(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150791
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ボールバルブと小型電動ボールバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 5/06 20060101AFI20220929BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F16K5/06 C
F16K31/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053556
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】501417929
【氏名又は名称】株式会社キッツエスシーティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】松村 栄治
【テーマコード(参考)】
3H054
3H062
【Fターム(参考)】
3H054AA03
3H054BB16
3H054BB17
3H054BB22
3H054CA02
3H054CB09
3H054CB22
3H054EE01
3H054EE04
3H054GG01
3H062AA07
3H062BB30
3H062BB31
3H062CC01
3H062CC17
3H062DD01
3H062EE01
3H062EE07
3H062HH02
(57)【要約】
【課題】低トルクのボールバルブに省スペースでかつコンパクトなアクチュエータをバルブ本体のボデーに直接装着でき、かつアクチュエータの交換が容易にでき、手動弁にも互換性があり、部品の共通化も図り、組み換え可能な配管スペースを最小にすることを可能とし、しかも高耐久性を有し、軽量でコンパクト化を図ったボールバルブと小型電動ボールバルブを提供する。
【解決手段】バルブ本体1は、ボデー10内に配置したボール弁体11と、このボール弁体11の両側に隙間Sを介して無圧接状態で保持させたボール弁体保持用の保持リング12と、この保持リング12のボール弁体11を保持する保持面26に装着した環状の低弾性パッキン13と、を備える。バルブ本体1は、低弾性パッキン13でボール弁体11を保持した状態でボール弁体11をガイド摺動する無圧接触構造のボールバルブである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体は、ボデー内に配置したボール弁体と、このボール弁体の両側に隙間を介して無圧接状態で保持させたボール弁体保持用の保持リングと、この保持リングのボール弁体を保持する保持面に装着した環状の低弾性パッキンと、を備え、前記バルブ本体は、前記ボール弁体と前記保持リングの前記保持面との間に隙間を設け、かつ、前記低弾性パッキンで前記ボール弁体を保持した状態で当該ボール弁体をガイド摺動する無圧接触構造であることを特徴とするボールバルブ。
【請求項2】
前記保持リングの外周側をOリングを介して外周シールし、かつ前記保持リングの外周に設けた固定段部を介してこの保持リングを固定部材で固定することにより、前記保持リングの前記保持面と前記ボール弁体との間に隙間を設けた請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項3】
前記保持面は、ボール保持球面であり、このボール保持球面の中央部には、前記バルブ本体の流路に対して略45度の装着溝を形成し、この装着溝にゴム又はパーフルオロエラストマー材で形成された前記低弾性パッキンが装着された請求項1又は2に記載のボールバルブ。
【請求項4】
前記低弾性パッキンは、前記ボール弁体の摺動面に略直角状態に設けられ、かつ、前記低弾性パッキンの中央部位の内外には、くびれ部が設けられた請求項3に記載のボールバルブ。
【請求項5】
前記保持リングの前記保持面は、ボール保持球面であり、このボール保持球面に形成した装着溝に前記低弾性パッキンを装着し、この低弾性パッキンは、前記バルブ本体の流路軸方向に向けた状態で装着して前記低弾性パッキンの内周先端側と前記ボール弁体とをガイド摺動させた請求項1又は2に記載のボールバルブ。
【請求項6】
前記低弾性パッキンの内周先端側には球形部が形成され、この球形部の一方の先端内周側面を前記ボール弁体に摺動接触させた請求項5に記載のボールバルブ。
【請求項7】
前記低弾性パッキンの内外側面にくびれ部を形成し、かつ前記低弾性パッキンの外周側には、外周溝がそれぞれ形成されている請求項5又は6に記載のボールバルブ。
【請求項8】
前記保持リングには、低弾性パッキン飛出防止用の壁と溝により低弾性パッキン圧入時の逃げ部を形成した請求項5乃至7の何れか1項に記載のボールバルブ。
【請求項9】
前記ボール弁体が短尺状のステムにより密封状態で回動自在に設けられ、かつ前記ステムが前記バルブ本体に設けた耐圧部材で保持されると共に、アクチュエータ本体を前記バルブ本体に直付けする際にこのアクチュエータ本体の作動軸と同軸に回転可能に嵌合できるようにした請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項10】
