(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150680
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20220929BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61F13/494 111
A61F13/49 315
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053387
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嶺
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA08
3B200BA12
3B200CA08
3B200CA11
3B200DA02
3B200EA24
(57)【要約】
【課題】立ち上がりフラップが好適に起立するとともに、立ち上がりフラップの肌への当たりがソフトに形成された吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品1の肌面側に立ち上がりフラップ5が設けられ、立ち上がりフラップ5はフラップ形成シート6が自由端5Bで折り返されることにより形成され、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bの間に、自由端5B側から第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cが設けられ、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの間には非接着領域が形成され、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔は第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cとの離隔間隔よりも広く、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bが第3フラップ弾性部材7Cよりも基部5A側の溶着部8で互いに溶着されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有し、肌面側に立ち上がりフラップが設けられた吸収性物品であって、
前記立ち上がりフラップは、立ち上がりの起点となる基部と立ち上がりの先端となる自由端を有し、フラップ形成シートが前記自由端で折り返されることにより形成され、
前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側の間に、前記自由端側から第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材が設けられ、
前記第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材は、前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側に接着され、前記第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材の間に、前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側が互いに接着されない非接着領域が形成され、
前記第1フラップ弾性部材と前記第2フラップ弾性部材との離隔間隔は、前記第2フラップ弾性部材と前記第3フラップ弾性部材との離隔間隔よりも広く、
前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側が、前記第3フラップ弾性部材よりも基部側に形成された溶着部で互いに溶着されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記折り返されたフラップ形成シートは、前記自由端を挟んだ一方側が前記基部から前記自由端まで延び、前記自由端を挟んだ他方側が前記自由端から前記基部に至る途中まで延びている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記折り返されたフラップ形成シートの前記他方側の幅方向の長さは、前記立ち上がりフラップの前記基部から前記自由端までの幅方向の長さの50%以上95%以下である請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記溶着部は、前後方向に複数並んで形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記溶着部は、前記自由端の延在方向に対し30°~150°の角度で配置された溶着線が、前後方向に複数並んで形成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1フラップ弾性部材と前記第2フラップ弾性部材との離隔間隔は、前記第2フラップ弾性部材と前記第3フラップ弾性部材との離隔間隔の1.2倍以上5.0倍以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1フラップ弾性部材と前記自由端との離隔間隔は、前記第2フラップ弾性部材と前記第3フラップ弾性部材との離隔間隔よりも狭い請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記立ち上がりフラップの前後方向の端部は、前後方向にストライプ状に延びる接着部で前記トップシートに接着されている請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記非接着領域は、前記折り返されたフラップ形成シートの前側端および後側端まで延在し、前記折り返されたフラップ形成シートの前側端から後側端まで延びる通気路が形成されている請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、尿パッド、軽失禁パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿等の横漏れを防ぐために、肌面側に立ち上がりフラップが設けられた吸収性物品が知られている。立ち上がりフラップには通常弾性部材が設けられており、これにより、吸収性物品を着用した際、弾性部材の収縮力によって立ち上がりフラップが起立し、尿等の横漏れを防止することができる。例えば特許文献1~4には、さまざまな構成の立ち上がりフラップが設けられた吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-000656号公報
【特許文献2】特開2004-337387号公報
【特許文献3】特開2012-183134号公報
