(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150704
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】販売システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220929BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053419
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】521425652
【氏名又は名称】株式会社ゼロボード
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 道隆
(72)【発明者】
【氏名】本間 真
(72)【発明者】
【氏名】坂本 洋一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB23
(57)【要約】
【課題】取引内容に合わせて個別にカーボンオフセットを行うことができるようにする。
【解決手段】販売システムであって、商品又はサービスの決済金額を取得する決済金額取得部と、決済対象の商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を取得する排出量取得部と、決済金額及び排出量を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又はサービスの決済金額を取得する決済金額取得部と、
決済対象の前記商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を取得する排出量取得部と、
前記決済金額及び前記排出量を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする販売システム。
【請求項2】
請求項1に記載の販売システムであって、
前記排出量のオフセット処理を行うオフセット処理部を備えること、
を特徴とする販売システム。
【請求項3】
請求項2に記載の販売システムであって、
前記排出量に応じた環境価値の価格を取得するオフセット価格取得部と、
前記環境価値の価格に応じて前記決済金額を増額して決済する決済処理部と、
を備えることを特徴とする販売システム。
【請求項4】
請求項2に記載の販売システムであって、
前記排出量に応じた環境価値の価格を取得するオフセット価格取得部と、
前記環境価値の価格に応じて前記決済金額を増額して決済する決済処理部と、
を備え、
前記オフセット処理部は、前記環境価値を購入する処理を行うこと、
を備えることを特徴とする販売システム。
【請求項5】
請求項2に記載の販売システムであって、
前記商品又はサービスの提供者が有する環境価値の量及び価格を記憶する環境価値記憶部を備え、
前記オフセット処理部は、前記排出量に応じて、前記提供者が保有する前記環境価値を前記商品又はサービスの購入者に移転させる処理を行うこと、
を特徴とする販売システム。
【請求項6】
請求項2に記載の販売システムであって、
前記オフセット処理部は、前記商品又はサービスの提供者による前記オフセット処理及び前記商品又はサービスの購入者による前記オフセット処理の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする販売システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記商品の配送にかかる前記環境負荷物質の前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
【請求項8】
請求項7に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記商品が保管されている倉庫から前記商品の配送先までの運送ルートを取得し、前記運送ルートに応じて前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の販売システムであって、
前記商品又はサービスは、タクシーによる乗客の輸送サービスであり、
前記排出量取得部は、前記タクシーの走行距離及び走行時間の少なくともいずれかに基づいて、前記タクシーの走行により排出された前記環境負荷物質の前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
【請求項10】
請求項9に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記タクシーがガソリン車である場合に、前記タクシーの乗車人数及び前記走行距離を取得し、前記乗車人数及び前記走行距離に応じて前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記タクシーがガソリン車である場合に、前記タクシーの乗車人数及び前記走行距離を取得し、前記乗車人数及び前記走行距離に応じて前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
【請求項12】
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の販売システムであって、
前記オフセット価格取得部は、前記環境価値の取引サーバから前記環境価値の売り気配値を取得すること、
を特徴とする販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、顧客が取引の費用支払時に、カーボンオフセットに関する寄付を支払うか否かを問い合わせることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、取引の内容が考慮されていない。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、取引内容に合わせて個別にカーボンオフセットを行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、販売システムであって、商品又はサービスの決済金額を取得する決済金額取得部と、決済対象の前記商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を取得する排出量取得部と、前記決済金額及び前記排出量を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取引内容に合わせて個別にカーボンオフセットを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る販売システム2を含むのネットワーク構成例を示す図である。
【
図2】販売システム2を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】販売システム2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態の販売システム2の動作を説明する図である。
【
図5】タクシーの料金支払時にカーボンオフセットを行う場合に係る第3の実施形態を説明する図である。
【
図6】事前にカーボンオフセットへの参加を問い合わせる場合に係る第3の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
商品又はサービスの決済金額を取得する決済金額取得部と、