前記ボール弁体が短尺状のステムにより密封状態で回動自在に設けられ、かつステムが前記バルブ本体に設けた耐圧部材で保持されると共に、手動機構を前記バルブ本体に着脱する際に、この手動機構の手動軸と同軸に回転可能に嵌合できるようにした請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項11】
請求項1乃至10における前記バルブ本体にアクチュエータ本体を直付け搭載する際に、前記アクチュエータ本体に内蔵された前記ボール弁体を回動させるための作動ギヤに複数の穴を設け、この穴から挿通することができる固定ボルトで前記バルブ本体と前記アクチュエータ本体とを直付けしたことを特徴とする小型電動ボールバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールバルブと小型電動ボールバルブに関し、例えば、主に真空から大気圧程度で使用され、電動駆動のアクチュエータ又はハンドルなどの手動操作により操作可能な超小型の電動ボールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、バルブとアクチュエータとを組み合わせた状態でコンパクト化を達成するためには、小型のアクチュエータや手動ハンドルを使用する必要があり、そのためには、ボール弁体の動作トルクを極力小さくすることが必要である。
【0003】
例えば、電動ボールバルブのコンパクト化を工夫する方法は複数知られており、特許文献1には、バルブのボデーのステム軸装側の外周頂部と同等かそれ以下の両側位置にフランジ部を設け、このフランジ部までアクチュエータの筐体の一部を垂下させてネジ固定する方法が提案されている。
【0004】
一方、特許文献2において、弁箱とボールとの摺接部に設けたシートリングを弗素樹脂のような弾性体で形成し、この弾性体に設けた溝内にゴムリングを圧力固定し、シートリングのシール性を保持するようにしたボール弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5911698号公報
【特許文献2】実開昭56-90545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前者の特許文献1は、アクチュエータ付きボールバルブの高さを極力小さくすることは可能であるが、ボール弁体の動作トルクを極力小さくする配慮はされていない。
【0007】
一方、後者の特許文献2は、摺接部のシール性は保持できるものの、ボールの動作トルクを小さくしてアクチュエータの小型化を図るものではない。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、低トルクのボールバルブに省スペースでかつコンパクトな電動アクチュエータをバルブ本体のボデーに直接装着でき、かつアクチュエータの交換が容易にでき、手動弁にも互換性があり、部品の共通化も図り、組み換え可能な配管スペースを最小にすることを可能とし、しかも高耐久性を有し、軽量コンパクト化を図ったボールバルブと小型電動ボールバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、バルブ本体は、ボデー内に配置したボール弁体と、このボール弁体の両側に隙間を介して無圧接状態で保持させたボール弁体保持用の保持リングと、この保持リングのボール弁体を保持する保持面に装着した環状の低弾性パッキンと、を備え、バルブ本体は、ボール弁体と保持リングの保持面との間に隙間を設け、かつ、低弾性パッキンでボール弁体を保持した状態で当該ボール弁体をガイド摺動する無圧接触構造であるボールバルブである。
【0010】
請求項2に係る発明は、保持リングの外周側をOリングを介して外周シールし、かつ保持リングの外周に設けた固定段部を介してこの保持リングを固定部材で固定することにより、保持リングの保持面とボール弁体との間に隙間を設けたボールバルブである。
【0011】
請求項3に係る発明は、保持面は、ボール保持球面であり、このボール保持球面の中央部には、バルブ本体の流路に対して略45度の装着溝を形成し、この装着溝にゴム又はパーフルオロエラストマー材で形成された低弾性パッキンが装着されたボールバルブである。
【0012】
請求項4に係る発明は、低弾性パッキンは、ボール弁体の摺動面に略直角状態に設けられ、かつ、低弾性パッキンの中央部位の内外には、くびれ部が設けられたボールバルブである。
【0013】
請求項5に係る発明は、保持リングの保持面は、ボール保持球面であり、このボール保持球面に形成した装着溝に低弾性パッキンを装着し、この低弾性パッキンは、バルブ本体の流路軸方向に向けた状態で装着して低弾性パッキンの内周先端側とボール弁体とをガイド摺動させたボールバルブである。
【0014】
請求項6に係る発明は、低弾性パッキンの内周先端側には球形部が形成され、この球形部の一方の先端内周側面をボール弁体に摺動接触させたボールバルブである。
【0015】
請求項7に係る発明は、低弾性パッキンの内外側面にくびれ部を形成し、かつ低弾性パッキンの外周側には、外周溝がそれぞれ形成されているボールバルブである。
