(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150916
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】パネル体およびパネル体の製造方法
(51)【国際特許分類】
E06B 3/70 20060101AFI20220929BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20220929BHJP
E04C 2/36 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E06B3/70 Z
E04B2/74 541J
E04C2/36 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053723
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐三
【テーマコード(参考)】
2E016
2E162
【Fターム(参考)】
2E016HA00
2E016HA09
2E016JA19
2E016JC03
2E016KA05
2E016KA07
2E016LA01
2E016LB01
2E016LB03
2E016LB05
2E016LB17
2E016LC03
2E016MA03
2E016MA11
2E016RA00
2E162CB02
2E162CB07
2E162CC10
2E162CD04
(57)【要約】
【課題】パネル体3を、接着剤を介して第一、第二面板9、10とこれらのあいだに介装される充填材8とをプレス加工により接着することで形成したときに、第一面板9と補助充填材8aとを除去して外部装置5を収納するため凹溝状の空間部6を簡単に形成できるようにする。
【解決手段】第二面板10の収納部6相当部位に、該第二面板10の内面に配される補助面部12aと、その周縁に第一、第二面板に介装される状態で配される補助桟部13cが形成された補助部材12を組み込むと共に、補助面部12aに補助充填材8aを設けた状態でプレス加工し、第一面板9の開口部相当部9bと補助充填材8aを除去することで収納部6を簡単に加工できるようにする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面板を構成する第一、第二面板と該第一、第二面板間に介装される充填材とを接着剤を介して接着してなるパネル体において、
該パネル体は、第一面板の一部と、該一部の面板部位の充填材とが除去されていることで、該除去された部位の第二面板の内面が底面部になった凹溝状の空間部が形成されたものであって、
前記空間部に相当する部位に、第二面板の内面に配される補助面部と、空間部周縁の第一、第二面板間に介装される補助桟部とを備えた補助部材が組み込まれていることを特徴とするパネル体。
【請求項2】
補助桟部は、空間部の少なくとも二つの周縁に配されることを特徴とする請求項1記載のパネル体。
【請求項3】
補助桟部が配される二つの周縁は、左右または上下に対向した周縁であることを特徴とする請求項2記載のパネル体。
【請求項4】
補助桟部は、空間部の全四周の周縁に配されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のパネル体。
【請求項5】
補助部材は一枚の平板状材を用いて形成されるものであり、補助桟部は、補助面部の端縁部から平面状に延出される延出部を折曲形成したものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載のパネル体。
【請求項6】
補助桟部は、補助面部の端縁部から延出した第一補助桟面部、該第一補助桟面部の先端部から第一面板側に向けて折曲した第二補助桟面部、該第二補助桟面部の先端部から第一面板に沿う状態で空間部側に向けて折曲した第三補助桟面部とを備えて形成されることを特徴とする請求項5記載のパネル体。
【請求項7】
補助桟部は、補助面部の端縁部から第一面板側に向けて折曲した第一補助桟面部、該第一補助桟面部の先端部から空間部とは逆側に向けて折曲した第二補助桟面部、該第二補助桟面部の先端部から第二面板側に向けて折曲した第三補助桟面部とを備えて形成されることを特徴とする請求項5記載のパネル体。
【請求項8】
補助桟部は、補助面部の端縁部から延長される延長部に接着されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のパネル体。
【請求項9】
