(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150618
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】傾斜地用フェンス
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
E04H17/16 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053299
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】304053946
【氏名又は名称】株式会社キャムズ
(72)【発明者】
【氏名】太田 雅章
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142BB01
2E142CC06
2E142HH01
2E142HH05
2E142HH25
2E142LL01
(57)【要約】
【課題】どのような傾斜地であっても容易に設置できる傾斜地用フェンスを提供する。
【解決手段】本発明の傾斜地用フェンスは、略平行四辺形の枠体と、上記枠体内に設けられた複数の縦線材と、上記枠体内に設けられた複数の横線材とを備え、上記枠体は、枠体を構成する各辺が隣接する辺とのなす角度が可変であり、上記複数の縦線材のそれぞれは、複数の線材からなる撚線であり、上記複数の横線材のそれぞれは、複数の線材からなる撚線であり、上記縦線材と上記横線材の交点においては、上記縦線材の撚線の開口部に上記横線材の少なくとも1本の線材が通り、且つ、上記横線材の撚線の開口部に上記縦線材の少なくとも1本の線材が通ることで、互いの相対位置を制約しあうものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行四辺形の枠体と、
上記枠体内に設けられた複数の縦線材と
上記枠体内に設けられた複数の横線材と、
を備え、
上記枠体は、枠体を構成する各辺が隣接する辺とのなす角度が可変であり、
上記複数の縦線材のそれぞれは、複数の線材からなる撚線であり、
上記複数の横線材のそれぞれは、複数の線材からなる撚線であり、
上記縦線材と上記横線材の交点においては、上記縦線材の撚線の開口部に上記横線材の少なくとも1本の線材が通り、且つ、上記横線材の撚線の開口部に上記縦線材の少なくとも1本の線材が通ることで、互いの相対位置を制約しあう
ことを特徴とする傾斜地用フェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜地に設置するのに適したフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物を囲むフェンスや、動物の侵入を防ぐ等の目的で設置されるフェンスは、通常は平地を想定したものである。
しかし、傾斜地に設置するケースもあり、傾斜地に適したフェンスも提供されている。
【0003】
例えば、傾斜地に所定の間隔で鉛直方向に沿って立設された複数の支柱と、これら支柱に固定される矩形状の複数のフェンス体とからなり、フェンス体は、縦線材と横線材とを格子状に溶接した溶接金網であり、地面に沿って配置する。一番側端の網目同士が互いに重なるように隣接する2つの溶接金網の側端部を互いに重ね、これら2つの溶接金網が重なった縦方向に延びる複数の網目にワイヤーを交互に通してこのワイヤーの端部を溶接金網に固定金具を用いて固定するフェンスが提案されている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたフェンス体は、交点が溶接で固定された格子状のフェンス体からなり、このフェンス体の側端部を重ね合わせて、固定金具を用いて固定することが必要である。したがって、設置に時間が掛かる。
【0006】
また、設置する傾斜地の傾斜角度は一様とは限らない。起伏があり、傾斜角度が変化することが普通であり、その場合には、隣接するふたつのフェンス体の側端部同士がぴったりと合わないため、固定金具を用いて固定することが難しい。
【0007】
このように、設置に手間が掛かり、且つ設置する傾斜地に起伏がある際には、設置すること自体が困難になる場合もある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、傾斜角度が一様ではない起伏がある傾斜地であっても容易に設置できるフェンスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の傾斜地用フェンスは、
略平行四辺形の枠体と、
上記枠体内に設けられた複数の縦線材と
上記枠体内に設けられた複数の横線材と、
を備え、
上記枠体は、枠体を構成する各辺が隣接する辺とのなす角度が可変であり、
上記複数の縦線材のそれぞれは、複数の線材からなる撚線であり、
上記複数の横線材のそれぞれは、複数の線材からなる撚線であり、
上記縦線材と上記横線材の交点においては、上記縦線材の撚線の開口部に上記横線材の少なくとも1本の線材が通り、且つ、上記横線材の撚線の開口部に上記縦線材の少なくとも1本の線材が通ることで、互いの相対位置を制約しあうものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る傾斜地用フェンスは、このように構成されているので、どのような傾斜地であっても容易に設置できる。
また、縦線材と横線材の交点が撚線で拘束しあうようにしたので、縦線材と横線材で構成される各格子が全て同じ大きさの平行四辺形になる。また、溶接を用いないため、溶接が外れるといった不具合が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の傾斜地用フェンスの正面図である。。
【
図2】本発明の傾斜地用フェンスの傾斜地に設置する状態の正面図である。
【
図3】本発明の傾斜地用フェンスの縦線材と横線材の交点の拡大図である。
【
図4】本発明の複数の傾斜地用フェンスを設置した際の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態.
