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特開2022-15063継手表示システム及び継手表示プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015063
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】継手表示システム及び継手表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20220114BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220114BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20220114BHJP
【FI】
G06F17/50 680B
G06F17/50 612C
G06F17/50 610A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117678
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】594045791
【氏名又は名称】株式会社ア-キテック
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中島 徹
【テーマコード(参考)】
5B046
5B146
【Fターム(参考)】
5B046AA03
5B046BA05
5B046HA09
5B046JA01
5B146AA04
5B146DG00
5B146DG07
5B146DJ14
(57)【要約】
【課題】 躯体の鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結する継手の種類及び配置が設計情報と合致しているか否かを容易に認識できる継手表示システム及び継手表示プログラムの提供。
【解決手段】 躯体に内包される鉄筋の鉄筋線形を形作る鉄筋群の切寸を採取する切寸取得手段と、前記切寸取得手段で採取された切寸を受けて前記鉄筋線形を形作る鉄筋群の切寸連結情報を編集すると共に、当該切寸連結情報と当該鉄筋線形を紐付ける連結情報作成手段と、前記切寸連結情報と鉄筋計算ルールに基づき前記鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結する継手の種類及び配置からなる継手データを導く継手設定手段と、前記継手データに基づき配置された継手が規則に副った位置に配置されているか否かを判定する継手検査手段と、前記継手検査手段の判定結果を配筋状態が表された図面における前記連結部の表示に反映させる継手表示手段を備えることを特徴とする継手表示システム及びそのプログラム。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結するための継手についてその種類及び配置からなる継手データを導く継手設定手段と、
前記継手データに基づき配置された継手が規則に副った位置に配置されているか否かを判定する継手検査手段と、
前記継手検査手段の判定結果を配筋状態が表された図面における前記連結部の表示に反映させる継手表示手段を備えることを特徴とする継手表示システム。
【請求項2】
前記継手表示手段は、前記継手データに基づき採用された継手の種類が反映された形状又は色のシンボルを配筋状態が表された図面における各々の連結部に表示することを特徴とする請求項1に記載の継手表示システム。
【請求項3】
前記継手表示手段は、前記継手検査手段の判定結果に基づき継手の配置の適否が反映された形状又は色のシンボルを配筋状態が表された図面における各々の連結部に表示することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の継手表示システム。
【請求項4】
コンピュータに、
躯体の鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結するための継手についてその種類及び配置からなる継手データを導く継手設定手段と、
前記継手データに基づき配置された継手が規則に副った位置に配置されているか否かを判定する継手検査手段と、
前記継手検査手段の判定結果を配筋状態が表された図面における前記連結部の表示に反映させる継手表示手段を備える継手表示システムとして機能させることを特徴とする継手表示プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
前記継手表示手段が、前記継手データに基づき採用された継手の種類が反映された形状又は色のシンボルを配筋状態が表された図面における各々の連結部に表示する継手表示システムとして機能させることを特徴とする請求項4に記載の継手表示プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