空間部には外部電源を受けて作動する電気部品が設けられ、補助桟部には、電気部品に電源供給をするための配線を通す配線路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1記載のパネル体。
【請求項10】
表裏面板を構成する第一、第二面板と該第一、第二面板間に介装される充填材とを接着剤を介して接着してなるパネル体において、
該パネル体を、第一面板の一部と、該一部の面板部位の充填材とが除去されることで、該除去された部位の第二面板の内面が底面部になった凹溝状の空間部が設けられたものであって、
前記空間部に相当する部位に、第二面板の内面に接着される補助面部と、第一、第二面板間に介装され、空間部の周囲を囲繞するための補助桟部とが設けられた補助部材が組み込まれたパネル体を形成するための製造方法であって、該方法には、
・前記空間部に相当する部位の第二面板の内面に、補助面部と補助桟部が設けられた補助部材を配設する補助部材配設工程、
・前記補助部材配設工程の前後何れかに、補助面部部位に補助充填材を配設する補助充填材配設工程、
・充填材を第一、第二面板に接着剤を介して接着する工程に併せて補助面部の第二面板への接着、補助桟部の第一、第二面板への接着をする接着工程、
・該接着工程の後に、第一面板の空間部が形成される部位と補助充填材とを除去する工程、
を存することを特徴とするパネル体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブース等を形成すべく室内空間を仕切るため設けられるパネル体およびパネル体の製造方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、トイレブース等のブース(小部屋)を仕切り形成するための部材として、表裏面板となる第一、第二面板(室内外の面板)間にペーパーコア等の充填材を内装して構成されたパネル体が用いられるが、このようなパネル体に、例えばリモートコントロールシステム用の端末装置や擬音装置等の外部装置を設けた構成にすることが要求される場合があり、これに対応すべく、パネル体の室内側面板である第一面板に外部装置を取り付けた場合、該外部装置がパネル体の表面から突出した状態で配されることになって外観が損なわれるだけでなく、突出する外部装置に人や荷物がぶつかりやすく、悪戯もされやすいという問題がある。そこでパネル体の第一面板と充填材とを刳り貫いて凹溝状の空間部を形成し、該空間部に外部装置を組み込むようにすることが提唱される。
ところが空間部を形成するため、第一面板と充填材とを刳り貫いて除去しようとしたときに、充填材と第一面板とが接着していて一体になっているため空間部の形成作業が面倒かつ煩雑で作業性に劣るという問題がある。
ところでこのようなパネル体を製造するにあたり、窓を形成するため空間部を有したものとしたい場合、予め空間部を抜いた状態でパネル体を形成するようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のように空間部を形成する場合に、室外側面板となる第二面板の空間部部位は残したまま、該部位の第一面板および充填材を予め除去した状態でパネル体を製造することが提唱される。
ところでこのようなパネル体は、一般に、接着剤が塗布された第一、第二面板間に充填材(桟材も含む)を介装した状態でプレス加工(接着剤の種類によりホットプレス加工、コールドプレス加工等のプレス加工が知られている。)することで製造しているが、このようなプレス加工による製造をしたときに、第二面板の充填材が無い(除去された)部位は、プレスを受けて充填材に接着されていないため、充填材が有って接着された部位のように張りがある状態にはならないだけでなく、第一面板の開口部周縁部位についても充填材が欠けた状態となって強度的に弱く変形しやすい等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、表裏面板を構成する第一、第二面板と該第一、第二面板間に介装される充填材とを接着剤を介して接着してなるパネル体において、該パネル体は、第一面板の一部と、該一部の面板部位の充填材とが除去されていることで、該除去された部位の第二面板の内面が底面部になった凹溝状の空間部が形成されたものであって、前記空間部に相当する部位に、第二面板の内面に配される補助面部と、空間部周縁の第一、第二面板間に介装される補助桟部とを備えた補助部材が組み込まれていることを特徴とするパネル体である。
請求項2の発明は、補助桟部は、空間部の少なくとも二つの周縁に配されることを特徴とする請求項1記載のパネル体である。
請求項3の発明は、補助桟部が配される二つの周縁は、左右または上下に対向した周縁であることを特徴とする請求項2記載のパネル体である。