以下に、本発明の実施の形態に係る傾斜地用フェンスについて、図を用いて説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明の一例であって、特に本発明をこの一例に限定するものではない。例えば、本発明品およびその構成部品に関して材質や寸法等を開示するが、これらは本発明の良好な一例を示すにすぎない。したがって、以下の実施の形態と同様の発明概念を持つ発明品を本発明は含有するものである。
【0013】
<フェンスの構成>
図1は、本発明の傾斜地用フェンス1の正面図である。また、
図2は、傾斜地に設置した際の正面図である。なお、
図1において、図の煩雑化を避けるため、同じ種類の部材が複数ある場合には、符号2、3、4等は代表する1つの部材のみに付している。
傾斜地用フェンス1は、略平行四辺形の枠体2と、枠体2内に設けられた複数の縦線材3と、枠体2内に設けられた複数の横線材4とからなる。
枠体2は、枠体2を構成する各辺が隣接する辺とのなす角度が可変になっている。
【0014】
複数の縦線材3のそれぞれは、複数の線材からなる撚線であり、複数の横線材4のそれぞれは、複数の線材からなる撚線である。そして、例えば、撚線が2本で構成されている際には、
図3に示すように、縦線材3と横線材4の交点においては、縦線材3a、3bの撚線の開口部に横線材4a、4bの内の少なくとも1本の線材が通り、且つ、横線材4a、4bの撚線の開口部に縦線材3a、3bの内の少なくとも1本の線材が通ることで、互いの相対位置を制約しあうものである。
【0015】
<フェンスの機能的特徴>
図4は、複数の傾斜地用フェンス1を傾斜地に設置した際の図である。
地面200に支柱100を鉛直に打ち込み、支柱100に
図1に示す固定手段5を用いて固定することで、複数の傾斜地用フェンス1を設置する。
【0016】
設置する地面の角度に応じて、枠体2が変形するので、どのような起伏地であっても容易に設置できる。
また、縦線材3と横線材4がそれぞれ撚線で構成され、交点においては、ぞれぞれの撚線をお互いに通し合うようにしている。これにより、縦線材3に対する横線材4の角度が可変になり、且つ、縦線材3と横線材4の交点位置は維持される。
【0017】
縦線材3と横線材4は、例えば、金属ワイヤー等の撚線であり、2本の撚線でも良いし、3本、あるいはそれ以上の本数の撚線でも良い。
【0018】
<本発明の特長>
本発明の傾斜地用フェンスは、このように構成されているので、傾斜角度が一様な傾斜地であっても、あるいは、傾斜角度が変化する起伏がある傾斜地であっても、容易に設置できる。
【0019】
また、金網を構成する線材が撚線で構成されているので、縦線材と横線材の各交点位置は溶接等を行わなくても維持され、また、縦線材と横線材の角度を可変にできる。したがって、縦線材と横線材によって作られる各格子の大きさは同じ大きさになる。さらに、溶接等が不要であるため、交点部分が劣化により外れたりすることもなく、長期的な信頼性が得られる。
【符号の説明】
【0020】
1 傾斜地用フェンス
2 枠体
2a 枠体結合部
3 縦線材
4 横線材
5 固定手段
100 支柱
200 地面