前記継手表示手段が、前記継手検査手段の判定結果に基づき継手の配置の適否が反映された形状又は色のシンボルを配筋状態が表された図面における各々の連結部に表示する継手表示システムとして機能させることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載の継手表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いて躯体の配筋画像などを編集する配筋設計支援システムにおいて、配筋図に継手を表示する継手表示システム及び継手表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、コンピュータを用いて躯体の配筋設計を支援する装置や、コンピュータに躯体の配筋設計を支援する機能を与えるプログラムが複数提供され(例えば下記特許文献1参照)、配筋図が比較的容易に作成することができる時代となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-061946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄筋製品は、JIS規格で、3.5mから12.0m(0.5mきざみ)が用意されており、躯体を形作る鉄筋線形の長さによっては、当該鉄筋線形を構成する鉄筋群を、継手を介して連結する手法が採られている。
躯体の配筋設計は、先ず机上で計画を立て、紙面又はコンピュータの画面上で編集する手法が採られるが、その際、前記鉄筋群を連結する継手は、図面においては、鉄筋線形を形作る鉄筋群の連結部に介在する形で表示される(図1参照)。
【0005】
鉄筋群を連結する継手には複数の種類があり、連結の態様に応じて継手の選択や配置には設計情報に副った鉄筋計算ルールなど一定の規則が定められている。
殊に、「重ね」又は「圧接」を採用する場合にあっては、鉄筋計算ルールに副った適合領域に配置されていることを確認する必要があるため、配筋図の読解性並びに継手の種類及び配置の視認性を高めることが課題となっている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、躯体に内包される鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結する継手の種類及び配置が設計情報と合致しているか否かを容易に認識できる継手表示システム及び継手表示プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明による継手表示システムは、躯体の鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結するための継手についてその種類及び配置からなる継手データを導く継手設定手段と、前記継手データに基づき配置された継手が規則に副った位置に配置されているか否かを判定する継手検査手段と、前記継手検査手段の判定結果を配筋状態が表された図面における前記連結部の表示に反映させる継手表示手段を備えることを特徴とする。
【0008】
前記継手表示手段は、前記継手データに基づき採用された継手の種類が反映された形状又は色のシンボル、又は前記継手検査手段の判定結果に基づき継手の配置の適否が反映された形状又は色のシンボルの少なくとも一方を配筋状態が表された図面における各々の連結部に表示する構成を採ることができる。
後者において、例えば、前記継手検査手段として、躯体に含まれる鉄筋線形のすべてについて採用された継手が配置されるべき適合領域を設定し、採用された継手の配置が適合領域に入っているか否かを判定し、適合領域に入っていれば適正である旨の出力を行い、適合領域に入っていなければ不適正である旨の出力を行う構成を採ることができる。
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明による継手表示プログラムは、コンピュータに、躯体の鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結するための継手についてその種類及び配置からなる継手データを導く継手設定手段と、前記継手データに基づき配置された継手が規則に副った位置に配置されているか否かを判定する継手検査手段と、前記継手検査手段の判定結果を配筋状態が表された図面における前記連結部の表示に反映させる継手表示手段を備える継手表示システムとして機能させることを特徴とする。
【0010】
コンピュータに、前記継手表示手段が、前記継手データに基づき採用された継手の種類が反映された形状又は色のシンボル、又は前記継手検査手段の判定結果に基づき継手の配置の適否が反映された形状又は色のシンボルの少なくとも一方を配筋状態が表された図面における各々の連結部に表示する構成を採った継手表示システムとして機能させる構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムによれば、配筋図の読解性並びに継手の種類及び配置の視認性を高めることができるので、連結の態様に応じて継手の選択や配置が一定の規則に副っているかが一目で判断でき、設計後における鉄筋の配置確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムにより表示される画像の一例を示す説明図である。
図2】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムにおける鉄筋線形の処理イメージの一例を示す説明図である。
図3】躯体における継手位置の適合領域の一例を示す説明図である。
図4】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムの(A):躯体軸を導く処理、及び(B)(C)(D)(E):躯体における継手位置の適合領域を設定する処理の一例を示す説明図の一例を示す説明図である。
図5】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる継手判定手段で行われる処理の一例を説明するフローチャートである。
図6】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで用いられる情報の構成例を示すブロック図である。