請求項4の発明は、補助桟部は、空間部の全四周の周縁に配されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のパネル体である。
請求項5の発明は、補助部材は一枚の平板状材を用いて形成されるものであり、補助桟部は、補助面部の端縁部から平面状に延出される延出部を折曲形成したものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載のパネル体である。
請求項6の発明は、補助桟部は、補助面部の端縁部から延出した第一補助桟面部、該第一補助桟面部の先端部から第一面板側に向けて折曲した第二補助桟面部、該第二補助桟面部の先端部から第一面板に沿う状態で空間部側に向けて折曲した第三補助桟面部とを備えて形成されることを特徴とする請求項5記載のパネル体である。
請求項7の発明は、補助桟部は、補助面部の端縁部から第一面板側に向けて折曲した第一補助桟面部、該第一補助桟面部の先端部から空間部とは逆側に向けて折曲した第二補助桟面部、該第二補助桟面部の先端部から第二面板側に向けて折曲した第三補助桟面部とを備えて形成されることを特徴とする請求項5記載のパネル体である。
請求項8の発明は、補助桟部は、補助面部の端縁部から延長される延長部に接着されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のパネル体である。
請求項9の発明は、空間部には外部電源を受けて作動する電気部品が設けられ、補助桟部には、電気部品に電源供給をするための配線を通す配線路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1記載のパネル体である。
請求項10の発明は、表裏面板を構成する第一、第二面板と該第一、第二面板間に介装される充填材とを接着剤を介して接着してなるパネル体において、該パネル体を、第一面板の一部と、該一部の面板部位の充填材とが除去されることで、該除去された部位の第二面板の内面が底面部になった凹溝状の空間部が設けられたものであって、前記空間部に相当する部位に、第二面板の内面に接着される補助面部と、第一、第二面板間に介装され、空間部の周囲を囲繞するための補助桟部とが設けられた補助部材が組み込まれたパネル体を形成するための製造方法であって、該方法には、前記空間部に相当する部位の第二面板の内面に、補助面部と補助桟部が設けられた補助部材を配設する補助部材配設工程、前記補助部材配設工程の前後何れかに、補助面部部位に補助充填材を配設する補助充填材配設工程、充填材を第一、第二面板に接着剤を介して接着する工程に併せて補助面部の第二面板への接着、補助桟部の第一、第二面板への接着をする接着工程、該接着工程の後に、第一面板の空間部が形成される部位と補助充填材とを除去する工程、を存することを特徴とするパネル体の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、第一面板側が開口し、第二面板が底面部となる空間部が形成されたパネル体とするにあたり、前記空間部に相当する部位に、第二面板の内面に配される補助面部と、空間部の第一、第二面板間に介装される補助桟部とを備えた補助部材が組み込まれたものである結果、空間部に相当する部位に充填材を組み込んだ状態でパネル体をプレス加工により形成することで第一面板の空間部相当部位が張りのない状態になってしまうことが回避されながら、第一面板の空間部相当部位を切除して取り除く場合に、充填材の除去も簡単にできることになるが、空間部には、補助面部と補助桟部とが設けられた補助部材が組み込まれたものになって防水効果に優れ、吸水による変形防止が図れると共に、補助桟部が第一面板の空間部周縁部位の補強も図ることができる。
請求項2の発明とすることにより、空間部の少なくとも二つの周縁が補助桟部によって補強されることになる。
請求項3の発明とすることにより、空間部が、上下または左右両側に桟部が設けられたパネル体である場合に、該桟部のない対向する二部位を補助桟部により保護できることになる。
請求項4の発明とすることにより、空間部の全四周を補助桟部によって保護できることになる。
請求項5の発明とすることにより、補助部材が、一枚の平板状材を用いて形成できることになって作業性の向上が図れることになる。
請求項6の発明とすることにより、補助面部の外側にコ字形をした補助桟部を簡単に形成することができる。
請求項7の発明とすることにより、補助面部の外側に冂字形をした補助桟部を簡単に形成することができる。
請求項8の発明とすることにより、補助部材を、延出部の有る補助面部に補助桟部を接着することで簡単に形成できることになる。