【0016】
請求項8に係る発明は、保持リングには、低弾性パッキン飛出防止用の壁と溝により低弾性パッキン圧入時の逃げ部を形成したボールバルブである。
【0017】
請求項9に係る発明は、ボール弁体が短尺状のステムにより密封状態で回動自在に設けられ、かつステムがバルブ本体に設けた耐圧部材で保持されると共に、アクチュエータ本体をバルブ本体に直付けする際にこのアクチュエータ本体の作動軸と同軸に回転可能に嵌合できるようにしたボールバルブである。
【0018】
請求項10に係る発明は、ボール弁体が短尺状のステムにより密封状態で回動自在に設けられ、かつステムがバルブ本体に設けた耐圧部材で保持されると共に、手動機構をバルブ本体に着脱する際に、この手動機構の手動軸と同軸に回転可能に嵌合できるようにしたボールバルブである。
【0019】
請求項11に係る発明は、バルブ本体にアクチュエータ本体を直付け搭載する際に、アクチュエータ本体に内蔵されたボール弁体を回動させるための作動ギヤに複数の穴を設け、この穴から挿通することができる固定ボルトでバルブ本体とアクチュエータ本体とを直付けした小型電動ボールバルブである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1又は3に係る発明によると、低トルクのボールバルブであるから、コンパクトな電動アクチュエータ又は手動ハンドルを搭載することが可能となり、ボールバルブ自体の高耐久性化を図ることができると共に、配管スペースの最小化も図ることができ、パッキンは低弾性材であるため摩擦トルクが極めて小さくアクチュエータや手動ハンドルをより小型化できる。
【0021】
請求項2に係る発明によると、Oリングにより漏れを防いだ状態で、固定段部を介して保持リングを位置決めした状態で固定部材で固定でき、保持リングとボール弁体との間に確実に隙間を設けた状態で保持リングを装着できるため、ボール弁体を保持リングに対して無圧接状態で開閉操作できる。
【0022】
請求項4に係る発明によると、低弾性パッキンは低弾性材であるため摩擦トルクが小さくアクチュエータや手動ハンドルを小型化でき、流路とほぼ45度の装着のパッキンは、ボール弁体の摺動面に直角に設けられているため、ボール弁体の回転によるパッキンのねじれを防止でき、しかも、パッキンにくびれ部を設けているので低弾性になり、例えば、180℃に加熱した場合のパッキンの熱膨張をくびれ部で逃がしてパッキンの締付け面圧の上昇を軽減することで低トルク化を可能とした。
【0023】
請求項5に係る発明によると、低弾性パッキンの膨張方向がバルブ本体の流路軸方向に設けられているから、例えば低弾性パッキンが熱膨張した場合、膨張による低弾性パッキンは、ボール弁体に接触圧が高まることがないからトルクの増大を回避でき常に低トルク化を図ることができる。
【0024】
請求項6に係る発明によると、低弾性パッキンの球形部の一方の先端内周側面にボール弁体が摺動接触するからボール弁体の低トルク化を確実に達成することができる。
【0025】
請求項7に係る発明によると、低弾性パッキンの内外側面のくびれ部や外周溝に低弾性パッキンの膨張による内周側への延出部分を充填することが可能となり、低弾性パッキンのボール弁体への接触圧を高めることなく低トルク化を保持できる。
【0026】
請求項8に係る発明によると、ボール弁体の回転に伴ってパッキンのねじれ現象によるパッキンの飛出しを壁と溝で形成した逃げ部によって確実に防ぐことができる。
【0027】
請求項9又は10に係る発明によると、バルブ本体にアクチュエータ本体や手動機構を着脱する際に、バルブ本体の気密を保持した状態で、アクチュエータ本体又は手動機構を確実に着脱することができる。
【0028】
請求項11に係る発明によると、バルブ本体にアクチュエータ本体や手動ハンドルを直付けすることが可能となり、従来のようにアクチュエータ本体の下面とバルブ本体の上面とをヨークやフランジ等の連結部材を用いることがなく、アクチュエータ本体の占める空間がないため、コンパクトで小型化に寄与することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1発明のボールバルブの実施形態を示す縦断面図である。
【
図3】アクチュエータ本体の一部省略平面図である。
【
図4】(a)は
図1におけるアクチュエータ本体の縦断面図である。(b)は(a)の中央縦断面図である。
【
図5】(a)は
図1におけるバルブ本体の平面図である。(b)は(a)の中央横断面図である。(c)は(a)の中央縦断面図である。(d)は(b)の一部拡大断面図である。
【
図6】(a)は、本発明におけるアクチュエータ本体の他例を示す一部省略縦断面図である。(b)は(a)の中央縦断面図である。
【
図7】(a)は、本発明におけるバルブ本体の他例を示す平面図である。(b)は(a)の中央横断面図である。(c)は(a)の中央縦断面図である。
【
図8】(a)は、本発明における手動機構の縦断面図である。(b)は(a)の中央縦断面図である。
【
図9】(a)は
図7のバルブ本体に手動機構を装着した状態を示す縦断面図である。(b)は(a)の中央縦断面図である。
【
図10】本発明の第2発明のバルブ本体の中央縦断面図である。
