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特開2022-150879テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法
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  • 特開-テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法 図1
  • 特開-テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法 図2
  • 特開-テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法 図3
  • 特開-テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法 図4
  • 特開-テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法 図5
  • 特開-テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150879
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】テープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/54 20060101AFI20220929BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20220929BHJP
   B29C 70/38 20060101ALI20220929BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/16
B29C70/38
B29K105:08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053674
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096080
【弁理士】
【氏名又は名称】井内 龍二
(74)【代理人】
【識別番号】100194098
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 一
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩光
(72)【発明者】
【氏名】熱田 直行
(72)【発明者】
【氏名】喜多 由起
(72)【発明者】
【氏名】只野 耕太郎
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AJ08
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HF23
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK23
4F205HT26
(57)【要約】
【課題】被貼付面に対するテープの貼付を繰り返し行う場合でも、貼付動作にスムーズに移行でき、安定したテープの貼付動作を連続的に行えるテープ貼付装置を提供すること。
【解決手段】テープ1を被貼付面2aに貼付するATLヘッド20と、ハンドリングロボット70とを備えたATL装置10であって、ATLヘッド20が、被貼付面2aにテープ1を押圧する押圧部30と、ハンドリングロボット70と押圧部30との間に設けられて、押圧部30の位置及び/又は姿勢、加えて押圧部30の被貼付面2aへの押圧力を制御するパラレルリンク機構40とを備え、押圧部30の離間状態では、パラレルリンク機構40によりATLヘッド20内において押圧部30が任意の位置及び/又は姿勢に制御され、押圧部30の押圧状態では、パラレルリンク機構40により押圧部30がその位置及び/又は姿勢に依らず、被貼付面2aに所定の押圧力を付与するように制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを被貼付面に貼り付ける貼付ヘッドと、該貼付ヘッドを3次元空間内で移動させる移動手段とを備えたテープ貼付装置であって、
前記貼付ヘッドが、
前記被貼付面に前記テープを押し付ける押圧部と、
前記移動手段と前記押圧部との間に設けられて、該押圧部の位置及び/又は姿勢、加えて前記押圧部の前記被貼付面への押圧力を制御する調整部とを備え、
少なくとも前記押圧部が前記被貼付面から離間している離間状態においては、前記調整部によって、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が任意の位置及び/又は姿勢に制御される位置制御方法により制御され、
前記押圧部が直接または前記テープを介して前記被貼付面に接触している押圧状態においては、前記調整部によって、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与可能な圧力制御方法より制御されることを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記調整部が、パラレルリンク機構を含んで構成され、
該パラレルリンク機構が、
ベース部と、
前記押圧部が取り付けられるエンド部と、
前記ベース部と前記エンド部との間に並列に設けられる複数のリンク部とを備え、
これら各リンク部が、
両端に自在継手と、
これら自在継手の間に設けられるアクチュエータとを備え、
前記離間状態においては、前記複数のリンク部の各々の長さが前記アクチュエータでそれぞれ制御されることにより、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記位置制御方法により前記任意の位置及び/又は姿勢に制御され、
前記押圧状態においては、前記複数のリンク部の各々の長さが前記アクチュエータでそれぞれ制御されることにより、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記圧力制御方法より前記被貼付面に所定の押圧力を付与するように制御されることを特徴とする請求項1記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記押圧部が、
前記テープを押圧する押圧ローラと、
該押圧ローラを支持した状態で前記エンド部に取り付けられるローラ支持部とを備え、
前記貼付ヘッドが、
前記テープを搬送する搬送手段と、前記テープ及び/又は前記被貼付面を加熱する加熱手段とのうちの少なくともいずれかをさらに備え、
前記ローラ支持部に、
前記搬送手段と前記加熱手段とのうちの少なくともいずれかが、一体的に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが、エアシリンダであることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記調整部が、
少なくとも1つのエアシリンダを含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記エアシリンダが、
空気が供給されるシリンダ部と、
該シリンダ部内の圧力に応じて進退するロッド部と、
前記シリンダ部内の圧力を検出する圧力検出部と、
前記ロッド部の変位を検出する変位検出部とを備え、
前記離間状態においては、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記任意の位置及び/又は姿勢に制御されるように、前記圧力検出部により検出される前記シリンダ部内の圧力、及び/又は前記変位検出部により検出される前記ロッド部の変位が制御され、
前記押圧状態においては、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与するように、前記圧力検出部により検出される前記シリンダ部内の圧力、及び/又は前記変位検出部により検出される前記ロッド部の変位が制御されることを特徴とする請求項4又は請求項5記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記任意の位置及び/又は姿勢が、前記被貼付面に対する荷重方向が法線方向となる向きに前記押圧部を位置させる姿勢であることを特徴とする請求項2~4のいずれかの項に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
前記任意の位置及び/又は姿勢における前記調整部の上端から前記押圧部の下端までの高さが、
前記被貼付面の形状設計データに基づく高さ位置で前記押圧状態となるときの前記調整部の上端から前記押圧部の下端までの高さになるように調整されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかの項に記載のテープ貼付装置。
【請求項9】
前記移動手段が、前記被貼付面の形状設計データに基づいて前記貼付ヘッドを移動させるものであることを特徴とする請求項1~8のいずれかの項に記載のテープ貼付装置。
【請求項10】
前記移動手段が、ガントリ構造体であることを特徴とする請求項9記載のテープ貼付装置。
【請求項11】
前記ガントリ構造体が、
前記被貼付面を有するワークをX軸方向へ移動させるためのX軸直動機構と、
該X軸直動機構の上方にY軸方向に架け渡されたY軸直動機構と、
該Y軸直動機構に支持され、Z軸方向に移動可能な貼付ヘッド取付部を備えたZ軸直動機構とを備え、
前記X軸直動機構に、前記ワークをヨー(θz)方向に回動可能に支持するXθz軸ステージが搭載され、
前記貼付ヘッド取付部に前記貼付ヘッドが取り付けられ、
前記調整部が、
前記押圧部をロール(θy)方向、及びピッチ(θx)方向の少なくともいずれかの方向に回動可能に構成されたものであることを特徴とする請求項10記載のテープ貼付装置。
【請求項12】
