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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150730
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】状態監視システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04313 20160101AFI20220929BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20220929BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20220929BHJP
【FI】
H01M8/04313
H01M8/04664
H01M8/0432
H01M8/04858
H01M8/04694
H01M8/04746
H01M8/00 A
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053458
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 明
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB23
5H127AB29
5H127AC14
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA37
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127BB37
5H127DB90
5H127DB91
5H127DB92
5H127DB93
5H127DC83
5H127DC93
5H127DC99
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】製造から稼働までの間の発電装置の状態を監視して、不具合の発生への対処や予防を行なうことを可能とする手段を提供する。
【解決手段】製造から稼働開始までの発電装置GEの状態を監視する状態監視システムであって、発電装置GEに設けられるセンサと、発電装置GEの製造から稼働開始までの間にセンサからの信号を取得する信号取得部と、信号取得部が取得した信号を記録する信号記録部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造から稼働開始までの発電装置の状態を監視する状態監視システムであって、
前記発電装置に設けられるセンサと、
前記発電装置の製造から稼働開始までの間に前記センサからの信号を取得する信号取得部と、
前記信号取得部が取得した前記信号を記録する信号記録部と、を備える状態監視システム。
【請求項2】
前記発電装置の動作機械に設けられ前記動作機械が正常に作動したか否かを検知する、前記センサとしての作動センサと、
前記動作機械を制御して試験動作させる試験動作部と、を備え、
前記信号取得部は、前記動作機械が試験動作したときの前記作動センサからの信号を取得する請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項3】
報知装置と、
前記信号取得部が前記作動センサから取得した信号が、前記動作機械が正常に作動していないことを示す場合に、前記報知装置を作動させる報知制御部と、を備える請求項2に記載の状態監視システム。
【請求項4】
前記動作機械は、ポンプ、ブロア、及び弁のうち少なくとも1つを含む請求項2又は3に記載の状態監視システム。
【請求項5】
前記発電装置に設けられ外気温を検知する、前記センサとしての外気温センサと、
前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、
前記タンクに貯留される液を加熱可能なヒータと、
前記信号取得部が前記外気温センサから取得した信号が、所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す場合に、前記ヒータを作動させる加熱制御部と、を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【請求項6】
前記発電装置に設けられ外気温を検知する、前記センサとしての外気温センサと、
前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、
報知装置と、
前記信号取得部が前記外気温センサから取得した信号が、所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す場合に、前記報知装置を作動させる報知制御部と、を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【請求項7】
前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、
前記タンクに貯留される液を加熱可能なヒータと、
前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す状態が、所定の閾値時間を超えて継続する場合に、前記ヒータを作動させる加熱制御部と、を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【請求項8】
前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、
