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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150884
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20220929BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20220929BHJP
   F24C 15/20 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/00 F
F24C15/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053681
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 直司
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB03
4B040AC01
4B040AE13
4B040CA02
4B040CA17
4B040GD30
4B040NA06
(57)【要約】
【課題】アフターバーナ部の炎口面に煮汁がかかるのを防止できるグリルを提供する。
【解決手段】グリル装置は、排気ダクト4の下部を構成する底部材40を備える。底部材40の右固定部と左固定部は、アフターバーナユニット5の左右両側を支持する。底部材40に支持されたアフターバーナユニット5の炎口面55とは反対側の下面側には、煮汁用通路200が設けられる。煮汁用通路200は、排気ダクト4の上部に設けられたグリル排気口39から排気ダクト4内の壁面を伝って流れ落ちる煮汁を、アフターバーナ部の下面側を通過させてグリル庫2内へ導く。これにより、グリル装置は、排気ダクト4内において、排気ダクト4内に侵入した煮汁を、アフターバーナユニット5の炎口面55に接触させることなくグリル庫2内へ流すことができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容するグリル庫と、
前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、
前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記食材から発生した油煙と臭気成分を前記後部に設けられた排気用開口から上方へ導く排気ダクトと、
前記排気ダクト内に設けられ、前記排気用開口側に向く炎口面を備え、前記炎口面に形成された火炎により前記油煙と前記臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナ部と
を備えたグリルにおいて、
前記排気ダクト内に設けられ、前記アフターバーナ部を支持する支持手段と、
前記支持手段に支持された前記アフターバーナ部の前記炎口面とは反対側の下面側に設けられ、前記排気ダクトの上部に設けられたグリル排気口から前記排気ダクト内の壁面を伝って流れ落ちる煮汁を、前記アフターバーナ部の前記下面側を通過させて前記グリル庫内へ導く煮汁用通路と
を備えたこと
を特徴とするグリル。
【請求項2】
前記支持手段は、前記アフターバーナ部の前記下面と前記排気ダクト内の壁面との間に前記煮汁用通路としての隙間を形成した状態で、前記アフターバーナ部の左右両側を支持すること
を特徴とする請求項1に記載のグリル。
【請求項3】
前記グリルバーナは、
前記グリル庫の上壁部に設けられた上火バーナと、
前記グリル庫の左右の両側壁部に設けられた下火バーナと
を備え、
前記煮汁用通路の前記煮汁が流れ落ちる方向の下流側の出口の高さは、前記下火バーナの炎口の高さよりも低いこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のグリル。
【請求項4】
前記グリル庫内には、前記食材が載置される焼き網と、前記焼き網の下方に配置される受皿とが出し入れ自在に収容され、
前記煮汁用通路の出口は、前記グリル庫内に収容された前記受皿の上方に配置されたこと