前記移動手段が、多関節ロボットであることを特徴とする請求項9記載のテープ貼付装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかの項に記載のテープ貼付装置を用いて、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記離間状態においては、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記位置制御方法により前記任意の位置及び/又は姿勢になるように前記調整部を制御し、
前記押圧状態においては、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記圧力制御方法により前記被貼付面に所定の押圧力を付与するように前記調整部を制御することを特徴とするテープ貼付方法。
【請求項14】
被貼付面にテープを押し付ける押圧部と、該押圧部の位置及び/又は姿勢、加えて前記押圧部の前記被貼付面への押圧力を制御する調整部とを備えた貼付ヘッドと、
該貼付ヘッドを3次元空間内で移動させる移動手段とを備えたテープ貼付装置の制御方法であって、
前記調整部が、
少なくとも前記押圧部が前記被貼付面から離間している離間状態においては、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が任意の位置及び/又は姿勢に制御される位置制御を行い、
前記押圧部が直接または前記テープを介して前記被貼付面に接触している押圧状態においては、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与可能な圧力制御を行い、
前記離間状態と前記押圧状態とに応じて前記調整部の動作制御を切り替えることを特徴とするテープ貼付装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法に関し、より詳細には、テープを被貼付面に貼り付けることにより、繊維強化プラスチック(FRP)成型品などを製造する際に用いられるテープ貼付装置、該装置を用いたテープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
予め樹脂が含浸された炭素繊維等の繊維束をテープ状に成形したもの(プリプレグテープ、UDテープなどとも呼ぶ)を被貼付面に貼付けてゆくことで、所望の形状をした繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)成型品を製造する方法が知られている。
【0003】
これらの製法は、ATL(Auto Tape Layup)、ATW(Auto Tape Welding)、AFP(Auto Fiber Placement)など種々の称呼があるが、これらは厳密に区別されているものでない。本明細書に於いては、テープを押圧しながら被貼付面に貼付けていく製法を総称してATLと呼び、その装置(テープ貼付装置)をATL装置と呼ぶこととする。
【0004】
このようなATL装置の一例が下記の特許文献1に開示されている。
特許文献1記載のATL装置は、多関節ロボットと、該多関節ロボットのアーム先端に取り付けられたATLヘッドとを含んで構成されている。前記ATLヘッドには、テープをワークの被貼付面との間に挟持して押圧しながら前記テープを前記被貼付面に貼り付ける押圧ローラが装備されている。
【0005】
被貼付対象であるワークは、例えば、熱可塑性樹脂の射出成型品であり、前記ワークの表面に、例えば、同じ熱可塑性樹脂が含浸されたテープが貼り付けられて、前記ワークが補強されることとなる。前記ワークが熱可塑性樹脂の射出成型品などの3次元形状の成型品である場合、設計上の形状及び寸法に対して形状誤差を有していることが多い。
このように前記ワークが形状誤差を有している場合、特許文献1記載のATL装置では、前記ATLヘッドの前記押圧ローラによる前記被貼付面への押圧が不十分な箇所が生じたりして、押圧状態にばらつきが生じることがあり、前記被貼付面に対する前記押圧ローラの押圧状態を一定に保つことが難しいという課題があった。
【0006】
そこで本件出願人は、ワークが形状誤差を有している場合であっても、前記ワークの被貼付面に対する押圧ローラの押圧状態を一定に保つことができ、前記被貼付面に対するテープの貼付性能を高めることができるテープ貼付装置を先に提案した(特許文献2)。
【0007】
特許文献2記載のテープ貼付装置は、テープをワークの被貼付面に貼り付ける貼付ヘッドを備え、該貼付ヘッドが、前記被貼付面に前記テープを押し付ける押圧部と、該押圧部の押圧位置及び/又は押圧姿勢を前記被貼付面の形状に倣うように動作するパラレルリンク機構とを含んで構成されている。
【0008】
特許文献2記載のテープ貼付装置では、前記貼付ヘッドが前記パラレルリンク機構を備えているので、該パラレルリンク機構により前記押圧部の押圧位置及び/又は押圧姿勢を前記被貼付面の形状に倣うように動作させることが可能となり、前記ワークが形状誤差を有している場合であっても、前記被貼付面に対する前記押圧部の押圧状態を一定に保つことが可能となり、前記テープの貼付性能を高めることが可能となっている。
【0009】
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、貼付ヘッドに前記パラレルリンク機構のような荷重を付与する機構を備えたテープ貼付装置では、図6に例示するような課題が生じる場合があった。
図6は、従来のテープ貼付装置で発生する課題を説明するための貼付ヘッド部分を示す模式図である。図6(a)は、ワーク2に対するテープ(図示せず)の貼付を終了したときの状態、図6(b)は、ワーク2を貼付ヘッド200の下から移動させた後の状態、図6(c)は、新たなワーク2が貼付ヘッド200の下に搬入されてきたときの状態を示している。
【0010】
図6(a)、(b)に示すように、従来のテープ貼付装置では、ワーク2へのテープの貼付が終了し、ワーク2を貼付ヘッド200の下から移動させる場合などにおいて、押圧部300がワーク2の被貼付面2aから離されると、押圧機構400により押圧される対象物がなくなる。そのため、押圧機構400を構成する各リンク部430が下方に伸び切った状態となり、これに伴い押圧部300の位置も下がってしまう(図6(b)の状態)。
【0011】
この状態で、図6(c)に示すように、次の貼付対象となるワーク2が貼付ヘッド200の下に搬入されたり、貼付ヘッド200が水平方向に移動されたりすると、ワーク2と押圧部300とが意図しない箇所で衝突してしまう場合があり、ワーク2へのテープの貼付動作を繰り返し行う場合に支障が生じてしまうという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2018-149730号公報
【特許文献2】国際公開第2020/184237号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0013】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、被貼付面に対するテープの貼付動作を繰り返し行う場合でも、貼付動作にスムーズに移行でき、被貼付面に対する安定したテープの貼付動作を連続的に行うことができるテープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法を提供することを目的としている。
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係るテープ貼付装置(1)は、
テープを被貼付面に貼り付ける貼付ヘッドと、該貼付ヘッドを3次元空間内で移動させる移動手段とを備えたテープ貼付装置であって、
前記貼付ヘッドが、
前記被貼付面に前記テープを押し付ける押圧部と、
前記移動手段と前記押圧部との間に設けられて、該押圧部の位置及び/又は姿勢、加えて前記押圧部の前記被貼付面への押圧力を制御する調整部とを備え、
少なくとも前記押圧部が前記被貼付面から離間している離間状態においては、前記調整部によって、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が任意の位置及び/又は姿勢に制御される位置制御方法により制御され、
前記押圧部が直接もしくは前記テープを介して前記被貼付面に接触している押圧状態においては、前記調整部によって、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与可能な圧力制御方法より制御されることを特徴としている。
【0015】
上記テープ貼付装置(1)によれば、前記離間状態においては、前記調整部によって、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が任意の位置及び/又は姿勢に制御される位置制御方法により制御され、前記押圧状態においては、前記調整部によって、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与可能な圧力制御方法より制御されることとなる。
したがって、前記離間状態と前記押圧状態とを切り替えながら前記被貼付面に対する前記テープの貼付動作を繰り返し行う場合であっても、前記押圧部と前記被貼付面とが意図しない箇所で接触や衝突することを防止することができる。そのため、前記押圧部を前記任意の位置及び/又は姿勢から直接もしくは前記テープを介して前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢にスムーズに移行することができ、前記被貼付面に対する安定した前記テープの貼付動作を連続的に行うことができる。
【0016】
また本発明に係るテープ貼付装置(2)は、上記テープ貼付装置(1)において、前記調整部が、パラレルリンク機構を含んで構成され、
該パラレルリンク機構が、
ベース部と、
前記押圧部が取り付けられるエンド部と、
前記ベース部と前記エンド部との間に並列に設けられる複数のリンク部とを備え、
これら各リンク部が、
両端に自在継手と、
これら自在継手の間に設けられるアクチュエータとを備え、
前記離間状態においては、前記複数のリンク部の各々の長さが前記アクチュエータでそれぞれ制御されることにより、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記位置制御方法により前記任意の位置及び/又は姿勢に制御され、