報知装置と、
前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す状態が、所定の閾値時間を超えて継続する場合に、前記報知装置を作動させる報知制御部と、を備える請求項1から7のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【請求項9】
前記発電装置に設けられ浸水を検知する、前記センサとしての浸水センサと、
前記発電装置が備える燃料電池への水の供給路に設けられ、前記供給路を閉鎖可能な弁と、
前記信号取得部が前記浸水センサから取得した信号が、前記発電装置へ浸水したことを示す場合に、前記弁を制御して前記供給路を閉鎖させる閉鎖制御部と、を備える請求項1から8のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【請求項10】
前記発電装置に設けられ浸水を検知する、前記センサとしての浸水センサと、
前記発電装置が備える燃料電池への水の供給路に設けられたポンプと、
前記ポンプを制御して試験動作させる試験動作部と、
前記信号取得部が前記浸水センサから取得した信号が、前記発電装置へ浸水したことを示す場合に、前記試験動作部による前記ポンプの試験動作を禁止する試験動作禁止部と、を備える請求項1から9のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【請求項11】
前記発電装置に設けられると共に前記センサを駆動する電池を備える請求項1から10のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【請求項12】
前記信号取得部及び前記信号記録部が前記発電装置に設けられる請求項1から11のいずれか1項に記載の状態監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電設備の遠隔監視システムが記載されている。このシステムでは、運転状態の異常及びその兆候を検知し予防保全を図るため、発電設備の運転中のデータが収集される。特に、発電設備の始動時の運転データが、短い時間間隔で収集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-262468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池等の発電装置がメーカーで製造されてから、住宅等に設置されて稼働を開始するまで、比較的長い期間が経過する場合がある。例えば、商品在庫が過剰な場合、製造された発電装置がメーカーや販売会社で在庫として長期間保管される場合がある。発電装置が住宅に設置された後、その住宅が長期間売れ残る場合がある。製造から稼働までの間に発電装置が外乱(振動、温度変化、湿度変化など)を受けて、故障が発生する可能性がある。外乱を受けない場合でも、長期間の保管により可動部品に固着が生じる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、製造から稼働までの間の発電装置の状態を監視して、不具合の発生への対処や予防を行なうことを可能とする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の状態監視システムは、製造から稼働開始までの発電装置の状態を監視する状態監視システムであって、前記発電装置に設けられるセンサと、前記発電装置の製造から稼働開始までの間に前記センサからの信号を取得する信号取得部と、前記信号取得部が取得した前記信号を記録する信号記録部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、発電装置の製造から稼働開始までの間のセンサからの信号が記録されるので、製造から稼働までの間の発電装置の状態を把握して、不具合の発生への対処や予防を行なうことが可能となる。例えば、発電装置が大きな衝撃や温度変化を受けたことがセンサ信号の記録から判明した場合に、詳細な点検や破損部品の交換を行なうことが可能となる。なお、センサ信号の記録は、リアルタイムに確認されてもよいし、定期的に確認されてもよいし、稼働の直前に確認されてもよい。
【0008】
本発明において、前記発電装置の動作機械に設けられ前記動作機械が正常に作動したか否かを検知する、前記センサとしての作動センサと、前記動作機械を制御して試験動作させる試験動作部と、を備え、前記信号取得部は、前記動作機械が試験動作したときの前記作動センサからの信号を取得すると好適である。
【0009】
本構成によれば、動作機械の試験動作が行なわれ、そのときのセンサからの信号が記録されるので、製造から稼働までの間に動作機械が正常に作動するか否かを確認することが可能となる。従って、更に的確に不具合の発生への対処や予防を行なうことが可能となる。例えば、稼働開始の前に、正常に作動しなかった動作機械の修理を行なうことができる。
【0010】
本発明において、報知装置と、前記信号取得部が前記作動センサから取得した信号が、前記動作機械が正常に作動していないことを示す場合に、前記報知装置を作動させる報知制御部と、を備えると好適である。
【0011】
本構成によれば、試験動作において動作機械が正常に作動していない場合に報知が行なわれるので、報知を受けた人が不具合の発生への対処や予防を行なうことが可能となる。
【0012】
本発明において、前記動作機械は、ポンプ、ブロア、及び弁のうち少なくとも1つを含むと好適である。
【0013】