【特許文献4】特開2014-090723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立ち上がりフラップによって尿等の漏れ防止効果を高めるためには、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって好適に起立することが望ましく、そのためには、弾性部材をある程度のテンションで立ち上がりフラップに取り付けることが必要となる。しかし、この場合、立ち上がりフラップが着用者の肌に対して比較的強く接する可能性があり、その結果、着用者によっては立ち上がりフラップによって肌が強く締め付けられたり、違和感を覚えるおそれがある。逆に立ち上がりフラップの肌への当たりを弱めると、立ち上がりフラップが好適に起立せずに横漏れが起こりやすくなる。そのため、それらを両立させた立ち上がりフラップがあれば望ましい。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、立ち上がりフラップが好適に起立するとともに、立ち上がりフラップの肌への当たりがソフトに形成された吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有し、肌面側に立ち上がりフラップが設けられた吸収性物品であって;立ち上がりフラップは、立ち上がりの起点となる基部と立ち上がりの先端となる自由端を有し、フラップ形成シートが自由端で折り返されることにより形成され、折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側の間に、自由端側から第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材が設けられ;第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材は、折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側に接着され、第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材の間に、折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側が互いに接着されない非接着領域が形成され;第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材との離隔間隔は、第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材との離隔間隔よりも広く;折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側が、第3フラップ弾性部材よりも基部側に形成された溶着部で互いに溶着されているところに特徴を有する。
【0007】
本発明の吸収性物品は、立ち上がりフラップの自由端側に第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材が広い離隔間隔で設けられ、第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材の間に非接着領域が形成されているため、立ち上がりフラップの自由端側が着用者の肌に強く当たりにくくなり、着用感が向上する。一方、立ち上がりフラップには、第2フラップ弾性部材よりも基部側に第3フラップ弾性部材がさらに設けられ、第3フラップ弾性部材は第2フラップ弾性部材との離隔間隔が狭く設けられているため、第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材の収縮力によって、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって好適に立ち上がることができる。また、第3フラップ弾性部材よりも基部側で、折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側が溶着部で互いに溶着されているため、溶着部において立ち上がりフラップに剛性が付与され、立ち上がりフラップが起立状態で安定して保持されやすくなる。そのため、本発明の吸収性物品は、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって好適に起立し、尿等の漏れ防止効果を高めることができるとともに、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりをソフトなものとすることができ、着用感に優れるものとなる。
【0008】
折り返されたフラップ形成シートは、自由端を挟んだ一方側が基部から自由端まで延び、自由端を挟んだ他方側が自由端から基部に至る途中まで延びていることが好ましい。このように立ち上がりフラップが形成されることにより、立ち上がりフラップは基部側の部分での通気性が高まり、吸収性物品の肌面側の立ち上がりフラップ間に溜まった蒸れが、フラップ形成シートを透過して外部に放出されやすくなる。この場合、折り返されたフラップ形成シートの他方側の幅方向の長さは、立ち上がりフラップの基部から自由端までの幅方向の長さの50%以上95%以下であることが好ましい。
【0009】
溶着部は、前後方向に複数並んで形成されていることが好ましい。このように溶着部が形成されていれば、第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材の収縮力が立ち上がりフラップに好適に伝わりやすくなり、立ち上がりフラップが高く立ち上がりやすくなる。また、立ち上がりフラップに好適にギャザーが形成され、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりをソフトなものとしやすくなる。さらに、前後方向に隣接する溶着部の間の部分が通気路として機能し、立ち上がりフラップの通気性を高めることができる。
【0010】
溶着部は、立ち上がりフラップの自由端の延在方向に対し30°~150°の角度で配置された溶着線が、前後方向に複数並んで形成されていることが好ましい。このように溶着部が形成されていれば、立ち上がりフラップは起立方向への剛性が付与され、立ち上がりフラップが起立状態で安定して保持されやすくなるとともに、第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材の収縮力が立ち上がりフラップに好適に伝わりやすくなり、立ち上がりフラップが高く立ち上がりやすくなる。そのため、尿等の漏れ防止効果を高めることができる。
【0011】