請求項9の発明とすることにより、空間部に電気部品が設けられる場合に、その配線をするための配線路が補助桟部に形成されているため、電気部品の設置が簡単にできることになる。
請求項10の発明とすることにより、空間部のあるパネル体をプレス加工により形成する場合に、補助充填材が配設された状態の補助部材を組み込んだ状態でプレス加工され、そして第一面板の空間部相当部位を切除する場合に、補助充填材も併せて除去できることになる結果、補助充填材の除去作業が容易で作業性が向上するだけでなく、補助面部により第二面板が吸湿して変形することを防止できると共に、第一面板の空間部部位の補強も図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(A)(B)(C)はパネル体の正面図、側面図、縦断面図である。
【
図3】(A)(B)は外部装置を組み込む前のパネル体の正面図、縦断面図である。
【
図4】(A)(B)は充填材等が組込まれた状態の第二面板の正面図、縦断面図である。
【
図5】(A)(B)(C)はパネル体の空間部部位の正面図、縦断面図、横断面図である。
【
図6】プレス加工された状態の空間部部位を示すものであって、(A)は第一面板を省略した正面図、(B)は縦断面図、(C)は横断面図である。
【
図8】(A)(B)(C)(D)は補助部材の正面図、側面図、底面図、斜視図である。
【
図9】(A)は平板材の正面図、(B)(C)は補助部材の縦断面図、横断面図である。
【
図10】(A)(B)は第二の実施の形態を示す空間部部位の第一板材を省略した正面図、省略のない横断面図、(C)(D)は第三の実施の形態を示す空間部部位の第一板材を省略した正面図、省略のない縦断面図である。
【
図11】(A)(B)(C)は第四の実施の形態の補助部材の正面図、横断面図、斜視図である。
【
図12】(A)(B)(C)は第五、第六、第七の実施の形態を示す補助部材の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブース(トイレ用個室)であって、該トイレブース1は、出入り口部Eを形成する左右の正面(前面)パネル体2、壁部Wと正面パネル体2とのあいだに設けられる奥行きパネル体3、出入り口部Eの開閉をするドア体4等の各種の部材装置によって構成されていること等は何れも従来通りである。
そして本実施の形態では、奥行きパネル体3に、本発明の外部装置5を内装するため凹溝状の空間部6が形成されたものとなっており、以降、必要な場合を除いて、空間部6が形成される「奥行きパネル体」について、「奥行きパネル体」として表現する必要がある場合を除いて単純に「パネル体」と称するものとする。
尚、本実施の形態において、奥行きパネル体3は、壁部W側のパネル体3と正面パネル体2側のパネル体3との二枚を一連状に連結したものとして構成されるが、外部装置5は、そのうちの壁部W側のパネル体3に設けられたものとなっている。
【0009】
前記パネル体3は、四周の框材7と、該框材7に囲繞される空間に介装されるペーパーコア材等の部材からなる充填材8と、表裏面板(面材)を構成するブース室内側の第一面板9、ブース室外側の第二面板10、左右の各框材7間に介装される横桟11とを備え、該第一、第二面板9、10と、内装材である框材7、充填材8、横桟11とが接着剤(図示せず)を介して一体的に接着されることでパネル体3を構成している。
尚、本実施の形態のパネル体3としては、
図5に示すように、第一、第二面板9、10の両者、若しくは選択される何れか一方の面板9または10の表面に必要においてさらにメラミン製等の化粧板16を設けたものとしてもよい。
【0010】
このようにして構成されるパネル体3には、上下方向中央部位よりは下側部位で、かつ左右方向中央部位(中間部位)に、ブース室内側が開口するよう第一面板9の開口部相当部9bおよび充填材8が除去されることで、第一面板9に開口部9aが形成され、第二面板10が底面部になる凹溝状の空間となった空間部(収納部)6が形成されたものになっているが、本実施の形態においては、空間部6の上下両端縁部にも横桟11が設けられたものになっている。
そしてこのように上下が横桟11によって仕切られた部位の左右方向中間部位適宜位置に前記空間部6が形成されることになるが、この場合に、空間部6に相当する部位に補助部材12が組み込まれているが、該補助部材12は、第二面板10の内面に当接状に配される補助面部12aと、第一、第二面板9、10にあいだに介装されることで空間部6の上下左右の全四周部となる周縁に補助桟部12cとが形成されたものとなっている。