を特徴とする請求項1から3の何れか一に記載のグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材を収容するグリル庫と、グリル庫内の食材を加熱するグリルバーナと、食材から発生した油煙や臭気成分をグリル庫奥部の排気用開口からグリル本体の上方へ導く排気通路と、排気通路に配設され且つ前記油煙や臭気成分を加熱焼失するアフターバーナとを備えたグリルにおいて、グリル本体の上方から排気通路の構成壁を伝って流れ落ちる煮汁を、アフターバーナから回避させて前記排気用開口側へ導くガイド板を備えたグリルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5281985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のグリルにおいては、一度に大量の煮汁等が排気通路内に流入した場合、ガイド板を乗り越えてアフターバーナにかかる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、アフターバーナ部の炎口面に煮汁がかかるのを防止できるグリルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のグリルは、食材を収容するグリル庫と、前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記食材から発生した油煙と臭気成分を前記後部に設けられた排気用開口から上方へ導く排気ダクトと、前記排気ダクト内に設けられ、前記排気用開口側に向く炎口面を備え、前記炎口面に形成された火炎により前記油煙と前記臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナ部とを備えたグリルにおいて、前記排気ダクト内に設けられ、前記アフターバーナ部を支持する支持手段と、前記支持手段に支持された前記アフターバーナ部の前記炎口面とは反対側の下面側に設けられ、前記排気ダクトの上部に設けられたグリル排気口から前記排気ダクト内の壁面を伝って流れ落ちる煮汁を、前記アフターバーナ部の前記下面側を通過させて前記グリル庫内へ導く煮汁用通路とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2のグリルの前記支持手段は、前記アフターバーナ部の前記下面と前記排気ダクト内の壁面との間に前記煮汁用通路としての隙間を形成した状態で、前記アフターバーナ部の左右両側を支持してもよい。
【0008】
請求項3のグリルの前記グリルバーナは、前記グリル庫の上壁部に設けられた上火バーナと、前記グリル庫の左右の両側壁部に設けられた下火バーナとを備え、前記煮汁用通路の前記煮汁が流れ落ちる方向の下流側の出口の高さは、前記下火バーナの炎口の高さよりも低くてもよい。
【0009】
請求項4のグリルの前記グリル庫内には、前記食材が載置される焼き網と、前記焼き網の下方に配置される受皿とが出し入れ自在に収容され、前記煮汁用通路の出口は、前記グリル庫内に収容された前記受皿の上方に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のグリルによれば、排気ダクト内に侵入した煮汁を、アフターバーナ部の炎口面に接触させることなくグリル庫内へ流すことができる。よって、グリルは、アフターバーナ部の炎口面における炎口の詰まり及び腐食等に対する耐久性を向上できる。
【0011】
請求項2のグリルによれば、排気ダクト内においてアフターバーナ部を安定して支持できると共に、煮汁用通路を容易に形成できる。
【0012】
請求項3のグリルによれば、煮汁用通路の出口の高さは、下火バーナの炎口の高さよりも低いので、出口から流れ落ちた煮汁が下火バーナの炎口に付着するのを防止できる。
【0013】
請求項4のグリルによれば、煮汁用通路の出口から落ちる煮汁を受皿で受けることができる。これにより、グリル庫内の底面が煮汁で汚れるのを防止できる。さらに、受皿をグリル庫内から取り出すだけで、受皿に落ちた煮汁を回収できるので、グリル庫内の清掃の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】グリル装置1の斜視図である。
図2】グリル装置1の断面斜視図である。
図3図2に示すW1領域内の拡大図である。
図4】グリル装置1の後側の断面図である。
図5】排気ダクト4の斜視図である。
図6】排気ダクト4の分解斜視図である。