図7】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる文字列表示位置の決定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる文字列表示位置の決定処理の一例を示す説明図である。
図9】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる文字列表示位置の決定処理の一例を示す説明図である。
図10】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる文字列干渉回避処理の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる文字列表示位置の決定処理の一例を示す説明図である。
図12】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる鉄筋長文字列作成処理の一例を示すフローチャートである。
図13】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われるまとめデータ作成処理の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われるまとめ数検出処理の一例を示すフローチャートである。
図15】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われるまとめ線形検出処理の一例を示すフローチャートである。
図16】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる表示整理処理の一例を示すフローチャートである。
図17】躯体及び躯体に内包される鉄筋線形及びその鉄筋群の状態の一例を説明する説明図である。
図18】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムの躯体軸作成処理及び躯体領域作成処理の一例を示す説明図である。
図19】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで用いられる情報の構成例を示すブロック図である。
図20】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる継手判定手段で行われる処理の一例を説明するフローチャートである。
図21】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで行われる継手判定手段で行われる処理の一例を説明するフローチャートである。
図22】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図23】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで用いられる設計図書の一例を示す説明図である。
図24】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムで用いられる設計図書の一例を示す説明図である。
図25】本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムの(A):躯体表皮計算手段及び(B):鉄筋表皮計算手段で行われる処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による継手表示システム及び継手表示プログラムの実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図22は、本発明の実施形態にかかる継手表示システムを具備した配筋設計支援装置の機能構成を示したブロック図である。
【0014】
この配筋設計支援装置は、設計仕様に副った入力データの入力操作が行なわれる入力手段と、当該入力手段から得た入力情報に基づき躯体表皮データ(3次元表皮座標)と躯体軸(躯体軸の位置座標など)からなる設計躯体データを作成する設計躯体データ作成手段と、前記設計躯体データ及び鉄筋計算ルールに基づき、当該躯体に配筋されるべき鉄筋の鉄筋線形データ及び配筋データからなる鉄筋データ(図19(B)参照)を作成する配筋計算手段と、前記設計躯体データから3次元躯体表皮データを導く躯体表皮計算手段と、前記鉄筋データから3次元鉄筋表皮データを作成する鉄筋表皮計算手段と、前記各データの格納部から指定された情報を検索するデータ検索手段と、前記データ検索手段により検索された前記図形データを画像化して出力する画像編集手段を備える。
【0015】
前記入力手段は、キーボード等による入力操作又はリムーバブルメディアから設計図書に記載された基礎、柱、梁、スラブ、壁等の配筋リスト(図23参照)と定尺仕様等を前記入力データとして入力する。
【0016】
前記設計躯体データ作成手段は、柱及び梁については、前記設計図書の平面図及び立面図に記載されていた躯体の寸法及び躯体軸を導き、その躯体断面を躯体軸に沿ってスイープし、躯体断面及び躯体軸を軸節点に複数個配置した三次元の前記設計躯体データとして保存する(図24(A)(B)(C)参照)。
一方、壁及びスラブについては、前記設計図書の平面図及び立面図に記載されている躯体の寸法及び躯体軸を導き、躯体断面を躯体軸に沿って躯体を構成する面の厚み分スイープし、躯体断面及び躯体軸を前記躯体軸の前後に配置した三次元の前記設計躯体データとして保存する(図24(A)(B)(D)参照)。
【0017】