前記押圧状態においては、前記複数のリンク部の各々の長さが前記アクチュエータでそれぞれ制御されることにより、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記圧力制御方法より前記被貼付面に所定の押圧力を付与するように制御されることを特徴としている。
【0017】
上記テープ貼付装置(2)によれば、前記調整部が、前記パラレルリンク機構を含んで構成され、前記離間状態においては、前記複数のリンク部の各々の長さが前記アクチュエータでそれぞれ制御されて、前記複数のリンク部が下方に伸び切った状態にならないように、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記位置制御方法により前記任意の位置及び/又は姿勢に制御される。これにより、前記離間状態において、前記押圧部と前記被貼付面とが意図しない箇所で接触や衝突することを防止することができる。
また、前記押圧状態においては、前記複数のリンク部の各々の長さが前記アクチュエータでそれぞれ制御されて、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記圧力制御方法より前記被貼付面に所定の押圧力を付与するように制御される。これにより、前記被貼付面の形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、前記押圧部による押圧姿勢(荷重姿勢)が前記被貼付面の形状誤差を有する形状に倣うように、前記押圧部を前記パラレルリンク機構により動作させることが可能となる。
そして、前記離間状態と前記押圧状態とを切り替えながら前記被貼付面に対する前記テープの貼付動作を繰り返し行う場合に、前記パラレルリンク機構を構成する前記複数のリンク部の長さを制御して、前記任意の位置及び/又は姿勢から前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢にスムーズに移行することができ、前記被貼付面に対する安定した前記テープの貼付動作の制御を連続的に行うことができる。
【0018】
また本発明に係るテープ貼付装置(3)は、上記テープ貼付装置(2)において、
前記押圧部が、
前記テープを押圧する押圧ローラと、
該押圧ローラを支持した状態で前記エンド部に取り付けられるローラ支持部とを備え、
前記貼付ヘッドが、
前記テープを搬送する搬送手段と、前記テープ及び/又は前記被貼付面を加熱する加熱手段とのうちの少なくともいずれかをさらに備え、
前記ローラ支持部に、
前記搬送手段と前記加熱手段とのうちの少なくともいずれかが、一体的に取り付けられていることを特徴としている。
【0019】
上記テープ貼付装置(3)によれば、前記パラレルリンク機構の前記エンド部に前記ローラ支持部を介して前記押圧ローラが取り付けられ、また、前記ローラ支持部に、前記搬送手段と前記加熱手段とのうちの少なくともいずれかが一体的に取り付けられている。
このように、前記押圧ローラと、前記搬送手段及び前記加熱手段のうちの少なくともいずれかとが一体化されて、前記貼付ヘッドの重量が増大したものとなっても、前記離間状態において、前記複数のリンク部が下方に伸び切った状態にならないように、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記位置制御方法により前記任意の位置及び/又は姿勢に制御される。これにより、前記離間状態において、前記押圧部と前記被貼付面とが意図しない箇所で接触や衝突することを防止することができる。
また、前記貼付ヘッドの重量が増大したものとなっても、前記押圧状態において、前記複数のリンク部の各々の長さが前記アクチュエータでそれぞれ制御される。これにより、前記押圧部が前記任意の位置及び/又は姿勢から直接もしくは前記テープを介して前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢に正確に調整されるとともに、前記搬送手段による前記テープの搬送動作、前記加熱手段による前記テープ及び/又は前記被貼付面の加熱動作を一定の状態で行うことができる。そのため、前記被貼付面の形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、前記押圧部による押圧姿勢が前記被貼付面の形状誤差を有する形状に倣うように、前記押圧部とともに、前記搬送手段と前記加熱手段とのうちの少なくともいずれかを前記パラレルリンク機構により一体的に動作させることが可能となる。
【0020】
また本発明に係るテープ貼付装置(4)は、上記テープ貼付装置(2)又は(3)において、前記アクチュエータが、エアシリンダであることを特徴としている。
【0021】
上記テープ貼付装置(4)によれば、前記アクチュエータがエアシリンダであるので、他のシリンダ形式(例えば、油圧シリンダや電動シリンダなど)と比較して、前記押圧部を前記被貼付面に押し付けるときの力が吸収又は緩和されやすい構成、いわゆるコンプライアンス特性(受動的な滑らかさ、柔らかさを有する押圧動作)を奏する構成になっている。したがって、前記被貼付面の形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、前記押圧動作でその形状誤差を吸収する効果を高めることができ、前記押圧部による押圧姿勢が前記被貼付面の形状誤差を有する形状に倣うように、前記押圧部を前記エアシリンダにより一層滑らかに動作させることが可能となる。
【0022】
また本発明に係るテープ貼付装置(5)は、上記テープ貼付装置(1)において、前記調整部が、少なくとも1つのエアシリンダを含んで構成されていることを特徴としている。
【0023】
上記テープ貼付装置(5)によれば、前記調整部が、少なくとも1つのエアシリンダを含んで構成されているので、他のシリンダ形式(例えば、油圧シリンダや電動シリンダなど)と比較して、前記押圧部を前記被貼付面に押し付けるときの力が吸収又は緩和されやすい構成、いわゆるコンプライアンス特性(受動的な滑らかさ、柔らかさを有する押圧動作)を奏する構成になっている。したがって、前記被貼付面の形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、前記押圧動作でその形状誤差を吸収する効果を高めることができ、前記押圧部による押圧姿勢が前記被貼付面の形状誤差に倣うように、前記押圧部を前記エアシリンダにより一層滑らかに動作させることが可能となる。
【0024】
また本発明に係るテープ貼付装置(6)は、上記テープ貼付装置(4)又は(5)において、
前記エアシリンダが、
空気が供給されるシリンダ部と、
該シリンダ部内の圧力に応じて進退するロッド部と、
前記シリンダ部内の圧力を検出する圧力検出部と、
前記ロッド部の変位を検出する変位検出部とを備え、
前記離間状態においては、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記任意の位置及び/又は姿勢に制御されるように、前記圧力検出部により検出される前記シリンダ部内の圧力、及び/又は前記変位検出部により検出される前記ロッド部の変位が制御され、
前記押圧状態においては、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与するように、前記圧力検出部により検出される前記シリンダ部内の圧力、及び/又は前記変位検出部により検出される前記ロッド部の変位が制御されることを特徴としている。
【0025】
上記テープ貼付装置(6)によれば、前記エアシリンダの前記ロッド部の変位を制御することにより、前記離間状態における前記任意の位置及び/又は姿勢と、前記押圧状態における前記被貼付面に前記所定の押圧力を付与する姿勢とを切り替える動作の応答性を高めることができる。
また、前記押圧状態において、前記エアシリンダの前記ロッド部の変位を制御する際の応答性を高めることが可能となり、前記押圧部による押圧姿勢が前記被貼付面の形状誤差を有する形状に倣うように、前記エアシリンダにより前記押圧部を応答性良く動作させることが可能となる。
【0026】
また本発明に係るテープ貼付装置(7)は、上記テープ貼付装置(2)~(4)のいずれかにおいて、前記任意の位置及び/又は姿勢が、前記被貼付面に対する荷重方向が法線方向となる向きに前記押圧部を位置させる姿勢であることを特徴としている。
【0027】
上記テープ貼付装置(7)によれば、前記任意の位置及び/又は姿勢から前記被貼付面に前記所定の押圧力を付与する姿勢に移行する際に、前記被貼付面に対する荷重方向が法線方向となる向きで、前記押圧部を前記被貼付面に押し当てながら前記テープを貼付することができる。そのため、前記被貼付面に対する安定した前記テープの貼付動作を行うことができる。
【0028】
また本発明に係るテープ貼付装置(8)は、上記テープ貼付装置(1)~(7)のいずれかにおいて、
前記任意の位置及び/又は姿勢における前記調整部の上端から前記押圧部の下端までの高さが、前記被貼付面の形状設計データに基づく高さ位置で前記押圧状態となるときの前記調整部の上端から前記押圧部の下端までの高さになるように調整されていることを特徴としている。
【0029】
上記テープ貼付装置(8)によれば、前記任意の位置及び/又は姿勢の状態にある前記貼付ヘッドを前記移動手段で前記被貼付面の貼付開始位置に移動させた場合に、前記被貼付面の形状が形状設計データ通りであれば(換言すれば、形状誤差がなければ)、前記押圧部の下端(換言すれば、前記被貼付面との接触部分)が、前記被貼付面上に位置することとなり、そのまま前記被貼付面に荷重を付与する姿勢にスムーズに移行することができる。
【0030】
また本発明に係るテープ貼付装置(9)は、上記テープ貼付装置(1)~(8)のいずれかにおいて、前記移動手段が、前記被貼付面の形状設計データに基づいて前記貼付ヘッドを移動させるものであることを特徴としている。
【0031】