図7】アフターバーナユニット5の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0016】
図1図4を参照し、グリル装置1の構成を説明する。グリル装置1は、図示しないコンロの筐体内に取り付けられる。図1図2に示すように、グリル装置1は、グリル庫2、グリル扉3、排気ダクト4等を備える。
【0017】
グリル庫2は略直方体の箱状に形成され、上壁部11、右壁部12、左壁部13(図2参照)、底壁部14を備える。グリル庫2の前側には、正面視矩形状のグリル開口部(図示略)が設けられる。上壁部11には上火バーナ21が設けられる。上火バーナ21はグリル庫2内に向けて火炎を形成する。右壁部12内面の略中段には、下火バーナ22の右炎口部(図示略)が設けられる。左壁部13内面の略中段には、下火バーナ22の左炎口部24が設けられる。右炎口部と左炎口部24は前後方向に延び、同一高さ位置で互いに対向する。右炎口部と左炎口部24は、グリル庫2内に向けて火炎を形成する。下火バーナ22のガスの取込口221は、グリル庫2の右後方部に設けられる。
【0018】
グリル扉3はグリル庫2前側に設けられ、グリル開口部を開閉する。グリル扉3の背面下部には、支持枠16(図2参照)が固定される。支持枠16は、焼き網(図示略)と受皿17を着脱可能に支持する。支持枠16は、グリル庫2の底壁部14上面の左右両側に設けられたレール機構(図示略)により前後方向に移動可能に支持される。それ故、グリル扉3は支持枠16と一体して手前側に引き出し可能であり、焼き網と受皿17をグリル庫2外に同時に取り出せる。
【0019】
排気ダクト4はグリル庫2の後部に設けられる。排気ダクト4は、グリル庫2の後部から後側で且つ斜め上方に傾斜して延びる略角筒状に形成される。排気ダクト4の内側は、排気ダクト4の前側に位置する後述の排気用開口38(図3図4参照)を介してグリル庫2内と連通する。排気ダクト4の上部には、グリル排気口39が設けられる。グリル排気口39は上方に向けて開口し、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。グリル庫2内からの燃焼排気は排気ダクト4内を上方に流れ、グリル排気口39から外部へ排出される。なお、排気ダクト4の具体的構造は後述する。
【0020】
図2図4に示すように、排気ダクト4内において、燃焼排気が流れる方向の上流側であって、排気ダクト4内の下部には、アフターバーナユニット5が設けられる。アフターバーナユニット5は、アフターバーナ50を備える。アフターバーナ50の炎口面55は、排気ダクト4内の下部において、前側から後側にかけて斜め上方に傾斜し、燃焼排気の流れに沿うように配置される。アフターバーナ50は、燃焼排気中に含まれる食材から発生した油煙や臭気成分を加熱して減少させる。なお、アフターバーナユニット5の具体的構造は後述する。
【0021】
アフターバーナユニット5の中央部分の下側には、煮汁用通路200が設けられる。煮汁用通路200は、グリル排気口39から侵入して排気ダクト4内の背面を伝って流れ落ちる煮汁をアフターバーナユニット5の下側を通過させ、グリル庫2内に案内する。なお、煮汁用通路200の構成と機能については後述する。
【0022】
排気ダクト4内において、アフターバーナ50の下流側には、整流板57が設けられる。整流板57は、平面視左右方向に長い略矩形状の金属板である。整流板57は、炎口面55の後端部付近から後側で且つ斜め上方に傾斜して設けられる。整流板57は、炎口面55上を通過する燃焼排気を、上方に位置する後述のフレームトラップ110に向けて案内する。これにより、排気ダクト4は、アフターバーナ50によって減炎減臭された燃焼排気をフレームトラップ110に向けて良好に流すことができる。
【0023】
また、整流板57は、炎口面55に対して前側よりも後側が高くなるように傾斜して配置される。整流板57を設けない場合、燃焼排気は炎口面55に沿ってそのまま後方に通過するので、炎口面55に形成される多数の火炎は、燃焼排気の流れによって後方に寝てしまう。本実施形態では、炎口面55の下流側に整流板57が設けられるので、炎口面55上を通過する燃焼排気は、整流板57の傾斜によってその流れが一時的に抑えられ、その後、整流板57によって上方に向けて流れる。これにより、炎口面55に形成される火炎は後方に寝た状態から前方に押し戻されることから、炎口面55に対して直交する方向に立ち上がる。よって、アフターバーナ50は、炎口面55に形成される多数の火炎を、炎口面55上を通過する燃焼排気の流れに対して直交する方向に向けることができるので、燃焼排気を十分に加熱できる。
