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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150768
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H02M3/155 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053519
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594158150
【氏名又は名称】学校法人君が淵学園
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 友一
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 仁浩
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA18
5H730AS04
5H730AS21
5H730BB14
5H730BB18
5H730BB43
5H730BB57
5H730BB61
5H730BB81
5H730BB85
5H730BB88
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE13
5H730EE27
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】瞬停時などの補償回路の追加ユニット化の汎用性を高めることができるスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】昇圧回路を備えたスイッチング電源装置において、前記昇圧回路の第1入力端子および第2入力端子に接続された保持時間延長ユニットを備え、前記保持時間延長ユニットは、充電用コンバータと、容量素子と、第1スイッチ素子と、を備え、前記充電用コンバータは、第1コンバータ端子と、第2コンバータ端子と、第3コンバータ端子と、を有し、前記第1コンバータ端子および前記第3コンバータ端子は、前記第1入力端子および前記第2入力端子と直接または他の回路を介して接続され、前記容量素子は、前記第1コンバータ端子と前記第2コンバータ端子との間に接続され、前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第2入力端子との間に接続された、スイッチング電源装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧回路を備えたスイッチング電源装置において、
前記昇圧回路の第1入力端子および第2入力端子に接続された保持時間延長ユニットを備え、
前記保持時間延長ユニットは、充電用コンバータと、容量素子と、第1スイッチ素子と、を備え、
前記充電用コンバータは、第1コンバータ端子と、第2コンバータ端子と、第3コンバータ端子と、を有し、
前記第1コンバータ端子および前記第3コンバータ端子は、前記第1入力端子および前記第2入力端子と直接または他の回路を介して接続され、
前記容量素子は、前記第1コンバータ端子と前記第2コンバータ端子との間に接続され、
前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第2入力端子との間に接続された、
スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記第1コンバータ端子は、前記第1入力端子と接続され、
前記第3コンバータ端子は、前記第2入力端子と接続され、
前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第3コンバータ端子との間に接続された、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、
非通常時には、前記第1スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる、
請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ素子は、整流素子とインダクタとの一方または両方を介して、前記第3コンバータ端子と接続された、
請求項2または請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記保持時間延長ユニットは、前記昇圧回路の前記第1入力端子、前記第2入力端子および第3入力端子に接続され、
前記保持時間延長ユニットは、さらに、第2スイッチ素子を備え、
前記充電用コンバータは、さらに、第4コンバータ端子を有し、
前記第1コンバータ端子は、前記第1入力端子と接続され、
前記第3コンバータ端子は、前記第2入力端子と接続され、
前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第3コンバータ端子との間に接続され、
前記第4コンバータ端子は、前記第3入力端子と接続され、
前記第2スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第4コンバータ端子との間に接続された、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、
非通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる、
請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記第4コンバータ端子で検出された検出電圧に基づいて前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との少なくとも一方を駆動させる、
請求項6に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記第1スイッチ素子は、整流素子とインダクタとの一方または両方を介して、前記第3コンバータ端子と接続され、
前記第2スイッチ素子は、整流素子とインダクタとの一方または両方を介して、前記第4コンバータ端子と接続された、
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
前記保持時間延長ユニットは、さらに、電圧検出部を備え、
前記第1コンバータ端子は、前記第1入力端子と接続され、
前記第3コンバータ端子は、前記第2入力端子と接続され、
前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第3コンバータ端子との間に接続され、
前記電圧検出部は、第3入力端子と接続された電圧検出用の第1端子と、前記第2入力端子と接続された電圧検出用の第2端子と、前記第1端子で検出された電圧および前記第2端子で検出された電圧に基づいて前記充電用コンバータに制御信号を出力する第3端子と、を有する、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項10】
電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、
非通常時には、前記第1スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる、
請求項9に記載のスイッチング電源装置。
【請求項11】
前記第1スイッチ素子は、整流素子を介して、前記第3コンバータ端子と接続された、
請求項9または請求項10に記載のスイッチング電源装置。
【請求項12】
さらに、前記保持時間延長ユニットの内部または外部に整流回路を備え、
前記保持時間延長ユニットは、さらに、第2スイッチ素子を備え、
前記第1コンバータ端子および前記第3コンバータ端子は、前記整流回路を介して、前記昇圧回路と接続され、
前記第2スイッチ素子は、前記第1コンバータ端子と前記第1入力端子との間に接続された、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項13】
電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、
非通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる、
請求項12に記載のスイッチング電源装置。
【請求項14】
前記第1スイッチ素子は、整流素子を介して、前記第2入力端子と接続された、
請求項12または請求項13に記載のスイッチング電源装置。
【請求項15】
前記保持時間延長ユニットは、さらに、前記容量素子を管理するバッテリーマネージメントシステムを備える、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項16】
前記保持時間延長ユニットは、DCカット用のコンデンサを備える、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、瞬停時の補償時間を延長することができるインターリーブPFC(Power Factor Correction)コンバータが記載されている(特許文献1参照。)。
特許文献1に記載されたインターリーブPFCコンバータでは、一般的なインターリーブPFCにダイオード(特許文献1の図1におけるダイオードDs)とスイッチ(特許文献1の図1におけるスイッチSs)を追加している。そして、特許文献1に記載されたインターリーブPFCコンバータでは、通常動作時には、当該スイッチをオフにして、第1PFC(特許文献1の図1におけるPFC1)と第2PFC(特許文献1の図1におけるPFC2)とで昇圧動作を行い、瞬停時には当該第1PFCの昇圧動作を停止して、当該スイッチをオンにすることでコンデンサ(特許文献1の図1におけるコンデンサCo1)のエネルギーを低電圧まで利用している。これにより、特許文献1に記載されたインターリーブPFCコンバータでは、総コンデンサ容量および体積を削減すること、および、インターリーブ動作による効率改善が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/143453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された回路構成では、瞬停補償回路の追加ユニット化の検討はなされていなかった。
仮に、特許文献1に記載された回路の追加ユニット化を考えてみた場合、例えば、追加ユニット制御の独立性が低い点、接続先となるAC(Alternating Current)/DC(Direct Current)電源との電力容量を統一する必要がある点などにおいて、汎用性に課題があった。
【0005】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、瞬停時などの補償回路の追加ユニット化の汎用性を高めることができるスイッチング電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、昇圧回路を備えたスイッチング電源装置において、前記昇圧回路の第1入力端子および第2入力端子に接続された保持時間延長ユニットを備え、前記保持時間延長ユニットは、充電用コンバータと、容量素子と、第1スイッチ素子と、を備え、前記充電用コンバータは、第1コンバータ端子と、第2コンバータ端子と、第3コンバータ端子と、を有し、前記第1コンバータ端子および前記第3コンバータ端子は、前記第1入力端子および前記第2入力端子と直接または他の回路を介して接続され、前記容量素子は、前記第1コンバータ端子と前記第2コンバータ端子との間に接続され、前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第2入力端子との間に接続された、スイッチング電源装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、瞬停時などの補償回路の追加ユニット化の汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るスイッチング電源装置の概略的な回路構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るスイッチング電源装置の概略的な回路構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るスイッチング電源装置の概略的な回路構成の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るスイッチング電源装置の概略的な回路構成の一例を示す図である。
図5】実施形態に係るスイッチング電源装置の具体的な回路構成の一例を示す図である。
図6】実施形態に係るスイッチング電源装置の動作の一例を説明するための図である。
図7】実施形態に係るスイッチング電源装置の動作の一例を説明するための図である。
図8】実施形態に係るスイッチング電源装置の動作の一例を説明するための図である。
図9】実施形態に係るスイッチング電源装置の動作の一例を説明するための波形の図である。
図10】(A)~(C)は実施形態に係る制御回路を含む保持時間延長ユニットの具体的な回路構成の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る検出部を用いて検出される電圧の波形の一例を示す図である。
図12】実施形態に係る検出部を用いて検出される電圧の波形の一例を示す図である。
図13】実施形態に係るスイッチング電源装置の具体的な回路構成の一例を示す図である。
図14】実施形態に係るスイッチング電源装置における保持時間延長ユニットの具体的な回路構成の一例を示す図である。
図15】実施形態に係るスイッチング電源装置における保持時間延長ユニットの具体的な回路構成の一例を示す図である。
図16】実施形態に係るスイッチング電源装置における保持時間延長ユニットの具体的な回路構成の一例を示す図である。
図17】実施形態に係るスイッチング電源装置における保持時間延長ユニットの具体的な回路構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
以下の実施形態では、スイッチ(スイッチ素子、スイッチング素子)がオンの状態であるときには導通している状態であるとし、スイッチ(スイッチ素子、スイッチング素子)がオフの状態であるときには開放している状態であるとする。
また、以下の実施形態では、通常時とは、電源から昇圧回路への電力供給が正常に行われているときを表す。
一方、以下の実施形態では、瞬停等が発生したときには、通常時ではないとき(非通常時)となる。
ここで、瞬停等とは、瞬停(瞬間的な停電)および停電を含む。同様に、以下の実施形態では、瞬停時等とは、瞬停等が発生したときを表す。なお、瞬停等は、必ずしも、電源電圧の絶対値がゼロでなくてもよく、電源電圧の絶対値が所定値以下である場合を含んでもよい。
