(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150746
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】半導体チップおよびその製造方法、半導体装置およびその製造方法、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220929BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053486
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】駒井 尚紀
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA08
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118EA01
4M118EA14
4M118FA06
4M118GA02
4M118GB03
4M118GB07
4M118GC07
4M118GC14
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA02
4M118HA09
4M118HA22
4M118HA24
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA31
4M118HA35
5C024CY47
5C024CY48
5C024EX24
5C024EX25
5C024EX43
(57)【要約】
【課題】撮像素子の半導体チップにおいて、基板実装後の長期信頼性を確保しつつ、撮像画像の画質劣化を抑制することができるようにする。
【解決手段】半導体チップは、CMOSイメージセンサと、CMOSイメージセンサ上に形成されるシール樹脂と、CMOSイメージセンサとシール樹脂を介して接着される保護基板とを備える。シール樹脂は、母材と、母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む。本技術は、例えば、CMOSイメージセンサの半導体チップ等に適用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップ。
【請求項2】
前記強化材料は、繊維状である
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記強化材料は、短辺の断面の直径が可視光の波長より短く、長辺の断面の直径が、前記短辺の断面直径の3倍以上である
請求項2に記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記強化材料は、ガラス繊維または有機物繊維である
請求項2に記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記有機物繊維は、セルロースナノファイバー、または、ナノ粒子が凝集したナノ粒子凝集体である
請求項4に記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記強化材料は、可視光を透過する
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項7】
前記強化材料の含有量は、2~50wt%である
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項8】
前記母材の屈折率は、前記保護基板の屈折率に略等しい
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項9】
前記強化材料の屈折率は、前記母材の屈折率に略等しい
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項10】
前記強化材料と前記母材の屈折率の差は、0.06以下である
請求項9に記載の半導体チップ。
【請求項11】
前記強化材料と前記母材の屈折率の差は、0.03以上である
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項12】
前記強化材料と前記母材の屈折率の差は、0.03以上0.06以下である
請求項11に記載の半導体チップ。
【請求項13】
前記撮像素子は、オンチップレンズを含み、
前記シール樹脂は、前記オンチップレンズ上に形成され、前記オンチップレンズに比べて屈折率が低い
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項14】
撮像素子を形成し、
前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂を形成し、
前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板を接着する
半導体チップの製造方法。
【請求項15】
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップと、
前記半導体チップを実装する基板と、
前記基板上に前記半導体チップの側面を覆うように形成されるアンダーフィル材料と
を備える半導体装置。
【請求項16】
撮像素子を形成し、
前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂を形成し、
前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板を接着することにより半導体チップを形成し、
前記半導体チップを基板に実装し、
前記半導体チップの周囲から前記半導体チップと前記基板の間にアンダーフィル材料を充填して熱硬化させ、前記半導体チップの側面を前記アンダーフィル材料で覆う
半導体装置の製造方法。
【請求項17】
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップと、
前記半導体チップがワイヤを用いて実装される基板と、
前記基板上に前記半導体チップの側面の前記ワイヤを覆うように形成される樹脂と
を備える半導体装置。
【請求項18】
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップと、
前記半導体チップからの信号を処理する信号処理回路と
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体チップおよびその製造方法、半導体装置およびその製造方法、並びに電子機器に関し、特に、撮像素子の半導体チップにおいて、基板実装後の長期信頼性を確保しつつ、撮像画像の画質劣化を抑制することができるようにした半導体チップおよびその製造方法、半導体装置およびその製造方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子の半導体チップにおいて、受光部を保護するガラス基板が、透明性および接着性が高いアクリル系樹脂を介して受光部上に形成されることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、イメージセンサの光電変換部上に形成されるマイクロレンズアレイと透光板の間に形成される機能膜の材質の屈折率を、マイクロレンズアレイの材質の屈折率よりも低くすることにより、マイクロレンズの集光性を向上させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されている発明では、機能膜において、主成分が二酸化ケイ素であるフィラー材料を用いて立体障害を形成することにより低密化が図られ、低い屈折率が実現されている。
【0004】