ポンプやブロア、弁は可動部品を有するので、長期間の保管により固着が生じる可能性がある。本構成によれば、製造から稼働までの間にポンプやブロア、弁が正常に作動するか否かを確認することが可能となる。従って、更に的確に不具合の発生への対処や予防を行なうことが可能となる。
【0014】
本発明において、前記発電装置に設けられ外気温を検知する、前記センサとしての外気温センサと、前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、前記タンクに貯留される液を加熱可能なヒータと、前記信号取得部が前記外気温センサから取得した信号が、所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す場合に、前記ヒータを作動させる加熱制御部と、を備えると好適である。
【0015】
本構成によれば、外気温センサからの信号が所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、液位センサからの信号が所定の閾値液位よりも高いことを示す場合にヒータが作動してタンクに貯留される液が加熱される。これにより、発電装置内の液の凍結を抑制することが可能となる。
【0016】
本発明において、前記発電装置に設けられ外気温を検知する、前記センサとしての外気温センサと、前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、報知装置と、前記信号取得部が前記外気温センサから取得した信号が、所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す場合に、前記報知装置を作動させる報知制御部と、を備えると好適である。
【0017】
本構成によれば、外気温センサからの信号が所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、液位センサからの信号が所定の閾値液位よりも高いことを示す場合に報知が行なわれる。これにより、報知を受けた人が対処(ヒータの作動や液の除去)を行なうことができ、発電装置内の液の凍結を抑制することが可能となる。
【0018】
本発明において、前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、前記タンクに貯留される液を加熱可能なヒータと、前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す状態が、所定の閾値時間を超えて継続する場合に、前記ヒータを作動させる加熱制御部と、を備えると好適である。
【0019】
本構成によれば、液位センサからの信号が所定の閾値液位よりも高いことを示し、その状態が閾値時間を超えて継続すると、ヒータが作動してタンクに貯留される液が加熱される。これにより、発電装置内の液の長期滞留による劣化、及び、これに伴う機器の劣化を抑制することができる。例えば、液の加熱により、液中の菌を減少させることができる。
【0020】
本発明において、前記発電装置のタンクに設けられ前記タンクの液位を検知する、前記センサとしての液位センサと、報知装置と、前記信号取得部が前記液位センサから取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す状態が、所定の閾値時間を超えて継続する場合に、前記報知装置を作動させる報知制御部と、を備えると好適である。
【0021】
本構成によれば、液位センサからの信号が所定の閾値液位よりも高いことを示し、その状態が閾値時間を超えて継続すると、報知が行なわれる。これにより、報知を受けた人が対処(ヒータの作動や液の除去)を行なうことができ、発電装置内での液の長期滞留による劣化、及び、これに伴う機器の劣化を抑制することができる。例えば、液の加熱により、液中の菌を減少させることができる。
【0022】
本発明において、前記発電装置に設けられ浸水を検知する、前記センサとしての浸水センサと、前記発電装置が備える燃料電池への水の供給路に設けられ、前記供給路を閉鎖可能な弁と、前記信号取得部が前記浸水センサから取得した信号が、前記発電装置へ浸水したことを示す場合に、前記弁を制御して前記供給路を閉鎖させる閉鎖制御部と、を備えると好適である。
【0023】
本構成によれば、浸水が検知されると供給路が閉鎖されるので、浸水による燃料電池の汚染を抑制することができる。
【0024】
本発明において、前記発電装置に設けられ浸水を検知する、前記センサとしての浸水センサと、前記発電装置が備える燃料電池への水の供給路に設けられたポンプと、前記ポンプを制御して試験動作させる試験動作部と、前記信号取得部が前記浸水センサから取得した信号が、前記発電装置へ浸水したことを示す場合に、前記試験動作部による前記ポンプの試験動作を禁止する試験動作禁止部と、を備えると好適である。
【0025】
本構成によれば、浸水が検知されるとポンプの試験動作が禁止される。これにより、試験動作によって汚染した水が燃料電池へ供給されることを防止でき、浸水による燃料電池の汚染を抑制することができる。
【0026】
本発明において、前記発電装置に設けられると共に前記センサを駆動する電池を備えると好適である。
【0027】
製造から稼働開始までの間は、発電装置が外部電源に接続されない場合がある。例えば、メーカーや販売会社で発電装置が在庫として保管されている期間や、発電装置が住宅に設置されてから住宅が販売されるまでの間は、発電装置が外部電源に接続されない可能性がある。本構成によれば、センサが電池で駆動されるので、発電装置が外部電源に接続されていないときであってもセンサを動作させることができる。従って、製造から稼働開始までの発電装置の状態を適切に監視することができる。