決済対象の前記商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を取得する排出量取得部と、
前記決済金額及び前記排出量を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする販売システム。
[項目2]
項目1に記載の販売システムであって、
前記排出量のオフセット処理を行うオフセット処理部を備えること、
を特徴とする販売システム。
[項目3]
項目2に記載の販売システムであって、
前記排出量に応じた環境価値の価格を取得するオフセット価格取得部と、
前記環境価値の価格に応じて前記決済金額を増額して決済する決済処理部と、
を備えることを特徴とする販売システム。
[項目4]
項目2に記載の販売システムであって、
前記排出量に応じた環境価値の価格を取得するオフセット価格取得部と、
前記環境価値の価格に応じて前記決済金額を増額して決済する決済処理部と、
を備え、
前記オフセット処理部は、前記環境価値を購入する処理を行うこと、
を備えることを特徴とする販売システム。
[項目5]
項目2に記載の販売システムであって、
前記商品又はサービスの提供者が有する環境価値の量及び価格を記憶する環境価値記憶部を備え、
前記オフセット処理部は、前記排出量に応じて、前記提供者が保有する前記環境価値を前記商品又はサービスの購入者に移転させる処理を行うこと、
を特徴とする販売システム。
[項目6]
項目2に記載の販売システムであって、
前記オフセット処理部は、前記商品又はサービスの提供者による前記オフセット処理及び前記商品又はサービスの購入者による前記オフセット処理の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする販売システム。
[項目7]
項目1乃至6のいずれか1項に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記商品の配送にかかる前記環境負荷物質の前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
[項目8]
項目7に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記商品が保管されている倉庫から前記商品の配送先までの運送ルートを取得し、前記運送ルートに応じて前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
[項目9]
項目1乃至6のいずれか1項に記載の販売システムであって、
前記商品又はサービスは、タクシーによる乗客の輸送サービスであり、
前記排出量取得部は、前記タクシーの走行距離及び走行時間の少なくともいずれかに基づいて、前記タクシーの走行により排出された前記環境負荷物質の前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
[項目10]
項目9に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記タクシーがガソリン車である場合に、前記タクシーの乗車人数及び前記走行距離を取得し、前記乗車人数及び前記走行距離に応じて前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
[項目11]
項目9又は10に記載の販売システムであって、
前記排出量取得部は、前記タクシーがガソリン車である場合に、前記タクシーの乗車人数及び前記走行距離を取得し、前記乗車人数及び前記走行距離に応じて前記排出量を計算すること、
を特徴とする販売システム。
[項目12]
項目3乃至6のいずれか1項に記載の販売システムであって、
前記オフセット価格取得部は、前記環境価値の取引サーバから前記環境価値の売り気配値を取得すること、
を特徴とする販売システム。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る販売システム2を含むのネットワーク構成例を示す図である。本実施形態の販売システム2は、商品又はサービスを販売するシステムである。本実施形態では、販売システム2は、例えば、オンラインショッピングなどの形態により商品又はサービスを販売することができる。販売システム2は、通信ネットワーク3を介して外部サーバ4と通信可能に接続される。通信ネットワーク3は、例えば、インターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築されうる。外部サーバ4は、環境価値の取引を行うコンピュータである。外部サーバ4は、例えば、J-クレジットなどの、二酸化炭素(CO2)などの環境負荷物質のオフセット権(以下、環境価値という。)を販売することができる。
【0012】
本実施形態の販売システム2は、商品又はサービスの販売時に、当該商品又はサービスの販売に係る環境負荷物質(例えば、二酸化炭素)の排出量をオフセットするための環境価値を併せて販売することができる。
【0013】
<販売システム2>
販売システム2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとすることができる。販売システム2は、クラウド・コンピューティングによって論理的に実現されることもできる。
【0014】
図2は、販売システム2を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。販売システム2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する販売システム2が備える各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して十区することにより実現されうる。また、販売システム2が備える記憶部は、メモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現されうる。
【0015】
図3は、販売システム2のソフトウェア構成例を示す図である。販売システム2は、決済金額取得部211、排出量取得部212、オフセット価格取得部213、オフセット受付部214、決済処理部215、オフセット処理部216、排出量情報記憶部231を備える。
【0016】
決済金額取得部211は、商品又はサービスの決済金額を取得する。決済金額取得部211は、販売システム2で商品又はサービスを販売している場合には、販売価格を取得することができる。また、決済金額取得部211は、商品又はサービスの販売に係る決済装置が販売システム2とは別に存在する場合には、決済装置から決済金額を取得するようにすることができる。
【0017】
排出量取得部212は、商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を取得する。排出量取得部212は、例えば、商品の製造時に排出される環境負荷物質の排出量を取得するようにしてもよいし、商品の配送にかかる環境負荷物質の排出量を取得するようにしてもよいし、サービスの提供に必要な物の製造又は配送に係る環境負荷物質の排出量を取得するようにしてもよいし、サービスの提供時に排出された環境負荷物質の量を取得するようにしてもよいし、これらの全部又は一部の排出量を取得して合計するようにしてもよい。
【0018】