前記躯体表皮計算手段は、前記設計躯体データに含まれる躯体表皮の各面を三角形に分割し、各頂点の座標等を保存する(図25(A)参照)。
【0018】
前記配筋計算手段は、柱及び梁については、前記配筋リストの主鉄筋をスイープ軸として基本線形を作成し、端のいずれかが他の躯体に接続している前記基本線形に対し、定着仕様に従って定着線形を追加した鉄筋線形の鉄筋線形データを作成すると共に、前記柱及び梁の躯体軸に沿ってSTP(スタラップ)鉄筋の鉄筋線形の鉄筋線形データを前記設計仕様で指定されたピッチで作成する(図24(A)(B)(C)参照)。
当該配筋計算手段は、スラブ及び壁については、表面の重心点から前記設計仕様で縦横方向に当該表面を横断する基本線形を作成し、端のいずれかが他の躯体に接続している前記基本線形に対し、定着仕様に従って定着線形を追加した鉄筋線形の鉄筋線形データを作成する(図24(A)(B)(D)参照)。
【0019】
前記配筋計算手段によって作成される鉄筋線形は、直線部と円弧部とで構成され、円弧以外の曲線、例えばベジェ曲線等は、任意の誤差内で細分された円弧の組み合わせとして保存される(図25(B)参照)。
前記鉄筋線形データは、その座標とその属性を備え、前記属性は、当該鉄筋線形のID、前記配筋リストに記載されている鉄筋径の名称、材質、直径及び継手種類を含む。
また、前記配筋データは、鉄筋のかぶり、定着長、フック爪長さ及び曲げR部等の属性を含む。
【0020】
前記鉄筋表皮計算手段は、鉄筋線形の円弧部を微細な直線の組み合わせに置換し、鉄筋径の多角形断面をその線形に沿ってスイープすると共に、当該スイープにより形成された面を三角形に分割し各頂点の座標等を保存する(図25(B))。
【0021】
また、この配筋設計支援装置は、各種データの格納部として、前記設計躯体データを格納する設計躯体情報格納部と、前記鉄筋データを格納する鉄筋情報格納部と、前記設計躯体データから前記鉄筋データ並びに当該鉄筋線形を構成する鉄筋の連結に使用する継手の配置及び種類等の継手データを導くための前記鉄筋計算ルールを格納する鉄筋計算ルール格納部と、前記躯体表皮計算手段及び前記鉄筋表皮計算手段で導かれた図形データ(躯体表皮データ及び鉄筋表皮データなど)を所定のファイル形式で格納する図形データ格納部を備える。
尚、前記設計躯体データは、上記の通り躯体表皮データと躯体軸からなり、それらに含まれる属性から梁、柱、スラブ、壁を識別することができる。データファイルとして配筋設計支援装置に読み込むことができる。
【0022】
この配筋設計支援装置は、コンピュータシステムに、配筋設計支援プログラムをインストールすることによって前記配筋設計支援装置として機能する。
前記コンピュータシステムは、各部を制御するCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラムを含む各種情報を格納するROM(Read Only Memory)と、ワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)と、各種情報を読み出し及び/又は書き込み可能に記憶する記憶部と、外部からの入力を受け入れるユーザインターフェースその他の入力インターフェースを具備し、種々の操作デバイスを介した入力処理及び制御処理を行う入力制御部と、各種入出力情報を表示する表示部など各種情報の出力処理及び制御処理を行う出力制御部を構成する(図示省略)。
尚、前記各種機能手段や各格納部をネットワーク上の複数のコンピュータに配置し連携して動作する分散オブジェクト型として展開することも可能となる。
【実施例0023】
この例では、前記配筋設計支援装置に継手表示システムを備える。
前記継手表示システムは、前記配筋設計支援プログラムに継手表示プログラムが組み込まれることによって前記配筋設計支援装置に組み込まれる。
【0024】
前記継手表示システムは、前記配筋計算手段が出力した鉄筋データから当該躯体に内包される鉄筋線形を取得する配筋検出手段と、前記鉄筋データから鉄筋計算ルールに基づき躯体の鉄筋線形を形作る鉄筋群の切寸を導く切寸取得手段と、前記切寸取得手段で導かれた切寸を受けて前記鉄筋線形を形作る鉄筋群の切寸連結情報を編集すると共に、当該躯体に内包された鉄筋の鉄筋線形の属性として当該切寸連結情報と当該鉄筋線形を紐付ける連結情報作成手段と、前記鉄筋線形に紐付けられた切寸連結情報を当該鉄筋群が形作る鉄筋線形の表示の一部(先端部)と紐付けた集約表示として出力する連結情報表示手段を備えると共に、前記切寸連結情報と鉄筋計算ルールに基づき前記鉄筋線形を形作る鉄筋群を連結する継手の種類及び配置(座標等)からなる継手データを導く継手設定手段を備える。
【0025】
ここで、前記切寸は、一連の鉄筋線形を複数の鉄筋が継手を介して連結された一群の鉄筋群として振り分けた際に、当該鉄筋群に含まれる各鉄筋の端点に挟まれた各線分の寸法であって、アンカ部及びフックを含めたものである。
前記切寸取得手段は、その継手設定手段により前記鉄筋データの鉄筋線形並びにそれに含まれる鉄筋の定着長、フック爪長さ、曲げR部等から、一連の鉄筋線形に継手が介在する位置(座標)及びその継手の種類を設定する継手設定処理を行うと共に、寸法検出手段により前記鉄筋線形からそれに属する鉄筋の寸法(切寸)を当該鉄筋線形の始点から順に導く単位寸法検出処理を行う。
【0026】
前記単位寸法検出処理は、例えば、鉄筋線形の全長が13mであれば、前記鉄筋線形データと紐付いた線形IDに続いて、鉄筋線形全長13000を4000で3個に割って余り1000を最後に追加し一連の寸法データ“ID,4000,4000,4000,1000”(切寸連結情報)を単位レコードとして保存し、各鉄筋線形の前記鉄筋線形データと紐づけられたレコード群を形成する(図6参照(A))。