【0010】
(スイッチング電源装置の概略的な回路構成および概略的な動作)
図1図4を参照して、スイッチング電源装置の概略的な回路構成および概略的な動作について説明する。
【0011】
図1の例に係るスイッチング電源装置>
図1は、実施形態に係るスイッチング電源装置11の概略的な回路構成の一例を示す図である。
スイッチング電源装置11は、PFC機能を有する昇圧回路31と、保持時間延長ユニット32と、を備える。
本実施形態では、昇圧回路31は補償対象となるAC/DC電源に相当し、保持時間延長ユニット32は瞬停時等における補償対象の保持時間を延長する追加ユニットに相当する。
【0012】
昇圧回路31は、電源111と接続されている。
ここで、電源111は、例えば、商用の交流電源である。電源111には、瞬停等が発生し得る。
【0013】
昇圧回路31は、4個のダイオード112~114からなるダイオードブリッジDB1と、例えばコイルから構成されるインダクタ116と、MOS型FET(Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子117と、ダイオード119と、容量素子120と、を備える。
【0014】
説明の便宜上、昇圧回路31において、保持時間延長ユニット32が接続される側の2個の端子を、第1入力端子T31、第2入力端子T32と呼び、また、負荷(図示せず)が接続される側の2個の端子を、第1出力端子T11、第2出力端子T12と呼んで、説明する。
【0015】
電源111は、整流作用を有するダイオードブリッジDB1を介して、第1入力端子T31および第2入力端子T32と接続されている。
具体的には、ダイオード113のカソードと、ダイオード112のアノードとが接続されている。ダイオード115のカソードと、ダイオード114のアノードとが接続されている。
ダイオード112のカソードおよびダイオード114のカソードと、第2入力端子T32とが接続されている。ダイオード113のアノードおよびダイオード115のアノードと、第1入力端子T31とが接続されている。
ダイオード113とダイオード112との間の点と、ダイオード115とダイオード114との間の点との間に、電源111が接続されている。
【0016】
第2入力端子T32と、インダクタ116の一端とが接続されている。
インダクタ116の他端と、スイッチング素子117のドレインおよびダイオード119のアノードとが接続されている。
【0017】
スイッチング素子117とダイオード119との直列接続回路と、容量素子120とが、並列接続されている。
具体的には、容量素子120の一端と、スイッチング素子117のソースと、第1入力端子T31と、第1出力端子T11とが接続されている。容量素子120の他端と、ダイオード119のカソードと、第2出力端子T12とが接続されている。
図1の例では、容量素子120は電解コンデンサであり、容量素子120の他端が+側となっている。
【0018】
保持時間延長ユニット32は、充電用コンバータ211と、n(nは1以上の整数)個の容量素子231-1~231-nの直列接続からなる容量素子部231と、第1スイッチ素子232と、を備える。
充電用コンバータ211は、容量素子部231を管理するバッテリーマネージメントシステム(BMS)212を備える。
なお、他の構成例として、BMS212は、充電用コンバータ211とは別に備えられてもよい。また、保持時間延長ユニット32では、BMS212は、備えられていなくてもよい。
【0019】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット32において、昇圧回路31が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P1、第2接続端子P2と呼んで、説明する。
第1接続端子P1、第2接続端子P2は、充放電用端子などと呼ばれてもよい。
また、説明の便宜上、充電用コンバータ211において、4個の端子を、第1コンバータ端子Q1、第2コンバータ端子Q2、第3コンバータ端子Q3、第4コンバータ端子Q4と呼んで、説明する。
第1コンバータ端子Q1、第2コンバータ端子Q2、第3コンバータ端子Q3、第4コンバータ端子Q4は、それぞれ、出力端子、出力端子、充放電用端子、制御用端子などと呼ばれてもよい。
【0020】
ここで、第4コンバータ端子Q4は、第1スイッチ素子232への制御信号を出力する端子である。なお、図1の例では、充電用コンバータ211が第1スイッチ素子232を制御する制御回路を含む場合を示すが、他の構成例として、当該制御回路は充電用コンバータ211とは別体であってもよく、この場合、第1スイッチ素子232を制御するための第4コンバータ端子Q4は設けられない。
【0021】
本実施形態では、昇圧回路31の第1入力端子T31と保持時間延長ユニット32の第1接続端子P1とが-端子となって互いに接続され、また、昇圧回路31の第2入力端子T32と保持時間延長ユニット32の第2接続端子P2とが+端子となって互いに接続される。
ここで、第1接続端子P1および第2接続端子P2は、充放電用の端子である。
なお、保持時間延長ユニット32と昇圧回路31とは、例えば、着脱可能に別体で構成されてもよく、あるいは、一体で構成されてもよい。本実施形態では、保持時間延長ユニット32は、昇圧回路31とは別体で構成されており、昇圧回路31に対して外付けユニットとなっている。
【0022】
ここで、図1には、他の構成例に係るダイオード233および配線234を示してある。
まず、ダイオード233および配線234が備えられない場合について説明する。
【0023】
第1接続端子P1と、容量素子部231の一端および第1コンバータ端子Q1とが接続されている。
容量素子部231の他端と、第2コンバータ端子Q2と、第1スイッチ素子232の一端とが接続されている。
第2接続端子P2と、第3コンバータ端子Q3と、第1スイッチ素子232の他端とが接続されている。
図1の例では、容量素子231-1~231-nは電解コンデンサであり、容量素子部231の他端が+側となっている。
【0024】
制御回路(ここでは、当該制御回路が充電用コンバータ211に含まれるとする)は、入力される電圧に基づいて、第1スイッチ素子232のオン/オフを制御する。
【0025】
ここで、他の構成例に係るダイオード233は、整流素子の一例であり、第1スイッチ素子232と第2接続端子P2との間に接続されてもよい。この場合、ダイオード233のアノードと第1スイッチ素子232の他端とが接続され、ダイオード233のカソードと第2接続端子P2とが接続される。
また、他の構成例に係る配線234は、図1に示される配線235の代わりに備えられてもよい。つまり、第1スイッチ素子232の他端は、第2接続端子P2の代わりに、充電用コンバータ211の内部の回路(例えば、インダクタ)と接続されてもよい。この場合、第1スイッチ素子232の他端は、当該回路(例えば、インダクタ)を介して、第2接続端子P2と接続される。
【0026】
ここで、充電用コンバータ211は、例えば、スイッチングモードコンバータ(SWMConverter:SWitching Mode Converter)である。スイッチングモードコンバータとしては、SEPICコンバータ(Single Ended Primary Inductor Converter)などのように、一般的なスイッチングモードコンバータが用いられる。
スイッチングモードコンバータとして、非絶縁コンバータが用いられる場合、例えば、Buck、Boost、Buck-Boost、Zeta、SuperBuck、Half-Bridgeなどのコンバータが用いられてもよい。
スイッチングモードコンバータとして、絶縁コンバータが用いられる場合、例えば、Flyback、SEPIC、Cuk、Push-Pull、Bridgeなどのコンバータが用いられてもよい。
【0027】
第1スイッチ素子232は、瞬停等が検出された場合にオンにさせられるスイッチである。
第1スイッチ素子232としては、例えば、半導体スイッチ、あるいは、接点スイッチなどが用いられる。第1スイッチ素子232としては、例えば、サイリスタが用いられてもよい。
第1スイッチ素子232が逆阻止機能を有していない場合、瞬停等の復帰時に突入電流が流れるため、例えば、必要に応じて、逆阻止ダイオード(例えば、図1に示されるダイオード233)が挿入されてもよい。
【0028】
容量素子231-1~231-nは、補償用のエネルギーバッファとして用いられる。
容量素子231-1~231-nとしては、例えば、電解コンデンサ、バッテリー、複数のバッテリーの直列セル、あるいは、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor)などが用いられる。
本実施形態では、容量素子231-1~231-nは、蓄電する機能を有し、充電用コンバータ211によって充電される。
【0029】
BMS212は、エネルギーバッファとしてバッテリーあるいはEDLCなどが用いられる場合に、エネルギーバッファの電圧バランスを調整する機能を含む。
BMS212は、例えば、抵抗方式あるいはコンバータ方式といった各種の電圧バランス回路であり、容量素子部231のセル電圧バランスを保持する。
【0030】
スイッチング電源装置11の動作の概要を説明する。
スイッチング電源装置11では、通常時には、第1スイッチ素子232はオフにされ、充電用コンバータ211に含まれるスイッチング素子がオン/オフに切り替えられるように動作させられて、充電用コンバータ211が通常動作させられる。これにより、保持時間延長ユニット32の容量素子部231の充電が可能である。
一方、スイッチング電源装置11では、瞬停時等には、第1スイッチ素子232はオンにされ、充電用コンバータ211に含まれるスイッチング素子がオフにされて動作が停止させられる。これにより、保持時間延長ユニット32の容量素子部231から昇圧回路31への電圧供給が可能である。
【0031】
このような構成により、本実施形態に係るスイッチング電源装置11では、例えば、瞬停等が発生した場合においても、スイッチング電源装置11の出力をある一定時間確保することができる。
したがって、本実施形態に係るスイッチング電源装置11では、瞬停時などの補償回路(図1の例では、保持時間延長ユニット42)の追加ユニット化の汎用性を高めることができる。
【0032】
例えば、電力系統における瞬停等を補償するために、AC/DC電源においては、入力電解コンデンサがエネルギーバッファとして用いられている。ただし、近年の電源小型化に伴い、入力電解コンデンサの容量は減少する傾向にあり、瞬停等の補償時間も減少する傾向にある。
そこで、本実施形態では、瞬停等の補償を目的としたAC/DC電源への追加ユニットを提供することができる。本実施形態に係る追加ユニット(図1の例では、保持時間延長ユニット42)は、例えば、既存の手法であるコンデンサ追加ユニット(単純にコンデンサを追加するユニットであり、図13に参考として示されるコンデンサ追加ユニット812)と比べて、エネルギー利用率が高いため、電界コンデンサの容量を削減することができる。
また、本実施形態に係る追加ユニットでは、突入電流防止回路を削減した構成、あるいは、バッテリーまたはEDLCといったエネルギーバッファを使用する構成への応用も可能である。
【0033】
このように、本実施形態では、瞬停等の補償において、PFCへの追加コンデンサの容量を削減することができ、汎用性の高い追加ユニットを提供することができる。また、例えば、本実施形態に係る手法をベースとして、よりエネルギー密度の高いLiB(Lithium-ion Battery)またはEDLCなどを用いたDC-UPS(Uninterruptible Power Supply)への応用も可能である。
【0034】
図2の例に係るスイッチング電源装置>
図2は、実施形態に係るスイッチング電源装置12の概略的な回路構成の一例を示す図である。図2の例に係る回路構成は、図1の例に係る回路構成の応用例である。
スイッチング電源装置12は、デュアルブースト(Dual-Boost)型のPFC機能を有する昇圧回路41と、保持時間延長ユニット42と、を備える。
本実施形態では、昇圧回路41は補償対象となるAC/DC電源に相当し、保持時間延長ユニット42は瞬停時等における補償対象の保持時間を延長する追加ユニットに相当する。
【0035】
昇圧回路41は、電源131と接続されている。電源131については、図1に示される電源111と同様である。
昇圧回路41は、2個のダイオード132、133と、例えばコイルから構成される2個のインダクタ134、138と、MOS型FETからなる2個のスイッチング素子135、139と、2個のダイオード137、141と、容量素子142と、を備える。
【0036】
説明の便宜上、昇圧回路41において、保持時間延長ユニット42が接続される側の3個の端子を、第1入力端子T331、第2入力端子T332、第3入力端子T333と呼び、また、負荷(図示せず)が接続される側の2個の端子を、第1出力端子T311、第2出力端子T312と呼んで、説明する。
【0037】
昇圧回路41の構成について、図1に示される昇圧回路31と相違する点について説明し、同様な点については詳しい説明を省略する。
第1出力端子T311と第2出力端子T312との間に接続される容量素子142に対して、スイッチング素子135とダイオード137との直列接続回路と、スイッチング素子139とダイオード141との直列接続回路とが、並列接続されている。
【0038】
電源131の一端と、スイッチング素子139のドレインおよびダイオード141のアノードとが、インダクタ138を介して接続されている。
電源131の他端と、スイッチング素子135のドレインおよびダイオード137のアノードとが、インダクタ134を介して接続されている。
このように、図2の例では、図1の例と比べて、容量素子142に対して、スイッチング素子135、139とダイオード137、141とインダクタ134、138を有する回路部分が2相になっている。
【0039】
ダイオード132のアノードおよびダイオード133のアノードと、スイッチング素子139のソースと、第1入力端子T331と、第1出力端子T311とが接続されている。
ダイオード132のカソードと、電源131の他端と、第2入力端子T332とが接続されている。
ダイオード133のカソードと、電源131の一端と、第3入力端子T333とが接続されている。
【0040】
保持時間延長ユニット42は、充電用コンバータ311と、n(nは1以上の整数)個の容量素子331-1~331-nの直列接続からなる容量素子部331と、第1スイッチ素子332と、第2スイッチ素子333と、を備える。
充電用コンバータ311は、容量素子部331を管理するバッテリーマネージメントシステム(BMS)312を備える。
なお、他の構成例として、BMS312は、充電用コンバータ311とは別に備えられてもよい。また、保持時間延長ユニット42では、BMS312は、備えられていなくてもよい。