【0024】
排気ダクト4内において、アフターバーナユニット5の下流側で、且つ排気ダクト4の高さ方向略中段には、フレームトラップ110が取り付けられる。フレームトラップ110は消炎部材であり、例えばステンレス等からなるラス網等の2枚の多孔板の両端を曲げ加工し、それを上下方向に向かい合わせて直方体の筒状に形成したものである。フレームトラップ110は、前端側より後端側が低くなるように傾斜し、燃焼排気の流れる方向に相対するように取り付けられる。燃焼排気はフレームトラップ110の網を通り抜け、グリル排気口39から外部に排出される。
【0025】
排気ダクト4内において、整流板57とフレームトラップ110の間の上側には、ガイド板58が設けられる。ガイド板58は、前端側から後端側にかけて斜め上方に傾斜し、その後端部は、フレームトラップ110の前端部に配置される。ガイド板58は、グリル庫2内から排気ダクト4の上側を流れる燃焼排気をフレームトラップ110に向けて案内する。
【0026】
図5図6を参照し、排気ダクト4の構造を具体的に説明する。排気ダクト4は、ダクト本体30と底部材40を備え、上下方向に互いに組付けられることによって略角筒状に形成される。燃焼排気は、排気ダクト4の前側に設けられた排気用開口38から排気ダクト4内に流入し、排気ダクト4内に沿って斜め上方に流れ、排気ダクト4の後方上部に設けられたグリル排気口39から外部に排出される。
【0027】
図6に示すように、ダクト本体30は、底面側が開口された箱状に形成され、前板部31、上板部32、右板部33、左板部34、背板部35、前方突出部36、仕切壁37を備える。前板部31は、正面視略逆U字状に形成される。
【0028】
上板部32は、前板部31の上端部から後側で且つ斜め上方に傾斜して延び、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。上板部32の上端部は上方に屈曲される。上板部32の内面で且つ上端部よりもやや下側には、U字部材120が固定される。U字部材120は断面略U字状に形成され、固定部121、上側突出部122、下側突出部123を備える。固定部121は左右方向に延びる略矩形状に形成され、上板部32の内面に密着した状態で3つのネジ97で固定される。上側突出部122と下側突出部123は、固定部121の上端部と下端部から夫々、背板部35の内面に向かって突出する。上側突出部122と下側突出部123は互いに平行である。U字部材120は、グリル排気口39の上板部32の内面を伝って流れ落ちる煮汁を受け止めて落下させる。
【0029】
背板部35は、下端部から上端部に向かって後側に傾斜しながら延び、背面視左右方向に長い略矩形状に形成される(図4参照)。背板部35の上端部は上方に屈曲される。上板部32と背板部35の間に形成される燃焼排気の通路は、下方から上方に向かうに従って前後方向の幅が狭くなる先細り状に形成される。
【0030】
右板部33は、前板部31、上板部32、背板部35の夫々の右端部の間を右側方から閉塞するように設けられる。右板部33は、右側面視上方に向かうに従って前後方向の幅が狭くなる先細り状に形成される。右板部33の下側の後方角部には、右側方に突出する右固定部331が設けられる。右固定部331の中央には、固定穴332が設けられる。右板部33の下端部には、上方に向かって円弧状に形成された凹部335が設けられる。凹部335の内側には、アフターバーナ50の後述のガス流入部52が配置される。
【0031】
左板部34は、前板部31、上板部32、背板部35の夫々の左端部の間を左側方から閉塞するように設けられる。左板部34は、左側面視上方に向かうに従って前後方向の幅が狭くなる先細り状に形成される。左板部34の下側の後方角部にも、左側方に突出する左固定部(図示略)が設けられる。左固定部の中央には、固定穴(図示略)が設けられる。上板部32の上端部、背板部35の上端部、右板部33の上端部、左板部34の上端部に取り囲まれる内側に、矩形状のグリル排気口39が形成される。
【0032】