一方、半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップと基板との間の隙間に封止樹脂を充填するとともに、半導体チップの側端面を弾性体で覆うことにより、信頼性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-16757号公報
【特許文献2】特開2019-195051号公報
【特許文献3】特開2002-141444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体撮像素子の半導体チップにおいて高画素化などの高付加価値化を図ると、半導体チップが大型化し、基板実装後の長期信頼性の確保が困難になる。従って、この場合、例えば、半導体チップと基板との間の隙間にアンダーフィル材料(封止樹脂)を充填することにより、基板実装後の長期信頼性を確保することが考えられる。
【0007】
しかしながら、半導体チップにおいて固体撮像素子上にシール樹脂を介して保護基板が形成され、そのシール樹脂が例えばアクリル重合体である場合、アンダーフィル材料をキュア(熱硬化)した際の硬化収縮応力により、アンダーフィル材料と接触するシール樹脂が凝集破壊を起こして白化することがある。この白化が、固体撮像素子の画素領域(受光領域)まで達すると、その白化した部分で光が乱反射するため、撮像画像の画質劣化などが発生する。
【0008】
従って、固体撮像素子の半導体チップにおいて、基板実装後の長期信頼性を確保しつつ、撮像画像の画質劣化を抑制することは困難である。
【0009】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、撮像素子の半導体チップにおいて、基板実装後の長期信頼性を確保しつつ、撮像画像の画質劣化を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の第1の側面の半導体チップは、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とを備え、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む。
【0011】
本技術の第2の側面の半導体チップの製造方法は、撮像素子を形成し、前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂を形成し、前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板を接着する。
【0012】
本技術の第3の側面の半導体装置は、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とを備え、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む半導体チップと、前記半導体チップを実装する基板と、前記基板上に前記半導体チップの側面を覆うように形成されるアンダーフィル材料とを備える。
【0013】
本技術の第4の側面の半導体装置の製造方法は、撮像素子を形成し、前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂を形成し、前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板を接着することにより半導体チップを形成し、前記半導体チップを基板に実装し、前記半導体チップの周囲から前記半導体チップと前記基板の間にアンダーフィル材料を充填して熱硬化させ、前記半導体チップの側面を前記アンダーフィル材料で覆う。
【0014】
本技術の第5の側面の半導体装置は、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とを備え、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む半導体チップと、前記半導体チップがワイヤを用いて実装される基板と、前記基板上に前記半導体チップの側面の前記ワイヤを覆うように形成される樹脂とを備える。
【0015】
本技術の第6の側面の電子機器は、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とを備え、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む半導体チップと、前記半導体チップからの信号を処理する信号処理回路とを備える。
【0016】
本技術の第1の側面においては、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とが設けられ、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む。
【0017】
本技術の第2の側面においては、撮像素子が形成され、前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂が形成され、前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板が接着される。
【0018】
本技術の第3の側面においては、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とを備え、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む半導体チップと、前記半導体チップを実装する基板と、前記基板上に前記半導体チップの側面を覆うように形成されるアンダーフィル材料とが設けられる。
【0019】
本技術の第4の側面においては、撮像素子が形成され、前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂が形成され、前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板を接着することにより半導体チップが形成され、前記半導体チップが基板に実装され、前記半導体チップの周囲から前記半導体チップと前記基板の間にアンダーフィル材料が充填されて熱硬化され、前記半導体チップの側面が前記アンダーフィル材料で覆われる。
【0020】
本技術の第5の側面においては、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とを備え、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む半導体チップと、前記半導体チップがワイヤを用いて実装される基板と、前記基板上に前記半導体チップの側面の前記ワイヤを覆うように形成される樹脂とが設けられる。
【0021】
本技術の第6の側面においては、撮像素子と、前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板とを備え、前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む半導体チップと、前記半導体チップからの信号を処理する信号処理回路とが設けられる。
【0022】
半導体チップ、半導体装置、および電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本技術を適用した半導体装置の第1実施の形態のパッケージ構造の例を示す図である。
【
図2】
図1のCMOSイメージセンサの回路構成を示す図である。
【
図3】一般的なシール樹脂が設けられた半導体装置の一例を示す図である。
【
図5】シール樹脂における光の屈折を示す図である。
【
図6】
図1の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図7】
図1の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図8】