【0028】
本発明において、前記信号取得部及び前記信号記録部が前記発電装置に設けられると好適である。
【0029】
本構成によれば、発電装置が外部のコンピュータ等に接続されない状態、すなわちスタンドアロンの状態でも、発電装置の状態を適切に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】発電装置の具体的な構成を示す図である。
図2】発電装置の制御に関する構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る状態監視システムの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0032】
本発明の状態監視システムは、製造から稼働開始までの発電装置GE(図1)の状態を監視するシステムである。状態監視システムは、少なくとも、発電装置GEに設けられるセンサS(図2)と、発電装置GEの製造から稼働開始までの間にセンサSからの信号を取得する信号取得部61(図2)と、信号取得部61が取得した信号を記録する信号記録部71(図2)と、を備える。状態監視システムの詳細については後述する。
【0033】
なお「稼働開始」とは、発電装置GEが顧客に引き渡されて実際の使用(発電)が初めて開始されることであり、実際の使用開始後の再起動(一時停止後の起動)を含まない概念である。「製造から稼働開始まで」とは、発電装置GEが製造され保管されている期間、及び発電装置GEが住宅等に設置されている期間を含み、設置されてから試運転までの期間、及び試運転から稼働開始までの期間を含む。
【0034】
〔発電装置〕
図1に示されるように、発電装置GEは、燃料電池装置30を備える。燃料電池装置30は、筐体1の内部に、燃料電池部4及び燃料改質部3を有する発電部Gと、発電部Gの運転に関連して用いられる流体を流動させる複数台の動作機械Fと、検出値に応じた信号を出力するセンサSと、発電部G及び動作機械Fの動作を制御する制御装置60と、記憶装置70と、を有する。
【0035】
詳細な説明は後述するが、本実施形態において、冷却水ポンプ18、改質用水ポンプ19、排熱回収ポンプ20、浄化ポンプ21、原燃料ガスブロア22、燃焼用空気ブロア23、発電用空気ブロア24、及び冷却水弁VLが、動作機械Fである。発電装置GEが、これら動作機械Fの一部を備えてもよいし、他の動作機械Fを備えてもよい。
【0036】
発電装置GEは燃料電池装置30で発生された熱を蓄えることができる貯湯タンク17を有し、貯湯タンク17に蓄熱されている熱を給湯用途などの熱負荷装置(図示せず)に供給できる。
【0037】
燃料電池部4は、水素などの燃料ガス(改質ガス)が供給される燃料極8と酸素が供給される空気極7とを有するセルが複数個積層されたセルスタックを有して構成される。燃料電池部4は、固体高分子形のセルや固体酸化物形のセルなど、様々なタイプのセルを用いて構成することができる。また、本実施形態の燃料電池装置30は、燃料電池部4に対して、炭化水素等の原燃料を水蒸気改質することで生成した改質ガス(水素等)を供給するための燃料改質部3を併せて備えている。
【0038】
発電装置GEでは、燃料電池装置30の燃料電池部4を運転しているとき、燃料電池装置30と貯湯タンク17(本発明の蓄熱装置の一例)との間で熱媒としての湯水を循環させながら、燃料電池装置30で発生された熱の回収と、貯湯タンク17への蓄熱とを行わせるように構成されている。
【0039】
燃料電池装置30の主要な構成部分として、燃料改質部3と燃料電池部4とがある。
燃料改質部3では、原燃料流路L1を通って改質部5へ原燃料が供給され、改質部5で生成された改質ガスが改質ガス流路L2を通って燃料電池部4の燃料極8に供給される。燃料電池部4の空気極7には、発電用空気流路L8を通って酸素(空気)が供給される。そして、燃料電池部4で発電が行われる。
空気極7に供給する酸素の量は、制御装置60が発電用空気ブロア24の動作を制御することで調節される。
【0040】
燃料電池部4は電解質膜(図示せず)を燃料極8及び空気極7で挟んで構成されるセルを複数積層して備える。尚、図1中では簡略化のため単一のセルのみを記載している。また、燃料電池部4は、発電時に発生する熱を回収することで燃料電池部4を冷却する冷却部9を備える。本実施形態では水冷式の冷却部9を設けている。具体的には、この冷却部9には後述する電池冷却水流路L6を循環する水(以下、「回収水」と記載する)が供給されて、燃料電池部4の冷却が行われる。つまり、電池冷却水流路L6を循環する回収水は電池冷却水である。冷却部9を通過することで温度が上昇した回収水は、電池冷却水流路L6の途中に設けられた排熱回収用熱交換器13に流入する。詳細は後述するが、この排熱回収用熱交換器13において、回収水は、排熱回収流路L10を流れる湯水と熱交換して燃料電池部4から回収した排熱をその湯水に渡す。湯水は、蓄熱装置としての貯湯タンク17に貯えられ、そこで蓄熱が行われる。
冷却部9を流れる回収水の量は、制御装置60が冷却水ポンプ18の動作を制御することで調節される。
【0041】
本実施形態では、電池冷却水流路L6の途中に、冷却水弁VLが設けられている。冷却水弁VLは、冷却部9と冷却水ポンプ18との間に設けられる。冷却水弁VLは、制御装置60に制御されて、電池冷却水流路L6を閉鎖可能である。すなわち、冷却水弁VLは、発電装置GEが備える燃料電池部4(燃料電池の一例)への水の供給路である電池冷却水流路L6に設けられ、電池冷却水流路L6を閉鎖可能な弁である。
【0042】