前方突出部36は、前板部31の正面視略逆U字状の下端部から前方に突出して設けられ、下半分が切断された略半筒状に形成される。仕切壁37は、前方突出部36の前端部に沿って設けられ、正面視略逆U字状に形成される。仕切壁37は、グリル庫2内と排気ダクト4内とを仕切る壁である。仕切壁37の略逆U字状の下端部の内側には、排気用開口38が形成される。排気用開口38は、正面視左右方向に長い略矩形状に形成される。
【0033】
底部材40は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成され、ダクト本体30の開口する底部に下側から閉塞するように固定される。底部材40は、底面部41、右固定部42、左固定部43、垂下部49を備え、排気ダクト4内の下部を形成する。底面部41は、底部材40の左右方向中央部に設けられる。底面部41は、中央傾斜面411、右側傾斜面412、左側傾斜面413を備える。中央傾斜面411は、底面部41の左右方向中央部に設けられ、前端側から後端側に向かって斜め上方に傾斜する。右側傾斜面412は、中央傾斜面411の右端部から右側で且つ斜め上方に傾斜する。左側傾斜面413は、中央傾斜面411の左端部から左側で且つ斜め上方に傾斜する。
【0034】
中央傾斜面411の中央には、開口部(図示略)が設けられ、その開口部を覆うようにして、センサ固定台44が二つのネジ47,48で固定される。センサ固定台44は側面視略三角形の箱状に形成され、前側に固定面45を備える。固定面45は前方に向けられ、正面視矩形状に形成される。固定面45には、センサ支持部材81がネジ82で正面から固定される。センサ支持部材81は、棒状の温度センサ80を前方に向けて支持する。温度センサ80は前端部に検知部を備え、グリル庫2内の雰囲気温度を検知する。固定面45の中央には、挿入穴(図示略)が設けられる。挿入穴には、温度センサ80の後端側が後方に向けて挿入される(図4参照)。温度センサ80の後端部に接続された配線801は、センサ固定台44の内側と中央傾斜面411の開口部を介して底部材40の後方に引き出される。また、中央傾斜面411の上面において、センサ固定台44の後方には、煮汁除け部46が設けられる。煮汁除け部46は平面視略V字状に形成され、リブ状に上方に突出する。センサ固定台44は、煮汁除け部46のV字状の内側に配置される。
【0035】
右固定部42は、底面部41の右端部から右側方に延出され、平面視前後方向に長い略矩形状に形成される。右固定部42の右後方角部には固定穴421が設けられ、左端部近傍で且つ前後方向の中央よりも前側には固定穴422が設けられる。右固定部42の上面後端側には、バーナ支持部423が立設される。バーナ支持部423の上端部は円弧状に形成される。左固定部43は、底面部41の左端部から左側方に延出され、平面視前後方向に長い略矩形状に形成される。左固定部43の左端部近傍で且つ前後方向の中央には固定穴431が設けられ、その右側には固定穴432が設けられる。
【0036】
図6図7を参照し、アフターバーナユニット5の構造を具体的に説明する。図6に示すように、アフターバーナユニット5は、下から順に、アフターバーナ50、第1カバー60、第2カバー70、電極支持板101、センサ支持板102、イグナイタ電極27、失火センサ28等を備える。
【0037】
アフターバーナ50は、取込口51、ガス流入部52、本体部53、炎口面55を備える。取込口51は右方に向けて開口する略円筒状に形成される。取込口51はガスと空気を内側に取り込む。ガス流入部52は、取込口51から左方に延びる略筒状に形成される。ガス流入部52は取込口51から取り込んだガスと空気を本体部53に向けて供給する。本体部53は、平面視左右方向に長い略矩形の板状に形成される。本体部53の上面は、後述の第1カバー60を取り付ける為の取付面である。本体部53の上面において、炎口面55は、ガス流入部52の中心線から前方にずれた位置に設けられる。炎口面55は多数の炎口を備える。
【0038】
本体部53の下面側には、ガス通路部(図示略)が下方に膨出して設けられる。ガス通路部は、ガス流入部52から供給されたガスと空気を混合して拡散しながら炎口面55の各炎口に供給する。本体部53において、炎口面55の右側には固定穴531が設けられる。炎口面55の後側で且つ左右方向中央部には固定穴532が設けられる。炎口面55の左側には固定穴533が設けられる。