第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材との離隔間隔は、第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材との離隔間隔の1.2倍以上5.0倍以下であることが好ましい。これにより、第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材の離隔間隔を広く確保することができ、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりをソフトなものとすることができる。また、第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材の収縮力によって立ち上がりフラップを高く起立させることが容易になる。
【0012】
第1フラップ弾性部材と自由端との離隔間隔は、第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材との離隔間隔よりも狭いことが好ましい。これにより、立ち上がりフラップの自由端をより高く持ち上げることができる。また、第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材との離隔間隔を広く確保することができるため、第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材の間の部分のクッション性を高め、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりをよりソフトなものとすることができる。
【0013】
立ち上がりフラップの前後方向の端部は、前後方向にストライプ状に延びる接着部でトップシートに接着されていることが好ましい。これにより、ストライプ状に塗工された接着部の間の非接着部分が通気路として機能し、立ち上がりフラップの前後方向の端部での通気性を高めることができる。
【0014】
非接着領域は、折り返されたフラップ形成シートの前側端および後側端まで延在し、折り返されたフラップ形成シートの前側端から後側端まで延びる通気路が形成されていることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップの通気性を高めることができ、吸収性物品の肌面側の蒸れを低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吸収性物品は、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって好適に起立し、尿等の漏れ防止効果を高めることができるとともに、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりをソフトなものとすることができ、着用感に優れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の吸収性物品の一例を示し、吸収性物品(尿パッド)を肌面側から見た平面図を表す。
【
図2】
図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表し、立ち上がりフラップが起立した状態を表す。
【
図3】本発明の吸収性物品の他の一例を示し、吸収性物品(尿パッド)を肌面側から見た平面図を表す。
【
図4】本発明の吸収性物品の他の一例を示し、吸収性物品(尿パッド)を肌面側から見た平面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の吸収性物品について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1および
図2には、本発明の吸収性物品の一例として、尿パッドの構成例を示した。
図1は、吸収性物品(尿パッド)を肌面側から見た平面図を表し、
図2は、
図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
図1では、図面の上側が吸収性物品の前側に相当し、図面の下側が吸収性物品の後側に相当する。
【0018】
吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体4とを有する。トップシート2は吸収体4の肌面側に配され、吸収性物品1を着用した際に着用者側に位置するシートである。バックシート3は吸収体4の外面側に配され、吸収性物品1を着用した際に着用者とは反対側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート2を透過して吸収体4により収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0019】
吸収性物品1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yとは、吸収性物品を着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、吸収性物品を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、吸収性物品の肌面側とは、吸収性物品を着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、吸収性物品の外面側とは、吸収性物品を着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0020】
トップシート2は液透過性であることが好ましい。トップシート2としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート2として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0021】
バックシート3は液不透過性であることが好ましい。バックシート3としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシート3として、不織布とプラスチックフィルムの積層体を用いてもよい。
【0022】
上記に説明した各シート部材を構成する不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、トウ開繊不織布、SMS不織布等を用いることができる。これらの各シートの単位面積あたりの質量は、8g/m2以上が好ましく、10g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
【0023】
吸収体4は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体4としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができ、当該成形体は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0024】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体4は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0025】