そしてこの場合に補助桟部12cは、補助面部12aの端縁部12bから平面状に延出した第一補助桟面部12d、該第一補助桟面部12dの先端部12eから第一面板9側に向けて折曲した第二補助桟面部12f、該第二補助桟面部12fの先端部12gから第一面板9に沿う状態で空間部6側に向けて折曲した第三補助桟面部12hを備えたコ字形に形成されたものとなっている。
【0011】
この場合に空間部6は、第一面板9に形成される開口部9aが空間部6の大きさ(上下左右の大きさ、面積)よりも小さい(狭い)蟻溝状のものになっており、このため補助面部12aは、開口部9aよりも上下左右方向に幅広になっており、この幅広の補助面部12aの上下左右の端縁部(先端部)12bから延出する状態で補助桟部12cが形成される。
そして前記補助部材12は、一枚の平板状材(平面状材、平板材(板)、平面状材(板))13を用いて折曲形成する場合に、平板材13の素材としては、鉄板、ステンレス板等の金属板が強度、防湿性、加工容易性等の観点から好適であるが、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂等の曲げ加工したときに塑性変形して折曲状態を維持する硬質の樹脂板を用いても勿論よい。
【0012】
次に、前記左右に補助桟部12cが補助面部12aから延出形成された補助部材12を平板材13を用いて形成することについて説明する。
前記平板材13は、前述したように開口部9aよりも幅広な補助面部12aに相当する補助面相当部13aと、該補助面相当部13aの端縁部13bから上下左右方向外方に向けて平面状に延出(延長)していて補助桟部12cを形成するための延出部13cとを備えて構成されるが、該延出部13cは、前記端縁部13bから延出した第一補助桟面相当部13d、該第一補助桟面相当部13dの先端部13eから延出した第二補助桟面相当部13f、該第二補助桟面相当部13fの先端部13gから延出した第三補助桟面相当部13hとを備えたものとなっている。
因みに左右方向一方の第二補助桟面相当部13fには、空間部6に組み込まれる外部装置5が外部電源を受けて作動する電気部品であることを想定して、該外部装置5に外部電源を供給するための配線(図示せず)を貫通するため前述した配線孔12iに相当する部位に孔穿設部13iが形成されたものとなっている。尚、配線(電源コード)は、前記配線孔12iを含めてパネル体3を貫通するよう設けた筒材14を貫通するように配慮されたものとなっている。
【0013】
そして前記平板材13を、補助面相当部13aの先端部13bは折曲することなく平面状のままとし、第一補助桟面相当部13dの先端部13e、および第二補助桟面相当部13fの先端部13gをそれぞれ第一面部9側に向けて谷折りすることで、補助面相当部13aが補助面部12aになり、第一補助桟面相当部13dが、補助面部12aの端縁部12bから平面状に延出した第一補助桟面部12dになり、第二補助桟面相当部13fが、第一補助桟面部12dの先端部12eから第一面板9側に向けて折曲した第二補助桟面部12fとなり、第三補助桟面相当部13hが、第二補助桟面部12fの先端部12gから第一面板9に沿う状態で開口部9a側に向けて折曲した第三補助桟面部12hになるよう折曲され、このようにして補助部材12が平板材13から折曲形成される。
【0014】
このように形成された補助部材12を用いてパネル体3がプレス加工により形成されることになるが、パネル体3をプレス加工する場合、一般には、第二面板10に框材7、充填材8、横桟11等の内装材として必要な部材を組み込んだ状態で第一面板9を第二面板10に覆蓋し、プレス加工することになるが、この場合に、第一、第二面板9、10の内面に接着剤(図示せず)が塗布されたものとし、前記プレス加工(接着剤の種類によりホットプレス加工、コールドプレス加工等の各種のプレス加工がある。)をすることで、第一、第二面板9、10と前記充填材8等の内装材とが押圧状態で接着されることなって、第一、第二面板9、10と内装材とが一体に接着されたパネル体3を形成できるものであって、このようなことは、従来公知の手法を採用しているものであるためその詳細の説明については省略する。
【0015】
前述したようにパネル体3に空間部6が形成されたものとする場合に、プレス加工する前の充填材8等の内装材を第二面板10に組み込む際に、補助部材12を該当部所に組み込むと共に、補助面部12a部位にも充填材(空間部用の補助充填材)8aを充填した状態とし、そしてプレス加工によりパネル体3を形成する。この場合に補助充填材8aとしては、補助部材12に補助桟部12cが設けられていることで、補助面部12aの端縁部12bまで深く嵌入した大きさにする必要はなく、開口部9aの大きさに相当するものとすることができるが、この場合に補助充填材8aが不用意に位置ズレしないよう例えば粘着力が弱い両面粘着テープ等で簡易的な仮止めをしておくことで、補助充填材8aの後述する除去が簡単になって好適である。