【0039】
第1カバー60は、平面視左右方向に長い略矩形枠状に形成される。第1カバー60は、枠部61、上側垂下部62、段部63、下側垂下部64、右固定部65、左固定部66を備える。枠部61は、平面視左右方向に長い略矩形枠状に形成され、その中央部には、平面視略左右方向に長い略矩形状の開口部68が設けられる。開口部68は、アフターバーナ50の炎口面55を内側に配置可能な大きさを有する。開口部68の後側で且つ左右方向中央よりも右側には、固定穴611が設けられる。開口部68の右側には、固定穴612が設けられる。開口部68の左側には、固定穴613が設けられる。
【0040】
上側垂下部62は、枠部61の前端部から下方に垂下し、正面視左右方向に長い略矩形状に形成される。上側垂下部62の左右方向中央部には、開口(図示略)が設けられる。開口は、底部材40のセンサ固定台44の固定面45から前方に突出する温度センサ80の先端部を挿通させる。段部63は、上側垂下部62の下端部から前方に突出して設けられ、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。段部63の左右方向中央部には、センサ配置部631が設けられる。センサ配置部631は正面視略U字状に形成された凹部であり、その底面は段部63よりも低い位置に設けられる。
【0041】
センサ配置部631には、箱状のセンサカバー85が配置される。センサカバー85は、上側垂下部62の開口(図示略)から前方に突出する温度センサ80の先端部の周囲を覆う。センサカバー85の左側部には、左方に延びる被固定部86が設けられる。被固定部86は、上側垂下部62の前面にネジ87で前方から固定される。これにより、センサカバー85は、センサ配置部631に配置された状態で上側垂下部62の前面に固定される。下側垂下部64は、段部63の前端部から下方に垂下し、正面視左右方向に長い略矩形状に形成される。
【0042】
右固定部65は、枠部61の右端部の後部から右側方に突出して設けられ、その中央には固定穴651が設けられる。左固定部66は、枠部61の左端部の後部から左側方に突出して設けられ、その中央には固定穴661が設けられる。
【0043】
第2カバー70も、第1カバー60と同様に平面視左右方向に長い略矩形枠状に形成される。第2カバー70の中央部には、平面視略左右方向に長い略矩形状の開口部71が設けられる。開口部71は、第1カバー60の開口部68と同様の大きさを有する。開口部71の右側には、固定穴72が設けられる。開口部71の左側には、固定穴73が設けられる。開口部71の後側には、丸穴74が設けられる。
【0044】
電極支持板101は、イグナイタ電極27を支持する。電極支持板101は、電極対向部105を備え、イグナイタ電極27の先端部と所定ギャップを介して対向する。電極支持板101には、固定穴103が設けられる。センサ支持板102は、失火センサ28を支持する。センサ支持板102には、固定穴104が設けられる。
【0045】
図6を参照し、アフターバーナユニット5の組み立て方法の一例を説明する。組付け作業者は、アフターバーナ50を、炎口面55を上に向けた状態で配置する。アフターバーナ50の上面に対して、第1カバー60を位置決めして配置する。このとき、第1カバー60の開口部68の内側に炎口面55を配置する。そして、ネジ99を、第1カバー60の固定穴611、アフターバーナ50の固定穴532に挿入し、反対側からナット(図示略)で固定する。これにより、アフターバーナ50の上面に第1カバー60が固定される。次いで、第1カバー60の上面に対して、第2カバー70を位置決めして配置する。このとき、第2カバー70の開口部71の内側に、第1カバー60の開口部68を介して炎口面55を配置する。さらに、第2カバー70の丸穴74の内側に、第1カバー60の上面に締結されたネジ99の頭部を配置する(図7参照)。
【0046】
次いで、第2カバー70の上面右側に電極支持板101を位置決めして配置する。このとき、イグナイタ電極27の先端部と電極対向部105は、炎口面55側に配置される。第2カバー70の上面左側にセンサ支持板102を位置決めして配置する。このとき、失火センサ28の先端部は、炎口面55側に配置される。
【0047】