改質部5には、炭化水素を含む原燃料(例えば、メタンを含む都市ガスなど)が供給される。また、気化部16には、後述する電池冷却水タンク10で貯えられる回収水が改質用水流路L13を通って改質用水ポンプ19によって供給され、そして、改質部5には、気化部16で生成された水蒸気が改質用水流路L13を通って供給される。改質部5は、併設される燃焼部6から与えられる燃焼熱を利用して、原燃料の水蒸気改質を行う。改質部5での水蒸気改質により得られた水素を主成分とする改質ガスは、改質ガス流路L2を介して燃料極8に供給される。
【0043】
改質部5に供給する原燃料の量は、制御装置60が原燃料ガスブロア22の動作を制御することで調節され、及び、改質部5に供給する水蒸気の量は、制御装置60が改質用水ポンプ19の動作を制御することで調節され、それにより燃料極8に供給される改質ガスの量が調節される。
【0044】
燃料極8では、供給された全ての改質ガスが発電反応で消費される訳ではない。そのため、燃料極8から排出される燃料極排ガスの中には水素等の改質ガスの成分が残存している。そこで、燃焼部6での燃焼用ガスとして、燃料極排ガスを利用している。具体的には、燃料極8から燃焼部6へ、燃料極排ガス流路L3を介して燃料極排ガスを供給する。また、燃焼部6での燃焼に利用される酸素が、燃焼用空気流路L9を通って燃焼部6に供給される。そして、燃焼部6で燃焼された後の燃焼排ガスは、燃焼排ガス流路L4を介して外部に排出される。空気極7で利用された後の空気極排ガスは、空気極排ガス流路L5を通って排出される。
燃焼部6に供給する空気の量は、制御装置60が燃焼用空気ブロア23の動作を制御することで調節される。
【0045】
燃焼排ガス及び空気極排ガスには水分が含まれている。そのため、その水分を回収する目的で、燃焼排ガス流路L4及び空気極排ガス流路L5を複合熱交換器14の部分で合流させ、且つ、燃焼排ガス及び空気極排ガスを冷却するための排熱回収流路L10を複合熱交換器14に通している。つまり、燃焼排ガス及び空気極排ガスに含まれる水分が、排熱回収流路L10を流れる湯水によって複合熱交換器14で冷却されて凝縮し、その凝縮水が回収水として回収水タンク11へと回収される。
【0046】
このように、回収水タンク11に貯えられている回収水は、燃料極排ガス中に含まれていた水分や、燃焼排ガス中に含まれていた水分が混入しているため、電解質や水に溶解しない不純物などを含んでいることが想定される。そのため、回収水が、浄化流路L7の途中に設けられるイオン交換樹脂12によって浄化処理されるように構成してある。イオン交換樹脂12で処理された後の回収水は、電池冷却水タンク10で貯えられる。そして、上述したように、電池冷却水タンク10から電池冷却水流路L6へと流れ出した回収水が冷却部9へと供給され、及び、電池冷却水タンク10から改質用水流路L13へと流れ出した回収水が気化部16へと供給される。
浄化流路L7を流れる回収水の量、即ち、イオン交換樹脂12で処理される回収水の量は、制御装置60が浄化ポンプ21の動作を制御することで調節される。
【0047】
燃料電池装置30は、貯湯タンク17に貯えている湯水が貯湯タンク17と排熱回収用熱交換器13との間で循環する排熱回収流路L10を有する。具体的には、湯水が、貯湯タンク17から、複合熱交換器14と、排熱回収用熱交換器13とを経由して貯湯タンク17に帰還するように排熱回収流路L10が設けられている。その結果、排熱回収用熱交換器13において回収水から回収した排熱(即ち、燃料電池装置30から回収した排熱)は、排熱回収流路L10を流れる湯水に与えられ、その湯水は貯湯タンク17に貯えられる。
排熱回収流路L10を流れる湯水の量は、制御装置60が排熱回収ポンプ20の動作を制御することで調節される。
【0048】
貯湯タンク17には、蓄えている湯水が給湯用途などに供給されるときに流れる給湯路L12が接続される。また、貯湯タンク17に水を供給する給水路L11が設けられている。
【0049】
制御装置60は、所謂ECUであって、後述する機能部に対応するプログラムを記憶するメモリ(HDDや不揮発性RAMなど。図示省略)と、当該プログラムを実行するCPU(図示省略)と、を備えている。プログラムがCPUにより実行されることにより、各機能部の機能が実現される。すなわち、制御装置60は、プログラムを記憶した一次的ではない(non-transitory)記録媒体を備える。
【0050】
制御装置60は、機能部として、信号取得部61、試験動作部62、報知制御部63、加熱制御部64、閉鎖制御部65、及び試験動作禁止部66を備える。
【0051】
記憶装置70は、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等である。記憶装置70が、制御装置60のメモリを兼ねてもよい。記憶装置70の一部または全部が、信号記録部71として機能する。
【0052】
図2に示されるように、発電装置GEは、衛星測位装置SPと、ヒータHと、報知装置NTと、電池BTと、を備える。
【0053】
衛星測位装置SPは、人工衛星からのGNSS(Global Navigation Satellite System)の信号を受信して、受信した信号に基づいて発電装置GEの位置を示す測位データを生成し、測位データを制御装置60へ送る。GNSSとしては、GPS、QZSS、Galileo、GLONASS、BeiDou、等を利用可能である。
【0054】
ヒータHは、発電装置GEのタンクT(電池冷却水タンク10、回収水タンク11、貯湯タンク17)に貯留される液を加熱可能である。ヒータHは、タンクTに貯留されている液を加熱するものであってもよいし、タンクTへ供給される液を加熱するものであってもよい。発電装置GEは、ヒータHとして、電池冷却水タンク用ヒータH1、回収水タンク用ヒータH2、及び貯湯タンク用ヒータH3を備える。