排出量情報記憶部231は、商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を得るために必要な情報(以下、排出量情報という。)を記憶する。排出力情報は、例えば、自動車の1単位(例えば、1kmや1mなど、走行距離の計測単位とすることができる。)あたりの二酸化炭素排出量(の標準値)、物質の1単位(例えば、1kg、1m3など物質の軽量単位)の生産により排出される二酸化炭素の排出量(の標準値)などとすることができる。排出量取得部212は、商品又はサービスの生産又は提供に関する情報(商品提供情報という。例えば、販売された物質の量、商品の配送に係る配送車の走行距離、運送サービスに係る運送車の走行距離などとすることができる。)を取得し、取得した商品提供情報と、排出量情報とに基づいて、当該商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を計算するようにすることもできる。
【0019】
オフセット価格取得部213は、排出量に応じた環境価値の価格を取得する。オフセット価格取得部213は、例えば、外部サーバ4(環境価値の取引サーバ)から環境価値の売り気配値を取得することができる。オフセット価格取得部213は、例えば、外部サーバ4が提供するAPIを呼び出すことにより売り気配値を取得することができる。また、オフセット価格取得部213は、商品又はサービスの販売者が環境価値を所有している場合に、販売者が所有している環境価値の価格を取得するようにすることもできる。この場合、販売システム2は、販売者ごとに販売者が所有するう環境価値の量と価格とを記憶する在庫環境価値記憶部を備えるようにし、オフセット価格取得部213は、販売者に対応する環境価値の価格を在庫環境価値記憶部から取得することができる。
【0020】
オフセット受付部214は、環境価値の購入(オフセット取引)を行うか否かの入力を受け付ける。オフセット受付部214は、商品又はサービスの購入に決済時に、当該商品又はサービスの購入者に対し、当該商品又はサービスと併せて環境価値を購入するか否かを問い合わせることができる。
【0021】
決済処理部215は、商品又はサービスの販売に係る決済処理を行う。決済処理部215による決済処理は、例えば、クレジットカードによる決済等、一般的な手法により行うことができる。決済処理部215は、環境価値の価格に応じて決済金額を増額して決済することができる。決済処理部215は、商品又はサービスの購入者が環境価値を購入する場合に、商品又はサービスの決済金額(販売額)に環境価値の価格を増額して決済処理を行うとともに、商品又はサービスの提供者に対して販売額(販売額から手数料を減じた金額であってよい。)の支払を行うとともに、環境価値の販売者に対して環境価値の価格を支払うように処理を行うことができる。
【0022】
オフセット処理部216は、環境価値の購入処理を行う。オフセット処理部216は、例えば、外部サーバ4に対して買い注文を発行することにより環境価値を購入することができる。オフセット処理部216は、商品又はサービスの購入者を主体として買い注文を発行するようにしてもよいし、販売システム2の運営者を主体として買い注文を発行するようにしてもよい。また、オフセット処理部216は、販売者が環境価値を所有している場合には、販売者の所有する環境価値を購入者に移転させることによるオフセット処理(代理無効化)を行ってもよい。この場合、オフセット処理部216は、在庫環境価値記憶部から販売者に対応する環境価値の量を、オフセットする排出量に応じて減じるようにし、商品又はサービスの購入者に対して当該環境価値の価格に量を乗じて課金するようにすることができる。
【0023】
図4は、本実施形態の販売システム2の動作を説明する図である。
【0024】
販売システム2において商品又はサービスの販売が行われた場合に(S311)、排出量取得部212は、販売された商品又はサービスに関する環境負荷物質の排出量を取得する(S312)。排出量取得部212は、他の情報処理装置が計算した排出量を取得するようにしてもよいし、販売された商品又はサービスに関連して排出量を算出するための情報を取得して排出量を算出するようにしてもよい。オフセット価格取得部213は、取得された排出量をオフセットするための環境価値の売り気配値を外部サーバ4から取得し(S313)、オフセット受付部214は、商品又はサービスの購入者に対して、オフセットを行うか否かを問い合わせ(S314)、購入者がオフセットを行うことを希望する場合には(S315:YES)、決済処理部215は、商品又はサービスの販売価格(決済金額)に売り気配値を加算して決済を行うとともに(S316)、オフセット処理部216は、環境価値を購入してオフセット処理を行う(S317)。一方、購入者がオフセットを希望しない場合には(S315:NO)、決済処理部215は、決済金額どおりに決済を行う(S318)。なお、オフセットの要否を問い合わせることなく、ステップS314、S315、S318を省略し、常にオフセットを行うようにしてステップS316及びS317を実行するようにしてもよい。
【0025】
以上のようにして、商品又はサービスの販売時に、当該商品又はサービスの生産や提供などに関連する環境負荷物質のオフセットを行うようにすることができる。
【0026】
なお、本実施形態では、オフセット処理まで行うことを前提としたが、これに限らず、商品又はサービスに関する排出量を計算し、当該排出量を出力して、商品又はサービスの販売者及び購入者の少なくともいずれかに提示するにとどまってもよい。
【0027】
従来、企業の提供するサービスに伴って排出する二酸化炭素等の環境負荷物質をオフセットしようとする場合には、一定程度の期間・単位でまとめてオフセットするのが通常であったところ、本実施形態の販売システム2によれば、商品又はサービスが販売される度に、環境負荷物質を算出し、オフセットのための環境価値が取引することができるので、顧客にオフセットに参加する機会を提供することが可能となる。
【0028】
<第2の実施形態>
販売システム2の第2の実施形態として、とくに商品を販売する電子商取引(EC;Electronic Commerce)サイトについて説明する。第2の実施形態では、ECサイトにおいて販売された商品の配送時に排出される二酸化炭素をオフセットすることを想定する。
【0029】
排出量取得部212は、商品の配送にかかる環境負荷物質、とくに二酸化炭素の排出量を計算することができる。排出量取得部212は、商品の配送に係る運送経路を特定し、当該運送経路に使用する配送手段ごとの単位距離あたりの二酸化炭素排出量と、それぞれの配送距離の積を足し合わせることによって、商品の配送に係る二酸化炭素の総排出量を算出することができる。また、外部サーバ4から入手したカーボンオフセットのための環境価値(クレジット)の売り気配値と総排出量との積から、カーボンオフセットに係る費用を算出することができる。
【0030】
この場合、排出量情報記憶部231は、例えば、商品ごとに当該商品が格納されている倉庫の地図上の位置を記憶することができる。また、排出量情報記憶部231は、例えば、倉庫から商品の配送先(例えば、購入者の自宅など)までの配送ルートを求めるための情報(例えば、ナビゲーションシステムに用いられる情報としてもよいし、ルーティングを行う地図サーバにアクセスするためのURLや認証情報などとしてもよい。)を記憶することができる。また、排出量情報記憶部231は、運送に使用する配送手段(トラック等)ごとの単位距離あたりの二酸化炭素排出量を記憶することができる。決済金額取得部211は、決済金額とともに、販売された商品、商品の配送先、配送されるパッケージの数などを取得することができ、排出量取得部212は、これらの情報を用いて、商品の運送により排出される二酸化炭素の量を計算することができる。そして、オフセット受付部214は、購入者の料金支払い時に、カーボンオフセットに必要な費用の実額(売り気配値)を提示し、購入者にカーボンオフセットを実施するかどうか選択させることができる。カーボンオフセットが実行される場合には、自動でオフセットのための環境価値(クレジット)を購入するべく、外部サーバ4に対して買い注文を送信することができる。