吸収体4はシート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布シート間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できるとともに、不織布シート間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0026】
吸収体4は複数層から構成されていてもよい。例えば、吸収体4は、上側吸収体と下側吸収体から構成されるものであってもよい。
【0027】
吸収体4の形状(平面形状)は特に限定されず、例えば、長方形、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体4は、着用者の大腿部に挟まれて幅方向xに圧迫されても歪みにくくする点から、砂時計形に形成されることが好ましい。すなわち、吸収体4が前後方向yに前側部と後側部とこれらの間の中間部を有し、中間部が前側部と後側部よりも幅狭に形成されていることが好ましい。
【0028】
吸収性物品1の肌面側には立ち上がりフラップ5が設けられる。立ち上がりフラップ5を設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップ5には前後方向yに延びるフラップ弾性部材7が複数設けられ、フラップ弾性部材7の収縮力によって立ち上がりフラップ5の起立が促進される。
【0029】
立ち上がりフラップ5は、立ち上がりの起点となる基部5Aと立ち上がりの先端となる自由端5Bを有し、基部5Aと自由端5Bの間にフラップ弾性部材7が設けられる。
図2では、立ち上がりフラップ5の基部5Aがトップシート2に接合されているが、立ち上がりフラップ5の基部5Aは、例えば、幅方向xの両側部が吸収体4の肌面側に折り返されたバックシート3に接合されてもよく、これらの両方に接合されてもよい。
【0030】
立ち上がりフラップ5は、基部5Aから幅方向xの内方に向かって立ち上がるように形成されていてもよく、基部5Aから幅方向xの外方に向かって立ち上がるように形成されていてもよい。なお、図面に示した吸収性物品1では、立ち上がりフラップ5は前者のように形成されており、これにより尿等の漏れ防止効果を高めることができる。この場合、立ち上がりフラップ5は、前後方向yの端部で、幅方向xの内面側がトップシート2に接合されることが好ましく、これにより立ち上がりフラップ5は、前後方向yの両端部の間の部分が、基部5Aから幅方向xの内方に向かって好適に立ち上がりやすくなる。
【0031】
立ち上がりフラップ5はフラップ形成シート6から構成され、フラップ形成シート6を自由端5Bで折り返すことにより立ち上がりフラップ5が形成される。フラップ形成シート6は、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成することができ、バックシート3に使用可能なシート材料を用いることができる。フラップ形成シート6は透湿性であることが好ましく、これにより吸収性物品1を着用した際の蒸れを低減することができる。フラップ形成シート6は、トップシート2の幅方向xの両側に設けられたサイドシートによって形成されてもよい。この場合、サイドシートは、トップシート2との接合部より幅方向xの内方に延びるとともに、幅方向xの外方に延びるように形成することができる。
【0032】
フラップ弾性部材7は、自由端5Bで折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bの間に配される。立ち上がりフラップ5には、フラップ弾性部材7として、自由端5B側から、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cが設けられ、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔が、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cとの離隔間隔よりも広く形成されている。そして、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cは、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bに接着され、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの間に、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bが互いに接着されない非接着領域が形成されている。また、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bは、第3フラップ弾性部材7Cよりも基部5A側に形成された溶着部8で互いに溶着されている。
【0033】
吸収性物品1は、このように立ち上がりフラップ5が形成されることにより、立ち上がりフラップ5が着用者の肌に向かって好適に起立し、尿等の漏れ防止効果を高めることができるとともに、立ち上がりフラップ5の着用者の肌への当たりをソフトなものとすることができ、着用感に優れるものとなる。これについて詳しく説明すると、立ち上がりフラップ5は、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bが立ち上がりフラップ5の自由端5B側で離隔間隔が広く設けられ、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bに接着され、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの間に、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bが互いに接着されない非接着領域が形成されているため、立ち上がりフラップ5の自由端5B側が着用者の肌に強く当たりにくくなり、着用感が向上する。例えば立ち上がりフラップ5は、自由端5B側が着用者の肌に当たると、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの間の部分で、フラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bが離れるように広がることができ、これにより当該部分がクッションのように機能し、立ち上がりフラップ5の自由端5B側の着用者の肌への当たりをソフトなものとすることができる。一方、立ち上がりフラップ5には、第2フラップ弾性部材7Bよりも基部5A側に第3フラップ弾性部材7Cがさらに設けられ、第3フラップ弾性部材7Cは第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔が狭く設けられ、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cが折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bに接着されているため、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cの収縮力によって、立ち上がりフラップ5が着用者の肌に向かって好適に立ち上がることができる。また、第3フラップ弾性部材7Cよりも基部5A側で、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bが溶着部8で互いに溶着されているため、溶着部8において立ち上がりフラップ5に剛性が付与され、立ち上がりフラップ5が起立状態を安定して保持することができ、尿等の漏れ防止効果を高めることができる。
