサ35と低速軸回転角度センサ36とを配置している。磁気変調ギヤ装置30は、歯車の噛み合いを利用した減速装置等とは異なり、ケーシング34内に潤滑油が不要なので、清浄な環境下に各センサ35,36を配置することができる。さらに、ケーシング34が各センサ35,36を外部からの接触や緩衝、塵芥等の付着等から保護するので、各センサ35,36は、安定した検出を長期に渡って行うことができ、装置の信頼性を向上することが可能となる。
【0039】
また、駆動装置1は、高速軸回転角度センサ35のセンサ部352によって検出されたシャフト23の回転角度と低速軸回転角度センサ36のセンサ部362によって検出された出力軸32bの回転角度とに基づいて、出力軸32bからトルク指令Tに定められた
目標出力トルクが出力されるようにモータ20の動作量を制御する制御装置40を備えているので、トルクセンサを不要とし、簡易な構成によって駆動装置1のトルク制御を実現することが可能となる。
【0040】
また、制御装置40は、温度センサ37によって検出される磁気変調ギヤ装置30の外極磁石33の温度に基づいて目標出力トルクとなるモータ20の動作量を補正するので、温度の影響を反映して、駆動装置1は、より精度の高いトルク制御を行うことが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図4は、第2実施形態に係る駆動装置1Aの軸方向断面図である。
第2実施形態の駆動装置1Aについては、主に駆動装置1と異なる点について説明する。図4に示すように、駆動装置1Aは、モータ20Aと磁気変調ギヤ装置30とが共通する筐体としてのケーシング34Aを有する点が主に駆動装置1と異なっている。
【0042】
ケーシング34Aは、図4に示すように、モータ20Aの内部構成と磁気変調ギヤ装置30の内部構成とを格納するので、前述したケーシング34よりも軸方向に長い円筒体から構成されている。
ケーシング34の反負荷側端部と負荷側端部とに、それぞれ反負荷側カバー11と負荷側カバー13とを備え、これらの中心において、モータ20Aと磁気変調ギヤ装置30に共通するシャフト23が軸受12a,12bによって中心軸Ax回りに回転可能に支持され、出力軸32bが軸受32fによって中心軸Ax回りに回転可能に支持されている点は、駆動装置1と同じである。
【0043】
さらに、モータ20Aは、モータロータ21と、モータステータ22とを備える。モータロータ21は、シャフト23と、ロータヨーク21bと、ロータ磁石21cと有する。ロータヨーク21bは、非磁性体から構成され、シャフト23の外周面に嵌合固定される。ロータ磁石21cは、例えばネオジム磁石などの永久磁石であり、所定の極対数に対応する複数のものが、ロータヨーク21bの外周面のうちモータステータ22の内径側に位置する部分に貼り付けられる。
モータステータ22は、積層鋼板からなるステータコア22aにコイル22bが巻回されて構成される。尚、ステータコア22aも、圧粉磁心やアモルファス、SPCC等のような、軟磁性体であればなんでもよい。このモータステータ22は、モータロータ21の外径側に同心状に配置され、ステータコア22aがケーシング34Aに内嵌された状態で当該ケーシング34Aに保持されている。
【0044】
一方、磁気変調ギヤ装置30は、高速ロータ31Aが前述したロータヨーク31bに替えて、モータ20Aと共通するロータヨーク21bを利用する点が異なっている。
つまり、シャフト23の外周に設けられたロータヨーク21bは、モータ20Aの負荷側に設けられた磁気変調ギヤ装置30の内側まで延出されており、当該ロータヨーク21bの負荷側端部の外周に複数の内極磁石31aが貼り付けられて、磁気変調ギヤ装置30の高速ロータ31Aが構成されている。
【0045】
低速軸回転角度センサ36の構成及び配置については、前述した駆動装置1と同様に、ケーシング34A内の負荷側に配置されている。
一方、高速軸回転角度センサ35は、ケーシング34A内の反負荷側に配置されてシャフト23の回転角度を検出する点は、前述した駆動装置1と同じだが、モータ20Aよりも反負荷側に配置されている点が異なっている。
【0046】
制御装置40は、ケーシング34A内のモータ20Aに対して動作量を制御するが、その制御構成は、駆動装置1の場合と同一である。
【0047】
従って、駆動装置1Aの場合も、モータ20Aが駆動すると、シャフト23に入力トルクが加えられる。これにより、シャフト23と共に磁気変調ギヤ装置30の高速ロータ31Aも回転し、高速ロータ31Aの内極磁石31aの空間磁束波形が、低速ロータ32の磁極片32aによって周波数が変調され、低速ロータ32にトルクが伝達される。そして、出力軸32bは、(低速ロータ32の磁極片32aの磁極数)/(内極磁石31aの極対数)となる減速比で回転を行う。
【0048】
そして、このとき、制御装置40の位相差出力部41が目標出力トルクを示すトルク指令Tに対応する出力軸32bの目標位相差θを出力する。一方、位相差算出部42は、出力軸32bに生じている位相差θ_fbを算出し、減算器43が出力軸32bの位相差の偏差θ_cmdを算出する。