【
図11】第2発明における小型電動ボールバルブの一実施形態を示す縦断面図である。
【
図13】(a)、(b)は、本発明におけるボール弁体と低弾性パッキンとの摺動抵抗の原理を説明した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の第1発明と第2発明におけるボールバルブと小型電動ボールバルブの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2においては、本発明の第1発明のボールバルブの一実施形態を示し、
図3、
図4は、
図1、
図2におけるアクチュエータ本体、
図5は、バルブ本体をそれぞれ示している。
【0031】
図1~
図5において、第1発明であるボールバルブ(小型電動ボールバルブ)100は、バルブ本体1、電動のアクチュエータ本体2からなっている。このうち、バルブ本体1は、ボデー10、流路穴21aを有するボール弁体11、保持リング12、環状の低弾性パッキン13、ステム14を備えている。
【0032】
バルブ本体1のボデー10は、略立方体状に形成され、両端が開口し下部には分岐流路20が形成されている。ボデー10両側の開口内周面には、テーパ面10aが形成されている。ボデー10内部にはボール弁体11が配置され、このボール弁体11の内部には側方から下方に向けて略90度に屈曲したL字型の内部流路21が形成されている。ボール弁体11の上部には、ステム14の端部側が嵌合接続され、このボール弁体11は、ステム14を介してアクチュエータ本体2に回動可能に設けられる。ステム14は、アクチュエータ本体2の後述する作動軸を兼ねており、これらが一体化されている。
【0033】
ステム14の外周には、低弾性パッキン13と同材料で形成されたOリング22が装着され、このOリング22を用いた外部シール構造により、ステム14がボデー10に挿着される。ステム14とボデー10との間には、フッ素材料をベースとしたグリスが塗布されている。
【0034】
ボデー10の両端開口部には、接続フランジ23がそれぞれ固定部材である固定ねじ24で取付けられ、各接続フランジ23には流路25が設けられている。これらボデー10と接続フランジ23との間には、保持リング12が装着される。
【0035】
保持リング12は、ボール弁体11保持用として樹脂材料で形成され、ボデー内周、接続フランジ内周面側に装着可能なドーナツ形状に設けられ、これらボデー内周と接続フランジ内周面との間に挟み込まれて位置決め状態で取付けられる。保持リング12は、ボール弁体11の両側にわずかな隙間Sを介してこのボール弁体11を無圧接状態で保持可能に設けられ、この保持リング12のボール弁体11との対向側には、環状の低弾性パッキン13が装着される。本例において、保持リング12は、流路25、25側に位置させてボール弁体11側に設けている。
【0036】
保持リング12の低弾性パッキン13の装着側には、ボール弁体11を保持する保持面26が設けられ、この保持面26側に低弾性パッキン13が取付けられる。保持面26は、ボール弁体11を保持可能なボール保持球面(保持面)26により設けられ、このボール保持球面26の中央部には、接続フランジ23内に形成された流路25に対して略45度の角度θで傾斜した状態で環状の装着溝28が形成され、この装着溝28に低弾性パッキン13が嵌め込まれるようにして装着される。
【0037】
保持リング12の装着溝28よりも外径側には、この装着溝28と一部が連通するようにリークポート31が形成される。このリークポート31により装着溝28の底部とキャビティ32とが連通し、低弾性パッキン13装着後には、この低弾性パッキン13の裏側や後述するくびれ部30に滞留したガスなどの流体がキャビティ32内に抜けやすくなっている。
【0038】
保持リング12において、ボデー10への取付け面側、及び接続フランジ23への取付け面側には、低弾性パッキン13と同材料で形成されたOリング29がそれぞれ装着される。このように、保持リング12は、その外周面がOリング29を介して外周シールされた状態で、ボデー10と接続フランジ23との間に装着される。
【0039】
図5(d)に示すように、保持リング12の外周には環状の固定段部33が形成され、保持リング12は、固定段部33の端面がボデー10の外端面に当接し、ボール保持球面26とボール弁体11との間に隙間Sが設けられた状態でボデー10に装着される。このとき、保持リング12は、テーパ面10aを介して外周側のOリング29が引っ掛かることなくスムーズにボデー10内に挿着される。この状態で接続フランジ23を保持リング12の上からボデー10に装着し、固定ねじ24により接続フランジ23をボデー10に固定することにより、固定段部33がボデー10外端面と接続フランジ23との間に挟着されて位置決めされる。これにより、保持リング12とボール弁体11との間に隙間Sが設けられた状態が維持される。
【0040】
低弾性パッキン13は、保持リング12よりも軟質な樹脂材料、例えば、ゴム又はパーフルオロエラストマー材により設けられ、装着溝28に装着可能に断面略45度の角度で傾斜した環状に形成される。低弾性パッキン13の装着溝28への装着後には、この低弾性パッキン13の先端側が、略45度の装着角度θにより、ボール弁体11の摺動面11aに対して略直角状態に向けられた状態となる。低弾性パッキン13は、耐高温性、耐久性の特性を備えており、その略中央部位には、一部が縮径した形状のくびれ部30が設けられる。