【0041】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット42において、昇圧回路41が接続される側の3個の端子を、第1接続端子P31、第2接続端子P32、第3接続端子P33と呼んで、説明する。
第1接続端子P31、第2接続端子P32は、充放電用端子などと呼ばれてもよい。
また、説明の便宜上、充電用コンバータ311において、5個の端子を、第1コンバータ端子Q31、第2コンバータ端子Q32、第3コンバータ端子Q33、第4コンバータ端子Q34、第5コンバータ端子Q35と呼んで、説明する。
第1コンバータ端子Q31、第2コンバータ端子Q32、第3コンバータ端子Q33、第4コンバータ端子Q34、第5コンバータ端子Q35は、それぞれ、出力端子、出力端子、充放電用端子、検出用端子、制御用端子などと呼ばれてもよい。
【0042】
ここで、第5コンバータ端子Q35は、第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333への制御信号を出力する端子である。なお、図2の例では、充電用コンバータ311が第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333を制御する制御回路を含む場合を示すが、他の構成例として、当該制御回路は充電用コンバータ311とは別体であってもよく、この場合、第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333を制御するための第5コンバータ端子Q35は設けられない。
【0043】
本実施形態では、昇圧回路41の第1入力端子T331と保持時間延長ユニット42の第1接続端子P31とが-端子となって互いに接続され、また、昇圧回路41の第2入力端子T332と保持時間延長ユニット42の第2接続端子P32とが+端子となって互いに接続される。また、昇圧回路41の第3入力端子T333と保持時間延長ユニット42の第3接続端子P33とが電圧検出用の端子となっている。
ここで、第1接続端子P31および第2接続端子P32は、充放電用の端子である。
なお、保持時間延長ユニット42と昇圧回路41とは、例えば、着脱可能に別体で構成されてもよく、あるいは、一体で構成されてもよい。本実施形態では、保持時間延長ユニット42は、昇圧回路41とは別体で構成されており、昇圧回路41に対して外付けユニットとなっている。
【0044】
ここで、図2には、他の構成例に係るダイオード334、335および配線336、338を示してある。
まず、ダイオード334、335および配線336、338が備えられない場合について説明する。
【0045】
第1接続端子P31と、容量素子部331の一端と、第1コンバータ端子Q31とが接続されている。
容量素子部331の他端と、第2コンバータ端子Q32と、第1スイッチ素子332の一端と、第2スイッチ素子333の一端とが接続されている。
第2接続端子P32と、第3コンバータ端子Q33と、第1スイッチ素子332の他端とが接続されている。
第3接続端子P33と、第4コンバータ端子Q34と、第2スイッチ素子333の他端とが接続されている。
図2の例では、容量素子331-1~331-nは電解コンデンサであり、容量素子部331の他端が+側となっている。
【0046】
制御回路(ここでは、当該制御回路が充電用コンバータ311に含まれるとする)は、入力される電圧に基づいて、第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333のオン/オフを制御する。
【0047】
ここで、他の構成例に係るダイオード334は、整流素子の一例であり、第1スイッチ素子332と第2接続端子P32との間に接続されてもよい。この場合、ダイオード334のアノードと第1スイッチ素子332の他端とが接続され、ダイオード334のカソードと第2接続端子P32とが接続される。
また、他の構成例に係るダイオード335は、整流素子の一例であり、第2スイッチ素子333と第3接続端子P33との間に接続されてもよい。この場合、ダイオード335のアノードと第2スイッチ素子333の他端とが接続され、ダイオード335のカソードと第3接続端子P33とが接続される。
【0048】
また、他の構成例に係る配線336は、図2に示される配線337の代わりに備えられてもよい。つまり、第1スイッチ素子332の他端は、第2接続端子P32の代わりに、充電用コンバータ311の内部の回路(例えば、インダクタ)と接続されてもよい。この場合、第1スイッチ素子332の他端は、当該回路(例えば、インダクタ)を介して、第2接続端子P32と接続される。
なお、第2スイッチ素子333についても、第1スイッチ素子332と同様に、充電用コンバータ311の内部の回路(例えば、インダクタ)を介して、第3接続端子P33と接続されてもよい。
【0049】
なお、充電用コンバータ311、スイッチ素子(第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333)、容量素子331-1~331-n、BMS312のそれぞれの具体例については、図1の例の場合と同様である。
【0050】
また、他の構成例に係る配線338は、図2に示される配線339の代わりに備えられてもよい。つまり、第2スイッチ素子333の一端は、第1スイッチ素子332の一端の側の代わりに、第1スイッチ素子332の他端の側に接続されてもよい。
【0051】
スイッチング電源装置12の動作の概要を説明する。
スイッチング電源装置12では、通常時には、第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333はオフにされ、充電用コンバータ311に含まれるスイッチング素子がオン/オフに切り替えられるように動作させられて、充電用コンバータ311が通常動作させられる。これにより、保持時間延長ユニット42の容量素子部331の充電が可能である。
一方、スイッチング電源装置12では、瞬停時等には、第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333はオンにされ、充電用コンバータ311に含まれるスイッチング素子がオフにされて動作が停止させられる。これにより、保持時間延長ユニット42の容量素子部331から昇圧回路41への電圧供給が可能である。
ここで、第1スイッチ素子332および第2スイッチ素子333は、同時にオン/オフにされる。
【0052】
このような構成により、本実施形態に係るスイッチング電源装置12では、例えば、瞬停等が発生した場合においても、スイッチング電源装置12の出力をある一定時間確保することができる。
したがって、本実施形態に係るスイッチング電源装置12では、瞬停時などの補償回路(図2の例では、保持時間延長ユニット42)の追加ユニット化の汎用性を高めることができる。
なお、図2の例に係るスイッチング電源装置12においても、図1の例に係るスイッチング電源装置11を応用した点を除いて、図1の例に係るスイッチング電源装置11と同様な効果が得られる。
【0053】
本実施形態に係るスイッチング電源装置12では、2相のブースト回路で瞬停等を補償するための追加スイッチである第2スイッチ素子333を備える。
また、本実施形態に係るスイッチング電源装置12では、第3接続端子P33から保持時間延長ユニット42(第4コンバータ端子Q34)への入力は、瞬停等の高速検出と、2相コンバータによる充電を目的としている。
本実施形態に係るスイッチング電源装置12では、第3接続端子P33の電圧の検出結果に基づいて、第1スイッチ素子332と第2スイッチ素子333との一方または両方の駆動を制御することが可能である。
【0054】
本実施形態では、追加ユニットを、PFCコンバータの入力に接続している。
ここで、スイッチが一つである場合(本実施形態では、第1スイッチ素子332が備えられて、第2スイッチ素子333が備えられない場合)、片相のPFCコンバータだけが昇圧動作をすることとなるが、短時間の補償時間であれば片相に損失が集中したとしても、実用上で許容可能であると考えられる。ただし、長時間の補償においては、もう一つのスイッチを追加した構成(本実施形態では、第1スイッチ素子332と第2スイッチ素子333との両方が備えられる構成)とし、2相で昇圧動作することで損失を分散することが望ましい。
このように、本実施形態では、両相の入力電圧を追加ユニットに入力し、瞬停等を高速に検出することができる構成としている。さらに、本実施形態では、両相の入力電圧により補償用のエネルギーバッファに充電する2相のSWM Converterを用いることで、充電期間の入力電流アンバランスを改善することができる。
【0055】
図3の例に係るスイッチング電源装置>
図3は、実施形態に係るスイッチング電源装置13の概略的な回路構成の一例を示す図である。図3の例に係る回路構成は、図1の例に係る回路構成の応用例である。
スイッチング電源装置13は、トーテムポール(Totempole)型のPFC機能を有する昇圧回路51と、保持時間延長ユニット52と、を備える。
本実施形態では、昇圧回路51は補償対象となるAC/DC電源に相当し、保持時間延長ユニット52は瞬停時等における補償対象の保持時間を延長する追加ユニットに相当する。
【0056】
昇圧回路51は、電源151と接続されている。電源151については、図1に示される電源111と同様である。
昇圧回路51は、例えばコイルから構成されるインダクタ152と、MOS型FETからなる2個のスイッチング素子153、155と、2個のダイオード157、158と、容量素子159と、を備える。
【0057】
説明の便宜上、昇圧回路51において、保持時間延長ユニット52が接続される側の3個の端子を、第1入力端子T431、第2入力端子T432、第3入力端子T433と呼び、また、負荷(図示せず)が接続される側の2個の端子を、第1出力端子T411、第2出力端子T412と呼んで、説明する。
【0058】
第1出力端子T411と第2出力端子T412との間に、容量素子159と、ダイオード157とダイオード158との直列接続回路と、スイッチング素子153とスイッチング素子155との直列接続回路とが、並列接続されている。
【0059】
電源151の一端と、ダイオード157のカソードと、ダイオード158のアノードとが接続されている。
電源151の他端と、インダクタ152の一端とが接続されている。
インダクタ152の他端と、スイッチング素子153のドレインと、スイッチング素子155のソースとが接続されている。
【0060】
第1入力端子T431と、スイッチング素子153のソースと、ダイオード157のアノードと、容量素子159の一端と、第1出力端子T411とが接続されている。
スイッチング素子155のドレインと、ダイオード158のカソードと、容量素子159の他端と、第2出力端子T412とが接続されている。
電源151の他端と、第2入力端子T432とが接続されている。
電源151の一端と、第3入力端子T433とが接続されている。
【0061】
保持時間延長ユニット52は、充電用コンバータ411と、n(nは1以上の整数)個の容量素子431-1~431-nの直列接続からなる容量素子部431と、第1スイッチ素子432と、電圧を検出する電圧検出部451と、を備える。
充電用コンバータ411は、容量素子部431を管理するバッテリーマネージメントシステム(BMS)412を備える。
なお、他の構成例として、BMS412は、充電用コンバータ411とは別に備えられてもよい。また、保持時間延長ユニット52では、BMS412は、備えられていなくてもよい。
【0062】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット52において、昇圧回路51が接続される側の3個の端子を、第1接続端子P41、第2接続端子P42、第3接続端子P43と呼んで、説明する。
第1接続端子P41、第2接続端子P42は、充放電用端子などと呼ばれてもよい。
また、説明の便宜上、充電用コンバータ411において、5個の端子を、第1コンバータ端子Q41、第2コンバータ端子Q42、第3コンバータ端子Q43、第4コンバータ端子Q44、第5コンバータ端子Q45と呼んで、説明する。
第1コンバータ端子Q41、第2コンバータ端子Q42、第3コンバータ端子Q43、第4コンバータ端子Q44、第5コンバータ端子Q45は、それぞれ、出力端子、出力端子、充放電用端子、入力端子、制御用端子などと呼ばれてもよい。
【0063】
ここで、第5コンバータ端子Q45は、第1スイッチ素子432への制御信号を出力する端子である。なお、図3の例では、充電用コンバータ411が第1スイッチ素子432を制御する制御回路を含む場合を示すが、他の構成例として、当該制御回路は充電用コンバータ411とは別体であってもよく、この場合、第1スイッチ素子432を制御するための第5コンバータ端子Q45は設けられない。
また、第4コンバータ端子Q44は、電圧検出部451から制御信号(例えば、電圧)を入力する端子である。このため、他の構成例として、制御回路が充電用コンバータ411とは別体である場合には、第4コンバータ端子Q44は設けられなくてもよい。ここで、当該制御信号は、例えば、第1スイッチ素子432を制御するための制御信号であってもよく、または、充電用コンバータ411を制御する制御信号であってもよく、あるいは、これらの両方であってもよい。
【0064】
本実施形態では、昇圧回路51の第1入力端子T431と保持時間延長ユニット52の第1接続端子P41とが-端子となって互いに接続され、また、昇圧回路51の第2入力端子T432と保持時間延長ユニット52の第2接続端子P42とが+端子となって互いに接続される。また、昇圧回路51の第3入力端子T433と保持時間延長ユニット52の第3接続端子P43とが電圧検出用の端子となっている。
ここで、第1接続端子P41および第2接続端子P42は、充放電用の端子である。
なお、保持時間延長ユニット52と昇圧回路51とは、例えば、着脱可能に別体で構成されてもよく、あるいは、一体で構成されてもよい。本実施形態では、保持時間延長ユニット52は、昇圧回路51とは別体で構成されており、昇圧回路51に対して外付けユニットとなっている。
【0065】
ここで、図3には、他の構成例に係るダイオード433を示してある。
まず、ダイオード433が備えられない場合について説明する。
【0066】
第1接続端子P41と、容量素子部431の一端と、第1コンバータ端子Q41とが接続されている。
容量素子部431の他端と、第2コンバータ端子Q42と、第1スイッチ素子432の一端とが接続されている。
第3入力端子T433に接続される第3接続端子P43と、電圧検出部451の第1端子(電圧検出用の端子)とが接続されている。
第2入力端子T432に接続される第2接続端子P42と、第3コンバータ端子Q43と、第1スイッチ素子432の他端と、電圧検出部451の第2端子(電圧検出用の端子)とが接続されている。
電圧検出部451の第3端子と、第4コンバータ端子Q44とが接続されている。
