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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015094
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】濾過機
(51)【国際特許分類】
   B01D 25/12 20060101AFI20220114BHJP
   B01D 29/96 20060101ALI20220114BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B01D25/12 Z
B01D29/02 E
B01D29/04 510A
B01D29/04 520Z
B01D29/04 530B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117721
(22)【出願日】2020-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598153582
【氏名又は名称】化工機商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 泰治
(72)【発明者】
【氏名】牧野 敦
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA08
4D116BB02
4D116CC02
4D116CC07
4D116CC15
4D116CC23
4D116CC32
4D116CC35
4D116CC42
4D116CC43
4D116CC45
4D116EE01
4D116EE02
4D116FF12B
4D116FF16B
4D116GG02
4D116KK04
4D116QB02
4D116QB11
4D116QB23
4D116VV03
(57)【要約】
【課題】濾材を支持板等から引き剥がしやすくして、容易に交換できるようにする。
【解決手段】1対の濾板(中間濾板9b等)と、上記濾板の間に設けられる濾材18の支持板96とを有する濾過機20は、一方の上記濾板と上記支持板96との間に濾材18が挟持された状態で濾過対象の濾過が行われる一方、上記一方の濾板と上記濾材18とが離間した状態で上記濾材18の交換が行われるように構成されるとともに、さらに、上記支持板96と、上記濾材18との間に空気を吹き出すノズル30を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の濾板と、上記濾板の間に設けられる濾材の支持板とを有する濾過機であって、
一方の上記濾板と上記支持板との間に濾材が挟持された状態で濾過対象の濾過が行われる一方、上記一方の濾板と上記濾材とが離間した状態で上記濾材の交換が行われるように構成されるとともに、さらに、
上記支持板と、上記濾材との間に空気を吹き出すノズルを備えたことを特徴とする濾過機。
【請求項2】
請求項1の濾過機であって、
上記濾材の表面に垂直な方向から見たときに上記濾材の周囲の複数の方向から空気を吹き出す複数の上記ノズルを備えたことを特徴とする濾過機。
【請求項3】
請求項2の濾過機であって、
上記複数のノズルが、同時に空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項4】
請求項2の濾過機であって、
上記複数のノズルが、順次、空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項5】
請求項2から請求項4のうち何れか1項の濾過機であって、
上記支持板と上記濾材との接触領域は矩形に形成されるとともに、
上記ノズルは、上記接触領域の対角位置付近から、上記接触領域の中央部付近に向けて空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項6】
請求項2から請求項5のうち何れか1項の濾過機であって、
上記複数のノズルが、互いに異なる圧力または風量で空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうち何れか1項の濾過機であって、
上記ノズルが、空気を断続的に吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうち何れか1項の濾過機であって、
上記濾材の表面とノズルとのなす角度が互いに異なる複数の上記ノズルを備えたことを特徴とする濾過機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属圧延油の浄化等に用いられる濾過機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属圧延油の浄化等に用いられる濾過機は、例えば、垂直に積み重ねられた複数の濾板の間に通された濾紙等の濾材によって加圧下で濾過を行い、濾過作用が低下した場合には濾板を開けて濾材を交換するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-009014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように濾材を交換する際に、濾材が支持板等に密着していると、引き剥がすのが困難になって、容易に交換できないことがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、濾材を支持板等から引き剥がしやすくして、容易に交換できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、