最後に、アフターバーナ50の上面に、第1カバー60、第2カバー70、電極支持板101及びセンサ支持板102が積み重ねられた状態で、ネジ93を、電極支持板101の固定穴103、第2カバー70の固定穴72、第1カバー60の固定穴612、アフターバーナ50の固定穴531に挿入し、反対側からナット(図示略)で固定する。そして、ネジ94を、センサ支持板102の固定穴104、第2カバー70の固定穴73,第1カバー60の固定穴613、アフターバーナ50の固定穴533に挿入し、反対側からナット(図示略)で固定する。これにより、図7に示すように、アフターバーナユニット5が一体して組み立てられる。
【0048】
図6図7を参照し、排気ダクト4内へのアフターバーナユニット5の組付け方法の一例を説明する。図7に示すアフターバーナユニット5を、図6に示す底部材40に上方から位置決めして配置する。このとき、アフターバーナ50の取込口51を、右固定部42に設けられたバーナ支持部423の円弧状の上端部に配置する。さらに、第1カバー60の右固定部65と左固定部66を、底部材40の右固定部42と左固定部43に夫々位置決めして配置する。底部材40上にアフターバーナユニット5が位置決めされた状態で、ネジ95を、第1カバー60の右固定部65の固定穴651、底部材40の右固定部42の固定穴422に挿入し、反対側からナット(図示略)で固定する。ネジ96を、第1カバー60の左固定部66の固定穴661、底部材40の左固定部43の固定穴432に挿入し、反対側からナット(図示略)で固定する。これにより、底部材40に対して、アフターバーナユニット5が固定される。
【0049】
このように、底部材40は、アフターバーナユニット5の下面と、底部材40の底面部41の中央傾斜面411との間に、煮汁用通路200としての隙間を形成した状態で、アフターバーナユニット5の左右両側を支持するので、排気ダクト4内においてアフターバーナユニット5を安定して支持できると共に、煮汁用通路200を容易に形成できる。
【0050】
そして、アフターバーナユニット5が固定された底部材40に対して、上方からダクト本体30を位置決めして配置する。このとき、ダクト本体30の右固定部331と左固定部(図示略)を、底部材40の右固定部42と左固定部43に位置決めして配置する。底部材40にダクト本体30が位置決めされた状態で、ネジ91を、ダクト本体30の右固定部331の固定穴332、底部材40の右固定部42の固定穴421に挿入し、反対側からナット(図示略)で固定する。ネジ92を、ダクト本体30の左固定部の固定穴(図示略)、底部材40の左固定部43の固定穴431に挿入し、反対側からナット(図示略)で固定する。これにより、底部材40に対してダクト本体30が固定され、内側にアフターバーナユニット5が組付けられた状態で、排気ダクト4が構成される。
【0051】
図4を参照し、煮汁用通路200の構造と機能を説明する。アフターバーナ50の下側と、底面部41の中央傾斜面411(図6参照)との間には、上下方向に離間する隙間が設けられる。さらに、排気ダクト4の底部材40の垂下部49の前面と、アフターバーナユニット5の第1カバー60の下側垂下部64の背面との間には、前後方向に離間する隙間が設けられる。これらの隙間が互いに連通することにより、煮汁用通路200が形成される。煮汁用通路200の出口201は、垂下部49の下端部と、下側垂下部64の下端部との間に形成され、下方に向かって開口する。出口201は、グリル庫2内の後部で且つ下火バーナ22の左炎口部24よりも下方に配置される。
【0052】
このような排気ダクト4において、グリル排気口39から排気ダクト4内に侵入し、背板部35を流れ落ちる煮汁は煮汁用通路200に沿って流れる。そして、中央傾斜面411(図6参照)において、煮汁は、煮汁除け部46によりセンサ固定台44を除けるように左右両側に案内され、そのまま流れ落ちる。これにより、センサ固定台44に固定される温度センサ80に煮汁がかかるのを防止できる。このようにして、煮汁が煮汁用通路200に沿って流れることにより、グリル装置1は、煮汁をアフターバーナ50の炎口面55に接触させることなく、グリル庫2内へ流すことができる。よって、アフターバーナ50の炎口面55における炎口の詰まり及び腐食等に対する耐久性を向上できる。さらに、煮汁用通路200の出口201は、下火バーナ22の右炎口部及び左炎口部24の高さよりも低いので、出口201から流れ落ちた煮汁が下火バーナ22の右炎口部及び左炎口部24に付着するのを防止できる。