図3の例では、容量素子431-1~431-nは電解コンデンサであり、容量素子部431の他端が+側となっている。
【0067】
電圧検出部451は、第1端子の電圧と第2端子の電圧を検出し、これらの検出結果に基づく電圧を第3端子から制御回路(ここでは、当該制御回路が充電用コンバータ411に含まれるとする)に出力する。
当該制御回路は、電圧検出部451から入力される電圧に基づいて、第1スイッチ素子432のオン/オフを制御する。
【0068】
ここで、他の構成例に係るダイオード433は、整流素子の一例であり、第1スイッチ素子432と第2接続端子P42との間に接続されてもよい。この場合、ダイオード433のアノードと第1スイッチ素子432の他端とが接続され、ダイオード433のカソードと第2接続端子P42とが接続される。
【0069】
なお、充電用コンバータ411、第1スイッチ素子432、容量素子431-1~431-n、BMS412のそれぞれの具体例については、図1の例の場合と同様である。
【0070】
スイッチング電源装置13の動作の概要を説明する。
スイッチング電源装置13では、通常時には、第1スイッチ素子432はオフにされ、充電用コンバータ411に含まれるスイッチング素子がオン/オフに切り替えられるように動作させられて、充電用コンバータ411が通常動作させられる。これにより、保持時間延長ユニット52の容量素子部431の充電が可能である。
一方、スイッチング電源装置13では、瞬停時等には、第1スイッチ素子432はオンにされ、充電用コンバータ411に含まれるスイッチング素子がオフにされて動作が停止させられる。これにより、保持時間延長ユニット52の容量素子部431から昇圧回路51への電圧供給が可能である。
【0071】
このような構成により、本実施形態に係るスイッチング電源装置13では、例えば、瞬停等が発生した場合においても、スイッチング電源装置13の出力をある一定時間確保することができる。
したがって、本実施形態に係るスイッチング電源装置13では、瞬停時などの補償回路(図3の例では、保持時間延長ユニット52)の追加ユニット化の汎用性を高めることができる。
なお、図3の例に係るスイッチング電源装置13においても、図1の例に係るスイッチング電源装置11を応用した点を除いて、図1の例に係るスイッチング電源装置11と同様な効果が得られる。
【0072】
また、本実施形態に係るスイッチング電源装置13では、第3接続端子P43から保持時間延長ユニット52への入力は、瞬停等の高速検出を目的としている。
具体的には、図3に示される-端子に対応する第1接続端子P41および+端子に対応する第2接続端子P42のみが使用される場合には、+端子の側しか瞬停等を検出することができないため、本実施形態では、もう1箇所(図3の例では、第3接続端子P43)を使用して瞬停等を高速に検出することを可能としている。
【0073】
ここで、本実施形態では、トーテムポール型のPFCにおいて、追加ユニットの充電動作では、入力電流を半周期上昇させ半周期減少させる。このため、充電容量が大きいと、入力電流の正負アンバランスが顕著となり得る。また、両相(L相、N相)の入力電圧から瞬停等を高速に検出することが望ましいと考えられる。充電電力が、接続されるAC/DC電源の入力電力より大きいとき、動作干渉する可能性が考えられる。
また、図3の例では、入力電源のオフセットが載る。
このような事情に鑑みると、図3の構成と比べて、図4の構成の方が好ましいと考えられる。
【0074】
図4の例に係るスイッチング電源装置>
図4は、実施形態に係るスイッチング電源装置14の概略的な回路構成の一例を示す図である。図4の例に係る回路構成は、図1の例に係る回路構成(および図3の例に係る回路構成)の応用例である。
スイッチング電源装置14は、トーテムポール(Totempole)型のPFC機能を有する昇圧回路61と、保持時間延長ユニット62と、4個のダイオード551~554からなるダイオードブリッジ63と、を備える。ダイオードブリッジ63は、整流回路の一例である。
本実施形態では、昇圧回路61は補償対象となるAC/DC電源に相当し、保持時間延長ユニット62は瞬停時等における補償対象の保持時間を延長する追加ユニットに相当する。
なお、図4の例では、保持時間延長ユニット62とダイオードブリッジ63とが別体である場合を示しているが、保持時間延長ユニット62とダイオードブリッジ63とが一体であると捉えられてもよく、つまり、保持時間延長ユニット62はダイオードブリッジ63を含んでもよい。このように、ダイオードブリッジ63は、保持時間延長ユニット62の内部に設けられると捉えられてもよく、あるいは、保持時間延長ユニット62の外部に設けられると捉えられてもよい。
【0075】
昇圧回路61は、電源171と接続されている。電源171については、図1に示される電源111と同様である。
昇圧回路61は、例えばコイルから構成されるインダクタ172と、MOS型FETからなる2個のスイッチング素子173、175と、2個のダイオード177、178と、容量素子179と、を備える。
【0076】
説明の便宜上、昇圧回路61において、ダイオードブリッジ63を介して保持時間延長ユニット62が接続される側の2個の端子を、第1入力端子T531、第2入力端子T532と呼び、また、負荷(図示せず)が接続される側の2個の端子を、第1出力端子T511、第2出力端子T512と呼んで、説明する。
【0077】
昇圧回路61の構成について、図3に示される昇圧回路51と相違する点について説明し、同様な点については詳しい説明を省略する。
昇圧回路61の構成は、図3に示される昇圧回路51と比べて、図3に示される昇圧回路51が第1入力端子T431、第2入力端子T432および第3入力端子T433を有するのに対して、第1入力端子T531および第2入力端子T532を有する点で相違しており、他の点は同様である。
【0078】
ここで、第1入力端子T531は、電源171の一端と、ダイオード177のカソードと、ダイオード178のアノードと接続されている。
第2入力端子T532は、電源171の他端と、インダクタ172の一端と接続されている。
【0079】
ダイオードブリッジ63では、ダイオード552のカソードと、ダイオード551のアノードとが接続されており、また、ダイオード554のカソードと、ダイオード553のアノードとが接続されている。
【0080】
保持時間延長ユニット62は、充電用コンバータ511と、n(nは1以上の整数)個の容量素子531-1~531-nの直列接続からなる容量素子部531と、第1スイッチ素子532と、第2スイッチ素子である非干渉用スイッチ素子536と、を備える。
充電用コンバータ511は、容量素子部531を管理するバッテリーマネージメントシステム(BMS)512を備える。
なお、他の構成例として、BMS512は、充電用コンバータ511とは別に備えられてもよい。また、保持時間延長ユニット62では、BMS512は、備えられていなくてもよい。
【0081】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット62において、ダイオードブリッジ63および昇圧回路61が接続される側の4個の端子を、第1接続端子P51、第2接続端子P52、第3接続端子P53、第4接続端子P54と呼んで、説明する。
第1接続端子P51、第2接続端子P52は、充放電用端子などと呼ばれてもよい。
また、説明の便宜上、充電用コンバータ511において、5個の端子を、第1コンバータ端子Q51、第2コンバータ端子Q52、第3コンバータ端子Q53、第4コンバータ端子Q54、第5コンバータ端子Q55と呼んで、説明する。
第1コンバータ端子Q51、第2コンバータ端子Q52、第3コンバータ端子Q53、第4コンバータ端子Q54、第5コンバータ端子Q55は、それぞれ、出力端子、出力端子、充放電用端子、制御用端子、制御用端子などと呼ばれてもよい。
ここで、第4コンバータ端子Q54は、第1スイッチ素子532への制御信号を出力する端子である。また、第5コンバータ端子Q55は、非干渉用スイッチ素子536への制御信号を出力する端子である。なお、図4の例では、充電用コンバータ511が第1スイッチ素子532および非干渉用スイッチ素子536を制御する制御回路を含む場合を示すが、他の構成例として、当該制御回路は充電用コンバータ511とは別体であってもよく、この場合、第1スイッチ素子532を制御するための第4コンバータ端子Q54および非干渉用スイッチ素子536を制御するための第5コンバータ端子Q55は設けられない。
【0082】
図4の例では、昇圧回路61の第1入力端子T531および第2入力端子T532と、保持時間延長ユニット62の第1接続端子P51および第2接続端子P52とが、ダイオードブリッジ63を介して、接続されている。
保持時間延長ユニット62の第1接続端子P51が-端子となって互いに接続され、また、保持時間延長ユニット62の第2接続端子P52が+端子となって互いに接続される。
また、昇圧回路61の第1入力端子T531と保持時間延長ユニット62の第3接続端子P53とが、-端子に準じた端子(-’端子)となって互いに接続される。
また、昇圧回路61の第2入力端子T532と保持時間延長ユニット62の第4接続端子P54とが、+端子に準じた端子(+’端子)となって互いに接続される。
ここで、第1接続端子P51および第2接続端子P52は、充放電用の端子である。
なお、保持時間延長ユニット62と昇圧回路61とは、例えば、着脱可能に別体で構成されてもよく、あるいは、一体で構成されてもよい。本実施形態では、保持時間延長ユニット62は、昇圧回路61とは別体で構成されており、昇圧回路61に対して外付けユニットとなっている。
【0083】
また、保持時間延長ユニット62がダイオードブリッジ63を含まない構成では、保持時間延長ユニット62とダイオードブリッジ63とは着脱可能に構成されてもよい。
なお、保持時間延長ユニット62がダイオードブリッジ63を含む構成では、例えば、昇圧回路61の第1入力端子T531と接続される点の端子が保持時間延長ユニット62の第1接続端子となり、昇圧回路61の第2入力端子T532と接続される点の端子が保持時間延長ユニット62の第2接続端子となる。
【0084】
ここで、図4には、他の構成例に係るダイオード533を示してある。
まず、ダイオード533が備えられない場合について説明する。
【0085】
第1接続端子P51と、容量素子部531の一端と、第1コンバータ端子Q51と、非干渉用スイッチ素子536の一端とが接続されている。
第3接続端子P53と、非干渉用スイッチ素子536の他端とが接続されている。
容量素子部531の他端と、第2コンバータ端子Q52と、第1スイッチ素子532の一端とが接続されている。
第4接続端子P54と、第1スイッチ素子532の他端とが接続されている。
第2接続端子P52と、第3コンバータ端子Q53とが接続されている。
図4の例では、容量素子531-1~531-nは電解コンデンサであり、容量素子部531の他端が+側となっている。
【0086】
制御回路(ここでは、当該制御回路が充電用コンバータ511に含まれるとする)は、入力される電圧に基づいて、第1スイッチ素子532のオン/オフを制御する。
【0087】
ここで、他の構成例に係るダイオード533は、整流素子の一例であり、第1スイッチ素子532と第4接続端子P54との間に接続されてもよい。この場合、ダイオード533のアノードと第1スイッチ素子532の他端とが接続され、ダイオード533のカソードと第4接続端子P54とが接続される。
【0088】
なお、充電用コンバータ511、第1スイッチ素子532、容量素子531-1~531-n、BMS512のそれぞれの具体例については、図1の例の場合と同様である。
【0089】
スイッチング電源装置14の動作の概要を説明する。
スイッチング電源装置14では、通常時には、第1スイッチ素子532および非干渉用スイッチ素子536はオフにされ、充電用コンバータ511に含まれるスイッチング素子がオン/オフに切り替えられるように動作させられて、充電用コンバータ511が通常動作させられる。これにより、保持時間延長ユニット62の容量素子部531の充電が可能である。
一方、スイッチング電源装置14では、瞬停時等には、第1スイッチ素子532および非干渉用スイッチ素子536はオンにされ、充電用コンバータ511に含まれるスイッチング素子がオフにされて動作が停止させられる。これにより、保持時間延長ユニット62の容量素子部531から昇圧回路61への電圧供給が可能である。
ここで、第1スイッチ素子532および非干渉用スイッチ素子536は、同時にオン/オフにされる。
【0090】
このような構成により、本実施形態に係るスイッチング電源装置14では、例えば、瞬停等が発生した場合においても、スイッチング電源装置14の出力をある一定時間確保することができる。
したがって、本実施形態に係るスイッチング電源装置14では、瞬停時などの補償回路(図4の例では、保持時間延長ユニット62)の追加ユニット化の汎用性を高めることができる。
なお、図4の例に係るスイッチング電源装置14においても、図1の例に係るスイッチング電源装置11を応用した点を除いて、図1の例に係るスイッチング電源装置11と同様な効果が得られる。
【0091】
本実施形態では、ダイオードブリッジ63と非干渉用スイッチ素子536を備えることで、非干渉用のトーテムポール型のPFCを実現している。
本実施形態では、図3の構成例と比べて、干渉動作への対策が行われており、ダイオードブリッジ63の追加により、追加ユニットは独立充電動作が可能となる。瞬停等の補償時には、第1スイッチ素子532および非干渉用スイッチ素子536をオンにすることで、図3の構成例と同様な効果が得られる。ここで、図4の例では、非干渉用スイッチ素子536の逆阻止機能は、接続されたAC/DC電源のダイオード177、178が担っている。
なお、図4の例では、入力電源のオフセットを除去することができる。
【0092】
(スイッチング電源装置の具体的な構成例および動作例)
図5図9を参照して、スイッチング電源装置の具体的な構成例および動作例を説明する。
【0093】
図5は、実施形態に係るスイッチング電源装置601の具体的な回路構成の一例を示す図である。
スイッチング電源装置601は、PFC機能を有する昇圧回路31と、保持時間延長ユニット611と、を備える。
本実施形態では、昇圧回路31は補償対象となるAC/DC電源に相当し、保持時間延長ユニット611は瞬停時等における補償対象の保持時間を延長する追加ユニットに相当する。
なお、図5では、制御回路については図示を省略している。
【0094】
昇圧回路31は、電源111と接続されている。
ここで、図5の例では、昇圧回路31および電源111は、それぞれ、図1に示されるものと同様であり、同じ符号を付してある。
【0095】
保持時間延長ユニット611は、例えばコイルから構成されるインダクタ631と、MOS型FETからなるスイッチング素子632と、容量素子634と、例えばコイルから構成されるインダクタ635と、ダイオード636と、第1スイッチ素子637と、容量素子部638と、を備える。