【0034】
フラップ弾性部材7は、伸張状態で立ち上がりフラップ5に取り付けられることが好ましい。これにより、フラップ弾性部材7の収縮力によって立ち上がりフラップ5の起立が促進される。フラップ弾性部材7としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の吸収性物品に用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。フラップ弾性部材7は、接着剤により折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bに固定される。フラップ弾性部材7は伸張倍率1.2倍以上5.0倍以下で取り付けられることが好ましく、当該伸張倍率は1.5倍以上がより好ましく、1.8倍以上がさらに好ましく、また4.0倍以下がより好ましく、3.5倍以下がさらに好ましい。ここで説明した伸張倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0035】
第1フラップ弾性部材7Aは、自由端5Bの近傍に配置されることが好ましい。例えば、立ち上がりフラップ5を基部5Aから自由端5Bに向かって10等分に区分したとき、第1フラップ弾性部材7Aは、立ち上がりフラップ5の自由端5B側の2/10の領域に配置されることが好ましく、1/10の領域に配置されることがより好ましい。第1フラップ弾性部材7Aはまた、第1フラップ弾性部材7Aと自由端5Bとの離隔間隔が、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔よりも狭くなるように配されることが好ましく、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cとの離隔間隔よりも狭くなるように配されることがより好ましい。これにより、第1フラップ弾性部材7Aが自由端5Bの近傍に配され、立ち上がりフラップ5の自由端5Bをより高く持ち上げることができる。また、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔を広く確保することができるため、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの間の部分のクッション性を高め、立ち上がりフラップ5の着用者の肌への当たりをよりソフトなものとすることができる。
【0036】
第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔は、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cとの離隔間隔の1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上がより好ましい。これにより、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの離隔間隔を広く確保することができ、立ち上がりフラップ5の着用者の肌への当たりをソフトなものとすることができる。一方、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cを基部5Aからある程度離れた位置に配置し、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cの収縮力によって立ち上がりフラップ5を高く起立できるようにする点から、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔は、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cとの離隔間隔の5.0倍以下が好ましく、4.0倍以下がより好ましい。
【0037】
第3フラップ弾性部材7Cは、基部5Aと自由端5Bからある程度離れた位置に配置されることが好ましい。例えば、立ち上がりフラップ5を基部5Aから自由端5Bに向かって10等分に区分したとき、第3フラップ弾性部材7Cは、立ち上がりフラップ5の中央6/10の領域に配置されることが好ましく、中央4/10の領域に配置されることがより好ましい。これにより、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cの収縮力によって、立ち上がりフラップ5を高く起立できるようにすることができる。
【0038】
立ち上がりフラップ5には、フラップ弾性部材7として、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7C以外の弾性部材、例えば第4フラップ弾性部材が設けられていてもよい(図示せず)。この場合、第4フラップ弾性部材は、第3フラップ弾性部材7Cよりも基部5A側に設けられることが好ましい。従って、立ち上がりフラップ5には、自由端5Bと第1フラップ弾性部材7Aの間、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの間、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cの間には、さらに別の弾性部材が設けられないことが好ましい。フラップ弾性部材7としてさらに第4フラップ弾性部材が設けられる場合、第3フラップ弾性部材7Cと第4フラップ弾性部材との離隔間隔は、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bとの離隔間隔よりも狭いことが好ましい。また、溶着部8は、第4フラップ弾性部材よりも基部5A側に形成されることが好ましい。なお図面に示すように、立ち上がりフラップ5には、フラップ弾性部材7として、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cのみが設けられることが特に好ましい。
【0039】