【0055】
電池冷却水タンク用ヒータH1は、電池冷却水タンク10に貯留される液を加熱可能であり、電池冷却水タンク10に設けられる。電池冷却水タンク用ヒータH1が、電池冷却水流路L6に設けられる凍結防止ヒータであってもよい。
【0056】
回収水タンク用ヒータH2は、回収水タンク11に貯留される液を加熱可能であり、回収水タンク11に設けられる。回収水タンク用ヒータH2が、浄化流路L7に設けられる凍結防止ヒータであってもよい。
【0057】
貯湯タンク用ヒータH3は、貯湯タンク17に貯留される液を加熱可能であり、貯湯タンク17に設けられる。貯湯タンク用ヒータH3が、排熱回収流路L10、給水路L11、または給湯路L12に設けられる凍結防止ヒータであってもよい。
【0058】
報知装置NTは、人(オペレータやメンテナンス要員、発電装置GEの所有者等)への報知を行なう装置である。報知装置NTは、音や光、画面への表示等を用いて報知を行なう。報知装置NTは、例えば、ランプ、スピーカ、表示装置である。報知装置NTが、人の保持する携帯情報端末やコンピュータ等への情報の送信によって報知を行なってもよい。この場合、報知装置NTは、通信装置である。
【0059】
電池BTは、センサS、制御装置60、及び記憶装置70へ電気を供給し、これらを駆動する。電池BTの容量は任意である。電池BTが、センサS、制御装置60、及び記憶装置70への電気の供給を1年間実行可能な容量を備えてもよい。電池BTが交換可能であってもよい。電池BTが充電可能であってもよい。
【0060】
〔状態監視システム〕
本実施形態では、発電装置GEに、状態監視システムが備えられている。上述の通り、状態監視システムは、製造から稼働開始までの発電装置GEの状態を監視するシステムである。
【0061】
状態監視システムは、少なくとも、センサSと、信号取得部61と、信号記録部71と、を備える。
【0062】
センサSは、発電装置GEの状態、外部環境、内部環境、動作状況等を検知するセンサであって、発電装置GEに設けられている。本実施形態では、センサSとして、作動センサS1、外気温センサS2、液位センサS3、浸水センサS4、振動センサS5、傾斜センサS6、内部温度センサS7、及び内部湿度センサS8が、発電装置GEに設けられている。各センサSの詳細は後述する。
【0063】
信号取得部61は、発電装置GEの製造から稼働開始までの間にセンサSからの信号を取得する。信号取得部61は、発電装置GEの製造後、所定の時間間隔でセンサSからの信号を取得する。信号取得の時間間隔が、全てのセンサSで同じでもよいし、センサS毎に異なっていてもよい。信号取得部61が、人為操作や外部からの信号を受け付けたことに応じて、センサSからの信号を取得するように構成されてもよい。
【0064】
信号記録部71は、信号取得部61が取得した信号を記録する。詳しくは、信号記録部71は、信号と、信号が取得された時刻とを関係づけて記録する。信号記録部71が、信号と、衛星測位装置SPが生成した測位データとを関係づけて記録してもよい。
【0065】
信号記録部71の記録内容を参照することにより、製造から稼働までの間の発電装置GEの状態を把握し、センサSの信号の内容に基づいて不具合の発生への対処や予防を行なうことが可能となる。例えば、振動センサS5及び傾斜センサS6の信号の記録から、発電装置GEの落下や転倒、発電装置GEへの物体の衝突などの発生の有無を確認することができる。衝突等の発生が確認された場合には、点検や修理、交換等の対処を実行することが可能となる。
【0066】
〔動作機械のセルフチェック〕
状態監視システムは、動作機械Fのセルフチェックが可能なように構成されている。状態監視システムは、発電装置GEの動作機械Fに設けられ動作機械Fが正常に作動したか否かを検知する、センサSとしての作動センサS1を備える。
【0067】
動作機械Fがポンプ(例えば、冷却水ポンプ18、改質用水ポンプ19、排熱回収ポンプ20、浄化ポンプ21)である場合、作動センサS1は、ポンプの動作部(回転軸やピストン等)の動作の有無を検知するセンサや、ポンプから吐出される流体の流量を検知するセンサである。
【0068】
動作機械Fがガスブロア(例えば、原燃料ガスブロア22、燃焼用空気ブロア23、発電用空気ブロア24)である場合、作動センサS1は、ガスブロアの動作部(回転軸や羽根)の動作の有無を検知するセンサや、ガスブロアから吐出される流体の流量を検知するセンサである。
【0069】
動作機械Fが弁(例えば、冷却水弁VL)である場合、作動センサS1は、弁の動作部(アクチュエータや弁体)の動作の有無を検知するセンサや、弁が設けられた流体路における流体の流量を検知するセンサである。
【0070】
作動センサS1が、全ての動作機械Fに対応して設けられてもよいし、一部の動作機械Fに対応して設けられてもよい。
【0071】
試験動作部62は、動作機械Fを制御して試験動作させる。試験動作とは、動作機械Fが正常に作動するか否かを確認するための、短時間または所定回数の動作である。試験動作部62は、所定の期間(例えば1ヶ月)毎に、動作機械Fを制御して試験動作させる。
【0072】
ポンプである動作機械Fに関して、試験動作部62が、タンクTに水がある場合(液位センサS3が所定水位以上を検知した場合)にのみ、試験動作を行なうよう構成されてもよい。
【0073】
なお、稼働開始の前に改質用水ポンプ19が動作すると、改質部5に水が過剰に供給される虞がある。そこで、試験動作部62が、改質用水ポンプ19に試験動作を行なわせないよう構成されてもよい。