【0041】
図5に示す本実施形態のバルブ本体1は、ステム14を180度回転したときに、両側の接続フランジ23の何れかの流路25と下部の分岐流路20とが切り替わる三方切替バルブよりなっている。上記の内部構成により、バルブ本体1は、低弾性パッキン13でボール弁体11を保持した状態でガイド摺動し、この低弾性パッキン13が保持される保持リング12がボール弁体11に対して無圧接触構造となるように設けられる。
ここで、本明細書において、「ガイド摺動」とは、ボール弁体11と保持リング12が接触しないようにボール弁体11を低弾性パッキン13で保持しつつ、ボール弁体11が低弾性パッキン13と接触してシール面圧を発生させることができるように、ボール弁体11が摺動可能に低弾性パッキン13により保持されることを意味する。
「無圧接触」とは、ボール弁体11と保持リング12が接触しないで隙間Sを有していることを意味する。
「無圧接触構造」とは、ボールバルブのシール構造が、ボール弁体11と保持リング12が接触せずに、ボール弁体11と低弾性パッキン13の接触によるガイド摺動でシール面圧を発生させるシール構造を意味する。
【0042】
ここで、
図4は、本発明における小型電動ボールバルブのアクチュエータの一例を示した断面図であり、
図6及び
図7は、同上のアクチュエータとボデー本体の他例を示した断面図であり、
図8と
図9は、本発明のボールバルブを手動操作する手動機構の一例を示したものである。これらアクチュエータと手動機構は、本発明における前述したボールバルブの第1発明と後述する第2発明にも適用できることは勿論である。
【0043】
図1~
図4において、アクチュエータ本体2は、前述したバルブ本体1に搭載されてこのバルブ本体1を自動回転可能に設けられ、作動軸14、作動ギヤ41、モータ42、回転軸43、入力ギヤ44を有している。作動軸14は、ステム14と一体に形成され、ベアリング45を介して軸着され、この作動軸14によってボール弁体11が回動操作可能に設けられる。
【0044】
作動ギヤ41は、ステム14と同軸に回転可能に一体化され、入力ギヤ44に噛合された状態でアクチュエータ本体2に内蔵される。一方、入力ギヤ44は、モータ42の出力側に設けられた回転軸43と同軸に一体化されている。この構成により、モータ42を動作させたときには、回転軸43とともに入力ギヤ44が回転し、作動ギヤ41に回転が減速されつつ伝達される。作動ギヤ41の回転によりステム14が回転し、このステム14によりバルブ本体1に内蔵されたボール弁体11が回動駆動される。
【0045】
作動ギヤ41には、適宜の形状の穴46がその同心円上に複数設けられ、この穴46から固定ボルト47を挿通することが可能となる。作動ギヤ41の上部側に位置する部品取付け用の取付板48などにも、固定ボルト47や固定ボルト着脱用の所定の工具を挿入可能な穴部が設けられている(図示せず)。
【0046】
作動ギヤ41に複数の穴46を設けていることで、バルブ本体1にアクチュエータ本体2を取り付ける際には、取付板48などの穴部から穴46を通して工具で固定ボルト47を締め付け可能となる。これにより、固定ボルト47でバルブ本体1にアクチュエータ本体2を直付け搭載可能となる。
【0047】
なお、バルブ本体は、上述した三方切替バルブ以外の二方弁、四方弁などの各種構造のバルブに設けることもでき、例えば、ボール弁体にストレート状の内部流路を設け、ステムを介して90度のボール弁体の回転によりバルブを開閉することができる。
【0048】
バルブ本体には、電動アクチュエータ以外のアクチュエータを搭載することもでき、例えば、エア駆動のアクチュエータを搭載してもよい。一方、後述する手動ハンドルなどの手動機構を設けることもできる。
【0049】
また、複数のバルブ本体を設け、隣接するバルブ本体の作動ギヤを噛合させた状態で、これらバルブ本体を連設して一体化してもよく、この場合、1つのアクチュエータ本体(1つのモータ)を用いて、複数のバルブ本体を一度に駆動操作可能となる。
【0050】
保持リング12は、固定ねじ24によるねじ手段以外の固定部材により、ボデー10と接続フランジ23との間に固定されていてもよい。
【0051】
低弾性パッキン13を装着する角度θは45度以外であってもよく、任意の角度θにより取付け可能である。
作動ギヤ41の穴46は、工具により固定ボルト47を着脱可能であれば任意の形状に設けることができ、この穴46を設けることで、作動ギヤ41の軽量化を図ることもできる。
【0052】
続いて、本発明の第1発明のボールバルブの上記実施形態における作用を説明する。
図1~
図5において、バルブ本体1のボデー10内にボール弁体11を収納し、このボール弁体11の両側に隙間Sを介して保持リング12を無圧接状態で接続フランジ23により保持しているので、保持リング12のボール保持球面26からボール弁体11に圧力が加わることを防ぐことができる。ボール保持球面26の装着溝28には、保持リング12よりも軟質の樹脂である環状の低弾性パッキン13を装着し、この低弾性パッキン13でボール弁体11をガイド摺動し、ボール弁体11の回動時には、低弾性パッキン13のみにより流体のシールをおこなって無圧接触構造としているので、ボール弁体11の動作トルクを極力小さく抑えつつ、シール性を確保することが可能になる。