【0027】
前記切寸連結情報は、前記鉄筋線形データの属性の一つとして、線形を特定する線形座標に続いて連結された構成を採ることもできる。前記線形座標と切寸連結情報は、例えば「TAB」を介在することにより分別することができる。
前記切寸取得手段は、鉄筋データから一本の鉄筋線分(切寸)を抽出し、当該線分の端点上に端点が存在する他の線分、又は当該線分の端点から当該鉄筋の半径の範囲内相当の距離に端点が存在する他の線分を検索し特定しつつ鉄筋線形を特定する単位寸法検出処理を採用することもできる。
尚、一連の寸法データを含む鉄筋線形データを他の記録媒体に書き込まれたファイルから読み込むこともできる。
【0028】
次に、前記連結情報作成手段は、線形IDに続いて、前記切寸取得手段で導かれた寸法を前記鉄筋線形の始点から順に連結した鉄筋長文字列(1個の鉄筋線形を構成する鉄筋長を集めて切寸連結情報に副って横一列に間断なく表示されたもの。以下「文字列」という。)、例えば、“ID 4000-4000-4000-1000”を作成する文字列作成処理を行う。
【0029】
更に、前記連結情報作成手段は、当該躯体に同じ形態の鉄筋線形が複数並走する状態で内包され、且つ当該図面画像にその一部又は全部が並列に表記されている場合には、“D25 4000-4000-4000-1000 x3”の様に切寸及び本数を一括表示した集約表示としてまとめデータ作成処理を行う構成を採ることも可能である(図12乃至図15参照)。
【0030】
前記まとめデータ作成処理は、同じ情報を重ねて表示することに伴う表示の密集を避け、読図の便宜を図ることを目的として、前記文字列に本数を追加して一括表示する鉄筋を抽出する処理であって、まとめデータ作成手段によって行われる。
その際、前記まとめデータ作成手段は、前記線形IDに続いて、開始距離、終了距離、開始アンカ長及び終了アンカ長を算出し、鉄筋線形データの属性として本数情報がある場合は、その本数を取得し、無い場合は本数を一本(初期値)として処理を行う。
【0031】
続いて、前記切寸取得手段で導かれた寸法を前記鉄筋線形の始点から順に連結し、例えば、“線形ID,180,5030,300,300,2500,4000,4000,2150、本数”という形の寸法データを、鉄筋比較データ(α)m(図6(B)参照)として保存すると共に、(a)躯体軸上の開始距離及び終了距離が同じ、(b)始端アンカ長及び終点アンカ長が同じ、(c)連結個数及び切寸が同じであって且つ同じ順に連結されているという3要件(連結構成)を満足した鉄筋線形群(以下「同線形群」という)を、指定された向きの指定された層の図面画像に表示される鉄筋線形群から検出する処理を行う(図13乃至図15参照)。
【0032】
尚、図17(B)の例によれば、鉄筋線形(イ)の開始距離は、梁軸始点P0~SPa、終了距離は、梁軸始点P0~EPaであり、鉄筋線形(ロ)の開始距離は、梁軸始点P0~SPb、終了距離は、梁軸始点P0~EPbである。
また、アンカ長とは、鉄筋の端部に設けられた屈曲部の長さであって、フックの部分を除いた長さである。
例えば、鉄筋線形(イ)の始端アンカ長は、屈曲部の長さであり、鉄筋線形(ロ)の始端アンカ長は無く、終端アンカ長は、屈曲部の長さである。
【0033】
前記まとめデータ作成手段は、まとめデータ作成処理((β)群ループ)として、前記(a)、(b)及び(c)が一定の範囲で満たされているかを判定し(まとめ線形検出処理:(α)群ループ)、前記(a)、(b)及び(c)を満足した鉄筋線形の線形IDとそれら鉄筋線形の合計本数項目からなるまとめデータ(β)nを保存する(図6(C)、図13乃至図15参照)。
尚、この例において、前記距離の同一範囲は±50mm、アンカ長、各連結長(切寸)及び連結全長の同一範囲は±2.5mmとする。
【0034】
前記連結情報作成手段は、各まとめデータ(β)nについて、その先頭に記録された線形IDを抽出し、当該線形IDに紐づけられた鉄筋線形(以下「特定線形」という)の鉄筋比較データ(α)mの鉄筋ID及び寸法データを、文字列(集約表示)に記載する鉄筋ID及び寸法データとして採用する。
その際、前記連結情報作成手段は、当該寸法データの各切寸間にハイフンを挿入し、更に、まとめ数検出処理(図14参照)として、当該まとめデータ(β)nの合計本数項目から本数mを導き、その最後尾に「×」に続けて追加する文字列作成処理を行う(図12(A)参照)。
また、前記連結情報作成手段は、図面画像の視認性を高めるために、表示整理処理として、前記特定線形以外の鉄筋IDに係る鉄筋線形の文字列(集約表示)を非表示とする(図16参照)。
【0035】
前記まとめデータ(β)nは、前記まとめデータ作成手段により、与えられた条件(例えば指定された向きなど)に応じて、各躯体及び各躯体に含まれる鉄筋線形の連結構成について作成される。
その際、前記まとめデータ作成手段は、当該躯体に含まれる鉄筋線形を、複数の層に分割してまとめデータ作成処理を行う。
【0036】
前記まとめデータ作成手段は、図面として切取られる向き及び当該向きと直交する複数の層(以下「切取り層」という)について、躯体に含まれる鉄筋の、前記アンカ長を除く本体部分について鉄筋線形及びそれを形作る鉄筋の切寸を導く線形抽出処理と、前記鉄筋線形を構成すべく連結された線分の各節点の上方向外面からの距離(深度)を導く深度検出処理と、前記深度が浅い順に層を設定する配筋層設定処理を行い、当該切取り層の内部に存在する鉄筋線形のうちでまとめ対象となる鉄筋線形の本数mを検出する。
前記まとめデータ作成手段は、仮に、描画対象が梁である場合には、例えば、梁を真上から見る場合は、上筋、宙吊筋又は下筋が描かれる切取り層を設定することができる。