図1の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図9】
図1の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図10】
図1の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図11】本技術を適用した半導体装置の第2実施の形態のパッケージ構造の第1の例を示す図である。
【
図12】本技術を適用した半導体装置の第2実施の形態のパッケージ構造の第2の例を示す図である。
【
図13】本開示の技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図14】半導体チップを使用する使用例を示す図である。
【
図15】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図16】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.半導体装置の第1実施の形態
2.半導体装置の第2実施の形態
3.電子機器への適用例
4.半導体チップの使用例
5.内視鏡手術システムへの応用例
6.移動体への応用例
【0025】
なお、以下の説明で参照する図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0026】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれる。
【0027】
<1.半導体装置の第1実施の形態>
<半導体装置のパッケージ構造>
図1は、本技術を適用した半導体装置の第1実施の形態のパッケージ構造の例を示す図である。
【0028】
図1の半導体装置200は、半導体チップ211が基板212に実装されることにより構成される。具体的には、基板212の表面には、所定の位置に導体212a等が形成され、それ以外の領域には感光性ソルダレジスト212bが形成されている。半導体チップ211の下側に形成されたはんだボール279が、導体212aの上に搭載されることにより、半導体装置200が構成される。
【0029】
半導体チップ211と基板212の間には、半導体チップ211の周囲からアンダーフィル材料213が充填されている。即ち、基板212上には、半導体チップ211の底面と側面を覆うようにアンダーフィル材料213が形成されている。
【0030】
半導体チップ211は、固体撮像素子としてのCMOSイメージセンサ230の上にシール樹脂231を介して透明な保護基板232が形成されたキャビティレスCSP(chip size package)である。具体的には、シール樹脂231は、CMOSイメージセンサ230の上側(光が入射される側)に形成される。また、保護基板232は、例えばガラス基板であり、CMOSイメージセンサ230とシール樹脂231を介して接着される。シール樹脂231の詳細については後述するが、シール樹脂231は、母材と、母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む。
【0031】
以上のように、半導体チップ211は、CMOSイメージセンサ230と保護基板232の間にシール樹脂231が充填された、空間のないキャビティレスCSPであるので、半導体チップを低背化および小型化することができる。
【0032】
CMOSイメージセンサ230は、積層型裏面照射型のCMOSイメージセンサである。具体的には、CMOSイメージセンサ230は、下側基板241に上側基板242が積層されることにより構成される。
【0033】
下側基板241は、シリコン基板などの支持基板251の上に配線層252が形成されることにより構成される。
【0034】
支持基板251の、配線層252の接続パッド252aに対応する領域には、支持基板251を貫通する貫通孔271が形成されている。この貫通孔271の内壁には、絶縁膜272とバリア・シード層273を介して接続導体274が埋め込まれ、これによりシリコン貫通電極(TSV(Through Silicon Via))275が形成されている。シリコン貫通電極275の接続導体274は、支持基板251の下面側に絶縁膜276とバリア・シード層277を介して形成された再配線278と接続されている。
再配線278の所定の位置には、はんだボール279が形成されている。このはんだボール279を介して、CMOSイメージセンサ230と基板212は電気的に接続される。即ち、半導体チップ211は、BGA(Ball Grid Array)パッケージである。支持基板251の下面側には、はんだボール279が形成されている領域を除いて、絶縁膜276と再配線278を覆うように、感光性ソルダレジスト280が形成されている。
【0035】
配線層252には、上側基板242に形成される光電変換を行う画素(図示せず)の制御を行う制御回路や画素から出力された画素信号を処理する信号処理回路などのロジックF回路が形成されている。
【0036】
一方、上側基板242は、シリコン基板253の下側に配線層254が形成されることにより構成される。シリコン基板253の表面には、各画素の光電変換部として複数のフォトダイオード(図示せず)が所定の間隔で形成されている。
【0037】
図を簡略化するため、図示は省略するが、実際には、シリコン基板253およびフォトダイオードの上には、SiO2からなる保護膜が形成されている。保護膜の上には、隣接する画素への光の漏れ込みを防止するための遮光膜が、隣接するフォトダイオードの間に形成されている。保護膜および遮光膜の上には、後述するカラーフィルタ255を形成する領域を平坦化するための平坦化膜が形成されている。この構造の詳細については、例えば、国際公開第2014/148276号に記述されている。以上のように、シリコン基板253の上には、保護膜、遮光膜、平坦化膜などが形成されるが、以下では、適宜、これらをまとめてシリコン基板253という。
【0038】
シリコン基板253(の平坦化膜)の上には、カラーフィルタ255が形成されている。カラーフィルタ255は画素ごとに設けられ、各画素のカラーフィルタ255の色の配列は、例えばベイヤ配列である。カラーフィルタ255の上には、各画素のフォトダイオードに光を集め、フォトダイオードの感度を向上させるためのオンチップレンズ(マイクロレンズ)256が形成されている。
【0039】
オンチップレンズ256は、SiN,SiO,SiOxNy(x,yは0より大きく1以下の値)等の無機材料によって形成される。ここで、半導体チップ211は、キャビティレスCSPであり、オンチップレンズ256の上には、空間ではなく、シール樹脂231が存在する。従って、オンチップレンズ256の屈折率がシール樹脂231の屈折率に比べて高い方が、オンチップレンズ256の集光性が向上する。よって、オンチップレンズ256の材料としては、SiN,SiO,SiOxNy等のうちの屈折率が高いSiNが用いられることが望ましい。
【0040】
配線層254は、画素の回路を形成する。配線層254が配線層252と接着されることにより、下側基板241に上側基板242が積層される。
【0041】
<CMOSイメージセンサの回路構成>
図2は、
図1のCMOSイメージセンサ230の回路構成を示す図である。
【0042】
図2に示すように、CMOSイメージセンサ230は、画素アレイ部291と、垂直駆動部292、カラム処理部293、水平駆動部294、システム制御部295などからなる制御回路とを含む。CMOSイメージセンサ230はまた、信号処理部298およびデータ格納部299などのロジック回路を備える。
【0043】
