(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150809
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】塗工紙
(51)【国際特許分類】
D21H 19/28 20060101AFI20220929BHJP
D21H 21/26 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
D21H19/28
D21H21/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053586
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】登坂 昌也
(72)【発明者】
【氏名】平井 健二
(72)【発明者】
【氏名】稲村 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 賢太郎
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AC06
4L055AG34
4L055AG82
4L055AH17
4L055AH38
4L055BE08
4L055EA10
4L055EA11
4L055EA40
4L055FA12
4L055FA19
4L055FA30
4L055GA41
4L055GA48
(57)【要約】
【課題】環境への負荷が小さな塗工紙を提供すること。
【解決手段】グラシン紙と、ポリ乳酸系樹脂を含む塗工層を有する塗工紙。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラシン紙と、ポリ乳酸系樹脂を含む塗工層を有することを特徴とする塗工紙。
【請求項2】
JIS P8149:2000に準拠して測定した不透明度が30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗工紙。
【請求項3】
前記塗工層表面のJ.TAPPI No.41:2000に準拠して測定したキットナンバーが3以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗工紙。
【請求項4】
前記塗工層表面のJIS P8140:1998に準拠し、水の代わりにひまし油を用い、接触時間120秒として測定した吸収されたひまし油の重量が3.0g/m2以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の塗工紙。
【請求項5】
前記塗工層表面のJIS P8140:1998に準拠し、接触時間30秒として測定した吸水度が10.0g/m2以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の塗工紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工紙に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護意識の高まりから、各種包材の分野において、樹脂製透明フィルムの代替品として透明紙が注目されている。透明紙としては、化学パルプを高度に粘状叩解した原料を紙に水分を持たせ、スーパーカレンダー等で仕上げしたグラシン紙が知られている(特許文献1)。
しかし、グラシン紙はセロファン等のフィルム類と比べると透明性に劣っているため、より透明度を高めるために、グラシン紙等に合成樹脂等を有機溶媒に溶解、若しくは希釈した透明化剤を塗工、又は含浸することが行われている(特許文献2、3)。これらは、使用する有機溶媒と合成樹脂の種類によっては、環境への負荷が大きい場合がある。
【0003】
また、ハンバーガー、揚げ物等の油脂を含む食品の包装材や、紙皿等の紙器には、耐油性を有する紙である耐油紙が用いられている。一般的な耐油紙は、耐油層がパーフルオロアルキル基を有するフッ素系樹脂を含む。これは、耐油層の臨界表面張力を、接触する油分の表面張力より小さくすることにより、油分の付着、浸透を防ぐものである(例えば、特許文献4参照)。
ここで、使用後の耐油紙が、管理不十分や不法投棄により、環境中にごみとして流出してしまった場合、フッ素系樹脂は難分解性であるため、微細化したフッ素系樹脂が環境中に長期に亘って残留してしまう。また、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系樹脂は、燃焼時に有毒物質であるフッ化水素を発生させる場合がある。そのため、これらのフッ素系樹脂を使用した耐油紙は環境への負荷が大きい。
特許文献5には、耐油紙の耐油層を、経時で分解され環境中に残留し難いポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート樹脂等の樹脂で層形成した耐油紙が開示されているが、耐油性が十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06-316899号公報
【特許文献2】特開2012-122174号公報
【特許文献3】特開平11-012990号公報
【特許文献4】特開平08-209590号公報