ここで、保持時間延長ユニット611では、インダクタ631、スイッチング素子632、容量素子634、インダクタ635、ダイオード636を用いて、充電用コンバータが構成されている。
なお、図5の例では、1個の容量素子からなる容量素子部638を示しているが、容量素子部638は複数の容量素子を用いて構成されてもよい。
【0096】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット611において、昇圧回路31が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P61、第2接続端子P62と呼んで、説明する。
本実施形態では、昇圧回路31の第1入力端子T31と保持時間延長ユニット611の第1接続端子P61とが-端子となって互いに接続され、また、昇圧回路31の第2入力端子T32と保持時間延長ユニット611の第2接続端子P62とが+端子となって互いに接続される。
【0097】
ここで、図5には、他の構成例に係る配線639を示してある。
まず、配線639が備えられない場合について説明する。
【0098】
スイッチング素子632のソースと、インダクタ635の一端と、容量素子部638の一端と、第1接続端子P61とが接続されている。
インダクタ635の他端と、容量素子634の一端と、ダイオード636のアノードとが接続されている。
第1スイッチ素子637の一端と、容量素子部638の他端と、ダイオード636のカソードとが接続されている。
インダクタ631の一端と、スイッチング素子632のドレインと、容量素子634の他端と、第1スイッチ素子637の他端とが接続されている。
インダクタ631の他端と、第2接続端子P62とが接続されている。
図5の例では、容量素子部638は電解コンデンサを用いて構成されており、容量素子部638の他端が+側となっている。
【0099】
ここで、他の構成例に係る配線639は、図5に示される配線640の代わりに備えられてもよい。つまり、第1スイッチ素子637の他端は、インダクタ631の一端の代わりに、インダクタ631の他端に接続されてもよい。
【0100】
本実施形態に係るスイッチング電源装置601では、例えば、コンデンサ容量の低減効果を図りつつ、かつ、SEPICコンバータを用いることにより、突入電流防止回路を削減し、そこで生じる制限抵抗の損失を除去している。図5の例では、SEPICコンバータにおいて、コンデンサからなる容量素子634がDCカット用のコンデンサとなっている。また、インダクタ631とインダクタ635は磁気結合させて統合部品とされてもよい。
さらに、スイッチング電源装置601では、系統電圧に依存せず、接続されるAC/DC電源の入力コンデンサの電圧以下で、任意の補償コンデンサ電圧に設定することが可能である。また、スイッチング電源装置601では、充電用コンバータの電力容量を、接続先のAC/DC電源と統一する必要はなく、所望の充電時間でエネルギーバッファを充電することができる電力容量に任意に設計することが可能である。これらの効果により、スイッチング電源装置601では、追加ユニットとしての汎用性の改善が図られる。
なお、本実施形態に係るスイッチング電源装置601では、第1スイッチ素子637については、接続されるAC/DC電源の入力電流に相当する定格となるが、バックアップ期間中の導通損を許容すればよく、高価な高速スイッチング素子または放熱器は必ずしも必要とされない。
【0101】
第1スイッチ素子637の両端が、補償コンデンサの正極(図5の例では、容量素子部638の他端)とインダクタ631の一端(図5を正面から見た場合の左側)との間に接続される場合、インダクタ631の電流飽和点を超える可能性があるが、接続されるAC/DC電源であるPFCのインダクタ116との電流制御により電流上昇を制限することが可能である。このような電流制限のため、追加ユニットの補償コンデンサの電圧は接続されるAC/DC電源のPFC昇圧電圧以下にすることが望ましく、追加ユニットの汎用性の改善のために、電圧調整ボリューム抵抗などが設けられてもよい。
【0102】
なお、配線640の代わりに配線639が採用されることで、第1スイッチ素子637の他端の接続箇所が、インダクタ631の他端(図5を正面から見た場合の右側)とされてもよい。このような接続においては、第1スイッチ素子637がオンであるときの電流上昇抑制効果が低下する。
一方、配線640が採用されて、第1スイッチ素子637の他端の接続箇所がインダクタ631の他端(図5を正面から見た場合の左側)である場合には、インダクタ631の抵抗成分により昇圧比の上限が低下し、コンデンサエネルギーの利用率がやや低くなる。
【0103】
また、追加ユニットの充電用コンバータとしては、例えば、SEPICコンバータに限られず、ZetaコンバータあるいはBuckコンバータといった降圧形コンバータで代替されることも可能である。
また、例えば、突入電流防止回路を用いて、一般的な昇圧コンバータが使用されてもよい。
【0104】
図6図7図8は、実施形態に係るスイッチング電源装置601の動作の一例を説明するための図である。
図6図8では、図5に示されるスイッチング電源装置601において配線640の代わりに配線639が備えられる場合の例を示してある。
また、図6図8では、制御回路については図示を省略している。
ここでは、図6図8に示される回路構成を例として、スイッチング電源装置601の動作例を示す。
【0105】
なお、図6には、他の構成例に係るダイオード641を示してある。保持時間延長ユニット611において、ダイオード641は、備えられてもよく、あるいは、備えられなくてもよい。ダイオード641が備えられる場合、ダイオード641のカソードと、第1スイッチ素子637の一端とが接続され、また、ダイオード641のアノードと、ダイオード636のカソードと、容量素子部638の他端とが接続される。
【0106】
図6および図7を参照して、電源111が通常の電圧を供給しているときである通常時の動作について説明する。
通常時には、第1スイッチ素子637はオフの状態に維持される。また、通常時には、保持時間延長ユニット611において、充電用コンバータのスイッチング素子632がオン/オフに切替制御されることで、当該充電用コンバータが通常に動作して、容量素子部638への電力供給が行われ、容量素子部638の充電(または、充電保持)が行われる。
【0107】
図6には、スイッチング電源装置601の構成例とともに、保持時間延長ユニット611の充電用コンバータのスイッチング素子632がオンであるときについて、保持時間延長ユニット611における電流の流れを矢印で示してある。
【0108】
図6に矢印で示されるように、保持時間延長ユニット611では、第2接続端子P62からインダクタ631、スイッチング素子632を介して第1接続端子P61へ向かう電流、インダクタ635から容量素子634、スイッチング素子632を介して第1接続端子P61へ向かう電流が発生する。
【0109】
図7には、図6に示されるのと同じスイッチング電源装置601の構成例とともに、保持時間延長ユニット611の充電用コンバータのスイッチング素子632がオフであるときについて、保持時間延長ユニット611における電流の流れを矢印で示してある。
【0110】
図7に矢印で示されるように、保持時間延長ユニット611では、第2接続端子P62からインダクタ631、容量素子634、ダイオード636、容量素子部638を介して第1接続端子P61へ向かう電流が発生する。
図6および図7に示される電流の流れによって、容量素子部638への電力供給が行われ、容量素子部638の充電(または、充電保持)が行われる。
【0111】
図8を参照して、電源111に瞬停等が発生したときである瞬停時等の動作について説明する。
瞬停時等には、第1スイッチ素子637はオンの状態に維持される。また、瞬停時等には、保持時間延長ユニット611の充電用コンバータのスイッチング素子632がオフに維持されることで、当該充電用コンバータは停止した状態とされ、容量素子部638の放電が行われる。このとき、容量素子部638からPFCコンバータ(図6図8の例では、昇圧回路31)への電力供給が行われ、PFCコンバータ(図6図8の例では、昇圧回路31)の通常昇圧動作が可能である。
【0112】
図8には、図6に示されるのと同じスイッチング電源装置601の構成例とともに、保持時間延長ユニット611における電流の流れを矢印で示してある。
【0113】
図8に矢印で示されるように、保持時間延長ユニット611では、第1接続端子P61から容量素子部638、第1スイッチ素子637を介して第2接続端子P62へ向かう電流が発生する。なお、ダイオード641が備えられる場合には、ダイオード641にも電流が流れる。
図8に示される電流の流れによって、容量素子部638の放電が行われ、昇圧回路31は通常の昇圧動作を行うことが可能である。
【0114】
図9は、実施形態に係るスイッチング電源装置601の動作の一例を説明するための波形の図である。
図9に示される波形は、図6図8に示されるスイッチング電源装置601の動作に対応している。
【0115】
図9に示されるグラフでは、横軸は時間を表しており、縦軸は電圧のレベルを表している。
図9には、横軸に関し、時間の進みにしたがって、時間t0~時間t3を示してある。
図9には、電源111から出力される交流電圧の波形3011と、昇圧回路31の容量素子120の両端にかかる電圧(昇圧回路31の出力電圧)の波形3012と、保持時間延長ユニット611の容量素子部638の両端にかかる電圧の波形3013と、を示してある。
【0116】
図9の例では、時間t0~時間t1の期間は通常時の期間であり、電源111から交流電圧が正常に供給されている。これにより、保持時間延長ユニット611の容量素子部638の両端にかかる電圧は満充電状態に保持されている。また、昇圧回路31の容量素子120の両端にかかる電圧が保持される。ここで、本例では、通常時において、保持時間延長ユニット611の容量素子部638の両端にかかる電圧と、昇圧回路31の容量素子120の両端にかかる電圧とが同じである場合を示してある。
【0117】
時間t1~時間t2の期間は瞬停時等が発生して継続している期間であり、電源111からの交流電圧の供給が停止している。これにより、保持時間延長ユニット611の容量素子部638の両端にかかる電圧が放電により低下し、この放電の電力によって、昇圧回路31の容量素子120の両端にかかる電圧が保持される。
【0118】
時間t2~時間t3の期間は通常時(本例では、瞬停時等から通常時に戻った期間)であり、再び、電源111から交流電圧が正常に供給される。これにより、保持時間延長ユニット611の容量素子部638の両端にかかる電圧が充電により増加(回復)していく。また、昇圧回路31の容量素子120の両端にかかる電圧は保持される。
【0119】
時間t3で、容量素子部638の充電が完了して、容量素子部638の両端にかかる電圧が満充電状態になるとする。
時間t3以降の期間(本例では、容量素子部638の充電が完了した後の期間)は通常時の期間であり、電源111から交流電圧が正常に供給されている。これにより、保持時間延長ユニット611の容量素子部638の両端にかかる電圧は満充電状態に保持される。また、昇圧回路31の容量素子120の両端にかかる電圧が保持される。
【0120】
ここで、第1スイッチ素子637の接続先は、インダクタ631の両端のうちのいずれであってもよい。図6図8に示される回路構成ばかりでなく、図5に示される回路構成においても、同様な動作が実現される。
また、外付けBoostとしては、例えば、小容量設計のSEPICを用いることで、突入電流防止回路を除去することが可能である。
【0121】
なお、本実施形態では、例えば、第1スイッチ素子637のみがパワー回路相当であればよい。
第1スイッチ素子637のオン制御、および、充電用コンバータのブースト停止制御は、例えば、AC Fail信号により開始させられてもよい。その後、電源111の電圧(Vin)が所定電圧(Vcap)より大きくなった場合に、第1スイッチ素子637のオフ制御、および、所定のタイムディレー後における充電用コンバータの再ブースト制御が行われてもよい。
【0122】
なお、従来方式あるいは(RCD+スイッチ)の方式では、電源本体のバルクコンデンサの電圧に、外付けモジュールの電解コンデンサの耐圧が依存する。これに対して、図5図8の例では、SEPICによる昇降圧動作により、外付けモジュール(追加ユニット)は影響を受けず、追加ユニットの汎用性が高い。
また、図5図8の例では、追加ユニットの接続点に関し2個の接続点のみでバックアップシーケンスを実装することができる。なお、適用対象が図2に示されるようなデュアルブースト型のPFCあるいはトーテムポール型のPFCである場合には、追加ユニットの接続点に関し3個の接続点となる。
【0123】
本実施形態のようなスイッチング電源装置601の構成は、双方向コンバータの一種類と考えることもできる。
コンデンサが容量素子(図5図8の例では、容量素子部638を構成する容量素子)として用いられる場合、当該コンデンサのサイズ/容量に関し、本実施形態では、当該コンデンサのエネルギーを低電圧まで利用して小型化することが可能である。
また、本実施形態では、制限抵抗を除去することができる。
例えば、本実施形態では、制限抵抗をコンバータに置き換えることで、損失を低減することができる。
また、外部ユニット化に関し、本実施形態では、コンデンサの電圧あるいは回路制御を独立して実装することが可能である。
【0124】
なお、充電用コンバータによる瞬停補償ユニット(UPS)の概念自体は既知の技術であるが、従来技術では、瞬停補償ユニットとして、補償対象(AC/DC電源)と同じ電力容量の充放電用コンバータが必要である場合があった。このような従来技術に対して、本実施形態では、放電用コンバータとして、スイッチ(図5図8の例では、第1スイッチ素子637)と接続された補償対象(AC/DC電源)のPFCコンバータを利用することで、追加ユニット(図5図8の例では、保持時間延長ユニット611)の放電用コンバータを削減し、追加ユニットの汎用性を向上させている。
【0125】
ここで、図5図8に係る例は、図1に示されるスイッチング電源装置11の具体的な構成例に関する動作例であるが、図2に示されるスイッチング電源装置12、図3に示されるスイッチング電源装置13、あるいは、図4に示されるスイッチング電源装置14においても、同様な動作が可能である。
【0126】
(スイッチング電源装置の制御回路の具体的な構成例)
図10図12を参照して、スイッチング電源装置の制御回路の構成例および動作例について説明する。
【0127】
図10(A)、図10(B)、図10(C)は、実施形態に係る制御回路752を含む保持時間延長ユニット701の具体的な回路構成の一例を示す図である。
保持時間延長ユニット701は、充電用コンバータ711と、n(nは1以上の整数)個の容量素子731-1~731-nの直列接続からなる容量素子部731と、第1スイッチ素子732と、電圧検出部751と、制御回路752と、を備える。