画素アレイ部291は、受光した光に対して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を蓄積するフォトダイオード等を有する画素(図示せず)が、行方向(水平方向)および列方向(垂直方向)に、即ち行列状に、2次元配置された構成となっている。
【0044】
画素アレイ部291において、画素の行ごとに画素駆動線296が行方向に沿って配線され、画素の列ごとに垂直信号線297が列方向に沿って配線される。画素駆動線296は、画素から信号を読み出す際の駆動を行うための駆動信号を伝送する。
図2では、画素駆動線296について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動線296の一端は、垂直駆動部292の各行に対応した出力端に接続されている。
【0045】
垂直駆動部292は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部291の各画素を全画素同時または行単位等で駆動する。この垂直駆動部292の具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0046】
読出し走査系は、画素から信号を読み出すために、画素アレイ部291の画素を行単位で順に選択走査する。画素から読み出される信号である画素信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃出し走査を行う。この掃出し走査により、読出し行の画素の光電変換部から不要な電荷を掃き出して光電変換部をリセットし、電荷の蓄積を開始する電子シャッタ動作が行われる。
【0047】
読出し走査系による読出し動作によって読み出される画素信号は、その直前の読出し動作または電子シャッタ動作以降に受光した光量に対応するものである。そして、直前の読出し動作による読出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃出しタイミングから、今回の読出し動作による読出しタイミングまでの期間が、画素における電荷の蓄積期間(露光期間)となる。
【0048】
読み出し行の各画素から読み出された画素信号は、画素の列ごとに垂直信号線297の各々を通してカラム処理部293に入力される。カラム処理部293は、画素アレイ部291の画素の列ごとに信号処理回路を備える。カラム処理部293の各信号処理回路は、対応する列の画素から垂直信号線297を通して入力される画素信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
【0049】
具体的には、カラム処理部293の各信号処理回路は、所定の信号処理として、CDS(Correlated Double Sampling)処理などのノイズ除去処理を行う。このCDS処理により、リセットノイズや画素内の増幅トランジスタの閾値ばらつき等の画素固有の固定パターンノイズが除去される。カラム処理部293はまた、所定の信号処理として、A/D(Analog/Digital)変換処理を行い、アナログの画素信号をデジタル信号に変換する。
【0050】
水平駆動部294は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部293の各信号処理回路を順番に選択する。この水平駆動部294による選択走査により、カラム処理部293の各信号処理回路において信号処理され、保持されていた画素信号が順番に出力される。
【0051】
システム制御部295は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータなどによって構成される。システム制御部295は、このタイミングジェネレータで生成された各種のタイミングを基に、垂直駆動部292、カラム処理部293、及び、水平駆動部294などを制御する。
【0052】
信号処理部298は、少なくとも演算処理機能を有し、カラム処理部293から出力されるデジタル信号である画素信号に対して演算処理等の種々の信号処理を行う。データ格納部299は、信号処理部298における信号処理に必要なデータを一時的に格納する。
【0053】
<シール樹脂の説明>
次に、
図3乃至
図5を参照して、
図1のシール樹脂231を説明する。
【0054】
図3は、
図1の半導体装置200において、シール樹脂231の代わりに、強化材料を含まない一般的なシール樹脂が設けられた半導体装置の一例を示す図である。
【0055】
図3において、
図1と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の詳細な説明は省略する。
【0056】
図3に示すように、半導体装置300は、シール樹脂231の代わりに、強化材料を含まないアクリル重合体を用いた一般的なシール樹脂301が設けられる点が、
図1の半導体装置200と異なっている。
【0057】
このような半導体装置300では、アンダーフィル材料213を熱硬化した際の硬化収縮応力により、アンダーフィル材料213と接触するシール樹脂301に凝集破壊(凝集破断)が発生し、クラック302が生じることがある。このクラック302によるシール樹脂301の白化が、オンチップレンズ256の周辺にまで達すると、その白化した部分で光が乱反射し、撮像画像の画質が劣化する。
【0058】
また、オンチップレンズ256やシリコン基板253の表面で反射された光は、保護基板232の上面(表面)で全反射し、シリコン基板253のフォトダイオードが形成される領域である受光領域に再入射される場合がある。この場合、撮像画像において周期性を持った回折ゴーストや回折フレアが発生することがある。
【0059】
例えば、シール樹脂301と保護基板232の屈折率が略同一である場合、オンチップレンズ256やシリコン基板253の表面で反射された光は、この表面から離れた保護基板232の表面に直進する。従って、保護基板232で全反射した光により、強い回折ゴーストが、オンチップレンズ256やシリコン基板253の表面の反射位置から離れた位置に発生することがある。このような回折ゴーストや回折フレアは、意図しない光の映り込み、即ちノイズであり、望まれない。
【0060】
【0061】
図4に示すように、
図1の半導体装置200では、シール樹脂231が母材351と強化材料352により構成される。即ち、シール樹脂231は、母材351に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料352をランダムに分散して含む複合構造を有する。
【0062】
このように、シール樹脂231には、強化材料352が含まれているので、シール樹脂231をシール樹脂301に比べて強化することができる。従って、アンダーフィル材料213を熱硬化した際の硬化収縮応力によるシール樹脂231の凝集破壊を抑制することができる。これにより、シール樹脂231の白化の発生が低減され、この白化による撮像画像の画質劣化が抑制される。
【0063】
また、凝集破壊によりクラック371が発生した場合であっても、強化材料352の界面でクラック371を止めることができる。従って、オンチップレンズ256周辺、即ち受光領域の上にクラック371を進展させないようにすることができる。その結果、シール樹脂231の白化による撮像画像の画質への悪影響を抑制することができる。
【0064】
以上により、半導体装置200では、アンダーフィル材料213により半導体チップ211を保護して半導体チップ211を基板212へ実装した後の長期信頼性を確保しつつ、シール樹脂231の白化による撮像画像の画質劣化を抑制することができる。
【0065】
シール樹脂231は、例えば、可視光の波長領域(例えば400nm~700nm)における平均透過率が98.5%以上となるように構成される。母材351は、屈折率がオンチップレンズ256の屈折率に比べて低く、保護基板232の屈折率に略等しいアクリル系シール樹脂である。例えば、保護基板232が、屈折率が1.51であるガラス基板である場合、母材351としては、例えば屈折率が1.5であるアクリル樹脂が用いられる。