フラップ形成シート6は、自由端5Bを挟んだ一方側6Aが、基部5Aから自由端5Bまで延びている。一方、フラップ形成シート6の自由端5Bを挟んだ他方側6Bは、自由端5Bから基部5Aまで延びていてもよく、自由端5Bから基部5Aに至る途中まで延びていてもよい。図面では、フラップ形成シート6は後者の態様で形成されている。なお、吸収性物品1の肌面側の蒸れを低減する点から、フラップ形成シート6の他方側6Bは、自由端5Bから基部5Aに至る途中まで延びていることが好ましい。すなわち、立ち上がりフラップ5は、基部5A側の部分が一重のフラップ形成シート6から構成され、自由端5B側の部分が二重のフラップ形成シート6から構成されていることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップ5は基部5A側の部分での通気性が高まり、吸収性物品1の肌面側の幅方向xの両側に設けられた立ち上がりフラップ5の間に溜まった蒸れが、フラップ形成シート6を透過して外部に放出されやすくなる。
【0040】
上記のように立ち上がりフラップ5が形成される場合、折り返されたフラップ形成シート6の他方側6Bの幅方向xの長さは、立ち上がりフラップ5の基部5Aから自由端5Bまでの幅方向xの長さ(すなわち折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aの幅方向xの長さ)の50%以上であることが好ましく、60%以上がより好ましい。このように立ち上がりフラップ5が形成されていれば、折り返されたフラップ形成シート6の間に複数本のフラップ弾性部材7を配置するための領域を確保しやすくなるとともに、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bとを溶着する溶着部8を形成するための領域を確保しやすくなる。一方、折り返されたフラップ形成シート6の他方側6Bの幅方向xの長さは、立ち上がりフラップ5の基部5Aから自由端5Bまでの幅方向xの長さの95%以下であることが好ましく、85%以下がより好ましい。これにより、吸収性物品1の肌面側の蒸れが低減されやすくなる。なお、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aまたは他方側6Bの幅方向xの長さ、あるいは、立ち上がりフラップ5の基部5Aから自由端5Bまでの幅方向xの長さとは、立ち上がりフラップ5が倒伏した状態での幅方向xの長さを意味し、立ち上がりフラップ5の基部5Aから自由端5Bに向かう方向に対する長さとなる。
【0041】
溶着部8は、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bとが互いに溶着される部分であり、フラップ弾性部材7と基部5Aの間に設けられる。溶着部8は、立ち上がりフラップ5において、全てのフラップ弾性部材7よりも基部5A側に設けられる。従って、立ち上がりフラップ5では、溶着部8と基部5Aの間に弾性部材は配されない。溶着部8は、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bを、熱溶着や超音波溶着等で互いに溶着することにより形成することができる。
【0042】
溶着部8は、前後方向yに延びるように形成されたり、あるいは、前後方向yに複数並んで形成されることが好ましい。溶着部8はまた、フラップ形成シート6の前後方向yの広い範囲に形成されることが好ましい。例えば、フラップ形成シート6の前後方向yの相対位置として、フラップ形成シート6の前側端を0%とし後側端を100%としたとき、溶着部8の前側端(溶着部8が複数形成される場合は、複数形成された溶着部8のうちの最も前側端)はフラップ形成シート6の0%~30%の範囲にあることが好ましく、0%~20%の範囲にあることがより好ましく、0%~10%の範囲にあることがさらに好ましく、溶着部8の後側端(溶着部8が複数形成される場合は、複数形成された溶着部8のうちの最も後側端)はフラップ形成シート6の70%~100%の範囲にあることが好ましく、80%~100%の範囲にあることがより好ましく、90%~100%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0043】
図1に示した吸収性物品1では、溶着部8は、前後方向yに並んで複数形成されている。
図1では、各溶着部8は、前後方向yに延びる直線状に形成されている。このように溶着部8を形成することにより、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cの収縮力が立ち上がりフラップ5に好適に伝わりやすくなり、立ち上がりフラップ5が高く立ち上がりやすくなる。また、立ち上がりフラップ5に好適にギャザーが形成され、立ち上がりフラップ5の着用者の肌への当たりをソフトなものとしやすくなる。さらに、前後方向yに隣接する溶着部8の間の部分が通気路として機能し、立ち上がりフラップ5の通気性を高めることができる。このように溶着部8が前後方向yに並んで複数形成されている場合、前後方向yに隣接する溶着部8の離隔間隔は20mm以下となることが好ましく、15mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
【0044】
図3および
図4には、本発明の吸収性物品の他の構成例を示した。
図3および
図4に示した吸収性物品は、溶着部8の形成パターンが
図1に示した吸収性物品とは異なるものである。
【0045】
図3に示した吸収性物品1では、各立ち上がりフラップ5に1つの溶着部8が前後方向yに延びるように形成されている。溶着部8は、立ち上がりフラップ5の前後方向yの略全体にわたって形成されている。
図3に示した吸収性物品1では、溶着部8によって立ち上がりフラップ5の前後方向yの全体にわたって剛性が付与され、立ち上がりフラップ5の起立状態が安定して保持されやすくなる。
【0046】
図4に示した吸収性物品1では、
図1と同様に、溶着部8が前後方向yに並んで複数形成されているが、各溶着部8は、自由端5Bの延在方向に対し30°~150°の角度で延びる直線状に形成されている。すなわち溶着部8は、自由端5Bの延在方向に対し30°~150°の角度で配置された溶着線が、前後方向yに複数並んで形成されている。当該角度は、40°以上がより好ましく、45°以上がさらに好ましく、また140°以下がより好ましく、135°以下がさらに好ましい。このように溶着部8が形成されていれば、立ち上がりフラップ5は起立方向への剛性が付与され、立ち上がりフラップ5が起立状態で安定して保持されやすくなるとともに、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cの収縮力が立ち上がりフラップ5に好適に伝わりやすくなり、立ち上がりフラップ5が高く立ち上がりやすくなる。そのため、尿等の漏れ防止効果を高めることができ、また、立ち上がりフラップ5の着用者の肌への当たりをソフトなものとするとともに、立ち上がりフラップ5の通気性も高めることができる。なお、溶着部8を構成する溶着線の自由端5Bの延在方向に対する角度は、溶着線が自由端5Bの延在方向に対して平行に延びる場合(例えば
図1の溶着部8を構成する溶着線の場合)は0°となり、垂直に延びる場合は90°となる。
【0047】