そして、偏差θ_cmdに基づいて定められた動作量がモータ20Aに入力され、出力軸32bに対して、トルク指令Tに応じた目標出力トルクが発生する。
【0049】
上記駆動装置1Aでは、磁気変調ギヤ装置30とモータ20Aとが共通するケーシング34Aを有し、磁気変調ギヤ装置30とモータ20Aの内部構成をケーシング34A内に配置している。
このため、駆動装置1Aは、駆動装置1と同一の技術的効果を得ることが出来ると共に、装置全体の小型化、コンパクト化を実現することが可能となる。
また、磁気変調ギヤ装置30とモータ20Aの内部構成を同一のケーシング34A内に配置するので、モータロータ21と高速ロータ31Aとでロータヨーク21bを共通化する等、部品の共用を図りやすくなり、構成の簡易化、部品点数の低減を図ることが可能となる。
【0050】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図5は、第3実施形態に係る駆動装置1Bの軸方向断面図である。
第3実施形態の駆動装置1Bについて、主に駆動装置1Aと異なる点について説明する。図5に示すように、駆動装置1Bは、制御装置40Bの構成が駆動装置1Aと異なっている。
【0051】
制御装置40Bは、現在の出力軸32bに生じている位相差θ_fbを求める位相差算出部42と、当該位相差θ_fbから現在の出力軸32bに発生している出力トルクT_fbを求めるトルク取得部41Bと、出力軸32bに発生させる目標出力トルクを示すトルク指令Tとトルク取得部41Bからの現在の出力軸32bに発生している出力トルクT_fbの入力を受けて、出力軸32bの出力トルクの偏差T_cmdを求める減算器43Bとを備えている。
なお、この制御装置40Bも上記各構成については、ハードウェアによって実現させてもよいし、制御装置40Bを演算処理装置から構成し、ソフトウェアの処理によって機能的に実現させても良い。
【0052】
上記位相差算出部42は、高速軸回転角度センサ35のセンサ部352によって検出されたシャフト23の回転角度と低速軸回転角度センサ36のセンサ部362によって検出された出力軸32bの回転角度から、出力軸32bに生じている位相差θ_fbを算出する。
【0053】
上記トルク取得部41Bは、低速ロータ32の出力軸32bに生じた位相差と出力軸3
2bに生じる出力トルクとの特性(例えば、図3参照)に基づくテーブルデータを記憶している。
当該テーブルデータは、出力軸32bの位相差の複数の数値ごとに対応する出力軸32bに発生する出力トルクの値が定められている。そして、トルク取得部41Bは、位相差算出部42から出力軸32bに生じている位相差θ_fbが入力されると、テーブルデータに定められた対応するトルク値を出力軸32bに現在発生している出力トルクT_fbとして出力する。
つまり、上記位相差算出部42とトルク取得部41Bとが協働して、「入力軸側センサ(高速軸回転角度センサ35)が計測した回転角度と出力軸側センサ(低速軸回転角度センサ36)が計測した回転角度とから出力軸32bの出力トルクを推定するトルク推定部」として機能する。
【0054】
また、上記テーブルデータの場合も、シャフト23の複数の回転角度ごとに異なるテーブルデータが用意されている。さらに、シャフト23の各回転角度ごとのテーブルデータは、周囲の環境温度の影響を考慮して、各々の出力トルクT_fbの値を補正したテーブルデータが異なる複数の温度ごとに用意されている。
従って、トルク取得部41Bは、高速軸回転角度センサ35のセンサ部352によって検出されたシャフト23の回転角度と、温度センサ37の検出温度とに基づいて適正なテーブルデータを選択した上で、出力軸32bに現在発生している出力トルクT_fbを特定して出力する。
【0055】
減算器43Bは、トルク指令T(目標出力トルク)に対して、トルク取得部41Bから出力された出力軸32bに実際に生じている出力トルクT_fbを減算し、出力軸32bの出力トルクの偏差T_cmdを算出する。
さらに、偏差T_cmdに対して、所定のゲインを乗算し、その乗算値をモータ20Aが磁気変調ギヤ装置30に入力するトルクとなるようにトルク制御を行う。
これより、出力軸32bに適正な位相差が生じるように、モータ20Aのトルクが制御されることにより、出力軸32bに対して、トルク指令Tに応じた目標出力トルクが発生する。
【0056】
つまり、制御装置40Bは、上記減算器43Bの処理によって、トルク推定部としての位相差算出部42及びトルク取得部41Bが推定する出力トルク(出力トルクT_fb)と目標出力トルク(トルク指令T)の差分から駆動源(モータ20A)の入力トルクの制御を行っている。
【0057】
以上のように、駆動装置1Bは、制御装置40Bにおける位相差算出部42及びトルク取得部41Bがトルク推定部として機能することより、高速軸回転角度センサ35と低速軸回転角度センサ36の出力から出力軸32bに生じる出力トルクを容易に取得することが可能である。
【0058】
また、制御装置40Bは、温度センサ37によって検出される磁気変調ギヤ装置30の外極磁石33の温度に基づいてトルク取得部41Bが求める出力トルクを補正するので、温度の影響を反映して、駆動装置1Bは、より精度の高いトルク制御を行うことが可能となる。
【0059】