尚、この例において、前記線形抽出処理の出力は、前記配筋検出手段及び切寸取得手段の出力から導かれる。
また、前記宙吊筋は、複数の層にわたって重ねて配筋されている場合もある。
【0037】
前記鉄筋線形の構成に含まれる継手には、「重ね」、「圧接」及び「機械」があり、殊に「重ね」又は「圧接」を採用する場合には、鉄筋計算ルール等に基づく適合領域に継手を配置することが求められる。
仮に、同じ鉄筋線形が並走する場合には、隣り合う鉄筋線形の直近の継手を両者の長手方向に500mm以上ずらして配置することが求められる。
例として、上筋が2本の同一線形である場合には、各々の始端に位置する切寸として、それぞれ5000mmと5500mmの異なる寸法を使用し、中間に位置する切寸として同じ寸法を使用し、終端に位置する切寸として、それぞれ3500mmと3000mmを使用することで、全長が同じ寸法であり、且つ両者の継手の位置が500mmずつずれた配筋とすることができる。
この様に、「重ね」又は「圧接」の継手を使用した鉄筋線形が何十本隣接して配置された場合であっても、2種類の連結構成をまとめて表示すれば足りることとなり、良好な視認性を得ることができる。
【0038】
前記画像編集手段は、前記データ検索手段により検索された前記躯体表皮データ、鉄筋表皮データ又は鉄筋データなどを、前記上筋、宙吊筋又は下筋の層単位で分別し、指定された向きで陰線処理がほどこされた図面画像を作成し必要な説明書き等と共に出力する。
また、前記連結情報表示手段は、当該図面画像上に、当該画像に表示されている鉄筋の鉄筋線形に紐付けられた前記一連の文字列を、当該鉄筋群が形作る鉄筋線形の表示の一部に近接させることで位置的一体性を与え、又は引き出し線を介して位置的一体性を与えた集約表示として出力する。
各層の画像は、ユーザーの選択操作により、任意に選択して個別に表示し、又はすべての層の画像を、相互に重ならないようにずらして配置して表示することができる。
【0039】
前記連結情報表示手段は、前記鉄筋表皮データ、躯体表皮データ及び鉄筋データに基づき、鉄筋線形の始点P0を通る躯体軸(梁の場合は、当該梁の中央を通る線形又は当該線形を構成する要素である線形)の足APを求め、躯体軸に対する直角方向Vの躯体線(躯体の表皮が形作る外形線)との交点KPを文字列の表示位置の始点として設定する(図7及び図8参照)。
これをもって、当該文字列が寸法を表している鉄筋線形の始点P0がわかり、鉄筋線形と集約表示との位置的一体性が与えられることとなる(図8参照)。
前記交点KPは、前記文字列と躯体線の重なりを避けるために、前記鉄筋データから前記文字列と躯体線との干渉(かぶりなど)を検出した場合には、前記連結情報表示手段は、更に、躯体干渉解消手段で文字列の中心線(文字中心線)をV方向に文字高さ分移動する処理を行う(図9参照)。
【0040】
前記連結情報表示手段は、前記交点KPを文字列の始点とし、且つ前記躯体軸を構成する線形又は鉄筋線形と平行な線分を前記連結情報作成手段で作成された文字列の中心線とし、躯体軸が曲線であっても対応できるように、表示する文字列を構成する各文字を、前記文字列の中心線に沿って配置する(図8及び図9参照)。
前記文字列の複数が表示位置を共有する場合には、複数の文字列が一カ所に重なってしまうので、前記連結情報表示手段は、文字列干渉解消手段により文字列の始点が等しい文字列毎に、前記文字列の中心線をV方向に当該文字列の文字高さ単位でシフトさせる処理を行う(図10参照)。
【0041】
前記連結情報表示手段は、文字中心線上に文字列の基点SPを設け、文字の中心が並ぶ方向(文字中心線方向)SVに倣って各切寸をつなぐ文字及びセパレータ(ハイフン)を表示する。
文字列は、最初の文字列(最初の線形寸法)の中心を基点SPに配置し、当該基点SPにおける前記方向SVへ最初の文字列分移動させた新たな基点SPを中心としてセパレータを表示する(図11参照)。
【0042】
以上を切寸個数繰り返し、前記鉄筋線形を形作る鉄筋群の切寸を当該鉄筋群の配置に副って集合配置してなる文字列を完成させる。
以上の処理によれば、前記躯体線及び文字列の中心線が曲線であっても、それらに倣う文字列を表示することができる(図1参照)。
【実施例0043】
この例では、更に、前記継手設定手段が導いた前記継手データに基づき配置された継手が規則に副った位置に配置されているか否かを判定する継手検査手段と、前記継手検査手段の判定結果を配筋状態が表された図面(以下「配筋図」という)における前記連結部の表示に反映させる継手表示手段を備える。
尚、前記継手データは、継手の種類を識別する属性を持ち、配置を明示するために、三次元表皮座標のみで構成されたフォーマットと、三次元表皮座標を有さず鉄筋線形の始点から配置位置までの距離並びに継手の長さ及び直径で構成されるフォーマット(図19(A)参照)のいずれかを備える。
【0044】
この例は、前記鉄筋計算ルールに基づき導かれた継手について、圧接と、機械継手又は重ね継手をシンボルの形状(丸や円柱状など)や色で区別するなど鉄筋間に取り付けられる継手のシンボルに継手情報の機能を与えると共に、当該継手の相違や配置の適不適を色や太さで区別するものである。
一方、前記集約表示においては、鉄筋線形の切寸の連結位置に継手のシンボルを、前記継手データの座標等に副って表示させると共に、文字列の寸法間に継手の種類及び配置の適否を区別できるセパレータを介在することによって、設計値に適合しているかどうかをオペレータが容易に知ることができ、紙面又は画面に表された配筋図において、鉄筋線形の切寸間の連結に用いられる継手を一目で認識しつつ施工及び確認を行うことができる。