【0053】
また、出口201は、グリル庫2内に収容された受皿17の後部の上方に位置する。これにより、グリル装置1は、出口201から落ちる煮汁を受皿17で受けることができる。よって、グリル庫2の底壁部14が煮汁で汚れるのを防止できる。また、使用者は、受皿17をグリル庫2内から取り出すだけで、受皿17に落ちた煮汁を回収できるので、グリル庫2内の清掃の手間を省くことができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のグリル装置1は、グリル庫2、上火バーナ21、下火バーナ22、排気ダクト4、アフターバーナユニット5を備える。グリル庫2は食材を収容する。上火バーナ21と下火バーナ22はグリルバーナであって、グリル庫2内に設けられ、食材を加熱する。排気ダクト4は、グリル庫2の後部から上方に延設され、食材から発生した油煙と臭気成分を後部に設けられた排気用開口38から上方へ導く。アフターバーナユニット5は、排気ダクト4内に設けられる。アフターバーナユニット5は、排気用開口38側に向く炎口面55を備え、炎口面55に形成された火炎により油煙と臭気成分を加熱して減少させる。
【0055】
上記構成を備えるグリル装置1は、排気ダクト4の下部を構成する底部材40を備える。底部材40の右固定部42と左固定部43は、アフターバーナユニット5の左右両側を支持する。底部材40に支持されたアフターバーナユニット5の炎口面55とは反対側の下面側には、煮汁用通路200が設けられる。煮汁用通路200は、排気ダクト4の上部に設けられたグリル排気口39から排気ダクト4内の壁面を伝って流れ落ちる煮汁を、アフターバーナ部の下面側を通過させてグリル庫2内へ導く。これにより、グリル装置1は、排気ダクト4内において、排気ダクト4内に侵入した煮汁を、アフターバーナユニット5の炎口面55に接触させることなくグリル庫2内へ流すことができる。よって、アフターバーナユニット5の炎口面55における炎口の詰まり及び腐食等に対する耐久性を向上できる。
【0056】
上記説明において、グリル装置1は本発明の「グリル」の一例である。底部材40の右固定部42と左固定部43は、本発明の「支持手段」の一例である。アフターバーナユニット5は、本発明の「アフターバーナ部」の一例である。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のグリル装置1は、コンロの筐体内に設置されるものであるが、それ単体のグリル装置であってもよい。グリル装置1は、本発明の「グリルバーナ」としての上火バーナ21と下火バーナ22を備えるが、上火バーナ21及び下火バーナ22の何れか一方のみを備えていてもよい。排気ダクト4内において、整流板57、フレームトラップ110は省略してもよい。
【0058】
上記実施形態では、底部材40の右固定部42と左固定部43に対して、アフターバーナユニット5の左右両端側を固定することによって、その左右両端側を除く中央部を、底部材40の底面部41から浮かせた状態で支持するが、これ以外の方法で、アフターバーナユニット5を底部材40の底面部41から浮かせた状態で支持してもよい。例えば、アフターバーナユニット5の上面部を上方から支持することによって、底部材40の底面部41から浮かせてもよい。
【0059】
グリル装置1は、アフターバーナ50に、第1カバー60、第2カバー70、電極支持板101、センサ支持板102を組み合わせたアフターバーナユニット5を備え、そのアフターバーナユニット5を底部材40に固定するが、アフターバーナ50を底部材40に固定してもよい。電極支持板101とセンサ支持板102を、排気ダクト4内に固定してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 グリル装置
2 グリル庫
4 排気ダクト
5 アフターバーナユニット
11 上壁部
12 右壁部
13 左壁部
17 受皿
21 上火バーナ
22 下火バーナ
24 左炎口部
38 排気用開口
39 グリル排気口
40 底部材
42 右固定部
43 左固定部
50 アフターバーナ
55 炎口面
200 煮汁用通路
201 出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7