【特許文献5】特開2004-131859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、環境への負荷が小さい塗工紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.グラシン紙と、ポリ乳酸系樹脂を含む塗工層を有することを特徴とする塗工紙。
2.JIS P8149:2000に準拠して測定した不透明度が30%以下であることを特徴とする1.に記載の塗工紙。
3.前記塗工層表面のJ.TAPPI No.41:2000に準拠して測定したキットナンバーが3以上であることを特徴とする1.または2.に記載の塗工紙。
4.前記塗工層表面のJIS P8140:1998に準拠し、水の代わりにひまし油を用い、接触時間120秒として測定した吸収されたひまし油の重量が3.0g/m2以下であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の塗工紙。
5.前記塗工層表面のJIS P8140:1998に準拠し、接触時間30秒として測定した吸水度が10.0g/m2以下であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の塗工紙。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塗工紙は、仮に環境中にごみとして流出しても、そのほとんどが最終的に二酸化炭素と水にまで分解される。また、本発明の塗工紙は、水系で塗工可能なため、製造時に有機溶媒を使用せず、また、燃焼時に有毒な物質の発生を抑えることができる。そのため、本発明の塗工紙は環境への負荷が小さい。
本発明の塗工紙は透明性に優れており、窓付き封筒の窓部分、ラミネート加工紙、薬包紙、ケーキ・中華まん等の底紙、食品や本等の包装紙等に好適に利用できる。さらに、本発明の塗工紙は、耐油性、耐水性に優れており、油分を多く含む食品の(軟)包装材、天ぷら等の揚げ物の敷き紙、クッキングシート、水分を多く含む食品の(軟)包装材、紙コップ、飲料用ペットボトルのラベル等として好適に利用することができる。なお、軟包装材とは、構成としては、柔軟性に富む材料で構成されている包装材であり、一般には紙、フィルム、アルミ箔等の薄く柔軟性のある材料を、単体あるいは貼り合せた包装材を指す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の塗工紙は、グラシン紙と、ポリ乳酸系樹脂を含む塗工層を有する。
本発明で使用するグラシン紙を構成するパルプとして、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、溶解パルプ、マーセル化パルプ等の木材パルプ、亜麻パルプ、マニラ麻パルプ、ケナフパルプ等の非木材系パルプをパルプとして使用することが可能である。これらの中で、グラシン紙の透明性を向上させるためには、パルプ繊維間に生じる空隙が少ないパルプを使用することが好ましく、具体的には、針葉樹由来のパルプを使用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)を使用することがより好ましい。また、針葉樹クラフトパルプの中でも、晒クラフトパルプ(BKP)を使用することが好ましい。
【0009】
本発明で使用するグラシン紙において、填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。
なお、填料は使用しなくてもよく、塗工紙の透明性を向上させるために、填料の含有率は1.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、含有(配合)しないことが最も好ましい。
【0010】
本発明で使用するグラシン紙において、各種助剤としては、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、硫酸バンド、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各種歩留まり向上剤、濾水性向上剤、色味染料、色味顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の各種助剤を必要に応じて使用することができる。
【0011】
本発明のグラシン紙の坪量は特に制限されないが、通常、20g/m2以上50g/m2以下程度である。グラシン紙の坪量は、塗工紙の用途等に応じて適宜選択することができ、例えばケーキ・中華まん等の底紙に用いる場合は、20g/m2以上40g/m2以下とすることができる。
また、本発明のグラシン紙の密度は特に制限されないが、通常、1.0g/cm3以上1.3g/cm3以下程度である。一般的には密度が高いほど透明性が高くなるため、用途等に応じて適宜調整することが可能である。例えば、窓付き封筒に用いる場合は、1.1g/cm3以上1.3g/cm3以下とすることができる。
【0012】
本発明のグラシン紙には、JIS P8121-2:2012に規定されるカナダ標準ろ水度法において、規定されたパルプ採取量を3gから0.3gに、規定されたJIS規格スクリーンプレートを80メッシュワイヤーに、それぞれ変更して測定したフリーネスが50ml以上400ml以下であるパルプを使用することが好ましい。
このフリーネスが50ml未満の場合、抄紙工程における脱水性が低下して乾燥工程における乾燥負荷が大きくなり、生産性が悪化する可能性がある。また、このフリーネスが400mlを超えると、得られるグラシン紙の不透明度が高くなり、塗工紙の透明性が低下する傾向が見られる。