上記テープ貼付装置(9)によれば、前記移動手段により、前記被貼付面の形状設計データに基づいて前記貼付ヘッド自体が移動される。そして、前記調整部により、前記離間状態においては、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記任意の位置及び/又は姿勢に制御され、前記押圧状態においては、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢に制御される。
したがって、前記被貼付面の形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、前記押圧部による押圧姿勢が前記被貼付面の形状誤差を有する形状に倣うように、前記調整部により前記押圧部を動作させることが可能となる。そのため、前記被貼付面に対する安定した前記テープの貼付動作を連続的に行うことができる。
【0032】
また本発明に係るテープ貼付装置(10)は、上記テープ貼付装置(9)において、前記移動手段が、ガントリ構造体であることを特徴としている。
【0033】
上記テープ貼付装置(10)によれば、前記ガントリ構造体に前記貼付ヘッドが取り付けられているので、前記ガントリ構造体によって、前記貼付ヘッドの直線運動の制御(例えば、XYZ軸方向への運動制御)が安定して行えることとなる。
この直線運動の安定制御と前記調整部の制御とを組み合わせることによって、前記離間状態と前記押圧状態とを切り替えながら前記被貼付面に対するテープの貼付動作を繰り返し行う場合に、前記任意の位置及び/又は姿勢の保持から直接もしくは前記テープを介して前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢に一層スムーズに移行することができ、前記被貼付面に対する安定した前記テープの貼付動作が連続的に行える効果を高めることができる。
【0034】
また本発明に係るテープ貼付装置(11)は、上記テープ貼付装置(10)において、
前記ガントリ構造体が、
前記被貼付面を有するワークをX軸方向へ移動させるためのX軸直動機構と、
該X軸直動機構の上方にY軸方向に架け渡されたY軸直動機構と、
該Y軸直動機構に支持され、Z軸方向に移動可能な貼付ヘッド取付部を備えたZ軸直動機構とを備え、
前記X軸直動機構に、前記ワークをヨー(θz)方向に回動可能に支持するXθz軸ステージが搭載され、
前記貼付ヘッド取付部に前記貼付ヘッドが取り付けられ、
前記調整部が、
前記押圧部をロール(θy)方向、及びピッチ(θx)方向の少なくともいずれかの方向に回動可能に構成されたものであることを特徴としている。
【0035】
上記テープ貼付装置(11)によれば、前記ガントリ構造体が、XYZ軸方向の各直動機構を備え、前記X軸直動機構に、ヨー(θz)方向に回動する前記Xθz軸ステージが搭載され、前記調整部が、前記押圧部をロール(θy)方向、及びピッチ(θx)方向の少なくともいずれかの方向に回動可能に構成されているので、前記調整部の構成を簡素化することができる。
【0036】
また本発明に係るテープ貼付装置(12)は、上記テープ貼付装置(9)において、前記移動手段が、多関節ロボットであることを特徴としている。
【0037】
上記テープ貼付装置(12)によれば、前記移動手段が、多関節ロボットで構成されているので、前記貼付ヘッドの前記調整部により、前記多関節ロボットの位置決め精度を補完することができ、前記多関節ロボットを用いる場合における前記被貼付面に対する前記テープの貼付性能を高めることができる。
【0038】
また本発明に係るテープ貼付方法は、上記テープ貼付装置(1)~(12)のいずれかを用いて、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記離間状態においては、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記位置制御方法により前記任意の位置及び/又は姿勢になるように前記調整部を制御し、
前記押圧状態においては、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記圧力制御方法により前記被貼付面に所定の押圧力を付与するように前記調整部を制御することを特徴としている。
【0039】
上記テープ貼付方法によれば、前記離間状態においては、前記調整部によって、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が前記位置制御方法により前記任意の位置及び/又は姿勢になるように調整され、前記押圧状態においては、前記調整部によって、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記圧力制御方法により前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢に調整されることとなる。
したがって、前記離間状態と前記押圧状態とを切り替えながら前記被貼付面に対する前記テープの貼付動作を繰り返し行う場合であっても、前記押圧部と前記被貼付面とが意図しない箇所で接触や衝突することを防止することができる。そのため、前記任意の位置及び/又は姿勢の保持から直接または前記テープを介して前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢にスムーズに移行することができ、前記被貼付面に対する安定した前記テープの貼付動作を連続的に行うことができる。
【0040】
また本発明に係るテープ貼付装置の制御方法は、被貼付面にテープを押し付ける押圧部と、該押圧部の位置及び/又は姿勢、加えて前記押圧部の前記被貼付面への押圧力を制御する調整部とを備えた貼付ヘッドと、
該貼付ヘッドを3次元空間内で移動させる移動手段とを備えたテープ貼付装置の制御方法であって、
前記調整部が、
少なくとも前記押圧部が前記被貼付面から離間している離間状態においては、前記貼付ヘッド内において前記押圧部が任意の位置及び/又は姿勢に制御される位置制御を行い、
前記押圧部が直接もしくは前記テープを介して前記被貼付面に接触している押圧状態においては、前記押圧部がその位置及び/又は姿勢に依らず、前記被貼付面に所定の押圧力を付与可能な圧力制御を行い、
前記離間状態と前記押圧状態とに応じて前記調整部の動作制御を切り替えることを特徴としている。
【0041】
上記テープ貼付装置の制御方法によれば、前記調整部により、前記離間状態と前記押圧状態とに応じた動作制御を適切に切り替えることが可能となり、前記押圧部と前記被貼付面とが意図しない箇所で接触や衝突することを防止することができる。
そのため、前記調整部が前記離間状態と前記押圧状態と切り替えながら前記被貼付面に対するテープの貼付動作を繰り返し行う場合に、前記任意の位置及び/又は姿勢の保持から直接もしくは前記テープを介して前記被貼付面に所定の押圧力を付与する姿勢にスムーズに移行することができ、前記被貼付面に対する安定した前記テープの貼付動作の制御を連続的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の実施の形態に係るATL装置におけるATLヘッドの構成例を示す模式図である。
図2】実施の形態に係るATL装置の具体構成例を示す全体斜視図である。
図3】実施の形態に係るATL装置のATLヘッド周辺の拡大斜視図である。
図4】実施の形態に係るATL装置のロボット制御部とATLヘッド制御部とが行う貼付処理動作の一例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態に係るATL装置におけるATLヘッドの動作例を説明するための要部模式図である。
図6】従来のテープ貼付装置で発生する課題を説明するための貼付ヘッド部分を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係るテープ貼付装置、テープ貼付方法、及びテープ貼付装置の制御方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態に係るATL装置におけるATLヘッドの構成例を示す模式図である。ATL装置は、本発明に係るテープ貼付装置の一例であり、ATLヘッドは、貼付ヘッドの一例である。
【0044】
ATL装置10は、テープ1をワーク2に貼り付けることにより、テープ1で補強された成型品を製造するための装置であり、テープ1を押圧しながらワーク2の被貼付面2a、2abに貼り付けるためのATLヘッド20を備えている。
【0045】
ATLヘッド20は、ハンドリングロボット70に取り付けられている。ハンドリングロボット70は、ATLヘッド20を3次元空間内で移動させるための汎用産業用ロボット、例えば、ガントリ構造体(直交座標形機構ともいう)で構成してもよいし、多関節ロボット(シリアル多関節機構ともいう)で構成してもよい。ハンドリングロボット70は、ATLヘッド20を少なくともXYZ軸方向に並進運動可能な機構(3自由度)を備えているものが好ましい。ハンドリングロボット70の動作制御は、ロボット制御部70aにより実行される。ロボット制御部70aには、ワーク2の被貼付面2aの3次元座標データ(設計形状データ)、これら3次元座標データなどに基づいて各部の動作を制御するプログラムなどが記憶され、これらは、ATLヘッド20の移動制御に利用される。ロボット制御部70aは、汎用のコンピューター装置を用いて構成してもよい。
【0046】
ワーク2は、例えば、3次元形状を有する成型品であり、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などの樹脂製の成型品であってもよいし、金属製の成型品などであってもよい。
【0047】
テープ1は、例えば、繊維束の少なくとも一部に予め樹脂を含浸させてテープ状にしたものであり、熱可塑性の樹脂が含浸されたもの(UDテープとも呼ばれる)や、熱硬化性の樹脂が含浸されたもの(プリプレグテープとも呼ばれる)などが適用され得る。また、テープ1は、炭素繊維を含むものでもよいし、樹脂テープに多数の短い繊維が混ぜ込まれたものでもよい。テープ1は、ワーク2の材質などに応じて、その種類が適宜選択され得る。また、テープ1は、複数のテープが並列に配置された形態のものであってもよい。
【0048】