【0031】
なお、上記の説明では、カーボンオフセットにかかる費用(環境価値の価格)は購入者が全額を負担するものとしたが、ECサイトの運営者と商品の購入者がカーボンオフセットにかかる費用について、どのくらいの比率で負担するかを任意に設定することができる。
【0032】
また、第2の実施形態においても、販売者が所有する環境価値の量及び価格を記憶するようにし、販売者が所有する環境価値の価格を提示することができ、販売者が所有する環境価値を購入者に移転させることによりオフセットを行うようにしてもよい。また、第2の実施形態においても、実施にはオフセットを行わず、排出量の算出と提示にとどまってもよい。
【0033】
<第3の実施形態>
販売システム2の第3の実施形態として、とくにタクシー等の乗客輸送サービスの決済装置について説明する。第3の実施形態では、販売システム2は、タクシー等による乗客の輸送サービスの利用料の決済を行うにあたり、タクシー等の乗客輸送手段が排出した二酸化炭素の排出量をオフセットする。販売システム2は、タクシー内に配置される端末として実装することができる。
【0034】
<料金支払時にカーボンオフセットへの参加を問い合わせる場合>
図5は、タクシーの料金支払時にカーボンオフセットを行う場合に係る第3の実施形態を説明する図である。販売システム2は、タクシーの距離メータ11の情報等をもとに、タクシーの走行時に発生される二酸化炭素排出量を計算し、乗客に、料金支払時に又は事前に、当該二酸化炭素排出量のオフセット(カーボンオフセット)に参加するかどうかの選択肢を提示し、乗客の自由選択でカーボンオフセットする機会を提供する。
【0035】
==オフセット費用算出フェーズ==
販売システム2の決済金額取得部211は、タクシーの距離メータ11から走行距離を取得し、タクシーの運転手12から乗客数の入力を受け付けることができる。決済金額取得部211は、一般的な手法により走行距離や走行時間などに基づいてタクシーの料金を決定することができる。
【0036】
排出量取得部212は、タクシーの走行距離及び走行時間の少なくともいずれかに基づいて、タクシーの走行により排出された環境負荷物質の排出量を計算することができる。排出量取得部212は、タクシーがガソリン車である場合に、タクシーの乗車人数及び走行距離を取得し、乗車人数及び走行距離に応じて排出量を計算することができる。排出量取得部212は、タクシーがガソリン車である場合に、タクシーの乗車人数及び走行距離を取得し、乗車人数及び走行距離に応じて排出量を計算することができる。
【0037】
排出量取得部212は、例えば、以下のようにして二酸化炭素排出量を算出することができる。
【0038】
==ガソリン車の場合==
タクシーがガソリン車である場合には、排出量情報記憶部231には、単位距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を予め登録しておくことができる。排出量取得部212は、例えば、タクシーメーターやタクシー運賃の決済システムなどから走行距離を取得することができ、さらには乗客人数を取得するようにしてもよい。乗客人数が取得可能な場合、排出量情報記憶部231には、乗客人数による二酸化炭素排出量の補正情報(例えば、補正乗率)を登録しておくことができる。補正乗率は、例えば、乗客が1人の場合には0.95、1人の場合には1.0、3人の場合には1.05、4人の場合には1.1などの数値とすることができる。排出量取得部212は、「走行距離(km)×単位距離辺りの二酸化炭素排出量(kg/km)×乗客人数に応じた補正乗率」により、ガソリン車のタクシーに係る二酸化炭素の排出量を算出することができる。
【0039】
==EVの場合==
タクシーが電気自動車である場合には、排出量情報記憶部231には、単位距離あたりの消費電力量(kwh/km)を予め登録しておくことができる。単位距離あたりの消費電力量は、例えば、タクシーの個車ごと又は車種ごとに登録しておくことができる。また、排出量情報記憶部231には、単位電力あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)も予め登録しておくことができる。単位電力あたりの二酸化炭素排出量は、充電場所ごとに登録してもよいし、全体の平均値を登録しておいてもよい。また、ガソリン車と同様に、排出量情報記憶部231には、乗客人数ごとの補正乗率を登録しておくこともできる。排出量取得部212は、「走行距離(km)×単位距離あたりの消費電力量(kwh/km)×単位電力あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)×乗客人数に応じた補正乗率」により、電気自動車のタクシーに係る二酸化炭素の排出量(kg)を算出することができる。
【0040】
また、排出量取得部212は、電気自動車の制御装置やタクシーのメーター、タクシーの決済装置などから、タクシーの走行にかかった消費電力データ(kwh)を取得することができる場合には、排出量情報記憶部231には、単位電力あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)と乗客人数ごとの補正乗率とを登録しておくようにして、排出量取得部212は、「消費電力量(kwh)×単位電力あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)×乗客人数に応じた補正乗率」により二酸化炭素の排出量(kg)を算出するようにすることもできる。
【0041】
オフセット価格取得部213は、外部サーバ4からJクレジット等の環境価値の売り気配値(円/kg)を取得することができる。オフセット価格取得部213は、例えば、外部サーバ4が提供するAPIを利用して売り気配値を取得することができる。なお、オフセット価格取得部213は、APIに対して計算した排出量を与えて、計算した排出量に係る環境価値の売り気配値(円)を取得するようにしてもよい。
【0042】
==支払フェーズ==
オフセット受付部214は、販売システム2が備えるタッチパネルモニターに画面40を表示することができる。画面40には、タクシーの乗車料金401と、オフセット価格402(環境価値の売り気配値)とが表示され、ボタン403及び404により、カーボンオフセットを行うか否かを選択させるようにしている。
【0043】
==約定フェーズ==
オフセットするボタン403が押下された場合、決済処理部215は、乗車料金とオフセット価格との合計額の支払を求めるとともに、オフセット処理部216は、外部サーバ4に対して、排出量分のJ-クレジットなどの環境価値の買い注文を送信し、カーボンオフセットを行うことができる。
【0044】
<事前にカーボンオフセットへの参加を問い合わせる場合>
図6は、事前にカーボンオフセットへの参加を問い合わせる場合に係る第3の実施形態を説明する図である。
【0045】