因みに補助充填材8aの補助部材12への組み込みは、補助部材12を第二面板10に組み込む前後の何れであっても実施することができる。
【0016】
前記プレス加工した場合に、補助面部12a、第一補助桟面部12dが第二面板10に接着し、空間部用充填材8a、第三補助桟面部12hが第一面板9に接着することになる。
そしてプレス成形後、空間部6の開口部9aに相当する第一面板9の開口部相当部9bを切断して除去する場合に、補助充填材8aが開口部相当部9bに接着しているため、開口部相当部9bの切除に併せて補助充填材8aも除去することができる。
【0017】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、第一、第二面板9、10と、該第一、第二面板9、10間に介装される充填材8とを接着して構成されるパネル体3が、第一面板9に開口部9aが形成された凹溝状の空間部6が形成されたものになっているが、該空間部6に相当する部位に、第二面板10の内面に配される補助面部12aと、空間部6の周縁部において第一、第二面板9、10に介装される補助桟部12cとを備えた補助部材12が組み込まれてたものとなっている結果、空間部6に相当する部位に補助充填材8aを組み込んだ状態でパネル体3をプレス加工により形成することができ、第一面板9における空間部6の周縁部が張りのない状態になってしまうことが回避されながら、第一面板9の開口部相当部9bを切除して取り除く場合に、補助充填材8bの除去も簡単にできることになって作業性が向上するだけでなく、空間部6は、補助面部12a、補助桟部12cとが設けられた補助部材12が組み込まれたものになって防水性に優れ、吸水による変形防止が図れると共に、補助桟部12cが第一面板9の開口部9aの周縁部位の補強も図ることができる。
しかもこのものでは、補助桟部12cが、空間部6の全四周の周縁に配される構成になっている結果、空間部6の全四周の保護が確実にできることになる。
【0018】
このようにパネル体3には、補助部材12が組み込まれた空間部6が形成されたものになっているが、該補助部材12は一枚の平板材13を用いて形成されるものであり、この場合に補助桟部12cは、補助面部12aに相当する補助面相当部位13aの端縁部13bから平面状に延出される延出部13cを折曲形成して形成されるものであるから、補助部材12の作成が簡単にできることになって作業性の向上が図れることになる。
【0019】
そしてこの場合に、補助桟部12cは、補助面部12aの端縁部12bから延出した第一補助桟面部12d、該第一補助桟面部12dの先端部12eから第一面板9側に向けて折曲した第二補助桟面部12f、該第二補助桟面部12fの先端部12gから第一面板9に沿う状態で空間部6側に向けて折曲した第三補助桟面部12hとを備えて形成されるものであって、補助面部12aの外側にコ字形をした形状で設けられることになって補助桟部12cを簡単に形成することができるが、このような折曲加工は、平板材13について、補助面相当部13a、該補助面相当部13aから延出する延出部13cを谷折りして第一~第三の補助桟面相当部13d、13f、13hを折曲加工することで簡単にできることなる。
しかもこのものでは、第二補助桟面部12fに、配線路となる配線孔12iが設けられたものとなっているため、空間部6に外部装置5として電気部品を配設する場合に、配線が容易になる。
【0020】
そしてこのように、第一、第二面板9、10と充填材8とが接着され、第一面板9の一部に開口部9aが形成され、該開口部9a部位の補助充填材8aが除去されることで第二面板10の内面が底面部になった凹溝状の空間部6が設けられたパネル体3において、該空間部6に相当する部位に、第二面板10の内面に接着される補助面部12aと、第一、第二面板9、10間に介装され、空間部6の周囲を囲繞するための補助桟部12cとが設けられた補助部材12が組み込まれたものを製造するための方法として、
・前記空間部6に相当する部位の第二面板10の内面に、補助面部12aと補助桟部12cとが設けられた補助部材12を配設する補助部材配設工程、
・前記補助部材12の配設工程の前後何れかに、補助面部12aに補助充填材8aを配設する補助充填材配設工程
・充填材8を第一、第二面板9、10にプレス加工して接着する工程に併せて補助面部12aの第二面板10への接着、補助桟部12cの第一、第二面板9、10への接着、補助充填材8aの第一面板9への接着をする接着工程、