【0045】
<適合判定処理>
上記要請をみたすべく、この例は、前記切寸取得手段の継手設定手段により導かれた継手の配置が、当該継手の種類に応じて適合領域に配置されているか否かを判定する継手検査手段を備える。
以下、前記継手検査手段で行われる主な処理を配筋図に基づき説明する。
【0046】
<三次元躯体座標データ抽出処理>
継手の適合領域を含む躯体の座標データの抽出は、以下の処理を経て作成される。
前記躯体表皮データは、躯体の表皮を構成する各平面を定義する座標(三次元躯体座標データ)等のデータと、躯体の種類を示す属性データを含めて構成されている。
尚、前記躯体表皮データは、選択されたフォーマットにより、梁や柱の躯体軸を含む場合と含まない場合がある。
【0047】
躯体軸を含まない躯体表皮データについては、先ず、躯体軸を作成する。
以下、躯体の種類毎に躯体軸を導く手順の例を説明する。
【0048】
<梁軸>
1.躯体表皮を構成する多角形群から二つの仕口面を抽出する(図18(A)参照)。
仕口面は、表示空間Z軸のプラス方向(上方向)と面法線との角度が指定角度以上(例えば80度~110度)の面であって、当該仕口面のうち最小の面積を持つものを仕口面aとし、次に小さい面積を持つものを仕口面bとする。
2.仕口面aの重心点と仕口面bの重心点を結ぶ直線Aを作成する。
3.直線Aの線分上に適当な間隔で任意の点を設定し、当該点を含み、且つ直線Aに垂直な断面を作成する。
4.仕口面a及び仕口面bと交差しない断面で当該躯体の表皮を切断し、その断面の重心点の座標を導く。
5.仕口面a及び仕口面bと前記断面の重心点を順に連結し、その線を梁軸とする。
【0049】
<柱軸>
1.躯体表皮を構成する多角形群から二つの仕口面を抽出する(図18(B)参照)。
仕口面は、表示空間Z軸のプラス方向(上方向)と面法線との角度が指定角度以上(例えば0度~10度)の面であって、当該仕口面のうち最小の面積を持つものを仕口面aとし、次に小さい面積を持つものを仕口面bとして抽出する。
2.仕口面aの重心点と仕口面bの重心点を結ぶ直線Aを作成する。
3.直線Aの線分上に適当な間隔で任意の点を設定し、当該点を含み、且つ直線Aに垂直な断面を作成する。
4.仕口面a及び仕口面bと交差しない断面で当該躯体の表皮を切断し、その断面の重心点の座標を導く。
5.仕口面a及び仕口面bと前記断面の重心点を順に連結し、その線を柱軸とする。
【0050】
以下、前記三次元躯体座標データから継手の配置に係る適合領域及び不適合領域を設定する処理について具体的に説明する。
【0051】
<梁の領域設定>
1.梁の躯体軸を前記躯体表皮データに基づいて、適当な分割比で三つに分割し、その分割点をおいて当該躯体軸に対して直角な切断面で当該躯体を分割する。分割比は、例えば、1:2:1(継手距離とすれば、0.0~0.25,0.25~0.75,0.75~1.00)が挙げられる。この分割比は、ユーザインターフェースで適宜変更可能とすればよい。
2.躯体断面を、その中心から上下に分割し、六つの切断躯体(ブロック)に区画する。
3.六つのブロックのうちの上両端にあるブロックと下中央にあるブロックを不適合領域とし(必要に応じて削除する)、残るブロックを適合領域とする(図3参照)。
【0052】
<柱の領域設定>
1.柱の躯体軸を設計仕様により、適当な分割比で二つに分割し、その分割点をおいて当該躯体軸に対して直角な切断面で当該躯体を分割する。分割比は、例えば、1:1(継手距離とすれば、0.0~0.5,0.5~1.0)が挙げられる。この分割比は、ユーザインターフェースで適宜変更可能とすればよい。
2.躯体断面を、その中心から上下に分割し、二つの切断躯体(ブロック)に区画する。
3.二つのブロックのうちの上にあるブロックを不適合領域とし(必要に応じて削除する)、残るブロックを適合領域とする(図18(B)参照)。
【0053】
<スラブの領域設定>
1.スラブが形作る多面体の閉鎖面の重心点Pを導くと共に、重心点Pを通り且つスラブに垂直な回転軸Oを導く(図4(B)(C)参照)。
2.回転軸Oを中心とする切断面を導くと共に、当該回転軸Oを中心に切断面を回転させた時に切断線(切断面の水平長)が最も短くなる時の切断長をLとし、当該切断長Lの重心点Pを始点とするベクトル方向(主筋方向)をVとする(図4(D)参照)。
3.設計仕様により、仮に、重心点PからV方向への距離をLとして所定の分割比を満足する切断線上の分割点Paを導き、当該分割点Paを含む前記切断面と直交する分割面で躯体を区画する。
4.前記Vの対称方向についても同様に、切断長をLとし、当該切断長Lの重心点Pを始点とするベクトル方向(主筋方向)をVとして切断線を含む切断面で躯体を区画する。
5.切断線を重心点Pを通る回転軸Oを中心として90度回転させた位置に別途切断線を設定し同躯体を同様に区画する。
以上の処理をもって区画された九個の切断躯体(ブロック)を更に上下に中心で分割し18個のブロックに区画する。
6.前記18個のブロックのうちの上両端にあるブロックと下中央にあるブロックを不適合領域とし(必要に応じて削除する)、残るブロックを適合領域とする(図3及び図4(D)(E)参照)。
尚、前記分割比は、ユーザインターフェースで適宜変更可能とすればよい。
【0054】
<壁の領域設定>
壁については、躯体全体を適合領域とする。
【0055】
<継手位置算出処理>
前記継手データに継手位置を鉄筋線形上の距離で保有している場合(図19(A)参照)には、鉄筋線形と継手距離から点座標を算出する。
例えば、継手距離がLの場合、L0,L1,L2,L3からLP=L-L0-L1-L2で連結位置Xを決定する(図2(B)参照)。