事前にカーボンオフセットを行うことが決定されている場合には、料金支払時には、タクシー運賃に、カーボンオフセットに必要な費用を加えた額を請求することができる。この場合、カーボンオフセットにかかる費用について、タクシー会社と乗客との負担割合を任意に設定することができる。この負担割合は、タクシー会社が任意に設定するようにしてもよいし、顧客が事前に負担割合を決定して登録するようにしてもよい。カーボンオフセットが実行される場合、自動でオフセットのための環境価値(クレジット)の買い注文が外部サーバ4に送られることになる。
【0046】
==選択フェーズ==
オフセット受付部214は、乗客に対する料金の提示前、例えば、乗車した時又は乗車中に、乗客向けのタッチパネルモニターに画面41を表示し、カーボンオフセットを行うか否かを選択させることができる。画面41において、オフセットしないボタン412が押下された場合には、カーボンオフセットは行わず、通常の乗車料金による決済が行われる。一方、オフセットするボタン411が押下された場合にはカーボンオフセットが行われる。
【0047】
==オフセット費用算出フェーズ==
カーボンオフセットを行う場合には、
図5に示す、料金支払時にカーボンオフセットへの参加を問い合わせる場合と同様に、決済金額取得部211は、タクシーの距離メータ11から走行距離を取得し、タクシーの運転手12から乗客数の入力を受け付けることができる。決済金額取得部211は、一般的な手法により走行距離や走行時間などに基づいてタクシーの料金を決定することができる。また、排出量取得部212は、上述したようにして二酸化炭素排出量を算出することができる。ここで、オフセット価格取得部213は、外部サーバ4からJクレジット等の環境価値の売り気配値を取得し、決済金額取得部211は、乗車料金に売り気配値を加算して決済金額とすることができる。また、オフセット価格取得部213は、外部サーバ4から受信した売り気配値(円/kg)に、上記のようにして算出した二酸化炭素の排出量(kg)を乗じて、オフセットに必要な費用を算出することができる。オフセット処理部216は、自動的に外部サーバ4に対して、排出量分のJ-クレジットなどの環境価値の買い注文を送信し、カーボンオフセットを行うことができる。
【0048】
==精算フェーズ==
決済処理部215は、乗車料金とオフセット価格との合計額の支払を求めることができる。決済処理部215は、例えば、画面40において、乗車料金401と、オフセット価格402と、その合計額とを表示することができる。
【0049】
なお、第3の実施形態においても、販売者が所有する環境価値の量及び価格を記憶するようにし、販売者が所有する環境価値の価格を提示することができ、販売者が所有する環境価値を購入者に移転させることによりオフセットを行うようにしてもよい。また、第3の実施形態においても、実施にはオフセットを行わず、排出量の算出と提示にとどまってもよい。
【0050】
<その他の実施形態>
第2の実施形態では、ECにおける商品配送に係る二酸化炭素排出量のオフセットについて説明し、第3の実施形態では、タクシーによる乗客輸送に係る二酸化炭素排出量のオフセットについて説明したが、その他の商品販売又はサービス提供に関連する二酸化炭素排出量について、顧客にオフセットのためのクレジットを提示することができる。以下、オフセット可能なものをリストする。なお、以下の説明において、二酸化炭素は、その他のオフセット可能な環境負荷物質に置き換えることが可能である。
【0051】
==動画制作/配信==
動画制作又は動画配信に関連する二酸化炭素排出量をオフセットすることもできる。例えば、排出量情報記憶部231には、動画の制作又は配信に必要な単位時間あたりの消費電力量(kwh/h)と、単位電力あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)とを記憶しておき、排出量取得部212は、「動画の時間×消費電力量×単位電力量あたりの二酸化排出量」により排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、動画アップロードの際に動画の制作者又は配信者に対して、オフセットオプションを選択させるようにすることができる。
【0052】
==旅行パッケージ==
旅行に用いる移動手段が排出する二酸化炭素をオフセットすることもできる。例えば、排出量情報記憶部231には、移動手段別の移動単位距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶しておき、排出量取得部212は、旅行パッケージに含まれる移動手段ごとの移動距離を取得し、「移動距離×利用する移動手段ごとの排出量」を合計して旅行パッケージに関する二酸化炭素排出量を算出し、オフセット受付部214は、旅行申し込みの際に旅行者に対してオフセットオプションを選択させるようにすることができる。
【0053】
==宅配便==
宅配便による配送時に排出される二酸化炭素をオフセットすることもできる。例えば、排出量情報記憶部231には、宅配便の配送に係る単位距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶しておき、排出量取得部212は、宅配便の配送ルートを取得して配送ルートの距離を算出し、「移動距離×単位距離当たりの二酸化炭素排出量」により宅配便による配送に係る二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、宅配の申込時に、依頼者に対してオフセットオプション選択させるようにすることができる。
【0054】
==フリマアプリ==
フリーマーケットやオークションなど、エンドユーザ間で取引される取引物の配送に関する二酸化炭素排出量をオフセットすることもできる。例えば、排出量情報記憶部231には、配送に係る移動単位距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶しておき、排出量取得部212は、エンドユーザ間の配送距離を取得し(例えば、配送元の住所と配送先の住所とを取得して、二住所間の直線距離又は道路に沿った配送ルートの距離を求めるようにしてもよい。)、「配送距離(km)×単位距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)」により、取引物の配送に係る二酸化炭素排出量を算出することができる。なお、配送手段ごとに、配送に係る移動単位距離あたりの二酸化炭素排出量を記憶させるようにしておき、取引時に選択された配送手段に対応する移動単位距離あたりの二酸化炭素排出量を用いて排出量の計算を行うようにしてもよい。オフセット受付部214は、取引時に配送オプションとしてオフセットを行うか否かを選択させるようにすることができる。
【0055】
==商店から自宅までの商品配送==
エンドユーザがスーパーマーケットや酒屋などの商店において購入した商品を自宅まで配送を依頼した場合に、その配送に係る二酸化炭素排出量をオフセットすることもできる。例えば、排出量情報記憶部231には、配送に係る移動単位距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶しておき、排出量取得部212は、商店から配送先(エンドユーザの自宅等)までの直線距離又は道路に沿った配送ルートの距離を求め、「配送距離(km)×単位距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)」により、商品配送に係る二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、購入者が商品の配送を依頼した時に、配送オプションとしてオフセットを行うか否かを選択させることができる。なお、配送手段が複数存在する場合には、配送手段ごとに、配送に係る移動単位距離あたりの二酸化炭素排出量を記憶させるようにしておき、配送申込時に選択された配送手段に対応する移動単位距離あたりの二酸化炭素排出量を用いて排出量の計算を行うようにしてもよい。