ATLヘッド20は、ワーク2の被貼付面2a、2abにテープ1を押し付ける押圧部30と、ハンドリングロボット70と押圧部30との間に設けられて、押圧部30の位置及び/又は姿勢、加えて押圧部30の被貼付面2a、2abへの押圧力を制御するパラレルリンク機構40とを備えている。パラレルリンク機構40が調整部の一例である。なお、以下の説明では、便宜上、「位置及び/又は姿勢」を「位置姿勢」と記す。
【0049】
押圧部30は、テープ1を押圧する押圧ローラ31と、押圧ローラ31を回転可能に支持した状態でパラレルリンク機構40のエンド部42に取り付けられるローラ支持部32とを備えている。押圧ローラ31は、テープ1の特性、又はワーク2の材質などに応じて、樹脂製ローラ、弾性ローラ、又は金属性ローラなどで構成され得る。押圧ローラ31のサイズ(直径、幅)は、使用するテープ1の種類やサイズ、ワーク2の種類や形状に応じて適宜選択され得る。なお、別の構成例では、押圧ローラ31に代えて、押圧シュー等の押圧部材を用いてもよい。
【0050】
パラレルリンク機構40は、ハンドリングロボット70に取り付けられるベース部41と、押圧部30が取り付けられるエンド部42と、ベース部41とエンド部42との間に並列に設けられる複数のリンク部43とを含んで構成されている。
【0051】
これら各リンク部43は、両端にユニバーサルジョイント、又は球面ジョイントなどの自在継手44、45と、これら自在継手44、45の間に設けられるアクチュエータとしてのエアシリンダ46とを備えている。パラレルリンク機構40は、複数のリンク部43の各々の長さをエアシリンダ46でそれぞれ制御することにより、エンド部42の位置(並進)や姿勢(回転)を変化させることが可能となっている。
【0052】
パラレルリンク機構40は、押圧ローラ31がテープ1を介して被貼付面2a、2abに荷重を付与する姿勢に押圧ローラ31の位置姿勢を調整可能であれば、リンク部43の本数は特に限定されないが、一般的に3本~6本のリンク部43で構成され得る。なお、以下の説明では、「荷重」という用語を「押圧力」と読み替えてもよい。また、本発明において、「押圧力」とは、絶対荷重及び方向を含む概念として用いる。リンク部43の本数を少なくすれば、パラレルリンク機構40の構成を簡素化することができる。一方、リンク部43の本数を多くすれば、エンド部42に取り付けられる部品の支持力が高まり、パラレルリンク機構40の動作に伴うモーメントの影響を受けにくい構成とすることができる。
【0053】
また、ハンドリングロボット70の動作機能(自由度)を考慮して、パラレルリンク機構40の自由度を設定する構成としてもよく、この場合、押圧ローラ31を少なくともロール方向、及びピッチ方向に回動可能なパラレルリンク機構40を採用することが好ましい。また、ハンドリングロボット70の動作機能に関わらずに、パラレルリンク機構40に、6自由度機構、すなわち、6方向(並進3方向、回転3方向)に運動させる機構が適用されてもよい。
【0054】
エアシリンダ46は、空気が供給されるシリンダ部46aと、シリンダ部46a内の圧力に応じて進退するロッド部46bと、シリンダ部46a内の圧力を検出する圧力センサ(圧力検出部)46cと、ロッド部46bの変位を検出する変位センサ(変位検出部)46dとを備えている。エアシリンダ46は、複動型シリンダで構成することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0055】
シリンダ部46aは、圧力センサ46cを介してサーボバルブ46eに接続されている。サーボバルブ46eは、シリンダ部46a内への空気の流入量や排気量を調整し、シリンダ部46aの両室の差圧を制御する。サーボバルブ46eは、コンプレッサなどの圧縮した空気を出力する空気圧供給部46fに接続されている。
【0056】
変位センサ46dは、ロッド部46bの変位量を測定できるものであればよく、例えば、磁気の変位量からロッド部46bの変位量を検出する磁気式のリニアエンコーダでもよいし、光学式のリニアエンコーダなどであってもよいし、ポテンショメーターなどであってもよい。
【0057】
圧力センサ46cで検出された圧力信号と変位センサ46dで検出された変位信号は、それぞれATLヘッド制御部46gに出力される。ATLヘッド制御部46gには、ワーク2の設計形状を示す3次元座標データの他、これら3次元座標データ、圧力信号、変位信号などに基づいてATLヘッド20各部の動作を制御するプログラムなどが記憶されている。
【0058】
ATLヘッド制御部46gは、例えば、各エアシリンダ46の圧力センサ46cや変位センサ46dから取り込んだ検出信号を制御パラメータとして用いて、各エアシリンダ46のサーボバルブ46eの動作を制御し、各エアシリンダ46のシリンダ部46a内の圧力、及び/又はロッド部46bの変位を制御する処理を実行する。
例えば、ATLヘッド制御部46gは、少なくとも押圧ローラ31が被貼付面2aから離間している離間状態において、ATLヘッド20内において押圧部30を任意の位置及び/又は姿勢に制御する位置制御方法によりパラレルリンク機構40の各部の動作を制御する。換言すれば、ATLヘッド制御部46gは、前記離間状態において、少なくとも押圧ローラ31がATLヘッド20内で所定の基準位置姿勢に保持されるようにパラレルリンク機構40の動作を制御する。所定の基準位置姿勢は、任意の位置及び/又は姿勢の一例である。また、任意の位置及び/又は姿勢は、時間的(経時的)に変化するものであってもかまわない。
【0059】
所定の基準位置姿勢は、例えば、パラレルリンク機構40を構成する各エアシリンダ46のロッド部46bの変位が最大ストローク長さの中間位置付近の所定値に調整されている姿勢である。前記所定値は、ATL装置10の各部の大きさや貼付対象となるワーク2の形状や大きさなどに応じて、任意の値に設定することが可能である。この姿勢におけるパラレルリンク機構40のベース部41から押圧ローラ31の下端点までの高さが、例えば、所定の高さZhとなるように調整されている。そして、この所定の高さZhが、ATLヘッド20のヘッド基準高さに設定されている。
このヘッド基準高さは、ワーク2に形状誤差がないと仮定した場合に、ATLヘッド20の押圧ローラ31を被貼付面2aに配置したときのヘッド高さに対応している。換言すれば、前記ヘッド基準高さは、被貼付面2aの3次元形状データに基づく高さ位置(ワーク2の設計高さ位置)で押圧状態となるときのヘッド高さである。
【0060】
また、所定の基準位置姿勢は、ワーク2の被貼付面2aに対する荷重方向が法線方向となる向きに押圧ローラ31を位置させる姿勢とすることが好ましい。例えば、テープ1の貼付開始位置となるワーク2の被貼付面2aの設計形状に対する荷重方向が法線方向(図1に示すA方向)となる向きに押圧ローラ31を位置させる姿勢である。なお、前記荷重方向を押圧方向と読み替えてもよい。また、この姿勢におけるパラレルリンク機構40のベース部41から押圧ローラ31の下端点までの高さを所定の高さZhに調整することが好ましい。
【0061】
また、ATLヘッド制御部46gは、押圧ローラ31が直接もしくはテープ1を介して被貼付面2a、2abに接触している押圧状態において、押圧部30がその位置及び/又は姿勢に依らず、被貼付面2a、2abに所定の押圧力を付与可能な圧力制御方法よりパラレルリンク機構40の各部の動作を制御する。換言すれば、ATLヘッド制御部46gは、前記押圧状態において、押圧ローラ31が所定の基準位置姿勢の保持から直接もしくはテープ1を介して被貼付面2a、2abに所定の荷重を付与するようにパラレルリンク機構40の動作を制御する。ATLヘッド制御部46gは、押圧ローラ31の離間状態と押圧状態とに応じてパラレルリンク機構40の動作制御を切り替える機能を備えている。
【0062】
例えば、ATLヘッド制御部46gは、押圧ローラ31の押圧状態において、各エアシリンダ46の圧力センサ46cや変位センサ46dから取り込んだ検出信号に基づいて、各エアシリンダ46の角度や各ロッド部46bのストローク長を計算する。また、ATLヘッド制御部46gは、押圧ローラ31が直接もしくはテープ1を介して被貼付面2aに所定の荷重を付与するための指標(例えば、ワーク2の形状誤差を加味した圧力の過不足分、又は変位の過不足分)を計算し、計算されたこれら指標に基づいて、各エアシリンダ46のサーボバルブ46eの動作(加圧動作又は減圧動作)を制御する構成となっている。この制御により、被貼付面2a、2abに対する押圧ローラ31の荷重方向が法線方向となるように、エンド部42の位置姿勢が調整されて、所定の荷重を維持しながら押圧ローラ31で被貼付面2a、2abを直接もしくはテープ1を介して押圧するようになっている。
【0063】
例えば、図1に示すように、ワーク2が、被貼付面2abに設計形状からの形状誤差(-Δh)を有していた場合、当該被貼付面2abにテープ1を貼付しているときのヘッド高さ(ベース部41から押圧ローラ31の下端点までの高さ)が、(ヘッド基準高さZh+Δh)となるように、パラレルリンク機構40の各リンク部43の変位(長さ)が調整されるようになっている。なお、被貼付面2abに対する押圧ローラ31の荷重方向が必ずしも法線方向とならない場合もあり、被貼付面2abの形状誤差などに応じて、押圧ローラ31の荷重方向が柔軟に調整され得る構成になっている。
【0064】
ATLヘッド制御部46gが、押圧ローラ31の押圧状態において実行するパラレルリンク機構40の制御によって、押圧ローラ31とテープ1との間に隙間が形成されることなく、押圧ローラ31が、ワーク2の被貼付面2a、2abに対して直交する方向(法線方向)からテープ1を介して被貼付面2a、2abを押圧する動作が実現されるようになっている。なお、ATLヘッド制御部46gは、汎用のコンピューターを用いて構成してもよい。また、ロボット制御部70aとATLヘッド制御部46gとが、1つの制御ユニットで構成されてもよい。
【0065】
なお本構成例では、パラレルリンク機構40のアクチュエータが、空気圧で駆動するエアシリンダ46で構成されているが、本発明に適用できるアクチュエータは、エアシリンダ46に限定されるものではない。例えば、油圧シリンダ、又は電動シリンダなどの直動式アクチュエータで構成することも可能である。
【0066】