【0053】
この場合、保持リング12のボデー10への挿入側外周面、接続フランジ23への挿着面側にそれぞれOリング29を装着し、これらOリング29によりボデー10、接続フランジ23との間をそれぞれ外周シールしているので、外部への漏れを防ぐことができる。
【0054】
しかも、保持リング12の外周に設けた固定段部33を介して保持リング12を固定ねじ24によりボデー10に固定しているため、固定ねじ24でOリング29によるシール性を高めるために保持リング12を強く締付けたとしても、固定段部33の端面がボデー10の外端面に当接し、保持リング12がこれ以上ボール弁体11側に押し込まれることがない。そのため、ボール弁体11と保持リング12との間に隙間Sを確実に維持し、これらの無圧接触状態を保ちながらOリング29で外部シールすることができる。
【0055】
流路25に対して略45度の傾斜角度θで形成した装着溝28に低弾性パッキン13を装着していることにより、低弾性パッキン13の先端側のシール部位がボール弁体11の摺動面11aに対して略直角状態で当接し、シール部位からの力がボール弁体11の求心方向に働くことで、シール部位のねじれを防ぎつつ、シール面圧を分散させることを防止できる。このため、低弾性パッキン13によるシール力が最も効率的にボール弁体11の摺動面11aに伝わってシール効率が向上する。
【0056】
低弾性パッキン13をゴム或はパーフルオロエラストマー材により形成しているので、シール性の向上に加え、耐高温性、耐久性にも優れている。
さらに、低弾性パッキン13の中央部位にくびれ部30を設けているので、このくびれ部30に熱膨張したパッキンの変形部分を逃がし、締付け面圧の過剰な上昇を防ぐ。これらにより、例えば、バルブ本体1に160℃の高温流体が流れる場合に、およそ11万回の弁体開閉動作を繰り返したとしても、シール性を維持して高耐久性を発揮可能になっている。
【0057】
上記構成により、バルブ本体1のシール性を確保しつつ摺動抵抗を小さくし、低トルクで開閉動作が可能であることから、低トルク特性のアクチュエータ本体2を用いてバルブ本体1を開閉操作できる。これによって、アクチュエータ本体2の外周方向のコンパクト化を図ることができ、例えば、アクチュエータ本体2をバルブ本体1のフットプリントと略同等のサイズに収めることで、ボールバルブ全体を小型化できる。
【0058】
アクチュエータ本体2の作動ギヤ41に複数の穴46を設け、この穴46を通して所定工具により固定ボルト47でバルブ本体1とアクチュエータ本体2とを直付けできるため、ヨークやフランジ等の連結部材を用いることがなく、ボールバルブ全体を縦方向にも短縮できる。アクチュエータ本体2の着脱作業時には、このアクチュエータ本体2を上方へ投影したときの枠内で固定ボルト47を締め付けできることから、バルブ本体1が狭い場所に集積状態で設けられるときにも、バルブ本体1の上方から小型化したアクチュエータ本体2を容易に搭載可能となり、ボールバルブの小型化に寄与する。
【0059】
モータ42からの回転軸43に一体化された入力ギヤ44に、ステム14に一体化された作動ギヤ41を噛合させた、一段歯車機構の減速機構を用いているので、二段歯車機構以上の多段歯車機構に比較して減速比を小さく抑えて小型化し、低トルクのアクチュエータ本体2によりボール弁体11を駆動操作できる。
【0060】
図6は、アクチュエータ本体の他例を示し、
図7は、このアクチュエータ本体が搭載されるバルブ本体の他例を示している。なお、これ以降において、前記実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
【0061】
これらのバルブ本体50とアクチュエータ本体51とによるボールバルブは、ステム52と作動軸53とが別々に設けられ、これらのバルブ本体50側のステム52と、アクチュエータ本体51側の作動軸53とが接続されつつ、バルブ本体50にアクチュエータ本体51が搭載されて一体化される。
【0062】
図7のバルブ本体50において、ボール弁体11の上部には短尺状に形成されたステム52が嵌合され、このステム52によりボール弁体11が密封状態でボデー10内に保持リング12、低弾性パッキン13を介して回動自在に装着される。
【0063】
ボデー10上面には、耐圧部材61が六角穴付きボルトからなる取付ボルト54により固定され、耐圧部材61の中央にはステム挿入穴55が形成されている。ステム挿入穴55のボデー10側には、拡径状の係止段部56が形成され、この係止段部56に短尺のステム52の当該位置に形成された環状鍔部57が係止可能に設けられている。このように係止段部56に環状鍔部57を係止させることにより、耐圧部材61でステム52が保持されてその抜け出しが防止され、ステム52外周に装着したOリング22により軸封状態が維持される。環状鍔部57の上下面側には、それぞれワッシャ58が装着され、これらワッシャ58によりステム52の良好な摺動性が確保される。ステム52の上面には二面幅を有する嵌合凹溝59が形成されている。