【0066】
以上のように、シール樹脂231では、母材351の屈折率がオンチップレンズ256の屈折率に比べて低いので、オンチップレンズ256の集光性を向上させることができる。また、保護基板232と母材351の屈折率が略等しいので、保護基板232を介して受光領域に入射される光に対する母材351の影響を抑制することができる。
【0067】
強化材料352は、可視光を透過する繊維状の材料である。このような材料としては、例えばガラス繊維や、セルロースナノファイバー、ナノ粒子が凝集した粒子径が100nm以下のナノ粒子凝集体等の有機繊維がある。セルロースナノファイバーは、木材などを加水分解および粉砕して形成される、ナノレベルまで細線化された透明なセルロース繊維である。セルロースナノファイバーは、例えば鋼鉄の5倍の強度を有する。
【0068】
強化材料352の短辺の断面の直径は可視光の波長より短く、長辺の断面の直径は短辺の断面の直径の3倍以上、即ちアスペクト比が3以上である。これにより、保護基板232を介して受光領域に入射される光に対する強化材料352の影響を抑制することができる。
【0069】
強化材料352の屈折率は、母材351の屈折率に略等しい。具体的には、強化材料352と母材351の屈折率の差は、例えば0.03以上0.06以下であることが望ましい。強化材料352と母材351の屈折率の差が0.06以下である場合、保護基板232を介して受光領域に入射される光に対する強化材料352の影響を抑制することができる。その結果、強化材料352による画質劣化を抑制することができる。
【0070】
また、強化材料352と母材351の屈折率の差が0.03以上である場合、
図5に示すように、シール樹脂231に入射された光は屈折し、その光(の光軸)が様々な方向に変化する。これにより、受光領域やオンチップレンズ256で反射され、シール樹脂231を介して保護基板232に入射され、その保護基板232の上面で全反射され、シール樹脂231等を介して受光領域に再入射される光の位相ずれの発生を抑制することができる。その結果、この位相ずれによる撮像画像における回折ゴースト(光の明暗)や回折フレアの発生を低減させることができる。これにより、撮像画像の画質を向上させることができる。
【0071】
強化材料352は、母材351に対して、2~50wt%の比率で分散されている。これにより、強化材料352の密集による撮像画像の解像度の低下を抑制することができる。
【0072】
<半導体装置の製造方法>
図6乃至
図10は、
図1の半導体装置200の製造方法を説明する図である。
【0073】
図6の工程S1において、シリコン貫通電極275、絶縁膜276、バリア・シード層277、再配線278、はんだボール279、および感光性ソルダレジスト280が形成されていないCMOSイメージセンサ230が形成される。具体的には、まだ支持基板251に何も形成されていない下側基板241に、カラーフィルタ255とオンチップレンズ256が形成された上側基板242が積層されたものが形成される。
【0074】
工程S2において、工程S1において形成されたシリコン貫通電極275等が形成されていないCMOSイメージセンサ230と保護基板232がキャビティレス構造で接続される。具体的には、工程S1において形成されたシリコン貫通電極275等が形成されていないCMOSイメージセンサ230のオンチップレンズ256の上に、シール樹脂231が5~100umの厚さで塗布またはラミネートされることにより、形成される。そして、このシール樹脂231を介して、シリコン貫通電極275等が形成されていないCMOSイメージセンサ230に保護基板232が接着される。
【0075】
工程S3において、工程S2においてキャビティレス構造で接続されたCMOSイメージセンサ230と保護基板232が上下に反転される。工程S4において、バックグラインド技術を用いて、支持基板251が例えば100μm程度に薄肉化される。
【0076】
図7の工程S5において、CMOSイメージセンサ230の裏面に電極を取り出すために、支持基板251上の、接続パッド252aに対応する領域以外の領域にレジスト401を塗布するレジストパターニングが行われる。そして、ドライエッチング法を用いて支持基板251が貫通され、貫通孔271が形成される。
【0077】
工程S6において、貫通孔271を含む支持基板251上の面全体に、SiO2膜やSiN膜などが絶縁膜(アイソレーション膜)として、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法で成膜される。そして、貫通孔271の底面の絶縁膜が、エッチバック法を用いて除去され、配線層252の支持基板251に最も近い領域に形成された接続パッド252aが露出される。その結果、貫通孔271の上に絶縁膜272が形成され、支持基板251の貫通孔271以外の領域の上に絶縁膜276が形成される。
【0078】
工程S7において、スパッタ法を用いて、貫通孔271の底面および絶縁膜272の上にバリア・シード層273が形成され、絶縁膜276の上にバリア・シード層277が形成される。バリア・シード層273およびバリア・シード層277は、後述する工程S8でめっきされる銅(Cu)の拡散を防止するためのバリアメタル膜と、そのめっき時に電極となるCuシード層とから構成される。本実施の形態では、バリアメタル膜の材料としてチタン(Ti)が用いられるものとするが、バリアメタル膜の材料としては、チタンのほか、タングステン(W)、チタン(Ti)もしくはタングステン(W)の窒化膜、またはチタン(Ti)もしくはタングステン(W)の合金などを用いることもできる。
【0079】
工程S8において、バリア・シード層277上の再配線278が形成される領域以外の領域にレジスト403を塗布するレジストパターニングが行われる。
【0080】
図8の工程S9において、電解めっき法により、レジスト403が塗布されていない領域に銅(Cu)がめっきされる。これにより、貫通孔271の内壁には、絶縁膜272とバリア・シード層273を介して接続導体274が埋め込まれ、その結果、シリコン貫通電極275が形成される。また、支持基板251の下面側には、絶縁膜276とバリア・シード層277を介して、接続導体274と接続する再配線278が形成される。
【0081】
工程S10において、レジスト403が除去される。そして、ウェットエッチングにより、レジスト403の下のバリア・シード層277が除去される。
【0082】
工程S11において、シリコン貫通電極275、絶縁膜276、および再配線278の上に感光性ソルダレジストが塗布、露光、および現像され、はんだボール279が形成される領域以外の領域に、感光性ソルダレジスト280が形成される。
【0083】
工程S12において、工程S11において感光性ソルダレジスト280が形成されていない領域に、ボール振込み方法を用いて、はんだボール279が搭載される。以上のようにして半導体チップ211が形成される。
【0084】
上述した工程S1乃至S12は、ウェハ単位で行われてもよいし、個片化されたチップ単位で行われてもよい。
【0085】
図9の工程S13において、表面のはんだボール279が搭載される位置に導体212aが形成され、それ以外の領域に感光性ソルダレジスト212bが形成された基板212が形成される。工程S14において、はんだペースト印刷法により、基板212の導体212aの上にはんだ420がプリコートされる。
【0086】
工程S15において、導体212aの上にはんだ420を介して半導体チップ211のはんだボール279が搭載される。
【0087】