【0074】
また、稼働開始の前に原燃料ガスブロア22が動作すると、未処理の燃料が排出される虞がある。そこで、試験動作部62が、原燃料ガスブロア22に試験動作を行なわせないよう構成されてもよい。
【0075】
試験動作部62が、発電装置GEが外部電源に接続されたときに、動作機械Fに試験動作を行なわせるよう、構成されてもよい。発電装置GEが倉庫に保管されているときには試験動作が行なわれず、発電装置GEが住宅等に設置されて外部電源に接続され電気が供給されているときに試験動作が行なわれてもよい。
【0076】
電池BTが十分大きい容量を備える場合、電池BTからの電源供給により、試験動作が行なわれてもよい。
【0077】
信号取得部61は、動作機械Fが試験動作したときの作動センサS1からの信号を取得する。信号取得部61が取得した信号は、信号記録部71に記録される。
【0078】
報知制御部63は、信号取得部61が作動センサS1から取得した信号が、動作機械Fが正常に作動していないことを示す場合に、報知装置NTを作動させる。報知制御部63が、動作機械Fが正常に作動していないことを示す信号(異常信号)を信号取得部61が取得して直ぐに報知装置NTを作動させてもよい。報知制御部63が、異常信号を信号取得部61が受け取ったことに応じて、発電装置GEの稼働開始時(または稼働の準備の開始時)に報知装置NTを作動させてもよい。
【0079】
試験動作部62が、異常信号を信号取得部61が受け取ったことに応じて、試験動作を所定回数(例えば3回)繰り返し行なわせるよう構成されてもよい。繰り返した試験動作に対する異常信号を信号取得部61が受け取ったことに応じて、報知制御部63が発電装置GEの稼働開始時(または稼働の準備の開始時)に報知装置NTを作動させてもよい。
【0080】
〔タンクの水の凍結防止〕
状態監視システムは、タンクTに貯留される水の凍結防止が可能なように構成されている。状態監視システムは、発電装置GEに設けられ外気温を検知する、センサSとしての外気温センサS2と、発電装置GEのタンクTに設けられタンクTの液位を検知する、センサSとしての液位センサS3と、を備える。
【0081】
加熱制御部64は、信号取得部61が外気温センサS2から取得した信号が、所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、信号取得部61が液位センサS3から取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す場合に、ヒータHを作動させる。つまり、外気温が低く、且つタンクTに水が存在する場合に、ヒータHが作動する。これにより、水の温度が上昇するので、凍結を防止することができる。
【0082】
詳しくは、外気温センサS2の信号が所定の閾値温度よりも低いことを示すとき、加熱制御部64は、電池冷却水タンク10の液位センサS3の信号が所定の閾値液位より高いことを示す場合に電池冷却水タンク用ヒータH1を作動させ、回収水タンク11の液位センサS3の信号が所定の閾値液位より高いことを示す場合に回収水タンク用ヒータH2を作動させ、貯湯タンク17の液位センサS3の信号が所定の閾値液位より高いことを示す場合に貯湯タンク用ヒータH3を作動させる。すなわち、加熱制御部64は、液位センサS3に対応するヒータHを作動させる。加熱制御部64が、ヒータHに加えてポンプ(冷却水ポンプ18、改質用水ポンプ19、排熱回収ポンプ20、浄化ポンプ21)を作動させるよう構成されてもよい。
【0083】
報知制御部63は、信号取得部61が外気温センサS2から取得した信号が、所定の閾値温度よりも低いことを示し、且つ、信号取得部61が液位センサS3から取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す場合に、報知装置NTを作動させる。つまり、外気温が低く、且つタンクTに水が存在する場合に、報知が行なわれる。これにより、報知を受けた人がタンクTの水の排出やヒータHの作動操作を行なうことができ、凍結を防止することができる。
【0084】
加熱制御部64によるヒータHの作動と、報知制御部63による報知装置NTの作動は、両方が行なわれてもよいし、一方のみ行なわれてもよい。
【0085】
〔水の長期間貯留による劣化防止〕
状態監視システムは、タンクTに水が長期間貯留されることによる劣化(水、機器)の防止が可能なように構成されている。
【0086】
加熱制御部64は、信号取得部61が液位センサS3から取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す状態が、所定の閾値時間(例えば1週間)を超える場合に、ヒータHを作動させる。つまり、タンクTに水が存在する状態が長期間継続した場合に、ヒータHが作動する。これにより、水の温度が上昇するので、水中の菌が死滅し、水や機器の劣化を防止することができる。加熱制御部64が、水の温度が所定の温度(例えば、40℃)を超えるようにヒータHを作動させるよう構成されてもよい。なお、加熱制御部64は、液位センサS3に対応するヒータHを作動させる。加熱制御部64が、ヒータHに加えてポンプ(冷却水ポンプ18、改質用水ポンプ19、排熱回収ポンプ20、浄化ポンプ21)を作動させるよう構成されてもよい。
【0087】
報知制御部63は、信号取得部61が液位センサS3から取得した信号が、所定の閾値液位よりも高いことを示す状態が、所定の閾値時間(例えば1週間)を超える場合に、報知装置NTを作動させる。つまり、タンクTに水が存在する状態が長期間継続した場合に、報知が行なわれる。これにより、報知を受けた人がタンクTの水の排出やヒータHの作動操作を行なうことができ、水や機器の劣化を防止することができる。