【0064】
一方、
図6のアクチュエータ本体51の作動軸53の下端には、
図7(b)、(c)に示した嵌合凹溝59に嵌合する嵌合凸部60が形成され、アクチュエータ本体51をバルブ本体50に載置するときには、この嵌合凸部60を嵌合凹溝59に嵌合させるようにする。この状態で、
図2の場合と同様に作動ギヤ41の上方より穴46を通して所定治具で固定ボルト47を締め付けるようにすれば、アクチュエータ本体51をバルブ本体50に直付けでき、その際に、作動軸53と同軸に取付けられた状態でボール弁体11が回転可能に嵌合される。
【0065】
上記のようにして、バルブ本体とアクチュエータ本体をそれぞれ別体に設けることで、バルブ本体の作動トルクに対応したトルク性を発揮するアクチュエータ本体を搭載できる。このことから、予め異なる仕様のバルブ本体とアクチュエータ本体とをそれぞれ設けておくようにすれば、これらの管理や保管が簡単になる。
また、バルブ本体50からアクチュエータ本体51を取り外した場合、
図7(c)に示すようにステム52がOリング22でシールされていることにより、ボデー10内の気密性が保持される。
【0066】
次に、手動機構について説明する。
図8においては、手動機構70を示しており、
図9においては、この手動機構70を
図7のバルブ本体50に装着した状態を示している。このように、バルブ本体50を別体に設けた場合、このバルブ本体50に対して前述したアクチュエータ本体51又は手動機構70を適宜選択して取付けて、手動或は自動により開閉操作できる。
【0067】
手動機構70は、手動軸71、手動操作用のハンドル72、バルブ本体50への取付け部73を備えている。手動軸71は、外周に形成された鍔部74を介して抜け出しが阻止された状態で取付け部73にOリング75を介して回転可能に装着され、手動軸71の手動操作側にハンドル72が固定される。手動軸71の下端には、バルブ本体50の嵌合凹溝59に嵌合する嵌合凸部76が形成され、手動機構70をバルブ本体50に載置するときには、これら嵌合凸部76と嵌合凹部59とが嵌合した状態となる。この状態で取付け部73を固定ボルト47でバルブ本体50に固着することにより、手動機構70のハンドル72で手動軸71を手動回転してボール弁体11を開閉操作可能となる。
このようにして、手動機構70をバルブ本体50に着脱する際には、この手動機構70の手動軸71と同軸に取付けられた状態でボール弁体11が回転可能に嵌合される。
手動機構は、上記以外の構造であってもよく、例えば、必要に応じて内部に歯車減速機構を設けることもできる。
【0068】
バルブ本体50に対して、アクチュエータ本体51又は手動機構70の何れを取り付ける場合であっても、これらは互換性を有しており、バルブ本体50の上部から2本の固定ボルト47を着脱するだけでバルブ本体50内の気密性を維持した状態でこれらを交換することも可能になる。
【0069】
図10~
図13は、本発明における第2発明のボールバルブと小型電動ボールバルブの好ましい一実施形態を示したものである。なお、
図1~
図9に示したアクチュエータと手動機構については第1発明と同様に第2発明にも当然に適用される。よって、第2発明は、
図10~
図13に示した同一の符号部分は、同一の符号をもって示し、その説明を一部省略する。
【0070】
第2発明であるボールバルブ(小型電動ボールバルブ)101は、バルブ本体91、電動のアクチュエータ本体92からなっている。
【0071】
図10~
図12に示すように、保持リング80は、保持部材80aとインナーリング80bを組合わせて構成されており、その材質は、第1発明と同様に樹脂材料よりなる。保持リング80の保持面81は保持球面81であり、このボール保持面81には、バルブ本体91の流路軸方向に向けて装着溝82が形成されている。
【0072】
この装着溝82には、ゴム又はパーフルオロエラストマー材で形成された環状の低弾性パッキン83が、バルブ本体91の流路軸X方向、すなわち、ボール弁体11の回転方向に沿って、流路軸X方向に向けた状態で装着されており、低弾性パッキン83の内周先端側とボール弁体11とをガイド摺動されている。
本例においては、
図12に示すように、低弾性パッキン83の内周先端側の球形部84の一方の先端内周側面84aをボール弁体11に摺動接触させている。この場合、第1発明と異なる点は、例えばパッキン83の熱膨張による方向を変更することによって、温度による影響を回避するようにしており、さらに、低トルク化を図るように考慮している。
【0073】
さらには、低弾性パッキン83の内外側面にくびれ部85を形成し、その外周側には外周溝86が形成されている。くびれ部85と外周溝86によって、膨張によるパッキン83の充填率を高め、低弾性パッキン83のボール弁体11への接触圧を高めることなく低トルク化を図っている。
【0074】
図11において、保持リング80には、パッキン飛出し防止用の壁87aと溝87bによりパッキン圧入時の逃げ部87を形成している。この逃げ部87により、ボール弁体11の回転に伴って低弾性パッキン83の球形部84にねじれが生じても球形部84が流路内に飛び出してパッキン83の内周先端側面84aの食い切りが発生するおそれが全くなく、低弾性パッキン83は、装着溝82に確実に装着された状態を維持している。