図10の工程S16において、半導体チップ211が搭載された基板212に対して、異なる複数の温度ゾーンが設けられた表面実装タイプのリフロー炉でリフローが行われる。これにより、半導体チップ211がはんだボール279を介して基板212にはんだ付けされる。その後、半導体チップ211と基板212の間に残っているはんだペースト残渣(フラックス残渣)が専用の洗浄液を用いて除去される。はんだのフラックスがロジン系フラックスである場合、専用の洗浄液としてはアルコール系洗浄液が用いられる。以上のようにして、半導体チップ211が基板212に2次実装される。
【0088】
工程S17において、半導体チップ211と基板212の間に、エポキシ系の熱硬化タイプのアンダーフィル材料425が充填される。具体的には、アンダーフィル材料425が、ディスペンスノズル426を用いて、半導体チップ211の1辺の周囲から半導体チップ211と基板212の間に注入される。このとき、はみ出したアンダーフィル材料425が、半導体チップ211の側壁に這い上がり、フィレットが形成される。充填されたアンダーフィル材料425は、例えば150℃で5分間熱硬化させられる。これにより、半導体チップ211の底面と側面を覆うようにアンダーフィル材料213が形成される。
【0089】
なお、本実施の形態では、基板212に半導体チップ211のみが実装されるようにしたが、半導体チップ211の他に、半導体チップ211以外のIC(Integrated Circuit)や受動部品等(以下、その他の部品という)も実装することができる。この場合、その他の部品も半導体チップ211とともに一括してはんだ付けされる。
【0090】
具体的には、基板212の表面のその他の部品が搭載される位置にも導体が形成され、工程S14において、その導体の上にもはんだがプリコートされる。そして、工程S15において、導体212aの上にはんだ420を介して半導体チップ211が搭載されるとともに、導体212a以外の導体の上にはんだを介してその他の部品が搭載される。工程S16において、半導体チップ211とその他の部品が搭載された基板212に対してリフローが行われ、半導体チップ211とその他の部品とが基板212に一括してはんだ付けされる。
【0091】
以上のように、半導体チップ211では、CMOSイメージセンサ230と保護基板232を接着するシール樹脂231が、母材351と母材351に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料352とを含む。
【0092】
従って、シール樹脂231の強度を、強化材料352を含まないシール樹脂301等に比べて向上させることができる。その結果、アンダーフィル材料213を熱硬化した際に発生する硬化収縮応力などのストレスに対するシール樹脂231のクラック耐性を向上させることができる。また、凝集破壊によりクラック371が発生した場合であっても、強化材料352の界面でクラック371を止めることができる。従って、受光領域の上にクラック371を進展させないようにすることができる。その結果、半導体装置200では、アンダーフィル材料213により半導体チップ211を保護して半導体チップ211を基板212へ実装した後の長期信頼性を確保しつつ、シール樹脂231の白化による撮像画像の画質劣化を抑制することができる。
【0093】
なお、CMOSイメージセンサ230では、はんだボール279を形成するようにしたが、はんだボール279は形成されなくてもよい。
【0094】
<2.半導体装置の第2実施の形態>
<半導体装置のパッケージ構造の第1の例>
図11は、本技術を適用した半導体装置の第2実施の形態のパッケージ構造の第1の例を示す図である。
【0095】
図11の半導体装置500において、
図1の半導体装置200と対応する部分については同一の符号を付してある。従って、その部分の説明を適宜省略し、
図1の半導体装置200と異なる部分に着目して説明する。
【0096】
図11の半導体装置500では、
図1の半導体チップ211が基板212にはんだ接続されるのではなく、ワイヤボンド接続されている。具体的には、半導体装置500では、半導体チップ511が中継基板512にワイヤ513を介して接続されることにより、実装される。
【0097】
半導体チップ511は、CMOSイメージセンサ230の代わりにCMOSイメージセンサ520が設けられる点、シール樹脂231の外周がCMOSイメージセンサ230の外周より小さい点、および、ワイヤ513が設けられる点が、半導体チップ211と異なっており、その他は半導体チップ211と同様に構成されている。
【0098】
CMOSイメージセンサ520は、はんだボール279が形成されない点がCMOSイメージセンサ230と異なっており、その他はCMOSイメージセンサ230と同様に構成されている。ワイヤ513は、シリコン基板253上のシール樹脂231が形成されない領域に形成され、シリコン基板253と中継基板512を電気的に接続する。
【0099】
また、半導体装置500では、ワイヤ513が樹脂514に埋め込まれている。即ち、中継基板512上に半導体チップ511の側面のワイヤ513を覆うように樹脂514が形成されている。中継基板512の下側には、図示せぬ実装基板に実装するために、はんだボール515が形成されている。
【0100】
以上のように、半導体装置500は、半導体チップ511が中継基板512にワイヤ513を用いてワイヤボンド接続され、そのワイヤ513が樹脂514で埋め込まれた有機パッケージ構造を有するBGAパッケージである。
【0101】
半導体装置500では、半導体装置200の場合と同様に、シール樹脂231が強化材料352を含むので、樹脂514を熱硬化した際に発生する硬化収縮応力などのストレスに対するシール樹脂231のクラック耐性が高い。また、凝集破壊によりクラック371が発生した場合であっても、受光領域の上にクラック371を進展させないようにすることができる。その結果、半導体装置500では、樹脂514により半導体チップ511を保護して半導体チップ511を中継基板512へ実装した後の長期信頼性を確保しつつ、シール樹脂231の白化による撮像画像の画質劣化を抑制することができる。
【0102】
<半導体装置のパッケージ構造の第2の例>
図12は、本技術を適用した半導体装置の第2実施の形態のパッケージ構造の第2の例を示す図である。
【0103】
図12の半導体装置550において、
図11の半導体装置500と対応する部分については同一の符号を付してある。従って、その部分の説明を適宜省略し、
図11の半導体装置500と異なる部分に着目して説明する。
【0104】
図12の半導体装置550は、中継基板512の代わりに実装基板551が設けられる点、および、はんだボール515が形成されない点が、半導体装置500と異なっており、その他は半導体装置500と同様に構成されている。
【0105】
即ち、半導体装置550では、半導体チップ511が実装基板551にワイヤ513を用いてワイヤボンド接続され、半導体チップ511が実装基板551に直接実装されている。
【0106】
半導体装置550では、半導体装置500と同様に、シール樹脂231が強化材料352を含む。従って、樹脂514により半導体チップ511を保護して半導体チップ511を実装基板551へ実装した後の長期信頼性を確保しつつ、シール樹脂231の白化による撮像画像の画質劣化を抑制することができる。
【0107】
なお、CMOSイメージセンサ230または520は、積層裏面照射型のCMOSイメージセンサであったが、表面型や裏面照射型のCMOSイメージセンサであってもよい。
【0108】
また、CMOSイメージセンサ230または520では、下側基板241に制御回路とロジック回路が形成され、上側基板242に画素領域が形成されたが、下側基板241にロジック回路のみが形成され、上側基板242に画素領域と制御回路が形成されるようにしてもよい。
【0109】
<3.電子機器への適用例>