1対の濾板と、上記濾板の間に設けられる濾材の支持板とを有する濾過機であって、
一方の上記濾板と上記支持板との間に濾材が挟持された状態で濾過対象の濾過が行われる一方、上記一方の濾板と上記濾材とが離間した状態で上記濾材の交換が行われるように構成されるとともに、さらに、
上記支持板と、上記濾材との間に空気を吹き出すノズルを備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより、濾材と濾板との間に空気が吹き出されることによって、濾材が支持板から引き剥がされやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、濾材を支持板等から引き剥がしやすくして、容易に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】濾過機20の全体構成を示す正面図である。
図2】中間濾板9b等の構成を示す縦断面図である。
図3】中間濾板9b等の構成を示す平面図である。
図4】濾材の交換が行われるときの中間濾板9b等の状態を示す縦断面図である。
図5】変形例の空気の吹き出し方向を示す平面図である。
図6】他の変形例の空気の吹き出し方向を示す平面図である。
図7】さらに他の変形例の空気の吹き出し方向を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、多段水平濾板式の濾過機の例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(濾過機20の全体構成)
濾過機20は、図1に示すように、下部濾板9aと、複数の中間濾板9b,9b…と、加圧板(上部濾板)9cを有している。この下部濾板9aと中間濾板9b…と加圧板9cは、上下動のガイドとなるガイドロッド12,12…に挿通されて、上下方向に積層されている。また、下部濾板9aと中間濾板9b、中間濾板9bと中間濾板9b、中間濾板9bと加圧板9cの間には、後に詳述するように空洞の濾過室が形成されている。下部濾板9aは、濾過された液を回収する機能があり、加圧板9cは、原液を受け入れる機能があり、中間濾板9bは、それぞれ両方の機能を有している。これらをまとめて濾板スタック9と称する。
【0012】
さらに、この濾板スタック9に隣接した、図1における右側のスペースには、濾材ラック17が配置され、回転自在に複数の濾材ロール17a,17a…が配設されている。この濾材ロール17aには濾材18がロール状に巻き取られており、濾材18を各濾板9a,9b…の上面に、一方(右側)から他方(左側)へ供給する供給装置になっている。
【0013】
また、この濾板スタック9の隣接した、図1における左側のスペースには、濾材エキストラクタ19が配置され、濾材18が排出ロール装置19aにより各濾板9a,9b…の上面から引き出され、機外に排出される。なお、濾材18の排出を行う装置としては、ロール式に限らず、例えば、ピンを引っ掛けて引き出すピン式など、種々の方式の排出装置が用いられてもよい。
【0014】
積層した下部濾板9a、中間濾板9bおよび加圧板9cが上方の加圧ジャッキ16により押圧され、密閉状態の濾過室の濾材18上に原液が供給されて、濾過処理が開始される。
【0015】
濾過処理が開始されて、次第に濾材18の濾過抵抗が増加して濾過困難となると、原液の供給が停止され、加圧ジャッキ16が駆動して、中間濾板9b…と加圧板9cを上方へ引き上げて、下部濾板9aと中間濾板9b、中間濾板9bと中間濾板9b、中間濾板9bと加圧板9cの間に隙間を作り、濾材18を矢印Aで示す方向に移動させることにより、濾板9b、加圧板9c上に新しい濾材18を供給し、使用済みの濾材18を排出して入れ替えるようになっている。
【0016】
濾過処理する濾過対象である原液は、原液タンク13からポンプ13aを介して供給され、原液供給ヘッダー14に通される。この原液供給ヘッダー14と各濾過室とは耐圧ホース15,15によって接続され、濾過室に原液が供給される。
【0017】
また、濾板9a,9b内の濾材18により濾過された濾液は、排液口からホースを介して濾液タンクに排出される。
【0018】
(中間濾板9b等の詳細な構成)
中間濾板9b等のより詳しい構成を図2図4を参照して説明する。
【0019】
濾材18は、互いに同じ構造を有する1対の中間濾板9bの間に挟持されるようになっている。濾材18の上面側には、上方の中間濾板9bの下面に形成された凹部91によって濾過前室が形成され、供給口92を介して原液が供給されるようになっている。濾材18の下面側には、下方の中間濾板9bの上面に形成された凹部93によって濾過後室が形成され、排出口94を介して排出されるようになっている。
【0020】
中間濾板9bの上面における凹部93の周囲には、凹状のバキューム溝95が形成され、吸引する事により濾液が濾板スタック9の外へ漏れにくいようになっている。また、上記凹部93内には、例えばパンチングメタルから成る支持板96が設けられ、濾材18が支持されるようになっている。より詳しくは、支持板96は、例えば、これに取り付けられたリベット等の脚部97によって凹部93の底部との間に隙間を空けて設けられている。上記隙間には、例えば金網98が設けられ、上記脚部97とともに支持板96を支持するようになっている。
【0021】