【0075】
次に、本発明における第2発明の保持リング80と低弾性パッキン83による作用を
図13の説明図も含めて説明する。なお、同図において、ボール弁体11が中間位置に回動した状態の概念図である。
低弾性パッキン83は、バルブ本体91の流路軸X方向に向けた状態で装着しているので、例えば熱膨張によってパッキン83が膨張したとしても、パッキン83の内周先端側の球形部84は、一方の先端内周側面をボール弁体11に摺動接触しているので、熱膨張による影響は、全く受けない。
したがって、パッキン83によるボール弁体11への面接触圧が増加したり、トルクが増大するおそれがなく、低トルク化を常時維持することが可能となる。
【0076】
図13に示すように、ボール弁体11の中間開度の位置における低弾性パッキン83が位置している状態で、ボール弁体11と低弾性パッキン83の球形部84との関係を模式化して説明する。
【0077】
図13(a)において、ボール弁体11の流路穴21aが右側から正面に向かって動くとき、すなわち、上から見てボール弁体11が時計回りに回転している状態で説明する。先ず、パッキン83は、ボール弁体11の回転により摺動抵抗を受けるから同図の右方では、矢印方向に引っ張られて、同図の左方では圧縮状態となる。
【0078】
このとき、左方のパッキン83は、ボール弁体11の摺動面11aと常に接触しているので、パッキン83が圧縮されても装着溝82からはみ出すことはない。一方で、右方のパッキン83が流路穴21aに臨んだ状態、すなわち、露出した状態となり、流路穴21aが通過する間、パッキン83はボール弁体11の摺動面11aと接触しないため、装着溝82から引き抜かれやすく、流路側にはみ出しやすくなる。
この状態で、仮に右方のパッキン83が装着溝82から引き出された現象が生じたとすると、ボール弁体11のエッジ21bで食い切られて破損する現象が生じるが、本発明によると、パッキン83の内周先端側はバルブ本体91の流路軸X方向に向けて装着されると共に、保持リング80に設けた壁87aと溝87bにより形成された逃げ部87を設けているから、パッキン83の流路内への飛出しは全く生じないので、パッキン83の食い切りを防ぐことができる。
【0079】
図13(b)において、ボール弁体11の流路穴21aが正面から見て右側に向かって動くとき、すなわち、上から見てボール弁体11が反時計回りに回転している状態で説明する。
同図において、パッキン83は、ボール弁体11の回転により摺動抵抗を受けて反時計回り方向に引っ張られ、同図の右方では矢印方向に圧縮され、左方では矢印方向に引っ張られる。このとき、左方ではパッキン83は、ボール弁体11の摺動面11aと常に接触するので、パッキン83が引っ張られたとしても装着溝82からはみ出すことはない。
【0080】
一方で、同図の右方では、パッキン83が流路穴21aに臨んだ状態、すなわち、露出した状態となり、右方のパッキン83はボール弁体11の摺動面11aとは接触しておらず、圧縮によって装着溝82からはみ出しやすくなる。この状態で、仮にパッキン83が装着溝82から引き出される現象が生じるとボール弁体11のエッジ21bを乗り越えてその際にパッキン83がエッジ21b部分で食い切られて破損する現象が生じるが、本発明によると、パッキン83の内周先端側はバルブ本体91の流路軸X方向に対して装着されると共に、保持リング80に装着した壁87aと溝87bにより形成された逃げ部87を設けているから、パッキン83の流路内への飛出しは全く生じないので、ボール弁体11のエッジ21b部分によってパッキン83の内周先端側の食い切りを防ぐことができ、もって低弾性パッキン83の耐久性の向上に寄与することができる。
【0081】
よって、第2発明では、パッキン83が装着溝82から引き出されないようにしたから、熱膨張によりパッキン83が膨張したとしても、パッキン83の流路内への飛出しは全く生じないと共に、ボール弁体11が開閉する際にボール弁体11のエッジ21bとパッキン83が擦れあって、パッキン83がエッジ21bによって食い切られて損傷することはない。なお、第2発明も第1発明と同様の作用を奏することは勿論である。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0083】
1、50、91 バルブ本体
2、51、92 アクチュエータ本体
10 ボデー
11 ボール弁体
11a 摺動面
12 保持リング
13、83 低弾性パッキン
14、52 ステム
24 固定ねじ(固定部材)
26、81 ボール保持球面(保持面)
28、82 装着溝
29 Oリング
30、85 くびれ部
33 固定段部
41 作動ギヤ
46 穴
47 固定ボルト
53 作動軸
61 耐圧部材
70 手動機構
71 手動軸
80 保持リング
80a 保持部材(保持リング)
80b インナーリング(保持リング)
84 球形部
84a 先端内周側面
86 外周溝
87 逃げ部
87a 壁
87b 溝
100、101 小型電動ボールバルブ
S 隙間
θ 角度