・該接着工程の後に、第一面板9の空間部6が形成される開口部相当部位9bと補助充填材8aとを除去する工程、
を存するものとすることができる。
そしてこのようにすることで、空間部6のあるパネル体3をプレス加工により形成する場合に、補助充填材8aが配設された状態の補助部材12を組み込んだ状態でプレス加工され、そして第一面板9の開口部相当部位9bを切除する場合に、補助充填材8aも併せて除去できることになる結果、補助充填材8aの除去作業が容易で作業性が向上するだけでなく、補助面部12aにより第二面板10が吸湿して変形することを防止できると共に、第一面板9の空間部6周縁部位の補強も図れることになる。
【0021】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、補助部材12として、框材7、横桟11、さらには前記実施の形態では記載がない縦桟を補助桟部12cに相当するものに兼用できる場合があり、この場合には兼用される部位の補助桟部12cがないものとすることができ、例えば
図10(A)(B)に示す第二の実施の形態、(C)(D)に示す第三の実施の形態のように、上下の横桟11、左右の縦桟15が補助桟部12cに兼用できる場合には、補助部材12に、左右または上下に一対の補助桟部12cが形成されただけのものとすることができる。
そして補助桟部12cを設けるものとして、例えば横桟11と縦向きの框材7とのコーナー部に空間部6を設ける場合に、これら横桟11、框材7を桟部として兼用した場合には縦横の補助桟部12cを形成したものにでき、さらには三方が桟、框材で囲繞された部位に空間部6を形成する場合において、これらを桟部に兼用できる場合には一箇所に補助桟部が形成されたものとして実施することができる。
【0022】
また補助桟部12cとしては、前記実施の形態のようにコ字形をしたものではなく、
図11に示す第四の実施の形態のように冂字形をしたものとすることもできる。このものでは前記補助桟部12cを、補助面部12aの端縁部12bから第一面板9側に向けて折曲した第一補助桟面部12d、該第一補助桟面部12dの先端部12eから空間部6とは逆側に向けて折曲した第二補助桟面部12f、該第二補助桟面部12fの先端部12gから第二面板10側に向けて折曲した第三補助桟面部12hとを備えて形成されたものである。
因みに本実施の形態では、補助桟部12cが左右一対が設けられたものについて説明したが、これに限定されないものであることは勿論であって、第一の実施の形態のように全四周に設けたものであってもよい。
【0023】
さらに
図12(A)(B)(C)に示す第五、第六、第七の実施の形態のようにすることもできるが、第五の実施の形態のものは、補助桟部12cが、前記実施の形態のように平板材13の延長部13cを折曲形成したものでなく、平板材13の延長部13cを第一補助桟面相当部13dだけのものとし、そして該第一補助桟面相当部13dに、例えば木材等から構成される柱状(または中空状)の補助桟部13kを接着して形成したものであり、この様にしたものでも本発明を実施することができる。
また第六、第七の実施の形態のものは、前記第一、第四の実施の形態の補助桟部12cにおける第三補助桟面部12hの先端部12jからさらに第四の補助桟面部12kを折曲形成することで、補助桟部12cを四角筒形状にしたものであり、このようにしても実施することができ、このようにしたときには補助桟部12cの補強が図れることになる。
さらに補助部材12としては、例えば熱硬化性樹脂をモールド成形する等して補助面部12a、補助桟部12cが一体形成されたものとしてもよい。
また前記第一の実施の形態においては、補助面部12aに配線孔12iを設けた構成にしたが、補助桟部12cが空間部6から続く前記第一の実施の形態のものでは、補助桟部12cを電気配線を通すための配線路として用いることもでき、この様にした場合には配線孔12iを形成する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、トイレブース等を形成すべく室内空間を仕切るため設けられるパネル体およびパネル体の製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 トイレブース
3 奥行きパネル体
6 空間部
8 充填材
8a 空間部用充填材
9 第一面板
9a 開口部
10 第二面板
11 横桟
12 補助部材
12a 補助面部
12b 端縁部
12c 補助桟部
12d 第一補助桟面部
12e 先端部
12f 第二補助桟面部
12g 先端部
12h 第三補助桟面部
12i 配線孔
13 平板材
13c 延出部