【0056】
==通勤==
企業が従業員の通勤に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、社員の通勤に係る単位移動距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶しておき、排出量取得部212は、社員の自宅から会社までの直線距離又は通勤経路の距離を取得し(例えば、人事データベースなどから社員の住所を取得して、地図データに基づいて距離計算し、又は地図サーバから距離を取得することができる。)、「通勤距離(km)×単位移動距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)」により、社員の通勤に係る二酸化炭素排出量を算出することができる。なお、排出量取得部212は、1カ月の出勤日数を取得して、上記二酸化炭素排出量に出勤日数を乗じて1カ月あたりの通勤に関する二酸化炭素排出量を算出するようにしてもよい。この場合、会社がオフセット費用を負担する場合には、オフセット受付部214は社員にオフセットを行うか否かを問い合わせなくてよい。会社が負担しない場合、オフセット受付部214は、例えば、毎月の給料の支払前に、社員に対して、通勤に係るカーボンオフセットを行うか否かを問い合わせるようにすることもできる。なお、排出量情報記憶部231には、通勤手段(例えば、自動車、バス、電車など)ごとに、単位移動距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶しておき、排出量取得部212は、社員ごとに通勤経路で利用される通勤手段を取得し、取得した通勤手段に対応する単位移動距離あたりの二酸化炭素排出量を用いて排出量の計算を行うようにしてもよい。
【0057】
==ドローンの飛行==
ドローンを飛行させる場合に、ドローンの飛行に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、ドローンの飛行に関して、単位飛行距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶し、排出量取得部212は、例えば、ドローン本体のフライトコントローラやドローンの飛行制御装置などが取得した飛行ルートに沿った飛行距離を取得して、「飛行距離(km)×単位飛行距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)」により、ドローンの飛行よる二酸化炭素排出量を計算することができる。あるいは、例えば、排出量情報記憶部231には、ドローンの飛行に関して、単位飛行距離あたりの消費電力(kwh/km)と、単位消費電力あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)とを記憶し、排出量取得部212は、例えば、ドローン本体のフライトコントローラやドローンの飛行制御装置などが取得した飛行ルートに沿った飛行距離を取得して、「飛行距離(km)×単位飛行距離あたりの消費電力(kwh/km)×単位消費電力あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)」により、ドローンの飛行よる二酸化炭素排出量を計算するようにしてもよい。オフセット受付部214は、例えば、ドローンのパイロット手配時にオプションメニューとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0058】
==船舶の輸送==
陸送のみでなく、船舶による商品の輸送に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、船舶の航行に関して、単位航行距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶し、排出量取得部212は、例えば、船舶の航路の長さ(航行距離)を取得して、「航行距離(km)×単位航行距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)」により、船舶による商品の輸送に関する二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、輸送の手配の際のオプションとして、カーボンオフセットの要否を受け付けるようにすることができる。
【0059】
==飛行機の移動==
タクシー等に限らず、飛行機による乗客の輸送サービスに関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、飛行機の単位飛行距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)を記憶し、排出量取得部212は、例えば、飛行機の航路の長さ(飛行距離)を取得して、「飛行距離(km)×単位飛行距離あたりの二酸化炭素排出量(kg/km)」により飛行機の飛行による二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、例えば、航空券の購入時の価格に上乗せするオプションとして、旅行者に対して、カーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0060】
==計算機の利用==
金融サービスや情報サービス等のサービス提供に用いられるコンピュータの利用に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)を記憶しておき、排出量取得部212は、例えば、金融サービスや情報サービスなどのサービス提供に用いられたコンピュータの消費電力量(kwh)を取得し、「消費電力量(kwh)×単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)」により、サービス提供に用いられたコンピュータの利用に係る二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、上述した実施形態と同様に、サービスを提供する際(決済時)にオプションメニューとしてカーボンオフセットの要否を受け付けるようにすることができる。
【0061】
==クラウドの利用==
クラウド(ストレージ、コンピューティングなど)の利用に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、クラウドコンピューティングに係るリソースの単位利用時間あたりの消費電力量(コンピュータによる消費電力量のみでなく、空調等による消費電力量を加算するようにしてもよい。kwh/h)及び単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)を記憶しておき、排出量取得部212は、クラウドコンピューティングの利用時間(h)を取得して、「利用時間(h)×単位利用時間あたりの消費電力量(kwh/h)×単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)」により、クラウドコンピューティングの利用に関する二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、上述した実施形態と同様に、サービスを提供する際(決済時)にオプションメニューとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0062】