次に、前記継手検査手段は、選定された継手が付された連結位置(継手位置)が適合領域に入っているか否かを判定し、適合領域に入っていれば「合格」、適合領域に入っていなければ「不合格」の出力を行う。
また、適合領域に入っていたとしても、合否領域の境界面から前後一定距離以内(以下「前注意領域」及び「後注意領域」という)に存在している場合には「注意」の出力を行う。
【0056】
前記継手データに継手を表皮座標で保有している場合には、表皮座標を表示し重心点を連結位置Xとする。
前記重心点及び連結位置Xは、鉄筋線形上にあるとし、適合領域又は不適合領域との境界に近いか否かの判定(以下「境界間近判定」)に使用する鉄筋線形に設定する。
【0057】
<継手表示>
前記継手表示手段は、前記継手検査手段の出力を、配筋図の鉄筋線形の連結位置に、予め定められた象徴シンボルで表示する。
前記継手表示手段は、前記切寸取得手段の継手設定手段で導かれた継手データに基づいて継手の種類及び配置(座標)を導き、例えば、圧接であれば球、機械継手又は重ね継手であれば円柱を表示する。
その際、球を表示する場合には、球の中心を連結位置Xに配置し、球の直径は、例えば鉄筋線形の太さの1.2倍から3倍程度とする。
一方、円柱の底辺の直径は、球と同様とし、その高さ(長さ)は、機械継手や重ね継手の種類により予め定められた長さとする。
円柱の中心線は、鉄筋線形の「開始距離点=連結位置X-継手長/2」から「終了距離点=連結位置X+継手長/2」までの領域とする(図2(C)参照)。
【0058】
<データ出力処理>
前記継手表示手段は、前記継手検査手段の判定結果を取り込み、当該判定結果を、鉄筋線形の表示における継ぎ手のシンボルに、その形状又は色等で含める処理を行う(図2(C)参照)。
出力先は、データを表示しているディスプレイやファイルである。
データファイルが出力される場合には、各躯体表皮、鉄筋データ及び色を付けた継手表皮データを指定のフォーマットで前記出力先へ送信する。
【0059】
その際、前記継手検査手段の出力は、前記継手表示手段によって表示されたシンボル又は色の相違として表示し、例えば、前記球及び円柱を採用するとすれば、その色を、「合格」は緑、「注意」は黄、「不合格」は赤で表示する(図3(D)参照)。
継手位置が適合領域にあれば合格とし、例えば緑色で継手を表示し、不合格であれば赤で表示する。(図20参照)。
また、適合領域の境界間近判定を行い、近い場合には黄色で表示する(図21参照)。
適合判定によって決定した各継手色を継手表皮座標の色データに反映する。
【0060】
また、前記継手表示手段は、継手のシンボルを前後で分割し、例えば、継手の位置が「不合格」である場合には、「前半・後半=赤・赤」で表示し、継手の位置は「合格」であるが、継手の一部が前注意領域に存在する「注意」である場合には、「前半・後半=黄・緑」、継手の一部が後注意領域に存在する「注意」である場合には、「前半・後半=緑・黄」で表示する。
そして、前半・後半いずれも「合格(注意を除く)」である場合には、「前半・後半=緑・緑」で表示する(図5参照)。
【0061】
更に、前記継手検査手段の出力は、前記連結情報作成手段により、前記文字列の切寸間を繋ぐハイフン等のセパレータの相違として表示される。
前記連結情報作成手段は、前記文字列を作成する際、前記切寸連結情報に基づいて当該鉄筋線形の切寸構成と共に各継手の位置を検出し、各ブロックにおける継手の位置関係から前記継手検査手段による「合格」、「注意」又は「不合格」の判定結果を取り込み、当該判定結果を前記集約表示に含める処理を行う(図11(B)又は図12(B)参照)。
【0062】
即ち、前記連結情報作成手段は、線形IDに続いて前記切寸取得手段で導かれた寸法を前記鉄筋線形の始点から順に連結した鉄筋長文字列を作成する際、前記継手検査手段の判定結果を取り込み、当該判定結果を、前記文字列の切寸間を繋ぐセパレータに含める処理を行う。
その際、前記継手検査手段の出力は、前記連結情報表示手段によって表示されたセパレータ又は色の相違として表示し、例えば、前記セパレータにハイフンを採用するとすれば、その色を、「合格」は緑、「注意」は黄、「不合格」は赤で表示する。
【0063】
また、前記連結情報表示手段は、ハイフンを前後で分割し、例えば、継手の位置が「不合格」である場合には、「前半・後半=赤・赤」で表示し、継手の位置は「合格」であるが、継手の一部が前注意領域に存在する「注意」である場合には、「前半・後半=黄・緑」、継手の一部が後注意領域に存在する「注意」である場合には、「前半・後半=緑・黄」で表示する。
そして、前半・後半いずれも「合格(注意を除く)」である場合には、「前半・後半=緑・緑」で表示する(図5参照)。
上記の通り作成された鉄筋長文字列は、前記連結情報表示手段により出力される。
【0064】
このように、継手の種類や配置状況に応じた異なる表示を行うことにより、2つの切寸に挟まれた継手の位置が適合領域に対してどのような位置関係にあるのかを、少ない視線移動で容易に確認することができる。
また、「注意」のシンボルに隣接した切寸は、境界からの長さが減少すれば適合領域から外れる危険があり、逆に増加すれば適合領域の中央に、より近づくことを認識することができるためオペレータにとって便宜となる。
【符号の説明】
【0065】
P 重心点,X 連結位置,
V 方向,AP 足,KP 交点,SP 基点,SV 方向,
a 仕口面,b 仕口面,A 直線,
図1
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図3
図4
図5
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