充電用コンバータ711は、バッテリーマネージメントシステム(BMS)712を備える。
なお、他の構成例として、BMS712は、充電用コンバータ711とは別に備えられてもよい。また、保持時間延長ユニット701では、BMS712は、備えられていなくてもよい。
【0128】
説明の便宜上、図1の構成あるいは図4の構成に適用される場合について、保持時間延長ユニット701において、昇圧回路(図10(A)では図示を省略)が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P71、第2接続端子P72と呼んで、説明する。
また、説明の便宜上、図2の構成あるいは図3の構成に適用される場合について、保持時間延長ユニット701において、昇圧回路(図10(A)では図示を省略)が接続される側の3個の端子を、第1接続端子P71、第2接続端子P72、第3接続端子P73と呼んで、説明する。
また、説明の便宜上、充電用コンバータ711において、4個の端子を、第1コンバータ端子Q71、第2コンバータ端子Q72、第3コンバータ端子Q73、第4コンバータ端子Q74と呼んで、説明する。
また、説明の便宜上、制御回路752において、6個の端子を、第1コントローラ端子R71、第2コントローラ端子R72、第3コントローラ端子R73、第4コントローラ端子R74、第5コントローラ端子R75、第6コントローラ端子R76と呼んで、説明する。
【0129】
ここで、図10(A)には、他の構成例に係るダイオード733および配線734を示してある。
まず、ダイオード733および配線734が備えられない場合について説明する。
【0130】
第1接続端子P71と、容量素子部731の一端と、第1コンバータ端子Q71と、第1コントローラ端子R71とが接続されている。
容量素子部731の他端と、第2コンバータ端子Q72と、第1スイッチ素子732の一端と、第2コントローラ端子R72とが接続されている。
第2接続端子P72と、第3コンバータ端子Q73と、第1スイッチ素子732の他端とが接続されている。
電圧検出部751の第1入力端子と、第3コンバータ端子Q73とが接続されている。
電圧検出部751の第2入力端子と、第3接続端子P73とが接続されている。なお、第3接続端子P73が用いられない場合(図1の構成あるいは図4の構成に適用される場合)には、電圧検出部751の第2入力端子は不要(例えば、無接続)である。
第3コントローラ端子R73と、電圧検出部751の出力端子とが接続されている。
第4コントローラ端子R74は、第1コンバータ端子Q71を流れる電流を入力(検出)することが可能な回路部791と接続されている。
第5コントローラ端子R75と、第4コンバータ端子Q74とが接続されている。
第6コントローラ端子R76は、第1スイッチ素子732への制御信号を出力する端子である。
【0131】
図10(A)の例では、制御回路752において、例えば、第1コントローラ端子R71の電位(電圧)を基準として、他の端子の電位(電圧)が決まる。
図10(A)の例では、容量素子731-1~731-nは電解コンデンサであり、容量素子部731の他端が+側となっている。
【0132】
ここで、他の構成例に係るダイオード733は、第1スイッチ素子732と第2接続端子P72との間に接続されてもよい。この場合、ダイオード733のアノードと第1スイッチ素子732の他端とが接続され、ダイオード733のカソードと第2接続端子P72とが接続される。
また、他の構成例に係る配線734は、図10(A)に示される配線735の代わりに備えられてもよい。つまり、第1スイッチ素子732の他端は、第2接続端子P72の代わりに、充電用コンバータ711の内部の回路(例えば、インダクタ)と接続されてもよい。この場合、第1スイッチ素子732の他端は、当該回路(例えば、インダクタ)を介して、第2接続端子P72と接続される。
【0133】
ここで、図10(A)の構成が図2の構成あるいは図3の構成に適用される場合には、電圧検出部751として図10(B)に示される電圧検出部751aの回路構成が用いられる。
電圧検出部751aは、2個のダイオード771、772を備える。これらにより、ダイオードORの回路が構成されている。
電圧検出部751aの第1入力端子につながるダイオード771のアノードと、第3コンバータ端子Q73とが接続されている。
電圧検出部751aの第2入力端子につながるダイオード772のアノードと、第3接続端子P73とが接続されている。
ダイオード771のカソードおよびダイオード772のカソードは、電圧検出部751aの出力端子につながっている。
【0134】
また、図10(A)の構成が図1の構成あるいは図4の構成に適用される場合には、第3接続端子P73は備えられず、電圧検出部751として図10(C)に示される電圧検出部751bの回路構成が用いられる。
電圧検出部751bの第1入力端子は、第3コンバータ端子Q73と接続される。これにより、第3コンバータ端子Q73の電圧が第3コントローラ端子R73の電圧となる。
【0135】
このように、+端子である第2接続端子P72の電圧だけを検出すれば十分である場合(図1の構成あるいは図4の構成に適用される場合)には、昇圧回路の側について第3接続端子P73には何も接続されなくてもよい。
一方、+端子である第2接続端子P72の電圧ばかりでなく、第3接続端子P73の電圧も検出することが望ましい場合(図2の構成あるいは図3の構成に適用される場合)には、昇圧回路の側について第3接続端子P73に電圧検出対象とする部位が接続される。
【0136】
制御回路752は、例えば、一般的なPFC制御用のIC(Integrated Circuit)を用いて構成されてもよい。
制御回路752は、電圧検出部751から入力される電圧に基づいて、瞬停時等であるか否かを判定することで、瞬停等を検出する。
制御回路752は、瞬停等を検出していない場合(つまり、通常時の場合)には充電モードの制御を実行することを判定し、瞬停等を検出した場合には放電モードの動作を実行することを判定して設定する。
ここで、本実施形態では、通常時のモードが充電モードに相当し、瞬停時等のモードが放電モードに相当する。
【0137】
制御回路752は、充電モードと放電モードとのうちで設定されているモードに応じて、充電用コンバータ711および第1スイッチ素子732を制御する。
制御回路752は、充電用コンバータ711について、PWM(Pulse Width Modulation)のDuty波形を生成し、生成したDuty波形を第3コントローラ端子R75から第4コンバータ端子Q74を介して充電用コンバータ711に供給する。
そして、制御回路752は、第2コントローラ端子R72の電圧(Vbuffer)を所望の電圧に制御する機能を有する。ただし、所望の電圧に到達するまでの充電期間においては、第1コンバータ端子Q71を流れる電流を充電コンバータ電力容量に応じた所望の電流に制御する機能を有する。当該電流の制御は、過電流保護の制御を含んでもよい。
【0138】
制御回路752は、通常時には、充電モードを設定して、充電用コンバータ711にDuty波形を出力するとともに、第1スイッチ素子732をオフにするように第6コントローラ端子R76からの制御信号(例えば、電圧)を制御する。
制御回路752は、瞬停時等には、放電モードを設定して、充電用コンバータ711にDuty波形を出力しないとともに、第1スイッチ素子732をオンにするように第6コントローラ端子R76からの制御信号(例えば、電圧)を制御する。
【0139】
ここで、制御回路752は、補償対象への交流電源が投入されたこと、あるいは、当該交流電源の瞬停等が発生した後に当該交流電源の供給が復帰したことを検出した場合、充電モードを設定する。一方、制御回路752は、瞬停等を検出した場合、放電モードを設定する。
なお、制御回路752は、例えば、瞬停等が発生した後に、第2コントローラ端子R72の電圧(Vbuffer)が第3コントローラ端子R73の電圧(Vac)よりも高くなった場合に、交流電源の供給が復帰したと判定してもよく、あるいは、他の判定手法が用いられてもよい。
【0140】
制御回路752では、第3コントローラ端子R73の電圧(Vac)に基づいて、瞬停等を検出することが可能である。
【0141】
図1に示されるスイッチング電源装置11における保持時間延長ユニット32に図10(A)および図10(C)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、第3コンバータ端子Q3の電圧および第1コンバータ端子Q1の電圧に基づいて、充電モードと放電モードとの切り替えが制御される。具体的には、図1に示される第3コンバータ端子Q3の電圧が、図10(A)に示される第2接続端子P72の電圧(第3コンバータ端子Q73の電圧)に対応し、また、図1に示される第1コンバータ端子Q1の電圧が、図10(A)に示される第1接続端子P71の電圧に対応する。
図4に示されるスイッチング電源装置14における保持時間延長ユニット62に図10(A)および図10(C)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、第3コンバータ端子Q53の電圧および第1コンバータ端子Q51の電圧に基づいて、充電モードと放電モードとの切り替えが制御される。具体的には、図4に示される第3コンバータ端子Q53の電圧が、図10(A)に示される第2接続端子P72の電圧(第3コンバータ端子Q73の電圧)に対応し、また、図4に示される第1コンバータ端子Q51の電圧が、図10(A)に示される第1接続端子P71の電圧に対応する。
図2に示されるスイッチング電源装置12における保持時間延長ユニット42に図10(A)および図10(B)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、第3コンバータ端子Q33の電圧、第1コンバータ端子Q31および第4コンバータ端子Q34の電圧に基づいて、充電モードと放電モードとの切り替えが制御される。具体的には、図2に示される第3コンバータ端子Q33の電圧が、図10(A)に示される第2接続端子P72の電圧(第3コンバータ端子Q73の電圧)に対応し、また、図2に示される第1コンバータ端子Q31の電圧が、図10(A)に示される第1接続端子P71の電圧に対応し、また、図2に示される第4コンバータ端子Q34の電圧が、図10(A)に示される第3接続端子P73の電圧に対応する。
図3に示されるスイッチング電源装置13における保持時間延長ユニット52に図10(A)および図10(B)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、第3コンバータ端子Q43の電圧、第1コンバータ端子Q41および第3接続端子P43の電圧に基づいて、充電モードと放電モードとの切り替えが制御される。具体的には、図3に示される第3コンバータ端子Q43の電圧が、図10(A)に示される第2接続端子P72の電圧(第3コンバータ端子Q73の電圧)に対応し、また、図3に示される第1コンバータ端子Q41の電圧が、図10(A)に示される第1接続端子P71の電圧に対応し、また、図3に示される第3接続端子P43の電圧が、図10(A)に示される第3接続端子P73の電圧に対応する。
【0142】
図11は、実施形態に係る電圧検出部751を用いて検出される電圧の波形の一例を示す図である。
図11に示されるグラフでは、横軸は時間(t)を表しており、縦軸は電圧(Vac)のレベルを表している。また、波形3111および波形3112を示している。
図1の例または図4の例に図10(A)および図10(C)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、図11に示される電圧の波形が電圧検出部751を用いて検出される。
この場合、+端子の電圧波形を検出することで、L相(非接地側)の波形3111と、N相(接地側)の波形3112との両方が検出される。L相の波形3111とN相の波形3112とは交互に繰り返される。
【0143】
図12は、実施形態に係る電圧検出部751を用いて検出される電圧の波形の一例を示す図である。
図12に示されるグラフでは、横軸は時間(t)を表しており、縦軸は電圧(Vac)のレベルを表している。また、波形3211を示している。
図2の例または図3の例に図10(A)および図10(B)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、+端子の電圧検出では、図12に示される電圧の波形が電圧検出部751を用いて検出される。
この場合、+端子の電圧波形を検出することで、L相(非接地側)の波形3211が検出されるが、N相(接地側)の波形は検出されない。このように、+端子の電圧検出だけでは、N相の電圧が抜けた状態となることから、図11の例における検出電圧と比べて、瞬停等の検出に遅れが発生する可能性がある。
【0144】
このように、図1の例あるいは図4の例に制御回路が適用される場合には、検出部の端子の接続は+端子のみで、L相およびN相の電圧を検出することが可能である。この場合、+端子の電圧が、検出したい電圧波形(Vac)となる。
一方、図2の例あるいは図3の例に制御回路が適用される場合、検出部を用いて片相の電圧しか検出することができない構成が不十分であるときには、例えば、検出部の端子をもう片相に接続してもよい。
例えば、図2の例および図3の例のように、図10(A)および図10(B)の例において、N相に電圧検出部751の端子を接続すると、検出したい電圧波形になる。
【0145】
このような具体例として、図2に示されるスイッチング電源装置12における保持時間延長ユニット42に図10(A)および図10(B)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、電源131のN相の電圧(第4コンバータ端子Q34の電圧)と、第3コンバータ端子Q33の電圧とに基づいて、充電モードと放電モードとの切り替えが制御される。
また、具体例として、図3に示されるスイッチング電源装置13における保持時間延長ユニット52に図10(A)および図10(B)の例に係る制御回路752のような制御構成が適用される場合、電源151のN相の電圧と、第3コンバータ端子Q43の電圧とに基づいて、充電モードと放電モードとの切り替えが制御される。
【0146】
(他の構成例に係るスイッチング電源装置の具体的な構成例)
図13図17を参照して、他の構成例に係るスイッチング電源装置の具体的な構成例について説明する。
【0147】
図13の例に係るスイッチング電源装置>
図13は、実施形態に係るスイッチング電源装置801の具体的な回路構成の一例を示す図である。
スイッチング電源装置801は、PFC機能を有する昇圧回路31と、保持時間延長ユニット811と、従来例に係る保持時間延長ユニットであるコンデンサ追加ユニット812と、を備える。
本実施形態では、昇圧回路31は補償対象となるAC/DC電源に相当し、保持時間延長ユニット811は追加ユニットに相当する。