[ロボットへの適用例]
上記第1~3の実施形態に示した駆動装置のロボットへの適用例について図面を参照して説明する。図6は、上記適用例であるロボット100の側面図である。
ロボット100は、土台となるベース101と、関節103で連結された複数のアーム102と、連結された複数のアーム102の先端部に保持されたツール104とを備え、
各関節103には前述した駆動装置1が設けられている。
【0060】
上記ロボット100の各関節103内の駆動装置1は、いずれも、高速軸回転角度センサ35と低速軸回転角度センサ36とを備えている。
従って、これら角度センサ35,36の検出に基づいて各関節の動作制御を行い、ツール104の位置、動作、動作速度を任意に制御することが可能である。そして、これらロボット100の各関節103の駆動装置1は、動作制御に用いられる高速軸回転角度センサ35及び低速軸回転角度センサ36のセンサ出力に基づいて、各関節103における出力軸32bの出力トルクを制御することが可能である。
このため、各関節103内の駆動装置1で個別に出力トルクを適正に制御することで、例えば、図6に示すワークWに対してロボット100のツール104が一定の押圧力(目標値)で接する又は一定の押圧力(目標値)で接しながらツール104により他の作業を行う等のような力覚制御を行うことが可能である。
【0061】
なお、上記ロボット100の場合には、力覚制御を行うために、各関節103内の駆動装置1のモータ20を連携させるために、駆動装置1ごとに制御装置40に設ける構成に替えて、各駆動装置1を統合的に制御する制御装置を設ける構成としても良い。或いは、各駆動装置1の制御装置40を連携させるための上位の制御装置を備える構成としても良い。
また、上記ロボット100の各関節103には、前述した駆動装置に1に限らず、他の駆動装置1A,1Bを設けてもよい。
【0062】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、モータ20Aのロータ磁石21cと磁気変調ギヤ装置30の内極磁石31aとが互いに独立した磁極を形成することとした。しかし、モータ20Aの界磁極と磁気変調ギヤ装置30の高速ロータ31の磁極とが共通化されていてもよい。
【0063】
また、各駆動装置1,1A,1Bでは、いずれも、ケーシング34,34A内に高速軸回転角度センサ35と低速軸回転角度センサ36の両方を配置しているが、少なくとも高速軸回転角度センサ35と低速軸回転角度センサ36の一方をケーシング34,34A内に配置する構成としても良い。その場合でも、内部に配置されたいずれかのセンサ35又は36は保護され、検出の安定性、装置の信頼性を向上させることが可能である。
【0064】
また、モータ20,20Aは、ブラシレスモータを例示したが、その形式・構造は特に限定されず、例えば、同期機でも誘導機でもよい。
また、上記各実施形態の磁気変調ギヤ装置30では、外極磁石33を固定子とし、磁極片32aを有する低速ロータ32から出力を取り出す構成としているが、磁極片32aを固定し、外極磁石33を回転可能な低速ロータに連結して、当該低速ロータから出力を取り出す構成としてもよい。
【0065】
また、上記各実施形態では、変速機としての磁気変調ギヤ装置30が減速機である場合を例示したが、変速機としての磁気変調ギヤ装置30を増速機としてもよい。
その場合は、外極磁石33の極対数、内極磁石31aの極対数、磁極片32aの磁極数を適宜変更することで実現可能である。
或いは、出力軸32b側からモータ20のトルクを入力し、シャフト23側から高速回転を取り出してもよい。この場合、シャフト23側の位相差を求めてシャフト23側の出力トルクを検出又は制御することができる。
【0066】
また、上記駆動装置1Bでは、制御装置40Bがトルク推定部(位相差算出部42及び
トルク取得部41B)としての機能と、モータ20Aの入力トルクの制御を行う機能とを備えているが、これら二つの機能はそれぞれ別の制御装置で実行する構成としても良い。
その場合、トルク推定部としての機能を実行するチップ等からなる制御素子を磁気変調ギヤ装置30(又はモータ20Aと一体化された磁気変調ギヤ装置30)に設け、磁気変調ギヤ装置30単独で出力トルクを検出可能としても良い。
【0067】
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B 駆動装置
20,20A モータ(駆動源)
23 シャフト(入力軸)
30 磁気変調ギヤ装置
31,31A 高速ロータ
31a 内極磁石
31b ロータヨーク
32 低速ロータ
32a 磁極片(ポールピース)
32b 出力軸
33 外極磁石
33a ヨーク部
34,34A ケーシング
35 高速軸回転角度センサ(入力軸側センサ)
36 低速軸回転角度センサ(出力軸側センサ)
37 温度センサ
40,40B 制御装置
41 位相差出力部
41B トルク取得部
42 位相差算出部
43,43B 減算器
100 ロボット
103 関節
Ax 中心軸
トルク指令
T_fb 出力トルク
T_cmd 出力トルクの偏差
θ 位相差
θ_fb 位相差
θ_cmdθ 偏差
図1
図2
図3
図4
図5
図6