上述した半導体チップ211または511は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0110】
図13は、本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0111】
図13に示される撮像装置1001は、光学系1002、シャッタ装置1003、固体撮像装置1004、駆動回路1005、信号処理回路1006、モニタ1007、およびメモリ1008を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0112】
光学系1002は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの光(入射光)を固体撮像装置1004に導き、固体撮像装置1004の受光面に結像させる。
【0113】
シャッタ装置1003は、光学系1002および固体撮像装置1004の間に配置され、駆動回路1005の制御に従って、固体撮像装置1004への光照射期間および遮光期間を制御する。
【0114】
固体撮像装置1004は、上述した半導体チップ211または511により構成される。固体撮像装置1004は、光学系1002およびシャッタ装置1003を介して受光面に結像される光に応じて、一定期間、信号電荷を蓄積する。固体撮像装置1004に蓄積された信号電荷は、駆動回路1005から供給される駆動信号(タイミング信号)に従って転送される。
【0115】
駆動回路1005は、固体撮像装置1004の転送動作、および、シャッタ装置1003のシャッタ動作を制御する駆動信号を出力して、固体撮像装置1004およびシャッタ装置1003を駆動する。
【0116】
信号処理回路1006は、固体撮像装置1004から出力された信号電荷に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路1006が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ1007に供給されて表示されたり、メモリ1008に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0117】
このように構成されている撮像装置1001においても、固体撮像装置1004として、半導体チップ211(511)を適用することにより、基板212(中継基板512、実装基板551)へ実装した後の長期信頼性を確保しつつ、撮像画像の画質劣化を抑制することができる。
【0118】
<4.半導体チップの使用例>
図14は、上述の半導体チップ211または511を使用する使用例を示す図である。
【0119】
上述した半導体チップ211または511は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0120】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0121】
<5.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0122】
図15は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0123】
図15では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0124】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0125】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0126】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0127】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0128】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0129】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0130】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0131】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0132】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0133】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0134】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0135】
図16は、
図15に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0136】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0137】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0138】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0139】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0140】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0141】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0142】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0143】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0144】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0145】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0146】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0147】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0148】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0149】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0150】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0151】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0152】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。具体的には、半導体チップ211または511は、撮像部11402に適用することができる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402の長期信頼性を確保しつつ、より鮮明な術部画像を得ることができる。
【0153】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0154】