また、図13では、制御回路については図示を省略している。
【0148】
なお、従来例に係るコンデンサ追加ユニット812も追加ユニットの一例であるが、図13の例では、参考として示してある。このため、スイッチング電源装置801では、コンデンサ追加ユニット812は備えられなくてもよい。
つまり、スイッチング電源装置801は、電源111と、昇圧回路31と、保持時間延長ユニット811と、を備える回路構成であってもよい。
【0149】
昇圧回路31は、電源111と接続されている。
ここで、図13の例では、昇圧回路31および電源111は、それぞれ、図1に示されるものと同様であり、同じ符号を付してある。
【0150】
保持時間延長ユニット811は、例えばコイルから構成されるインダクタ831と、MOS型FETからなるスイッチング素子832と、ダイオード834と、第1スイッチ素子835と、容量素子部836と、を備える。
ここで、保持時間延長ユニット811では、インダクタ831、スイッチング素子832、ダイオード834を用いて、充電用コンバータが構成されている。
なお、図13の例では、1個の容量素子からなる容量素子部836を示しているが、容量素子部836は複数の容量素子を用いて構成されてもよい。
【0151】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット811において、昇圧回路31が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P81、第2接続端子P82と呼んで、説明する。
本実施形態では、昇圧回路31の第1入力端子T31と保持時間延長ユニット811の第1接続端子P81とが-端子となって互いに接続され、また、昇圧回路31の第2入力端子T32と保持時間延長ユニット811の第2接続端子P82とが+端子となって互いに接続される。
【0152】
スイッチング素子832のソースと、容量素子部836の一端と、第1接続端子P81とが接続されている。
スイッチング素子832のドレインと、ダイオード834のアノードと、第1スイッチ素子835の一端と、インダクタ831の一端とが接続されている。
インダクタ831の他端と、第2接続端子P82とが接続されている。
ダイオード834のカソードと、第1スイッチ素子835の他端と、容量素子部836の他端とが接続されている。
図13の例では、容量素子部836は電解コンデンサを用いて構成されており、容量素子部836の他端が+側となっている。
【0153】
ここで、従来例に係るコンデンサ追加ユニット812について説明する。
図13の例では、スイッチング電源装置801に、保持時間延長ユニット811が接続されるととともに、コンデンサ追加ユニット812が接続された場合の回路構成例を示してある。
【0154】
コンデンサ追加ユニット812は、2個の容量素子871、872と、抵抗873と、ダイオード874と、を備える。
説明の便宜上、コンデンサ追加ユニット812において、昇圧回路31が接続される側の2個の端子を、第1追加ユニット端子U81、第2追加ユニット端子U82と呼んで、説明する。
図13の例では、昇圧回路31の第1出力端子T11とコンデンサ追加ユニット812の第1追加ユニット端子U81とが-端子となって互いに接続され、また、昇圧回路31の第2出力端子T12とコンデンサ追加ユニット812の第2追加ユニット端子U82とが+端子となって互いに接続される。
【0155】
容量素子871の一端および容量素子872の一端と、第1追加ユニット端子U81とが接続されている。
容量素子871の他端および容量素子872の他端と、抵抗873の一端と、ダイオード874のアノードとが接続されている。
抵抗873の他端と、ダイオード874のカソードと、第2追加ユニット端子U82とが接続されている。
【0156】
ここで、図13の例では、第1スイッチ素子835の一端が、インダクタ831の一端と接続される構成を示したが、他の構成例として、第1スイッチ素子835の一端が、インダクタ831の他端と接続される構成が用いられてもよい。
【0157】
なお、コンデンサ追加ユニット812は、瞬停補償時間を拡張するための従来技術の一例である。コンデンサ追加ユニット812は、簡素な構成であるが、後段のコンバータの対応する入力電圧下限までしか入力電解コンデンサのエネルギーを利用することができないため、追加コンデンサのサイズが大きくなる。
これに対して、容量素子871の他端および容量素子872の他端と、インダクタ116の一端との間にスイッチを設け、当該スイッチにより追加コンデンサをPFCの入力に接続し、追加コンデンサのエネルギーをPFCにより昇圧可能なコンデンサ電圧まで利用する技術が考えられているが、バックアップ期間中を含めた制限抵抗の損失が大きいという問題がある。
【0158】
図14の例に係るスイッチング電源装置>
図14は、実施形態に係るスイッチング電源装置901における保持時間延長ユニット911の具体的な回路構成の一例を示す図である。
図14の例では、スイッチング電源装置901における昇圧回路および電源については図示を省略している。
また、図14では、制御回路については図示を省略している。
【0159】
保持時間延長ユニット911は、例えばコイルから構成されるインダクタ931と、MOS型FETからなるスイッチング素子932と、n(nは1以上の整数)個の容量素子934-1~934-nと、例えばコイルから構成されるn個のインダクタ935-1~935-nと、n個のダイオード936-1~936-nと、第1スイッチ素子937と、n個の容量素子938-1~938-nと、を備える。
ここで、保持時間延長ユニット911では、インダクタ931、スイッチング素子932、容量素子934-1~934-n、インダクタ935-1~935-n、ダイオード936-1~936-nを用いて、充電用コンバータが構成されている。
【0160】
図14の例では、インダクタ935-1~935-n、ダイオード936-1~936-n、容量素子938-1~938-nを含む回路部分が、蓄電ユニット912に相当する。
また、図14の例では、1個のインダクタ935-i(iは1以上n以下の整数)、1個のダイオード936-i、1個の容量素子938-iを含む回路部分が、充電回路ユニットに相当する。
このように、n個の充電回路ユニットから、蓄電ユニット912が構成されている。
【0161】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット911において、昇圧回路が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P91、第2接続端子P92と呼んで、説明する。
【0162】
ここで、図14には、他の構成例に係る配線951を示してある。
まず、配線951が備えられない場合について説明する。
【0163】
スイッチング素子932のソースと、インダクタ935-1の一端と、容量素子938-1の一端と、第1接続端子P91とが接続されている。
i番目の充電回路ユニットと(i+1)番目の充電回路ユニットとの関係(ここでは、iは1以上(n-1)以下の整数)では、インダクタ935-(i+1)の一端と、容量素子938-(i+1)の一端と、ダイオード936-iのカソードと、容量素子938-iの他端とが接続されている。
i番目の充電回路ユニットについて、インダクタ935-iの他端と、ダイオード936-iのアノードと、容量素子934-iの一端とが接続されている。
ダイオード936-nのカソードと、容量素子938-nの他端と、第1スイッチ素子937の一端とが接続されている。
n個の容量素子934-1~934-nのそれぞれの他端と、第1スイッチ素子937の他端と、スイッチング素子932のドレインと、インダクタ931の一端とが接続されている。
インダクタ931の他端と、第2接続端子P92とが接続されている。
【0164】
他の構成例に係る配線951は、図14に示される配線952の代わりに備えられてもよい。つまり、第1スイッチ素子937の他端は、インダクタ931の一端の代わりに、インダクタ931の他端と接続されてもよい。
【0165】
図14の例では、非絶縁のSEPICが用いられている。
図14の例では、BMSが備えられて、当該BMSにより制御が行われてもよい。また、直列(カスケード接続)のバッテリー(図14の例では、直列の容量素子938-1~938-n)は、エネルギー密度が高い。
【0166】
図15の例に係るスイッチング電源装置>
図15は、実施形態に係るスイッチング電源装置1001における保持時間延長ユニット1011の具体的な回路構成の一例を示す図である。
図15の例では、スイッチング電源装置1001における昇圧回路および電源については図示を省略している。
また、図15では、制御回路については図示を省略している。
【0167】
保持時間延長ユニット1011は、例えばコイルから構成されるインダクタ1031と、MOS型FETからなるスイッチング素子1032と、例えばコイルから構成されるn(nは1以上の整数)個のインダクタ1034-1~1034-nと、n個のダイオード1035-1~1035-nと、第1スイッチ素子1036と、n個の容量素子1037-1~1037-nと、を備える。
ここで、保持時間延長ユニット1011では、インダクタ1031、スイッチング素子1032、インダクタ1034-1~1034-n、ダイオード1035-1~1035-nを用いて、充電用コンバータが構成されている。
【0168】
図15の例では、インダクタ1034-1~1034-n、ダイオード1035-1~1035-n、容量素子1037-1~1037-nを含む回路部分が、蓄電ユニット1012に相当する。
また、図15の例では、1個のインダクタ1034-i(iは1以上n以下の整数)、1個のダイオード1035-i、1個の容量素子1037-iを含む回路部分が、充電回路ユニットに相当する。
このように、n個の充電回路ユニットから、蓄電ユニット1012が構成されている。
【0169】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット1011において、昇圧回路が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P101、第2接続端子P102と呼んで、説明する。
【0170】
スイッチング素子1032のソースと、インダクタ1034-1の一端と、容量素子1037-1の一端と、第1接続端子P101とが接続されている。
i番目の充電回路ユニットと(i+1)番目の充電回路ユニットとの関係(ここでは、iは1以上(n-1)以下の整数)では、インダクタ1034-(i+1)の一端と、容量素子1037-(i+1)の一端と、ダイオード1035-iのカソードと、容量素子1037-iの他端とが接続されている。
i番目の充電回路ユニットについて、インダクタ1034-iの他端と、ダイオード1035-iのアノードとが接続されている。
ダイオード1035-nのカソードと、容量素子1037-nの他端と、第1スイッチ素子1036の一端とが接続されている。
スイッチング素子1032のドレインと、インダクタ1031の一端とが接続されている。
インダクタ1031の他端と、第1スイッチ素子1036の他端と、第2接続端子P102とが接続されている。
【0171】
ここで、図15の例では、容量素子1037-1~1037-nの側から見て、n個のインダクタ1034-1~1034-nが1次側インダクタとなり、インダクタ1031が2次側インダクタとなる。
図15の例では、絶縁のコンバータが用いられている。
図15の例では、BMSが備えられて、当該BMSにより制御が行われてもよい。また、直列(カスケード接続)のバッテリー(図15の例では、直列の容量素子1137-1~1137-n)は、エネルギー密度が高い。
【0172】
図16の例に係るスイッチング電源装置>
図16は、実施形態に係るスイッチング電源装置1101における保持時間延長ユニット1111の具体的な回路構成の一例を示す図である。
図16の例では、スイッチング電源装置1101における昇圧回路および電源については図示を省略している。
また、図16では、制御回路については図示を省略している。
【0173】
保持時間延長ユニット1111は、例えばコイルから構成されるインダクタ1131と、MOS型FETからなるスイッチング素子1132と、容量素子1134と、例えばコイルから構成されるインダクタ1135と、例えばコイルから構成されるn(nは1以上の整数)個のインダクタ1136-1~1136-nと、n個のダイオード1135-1~1135-nと、第1スイッチ素子1138と、n個の容量素子1139-1~1139-nと、を備える。
ここで、保持時間延長ユニット1111では、インダクタ1131、スイッチング素子1132、容量素子1134、インダクタ1135、インダクタ1136-1~1136-n、ダイオード1135-1~1135-nを用いて、充電用コンバータが構成されている。
【0174】
図16の例では、インダクタ1136-1~1136-n、ダイオード1135-1~1135-n、容量素子1139-1~1139-nを含む回路部分が、蓄電ユニット1112に相当する。
また、図16の例では、1個のインダクタ1136-i(iは1以上n以下の整数)、1個のダイオード1135-i、1個の容量素子1139-iを含む回路部分が、充電回路ユニットに相当する。
このように、n個の充電回路ユニットから、蓄電ユニット1112が構成されている。
【0175】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット1111において、昇圧回路が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P111、第2接続端子P112と呼んで、説明する。
【0176】
ここで、図16には、他の構成例に係る配線1151を示してある。
まず、配線1151が備えられない場合について説明する。
【0177】
スイッチング素子1132のソースと、インダクタ1135の一端と、インダクタ1136-1の一端と、容量素子1139-1の一端と、第1接続端子P111とが接続されている。
インダクタ1135の他端と、容量素子1134の一端とが接続されている。
i番目の充電回路ユニットと(i+1)番目の充電回路ユニットとの関係(ここでは、iは1以上(n-1)以下の整数)では、インダクタ1136-(i+1)の一端と、容量素子1139-(i+1)の一端と、ダイオード1135-iのカソードと、容量素子1139-iの他端とが接続されている。
i番目の充電回路ユニットについて、インダクタ1136-iの他端と、ダイオード1135-iのアノードとが接続されている。
ダイオード1135-nのカソードと、容量素子1139-nの他端と、第1スイッチ素子1138の一端とが接続されている。
スイッチング素子1132のドレインと、容量素子1134の他端と、第1スイッチ素子1138の他端と、インダクタ1131の一端とが接続されている。