【0013】
パルプを叩解、解繊してフリーネスを調整する方法は特に限定されるものではなく、クラフリン、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、ナイアガラビーター等を使用することができる。
【0014】
本発明の塗工層は、ポリ乳酸系樹脂を含む。
ポリ乳酸系樹脂としては、製紙分野において使用されているものを、特に制限することなく使用することができ、具体的には、ポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、D-乳酸とL-乳酸の共重合体、及び、これらの変性体や他の繰り返し単位との共重合体、ポリ-D-乳酸とポリ-L-乳酸の混合物であるステレオコンプレックス型ポリ乳酸等の1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
本発明の塗工層は、ポリ乳酸系樹脂を含めば良く、他の樹脂、顔料、耐水化剤、消泡剤、剥離剤、粘度調整剤、着色剤、防黴剤等の添加剤を含むことができる。他の樹脂を含む場合は、澱粉系化合物、ポリビニルアルコール等の生分解性樹脂を含むことが好ましい。
塗工層におけるポリ乳酸系樹脂の配合率は、塗工層100重量%に対して、80重量%以上であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の配合率が80重量%以上であると、本発明の塗工紙に高い生分解性を付与することができる。このポリ乳酸系樹脂の配合率は、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%とすることもできる。
【0016】
本発明の塗工紙は、グラシン紙と塗工層とを有する。なお、本発明の塗工紙は、その機能を損なわない範囲で、目止め層、印刷層、耐水層、遮光層、ヒートシール層等の他の層を有することもできる。なお、本発明の塗工紙において、塗工層が含むポリ乳酸系樹脂は熱可塑性樹脂である。そのため、塗工層はヒートシール性を備える場合があり、塗工層がヒートシール性を備えている場合、別途ヒートシール層を設ける必要はほとんどない。
【0017】
本発明の塗工紙は、JIS P8149:2000に準拠して測定した不透明度が30%以下であることが好ましく、28%以下であることがより好ましい。この不透明度が30%以下であると、十分な透明性を有するため、透明紙として好適に用いることができる。
本発明の塗工紙を透明紙として使用する場合、その用途は特に制限されないが、例えば、窓付き封筒の窓部分、ラミネート加工紙、薬包紙、ケーキ・中華まん等の底紙、食品や本等の包装紙等が挙げられる。これらの用途に使用するに際し、本発明の塗工紙(透明紙)は、公知の加工、成形方法により加工、成形することができる。
【0018】
本発明の塗工紙は、塗工層表面のJ.TAPPI No.41:2000に規定される「紙及び板紙-はつ油度試験方法-キット法」に準拠して測定したキットナンバーが3以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましく、12であることが特に好ましい。
【0019】
本発明の塗工紙は、塗工層表面のJIS P8140:1998に規定される「紙及び板紙-吸水度試験方法- コッブ法」に準拠し、水の代わりにひまし油を用い、接触時間120秒として測定した吸収されたひまし油の重量(吸油量)が、3.0g/m2以下であることが好ましく、1.0g/m2以下であることがより好ましい。
【0020】
キットナンバーが3以上である、またはこの吸油量が3.0g/m2以下である塗工紙は、耐油紙として好適に用いることができる。
本発明の塗工紙を耐油紙として使用する場合、その用途は特に制限されないが、例えば、ハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、唐揚げ、ポテトチップス、洋菓子等の油分を多く含む食品の(軟)包装材、天ぷら等の揚げ物の敷き紙、クッキングシート等が挙げられる。これらの用途に使用するに際し、本発明の塗工紙(耐油紙)は、公知の加工方法により成形することができ、特に、ヒートシールにより成形することができる。
【0021】
本発明の塗工紙は、塗工層表面のJIS P8140:1998「紙及び板紙-吸水度試験方法- コッブ法」に準拠し、接触時間30秒とした吸水度が10.0g/m2以下であることが好ましく、5.0g/m2以下であることがより好ましい。この吸水度が10.0g/m2以下である塗工紙は、耐水紙として好適に用いることができる。
【0022】
本発明の塗工紙を耐水紙として使用する場合、その用途は特に制限されないが、例えば、サラダ、麺類、刺身、和菓子等の水分を多く含む食品の(軟)包装材、クッキングシート、紙コップ、飲料用ペットボトルのラベル等が挙げられる。これらの用途に使用するに際し、本発明の塗工紙(耐水紙)は、公知の加工、成形方法により加工、成形することができ、特に、ヒートシールにより成形することができる。
【0023】
「塗工紙の製造方法」
本発明の塗工紙は、グラシン紙に、ポリ乳酸系樹脂を含む塗工液を塗工、乾燥することにより製造することができる。グラシン紙の製造(抄紙)方法、抄紙機の型式は特に限定されるものではなく、公知の方法で製造することができる。
【0024】