また、ATLヘッド20は、テープ1を搬送するフィーダー(搬送手段)50と、フィーダー50から押圧ローラ31に送り出されるテープ1及び被貼付面2aの少なくともいずれかを加熱する加熱手段60とをさらに備えている。フィーダー50と加熱手段60とは、ローラ支持部32に固定された取付ガイド61に取り付けられている。なお、加熱手段60は必須要素ではなく、テープ1などへの加熱処理が不要である場合は、ATLヘッド20に加熱手段60を設けない構成としてもよい。また、取付ガイド61に加熱手段60の着脱部(図示せず)を設けて、加熱手段60が取付ガイド61に着脱可能な構成としてもよい。フィーダー50及び加熱手段60の動作は、ATLヘッド制御部46gで制御される。
【0067】
加熱手段60は、テープ1や被貼付面2a、2abを非接触で加熱可能なものが好ましく、例えば、赤外線ランプ、レーザー、IRランプなどの輻射光源で構成してもよいし、熱風ノズルなどの熱風源で構成してもよいし、又はこれらを組み合わせて構成してもよい。
【0068】
フィーダー50は、例えば、1組の搬送ベルト対51を有し、図示しないモータの動力により搬送ベルト対51を回転駆動させて、テープ1を搬送するように構成されている。なお、フィーダー50内に、ヒータを設け、搬送ベルト対51が所定温度に予熱される構成としてもよい。これにより、テープ1が貼付ポイント(図1に示すB点)に到達する前に、テープ1を予備加熱することが可能となる。
【0069】
また、フィーダー50は、ボビンからテープ1を巻き出す巻出機構(図示せず)が搭載されたものでもよいし、予め所定の長さに裁断されたテープ1を供給するものでもよい。また、ATLヘッド20とは別に設置された巻出機構(図示せず)からテープ1を巻き出し、搬送経路に沿ってフィーダー50までテープ1を供給する構成としてもよい。
また、ATL装置10には、装置各部の操作入力や設定入力などを行うための操作部(図示せず)が設けられており、該操作部を介して入力された信号が、ロボット制御部70aやATLヘッド制御部46gに出力されるようになっている。
【0070】
図2は、実施の形態に係るATL装置の具体構成例を示す全体斜視図である。また、図3は、図2に示したATL装置のATLヘッド周辺の拡大斜視図である。なお、図1に示したATL装置10の各構成部品と同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0071】
図2、3に示すATL装置10では、ATLヘッド20が取り付けられるハンドリングロボット70がガントリ構造体(直交座標形機構)71で構成されている。
図2、3に示すATLヘッド20の基本的構成は、図1に示したATLヘッド20と略同様であるが、図2、3に示すATLヘッド20では、パラレルリンク機構40が4本のリンク部43で構成されている。なお、以下の説明では、ワーク2を移動させる方向をX軸方向、これと水平面で直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0072】
ガントリ構造体71は、ワーク2をX軸方向へ移動可能、且つヨー(θz)方向(Z軸回り)に回動可能に支持するXθz軸ステージ73を備えたX軸直動機構72と、X軸直動機構72の上方にY軸方向に架け渡されたY軸直動機構74と、Y軸直動機構74に支持され、Z軸方向に移動可能なZ軸直動機構75とを備えている。
【0073】
X軸直動機構72は、X軸ガイド部72aと、X軸ガイド部72aに摺動可能に取り付けられたX軸スライドテーブル72bと、X軸スライドテーブル72b上にヨー(θz)方向に回動可能に設けられたXθz軸ステージ73とを含んで構成されている。Xθz軸ステージ73上にワーク2が載置されるようになっている。
【0074】
Y軸直動機構74は、門型のY軸ガイド部74aと、Y軸ガイド部74aに摺動可能に取り付けられたY軸スライダ74bとを含んで構成されている。
Z軸直動機構75は、Y軸スライダ74bに取り付けられたZ軸ガイド部75aと、Z軸ガイド部75aに摺動可能に取り付けられたZ軸スライダ75bと、Z軸スライダ75bに取り付けられたZ軸ブラケット75cとを含んで構成されている。Z軸ブラケット75cの下端部にATLヘッド取付部76が取り付けられ、ATLヘッド取付部76にATLヘッド20が取り付けられている。
【0075】
次に、ATL装置10がワーク2にテープ1を貼り付ける動作について説明する。
ATL装置10を用いたテープ1の貼付動作に関し、X軸直動機構72により、ワーク2のX軸方向並進運動が実現され、Xθz軸ステージ73によりワーク2のZ軸(ヨー(θz)方向)回転運動が実現される。また、Y軸直動機構74により、ATLヘッド20のY軸方向並進運動が実現され、Z軸直動機構75により、ATLヘッド20のZ軸方向並進運動が実現される。
【0076】
そして、ATLヘッド20のパラレルリンク機構40により、押圧ローラ31の離間状態において、例えば、押圧ローラ31をATLヘッド20内で所定の基準位置姿勢に保持する動作が実現される。また、パラレルリンク機構40により、押圧ローラ31の押圧状態において、例えば、押圧ローラ31の少なくともY軸(ロール(θy)方向)回転運動、及びX軸(ピッチ(θx)方向)回転運動とともに、押圧ローラ31で直接もしくはテープ1を介して被貼付面2aに所定の荷重を付与する動作とが実現される。所定の荷重を付与する動作は、被貼付面2aの実際の形状に倣うように押圧する動作であればよく、被貼付面2aに対して法線方向から押圧する動作であることが好ましい。
【0077】
図4は、実施の形態に係るATL装置10におけるロボット制御部70aとATLヘッド制御部46gとが行う処理動作の一例を示すフローチャートである。また、図5は、実施の形態に係るATL装置10におけるATLヘッド20の動作例を説明するための要部模式図である。なお、本処理動作例では、テープ1がワーク2の被貼付面2a、2abに順次並べて貼り付けられるようにATLヘッド20の動作が制御される場合について説明する。
【0078】
まず、ステップS1では、ロボット制御部70aが、ATLヘッド20を所定の原点位置に復帰させる操作入力があったか否かを判断し、該操作入力があったと判断すればステップS2に進む。
【0079】
ステップS2では、ロボット制御部70aが、ガントリ構造体71のY軸直動機構74及びZ軸直動機構75の動作を制御して、ATLヘッド20を原点位置に移動させる制御を行い、ステップS3に進む。前記原点位置は、例えば、テープ1の貼付開始位置の上方位置である。
【0080】
ステップS3では、ロボット制御部70a及びATLヘッド制御部46gが、ワーク2にテープ1の貼付を開始する操作入力があったか否かを判断し、該操作入力があったと判断すればステップS4に進む。なお、ステップS1とS3とをまとめて、1つの操作入力で判断し、ステップS2、S4の処理へ進むように構成してもよい。
【0081】
ステップS4では、ATLヘッド制御部46gが、押圧ローラ31が所定の基準位置姿勢に保持されるようにパラレルリンク機構40による位置制御を開始して(図5(a)のATLヘッド20の状態)、ステップS5に進む。
所定の基準位置姿勢は、例えば、パラレルリンク機構40を構成する各エアシリンダ46のロッド部46bの変位が最大ストローク長さの中間位置付近の所定値に調整されている姿勢であり、パラレルリンク機構40のベース部41から押圧ローラ31の下端点までの高さが、例えば、所定の高さ(=ヘッド基準高さ)Zhとなるように調整されている。
【0082】
ステップS5では、ロボット制御部70aが、ガントリ構造体71のX軸直動機構72の動作を制御して、Xθz軸ステージ73をX軸方向に移動させて、Xθz軸ステージ73に載置されたワーク2に対するテープ1の貼付開始位置がATLヘッド20の直下に配置されるように、ワーク2を移動させる制御を行い(図5(a)のワーク2の状態)、ステップS6に進む。
【0083】
ステップS6では、ロボット制御部70aが、ワーク2の3次元形状データ(設計形状データ)に基づいて、ガントリ構造体71のZ軸直動機構75の動作を制御して、押圧ローラ31がワーク2の被貼付面2a上に配置されるように、ATLヘッド20を降下させる制御を行い(図5(b)、(c)を参照)、その後、ステップS7に進む。なお、ステップS5、S6の動作制御の間も、パラレルリンク機構40により押圧ローラ31が所定の基準位置姿勢(ヘッド基準高さZh)に保持される位置制御が行われている。
【0084】
ステップS7では、ATLヘッド制御部46gが、テープ1の貼付動作に移行するために、押圧ローラ31を所定の基準位置姿勢に保持する制御(位置制御)から押圧ローラ31を被貼付面2aに対して所定の荷重を付与する姿勢にする制御(荷重制御)に切り替える処理を行い(図5(c)を参照)、ステップS8に進む。なお、「荷重制御」という用語を「圧力制御」と読み替えてもよい。
なお、前記位置制御では、ATL装置10にいかなる外乱が作用した場合であっても、ATLヘッド20内での押圧部30の姿勢を所定の姿勢に維持する制御が行われる。
また、前記荷重制御では、ワーク2の被貼付面の形状に誤差がある場合であっても、押圧部30の押圧ローラ31が直接もしくはテープ1を介して所定の荷重(すなわち、押圧力)を被貼付面2a、2abに付与する制御が行われる。
【0085】
ステップS8では、ロボット制御部70aとATLヘッド制御部46gとが、協働しながらワーク2の被貼付面2aにテープ1を貼付する動作制御を開始する(図5(c)、(d)、(e)を参照)。すなわち、ロボット制御部70aが、ワーク2の3次元形状データに基づいて、Y軸直動機構74及びZ軸直動機構75の動作を制御して、ATLヘッド20をY軸及びZ軸方向に移動させる制御を開始する。
【0086】
この移動制御は、ワーク2の3次元形状データに基づいて、Z軸ブラケット75cに取り付けられたパラレルリンク機構40のベース部41の被貼付面2aからの高さが、所定の基準位置姿勢であるときのヘッド高さ(基準ヘッド高さ)Zhに保持された状態で、ATLヘッド20自体をY軸及びX軸方向に移動させる制御である。
【0087】
そして、ロボット制御部70aによりATLヘッド20を移動させる制御と並行して、ATLヘッド制御部46gが、ATLヘッド20の各部を動作させて、テープ1の貼付制御を開始する処理を行う。すなわち、ATLヘッド制御部46gは、フィーダー50を動作させて、テープ1を押圧ローラ31と被貼付面2a、2abとの間に搬送する制御を開始する。