インダクタ1131の他端と、第2接続端子P112とが接続されている。
【0178】
他の構成例に係る配線1151は、図16に示される配線1152の代わりに備えられてもよい。つまり、第1スイッチ素子1138の他端は、インダクタ1131の一端の代わりに、インダクタ1131の他端と接続されてもよい。
【0179】
ここで、図16の例では、容量素子1137-1~1137-nの側から見て、n個のインダクタ1136-1~1136-nが1次側インダクタとなり、インダクタ1135が2次側インダクタとなる。
図16の例では、絶縁のコンバータが用いられている。
図16の例では、BMSが備えられて、当該BMSにより制御が行われてもよい。また、直列(カスケード接続)のバッテリー(図16の例では、直列の容量素子1139-1~1139-n)は、エネルギー密度が高い。
【0180】
図17の例に係るスイッチング電源装置>
図17は、実施形態に係るスイッチング電源装置1201における保持時間延長ユニット1211の具体的な回路構成の一例を示す図である。
図17の例では、スイッチング電源装置1201における昇圧回路および電源については図示を省略している。
また、図17では、制御回路については図示を省略している。
【0181】
保持時間延長ユニット1211は、例えばコイルから構成されるインダクタ1231と、MOS型FETからなるスイッチング素子1232と、例えばコイルから構成されるn(nは1以上の整数)個のインダクタ1234-1~1234-nと、MOS型FETからなるn個のスイッチング素子1235-1~1235-nと、第1スイッチ素子1237と、n個の容量素子1238-1~1238-nと、を備える。
ここで、保持時間延長ユニット1211では、インダクタ1231、スイッチング素子1232、インダクタ1234-1~1234-n、スイッチング素子1235-1~1235-nを用いて、充電用コンバータが構成されている。
【0182】
図17の例では、インダクタ1234-1~1234-n、スイッチング素子1235-1~1235-n、容量素子1238-1~1238-nを含む回路部分が、蓄電ユニット1212に相当する。
また、図17の例では、1個のインダクタ1134-i(iは1以上n以下の整数)、1個のスイッチング素子1235-i、1個の容量素子1238-iを含む回路部分が、充電回路ユニットに相当する。
このように、n個の充電回路ユニットから、蓄電ユニット1212が構成されている。
【0183】
説明の便宜上、保持時間延長ユニット1211において、昇圧回路が接続される側の2個の端子を、第1接続端子P121、第2接続端子P122と呼んで、説明する。
【0184】
スイッチング素子1232のソースと、インダクタ1234-1の一端と、容量素子1238-1の一端と、第1接続端子P121とが接続されている。
スイッチング素子1232のドレインと、インダクタ1231の一端とが接続されている。
i番目の充電回路ユニットと(i+1)番目の充電回路ユニットとの関係(ここでは、iは1以上(n-1)以下の整数)では、インダクタ1234-(i+1)の一端と、インダクタ1234-iの他端と、スイッチング素子1235-iのソースとが接続されており、また、容量素子1238-(i+1)の一端と、容量素子1238-iの他端と、スイッチング素子1235-iのドレインとが接続されている。
容量素子1238-nの他端と、スイッチング素子1235-nのドレインと、第1スイッチ素子1237の一端とが接続されている。
インダクタ1231の他端と、第1スイッチ素子1237の他端と、第2接続端子P122とが接続されている。
【0185】
ここで、図17の例では、容量素子1139-1~1139-nの側から見て、n個のインダクタ1234-1~1234-nが1次側インダクタとなり、インダクタ1231が2次側インダクタとなる。
図17の例では、絶縁のコンバータが用いられている。
図17の例では、BMSが備えられて、当該BMSにより制御が行われてもよい。また、直列(カスケード接続)のバッテリー(図17の例では、直列の容量素子1238-1~1238-n)は、エネルギー密度が高い。
【0186】
ここで、図14図17の例では、任意のエネルギーバッファ電圧を利用することができる。このため、単位セルあたり5V以下のLiBあるいはEDLCといったエネルギーバッファへの応用も可能である。
図14の例および図16の例は、本手法をEDLC、LiBに応用した追加ユニットの例である。図14の例は、SEPICの縦続接続によるセルバランス回路の適用例である。図16の例は、絶縁SEPICによるセルバランス回路の適用例である。
なお、セルバランス回路が適用されるコンバータとしては、SEPICコンバータの多段接続に限られず、SuperBuckコンバータあるいはZetaコンバータの多段接続が用いられてもよい。図15の例および図17の例は、既知のセルバランス回路を採用した場合の例である。
【0187】
また、図5および図13図17に示される保持時間延長ユニットの具体的な回路構成は、例えば、図1に示される構成に適用されるばかりでなく、図2図4に示される構成に適用されてもよい。
【0188】
<構成例>
図1図4の例を含む構成例:以下で、構成例Aと呼ぶ。]
一構成例(図1図4の例を含む構成例)として、昇圧回路を備えたスイッチング電源装置において、前記昇圧回路の第1入力端子および第2入力端子に接続された保持時間延長ユニットを備え、前記保持時間延長ユニットは、充電用コンバータと、容量素子と、第1スイッチ素子と、を備え、前記充電用コンバータは、第1コンバータ端子と、第2コンバータ端子と、第3コンバータ端子と、を有し、前記第1コンバータ端子および前記第3コンバータ端子は、前記第1入力端子および前記第2入力端子と直接または他の回路を介して接続され、前記容量素子は、前記第1コンバータ端子と前記第2コンバータ端子との間に接続され、前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第2入力端子との間に接続された、スイッチング電源装置である。
【0189】
[構成例Aにおける図1の構成例]
一構成例(図1の構成例)として、前記第1コンバータ端子は、前記第1入力端子と接続され、前記第3コンバータ端子は、前記第2入力端子と接続され、前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第3コンバータ端子との間に接続された。
一構成例(図1の動作例)として、電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、非通常時には、前記第1スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる。
一構成例(図1の構成例)として、前記第1スイッチ素子は、整流素子とインダクタとの一方または両方を介して、前記第3コンバータ端子と接続された。
【0190】
[構成例Aにおける図2の構成例]
一構成例(図2の構成例)として、前記保持時間延長ユニットは、前記昇圧回路の前記第1入力端子、前記第2入力端子および第3入力端子に接続され、前記保持時間延長ユニットは、さらに、第2スイッチ素子を備え、前記充電用コンバータは、さらに、第4コンバータ端子を有し、前記第1コンバータ端子は、前記第1入力端子と接続され、前記第3コンバータ端子は、前記第2入力端子と接続され、前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第3コンバータ端子との間に接続され、前記第4コンバータ端子は、前記第3入力端子と接続され、前記第2スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第4コンバータ端子との間に接続された。
一構成例(図2の動作例)として、電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、非通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる。
一構成例(図2の構成例)として、前記第4コンバータ端子で検出された検出電圧に基づいて前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との少なくとも一方を駆動させる。
一構成例(図2の構成例)として、前記第1スイッチ素子は、整流素子とインダクタとの一方または両方を介して、前記第3コンバータ端子と接続され、前記第2スイッチ素子は、整流素子とインダクタとの一方または両方を介して、前記第4コンバータ端子と接続された。
【0191】
[構成例Aにおける図3の構成例]
一構成例(図3の構成例)として、前記保持時間延長ユニットは、さらに、電圧検出部を備え、前記第1コンバータ端子は、前記第1入力端子と接続され、前記第3コンバータ端子は、前記第2入力端子と接続され、前記第1スイッチ素子は、前記第2コンバータ端子と前記第3コンバータ端子との間に接続され、前記電圧検出部は、第3入力端子と接続された電圧検出用の第1端子と、前記第2入力端子と接続された電圧検出用の第2端子と、前記第1端子で検出された電圧および前記第2端子で検出された電圧に基づいて前記充電用コンバータに制御信号を出力する第3端子と、を有する。
一構成例(図3の動作例)として、電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、非通常時には、前記第1スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる。
一構成例(図3の構成例)として、前記第1スイッチ素子は、整流素子を介して、前記第3コンバータ端子と接続された。
【0192】
[構成例Aにおける図4の構成例]
一構成例(図4の構成例)として、さらに、前記保持時間延長ユニットの内部または外部に整流回路を備え、前記保持時間延長ユニットは、さらに、第2スイッチ素子を備え、前記第1コンバータ端子および前記第3コンバータ端子は、前記整流回路を介して、前記昇圧回路と接続され(前記第1コンバータ端子および前記第3コンバータ端子は、前記整流回路を介して、前記第1入力端子および前記第2入力端子と接続され)、前記第2スイッチ素子は、前記第1コンバータ端子と前記第1入力端子との間に接続された。
一構成例(図4の動作例)として、電源から前記昇圧回路への電力供給が正常に行われる通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオフとなり、前記充電用コンバータは通常動作することで、前記充電用コンバータによって前記容量素子への充電状態または充電保持状態となり、非通常時には、前記第1スイッチ素子および前記第2スイッチ素子はオンとなり、前記充電用コンバータは停止することで、前記容量素子から前記昇圧回路への電力供給が行われる。
一構成例(図4の構成例)として、前記第1スイッチ素子は、整流素子を介して、前記第2入力端子と接続された。
【0193】
[構成例Aにおける図1図4の構成例]
一構成例(図1図4の構成例)として、前記保持時間延長ユニットは、さらに、前記容量素子を管理するバッテリーマネージメントシステムを備える。
一構成例(図1図4の構成例)として、前記保持時間延長ユニットは、DCカット用のコンデンサを備える。
【0194】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0195】
11、12、13、14、601、801、901、1001、1101、1201…スイッチング電源装置、31、41、51、61…昇圧回路、32、42、52、62、611、701、811、911、1011、1111、1211…保持時間延長ユニット、111、131、151、171…電源、DB1、63…ダイオードブリッジ、112~115、119、132~133、137、141、157~158、177~178、233、334~335、433、551~554、636、733、771~772、834、874、936-1~936-n、1035-1~1035-n、1137-1~1137-n…ダイオード、116、134、138、152、172、631、635、831、931、935-1~935-n、1031、1034-1~1034-n、1131、1135、1136-1~1136-n、1231、1234-1~1234-n…インダクタ、117、135、139、153、155、173、175、632、832、932、1032、1132、1232、1235-1~1235-n…スイッチング素子、120、142、159、179、231-1~231-n、331-1~331-n、431-1~431-n、531-1~531-n、634、731-1~731-n、836、871~872、934-1~934-n、938-1~938-n、1037-1~1037-n、1134、1139-1~1139-n、1238-1~1238-n…容量素子、211、311、411、511、711…充電用コンバータ、212、312、412、512、712…バッテリーマネージメントシステム(BMS)、231、331,431、531、638、731…容量素子部、232、332、432、532、637、732、835、937、1036、1138、1237…第1スイッチ素子、333…第2スイッチ素子、234~235、336~339、639~640,734~735、951~952、1151~1152…配線、451、751、751a、751b…電圧検出部、536…非干渉用スイッチ素子(第2スイッチ素子)、752…制御回路、812…コンデンサ追加ユニット、873…抵抗、912、1012、1112、1212…蓄電ユニット、3011~3013、3111~3112、3211…波形、T11、T311、T411、T511…第1出力端子、T12、T312、T412、T512…第2出力端子、T31、T331、T431、T531…第1入力端子、T32、T332、T432、T532…第2入力端子、T333、T433…第3入力端子、P1、P31、P41、P51、P61、P71、P81、P91、P101、P111、P121…第1接続端子、P2、P32、P42、P52、P62、P72、P82、P92、P102、P112、P122…第2接続端子、P33、P43、P53…第3接続端子、P54…第4接続端子、Q1、Q31、Q41、Q51、Q71…第1コンバータ端子、Q2、Q32、Q42、Q52、Q72…第2コンバータ端子、Q3、Q33、Q43、Q53、Q73…第3コンバータ端子、Q4、Q34、Q44、Q54、Q74…第4コンバータ端子、Q35、Q45、Q55…第5コンバータ端子、R71…第1コントローラ端子、R72…第2コントローラ端子、R73…第3コントローラ端子、R74…第4コントローラ端子、R75…第5コントローラ端子、R76…第6コントローラ端子、U81…第1追加ユニット端子、U82…第2追加ユニット端子
図1
図2
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図17