濾材18の下面側で、上記支持板96と上記濾材18との矩形の接触領域における対角位置付近には、図示しない圧縮空気源等から送られる空気を吹き出すノズル30が設けられている。より詳しくは、水平面内では、上記接触領域の中央部付近に向く方向で、鉛直面内では、斜め上方の方向、すなわち、図4に示すように濾材18と支持板96とが離間したときに、濾材18が中間濾板9bから引き剥がされやすいように濾材18と中間濾板9bとの間に空気が吹き出されるようになっている。
【0022】
(ノズル30からの空気の吹き出し)
上記ノズル30からの空気の吹き出し方は、濾過対象や、濾材18の種類/大きさ等、周囲の気温等の環境条件などに応じて、種々設定してもよい。
【0023】
具体的には、例えば濾材18を引き剥がす前や引き離している間、連続的に吹き出すようにしてもよいし、断続的/間欠的に吹き出すようにしてもよい。また、各ノズル30が同時に吹き出すようにしてもよいし、順次/交互に吹き出すようにしてもよい。また、ノズル30ごとや時間経過に応じて、吹き出す空気の圧力、風速や風量などを異ならせたり変化させたりするようにしてもよい。
【0024】
(変形例)
ノズル30は、上記のように対角状に2つ設けるのに限らず、図5に示すように対角状の4方向から空気を吹き出すようにしたり、矩形形状の辺の部分から吹き出すようにしたり、これらを種々組み合わせたりしてもよい。
【0025】
また、空気を比較的狭い範囲にスポット的に吹き出すノズル30に限らず、例えば図6に示すように管状部材の長手方向に沿って側壁に吹き出し口を設けたノズル30によって、中間濾板9bの全周、またはその一部の直線状の領域に向けて吹き出すようにしたりしてもよい。
【0026】
また、濾材18の表面に対する空気の吹き出し方向の角度も、濾材18が引き剥がされやすいように種々設定すればよい。また、例えば、図7に示すように、複数種類の角度でノズル30を設け、主として上方に向く空気の流れによって濾材18の周囲を持ち上げる作用と、主として中間濾板9bと濾材18との間に空いた隙間に、吹き込まれる方向の空気の流れによって上記隙間が押し広げられるようにして、広い範囲に亘って濾材18が引き剥がされやすいようにしてもよい。
【0027】
(その他の事項)
上記のようなノズル30は、濾過機20の本体、例えば中間濾板9b等に取り付けられてもよいし、中間濾板9b等に近接して設けられた支持部材などに取り付けられるようにしてもよい。
【0028】
また、濾材18の種類は上記のようなロール紙状に限らず、カット紙状のものでも同様に引き剥がしやすくする効果は得ることができる。
【0029】
また、上記のような空気の吹き出しによる作用に加えて、例えば中間濾板9b等と濾材18との間にスクレーパやブレードなどが挿入されるようにして、濾材18がより引き剥がされやすいようにしてもよい。さらに、上記スクレーパやブレードなどに、図6に示したような直線状の領域に空気を吹き出すノズル30と同様の機能を持たせ、濾材18を引き剥がしながら空気が吹き出されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
9 濾板スタック
9a 下部濾板
9b 中間濾板
9c 加圧板
12 ガイドロッド
13 原液タンク
13a ポンプ
14 原液供給ヘッダー
15 耐圧ホース
16 加圧ジャッキ
17 濾材ラック
17a 濾材ロール
18 濾材
19 濾材エキストラクタ
19a 排出ロール装置
20 濾過機
30 ノズル
91 凹部
92 供給口
93 凹部
94 排出口
95 バキューム溝
96 支持板
97 脚部
98 金網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の濾板と、上記濾板の間に設けられる濾材の支持板とを有する濾過機であって、
一方の上記濾板と上記支持板との間に濾材が挟持された状態で濾過対象の濾過が行われる一方、上記一方の濾板と上記濾材とが離間した状態で上記濾材の交換が行われるように構成されるとともに、さらに、
上記支持板と、上記濾材との間に空気を吹き出すノズルを備え
上記ノズルは、上記濾材と離間するように配置されていることを特徴とする濾過機。
【請求項2】
請求項1の濾過機であって、
上記濾材の表面に垂直な方向から見たときに上記濾材の周囲の複数の方向から空気を吹き出す複数の上記ノズルを備えたことを特徴とする濾過機。
【請求項3】
請求項2の濾過機であって、
上記複数のノズルが、同時に空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項4】
請求項2の濾過機であって、
上記複数のノズルが、順次、空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項5】
請求項2から請求項4のうち何れか1項の濾過機であって、
上記支持板と上記濾材との接触領域は矩形に形成されるとともに、
上記ノズルは、上記接触領域の対角位置付近から、上記接触領域の中央部付近に向けて空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項6】
請求項2から請求項5のうち何れか1項の濾過機であって、
上記複数のノズルが、互いに異なる圧力または風量で空気を吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうち何れか1項の濾過機であって、
上記ノズルが、空気を断続的に吹き出すように構成されたことを特徴とする濾過機。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうち何れか1項の濾過機であって、
上記濾材の表面とノズルとのなす角度が互いに異なる複数の上記ノズルを備えたことを特徴とする濾過機。