立ち上がりフラップ5は、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bの間に、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bが互いに接着されない非接着領域が形成されているが、当該非接着領域は、第1フラップ弾性部材7Aと第2フラップ弾性部材7Bが設けられた前後方向yの全体にわたって形成されていることが好ましい。さらに、当該非接着領域は、折り返されたフラップ形成シート6の前側端および後側端まで延在していることが好ましく、これにより、折り返されたフラップ形成シート6の前側端から後側端まで延びる通気路が形成されていることが好ましい。このように立ち上がりフラップ5の内部に通気路が形成されていれば、立ち上がりフラップ5の通気性を高めることができ、吸収性物品1の肌面側の蒸れを低減することができる。
【0048】
立ち上がりフラップ5は、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cの間にも、折り返されたフラップ形成シート6の一方側6Aと他方側6Bが互いに接着されない非接着領域が形成されていることが好ましい。また、当該非接着領域が、第2フラップ弾性部材7Bと第3フラップ弾性部材7Cが設けられた前後方向yの全体にわたって形成されていることが好ましく、さらに、折り返されたフラップ形成シート6の前側端および後側端まで延在していることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップ5の通気性をさらに高めることができる。
【0049】
立ち上がりフラップ5は、基部5Aから第2フラップ弾性部材7Bまで折れ曲がらずにまっすぐ立ち上がるように形成されていることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップ5による尿等の漏れ防止効果を高めることができる。
【0050】
立ち上がりフラップ5の前後方向yの端部は、前後方向yにストライプ状に延びる接着部9で、トップシート2に接着されていることが好ましい。これにより、ストライプ状に塗工された接着部9の間の非接着部分が通気路として機能し、立ち上がりフラップ5の前後方向yの端部での通気性を高めることができる。
【0051】
以上、本発明の吸収性物品について図面を参照して説明したが、本発明の吸収性物品は図面に示したような尿パッドに限定されず、使い捨ておむつ、軽失禁パッド、生理用ナプキン等であってもよい。
【0052】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置し吸収体が備えられた股部とから構成される。前腹部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前腹部と後背部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
【0053】
使い捨ておむつは、テープタイプの使い捨ておむつであってもよく、パンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。テープタイプの使い捨ておむつは、例えば、後背部の幅方向の両端部に止着部材が設けられて構成され、当該止着部材を前腹部に止着することにより、着用時にパンツ形状に形成することができる。パンツタイプの使い捨ておむつは、ウェスト開口部と一対の脚開口部とを有するパンツ形状を有し、着用前からパンツ形状に形成されているものである。
【0054】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合は、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された積層体が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有するように形成される。使い捨ておむつはまた、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材の股部に、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された吸収性本体を設けて構成することもできる。後者の場合、外装部材をパンツ形状に形成することで、パンツタイプの使い捨ておむつとすることができる。いずれの場合も、吸収性物品の肌面側(例えばトップシート)に立ち上がりフラップを設け、上記に説明したように立ち上がりフラップを形成することにより、本発明の吸収性物品とすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1:吸収性物品
2:トップシート
3:バックシート
4:吸収体
5:立ち上がりフラップ、5A:基部、5B:自由端
6:フラップ形成シート、6A:(自由端を挟んだ)一方側、6B:(自由端を挟んだ)他方側
7:フラップ弾性部材、7A:第1フラップ弾性部材、7B:第2フラップ弾性部材、7C:第3フラップ弾性部材
8:溶着部
9:接着部
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有し、肌面側に立ち上がりフラップが設けられた吸収性物品であって、
前記立ち上がりフラップは、立ち上がりの起点となる基部と立ち上がりの先端となる自由端を有し、フラップ形成シートが前記自由端で折り返されることにより形成され、
前記立ち上がりフラップには、前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側の間に、前記自由端側から第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材が設けられ、前記自由端と前記第1フラップ弾性部材の間、前記第1フラップ弾性部材と前記第2フラップ弾性部材の間、および第2フラップ弾性部材と前記第3フラップ弾性部材の間には、弾性部材が設けられておらず、
前記第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材と第3フラップ弾性部材は、前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側に接着され、前記第1フラップ弾性部材と第2フラップ弾性部材の間に、前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側が互いに接着されない非接着領域が形成され、
前記第1フラップ弾性部材と前記第2フラップ弾性部材との離隔間隔は、前記第2フラップ弾性部材と前記第3フラップ弾性部材との離隔間隔よりも広く、
前記折り返されたフラップ形成シートの一方側と他方側が、前記第3フラップ弾性部材よりも基部側に形成された溶着部で互いに溶着されており、
前記立ち上がりフラップは、前記基部から前記第2フラップ弾性部材まで折れ曲がらずに形成されていることを特徴とする吸収性物品。