==遊園地等の施設利用==
遊園地のアトラクションなどの施設稼働に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、設備ごとに設備の所定期間(例えば1日や1ヶ月等)又は1回の利用にかかる消費電力量(kwh)と、単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)とを記憶しておき、排出量取得部212は、例えば、「消費電力量(kwh)×単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)」により、当該設備の利用に係る二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、例えば、遊園地のチケット購入時など、施設の利用に関する決済時に、カーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0063】
==スポーツジムの利用==
スポーツジムでの機器の利用に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、機器ごとに、単位利用時間あたりの消費電力量や空調による消費電力量(kwh/h)と、単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)を記憶しておき、排出量取得部212は、スポーツジムの利用時間(h)を取得し、「利用時間(h)×単位利用時間あたりの消費電力量(kwh/h)×単位消費電力量あたりの二酸化炭素排出量(kg/kwh)」により、スポーツジムの利用による二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部212は、スポートジムへの入会時のオプションとして、カーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0064】
==コンサート参加・スポーツ観戦==
コンサートへの参加やスポーツ観戦に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、コンサートやスポーツの試合の実施により排出される総二酸化炭素排出量を記憶しておき、排出量取得部212は、コンサートやスポーツの試合観戦への参加人数で総二酸化炭素排出量を割って、参加者1人あたりの二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部212は、例えば、チケットの購入時のオプションとして、カーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0065】
==eスポーツ==
eスポーツの実施に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、eスポーツの運営(空調、照明、機器の動作など)にかかる総二酸化炭素排出量を記憶しておき、排出量取得部212は、例えば、eスポーツへの参加者(参戦者及び/又は観戦者)の人数で総二酸化炭素排出量を割って、参加者1人あたりの二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部212は、参戦者に対しては参戦の申込時に、観戦者に対してはチケットの販売時に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0066】
==学校の授業==
学校の授業にかかったカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、学校の授業の実施(空調、照明・機器などの電気利用)にかかる総二酸化炭素排出量を記憶しておき、排出量取得部212は、例えば、学校の授業に参加する生徒の人数で総二酸化炭素排出量を割って、生徒1人あたりの二酸化炭素排出量を算出することができる。この場合、学校がオフセット費用を負担する場合には、オフセット受付部214は生徒にオフセットを行うか否かを問い合わせなくてよい。学校が負担しない場合、オフセット受付部214は、生徒に対し、生徒の入学時又は受講申込時に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0067】
==ホテルの宿泊==
ホテルの宿泊に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量取得部212は、単位時間当たりに宿泊した部屋から排出される二酸化炭素排出量(空調や電気の利用により排出される二酸化炭素量)に、宿泊時間(日数)を乗じることにより、ホテルの宿泊にかかる二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、例えば、宿泊者に対して、宿泊の申し込みの時にオプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0068】
==貸倉庫==
貸倉庫の利用に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量取得部212は、単位時間・面積当たりの二酸化炭素排出量(空調や電気の利用により排出される二酸化炭素排出量)に、利用した貸倉庫の面積及び利用時間(保管時間)を乗じて、貸倉庫の利用に関する二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、貸倉庫の利用申し込みの時に、利用者に対してオプションとして、カーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0069】
==キャンプ==
キャンプに関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、キャンプ時に排出される標準的な二酸化炭素排出量(例えば、たき火や炭火などにより排出される二酸化炭素量)を記憶しておき、排出量取得部212は、この二酸化炭素排出量を読み出すようにすることができる。オフセット受付部214は、キャンプを行う者に対して、キャンプの申込時に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0070】
==映画==
映画の鑑賞に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、映画の上映(映画館の運営)にかかる総二酸化炭素排出量(空調、照明、映写機器などの電気利用による二酸化炭素排出量)を記憶しておき、排出量取得部212は、総二酸化炭素排出量を映画の鑑賞人数で割って、鑑賞者1人あたりの二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、映画鑑賞の申込時(チケットの販売時)に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0071】
==ガスの利用==