塗工層の塗工方法は特に限定されるものではなく、公知の塗工装置および塗工系で塗工することができる。例えば、塗工装置としてはブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。また、塗工系としては、水等の溶媒を使用した水系塗工、有機溶剤等の溶媒を使用した溶剤系塗工などが挙げられるが、水系塗工であることが環境への負荷が小さいため好ましい。
【0025】
塗工層の塗工量(乾燥重量)は、片面あたり0.5g/m2以上10g/m2以下であることが好ましい。片面あたりの塗工量が0.5g/m2未満では、塗工層による性能付与がほとんど望めない場合がある。また、片面あたりの塗工量が10g/m2を超えても、それ以上の性能向上はほとんど望めず、コストが増加する。塗工層は、片面あたり1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。片面あたりの塗工層を2層以上の多層で構成する場合は、片面あたりの全ての塗工層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましく、また、各層の組成は異なっていてもよい。
また、本発明の塗工紙は、グラシン紙の片面のみに塗工層を設けるよりも、両面に塗工層を設ける方が高い透明性が得られると共に、耐油性、耐水性も発揮しやすくなる傾向が見られる。塗工層に透明性や耐油性、耐水性を発揮させる場合、塗工層の塗工量(乾燥重量)は、片面あたり2g/m2以上かつ両面の合計で4g/m2以上であることが好ましい。
【実施例0026】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ固形分での重量部、重量%を示す。
【0027】
[実施例1]
(グラシン紙の作製)
パルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、フリーネス:100ml)100部を使用した。このパルプ100部に対して、湿潤紙力増強剤を3部配合した紙料を調成した。抄紙機を用いてこの紙料から湿紙を抄造し、ドライヤー乾燥を行って坪量30g/m2のグラシン紙を得た。
【0028】
(塗工層用塗工液の調製)
下記割合からなる配合物を混合し、水を添加して固形分20%の塗工層用塗工液を調製した。
ポリ乳酸系樹脂(ミヨシ油脂社製:ランディPL-1000) 100部
剥離剤(高級脂肪酸カルシウム、サンノプコ社製:SNコート246) 2部
【0029】
(塗工紙の作製)
得られたグラシン紙の両面に、塗工層用塗工液を乾燥重量で片面あたり塗工量0.5g/m2、両面合計で1g/m2となるように2ロールサイズプレスコーターを用いて塗工、乾燥し、ロール温度120℃、線圧250kg/cmの条件でスーパーカレンダーで処理して、塗工紙を得た。
【0030】
[実施例2]
塗工層用塗工液を乾燥重量で片面あたり塗工量1g/m2、両面合計で2g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
[実施例3]
塗工層用塗工液を乾燥重量で片面あたり塗工量2g/m2、両面合計で4g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
[実施例4]
塗工層用塗工液を乾燥重量で片面あたり塗工量3g/m2、両面合計で6g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
[実施例5]
塗工層用塗工液を乾燥重量で片面あたり塗工量2g/m2となるように、ブレードコーターを用いて片面のみに塗工した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0031】
[比較例1]
塗工層用塗工液のポリ乳酸系樹脂100部をポリビニルアルコール系樹脂(サンノプコ社製:PVA117)100部とした以外は、実施例2と同様にして塗工紙を得た。
[比較例2]
塗工層用塗工液のポリ乳酸系樹脂100部を酸化澱粉(日本食品化工社製:MS#3800)100部とした以外は、実施例2と同様にして塗工紙を得た。
[比較例3]
塗工層用塗工液に替えて水を使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0032】
作製した塗工紙について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
<不透明度>
JIS P8149:2000に準拠して測定した。
<耐水性>
JIS P8140:1998に規定される「紙及び板紙-吸水度試験方法- コッブ法」に準拠し、接触時間30秒として塗工層表面の吸水度を測定した。
<耐油性A>
JAPAN TAPPI No.41:2000に規定される「紙及び板紙-はつ油度試験方法-キット法」に準拠し、塗工層表面のキットナンバーを測定し、耐油性Aの値として採用した。
<耐油性B>
JIS P8140:1998に規定される「紙及び板紙-吸水度試験方法- コッブ法」に準拠し、水の代わりにひまし油を用い、接触時間120秒として吸収されたひまし油の重量を1m2あたりに換算した値を耐油性Bの値として採用した。
【0033】
【0034】
本発明である実施例1~5で得られた塗工紙は、透明性、耐油性、耐水性に優れていた。
特に、ポリ乳酸系樹脂に代えてポリビニルアルコール系樹脂を用いた比較例1と比べて、透明性、耐油性、耐水性が大きく向上していた。