【0088】
また、ATLヘッド制御部46gは、パラレルリンク機構40を動作させて、押圧ローラ31が直接もしくはテープ1を介して被貼付面2a、2abに所定の荷重を付与する荷重制御、例えば、押圧ローラ31を被貼付面2a、2abに対する法線方向(図5(c)、(d)では、矢印Aの方向)からテープ1を所定の荷重で押圧する制御を開始する。なお、押圧ローラ31による押圧方向は、被貼付面2a、2abの法線方向に限定されない。さらに、ATLヘッド制御部46gは、加熱手段60による加熱処理を開始し、テープ1及び/又は被貼付面2a、2abの加熱を開始する。
【0089】
なお、図5(d)に示すように、ワーク2が、被貼付面2abに設計形状からの形状誤差(-Δh)を有していた場合、当該被貼付面2abにテープ1を押圧しているときのヘッド高さ(ベース部41から押圧ローラ31の下端点までの高さ)が、ヘッド基準高さZh+Δhとなるように、パラレルリンク機構40の各エアシリンダ46のロッド部46bの変位(長さ)が調整されるようになっている。
【0090】
その後、ロボット制御部70aとATLヘッド制御部46gとにより、ワーク2上におけるテープ1の貼付経路に沿ってテープ1を被貼付面2a、2abに貼り付けていく制御が行われ、その後、ステップS9に処理を進める。
【0091】
次のステップS9では、ロボット制御部70aが、Y軸直動機構74の動作により、ATLヘッド20が、テープ1の貼付終了位置に到達したか否かを判断し、貼付終了位置に到達していないと判断すれば、ステップS8で開始した貼付の処理を継続する一方、貼付終了位置(図5(e)を参照)に到達したと判断すれば、ステップS10に処理を進める。
【0092】
ステップS10では、ATLヘッド制御部46gが、テープ1の貼付終了処理を行う。すなわち、ATLヘッド制御部46gが、フィーダー50に設けられた切断部でテープ1をカットする制御、及び加熱手段60による加熱動作の停止制御を行い、1本(1ライン分)のテープ1の貼付を完了し、その後、ステップS11に進む。
【0093】
ステップS11では、ATLヘッド制御部46gが、ステップS7~S10での処理の間、継続して行われていた、押圧ローラ31を被貼付面2aに対して所定の荷重を付与する姿勢にする制御(荷重制御)から押圧ローラ31を所定の基準位置姿勢に保持する制御(位置制御)に切り替える処理を行い、ステップS12に進む。
【0094】
ステップS12では、ATLヘッド制御部46gが、押圧ローラ31がATLヘッド20内で所定の基準位置姿勢に保持されるようにパラレルリンク機構40による位置制御を開始し、ステップS13に進む。
【0095】
次のステップS13では、ロボット制御部70aが、ガントリ構造体71の動作履歴などに基づいて、ワーク2の被貼付面2aへのテープ1の貼付が全て完了したか否かを判断し、全て完了していないと判断すれば、ステップS14に進む。
【0096】
ステップS14では、ロボット制御部70aが、ガントリ構造体71のY軸直動機構74及びZ軸直動機構75の動作を制御して、次のテープ1の貼付開始位置の上方にATLヘッド20を移動させる制御を行う(図5(f)を参照)。また、ロボット制御部70aが、X軸直動機構72の動作を制御して、Xθz軸ステージ73をX軸方向に移動させて、Xθz軸ステージ73に載置されたワーク2に対する次のテープ1の貼付開始位置がATLヘッド20の直下に配置されるように、ワーク2を移動させる制御を行う。なお、ステップS13、S14の動作制御の間も、パラレルリンク機構40により押圧ローラ31がATLヘッド20内で所定の基準位置姿勢(ヘッド基準高さZh)に保持される位置制御が行われている。
【0097】
その後、ステップS6に戻り、ワーク2の被貼付面2aにテープ1が順次並べて貼り付けられていく制御が行われる。一方、ステップS14において、テープ1の貼付が全て完了したと判断すれば、その後ステップS15に進む。
【0098】
ステップS15では、ロボット制御部70aが、ガントリ構造体71のY軸直動機構74及びZ軸直動機構75の動作を制御して、ATLヘッド20を所定の原点位置に移動させるとともに、X軸直動機構72の動作を制御して、Xθz軸ステージ73を所定の原点位置に移動させる制御を行い、その後、処理を終える。
【0099】
なお、上記の動作例では、テープ1がワーク2の被貼付面2a、2abに順次並べて貼り付けられるようにATLヘッド20の動作が制御されているが、被貼付面2a、2abへのテープ1の貼付形態は、これに限定されない。例えば、他の動作例では、成型品の品質規格などに応じて、隣り合うテープ1の一部を重ねた状態に貼り付けるようにしてもよいし、隣り合うテープ1同士が重ならない状態(所定の隙間を設けた状態)に貼り付けてもよい。
【0100】
上記のようにテープ同士の重なり又はすき間などの貼付け状態が成型品の品質上規定される場合がある。例えば、押圧ローラが被貼付面2a、2abの法線方向に押圧できずに、前記押圧ローラの貼付け軌道がずれたりした場合、テープ1同士の重なり又はすき間が安定せず、成型品の品質を損なう虞がある。
【0101】
しかしながら、本実施の形態に係るATL装置10によれば、ATLヘッド20のパラレルリンク機構40が、貼付動作中に被貼付面2aの形状誤差に応じて荷重を付与する方向を適宜調整する動作により、押圧ローラ31を直接もしくはテープ1を介して被貼付面2aに確実に押圧することが可能となる。そのため、隣り合うテープ1の一部を重ねた状態で貼り付ける場合であっても、また、隣り合うテープ1同士が重ならないように、すなわち、一定の隙間を設けた状態となるように貼り付ける場合であっても、テープ1同士の重なり度合や隙間が一定の安定した貼り付けを行うことができ、テープ1が貼り付けられた成型品の品質を向上させることが可能となる。
【0102】
また、テープ1は、例えば、炭素繊維などの繊維の集合体である為、テープ1の断面形状が崩れると、成型品の品質に悪影響を与える虞がある。例えば、押圧ローラを法線方向に押圧できない場合、前記押圧ローラの軸方向の力が発生し、テープ1の押圧ローラ接触面近傍の繊維がずれ、テープ1の断面形状を崩す虞がある。
【0103】
しかしながら、ATL装置10によれば、ATLヘッド20のパラレルリンク機構40により、押圧ローラ31を被貼付面2aの法線方向から正確に押圧することが可能となるため、押圧ローラ31によってテープ1の断面形状が崩れる虞がなく、成型品の品質を向上させることが可能となる。
【0104】
上記実施の形態に係るATL装置10によれば、ATLヘッド制御部46gにより、パラレルリンク機構40の動作制御を押圧ローラ31の離間状態と押圧状態とに応じて適切に切り替えることが可能となっている。
押圧ローラ31の離間状態では、複数のリンク部43の各々の長さがエアシリンダ46でそれぞれ制御されて、エアシリンダ46のロッド部46bが下方に伸び切った状態にならないように、パラレルリンク機構40により押圧部30がATLヘッド20内で所定の基準位置姿勢に保持される。これにより、押圧ローラ31の離間状態において、押圧部30とワーク2とが意図しない箇所で接触や衝突することを防止することができる。
【0105】
また、押圧ローラ31の押圧状態では、複数のリンク部43の各々の長さがエアシリンダ46でそれぞれ制御されて、押圧部30の押圧ローラ31が所定の基準位置姿勢の保持から直接もしくはテープ1を介して被貼付面2aに荷重を付与する姿勢に正確に調整される。
これにより、ワーク2が形状誤差を有している場合であっても、押圧ローラ31による押圧姿勢(荷重姿勢)がワーク2の形状誤差を有する被貼付面2abに倣うように、押圧ローラ31をパラレルリンク機構40により動作させることが可能となる。
【0106】
したがって、押圧ローラ31の離間状態と押圧状態とを切り替えながら3次元形状を有するワーク2の被貼付面2a、2abに対するテープ1の貼付動作を繰り返し行う場合であっても、押圧ローラ31とワーク2とが意図しない箇所で接触や衝突することを防止することができる。さらに、押圧ローラ31の押圧状態では、パラレルリンク機構40を制御して、所定の基準位置姿勢の保持から直接もしくはテープ1を介して被貼付面2a、2abに荷重を付与する姿勢にスムーズに移行することができ、ワーク2の被貼付面2a、2abに対する安定したテープ1の貼付動作の制御を連続的に行うことができる。
【0107】
また、ATL装置10によれば、パラレルリンク機構40のエンド部42にローラ支持部32を介して押圧ローラ31が取り付けられ、また、ローラ支持部32に、フィーダー50と加熱手段60とのうちの少なくともいずれかが一体的に取り付けられている。
このように、押圧ローラ31と、フィーダー50及び加熱手段60のうちの少なくともいずれかとが一体化されて、ATLヘッド20が大重量化したものとなっても、押圧ローラ31の離間状態において、複数のリンク部43が下方に伸び切った状態にならないように、少なくとも押圧ローラ31がATLヘッド20内で所定の基準位置姿勢に適切に保持される。また、ATLヘッド20の重量が増大したものとなっても、押圧ローラ31の押圧状態において、押圧ローラ31が所定の基準位置姿勢の保持から直接もしくはテープ1を介して被貼付面2a、2abに荷重を付与する姿勢に正確に調整されるとともに、フィーダー50によるテープ1の搬送動作、加熱手段60によるテープ1及び/又は被貼付面2a、2abの加熱動作を一定の状態で行うことができる。
そのため、被貼付面2aの形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、押圧ローラ31による押圧姿勢が形状誤差を有する被貼付面2abの形状に倣うように、押圧部30とともに、フィーダー50と加熱手段60とのうちの少なくともいずれかをパラレルリンク機構40により動作させることが可能となる。
【0108】