【0088】
加熱制御部64によるヒータHの作動と、報知制御部63による報知装置NTの作動は、両方が行なわれてもよいし、一方のみ行なわれてもよい。
【0089】
〔浸水・水没対応〕
状態監視システムは、発電装置GEが浸水・水没の被害に遭った場合の対処を行なうように構成されている。状態監視システムは、発電装置GEに設けられ浸水を検知する、センサSとしての浸水センサS4を備える。浸水センサS4は、例えば、水が接触したことを検知するセンサであって、発電装置GEの筐体1の底部に設けられている。浸水センサS4が、湿度の上昇を検知することにより浸水を検知するセンサであってもよい。
【0090】
閉鎖制御部65は、信号取得部61が浸水センサS4から取得した信号が、発電装置GEへ浸水したことを示す場合に、冷却水弁VLを制御して電池冷却水流路L6を閉鎖させる。ゲリラ豪雨等により住宅等に設置した発電装置GEへ浸水すると、雨水が電池冷却水流路L6から燃料電池部4へ流入して燃料電池部4が汚染される可能性がある。冷却水弁VLの閉鎖により、高価な燃料電池部4の汚染を防止することができる。
【0091】
燃料電池部4への気体の供給路(改質ガス流路L2、燃料極排ガス流路L3、空気極排ガス流路L5、発電用空気流路L8)に弁が設けられてもよい。浸水時に、これらの弁を制御して気体の供給路を閉鎖させるよう、閉鎖制御部65が構成されてもよい。
【0092】
試験動作禁止部66は、信号取得部61が浸水センサS4から取得した信号が、発電装置GEへ浸水したことを示す場合に、試験動作部62による冷却水ポンプ18の試験動作を禁止する。ここで、冷却水ポンプ18は、発電装置GEが備える燃料電池部4(燃料電池の一例)への水の供給路(電池冷却水流路L6)に設けられたポンプである。
【0093】
ゲリラ豪雨等により住宅等に設置した発電装置GEへ浸水すると、雨水が電池冷却水流路L6や電池冷却水タンク10に流入する可能性がある。その状態で冷却水ポンプ18の試験動作が実行されると、汚染水が燃料電池部4へ流入する可能性がある。冷却水ポンプ18の試験動作の禁止により、高価な燃料電池部4の汚染を防止することができる。
【0094】
なお、試験動作禁止部66が、浸水時に、改質用水ポンプ19や排熱回収ポンプ20、浄化ポンプ21、原燃料ガスブロア22、燃焼用空気ブロア23、発電用空気ブロア24の試験動作を禁止するよう、構成されてもよい。この場合、試験動作による発電装置GEの内部の汚染(汚染拡大)を抑制することができる。
【0095】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、信号取得部61、試験動作部62、報知制御部63、加熱制御部64、閉鎖制御部65、試験動作禁止部66、及び信号記録部71が発電装置GEに設けられる。これら機能部の一部または全部が、発電装置GEの外部(メーカーや販売会社、住宅会社のコンピュータや、クラウドサーバ等)に設けられてもよい。
【0096】
(2)上述の実施形態では、発電装置GEは燃料電池装置30により発電を行なう。発電装置GEが、他の方式(例えば、ガスエンジンやガソリンエンジン)により発電を行なう装置であってもよい。
【0097】
(3)信号取得部61による信号取得及び信号記録部71による信号記録の開始時期及び終了時期は、任意に設定可能である。開始時期及び終了時期が、以下列挙する時点のいずれかに設定されてもよい。発電装置GEの製造時における電池BTの接続時、発電装置GEの製造完了時、発電装置GEの倉庫への収納完了時、発電装置GEの輸送開始時、発電装置GEの輸送完了時、発電装置GEの設置工事開始時、発電装置GEの設置工事完了時、発電装置GEへの外部電源の接続時、発電装置GEの稼働前点検開始時、発電装置GEの稼働前点検終了時、発電装置GEの稼働開始時。
【0098】
すなわち、状態監視システムが発電装置GEの状態を監視する期間は、製造から稼働開始までの期間の全てであってもよいし、製造から稼働開始までの期間の一部であってもよい。
【0099】
(4)報知制御部63が、信号取得部61がセンサSから取得した信号が異常を示す場合に報知装置NTを作動させるよう構成されてもよい。センサSから取得した信号の異常とは、例えば以下列挙する状態である。外気温の大幅な上昇及び下降(外気温センサS2)、タンクTの液位の大幅な上昇及び下降(液位センサS3)、浸水の検知(浸水センサS4)、大きな振動(振動センサS5)、大きな傾斜(傾斜センサS6)、内部温度の大幅な上昇及び下降(内部温度センサS7)、内部湿度の大幅な上昇及び下降(内部湿度センサS8)。
【0100】
(5)上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、製造から稼働開始までの発電装置の状態を監視する状態監視システムや、各種の発電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0102】
4 :燃料電池部(燃料電池)
18 :冷却水ポンプ(ポンプ)
61 :信号取得部
62 :試験動作部
63 :報知制御部
64 :加熱制御部
65 :閉鎖制御部
66 :試験動作禁止部
71 :信号記録部
BT :電池
F :動作機械
GE :発電装置
H :ヒータ
L6 :電池冷却水流路(供給路)
NT :報知装置
S :センサ
S1 :作動センサ
S2 :外気温センサ
S3 :液位センサ
S4 :浸水センサ
T :タンク
VL :冷却水弁(弁)
図1
図2