家庭で利用したガスに関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、単位量当たりのガスの製造にかかる二酸化炭素排出量(kg/t)又は単位量当たりのガスの利用により排出される二酸化炭素排出量(kg/t)を記憶しておき、排出量取得部212は、家庭におけるガスの使用量(t)を取得して、「使用量(t)×ガスの製造にかかる二酸化炭素排出量(kg/t)」又は「使用量(t)×ガスの利用により排出される二酸化炭素排出量(kg/t)」により家庭で利用したガスに関する二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、ガスの供給契約の申し込み時に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0072】
==上下水道の利用==
家庭で利用した上下水道に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、単位量当たりの水(t)の浄化にかかる二酸化炭素排出量(kg/t)を記憶しておき、排出量取得部212は、家庭で使用した水の量(t)を取得し、「利用量(t)×浄化にかかる二酸化炭素排出量(kg/t)」により、上下水道の利用に関する二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、上下水道の供給契約の申し込み時に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0073】
==通信の利用==
家庭で利用した通信(電話、インターネット回線等)に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、単位通信量あたりの二酸化炭素排出量(kg/byte)を記憶しておき、排出量取得部212は、通信量(byte)を取得し、「通信量(byte)×単位通信量あたりの二酸化炭素排出量(kg/byte)」により、通信に関する二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、通信回線の申込時に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0074】
==ゲーム==
ゲームプレイに関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、ゲームプレイにより発生する単位時間あたりの二酸化炭素排出量(kg/h)を記憶しておき、排出量取得部212は、ゲームのプレイ時間を取得して、「プレイ時間(h)×単位時間あたりの二酸化炭素排出量(kg/h)」により、ゲームプレイに係る二酸化炭素排出量を算出することができる。なお、排出量取得部212は、例えば、ゲーム制作にかかった所与の二酸化炭素排出量を、ゲームのプレイヤーの数で割って、排出量を算出するようにしてもよい。オフセット受付部214は、ゲームの購入時や、オンラインゲームへの参加時、プレイ開始時、プレイ終了時などに、カーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0075】
==プリンタによる印刷==
プリンタでの印刷に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量取得部212は、1枚当たりの印刷にかかる二酸化炭素排出量(紙やインクの製造時に排出される二酸化炭素量)に印刷枚数を乗じて、印刷に関する二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、プリンタの利用時に利用者に対してカーボンオフセットの要否を選択させるようにすることができる。
【0076】
==ゴミ捨て==
ゴミ捨てに関連するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、物の種類毎に二酸化炭素の排出量を記憶するようにし、排出量取得部212は、ゴミとして捨てた物の種類と個数とを特定し、特定した種類に対応する二酸化炭素排出量に個数を乗じて、ゴミ捨てに関する二酸化炭素排出量を算出することができる。当該二酸化炭素排出量のオフセットのための環境価値の価格は、住居の管理費や指定ゴミ袋の販売価格に上乗せするようにすることができる。
【0077】
==商品の製造==
商品の配送ではなく、商品の製造時に排出される二酸化炭素をオフセットするようにしてもよい。この場合、ECサイトであっても、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、百貨店、洋服店などの商店であっても、商品ごとに、1個の製造にかかる二酸化炭素排出量を排出量情報記憶部231に記憶しておき、排出量取得部212は、販売された商品に対応する二酸化炭素排出量に、販売された商品の個数を乗じて、二酸化炭素排出量を算出することができる。
【0078】
==本・雑誌==
本や雑誌の製造に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、本や雑誌ごとに、1冊あたりの製造時に排出された二酸化炭素の量を記憶しておき、排出量取得部212は、販売された本や雑誌に対応する二酸化炭素排出量を読み出すことができる。オフセット受付部214は、上述した第1乃至第3の実施形態と同様に、本や雑誌の購入時(決済時)に、カーボンオフセットの要否を選択させることができる。
【0079】
==メガネ、オーダーメイドスーツ等==
同様に、メガネやオーダーメイドスーツなどの商品の製造に関するカーボンオフセットを行うこともできる。この場合にも、例えば、排出量情報記憶部231には、メガネやスーツの製造にかかる二酸化炭素排出量を記憶しておき、排出量取得部212は、販売されたメガネやスーツの数に、その製造にかかる二酸化炭素排出量を乗じて二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、上述した第1乃至第3の実施形態と同様に、メガネやスーツの購入時(決済時)に、カーボンオフセットの要否を選択させることができる。
【0080】
==飲食==
コーヒーショップやレストランなどの飲食店での飲食物に関するカーボンオフセットを行うこともできる。例えば、排出量情報記憶部231には、コーヒーや料理などの商品ごとに、1つの当該商品の作成時に排出される二酸化炭素排出量を記憶しておき、排出量取得部212は、提供されたコーヒーや食事等に対応する二酸化炭素排出量を取得して合計することができる。オフセット受付部214は、上述した第1乃至第3の実施形態と同様に、飲食物の会計(決済)時に、カーボンオフセットの要否を選択させることができる。
【0081】
==レンタカー==
レンタカーの利用に関するカーボンオフセットを行うこともできる。タクシーに関する第2の実施形態と同様にして、排出量取得部212は、走行距離(km)に、単位走行距離あたりの二酸化炭素排出量を乗じて、レンタカーの利用に係る二酸化炭素排出量を算出することができる。オフセット受付部214は、レンタカーのレンタル時に、オプションとしてカーボンオフセットの要否を選択させることができる。
【0082】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0083】
例えば、本実施形態では、購入者は一般消費者であることが想起されうるが、一般消費者に限らず、企業等の法人であってもよい。また逆に、販売者は企業等の法人であることが想起されうるが、企業等の法人に限らず、個人による販売であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
2 販売システム
4 外部サーバ
211 決済金額取得部
212 排出量取得部
213 オフセット価格取得部
214 オフセット受付部
215 決済処理部
216 オフセット処理部
231 排出量情報記憶部