また、ATL装置10によれば、パラレルリンク機構40のアクチュエータとしてエアシリンダ46が用いられている。したがって、他のシリンダ形式(例えば、油圧シリンダや電動シリンダなど)と比較して、押圧部30を被貼付面2a、2abに押し付けるときの力が吸収又は緩和されやすい構成、いわゆるコンプライアンス特性(受動的な滑らかさ、柔らかさを有する押圧動作)を奏する構成になっている。さらに、ワーク2の形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、前記押圧動作でその形状誤差を吸収する効果を高めることができ、押圧ローラ31による押圧姿勢が形状誤差を有する被貼付面2abの形状に倣うように、押圧部30をエアシリンダ46により一層滑らかに動作させることが可能となる。また、長さを調整するアクチュエータにエアシリンダ46を用いているので、パラレルリンク機構40の省スペース化も図ることができ、嵩張らずに自由度の高いATLヘッド20を実現することができる。
【0109】
また、ATL装置10によれば、エアシリンダ46のロッド部46bの変位を制御することにより、離間状態における所定の基準位置姿勢と、押圧状態における所定の荷重で押圧する姿勢とを切り替える動作の応答性を高めることができる。
また、押圧状態において、エアシリンダ46のロッド部46bの変位を制御する際の応答性を高めることが可能となり、押圧ローラ31による押圧姿勢が被貼付面2aの形状誤差を有する形状に倣うように、エアシリンダ46により押圧部30を応答性良く動作させることが可能となる。
【0110】
また、ATL装置10によれば、所定の基準位置姿勢の保持から直接もしくはテープ1を介して被貼付面2a、2abに荷重を付与する姿勢に移行する際に、被貼付面2a、2abに対する荷重方向が法線方向となる向きで、押圧ローラ31を被貼付面2a、2abに押し当てながらテープ1を貼付することができる。そのため、被貼付面2a、2abに対する安定したテープ1の貼付動作を行うことができる。
【0111】
また、ATL装置10によれば、所定の基準位置姿勢におけるパラレルリンク機構40のベース部41から押圧ローラ31の下端までの高さが、所定のヘッド基準高さZhになるように調整されている。そのため、所定の基準位置姿勢に保持された状態にあるATLヘッド20をガントリ構造体71でワーク2の被貼付面2aの貼付開始位置に移動させた場合に、被貼付面2aの形状が形状設計データ通りであれば(換言すれば、形状誤差がなければ)、押圧ローラ31の下端(換言すれば、被貼付面2aとの接触部分)が、被貼付面2a上に位置することとなる。したがって、その状態のまま被貼付面2aに荷重を付与する姿勢に極めてスムーズに移行することができる。
【0112】
また、ATL装置10によれば、ガントリ構造体71により、被貼付面2aの形状設計データに基づいてATLヘッド20が移動される。そして、パラレルリンク機構40により、離間状態では、少なくとも押圧部30がATLヘッド20内で所定の基準位置姿勢に保持されるように調整され、押圧状態では、押圧部30の押圧ローラ31が被貼付面2a、2abに所定の荷重を付与する姿勢に調整される。
したがって、ワーク2の被貼付面2aの形状が設計形状に対して形状誤差を有している場合であっても、押圧ローラ31による押圧姿勢が形状誤差を有する被貼付面2abの形状に倣うように、押圧ローラ31をパラレルリンク機構40により動作させることが可能となる。そのため、被貼付面2a、2abに対する安定したテープ1の貼付動作を連続的に行うことができる。
【0113】
また、ATL装置10によれば、ガントリ構造体71のY軸直動機構74に取り付けられたZ軸直動機構75にATLヘッド20が取り付けられているので、Y軸直動機構74とZ軸直動機構75によって、ATLヘッド20の直線運動の制御(この場合、YZ軸方向への運動制御)が安定して行えることとなる。
この直線運動の安定制御とパラレルリンク機構40の制御とを組み合わせることによって、押圧ローラ31の離間状態と押圧状態とを切り替えながら被貼付面2a、2abに対するテープ1の貼付動作を繰り返し行う場合に、所定の基準位置姿勢の保持から直接もしくはテープ1を介して被貼付面2a、2abに荷重を付与する姿勢にスムーズに移行することができ、被貼付面2a、2abに対する安定したテープ1の貼付動作を連続的に行うことができる。
【0114】
また、ATL装置10によれば、ガントリ構造体71が、XYZ軸方向の各直動機構と、ヨー(θz)方向に回動するXθz軸ステージ73とを備え、パラレルリンク機構40が、押圧ローラ31をロール(θy)方向、及びピッチ(θx)方向に回動可能に構成されている。係る構成により、パラレルリンク機構40を4本のリンク部43で構成することが可能となり、パラレルリンク機構40の構成を簡素化することができる。
【0115】
また、ATL装置10によれば、ATLヘッド制御部46gにより、複数のリンク部43を構成するエアシリンダ46の各々の長さ制御の応答性を高めることが可能となり、押圧ローラ31の押圧位置及び/又は押圧姿勢を被貼付面2a、2abの形状に倣わせる動作の応答性を高めることができる。
【0116】
また、ATL装置10によれば、パラレルリンク機構40のエンド部42にローラ支持部32を介して押圧ローラ31が取り付けられ、また、ローラ支持部32に取付ガイド61を介してフィーダー50と加熱手段60とが取り付けられている。この構成によって、押圧ローラ31、フィーダー50、及び加熱手段60を一体化させた状態で、被貼付面2a、2abの形状に倣うように移動させることができ、押圧ローラ31による押圧動作とともに、フィーダー50によるテープ1の搬送動作、加熱手段60によるテープ1及び/又は被貼付面2a、2abの加熱動作を一定の状態で行うことができる。
【0117】
また、ATL装置10によれば、パラレルリンク機構40のベース部41が、ガントリ構造体71に取り付けられているので、ガントリ構造体71によって、ATLヘッド20のXYZ軸方向への運動制御が安定して行える。そして、これら直線運動の安定制御とパラレルリンク機構40の制御とを組み合わせることによって、ATLヘッド20の押圧ローラ31の押圧位置及び/又は押圧姿勢を被貼付面2a、2abの形状に倣うように正確に制御する動作を容易に実現することができる。また、ガントリ構造体71と組み合わせることにより、ATLヘッド20のワークスペースを広げることができる。
【0118】
また、ATLヘッド20がガントリ構造体71に取り付けられた場合は、多関節ロボットに取り付けられた場合と比較して、次の利点が得られる。すなわち、ATLヘッド20の剛性を高めることができ、ATLヘッド20による押圧力を高めることができ、さらに、ATL装置10のフットプリント(換言すると、装置全体の動作範囲を含めた占有体積)を小さくできるという利点が得られる。
【0119】
また、ATL装置10によれば、ガントリ構造体71が、XYZ軸方向の各直動機構と、ヨー(θz)方向に回動するXθz軸ステージ73とを備え、パラレルリンク機構40が、4本のリンク部43で構成されているので、パラレルリンク機構40の構成を簡素化することができる。
【0120】
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上記説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の改良、変更、又は構成の組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0121】
例えば、上記実施の形態では、ATLヘッド20がガントリ構造体71のZ軸直動機構75に取り付けられていたが、別の実施の形態では、ATLヘッド20が多関節ロボットのアーム先端部に取り付けられてもよい。
多関節ロボットでは、各関節部(ジョイント部)の運動誤差が蓄積しやすいが、パラレルリンク機構40は、各ジョイント部の運動誤差が蓄積しにくいため、多関節ロボットの位置決め精度を補完することができ、前記多関節ロボットを用いて被貼付面2aに対するテープ1の貼付性能を高めることができる。また、多関節ロボットと組み合わせることにより、ATLヘッド20のワークスペースを広げることができる。
【0122】
また、上記実施の形態では、ハンドリングロボット70と押圧部30との間に設けられて、押圧部30の位置姿勢を調整可能な調整部として、パラレルリンク機構40が採用されているが、別の実施の形態では、前記調整部として、1つのエアシリンダを有する機構が採用されてもよく。例えば、移動手段としてのガントリ構造体又は多関節ロボットと、調整部が1つのエアシリンダを有する機構で構成されたATLヘッドとが組み合わされた構成にすることも可能である。
【0123】
また、上記実施の形態では、パラレルリンク機構40のリンク部43として、エアシリンダ46などの直動式(伸縮形)のアクチュエータが用いられている場合について説明したが、別の実施の形態では、リンク部43に回転形のアクチュエータが用いられたパラレルリンク機構で構成することも可能である。
【0124】
本発明は、テープを被貼付面に貼り付けて3次元形状を有する成型品を製造する場合など、被貼付面に対するテープの貼付性能を高めることが要求されるあらゆる分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 テープ
2 ワーク
2a、2ab 被貼付面
10 ATL装置(テープ貼付装置)
20 ATLヘッド(貼付ヘッド)
30 押圧部
31 押圧ローラ
32 ローラ支持部
40 パラレルリンク機構
41 ベース部
42 エンド部
43 リンク部
44、45 自在継手
46 エアシリンダ(アクチュエータ)
46a シリンダ部
46b ロッド部
46c 圧力センサ(圧力検出部)
46d 変位センサ(変位検出部)
46e サーボバルブ
46f 空気供給部
46g ATLヘッド制御部
50 フィーダー(搬送手段)
60 加熱手段
61 取付ガイド
70 ハンドリングロボット
70a ロボット制御部
71 ガントリ構造体
72 X軸直動機構
72a X軸ガイド部
72b X軸スライドテーブル
73 Xθz軸ステージ
74 Y軸直動機構
74a Y軸ガイド部
74b Y軸スライダ
75 Z軸直動機構
75a Z軸ガイド部
75b Z軸スライダ
75c Z軸ブラケット
76 ATLヘッド取付部(貼付ヘッド取付部)
A 法線方向
B 貼付ポイント

200 貼付ヘッド
300 押圧部
400 押圧機構
430 リンク部
図1
図2
図3
図4
図5
図6