<6.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0155】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0156】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図17に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0157】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0158】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0159】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0160】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0161】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0162】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0163】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0164】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0165】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0166】
図18は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0167】
図18では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0168】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0169】
なお、
図18には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0170】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0171】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0172】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0173】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0174】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031等に適用され得る。具体的には、半導体チップ211または511は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部12031の長期信頼性を確保しつつ、より見やすい撮影画像を得ることができる。
【0175】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0176】
例えば、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を組み合わせた形態を採用することができる。
【0177】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0178】
なお、本技術は、以下の構成を取ることができる。
(1)
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップ。
(2)
前記強化材料は、繊維状である
(1)に記載の半導体チップ。
(3)
前記強化材料は、短辺の断面の直径が可視光の波長より短く、長辺の断面の直径が、前記短辺の断面直径の3倍以上である
(2)に記載の半導体チップ。
(4)
前記強化材料は、ガラス繊維または有機物繊維である
(2)または(3)に記載の半導体チップ。
(5)
前記有機物繊維は、セルロースナノファイバー、または、ナノ粒子が凝集したナノ粒子凝集体である
(4)に記載の半導体チップ。
(6)
前記強化材料は、可視光を透過する
(1)乃至(5)のいずれかに記載の半導体チップ。
(7)
前記強化材料の含有量は、2~50wt%である
(1)乃至(6)のいずれかに記載の半導体チップ。
(8)
前記母材の屈折率は、前記保護基板の屈折率に略等しい
(1)乃至(7)のいずれかに記載の半導体チップ。
(9)
前記強化材料の屈折率は、前記母材の屈折率に略等しい
(1)乃至(8)のいずれかに記載の半導体チップ。
(10)
前記強化材料と前記母材の屈折率の差は、0.06以下である
(9)に記載の半導体チップ。
(11)
前記強化材料と前記母材の屈折率の差は、0.03以上である
(1)乃至(9)のいずれかに記載の半導体チップ。
(12)
前記強化材料と前記母材の屈折率の差は、0.03以上0.06以下である
(11)に記載の半導体チップ。
(13)
前記撮像素子は、オンチップレンズを含み、
前記シール樹脂は、前記オンチップレンズ上に形成され、前記オンチップレンズに比べて屈折率が低い
(1)乃至(12)に記載の半導体チップ。
(14)
撮像素子を形成し、
前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂を形成し、
前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板を接着する
半導体チップの製造方法。
(15)
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップと、
前記半導体チップを実装する基板と、
前記基板上に前記半導体チップの側面を覆うように形成されるアンダーフィル材料と
を備える半導体装置。
(16)
撮像素子を形成し、
前記撮像素子上に、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含むシール樹脂を形成し、
前記撮像素子に前記シール樹脂を介して保護基板を接着することにより半導体チップを形成し、
前記半導体チップを基板に実装し、
前記半導体チップの周囲から前記半導体チップと前記基板の間にアンダーフィル材料を充填して熱硬化させ、前記半導体チップの側面を前記アンダーフィル材料で覆う
半導体装置の製造方法。
(17)
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップと、
前記半導体チップがワイヤを用いて実装される基板と、
前記基板上に前記半導体チップの側面の前記ワイヤを覆うように形成される樹脂と
を備える半導体装置。
(18)
撮像素子と、
前記撮像素子上に形成されるシール樹脂と、
前記撮像素子と前記シール樹脂を介して接着される保護基板と
を備え、
前記シール樹脂は、母材と、前記母材に比べてヤング率または破断強度が強い強化材料とを含む
半導体チップと、
前記半導体チップからの信号を処理する信号処理回路と
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0179】
200 半導体装置, 211 半導体チップ, 212 基板, 213 アンダーフィル材料, 230 CMOSイメージセンサ, 231 シール樹脂, 232 保護基板, 256 オンチップレンズ, 351 母材, 352 強化材料, 500 半導体装置, 511 半導体チップ, 512 中継基板, 513 ワイヤ, 514 樹脂, 520 CMOSイメージセンサ, 550 半導体装置, 551 実装基板, 1001 撮像装置, 1006 信号処理回路